特許第5938391号(P5938391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5938391転写プリント用基板、転写プリント用基板の製造方法及び転写プリント方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938391
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】転写プリント用基板、転写プリント用基板の製造方法及び転写プリント方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/10 20060101AFI20160609BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   H05B33/10
   H05B33/14 A
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-268851(P2013-268851)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-229605(P2014-229605A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2014年1月9日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0057147
(32)【優先日】2013年5月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507373508
【氏名又は名称】クヮンジュ・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100114720
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100128749
【弁理士】
【氏名又は名称】海田 浩明
(72)【発明者】
【氏名】コ ヘンチョ
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョンピル
(72)【発明者】
【氏名】ユン スオク
(72)【発明者】
【氏名】キム スクホ
(72)【発明者】
【氏名】ハン ヨンキュ
(72)【発明者】
【氏名】チャン ハンソ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン ユジュン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ユンキュン
【審査官】 越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−209697(JP,A)
【文献】 特開2012−186315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/10
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写層を支持する転写プリント用基板であって、
ハンドリング基板と、
前記ハンドリング基板の上に形成された多数個の柱構造と、
前記多数個の柱構造を含む前記ハンドリング基板の全面に塗布された犠牲層と、を含み、
前記犠牲層は、前記多数個の柱構造を覆うか前記多数個の柱構造の上部を露出させ、前記転写層、前記ハンドリング基板及び前記多数個の柱構造に対して選択的に除去可能なものである
転写プリント用基板。
【請求項2】
転写層を支持する転写プリント用基板であって、
ハンドリング基板と、
前記ハンドリング基板の上に形成された多数個の柱構造と、を含み、
前記ハンドリング基板は、前記多数個の柱構造との接着を強化するための接着補強層を含むものであ
転写プリント用基板。
【請求項3】
前記犠牲層は、少なくとも前記柱構造及び前記転写層と接着力を有するものである
請求項に記載の転写プリント用基板。
【請求項4】
前記多数個の柱構造は、前記転写層と化学的結合が可能な物質で形成されるものである
請求項に記載の転写プリント用基板。
【請求項5】
転写層を支持する転写プリント用基板を製造する方法であって、
(a)ハンドリング基板の上面に多数個の柱構造を形成するステップと、
(b)犠牲層を前記ハンドリング基板の上に形成する際、前記多数個の柱構造を含む全体面を覆うか前記多数個の柱構造の上部を露出するように形成するステップと、を含む
転写プリント用基板を製造する方法。
【請求項6】
前記ステップ(a)は、
ハンドリング基板の上に感光性高分子物質を塗布するステップと、
前記多数個の柱構造を形成するようにフォトリソグラフィ工程を行うステップと、を含むものである
請求項に記載の転写プリント用基板を製造する方法。
【請求項7】
前記感光性高分子物質を塗布する前に、前記ハンドリング基板の上面に前記感光性高分子物質と前記ハンドリング基板の接着力を高める接着補強層を先に形成するものである
請求項に記載の転写プリント用基板を製造する方法。
【請求項8】
前記犠牲層は、少なくとも前記転写層及び前記多数個の柱構造と接着力を有するものである
請求項に記載の転写プリント用基板を製造する方法。
【請求項9】
前記犠牲層は、前記ハンドリング基板、前記多数個の柱構造及び前記転写層に対して選択的に除去可能なものである
請求項に記載の転写プリント用基板を製造する方法。
【請求項10】
前記多数個の柱構造の高分子物質は、前記転写層と化学的結合が可能なものである
請求項に記載の転写プリント用基板を製造する方法。
【請求項11】
前記犠牲層は、前記転写層が転写中間媒介体に転写される前に一部又は全部が除去されるものである
請求項8に記載の転写プリント用基板を製造する方法。
【請求項12】
転写プリント方法であって、
(1)ハンドリング基板の上面に多数個の柱構造を形成するステップと、
(2)犠牲層を前記ハンドリング基板の上に形成する際、前記多数個の柱構造を含む全体面を覆うか前記多数個の柱構造の上部を露出するように形成するステップと、
(3)前記犠牲層の上面又は前記犠牲層と前記多数個の柱構造の上面を含む全体面に転写層の一部又は全部を製造するステップと、
(4)前記犠牲層の一部又は全部を選択的に除去するステップと、
(5)前記転写層を転写中間媒介体に転写するステップと、を含む
転写プリント方法。
【請求項13】
前記ステップ2の前に前記ハンドリング基板の上面に前記多数個の柱構造との接着を強化するための接着補強層を形成するステップを更に行うものである
請求項12に記載の転写プリント方法。
【請求項14】
前記犠牲層は、前記転写層を前記ハンドリング基板及び前記多数個の柱構造と接着させるものである
請求項12に記載の転写プリント方法。
【請求項15】
前記多数個の柱構造は、前記転写層と化学的結合が可能な物質である
請求項13に記載の転写プリント方法。
【請求項16】
前記ステップ5において、前記転写層の転写中間媒介体への転写は前記犠牲層による前記転写層と前記ハンドリング基板又は前記多数個の柱構造間の接着の分離、又は前記多数個の柱構造の切断、又は前記多数個の柱構造と前記ハンドリング基板との接着の分離によるものである
請求項15に記載の転写プリント方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は転写プリント分野に関するものであり、より詳しくは、柱構造を利用することで超薄膜素子の場合でも高い整列度と転写率を具現することができる転写プリント用基板、転写プリント用基板の製造方法及び転写プリント方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
将来の電気電子素子は形状可変性を有する必要がある。例えば、素子は衣服又は人体臓器のように繰り返し形態の変形が要求されるか、多様な形態の表面を有する建物の外壁に変形された形態で付着及び維持されるべきであるためである。形態変形のための十分な機械的柔軟性と伸縮性は、素子の構造を超薄膜化するか基板自体の厚さを減らすことで実現される。しかし、基板の厚さを数十マイクロメートル以下にする場合には製造工程過程のうちで曲がるか捻りやすくなる。よって、素子工程に要求される安定性を確保するために超薄膜基板を指示するハンドリング基板を使用している。このようにハンドリング基板によって支持された超薄膜基板を望みの表面に付着するためには、高い整列度と転写歩留まりを有する転写方法が要求される。例えば、超薄膜基板とハンドリング基板との間の結合力を調節するために基板の間に犠牲層を導入し、工程の後に犠牲層を除去する方式が利用されている。犠牲層を除去し基板間の結合力を弱化させた後、望みの表面に転写させるのである。
【0003】
しかし、エッチング溶液を介して犠牲層を除去する場合、ハンドリング基板の上にある超薄膜基板が浮遊し元の位置から逸脱して整列度を落とすか、エッチング過程のうちで沈んだ超薄膜基板がハンドリング基板と強く結合して転写歩留まりを落としてしまう。
【0004】
これを改善する方法として、ハンドリング基板に凹構造を形成し機械的結合を維持する支持台を導入するか、高分子犠牲層を利用して、エッチング過程で構造的形態に拘束された残物によって素子の整列度を高める方法が研究されたことがあり、その他に界面間の結合力を低めるためにレーザを利用するか熱を利用する方法が開発されたことがある。しかし、損傷を受けやすいエッチング溶液を使用すること、長いエッチング時間によるパターンの浮遊現象が発生すること、高コストが所要されること、熱による損傷可能性があることなどの問題点がある。
【0005】
よって、高い柔軟性と伸縮性を有する超薄膜素子を製造するに当たって、工程の安定性を確保すると共に高い整列度と転写歩留まりを実現する方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2006−0125620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、柱構造と犠牲層を利用することで素子の損傷を最小化しながら高い転写歩留まりと整列度を具現し、ハンドリング基板と超薄膜基板との間の安定的な結合力を維持する転写プリント用基板を提供する。
【0008】
本発明は、上述した改善された転写プリント用基板を製造する方法を提供する。
【0009】
本発明は、上述した改善された転写プリント用基板及びその製造方法を利用する転写プリント方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は転写層を支持する転写プリント用基板を提供するが、それは、ハンドリング基板と、前記ハンドリング基板の上に形成された多数個の柱構造と、前記多数個の柱構造を含む前記ハンドリング基板の全面に塗布された犠牲層と、を含み、前記犠牲層は、前記多数個の柱構造を覆うか前記多数個の柱構造の上部を露出させ、前記転写層、前記ハンドリング基板及び前記多数個の柱構造に対して選択的に除去可能である
【0011】
本発明はまた、転写層を支持する転写プリント用基板を提供するが、それは、ハンドリング基板と、前記ハンドリング基板の上に形成された多数個の柱構造と、を含み、前記ハンドリング基板は、前記多数個の柱構造との接着を強化するための接着補強層を含む。
【0014】
前記犠牲層は、少なくとも前記柱構造及び前記転写層と接着力を有する。
【0015】
前記多数個の柱構造は、前記転写層と化学的結合が可能な物質で形成される。
【0016】
本発明はまた、転写層を支持する転写プリント用基板を製造する方法を提供するが、その方法は、(a)ハンドリング基板の上面に多数個の柱構造を形成するステップと、(b)犠牲層を前記ハンドリング基板の上に形成する際、前記多数個の柱構造を含む全体面を覆うか前記多数個の柱構造の上部を露出するように形成するステップと、を含む。
【0017】
前記ステップ(a)は、ハンドリング基板の上に感光性高分子物質を塗布するステップと、前記多数個の柱構造を形成するようにフォトリソグラフィ工程を行うステップと、を含む。
【0018】
前記感光性高分子物質を塗布する前に、前記ハンドリング基板の上面に前記感光性高分子物質と前記ハンドリング基板の接着力を高める接着補強層を先に形成してもよい。
【0019】
前記犠牲層は、少なくとも前記転写層及び前記多数個の柱構造と接着力を有する。
【0020】
前記犠牲層は、前記ハンドリング基板、前記多数個の柱構造及び前記転写層に対して選択的に除去可能なものである。
【0021】
前記多数個の柱構造の高分子物質は、前記転写層と化学的結合が可能なものである。
【0022】
前記犠牲層は、前記転写層が前記転写中間媒介体に転写される前に一部又は全部が除去される。
【0023】
本発明は転写プリント方法を提供するが、その方法は、(1)ハンドリング基板の上面に多数個の柱構造を形成するステップと、(2)犠牲層を前記ハンドリング基板の上に形成する際、前記多数個の柱構造を含む全体面を覆うか前記多数個の柱構造の上部を露出するように形成するステップと、(3)前記犠牲層の上面又は前記犠牲層と前記多数個の柱構造の上面を含む全体面に転写層の一部又は全部を製造するステップと、(4)前記犠牲層の一部又は全部を選択的に除去するステップと、(5)前記転写層を転写中間媒介体に転写するステップと、を含む。
【0024】
前記ステップ2の前に前記ハンドリング基板の上面に前記多数個の柱構造との接着を強化するための接着補強層を形成するステップを更に行う。
【0025】
前記犠牲層は、前記転写層を前記ハンドリング基板及び前記多数個の柱構造と接着力を有する。
【0026】
前記多数個の柱構造は、前記転写層と化学的結合が可能な物質である。
【0027】
前記ステップ5において、前記転写層の転写中間媒介体への転写は前記犠牲層による前記転写層と前記ハンドリング基板又は前記多数個の柱構造間の接着の分離、又は前記多数個の柱構造の切断、又は前記ハンドリング基板と前記多数個の柱構造間の接着の分離によることである。
【発明の効果】
【0028】
本発明のよると、ハンドリグ基板の上に柱構造を形成して転写層とハンドリング基板を接着/分離するため高い整列度と転写歩留まりを具現することができる。このような柱構造は転写層の下面に凹構造を形成するため、転写層を構造的に拘束する。犠牲層を除去するための工程を行っても構造的に一部が残留して接着剤としての役割をするか、柱構造と転写層が化学的に結合されて転写層を正位置に拘束するようになる。また、犠牲層が除去されてもハンドリング基板と高分子が完全に密着されないため、結合力が弱くなって転写が容易である。水溶性高分子を利用した犠牲層は水のように他のエッチング液に比べ緩和された条件で素子工程を行うことができ、他の様々な犠牲層物質の場合、素子工程の前に予め除去して素子損傷の可能性を除去してもよい。柱構造は多様な物質で製作することができ、高さ、模様、厚さなど多様な要素を組み合わせて結合力を調節してもよい。また、多様な種類のハンドリング基板の上に容易に柱構造を形成することができるため、ハンドリング基板の種類に制限されない。これはハンドリング基板自体をエッチングして支持体を作る方式とは異なって、ハンドリング基板の上に柱構造を形成するため方法的な面でコストが少なく簡単な工程で形成することができる。それだけでなく、従来の方法とは異なってエッチング溶液及び熱のような素子に損傷を誘発し得る要素を未然に除去することができ、エッチング時間が長くて柱構造を介して超薄膜基板とハンドリング基板との間に一定の結合力を維持して高い転写歩留まりと整列度を有するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の好ましい実施例による転写プリント用基板を概略的に示す図である。
図2a】本発明の好ましい実施例による転写プリント用基板の製造方法及び転写プリント方法を説明する図である。
図2b】本発明の好ましい実施例による転写プリント用基板の製造方法及び転写プリント方法を説明する図である。
図2c】本発明の好ましい実施例による転写プリント用基板の製造方法及び転写プリント方法を説明する図である。
図2d】本発明の好ましい実施例による転写プリント用基板の製造方法及び転写プリント方法を説明する図である。
図2e】本発明の好ましい実施例による転写プリント用基板の製造方法及び転写プリント方法を説明する図である。
図2f】本発明の好ましい実施例による転写プリント用基板の製造方法及び転写プリント方法を説明する図である。
図3】本発明の転写プリント方法における犠牲層の塗布量による整列度(AD)と転写歩留まり(TY)を示す図である。
図4】本発明の転写プリント方法における犠牲層を除去するためのエッチング時間による整列度と転写歩留まりを示すグラフである。
図5】本発明の転写プリント方法におけるローラーを利用してテープ(転写中間媒介体)に転写プリントが行われる過程を示す図である。
図6】本発明の転写プリント方法における10μgの高さで形成された柱構造を利用する場合の転写過程を示す図である。
図7】本発明の転写プリント方法を利用して多様な模様を有する転写層を多様な形態と種類の表面に転写した例を示す図である。
図8】本発明の転写プリント方法における転写層としてOLED素子を適用した製造過程を図である。
図9】本発明の転写プリント方法によって半導体素子を転写プリントする過程を図である。
図10】本発明の転写プリント方法によって実施した複数の転写プリントの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい一実施例を詳細に説明する。本発明の好ましい一実施例を説明するに当たって、関連する公知機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明確にする恐れがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0031】
先に簡略に説明すると、本発明では例としてシリコーンウェハのようなハンドリング基板の上に例としてスピンコーティングを利用して高分子をコーティングした後、フォトリソグラフィ工程を介して多数個の柱構造を形成する。この際、ハンドリング基板と高分子柱構造の結合力を高めるために高分子をフィルム状にコーティングしてからその上に柱構造を形成してもよい。多数個の柱構造が形成されたハンドリング基板の上面に例としてスプレーコーティング、スピンコーティングなど多様な方法を介して犠牲層を塗布する。このような犠牲層は、柱構造の高さが低い場合には柱構造を含むハンドリング基板の全体面を覆うように塗布される。柱構造の高さが高い場合には、柱構造の上部が露出されるようにハンドリング基板に塗布される。この際、犠牲層がハンドリング基板の上面と柱構造の下層部にのみ塗布されて柱構造の上部は犠牲層のない部分として残る。このような差は、その上に形成される転写層との結合と転写のための分離に他の方法が適用され、方式ごとに異なる原理で整列度と転写歩留まりを調節することができる。例えば、低い柱構造の場合、構造的な高速によって柱構造の上面又は周辺に残余犠牲層が存在して接着剤の役割をする。それとは異なって、高い柱構造の場合には柱構造上部の露出された部位が転写層と化学的結合を成す。両者ともに殆ど100%に達する整列度と転写歩留まりが得られる。低い柱構造の場合には転写の際に犠牲層による前記転写層と前記ハンドリング基板又は前記多数個の柱構造間の接着の分離によって転写が行われ、高い柱構造の場合には化学的結合を成している柱構造の切断(切れ)によって転写が行われる。転写層は柱構造が形成されたハンドリング基板によって指示された状態で製造過程が行われる。例えば、積層、フォトリソグラフィ、エッチングなどのような半導体装置の製造過程が行われる。また、場合によっては転写層が有機・無機ディスプレー素子、太陽電池などのような素子である場合、素子の構成要素が犠牲層を除去する際に損傷されることを防止するために転写層の基板を形成してから犠牲層を除去した状態で素子構成要素を形成する過程を行ってもよい。
【0032】
図1の(a)及び(b)は、本発明の好ましい実施例による転写プリント用基板を概略的に示す図である。
【0033】
図面を参照すると、本発明の転写プリント用基板1はハンドリング基板11及び多数個の柱構造121,122を含む。また、本発明の転写プリント用基板1は犠牲層13を含む。
【0034】
ハンドリング基板11は例えばシリコーンウェハを含み、その上に形成される柱構造121,122と接着し得る物質で形成された通常の基板である。好ましくは、ハンドリング基板11は上面層に柱構造121,122との接着を補強するための接着補強層(図示せず)を含むものである。このような接着補強層は例えば高分子物質であって、ハンドリング基板11の上に塗布されたものであってもよい。
【0035】
ハンドリング基板11の上面に形成された多数個の柱構造121,122は、例えばSU−8のような感光性高分子物質である。このような物質は、フォトリソグラフィ工程のように相対的に簡単な過程を介して柱構造121,122を形成する。多数個の柱構造121,122の形状に特に制約はないが、図示したように平断面形状が十字状のような形態を有する際、後に形成される転写層21との接触面積を相対的に広くする効果を有する。
【0036】
本発明に採用される多数個の柱構造121,122は、柱構造の高さによる、又は多数個の柱構造121,122とその上に形成される転写層21との結合方式による2つの例を有する。例えば、1つ目の例は多数個の柱構造121,122の高さが低くて犠牲層13がハンドリング基板11と多数個の柱構造121,122を全て覆うように形成されることである。2つ目の例は、多数個の柱構造121,122の高さが相対的に高くてハンドリング基板11の上に塗布される犠牲層13が多数個の柱構造121,122の上部を露出するように形成されることである。このような本発明における2つの例の場合に応じて柱構造121,122間の配置間隔及び塗布される犠牲層13の高さ(厚さ)を調節すると、100%に近い整列度及び転写歩留まりを達成することができる。
【0037】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施例による転写プリント用基板の製造方法及び転写プリント方法を詳細に説明する。
【0038】
図2a乃至図2eは、本発明の好ましい実施例による転写プリント用基板の製造方法及び転写プリント方法を説明する図である。図面において左側は斜視図であり、右側は実際に製作された基板を電子顕微鏡で撮影した写真である。特に、右側の電子顕微鏡で撮影した写真では多数個の柱構造121,122の高さが2種類であり、それらはそれぞれ本発明の製造方法の2つの実施例を示す。
【0039】
図面を参照すると、本発明の転写プリント用基板を製造する方法は、図2aのようにハンドリング基板11の上面に多数個の柱構造121,122を形成するステップを含む。
【0040】
例えば、シリコーンウェハのようなハンドリング基板11にSU−8のような感光性高分子物質を塗布した後、フォトリソグラフィ工程を介して多数個の柱構造121,122を形成する。上述したように、多数個の柱構造121,122は後に形成される転写層21との接着方式に応じて異なる高さを有する。即ち、犠牲層13を介して多数個の柱構造121と転写層21が結合される場合には柱構造121が相対的に低い高さを有し、柱構造122が転写層21と化学的に結合する場合には相対的に高い高さを有する。本発明の実施例では多数個の柱構造121,122をそれぞれ2μgと10μgの高さで形成した。
【0041】
次に、図2bに示すように、ハンドリング基板11の上に犠牲層13を形成する。犠牲層13のための物質としては、例えば高分子物質である2%デキストランを適用しており、それは例としてスプレーコーティング又はスピンコーティングのような方式で塗布される。
【0042】
犠牲層13としては有機又は無機物質を使用する。例えば、有機物の場合にはキストラン、PAA(Polyacrylic acid),PMMA(Polymethyl methacrylate),ポリスチレン(Polystyrene)などを使用してもよく、それはスピンコーティング、スプレーコーティングで塗布してもよい。無機物の場合にはニッケル、銅、クロム、アルミニウムなどを使用してもよく、それは電子ビーム蒸着、スパッタリング蒸着、熱蒸着などで形成してもよい。
【0043】
図2bの電子顕微鏡で撮影した写真において、左側のように多数個の柱構造121が2μgのように低い高さを有する場合には犠牲層13がハンドリング基板11と多数個の柱構造121を含む全体面を覆っている状態になる。
【0044】
図2bの電子顕微鏡で撮影した写真の右側のように、多数個の柱構造122が10μgのように高い高さを有する場合には犠牲層13が多数個の柱構造122の上部を部分的に露出するようにハンドリング基板11の上に塗布される。
【0045】
上述した犠牲層13として利用される物質は高分子物質であって、少なくとも後に形成される転写層21及び多数個の柱構造121,122と接着力を有する物質である。もちろん、犠牲層13はハンドリング基板11とも接着力を有する。また、犠牲層13として利用される物質はハンドリング基板11、多数個の柱構造121,122及び転写層21に対して選択的に除去される物質である。
【0046】
次に、図2cのように犠牲層13の上面に転写層21を形成する。転写層21は微細半導体装置のように多層構造を成すものであってもよく、本ステップでは転写層21の全ての層が形成されるか転写層の基板のような一部分が形成されるものであってもよい。
【0047】
図2cの写真は、犠牲層13の上に500μgX500μgサイズの超薄膜基板が積層されていることを示している。これは、例えば感光性高分子物質であるSU−8をフォトリソグラフィ工程を介して形成する。電子顕微鏡を利用して得た切断面の写真は、それぞれ多数個の柱構造121,122が転写層21の超薄膜基板の内側に差し込まれている様子を示す。これは、次のステップで犠牲層13を除去した後、ハンドリング基板11の上に転写層21である超薄膜基板が浮遊するか元の位置を失わないようにする。
【0048】
図2dのように犠牲層13の一部又は全部を選択的に除去する。例えば、デキストランエッチング溶液である3次蒸留水を利用して50℃の温度で犠牲層13を除去しており、写真から犠牲層13が除去された後でも転写層21が固定されていることが確認される。
【0049】
これは、2μgのように低い高さを有する柱構造121の場合、犠牲層13の一部分が残留して転写層21を接着させる。これは構造的な高速であって、主に多数個の柱構造121によって転写層21の底面に凹部位が形成されるため、その近くで完全に除去されずに犠牲層の一部分が残留しながら接着要素の役割をするのである。
【0050】
また、10μgのように高い高さを有する柱構造の場合、犠牲層13の外部に露出された柱構造122の上部部位が転写層21の超薄膜基板と化学的結合を成す。例えば、多数個の柱構造121,122として利用されたSU−8と転写層21の超薄膜基板として利用されたSU−8が化学的に結合する。このような化学的結合の場合、犠牲層13を除去するためのエッチング時間に関係なく一定の結合力が作られる。
【0051】
犠牲層13の除去時点は転写層21の構成要素の成分に応じて選択される。例えば、犠牲層13を転写層21、多数個の柱構造121,122及びハンドリング基板11に対して選択的に除去する時点であってもよい。
【0052】
次に、図2eと図2fの写真のように、ローリング方法を介して100%の整列度と転写歩留まりを維持した状態でテープ(転写中間媒介体)に転写される。
【0053】
多数個の柱構造121が2μgである場合には残余犠牲層部位が接着分離されながら転写が行われ、10μgである場合には多数個の柱構造122が切断されながら転写が行われる。
【0054】
図3の(a)及び(b)は、2μgの高さを有する柱構造の上での犠牲層13の塗布量による整列度(AD)と転写歩留まり(TY)を示す。犠牲層13として2%デキストランを十字状の柱構造の上に多様な厚さでスプレーコーティング法を利用して塗布した。ハンドリング基板11の上に0.09mg/cm以下(I,II)の量を塗布した場合、柱構造及びハンドリング基板の表面に塗布されていない部分が超薄膜基板と直接接触して強い結合力を示すため、整列度は高いが転写歩留まりは低くなる。逆に0.2mg/cmの量(IV)を塗布した場合、ハンドリング基板11及び多数個の柱構造121を厚すぎる厚さで覆うようになって多数個の柱構造121の役割を制限するため、転写歩留まりは高いが整列度は低くなる。実施例で100%の整列度と転写歩留まりは0.122〜0.177mg/cmの量(III)を塗布した場合に得られた。この場合、犠牲層13が除去されながら柱構造に残った残余犠牲層が結合力を維持するためである。
【0055】
図4は、本発明で犠牲層13を除去するためのエッチング時間による整列度と転写歩留まりを示すグラフである。柱構造の高さはそれぞれ2μgと10μgで形成し、間隔は20〜90μgで多様に形成した。犠牲層であるデキストランは、以前の実験で確認した0.122〜0.177mg/cmの量で塗布した。高さが低い柱構造の場合、エッチング時間によって整列度が次第に低くなって間隔が広いほど変化程度が大きくなる。逆に転写歩留まりは増加した。100%の整列度と転写歩留まりは20μgの間隔を有する柱構造で得られた。柱構造の高さは高くない場合、整列度は柱構造の化学的結合によって一定に維持されて間隔とは関係なくエッチング時間に応じて100%を維持したが、転写歩留まりはエッチング時間が短いほど落ちており、柱構造の間隔が狭いほど変化率が大きい。100%の転写歩留まりは、各間隔の多様なエッチング時間で確認された。
【0056】
図5の(a)乃至(c)は、ローラーを利用してテープ(転写中間媒介体)に転写プリントされる過程を示す図である。それぞれ2μgと10μgで形成された柱構造を利用する場合、上述したように残余犠牲層による接着力と多数個の柱構造122と転写層21の超薄膜基板間の化学的結合力を利用した互いに異なる原理を利用して転写される。2μg高さの柱構造121は転写後にもハンドリング基板の上で元の構造を維持しており、テープに転写された転写層21は柱構造121の凹んだ形態と内側から残余犠牲層が確認される(図5の(b)及び(c)の左側を参照)。10μg高さの柱構造の場合、ハンドリング基板11から途切れた柱構造122が確認され、テープに転写された転写層21は超薄膜基板の表面から途切れた柱構造122が差し込まれている様子が見られる(図5の(b)及び(c)の右側を参照)。
【0057】
図6の(a)乃至(d)は、10μg高さで形成された柱構造122を利用する場合、転写過程が柱構造122の切れ又は分離を介して行われることを示す。ハンドリング基板11と多数個の柱構造121,122を直接結合させた場合、転写過程が柱構造122の切断や柱構造122がハンドリング基板11から分離されながら行われる(図6の(a)及び(b)を参照)。他には、ハンドリング基板11の上に柱構造122を形成する前にハンドリング基板11の上に接着補強層として高分子物質を塗布してから多数個の柱構造121,122を形成すると、ハンドリング基板11と柱構造122との間の結合力が強化されて柱構造122の切れ現象でのみ転写過程が行われる(図6の(c)及び(d)を参照)。
【0058】
図7の(a)乃至(d)は、本発明の転写プリント方法を利用して多様な模様(500μgX500μgの四角形、数字、文字など)を有する転写層21を非平面状のガラスボトルの表面、靴、人体の皮膚、紙のような多様な形態と種類の表面に転写し得ることを示す。これは有機・無機ディスプレー、太陽電池のように多様な素子を超薄膜基板の上に製作する場合、多様な機能を有するステッカ状の超薄膜柔軟性素子が作られることを示す。
【0059】
図8の(a)乃至(f)は本発明の転写プリント方法の実施例であって、転写層21としてOLED素子を製造する過程を示す図である。
【0060】
図8の(a)のように、まずハンドリング基板11の上に接着補強層として高分子物質であるSU−8を塗布し、その上に同じ物質であるSU−8を利用して多数個の柱構造121,122を形成した。図8の(b)のように、多数個の柱構造121,122が形成されたハンドリング基板11の上面にデキストランをスプレーコーティングを利用して塗布して犠牲層13を形成した。多数個の柱構造121,122の高さと犠牲層の塗布量は、上述したように望みの条件に合わせて調節してもよい。次に、図8の(c)のように転写層21の一部である超薄膜基板を多数個の柱構造121,122と犠牲層13が形成されたハンドリング基板11の上面に形成した。例えば、超薄膜基板としてSU−8をスピンコーティング方法で塗布し、フォトリソグラフィ工程を介して望みの模様で形成した。図8の(d)のように、電極物質であるITO(150nm)をスパッタリング装備で蒸着し、犠牲層13に合うエッチング溶液である50℃温度の3次蒸留水を利用して犠牲層13を除去することで素子損傷の可能性がある湿式エッチング工程を先に行った。次に、図8の(e)のように残りの素子工程を行った。例えば、OLEDの正孔伝達層、活性層、電子伝達層(NPD:40nm、Alq3:50nm、LiF:2nm)とアルミニウム電極(100nm)を蒸着した。このように転写層21の製造が完了されると、図8の(f)のように多様な表面に転写プリントを行った。
【0061】
図9の(a)乃至(d)は、シリコーンハンドリング基板11の上に2μg高さの多数個の柱構造121、122を20μg間隔で形成した後で転写層である素子工程が完了された写真を示す。図9の(a)に示した転写顕微鏡を利用した切断面の写真は各構造及び物質の蒸着を介して作られた素子を示し、全体の厚さが13μgである超薄膜状である。これはロール・トゥ・ロール過程の例であって、ローラーにテープを固定してからサンプルの上に直接ローリングをして転写することができ、作られた素子は高い柔軟性を有する(図9の(b)乃至(d)を参照)。
【0062】
図10の(a)乃至(d)は、本発明を利用して100μgの間隔を有する10μgの高さの多数個の柱構造121,122を形成してその上にディスプレーした一例であって、OLEDを形成してから平らなガラス基板、曲面を有するガラスボトル、カレンダー、時計バンドのように多様な種類の表面と物質、そして非平面構造を有する基板に転写してから駆動を確認した。転写可能な超薄膜基板の上に作られた素子は、薄いテープ又は両面テープに転写して多用な表面に直接付着して作動可能であることが確認された。
【0063】
以上、本発明の詳細な説明では具体的な実施例について説明したが、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で多様な変形が可能であることは該当分野における通常の知識を有する者にとって自明であるといえる。
【符号の説明】
【0064】
11:ハンドリング基板
13:犠牲層
21:転写層
121,122:多数個の柱構造
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10