特許第5938397号(P5938397)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5938397有機光電子素子用化合物、これを含む有機発光ダイオードおよび前記有機発光ダイオードを含む表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938397
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】有機光電子素子用化合物、これを含む有機発光ダイオードおよび前記有機発光ダイオードを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20160609BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20160609BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20160609BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20160609BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20160609BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20160609BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20160609BHJP
   C07D 421/14 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   H05B33/22 B
   H05B33/14 B
   C09K11/06 640
   C09K11/06 645
   C09K11/06 650
   C09K11/06 655
   C07D401/14CSP
   C07D403/14
   C07D413/14
   C07D409/14
   C07D405/14
   C07D421/14
【請求項の数】12
【全頁数】74
(21)【出願番号】特願2013-508986(P2013-508986)
(86)(22)【出願日】2011年4月29日
(65)【公表番号】特表2013-533604(P2013-533604A)
(43)【公表日】2013年8月22日
(86)【国際出願番号】KR2011003235
(87)【国際公開番号】WO2011139055
(87)【国際公開日】20111110
【審査請求日】2014年3月7日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0106077
(32)【優先日】2010年10月28日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2010-0041466
(32)【優先日】2010年5月3日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500005066
【氏名又は名称】チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒュン−サン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,イン−サン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ミ−ヤン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ホ−ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ミン,ス−ヒュン
【審査官】 大竹 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/044342(WO,A1)
【文献】 特開2010−114180(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/132683(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/132684(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/081061(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式3、6〜29、37〜47、52、54のうちのいずれか一つで表される、有機光電子素子用化合物。
【化1A】
【化1B】
【化1C】
【化1D】
【化1E】
【化1F】
【化1G】
【請求項2】
下記化学式A−〜A−5、A−8〜A−9、A−12〜A−13、A−15〜A−16、A−21〜A−26のうちのいずれか一つで表される、有機光電子素子用化合物。
【化2A】
【化2B】
【化2C】
【請求項3】
下記化学式B−3〜B−8、B−12〜B−17、B−19〜B−22のうちのいずれか一つで表される、有機光電子素子用化合物。
【化3A】
【化3B】
【請求項4】
記化学式C−7〜C−8、C−10〜C−11、C−13、C−15〜C−18のうちのいずれか一つで表される、有機光電子素子用化合物。
【化4A】
【化4B】
【請求項5】
前記有機光電子素子は、有機光電素子、有機発光ダイオード、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機感光体ドラムおよび有機メモリ素子からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機光電子素子用化合物。
【請求項6】
陽極、陰極および前記陽極と陰極との間に配置される少なくとも一層以上の有機薄膜層を含む有機発光ダイオードにおいて、
前記有機薄膜層のうちの少なくとも一層は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機光電子素子用化合物を含む、有機発光ダイオード。
【請求項7】
前記有機薄膜層は、発光層、正孔輸送層(HTL)、正孔注入層(HIL)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、正孔阻止層およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項に記載の有機発光ダイオード。
【請求項8】
前記有機光電子素子用化合物は、電子輸送層(ETL)または電子注入層(EIL)内に含まれる、請求項に記載の有機発光ダイオード。
【請求項9】
前記有機光電子素子用化合物は、発光層内に含まれる、請求項に記載の有機発光ダイオード。
【請求項10】
前記有機光電子素子用化合物は、発光層内に燐光または蛍光ホスト材料として使用される、請求項に記載の有機発光ダイオード。
【請求項11】
前記有機光電子素子用化合物は、発光層内に蛍光青色ドーパント材料として使用される、請求項に記載の有機発光ダイオード。
【請求項12】
請求項に記載の有機発光ダイオードを含む、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿命、効率、電気化学的安定性および熱的安定性に優れた有機発光ダイオードを提供することができる有機光電子素子用化合物、これを含む有機発光ダイオードおよび前記有機発光ダイオードを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光電子素子(organic optoelectronic device)は、正孔または電子を利用した電極と有機材料との間での電荷交換を必要とする素子である。
【0003】
有機光電子素子は動作原理に応じて次のように分けることができる。第一の有機光電子素子は、外部の光源からの光子により有機材料層でエキシトン(exciton)が生成し、このエキシトンが電子と正孔に分離され、そしてこの電子と正孔が互いに異なる電極に電流源(電圧源)として移動することによって駆動される電子素子である。
【0004】
第二の有機光電子素子は、少なくとも2つの電極に電圧または電流を加えて前記電極の界面に位置する有機材料半導体に正孔または電子を注入し、そして注入された電子および正孔により素子が駆動される電子素子である。
【0005】
有機光電子素子の例としては、有機光電素子、有機発光ダイオード、有機太陽電池、有機感光体ドラム(organic photo conductor drum)、有機トランジスタなどがあり、これらは正孔注入材料もしくは正孔輸送材料、電子注入材料もしくは電子輸送材料、または発光材料を必要とする。
【0006】
有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)は、近年、平板ディスプレイ(flat panel display)の需要が増加することに伴って注目されている。一般に有機発光とは、有機物質を利用して電気エネルギーを光エネルギーに変換させることをいう。
【0007】
このような有機発光ダイオードは、有機発光材料に電流を加えて電気エネルギーを光に変換させる素子であって、陽極(anode)と陰極(cathode)との間に機能性有機材料層が挿入された構造を有する。前記有機材料層は、有機発光ダイオードの効率および安全性を高めるために、それぞれ異なる材料を含む多層、例えば、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)などを含む。
【0008】
このような有機発光ダイオードにおいて、陽極と陰極との間に電圧をかけると、陽極からは正孔(hole)が、陰極からは電子(electron)が有機材料層に注入され、注入された正孔と電子が会って再結合(recombination)によりエネルギーの高い励起子を生成する。生成した励起子が基底状態(ground state)に移動しながら特定の波長を有する光を生成する。
【0009】
最近は、蛍光発光材料のみならず、燐光発光材料も有機発光ダイオードの発光材料として使用され得ることが知られるようになった。このような燐光材料は基底状態(ground state)から励起状態(excited state)に電子が遷移した後、項間交差(intersystem crossing)を通じて一重項励起子が三重項励起子に無輻射遷移した後、三重項励起子が基底状態に遷移して発光するメカニズムによって発光する。
【0010】
前記のように有機発光ダイオードにおいて有機材料層は、発光材料および電荷輸送材料、例えば正孔注入材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、電子注入材料などを含む。
【0011】
また、発光材料は、発光色に応じて青色、緑色、および赤色発光材料とさらに改善された天然色に近い色を発光させるための黄色および橙色発光材料とに分類される。
【0012】
一方、発光材料として一つの材料のみを使用する場合、分子間相互作用により最大発光波長が長波長側に移動したり、色純度が落ちる、または発光クエンチング効果により素子の効率が低下する。したがって、色純度を改善し、エネルギー移動を通じて発光効率および安定性を増加させるために、発光材料としてホスト/ドーパント系を使用しても良い。
【0013】
有機発光ダイオードが前述した優れた特徴を十分に発揮するためには、有機材料層を構成する材料、例えば正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料、ホストおよび/またはドーパントなどの発光材料が安定であり且つ良好な効率を有する必要がある。しかしながら、現在まで有機発光ダイオード用の有機材料層を形成する材料の開発がまだ十分ではなく、したがって新たな材料が要求されている。このような材料開発は前述した他の有機発光ダイオードでも同様に要求されている。
【0014】
また、低分子有機発光ダイオードは、真空蒸着法により薄膜形態に素子を製造するため、効率および寿命性能が良く、高分子有機発光ダイオードは、インクジェット(Inkjet)またはスピンコーティング(spin coating)法を用いて初期投資費用が少なく、大面積化に有利な長所がある。
【0015】
低分子有機発光ダイオードおよび高分子有機発光ダイオードは共に自体発光、高速応答、広視野角、超薄型、高画質、耐久性、広い駆動温度範囲などの長所を持っていて次世代ディスプレイとして注目を浴びつつある。特に既存のLCD(liquid crystal displayay)と比較して自体発光型であることから、暗いところや外部の光が入っても視認性が良く、バックライトが必要ないため、LCDの1/3水準に厚さおよび重量を減少させることができる。
【0016】
また、応答速度がLCDに比べて1000倍以上速いマイクロ秒単位であるため、残像がない完璧な動画を実現することができる。したがって、最近、本格的なマルチメディア時代に合わせて最適のディスプレイとして脚光を浴びることと期待され、このような長所を土台に1980年代後半に最初に開発されて以降、効率80倍、寿命100倍以上に達する急激な技術発展をなしてきており、最近は40インチ有機発光ダイオードパネルが発表されるなど大型化が急速に進行されている。
【0017】
大型化のためには、発光効率の増大および素子の寿命向上が伴わなければならない。この時、素子の発光効率は発光層内の正孔と電子の結合が円滑に行われなければならない。しかし、一般に有機材料の電子移動度は正孔移動度に比べて遅いため、発光層内の正孔と電子の結合が効率的に行われるためには、効率的な電子輸送層(ETL)を用いて陰極からの電子注入および移動度を高めると同時に、正孔の移動を阻止可能でなければならない。
【0018】
また、寿命向上のためには、素子の駆動時に発生するジュール熱(Joule heat)により材料が結晶化されることを防止しなければならない。したがって、電子の注入および移動性に優れ、電気化学的安定性の高い有機化合物に対する開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の例示的な実施形態は、発光、または電子注入および輸送の役割を果たすことができ、適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割を果たすことができる有機光電子素子用化合物を提供する。
【0020】
また、本発明の他の実施形態は、寿命、効率、駆動電圧、電気化学的安定性および熱的安定性に優れた有機発光ダイオードを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一実施形態によれば、下記化学式1で表される有機光電子素子用化合物を提供する。
【0022】
【化1】
【0023】
前記化学式1中、XおよびXは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、−NR’−、−O−、−Se−、−P−および−S−からなる群より選択され、前記R’は、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R〜Rは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R〜RまたはR’のうちの少なくともいずれか一つは、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基である。
【0024】
前記有機光電子素子用化合物は、下記化学式2で表されてもよい。
【0025】
【化2】
【0026】
前記化学式2中、XおよびXは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、−NR’−、−O−、−Se−、−P−および−S−からなる群より選択され、前記R’は、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R〜Rは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R〜RまたはR’のうちの少なくともいずれか一つは、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基である。
【0027】
前記Xは、−NR’−であってもよい。
【0028】
前記R’は、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され得る。
【0029】
前記R’は、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基であってもよい。
【0030】
は、−NR’−であり、前記R’は、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基であり、前記R〜Rは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基および置換または非置換のC6〜C30アリール基からなる群より選択され得る。
【0031】
前記電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基は、置換または非置換のイミダゾリル基、置換または非置換のトリアゾリル基、置換または非置換のテトラゾリル基、置換または非置換のオキサジアゾリル基、置換または非置換のオキサトリアゾリル基、置換または非置換のチアトリアゾリル基、置換または非置換のベンズイミダゾリル基、置換または非置換のベンゾトリアゾリル基、置換または非置換のピリジニル基、置換または非置換のピリミジニル基、置換または非置換のトリアジニル基、置換または非置換のピラジニル基、置換または非置換のピリダジニル基、置換または非置換のフリニル基、置換または非置換のキノリニル基、置換または非置換のイソキノリニル基、置換または非置換のフタラジニル基、置換または非置換のナフピリジニル基、置換または非置換のキノキサリニル基、置換または非置換のキナゾリニル基、置換または非置換のアクリジニル基、置換または非置換のフェナントロリニル基および置換または非置換のフェナジニル基からなる群より選択され得る。
【0032】
本発明の他の実施形態によれば、下記化学式3〜54のうちのいずれか一つで表される有機光電子素子用化合物を提供する。
【0033】
【化3】
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】
【化6】
【0037】
【化7】
【0038】
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】
前記有機光電子素子用化合物は、下記化学式AまたはA−1で表されてもよい。
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】
【0043】
前記化学式AおよびA−1中、XおよびXは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、−NR’−、−O−、−Se−、−P−および−S−からなる群より選択され、前記R’は、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R〜Rは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R〜RまたはR’のうちの少なくともいずれか一つは、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基である。
【0044】
前記XまたはXのうちの少なくとも一つは、−NR’−であり、前記R’は、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基であり、前記R〜Rは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基および置換または非置換のC6〜C30アリール基からなる群より選択さてもよい。
【0045】
前記XまたはXのうちの少なくとも一つは、−NR’−であり、前記R’は、置換または非置換のトリフェニレニル基であってもよい。
【0046】
前記電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基は、置換または非置換のイミダゾリル基、置換または非置換のトリアゾリル基、置換または非置換のテトラゾリル基、置換または非置換のオキサジアゾリル基、置換または非置換のオキサトリアゾリル基、置換または非置換のチアトリアゾリル基、置換または非置換のベンズイミダゾリル基、置換または非置換のベンゾトリアゾリル基、置換または非置換のピリジニル基、置換または非置換のピリミジニル基、置換または非置換のトリアジニル基、置換または非置換のピラジニル基、置換または非置換のピリダジニル基、置換または非置換のフリニル基、置換または非置換のキノリニル基、置換または非置換のイソキノリニル基、置換または非置換のフタラジニル基、置換または非置換のナフピリジニル基、置換または非置換のキノキサリニル基、置換または非置換のキナゾリニル基、置換または非置換のアクリジニル基、置換または非置換のフェナントロリニル基および置換または非置換のフェナジニル基からなる群より選択され得る。
【0047】
前記有機光電子素子用化合物は、下記化学式Bで表されてもよい。
【0048】
【化12】
【0049】
前記化学式B中、Xは、−O−、−Se−、−P−および−S−からなる群より選択され、R〜Rは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され、Arは、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基であり、Lは、単一結合、置換または非置換のC2〜C10アルケニレン基、置換または非置換のC2〜C10アルキニレン基、置換または非置換のC6〜C30アリーレン基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリーレン基からなる群より選択され、nは、0〜2のうちのいずれか一つの整数である。
【0050】
前記有機光電子素子用化合物は、下記化学式B−1またはB−2で表されてもよい。
【0051】
【化13】
【0052】
【化14】
【0053】
前記化学式B−1およびB−2中、Xは、−O−、−Se−、−P−および−S−からなる群より選択され、R〜Rは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され、Arは、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基であり、Lは、単一結合、置換または非置換のC2〜C10アルケニレン基、置換または非置換のC2〜C10アルキニレン基、置換または非置換のC6〜C30アリーレン基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリーレン基からなる群より選択され、nは0〜2のうちのいずれか一つの整数である。
【0054】
前記電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基は、置換または非置換のイミダゾリル基、置換または非置換のトリアゾリル基、置換または非置換のテトラゾリル基、置換または非置換のオキサジアゾリル基、置換または非置換のオキサトリアゾリル基、置換または非置換のチアトリアゾリル基、置換または非置換のベンズイミダゾリル基、置換または非置換のベンゾトリアゾリル基、置換または非置換のピリジニル基、置換または非置換のピリミジニル基、置換または非置換のトリアジニル基、置換または非置換のピラジニル基、置換または非置換のピリダジニル基、置換または非置換のフリニル基、置換または非置換のキノリニル基、置換または非置換のイソキノリニル基、置換または非置換のフタラジニル基、置換または非置換のナフピリジニル基、置換または非置換のキノキサリニル基、置換または非置換のキナゾリニル基、置換または非置換のアクリジニル基、置換または非置換のフェナントロリニル基および置換または非置換のフェナジニル基からなる群より選択され得る。
【0055】
前記有機光電子素子用化合物は、下記化学式Cで表されてもよい。
【0056】
【化15】
【0057】
前記化学式C中、R〜RおよびArは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され、Arは、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基であり、Lは、単一結合、置換または非置換のC2〜C10アルケニレン基、置換または非置換のC2〜C10アルキニレン基、置換または非置換のC6〜C30アリーレン基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリーレン基からなる群より選択され、nは、1または2である。
【0058】
前記Arは、置換または非置換のトリフェニレニル基であってもよい。
【0059】
前記電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基は、置換または非置換のイミダゾリル基、置換または非置換のトリアゾリル基、置換または非置換のテトラゾリル基、置換または非置換のオキサジアゾリル基、置換または非置換のオキサトリアゾリル基、置換または非置換のチアトリアゾリル基、置換または非置換のベンズイミダゾリル基、置換または非置換のベンゾトリアゾリル基、置換または非置換のピリジニル基、置換または非置換のピリミジニル基、置換または非置換のトリアジニル基、置換または非置換のピラジニル基、置換または非置換のピリダジニル基、置換または非置換のフリニル基、置換または非置換のキノリニル基、置換または非置換のイソキノリニル基、置換または非置換のフタラジニル基、置換または非置換のナフピリジニル基、置換または非置換のキノキサリニル基、置換または非置換のキナゾリニル基、置換または非置換のアクリジニル基、置換または非置換のフェナントロリニル基および置換または非置換のフェナジニル基からなる群より選択され得る。
【0060】
前記有機光電子素子は、有機光電素子、有機発光ダイオード、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機感光体ドラムおよび有機メモリ素子からなる群より選択され得る。
【0061】
本発明の他の実施形態によれば、陽極、陰極および前記陽極と陰極との間に配置される少なくとも一層以上の有機薄膜層を含む有機発光ダイオードにおいて、前記有機薄膜層のうちの少なくとも一層は、前述した有機光電子素子用化合物を含む有機発光ダイオードを提供する。
【0062】
前記有機薄膜層は、発光層、正孔輸送層(HTL)、正孔注入層(HIL)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、正孔阻止層およびこれらの組み合わせからなる群より選択され得る。
【0063】
前記有機光電子素子用化合物は、電子輸送層(ETL)または電子注入層(EIL)内に含まれ得る。
【0064】
前記有機光電子素子用化合物は、発光層内に含まれ得る。
【0065】
前記有機光電子素子用化合物は、発光層内に燐光または蛍光ホスト材料として使用され得る。
【0066】
前記有機光電子素子用化合物は、発光層内に蛍光青色ドーパント材料として使用され得る。
【0067】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前述した有機発光ダイオードを含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0068】
本発明によれば、優れた電気化学的および熱的安定性により寿命特性に優れ、低い駆動電圧でも高い発光効率を有する有機発光ダイオードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】本発明の多様な実施形態による有機光電子素子用化合物を用いて製造され得る有機発光ダイオードを示す断面図である。
図2】本発明の多様な実施形態による有機光電子素子用化合物を用いて製造され得る有機発光ダイオードを示す断面図である。
図3】本発明の多様な実施形態による有機光電子素子用化合物を用いて製造され得る有機発光ダイオードを示す断面図である。
図4】本発明の多様な実施形態による有機光電子素子用化合物を用いて製造され得る有機発光ダイオードを示す断面図である。
図5】本発明の多様な実施形態による有機光電子素子用化合物を用いて製造され得る有機発光ダイオードを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下、本発明の例示的な実施形態を詳しく説明する。但し、これらの実施形態は単なる例示であり、これらによって本発明が制限されず、後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0071】
本明細書で「置換」の用語は、別途の定義がない限り、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換または非置換のC1〜C20アミン基、ニトロ基、置換または非置換のC3〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C1〜C10アルキルシリル基、C3〜C30シクロアルキル基、C6〜C30アリール基、C1〜C20アルコキシ基、フルオロ基、トリフルオロメチル基などのC1〜C10トリフルオロアルキル基、またはシアノ基で置換されたものを意味する。
【0072】
本明細書で「ヘテロ」の用語は、別途の定義がない限り、一つの作用基内にN、O、SおよびPからなる群より選択されるヘテロ原子を1〜3個含有し、残りは炭素であるものを意味する。
【0073】
本明細書で「これらの組み合わせ」の用語は、別途の定義がない限り、二つ以上の置換基が連結基で結合されていたり、二つ以上の置換基が縮合して結合されているものを意味する。
【0074】
本明細書で「アルキル(alkyl)」基の用語は、別途の定義がない限り、脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、二重結合または三重結合を含まない「飽和アルキル(saturated alkyl)」基であってもよい。
【0075】
アルキル基は、少なくとも一つのアルケニル基またはアルキニル基を含んでいる「不飽和アルキル(unsaturated alkyl)」基であってもよい。飽和や不飽和に関係なくアルキル基は分枝型、直鎖型または環状であってもよい。
【0076】
アルキル基は、C1〜C20アルキルであってもよい。アルキル基は、C1〜C10の中間サイズのアルキルであってもよい。アルキル基は、C1〜C6低級アルキルであってもよい。
【0077】
例えば、C1〜C4アルキル基は、アルキル鎖に1〜4個の炭素原子、つまり、アルキル鎖はメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルからなる群より選択されるものを意味する。
【0078】
例えば、アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などであってもよい。
【0079】
用語「芳香族基」は、環形態である作用基のすべての元素がp−オビタルを有しており、これらp−オビタルが共役(conjugation)を形成している作用基を意味する。具体的な例としてアリール基とヘテロアリール基がある。
【0080】
用語「アリール(aryl)」基は、モノサイクリックまたは融合環ポリサイクリック(つまり、炭素原子の隣接した対を分けて有する環)作用基を含む。
【0081】
用語「ヘテロアリール(heteroaryl)」基は、アリール基内にN、O、SおよびPからなる群より選択されるヘテロ原子を1〜3個含有し、残りは炭素であるものを意味する。前記ヘテロアリール基が融合環である場合、それぞれの環ごとに前記ヘテロ原子を1〜3個含むことができる。
【0082】
用語「スピロ(spiro)構造」は、一つの炭素を接続点として有している環構造を意味する。また、スピロ構造は、スピロ構造を含む化合物またはスピロ構造を含む置換基としても使用され得る。
【0083】
本明細書で正孔特性とは、HOMO準位に応じて電導特性を有して陽極で形成された正孔の発光層への注入および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0084】
また本明細書で電子特性とは、LUMO準位に応じて電導特性を有して陰極で形成された電子の発光層への注入および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0085】
本発明の一実施形態による有機光電子素子用化合物は、二つのカルバゾールまたはカルバゾール系誘導体が結合されたコア部分に置換基が選択的に結合された構造を有する。
【0086】
前記コアに結合された置換基のうちの少なくとも一つは、電子特性に優れた置換基であってもよい。
【0087】
したがって、前記化合物は、正孔特性に優れたカルバゾール構造に電子特性を補強して発光層で要求される条件を満たすことができる。より具体的に発光層のホスト材料として利用が可能である。
【0088】
また、前記有機光電子素子用化合物は、コア部分とコア部分に置換された置換基に多様な他の置換基を導入することによって多様なエネルギーバンドギャップを有する化合物になり得る。したがって、前記化合物は、電子注入層(EIL)および伝達層または正孔注入層(HIL)および伝達層としても利用が可能である。
【0089】
前記化合物の置換基に応じて適切なエネルギー準位を有する化合物を有機光電素子に使用することによって、電子伝達能力が強化されて効率および駆動電圧の面で優れた効果を有し、電気化学的および熱的安定性に優れて有機光電素子の駆動時に寿命特性を向上させることができる。
【0090】
このような本発明の一実施形態によれば、下記化学式1で表される有機光電子素子用化合物を提供する。
【0091】
本発明の一実施形態では、下記化学式1で表される有機光電子素子用化合物を提供する。
【0092】
【化16】
【0093】
前記化学式1中、XおよびXは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、−NR’−、−O−、−Se−、−P−および−S−からなる群より選択され得る。
【0094】
また、前記R’は、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され得る。
【0095】
つまり、前記化学式1で表される化合物は、バイポーラ(bi−polar)特性に優れたカルバゾールまたはカルバゾール系誘導体をコアとして有することができる。
【0096】
前記R〜Rは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R〜RまたはR’のうちの少なくともいずれか一つは、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基であってもよい。
【0097】
前記R〜RおよびR’の置換基のうちパイ結合が存在する置換基は、化合物全体のパイ共役長(π−conjugation length)を調節して三重項エネルギーバンドギャップを大きくすることによって、燐光ホストとして有機光電素子の発光層に非常に有用に適用され得るようにする役割を果たすことができる。
【0098】
また、前記置換基の適切な組み合わせにより熱的安定性または酸化に対する抵抗性に優れた構造の化合物を製造することができるようになる。
【0099】
置換基の適切な組み合わせにより非対称バイポーラ(bipolar)特性の構造を製造することができ、前記非対称バイポーラ特性の構造は正孔と電子伝達能力を向上させて素子の発光効率と性能向上を期待することができる。
【0100】
また、置換基の調節により化合物の構造をバルクに製造することができ、これによって結晶化度を低下させることができる。化合物の結晶化度が低下されると、素子の寿命が延長され得る。
【0101】
前述のように前記化合物の置換基のうちのいずれか一つは、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基であってもよい。
【0102】
前記電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基の具体的な例としては、置換または非置換のイミダゾリル基、置換または非置換のトリアゾリル基、置換または非置換のテトラゾリル基、置換または非置換のオキサジアゾリル基、置換または非置換のオキサトリアゾリル基、置換または非置換のチアトリアゾリル基、置換または非置換のベンズイミダゾリル基、置換または非置換のベンゾトリアゾリル基、置換または非置換のピリジニル基、置換または非置換のピリミジニル基、置換または非置換のトリアジニル基、置換または非置換のピラジニル基、置換または比置換されたピリダジニル基、置換または非置換のフリニル基、置換または非置換のキノリニル基、置換または非置換のイソキノリニル基、置換または非置換のフタラジニル基、置換または非置換のナフピリジニル基、置換または非置換のキノキサリニル基、置換または非置換のキナゾリニル基、置換または非置換のアクリジニル基、置換または非置換のフェナントロリニル基および置換または非置換のフェナジニル基などがある。
【0103】
前記化学式1で表される有機光電子素子用化合物は、下記化学式2で表されてもよい。
【0104】
【化17】
【0105】
つまり、コアであるカルバゾールまたはカルバゾール系誘導体の結合位置が前記化学式2のように結合されてもよい。前記結合位置はカルバゾールまたはカルバゾール系誘導体の反応性が良い位置のうちの一つで、化合物の合成時に利点があり得る。
【0106】
前記化学式1または2中、XおよびXは、前述したヘテロ原子であってもよく、互いに同一でも異なっていてもよい。より具体的には、XおよびXは共に−NR’−であってもよい。
【0107】
前記化学式1または2中、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基の結合位置は、Xが−NR’−である時、R’であってもよい。
【0108】
前記位置に結合する場合、エネルギーバンドの変化をもたらし得る化合物全体の共役長の変化を最小化しながら電子伝達/輸送特性を有する置換基を導入することができる長所がある。
【0109】
前記有機光電子素子用化合物は、下記化学式AまたはA−1で表されてもよい。
【0110】
【化18】
【0111】
【化19】
【0112】
前記化学式AおよびA−1中、XおよびXは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、−NR’−、−O−、−Se−、−P−および−S−からなる群より選択され、前記R’は、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R〜Rは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R〜RまたはR’のうちの少なくともいずれか一つは、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基である。
【0113】
前記構造は、前述した化学式1で表される有機光電子素子用化合物の構造で両カルバゾリル基の結合位置が互いに異なる構造である。このような構造の場合、分子構造をさらに非平面化させて共役長を限定させるため、バンドギャップおよび三重項エネルギーバンドギャップを向上させることができる長所がある。
【0114】
また、前記XまたはXのうちの少なくとも一つは、−NR’−であり、前記R’は、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基であり、前記R〜Rは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基および置換または非置換のC6〜C30アリール基からなる群より選択され得る。
【0115】
また、前記XまたはXのうちの少なくとも一つは、−NR’−であり、前記R’は、置換または非置換のトリフェニレニル基であってもよい。
【0116】
前記化合物でトリフェニレニル基は、バルクな構造を有し、共鳴効果(resonance effect)を発生させるため、固体状態で発生し得る副反応を抑制する効果を有して有機発光ダイオードの性能を増加させることができる。
【0117】
また、化合物をバルクに作って結晶化度を低下させ、寿命を増加させる効果を有することができる。
【0118】
前記トリフェニレニル基は、他の置換体とは異なってバンドギャップが広く、三重項励起エネルギーが大きいため、カルバゾールに結合して化合物のバンドギャップや三重項励起エネルギーを減らさないため、より大きい長所を有する。
【0119】
前記化学式AおよびA−1の具体的な置換基と関連した内容は、前述した化学式1と類似しているため省略する。
【0120】
前記有機光電子素子用化合物は、下記化学式Bで表されてもよい。
【0121】
【化20】
【0122】
前記化学式B中、Xは、−O−、−Se−、−P−および−S−からなる群より選択され、R〜Rは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され、Arは、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基であり、Lは、単一結合、置換または非置換のC2〜C10アルケニレン基、置換または非置換のC2〜C10アルキニレン基、置換または非置換のC6〜C30アリーレン基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリーレン基からなる群より選択され、nは、0〜2のうちのいずれか一つの整数である。
【0123】
前記化学式Bの構造は、前述した化学式1の構造で両カルバゾール系誘導体のうちのいずれか一つは、カルバゾールであり、他の一つは、カルバゾールを除いたカルバゾリル系誘導体である構造である。また、電子特性を有する置換基がカルバゾールのNに結合された構造である。このような構造の場合、物質の共役長の変化に影響を与えずに電子特性を有する置換基を導入することができる長所がある。
【0124】
前記有機光電子素子用化合物は、下記化学式B−1またはB−2で表されてもよい。
【0125】
【化21】
【0126】
【化22】
【0127】
前記化学式B−1およびB−2の構造は、前記化学式Bの構造で両カルバゾリル系誘導体の結合位置が限定されたものである。このようなコア構造の場合、適切なHOMOエネルギーを有することができるため、合成が容易な長所がある。
【0128】
その他の前記化学式B、B−1およびB−2の置換基に対する説明は、前述した化学式1の説明と類似するため省略する。
【0129】
前記有機光電子素子用化合物は、下記化学式Cで表されてもよい。
【0130】
【化23】
【0131】
前記化学式C中、R〜RおよびArは、互いに同一または異なるものであって、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC1〜C20アルキル基、置換または非置換のC6〜C30アリール基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基からなる群より選択され、Arは、電子特性を有する、置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリール基であり、Lは、単一結合、置換または非置換のC2〜C10アルケニレン基、置換または非置換のC2〜C10アルキニレン基、置換または非置換のC6〜C30アリーレン基および置換または非置換のC2〜C30ヘテロアリーレン基からなる群より選択され、nは、1または2である。
【0132】
前記化学式Cの構造は、前記化学式1の構造で両カルバゾール系誘導体をカルバゾールに限定し、その結合位置も限定した構造である。また、カルバゾールの窒素に連結基をおいて電子特性を有する置換基が結合された構造である。このような構造はLUMOのエネルギー分布をさらに非局在化させて電子特性を有する置換基の安定性を向上させ、LUMOのエネルギーバンドを低下させることができる長所がある。
【0133】
前記Arは、置換または非置換のトリフェニレニル基であってもよい。トリフェニレニル基に対する説明は前述と同一であるため省略する。
【0134】
また、その他の置換基に対する説明も前述した化学式1の説明と類似しているため省略する。
【0135】
前記有機光電子素子用化合物は、下記化学式3〜化学式54で表されるものを使用することができる。しかし、本発明が下記化合物に限定されない。
【0136】
【化24】
【0137】
【化25】
【0138】
【化26】
【0139】
【化27】
【0140】
【化28】
【0141】
【化29】
【0142】
【化30】
【0143】
前記有機光電子素子用化合物は、下記化学式A−2〜A−19、A−21、A−22、A−24またはA−2のうちのいずれか一つで表されてもよいが、これに限定されない。
【0144】
【化31】
【0145】
【化32】
【0146】
【化33】
【0147】
前記有機光電子素子用化合物は、下記化学式B−3〜B−22のうちのいずれか一つで表されてもよいが、これに限定されない。
【0148】
【化34】
【0149】
【化35】
【0150】
前記有機光電子素子用化合物は、下記化学式C−1〜C−18のうちのいずれか一つで表されてもよいが、これに限定されない。
【0151】
【化36】
【0152】
【化37】
【0153】
前記のような化合物を含む有機光電子素子用化合物は、ガラス転移温度が110℃以上であり、熱分解温度が400℃以上で、熱的安定性に優れている。これによって高効率の有機光電子素子の実現が可能である。
【0154】
このような化合物を含む有機光電子素子用化合物は、発光、または電子注入および/または輸送の役割を果たすことができ、適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割も果たすことができる。つまり、前記有機光電子素子用化合物は、燐光または蛍光のホスト材料、青色の発光ドーパント材料、または電子輸送材料として使用され得る。
【0155】
本発明の一実施形態による有機光電子素子用化合物は、有機薄膜層に使用されて有機光電子素子の寿命特性、効率特性、電気化学的安定性および熱的安定性を向上させ、駆動電圧を低下させることができる。
【0156】
これによって、本発明の一実施形態は、前記有機光電子素子用化合物を含む有機光電子素子を提供する。この時、前記有機光電子素子とは、有機光電素子、有機発光ダイオード、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機感光体ドラム、有機メモリ素子などを意味する。特に、有機太陽電池の場合には本発明の一実施形態による有機光電子素子用化合物が電極や電極バッファー層に含まれて量子効率を増加させ、有機トランジスタの場合にはゲート、ソース−ドレイン電極などで電極物質として使用され得る。
【0157】
以下、有機発光ダイオードについて具体的に説明する。
【0158】
本発明の他の一実施形態は、陽極、陰極および前記陽極と陰極との間に配置される少なくとも一層以上の有機薄膜層を含む有機発光ダイオードにおいて、前記有機薄膜層のうちの少なくとも一層は、本発明の一実施形態による有機光電子素子用化合物を含む有機発光ダイオードを提供する。
【0159】
前記有機光電子素子用化合物を含むことができる有機薄膜層としては、発光層、正孔輸送層(HTL)、正孔注入層(HIL)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、正孔阻止層およびこれらの組み合わせからなる群より選択される層を含むことができ、このうち少なくともいずれか一層は、本発明による有機光電子素子用化合物を含む。特に、電子輸送層または電子注入層に本発明の一実施形態による有機光電子素子用化合物を含むことができる。また、前記有機光電子素子用化合物が発光層内に含まれる場合、前記有機光電子素子用化合物は、燐光または蛍光ホストとして含まれてもよく、特に、蛍光青色ドーパント材料として含まれてもよい。
【0160】
図1図5は、本発明の多様な実施形態による有機光電子素子用化合物を含む有機発光ダイオードの断面図である。
【0161】
図1図5を参照すれば、本発明の多様な実施形態による有機光電素子100、200、300、400、500は、陽極120、陰極110およびこの陽極と陰極との間に配置された少なくとも一層の有機薄膜層105を含む構造を有する。
【0162】
前記陽極120は、陽極物質を含み、この陽極物質としては、通常有機薄膜層へ正孔注入が円滑に行われるように仕事関数が大きい物質が好ましい。前記陽極物質の具体的な例としては、ニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金が挙げられ、亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物が挙げられ、ZnOとAlまたはSnOとSbのような金属と酸化物の組み合わせが挙げられ、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](polyehtylenedioxythiophene:PEDT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような伝導性高分子などが挙げられるが、これに限定されない。好ましくは、前記陽極としてITO(indium tin oxide)を含む透明電極を使用することができる。
【0163】
前記陰極110は、陰極物質を含み、この陰極物質としては、通常有機薄膜層へ電子注入が容易に行われるように仕事関数が小さい物質であることが好ましい。陰極物質の具体的な例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、鉛、セシウム、バリウムなどのような金属またはこれらの合金が挙げられ、LiF/Al、LiO/Al、LiF/Ca、LiF/AlおよびBaF/Caのような多層構造物質などが挙げられるが、これに限定されない。好ましくは、前記陰極としてアルミニウムなどのような金属電極を使用することができる。
【0164】
まず、図1を参照すれば、図1は、有機薄膜層105として発光層130のみが存在する有機光電素子100を示した図面であり、前記有機薄膜層105は、発光層130のみで存在してもよい。
【0165】
図2を参照すれば、図2は、有機薄膜層105として電子輸送層(ETL)を含む発光層230と正孔輸送層(HTL)140が存在する2層型有機光電素子200を示した図面であり、図2に示されているように、有機薄膜層105は、発光層230および正孔輸送層(HTL)140を含む2層型であってもよい。この場合、発光層130は電子輸送層(ETL)の機能を果たし、正孔輸送層(HTL)140はITOのような透明電極との接合性および正孔輸送性を向上させる機能を果たす。
【0166】
図3を参照すれば、図3は、有機薄膜層105として電子輸送層(ETL)150、発光層130および正孔輸送層(HTL)140が存在する3層型有機光電素子300を示した図面であり、前記有機薄膜層105で発光層130は独立した形態からなっており、電子輸送性や正孔輸送性に優れた膜(電子輸送層(ETL)150および正孔輸送層(HTL)140)を別途の層で積んだ形態を示している。
【0167】
図4を参照すれば、図4は、有機薄膜層105として電子注入層(EIL)160、発光層130、正孔輸送層(HTL)140および正孔注入層(HIL)170が存在する4層型有機光電素子400を示した図面であり、前記正孔注入層(HIL)170は陽極として使用されるITOとの接合性を向上させることができる。
【0168】
図5を参照すれば、図5は、有機薄膜層105として電子注入層(EIL)160、電子輸送層(ETL)150、発光層130、正孔輸送層(HTL)140および正孔注入層(HIL)170のようなそれぞれ異なる機能を果たす5層が存在する5層型有機光電素子500を示した図面であり、前記有機光電素子500は、電子注入層(EIL)160を別途に形成して低電圧化に効果的である。
【0169】
前記図1図5において前記有機薄膜層105をなす電子輸送層(ETL)150、電子注入層(EIL)160、発光層130、230、正孔輸送層(HTL)140、正孔注入層(HIL)170およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか一つは、前記有機光電子素子用化合物を含む。この時、前記有機光電子素子用化合物は、前記電子輸送層(ETL)150または電子注入層(EIL)160を含む電子輸送層(ETL)150に使用され得、その中でも電子輸送層(ETL)に含まれる場合、正孔阻止層(図示せず)を別途に形成する必要がないため、より単純化された構造の有機光電素子を提供することができるため好ましい。
【0170】
また、前記有機光電素子用化合物が発光層130、230内に含まれる場合、前記有機光電素子用化合物は燐光または蛍光ホストとして含まれ得、または蛍光青色ドーパントとして含まれ得る。
【0171】
上述した有機発光ダイオードは、基板に陽極を形成した後、真空蒸着法(evaporation)、スパッタリング(sputtering)、プラズマメッキおよびイオンメッキのような乾式成膜法、またはスピンコーティング(spin coating)、浸漬法(dipping)、流動コーティング法(flow coating)のような湿式成膜法などで有機薄膜層を形成した後、その上に陰極を形成して製造することができる。
【0172】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、前記有機光電素子を含む表示装置を提供する。
【実施例】
【0173】
以下の実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。但し、これらの実施例は本発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これらによって本発明が制限されてはならないことが理解されるであろう。
【0174】
(有機光電子素子用化合物の製造)
〔実施例1〕:化学式4で表される化合物の合成
本発明の有機光電子素子用化合物のより具体的な例として提示された前記化学式4で表される化合物は、下記反応式1の方法に従って合成された。
【0175】
【化38】
【0176】
第1段階:化合物Aの合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き250mLの丸底フラスコで化合物3−ブロモ−カルバゾール5g(20mmol)、N−フェニル−カルバゾールボロン酸ピナコラート9g(24mmol)およびテトラヒドロフラン100mLと2M−炭酸カリウム水溶液を混合した後、窒素気流下で12時間加熱還流した。反応終結後、反応物にヘキサンを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びトルエンとテトラヒドロフラン(50:50体積比)混合溶液に溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、ジクロロメタンとヘキサンを利用して再結晶して化合物Aを7.8g(収率60%)得た。
【0177】
第2段階:化学式4で表される化合物の合成
100mLの丸底フラスコで化合物Aで表される中間体生成物3.5g(8.55mmol)、2−クロロ−4,6−ジフェニル−ピリミジン2.74g(10.26mmol)、NaHとジメチルホルムアミドを入れた後、窒素気流下で室温で撹拌した。有機溶媒を減圧蒸留下で除去した後、カラムクロマトグラフィーを利用して分離して3.823g(収率:70%)の化学式4で表される化合物を得た。
【0178】
前記得られた化学式4で表される化合物を元素分析で分析した結果は次の通りである。
【0179】
calcd.C4630:C,86.49;H,4.73;N,8.77;found:C,86.24;H,4.89;N,8.55。
【0180】
〔実施例2〕:化学式5で表される化合物の合成
本発明の有機光電子素子用化合物のより具体的な例として提示された前記化学式5で表される化合物は、下記反応式2の方法に従って合成された。
【0181】
【化39】
【0182】
化学式5で表される化合物の合成
100mLの丸底フラスコで化合物Aで表される中間体生成物3.5g(8.55mmol)、2−クロロ−4,6−ビフェニル−ピリミジン2.74g(10.26mmol)、NaHとジメチルホルムアミドを入れた後、窒素気流下で室温で撹拌した。有機溶媒を減圧蒸留下で除去した後、カラムクロマトグラフィーを利用して分離して4.1g(収率:75%)の化学式5で表される化合物を得た。
【0183】
前記得られた化学式5で表される化合物を元素分析で分析した結果は次の通りである。
【0184】
calcd.C4529:C,84.48;H,4.57;N、10.95;found:C,84.24;H,4.65;N、10.55。
【0185】
〔実施例3〕:化学式14で表される化合物の合成
本発明の有機光電子素子用化合物のより具体的な例として提示された前記化学式14で表される化合物は、下記反応式3の方法に従って合成された。
【0186】
【化40】
【0187】
第1段階:化合物Bの合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き250mLの丸底フラスコで化合物3−ブロモ−N−フェニル−6−フェニルカルバゾール5g(12.6mmol)、3−フェニルカルバゾールボロン酸ピナコラート5.56g(15mmol)およびテトラヒドロフラン100mLと2M−炭酸カリウム水溶液を混合した後、窒素気流下で12時間加熱還流した。反応終結後、反応物にヘキサンを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びトルエンとテトラヒドロフラン(50:50体積比)混合溶液に溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、ジクロロメタンとヘキサンを利用して再結晶して化合物Bを6.5g(収率65%)得た。
【0188】
第2段階:化学式14で表される化合物の合成
250mLの丸底フラスコで化合物Bで表される中間体生成物6g(10.5mmol)、2−クロロ−4,6−ジフェニル−トリアジン3.44g(12.84mmol)、NaHとジメチルホルムアミドを入れた後、窒素気流下で室温で撹拌した。有機溶媒を減圧蒸留下で除去した後、カラムクロマトグラフィーを利用して分離して3.825g(収率:70%)の化学式14で表される化合物を得た。
【0189】
前記得られた化学式14で表される化合物を元素分析で分析した結果は次の通りである。
【0190】
calcd.C5737:C,86.45;H,4.71;N,8.84;found:C,86.15;H,4.57;N,8.57。
【0191】
〔実施例4〕:化学式A−2で表される化合物の合成
本発明の有機光電子素子用化合物のより具体的な例として提示された前記化学式A−2で表される化合物は、下記反応式4の方法に従って合成された。
【0192】
【化41】
【0193】
第1段階:化合物Cの合成
1000mLの丸底フラスコで3−ブロモカルバゾール28.4g(115.46mmol)、2−クロロ−4,6−ジフェニル−ピリミジン36.95g(138.55mmol)、NaHの6.93gをジメチルホルムアミドに入れた後、窒素気流下で室温で12時間撹拌した。反応物を蒸溜水に入れて結晶化した。結晶化された固形分を濾過した後、モノクロロベンゼンとヘキサンで再結晶して53g(収率:96%)の中間体Cで表される化合物を得た。
【0194】
第2段階:化学式A−2で表される化合物の合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き1000mLの丸底フラスコで化合物Cで表される化合物22.26g(46.7mmol)、N−フェニル−カルバゾールボロン酸ピナコラート20.71g(56.1mmol)およびテトラヒドロフラン200mLとトルエン200mlおよび2M−炭酸カリウム水溶液200mlを混合した後、窒素気流下で12時間加熱還流した。反応終結後、反応物にヘキサンを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びトルエンとテトラヒドロフラン(50:50体積比)混合溶液に溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、クロロベンゼンとメタノールを利用して再結晶して化学式A−2で表される化合物を20g(収率70%)得た。
【0195】
calcd.C4630:C,86.49;H,4.73;N,8.77;found:C,86.44;H,4.74;N,8.75。
【0196】
〔実施例5〕:化学式A−10で表される化合物の合成
本発明の有機光電子素子用化合物のより具体的な例として提示された前記化学式A−10で表される化合物は、下記反応式5の方法に従って合成された。
【0197】
【化42】
【0198】
第1段階:化学式Dで表される化合物の合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き500mLの丸底フラスコで化合物2−ブロモ−カルバゾール17.66g(71.7mmol)、N−フェニル−カルバゾールボロン酸ピナコラート22.08g(59.8mmol)およびテトラヒドロフラン100mLと2M−炭酸カリウム水溶液100mlを混合した後、窒素気流下で12時間加熱還流した。反応終結後、反応物にヘキサンを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びトルエンとテトラヒドロフラン(50:50体積比)混合溶液に溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、ジクロロメタンとヘキサンを利用して再結晶して化合物Dを19g((収率65%)得た。
【0199】
第2段階:化学式A−10で表される化合物の合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き500mLの丸底フラスコで化合物Dで表される化合物8.3g(20.53mmol)、2−ブロモ−4,6−ジフェニルピリジン7.64g(24.64mmol)および第3級ブトキシナトリウム3.35g(34.9mmol)をトルエン200mlに溶かした後、パラジウムジベンジリデンアミン0.47g(0.51mmol)と第3級ブチルリン0.77ml(1.54mmol)を滴下した。反応溶液を窒素気流下で12時間110℃に加熱して撹拌した。反応終結後、反応物にメタノールを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びクロロベンゼンに溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、クロロベンゼンとメタノールを利用して再結晶して化学式A−10で表される化合物を11g(収率84%)得た。
【0200】
calcd.C4731:C,88.51;H,4.90;N,6.59;found:C,88.49;H,4.91;N,6.61。
【0201】
〔実施例6〕:化学式A−12で表される化合物の合成
本発明の有機光電子素子用化合物のより具体的な例として提示された前記化学式A−12で表される化合物は、下記反応式の方法に従って合成された。
【0202】
【化43】
【0203】
第1段階:化合物Eの合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き1000mLの丸底フラスコで化合物2−ブロモカルバゾール22.22g(90.3mmol)、4−ヨードビフェニル37.94g(135.5mmol)および炭酸カリウム18.72g(135.5mmol)をジメチルスルホキシド400mlに溶かした後、1,10−フェナントロリン3.26g(135.47mmol)と塩化銅(I)1.79g(18.06mmol)を滴下した。反応溶液を窒素気流下で12時間150℃に加熱して撹拌した。反応終結後、反応物に蒸溜水を注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びクロロベンゼンに溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、クロロベンゼンとメタノールを利用して再結晶して化合物Eを25g(収率70%)得た。
【0204】
第2段階:化学式Fで表される化合物の合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き1000mLの丸底フラスコで化合物Eで表される化合物18.2g(46.7mmol)、3−カルバゾールボロン酸ピナコラート16.4g(56.1mmol)およびテトラヒドロフラン200mLとトルエン200mlおよび2M−炭酸カリウム水溶液200mlを混合した後、窒素気流下で12時間加熱還流した。反応終結後、反応物にヘキサンを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びクロロベンゼンに溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、クロロベンゼンとメタノールを利用して再結晶して化合物Fを19.0g(収率64%)得た。
【0205】
第3段階:化学式A−12で表される化合物の合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き500mLの丸底フラスコで化合物Fで表される化合物9.73g(20.1mmol)、2−ブロモ−4,6−ジペチルピリジン7.47g(24.10mmol)および第3級ブトキシナトリウム3.28g(34.1mmol)をトルエン180mlに溶かした後、パラジウムジベンジリデンアミン0.46g(0.5mmol)と第3級ブチルリン0.75ml(1.51mmol)を滴下した。反応溶液を窒素気流下で12時間110℃に加熱して撹拌した。反応終結後、反応物にメタノールを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びクロロベンゼンに溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、クロロベンゼンとメタノールを利用して再結晶して化学式A−12で表される化合物を9.9g(収率70%)得た。
【0206】
calcd.C5335:C,89.17;H,4.94;N,5.89;found:C,89.29;H,4.96;N,5.82。
【0207】
〔実施例7〕:化学式B−5で表される化合物の合成
本発明の有機光電子素子用化合物のより具体的な例として提示された前記化学式B−5で表される化合物は、下記反応式7の方法に従って合成された。
【0208】
【化44】
【0209】
第1段階:化合物Gの合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き500mLの丸底フラスコで化合物3−ブロモ−カルバゾール18.53g(75.3mmol)、4−ジベンゾチオフェンボロン酸22.3g(97.9mmol)およびテトラヒドロフラン100mLと2M−炭酸カリウム水溶液100mlを混合した後、窒素気流下で12時間加熱還流した。反応終結後、反応物にヘキサンを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びトルエンとテトラヒドロフラン(50:50体積比)混合溶液に溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、ジクロロメタンとヘキサンを利用して再結晶して化合物を15g(収率60%)を得た。
【0210】
第2段階:化学式B−5で表される化合物の合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き500mLの丸底フラスコで化合物Gで表される化合物10g(28.80mmol)、2−ブロモ−4,6−ジペチルピリジン11.6g(37.4mmol)および第3級ブトキシナトリウム5.53g(57.6mmol)をトルエン160mlに溶かした後、パラジウムジベンジリデンアミン1.32g(1.44mmol)と第3級ブチルリン0.87ml4.32mmol)を滴下した。反応溶液を窒素気流下で12時間110℃に加熱して撹拌した。反応終結後、反応物にメタノールを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びクロロベンゼンに溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、クロロベンゼンとメタノールを利用して再結晶して化学式B−5で表される化合物を14g(収率85%)得た。
【0211】
calcd.C4126S:C,85.09;H,4.53;N,4.84;S,5.54;found:C,85.11;H,4.50;N,4.80;S,5.50。
【0212】
〔実施例8〕:化学式B−8で表される化合物の合成
本発明の有機光電子素子用化合物のより具体的な例として提示された前記化学式B−8で表される化合物は、下記反応式8の方法に従って合成された。
【0213】
【化45】
【0214】
第1段階:化合物Hの合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き500mLの丸底フラスコで化合物3−ブロモ−カルバゾール9.84g(39.99mmol)、4−ジベンゾフランボロン酸10.17g(47.99mmol)およびテトラヒドロフラン100mLと2M−炭酸カリウム水溶液100mlを混合した後、窒素気流下で12時間加熱還流した。反応終結後、反応物にヘキサンを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びトルエンとテトラヒドロフラン(50:50体積比)混合溶液に溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、ジクロロメタンとヘキサンを利用して再結晶して化合物Hを11g(収率83%)得た。
【0215】
第2段階:化学式B−8で表される化合物の合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き500mLの丸底フラスコで化合物Hで表される化合物10.8g(32.58mmol)、2−ブロモ−4,6−ジフェニルピリジン11.6g(37.4mmol)および第3級ブトキシナトリウム5.53g(57.6mmol)をトルエン160mlに溶かした後、パラジウムジベンジリデンアミン1.32g(1.44mmol)と第3級ブチルリン0.87ml4.32mmol)を滴下した。反応溶液を窒素気流下で12時間110℃に加熱して撹拌した。反応終結後、反応物にメタノールを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びクロロベンゼンに溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、クロロベンゼンとメタノールを利用して再結晶して化学式B−8で表される化合物を14g(収率85%)得た。
【0216】
calcd.C4126O:C,87.52;H,4.66;N,4.98;O,2.84;found:C,87.50;H,4.68;N,4.96;O,2.82。
【0217】
〔実施例9〕:化学式B−21で表される化合物の合成
本発明の有機光電子素子用化合物のより具体的な例として提示された前記化学式B−21で表される化合物は、下記反応式9の方法に従って合成された。
【0218】
【化46】
【0219】
第1段階:化合物Iの合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き500mLの丸底フラスコで化合物3−ブロモ−カルバゾール18.53g(75.3mmol)、4−ジベンゾチオフェンボロン酸22.3g(97.9mmol)およびテトラヒドロフラン100mLと2M−炭酸カリウム水溶液100mlを混合した後、窒素気流下で12時間加熱還流した。反応終結後、反応物にヘキサンを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びトルエンとテトラヒドロフラン(50:50体積比)混合溶液に溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、ジクロロメタンとヘキサンを利用して再結晶して化合物Iを15g(収率60%)得た。
【0220】
第2段階:化学式B−21で表される化合物の合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き500mLの丸底フラスコで化合物で表される化合物10g(28.80mmol)、2−(4−ブロモフェニル)−4,6−ジペチルピリジン14.43g(37.4mmol)および第3級ブトキシナトリウム5.53g(57.6mmol)をトルエン160mlに溶かした後、パラジウムジベンジリデンアミン1.32g(1.44mmol)と第3級ブチルリン0.87ml(4.32mmol)を滴下した。反応溶液を窒素気流下で12時間110℃に加熱して撹拌した。反応終結後、反応物にメタノールを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びクロロベンゼンに溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、クロロベンゼンとメタノールを利用して再結晶して化学式B−21で表される化合物を10g(収率60%)得た。
【0221】
calcd.C4730S:C,86.21;H,4.62;N,4.28;S,4.90;found:C,86.20;H,4.60;N,4.26;S,4.88。
【0222】
〔実施例10〕:化学式3で表される化合物の合成
本発明の有機光電子素子用化合物のより具体的な例として提示された前記化学式3で表される化合物は、下記反応式10の方法に従って合成された。
【0223】
【化47】
【0224】
第1段階:化合物Jの合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き500mLの丸底フラスコで化合物N−フェニルカルバゾール−3−ボロン酸ピナコラート26.96g(81.4mmol)、カルバゾール−3−ボロン酸23.96g(97.36mmol)およびテトラヒドロフラン230mLと2M−炭酸カリウム水溶液100mlを混合した後、窒素気流下で12時間加熱還流した。反応終結後、反応物にメタノールに注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びクロロベンゼンに溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、クロロベンゼンとメタノールを利用して再結晶して化合物Jを22.6g(収率68%)得た。
【0225】
第2段階:化学式3で表される化合物の合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き500mLの丸底フラスコで化合物Jで表される化合物22.42g(54.88mmol)、2−ブロモ−4,6−ジペチルピリジン20.43g(65.85mmol)および第3級ブトキシナトリウム7.92g(82.32mmol)をトルエン400mlに溶かした後、パラジウムジベンジリデンアミン1.65g(1.65mmol)と第3級ブチルリン1.78g(4.39mmol)を滴下した。反応溶液を窒素気流下で12時間110℃に加熱して撹拌した。反応終結後、反応物にメタノールを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びクロロベンゼンに溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、クロロベンゼンとメタノールを利用して再結晶して化学式で表される化合物を28.10g(収率80%)得た。
【0226】
calcd.C4731:C,88.51;H,4.90;N,6.59;found:C,88.62;H,4.80;N,6.47。
【0227】
〔実施例11〕:化学式54で表される化合物の合成
本発明の有機光電子素子用化合物のより具体的な例として提示された前記化学式54で表される化合物は、下記反応式11の方法に従って合成された。
【0228】
【化48】
【0229】
第1段階:化合物Kの合成
1000mLの丸底フラスコで3−ブロモカルバゾール42.97g(174.57mmol)、2−クロロ−4,6−ジフェニル−トリアジン56.1g(209.5mmol)、NaHの10.48g(261.86mmol)をジメチルホルムアミドに入れた後、窒素気流下で室温で12時間撹拌した。反応物を蒸溜水に入れて結晶化した。結晶化された固形分を濾過した後、モノクロロベンゼンとヘキサンで再結晶して82g(収率:98%)の中間体Kで表される化合物を得た。
【0230】
第2段階:化合物Lの合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き2Lの丸底フラスコで化合物K70.57g(147.85mmol)、カルバゾール−3−ボロン酸ピナコラート52.01g(177.42mmol)およびテトラヒドロフラン:トルエン混合溶液800mL(体積比=1:1)と2M−炭酸カリウム水溶液400mLを混合した後、窒素気流下で12時間加熱還流した。反応終結後、反応物にメタノールに注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びクロロベンゼンに溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、クロロベンゼンとメタノールを利用して再結晶して化合物Lを66g(収率79%)得た。
【0231】
第3段階:化学式54で表される化合物の合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き1Lの丸底フラスコで化合物Lで表される化合物10.1g(17.88mmol)、2−ブロモビフェニル5g(21.46mmol)および第3級ブトキシナトリウム3.44g(35.76mmol)をトルエン400mlに溶かした後、パラジウムジベンジリデンアミン1.03g(1.79mmol)と第3級ブチルリン2.17g(5.36mmol)を滴下した。反応溶液を窒素気流下で12時間110℃に加熱して撹拌した。反応終結後、反応物にメタノールを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びクロロベンゼンに溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、クロロベンゼンとメタノールを利用して再結晶して化学式54で表される化合物を9.40g(収率73%)得た。
【0232】
calcd.C5234:C,87.37;H,4.79;N,7.84;found:C,87.47;H,4.80;N,7.78。
【0233】
〔実施例12〕:化学式C−13で表される化合物の合成
【0234】
【化49】
【0235】
第1段階:化合物Mの合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き500mLの丸底フラスコで化合物N−ビフェニル−3−カルバゾールボロン酸19.3g(53.06mmol)、3−ブロモカルバゾール10.9g(44.22mmol)およびテトラヒドロフラン:トルエン混合溶液140mL(体積比=1:1)と2M−炭酸カリウム水溶液80mLを混合した後、窒素気流下で12時間加熱還流した。反応終結後、反応物にメタノールに注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びクロロベンゼンに溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、クロロベンゼンとメタノールを利用して再結晶して化合物Mを13.7g(収率64%)得た。
【0236】
第2段階:化学式C−13で表される化合物の合成
窒素雰囲気下の撹拌機付き500mLの丸底フラスコで化合物Mで表される化合物9.6g(19.82mmol)、2−(4−ブロモフェニル)−4,6−ジフェニルピリジン9.2g(23.8mmol)および第3級ブトキシナトリウム3.2g(33.7mmol)をトルエン160mLに溶かした後、パラジウムジベンジリデンアミン0.454g(0.5mmol)と第3級ブチルリン0.6g(1.49mmol)を滴下した。反応溶液を窒素気流下で12時間110℃に加熱して撹拌した。反応終結後、反応物にメタノールを注いでできる固形物を濾過した後、固形物を再びクロロベンゼンに溶かして活性炭と無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌した。溶液を濾過した後、クロロベンゼンとメタノールを利用して再結晶して化合物C−13を14g(収率89%)得た。
【0237】
calcd.C5939:C,89.70;H,4.98;N,5.32;found:C,89.57;H,4.83;N,5.65。
【0238】
(有機発光ダイオードの製造)
〔実施例13〕
前記実施例1で合成された化合物(化学式4で表される化合物)をホストとして使用し、Ir(PPy)をドーパントとして使用して有機発光ダイオードを製作した。陽極としてはITOを1000Åの厚さに使用し、陰極としてはアルミニウム(Al)を1000Åの厚さに使用した。
【0239】
具体的に、有機発光ダイオードの製造方法を説明すれば、陽極は15Ω/cmの面抵抗値を有するITOガラス基板を50mm×50mm×0.7mmの大きさに切断してアセトンとイソプロピルアルコールと純水の中で各15分間超音波洗浄した後、30分間UVオゾン洗浄して使用した。
【0240】
前記基板上部に真空度650×10−7Pa、蒸着速度0.1〜0.3nm/sの条件でN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)(70nm)および4,4’,4”−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)(10nm)を蒸着して800Åの正孔輸送層(HTL)を形成した。
【0241】
次に、同一な真空蒸着条件で前記実施例で合成された化合物を利用して膜厚さ300Åの発光層を形成し、この時、燐光ドーパントであるIr(PPy)を同時に蒸着した。この時、燐光ドーパントの蒸着速度を調節して、発光層の全体量を100重量%にした時、燐光ドーパントの配合量が7重量%になるように蒸着した。
【0242】
前記発光層上部に同一な真空蒸着条件を利用してビス(8−ヒドロキシ−2−メチルキノリナト)−アルミニウムビフェノキシド(BAlq)を蒸着して膜厚さ50Åの正孔阻止層を形成した。
【0243】
次に、同一な真空蒸着条件でAlqを蒸着して膜厚さ200Åの電子輸送層(ETL)を形成した。
【0244】
前記電子輸送層(ETL)上部に陰極としてLiFとAlを順次に蒸着して有機発光ダイオードを製作した。
【0245】
前記有機発光ダイオードの構造は、ITO/NPB(70nm)/TCTA(10nm)/EML(実施例1の化合物(93重量%)+Ir(PPy)(7重量%)、30nm)/Balq(5nm)/Alq(20nm)/LiF(1nm)/Al(100nm)の構造で製作した。
【0246】
〔実施例14〕
前記実施例1で合成された化合物の代わりに、実施例2で合成された化合物(化学式5で表される化合物)を発光層のホストとして使用したことを除いては、前記実施例13と同様な方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0247】
〔実施例15〕
前記実施例1で合成された化合物の代わりに、実施例4で合成された化合物(化学式A−2で表される化合物)を発光層のホストとして使用したことを除いては、前記実施例13と同様な方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0248】
〔実施例16〕
前記実施例1で合成された化合物の代わりに、実施例6で合成された化合物(化学式A−12で表される化合物)を発光層のホストとして使用したことを除いては、前記実施例13と同様な方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0249】
〔実施例17〕
前記実施例1で合成された化合物の代わりに、実施例7で合成された化合物(化学式B−5で表される化合物)を発光層のホストとして使用したことを除いては、前記実施例13と同様な方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0250】
〔実施例18〕
前記実施例1で合成された化合物の代わりに、実施例10で合成された化合物(化学式3で表される化合物)を発光層のホストとして使用したことを除いては、前記実施例13と同様な方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0251】
〔実施例19〕
前記実施例1で合成された化合物の代わりに、実施例11で合成された化合物(化学式54で表される化合物)を発光層のホストとして使用したことを除いては、前記実施例13と同様な方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0252】
〔実施例20〕
前記実施例1で合成された化合物の代わりに、実施例12で合成された化合物(化学式C−13で表される化合物)を発光層のホストとして使用したことを除いては、前記実施例13と同様な方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0253】
〔比較例1〕
前記実施例2で合成された化合物の代わりに、4,4−N,N−ジカルバゾールビフェニル(CBP)を発光層のホストとして使用したことを除いては、前記実施例13と同様な方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0254】
〔比較例2〕
韓国公開特許10−2005−0100673の実施例6に提示された化合物であるビス[9−(4−メトキシフェニル)カルバゾール−3−イル](Jib796−04k)を使用した素子の発光特性を本発明で製造された化合物で製作された素子の特性と比較した。
【0255】
(有機発光ダイオードの性能測定)
〔実験例〕
前記実施例13〜20と比較例1および2で製造されたそれぞれの有機発光ダイオードに対して電圧による電流密度変化、輝度変化および発光効率を測定した。具体的な測定方法は以下の通りであり、その結果は下記表1に示した。
【0256】
(1)電圧変化による電流密度の変化測定
製造された有機発光ダイオードに対し、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら電流−電圧計(Keithley 2400)を利用して単位素子に流れる電流値を測定し、測定された電流値を面積で割って結果を得た。
【0257】
(2)電圧変化による輝度の変化測定
製造された有機発光ダイオードに対し、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら輝度計(Minolta Cs−1000A)を利用してその時の輝度を測定して結果を得た。
【0258】
(3)発光効率測定
前記(1)および(2)から測定された輝度と電流密度および電圧を利用して同一の明るさ(9000cd/m)の発光効率(cd/A)を計算した。
【0259】
【表1】
【0260】
前記表1を参照すれば、本発明で提供された材料を使用して製作した素子(有機発光ダイオード)の場合、発光効率で基準物質であるCBPに比べて、駆動電圧および効率において非常に優れていることが分かる。また寿命においては、3%発光効率が減少するまでの時間を測定しており、CBPの場合は1時間未満に急死水準の寿命を示すが、本発明で提供された化合物を使用して製作した素子(有機発光ダイオード)の場合、10時間から最高60時間までの寿命を示した。
【0261】
一方、比較例2で提示された素子の発光効率は、30〜35cd/Aで提示されており、これも前記実施例13〜20に比べて顕著に低い効率を示す。このような二つの比較例から分かるように、本発明で製造された化合物が良好な有機発光ダイオード用材料として使用され得る可能性を見せる。
【0262】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、当業者によって特許請求の範囲の精神および技術的範囲に含まれる多様な変形および等価の形態で製造されうる。したがって、上記の実施例は例示的なものであり、本発明をいかようにも限定するものではないことを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0263】
100、200、300、400、500 有機光電素子、
110 陰極、
120 陽極、
105 有機薄膜層、
130 発光層、
140 正孔輸送層(HTL)、
150 電子輸送層(ETL)、
160 電子注入層(EIL)、
170 正孔注入層(HIL)、
230 発光層+電子輸送層(ETL)。
図1
図2
図3
図4
図5