特許第5938405号(P5938405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938405
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】光量調節装置および光学機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/02 20060101AFI20160609BHJP
   G03B 9/06 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   G03B9/02 A
   G03B9/06
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-522473(P2013-522473)
(86)(22)【出願日】2012年7月5日
(86)【国際出願番号】JP2012004355
(87)【国際公開番号】WO2013005436
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2015年7月3日
(31)【優先権主張番号】特願2011-150637(P2011-150637)
(32)【優先日】2011年7月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】神津 聡
(72)【発明者】
【氏名】藤田 暁
【審査官】 高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−94074(JP,A)
【文献】 特開平2−153334(JP,A)
【文献】 特開2005−84605(JP,A)
【文献】 特表2007−500869(JP,A)
【文献】 特開2009−204423(JP,A)
【文献】 特開2006−53409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/02
G03B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定開口を有するベース部材と、
前記固定開口を通過する光の量を調節するための光量調節部および前記ベース部材に対して回動可能に支持された被支持部を備えた光量調節羽根とを有し、
前記固定開口の開口面に直交する方向を光軸方向とし、前記固定開口の径に沿った方向を径方向とするとき、
前記光量調節羽根において、前記光量調節部と前記被支持部がそれぞれ前記開口面に平行な面に沿って回動し、かつ前記光量調節部が前記被支持部に対して前記光軸方向に離れて位置するように前記光量調節部と前記被支持部との間に形成された中間部が前記開口面に対して前記光軸方向への傾きを有することにより、前記光量調節羽根よりも前記径方向の内側に、前記固定開口に面した凹空間が形成されていることを特徴とする光量調節装置。
【請求項2】
前記光量調節部により前記光が通過する光通過開口を形成する遮光羽根としての前記光量調節羽根を複数有しており、該複数の光量調節羽根を回動させて前記光通過開口の大きさを変化させることにより前記光の量を調節することを特徴とする請求項1に記載の光量調節装置。
【請求項3】
前記光量調節部に、前記固定開口よりも小さい大きさの開口であって前記光が通過する光通過開口を有する遮光羽根としての1枚の前記光量調節羽根を有しており、該光量調節羽根を回動させて前記光通過開口を前記固定開口に対して移動させることにより前記光の量を調節することを特徴とする請求項1に記載の光量調節装置。
【請求項4】
前記光量調節羽根において、前記光量調節部がNDフィルタにより形成されており、該光量調節羽根を回動させて前記NDフィルタを前記固定開口に対して移動させることにより前記光の量を調節することを特徴とする請求項1に記載の光量調節装置。
【請求項5】
前記ベース部材における前記光量調節羽根を覆うカバー部が、その周囲の部分に対して、前記光軸方向における前記被支持部側から前記光量調節部側に突出するように形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光量調節装置。
【請求項6】
前記ベース部材に対して回転して前記光量調節羽根を回動させる駆動部材と、
該駆動部材を回転させるアクチュエータを含む駆動部とを有し、
前記ベース部材のうち前記光量調節羽根を覆うカバー部が、その周囲の部分に対して、前記光軸方向における前記被支持部側から前記光量調節部側に突出するように形成されており、
前記駆動部は、前記ベース部材のうち前記カバー部の周囲の部分に、該カバー部が突出する方向と同じ方向に該周囲の部分から突出するように配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光量調節装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の光量調節装置およびレンズが前記光軸方向に配置された光学系を有し、
前記レンズの少なくとも一部が、前記光量調節装置における前記凹空間の内部に入り込むことを特徴とする光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ、ビデオカメラおよび交換レンズ等の光学機器に搭載される光量調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ等の光学機器にはコンパクト性が求められ、特にカメラボディから突出して撮影レンズを保持するレンズ鏡筒の光軸方向での長さを短くすることが求められている。
【0003】
特許文献1には、カメラの使用時(撮影時)にはカメラボディから突出し、カメラの非使用時(携帯時)においてはカメラボディ内に収納される(沈胴する)、いわゆる沈胴式レンズ鏡筒を有するカメラが開示されている。このカメラでは、光量調節装置(絞り)とレンズとが光軸方向において隣接配置され、沈胴状態にて絞り開口内にレンズの一部が入り込むことにより、沈胴状態でのレンズ鏡筒の長さを減少させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−310412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にて開示されたカメラでは、開放された絞り開口(撮影時の最大絞り開口よりもさらに拡げられた絞り開口)内にレンズの一部を入り込ませる構成を採用しているため、開放絞り開口径をレンズの外径よりも大きくする必要がある。この結果、絞り開口を形成する遮光羽根(絞り羽根)を大きく作らなければならず、開放絞り開口状態にて遮光羽根を退避させる外周スペースも大きく確保する必要があるため、光量調節装置が径方向に大型化する。したがって、これを搭載するカメラを小型化することが困難になる。
【0006】
本発明は、径方向での大型化を抑えつつ、内部の空間にレンズを入り込ませることができるようにした光量調節装置およびこれを搭載した光学機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての光量調節装置は、固定開口を有するベース部材と、固定開口を通過する光の量を調節するための光量調節部およびベース部材に対して回動可能に支持された被支持部を備えた光量調節羽根とを有する。固定開口の開口面に直交する方向を光軸方向とし、固定開口の径に沿った方向を径方向とするとき、光量調節羽根において、光量調節部と被支持部がそれぞれ開口面に平行な面に沿って回動し、かつ光量調節部が被支持部に対して光軸方向に離れて位置するように光量調節部と被支持部との間の中間部が開口面に対して光軸方向への傾きを有することにより、光量調節羽根よりも径方向の内側に、固定開口に面した凹空間が形成されていることを特徴とする。
【0008】
上記光量調節装置とレンズとが光軸方向に配置された光学系を有し、レンズの少なくとも一部が、光量調節装置における凹空間の内部に入り込む光学機器も本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光量調節羽根を開放状態に開かなくても該光量調節羽根よりも径方向の内側に形成される凹空間内にレンズを入り込ませることができる。したがって、径方向での大型化を抑えつつ、内部の空間にレンズを入り込ませることが可能な光量調節装置を実現することができる。そして、この光量調節装置を搭載した光学機器の小型化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1である絞り装置の分解斜視図。
図2】実施例1の絞り装置の背面斜視図。
図3】実施例1の絞り装置に用いられる絞り羽根の斜視図。
図4】実施例1の絞り装置の動作説明図。
図5】実施例1の絞り装置の側面断面図。
図6】本発明の実施例2である絞り装置の背面図。
図7】本発明の実施例3である絞り装置の背面図。
図8】実施例の絞り装置を搭載したカメラの構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0012】
図1および図2には、本発明の実施例である光量調節装置としての虹彩絞り装置10を示している。これらの図において、1はベース部材としての地板であり、その内周側の部分には、後述する駆動リングや絞り羽根に向かって凹のドーム(球面又は円錐台面)形状を有するドーム部(カバー部)1cが形成されている。また、ドーム部1cの径方向中央には、開放絞り開口に対応する第1の固定開口6が形成されている。以下の説明において、第1の固定開口6の開口面6aの中心を通り、該開口面6aに直交する軸を光軸AXといい、該光軸AXが延びる方向を光軸方向という。
【0013】
また、地板1における第1の固定開口6の周囲のリング部には、支持ボス部(凸部)1aと、図2に示す長穴部1bとがそれぞれ周方向複数箇所に形成されている。各支持ボス部1aの中心軸BXは、光軸方向(光軸AX)に平行に延びている。
【0014】
2は駆動部材としての駆動リングであり、その径方向中央には、第1の固定開口6よりも大きい内径を有する第2の固定開口12が形成されている。また、駆動リング2の周方向複数箇所には、カム溝部2aが形成されている。さらに、駆動リング2の外周部の一部には、被駆動ギア2bが形成されている。
【0015】
3は複数の光量調節羽根(遮光羽根)としての絞り羽根であり、地板1の第1の固定開口6の径方向内側に、周囲が遮光された絞り開口(光通過開口)Aを形成するための遮光性を有する薄板状の部材である。
【0016】
図3(a),(b)に示すように、絞り羽根3は、絞り開口Aを形成するための光量調節部としての遮光部3aと、地板1および駆動リング2に対して回動可能に支持される被支持部3bと、これら遮光部3aおよび被支持部3bを接続する中間部3eとを有する。
【0017】
被支持部3bは、光軸方向に対して直交する面(第1の固定開口6の開口面6a)に沿う平面形状に形成されている。被支持部3bには、地板1に形成された支持ボス部1aが挿入される穴部(凹部)3cが形成されており、絞り羽根3は、該支持ボス部1aと穴部3cとを中心として地板1および駆動リング2に対して回動可能である。穴部3cの中心軸は、支持ボス部1aの中心軸BXに一致する。
【0018】
また、被支持部3bには、駆動リング2に形成されたカム溝部2aと地板1に形成された長穴部1bとに挿入されて係合するカムボス部3dが形成されている。カムボス部3dの中心軸CXは光軸方向(光軸AX)に平行に延びている。
【0019】
中間部3eは、地板1に形成された第1の固定開口6の開口面6aに対して光軸方向への傾きαを有する(この傾きαは、駆動リング2に形成された第2の固定開口12の開口面や後述するカバー板に形成された第3の固定開口の開口面に対しても同様である)。中間部3eに傾きαが与えられることにより、遮光部3aは、被支持部3bに対して光軸方向に離れて位置する。
【0020】
遮光部3aは、光軸方向に対して直交する面(第1の固定開口6の開口面6a)に平行な平面形状に対して、他の絞り羽根3の遮光部3aと互いに引っ掛かってスムーズな動きが妨げられないようにするための光軸方向への反りが与えられた形状を有する。
【0021】
なお、本実施例では、遮光部3aと被支持部3bを互いに別の面(不連続な面)として形成し、さらにこれらを別の面として形成された中間部3eにより接続した場合について説明している。しかし、遮光部3aと中間部3eを連続した曲面により形成し、被支持部3bを該曲面とは別の面として形成してもよい。
【0022】
図1において、4はカバー板(カバー部材)であり、地板1との間に、駆動リング2と絞り羽根3を収容する羽根室を形成する。カバー板4の内周側の部分には、地板1および絞り羽根3側に向かって凸のドーム(球面又は円錐台面)形状を有するドーム部4aが形成されている。ドーム部4aと地板1のドーム部1cは、絞り羽根3の中間部3eおよび遮光部3aに対向するように配置されて、これらを収容する羽根室を形成する。このように、地板1およびカバー板4のそれぞれにおける複数の絞り羽根3の中間部3eおよび遮光部3aに対向する部分は、その周囲の部分に対して、光軸方向における被支持部(3b)側から遮光部(3a)側に突出するように形成されている。ドーム部4aの径方向中央には、開放絞り開口に対応する第3の固定開口13が形成されている。
【0023】
カバー板4は、その外周の部分において地板1にビスにより結合され、地板1と一体化される。このため、カバー板4も、地板1と同様にベース部材として扱うことができる。なお、地板1とカバー板4の位置を入れ替えてもよい。
【0024】
図1および図2において、5はステッピングモータ等のアクチュエータを含む駆動部であり、その出力軸には、駆動リング2の被駆動ギア2bに噛み合う駆動ギア5aが取り付けられている。駆動部5は、モータ地板11を介して地板1に固定される。ここで、駆動部5は、地板1のうちドーム部1cの周囲の部分に配置されている。言い換えれば、駆動部5は、ドーム部1cがその周囲の部分に対して突出する方向と同じ方向に該周囲の部分から突出するように設けられている。このようにドーム部1cと駆動部5が突出する方向を同じにすることにより、後述する実施例4のようにこの絞り装置をカメラ等の光学機器に搭載した場合に、光学機器内のスペース(特に、ドーム部1cと駆動部5が配置された側とは反対側のスペース)を有効に使用することができ、光学機器の小型化を図ることができる。
【0025】
駆動部5に通電されて駆動ギア5aが回転すると、図4(a),(b)に示すように、その回転力が被駆動ギア2bを介して駆動リング2に伝達され、これを光軸回りで地板1に対して回転させる。そして、被支持部3bに形成されたカムボス部3dが、駆動リング2に形成されたカム溝部2aによって移動されることにより、絞り羽根3は、被支持部3bの穴部3cとこれに挿入された支持ボス部1aを中心として、遮光部3aが第1および第3の固定開口6,13の径方向内側の領域に進退する方向、すなわち絞り開口の大きさを変化させる方向(以下、開閉方向という)に回動される。このとき、絞り羽根3の被支持部3bと遮光部3aはそれぞれ、光軸方向に直交して(開口面6aに平行な)互いに光軸方向での位置が異なる2つの仮想平面に沿って回動する。
【0026】
なお、本実施例では、地板1に形成された支持ボス部1aと絞り羽根3に形成されたカムボス部3dをそれぞれ、絞り羽根3に形成された穴部3cと駆動リング2に形成されたカム溝部2aに挿入する場合について説明した。しかし、絞り羽根3に支持ボス部1aに相当するボス部を形成したり、駆動リング2にカムボス部3dに相当するボス部を形成したりし、これらを地板1に形成された穴部や絞り羽根3に形成されたカム溝部に挿入するようにしてもよい。
【0027】
以上のように構成された絞り装置10では、前述した遮光羽根3の中間部3eが有する光軸方向への傾きαによって、図5に示すように、複数の絞り羽根3よりも径方向内側に、光軸方向において複数の絞り羽根3の被支持部(3b)側から遮光部(3a)側に奥行きを有する凹空間Sが形成される。凹空間Sの被支持部側の端は、カバー板4に形成された第3の固定開口13にて開口している。一方、凹空間Sの遮光部側の端は、地板1に形成された第1の固定開口6にて開口している。すなわち、凹空間Sは、第1〜第3の固定開口6,12,13に面している。
【0028】
凹空間Sは、その外周が複数の絞り羽根3の羽根面により囲まれた空間と言うこともできる。ただし、本実施例では、複数の絞り羽根3の羽根面が凹空間Sに直接面しておらず、絞り羽根3の羽根面と凹空間Sとの間には、凹空間Sを囲むカバー板4のドーム部4aが介在している。なお、カバー板4(又はドーム部4a)は必ずしも必要ではなく、絞り羽根3を安定して開閉させることができれば、カバー板4(又はドーム部4a)をなくして絞り羽根3の羽根面が凹空間Sに直接面するようにしてもよい。
【実施例2】
【0029】
図6には、本発明の実施例2である光量調節装置としての絞り装置を示している。この図において、実施例1と共通する構成要素については、実施例1と同符号を付して説明に代える。実施例1では、複数の遮光羽根を回動させて絞り開口を変化させることで光量を調節する構成を採用しているのに対して、本実施例では、光量調節部がNDフィルタ部として形成された1枚のND羽根(光量調節羽根)を回動させることで光量を調節する。
【0030】
本実施例の地板1には、1つの支持ボス部(凸部)1aが形成されている。また、本実施例の駆動リング2には、1つのカム溝部2aが形成されている。これら地板1および駆動リング2については、後述する実施例3においても同じである。
【0031】
ND羽根23は、NDフィルタ部23aと、地板1および駆動リング2に対して回動可能に支持される被支持部23bと、これらNDフィルタ部23aおよび被支持部23bを接続する中間部23eとを有する。被支持部23bには、地板1に形成された支持ボス部1aが挿入される穴部(凹部)23cが形成されており、ND羽根23は、該支持ボス部1aと穴部23cとを中心として地板1および駆動リング2に対して回動可能である。
【0032】
また、ND羽根23には、駆動リング2に設けられたカム溝部2aに挿入されて係合するカムボス部23dが形成されている。このため、駆動リング2が回転すると、図6(a),(b)に示すように、カムボス部23dがカム溝部2aに沿って移動しながらND羽根23が回動される。ND羽根23は、図6(b)に示すようにNDフィルタ部23aによって地板1および駆動リング2に形成された固定開口(図では地板1の第1の固定開口6のみを示す)の全体を覆う位置と、図6(a)に示すようにNDフィルタ部23aが該固定開口に対向する領域から完全に退避する位置との間で回動して、該固定開口を通過する光の量を調節する。
【0033】
そして、本実施例でも、ND羽根23の中間部23eが有する、固定開口の開口面に対する光軸方向への傾きによって、ND羽根23よりも径方向内側に、光軸方向において被支持部(23b)側からNDフィルタ部(23a)側に奥行きを有し、各固定開口に面した凹空間が形成される。
【0034】
なお、図示していないが、本実施例の絞り装置も、実施例1のカバー板4と同様に、地板1との間に駆動リング2とND羽根23を収容する羽根室を形成するカバー板が設けられている。このことは、後述する実施例3においても同じである。
【実施例3】
【0035】
図7には、本発明の実施例3である光量調節装置としての絞り装置を示している。この図において、実施例1,2と共通する構成要素については、実施例1,2と同符号を付して説明に代える。実施例1では、複数の遮光羽根を回動させて絞り開口を変化させることで光量を調節する構成を採用しているのに対して、本実施例では、大きさが固定である絞り開口を有する1枚の絞り羽根を回動させることで光量を調節する。
【0036】
絞り羽根33は、地板1および駆動リング2に形成された固定開口(図では地板1に形成された第1の固定開口6のみを示す)よりも大きさが小さい小絞り開口(光通過開口)33fを有する光量調節部としての絞り部33aと、地板1および駆動リング2に対して回動可能に支持される被支持部33bと、これら絞り部33aおよび被支持部33bを接続する中間部33eとを有する。被支持部33bには、地板1に形成された支持ボス部1aが挿入される穴部(凹部)33cが形成されており、絞り羽根33は、該支持ボス部1aと穴部33cとを中心として地板1および駆動リング2に対して回動可能である。
【0037】
また、絞り羽根33には、駆動リング2に設けられたカム溝部2aに挿入されて係合するカムボス部33dが形成されている。このため、駆動リング2が回転すると、図7(a),(b)に示すように、カムボス部33dがカム溝部2aに沿って移動しながら絞り羽根33が回動される。絞り羽根33は、図7(b)に示すように絞り部33aの小絞り開口33fが地板1および駆動リング2に形成された固定開口に対向する位置に配置される位置と、図7(a)に示すように絞り部33aが該固定開口に対向する領域から完全に退避する位置との間で回動して、該固定開口を通過する光の量を調節する。
【0038】
そして、本実施例でも、絞り羽根33の中間部33eが有する、固定開口の開口面に対する光軸方向への傾きによって、絞り羽根33よりも径方向内側に、光軸方向において被支持部(33b)側から絞り部(33a)側に奥行きを有し、各固定開口に面した凹空間が形成される。
【実施例4】
【0039】
上記実施例1〜3にて説明した絞り装置10が搭載された光学機器としてのカメラ(ビデオカメラ又はスチルカメラ)を図8に示す。50はカメラ本体であり、51,53は撮影光学系を構成する複数のレンズである。52はCCDセンサやCMOSセンサ等により構成される撮像素子であり、撮影光学系により形成された被写体像を光電変換する。
【0040】
54はCPU等により構成されるコントローラであり、絞り装置10(駆動部5)や撮像素子52の動作を制御する。なお、絞り装置10が、シャッタ機能を有していてもよい。
【0041】
このようなカメラにおいて、再び図5に示すように、絞り装置10の凹空間Sには、該絞り装置10に対して光軸方向にて隣接配置されたレンズ51の少なくとも一部(凸面)が入り込むことができる。なお、図5には、凹空間Sへのレンズ51の入り口(第1の固定開口6)が像面方向に向かって開口し、絞り装置10に対して像面方向に隣接配置されたレンズ51が凹空間Sに入り込んでいる様子を示している。凹空間Sへのレンズ51の入り口を被写体方向に向け、絞り装置10に対して被写体方向に隣接配置されたレンズ53が凹空間Sに入り込むようにしてもよい。
【0042】
凹空間Sへのレンズ51の入り口となる開口の大きさ(径)は、複数の絞り羽根3の被支持部3bと中間部3eとの境界を通る円の径(又は該円に対応するドーム部4aの内径)によって決まり、複数の絞り羽根3により形成される絞り開口Aの大きさに依存しない。このため、絞り開口Aを絞り込んだ状態でも、つまりは絞り開口Aを開放開口径に設定したりそれよりもさらに拡げたりすることなく、凹空間Sにレンズ51を入り込ませることができる。したがって、絞り開口Aの最大径をレンズ51の外径に合わせて大きくする必要がなく、内部の空間にレンズを入り込ませることが可能な絞り装置において径方向の大型化を回避することができる。
【0043】
また、図8には、絞り装置10のカバー板4のドーム部4aの被写体側の凸面と絞り装置10に対して被写体方向に隣接配置されたレンズ53の像面側の凹面とが近接している様子も示している。このように、絞り装置10の絞り羽根3を、レンズ51の被写体側の凸面とレンズ53の像面側の凹面との狭い空間の間に配置することも可能である。
さらに、図5に示すように絞り装置10とその両側のレンズ51,53とが近接した状態で撮影光学系を保持するレンズ鏡筒がカメラ本体内に収納(沈胴)されるようにしてもよい。
【0044】
また、絞り装置10は、図8に示したカメラだけでなく、交換レンズ等の他の光学機器にも搭載することができる。
【0045】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
小型でありながらも、内部にレンズを入り込ませることが可能な光量調節装置およびこれを搭載したカメラ等の光学機器を提供できる。
【符号の説明】
【0047】
1 地板
1a 支持ボス部
2 駆動リング
3 絞り羽根
3d カムボス部
4 カバー部材
5 駆動部
10 絞り装置
51,53 レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8