(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記マイクロウェーブガイドは、両端が閉鎖された管形態であり、その長さ方向に従って、上記電磁波発生源と上記プラズマ発生部が離隔されて設置されることを特徴とする請求項1記載の医療用プラズマ滅菌装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述したような問題点を解決するためのものであり、製造費用が低く、熱に弱い材質の被処理物に対して使用が可能であり、滅菌処理時間を短縮できる医療用プラズマ滅菌装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的を達成するために、本発明の一実施例によれば、
【0007】
被処理物に対する滅菌処理が行われる滅菌反応器と、上記滅菌反応器と連結された真空ポンプを備え、上記滅菌反応器の内部を真空状態にする真空形成部と、上記滅菌反応器の内部に供給される気体状態の過酸化水素を提供する過酸化水素供給部と、マイクロウェーブを用いてプラズマを発生させるマイクロウェーブプラズマ発生部とを含み、上記マイクロウェーブプラズマ発生部はマイクロウェーブを発生させる電磁波発生源と、過酸化水素が上記滅菌反応器に供給されるように、上記過酸化水素供給部と上記滅菌反応器を連結してマイクロウェーブによってプラズマが発生するプラズマ発生部と、上記電磁波発生源から発生したマイクロウェーブを上記プラズマ発生部に伝えるマイクロウェーブガイドとを備えることを特徴とする医療用プラズマ滅菌装置が提供される。
【0008】
上記プラズマ発生部は、誘電体材質のチューブ又はカップ形状があり得る。
【0009】
上記プラズマ発生部は、二重管から成り立ち、2つの管の間に冷却用流体が流れることができる。
【0010】
上記マイクロウェーブガイドは、両端が閉鎖された管の形態であり、その長さ方向に沿って上記電磁波発生源と上記プラズマ発生部が離隔されて設置できる。
【0011】
上記真空形成部は、上記プラズマ発生部を通して真空排気できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、前記本発明の目的を全て達成できる。具体的には、医療用器具の使用後、再使用が可能な滅菌装置を提供し、熱変形しやすい材質の医療器具の滅菌にも使用できる滅菌装置を提供し、比較的低価の過酸化水素プラズマ滅菌装置を提供して、短い滅菌時間を有する滅菌装置を提供し、簡単な構造と簡単な使用手順の滅菌装置を提供し、外気温度30℃未満でも滅菌可能な滅菌装置を提供する。また、マイクロウェーブ(Microwave)発生器を用いてプラズマを発生させ、被処理物の周囲ではない領域で主にプラズマが発生し、被処理物に発生ラジカルが接触できるようにする。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の特定の構造乃至機能的な説明は、単に本発明の概念による実施例を説明するための目的で例示されたものであり、本発明の概念による実施例は、様々な形態で実施でき、本明細書又は出願で説明された実施例に限定されると解釈されてはならない。
【0015】
本発明の概念による実施例は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるので、特定の実施例は図面に例示し、本明細書又は出願で詳細に説明する。しかし、これは本発明の概念による実施例を特定の開示形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物乃至代替物を含むものとして理解すべきである。
【0016】
第1及び/又は第2等の用語は多様な構成要素を説明するのに使用されるが、上記構成要素は上記用語に限定されない。上記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用され、例えば、本発明の概念による権利範囲から外れないまま、第1構成要素は第2構成要素と命名されることができ、同様に第2構成要素は第1構成要素とも命名されることができる。
【0017】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、「接続されて」いると言及されるときは、その他の構成要素に直接に連結されているか、又は接続されていることもあるが、その間に他の構成要素が存在することもあると理解されるべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」ているか、又は「直接接続されて」いると言及されるときは、その間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。構成要素間の関係を説明するための他の表現、すなわち、「〜の間に」と「すぐ〜の間に」、又は「〜に隣接する」と「〜に直接隣接する」等の表現も同様に解釈されるべきである。
【0018】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む(備える)」又は「有する」等の用語は、説示された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品、又はそれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つ若しくはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品、又はそれらを組み合わせたものの存在、又は付加の可能性を予め排除するものではないと理解されるべきである。
【0019】
他に定義されない限り、技術的又は科学的用語を含め、ここで使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に使用される、辞典に定義されているような用語は、関連技術が文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書において明確に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されない。
【0020】
本発明による過酸化水素とマイクロウェーブを用いる医療用プラズマ滅菌装置は、以下のような特徴を有する。
【0021】
マイクロウェーブをウェーブガイドのようなキャビティー(Cavity)に閉じ込め、スタンディングウェーブ(Standing Wave)を構成して高い電場をもたらし、これを利用して特定の気体にプラズマを発生させることができる。マイクロウェーブプラズマは、一般的なDC又はRFプラズマに比べて高い電子温度とプラズマ密度が得られ、より幅広い範囲の圧力条件でプラズマを維持できる長所を有する。(e.g.5〜15eV、108〜1015cm−3、unmagnetized:10mtorr〜760torr、magnetized:few μtorr〜10mtorr)
【0022】
また、比較的高いイオン化率を達成し、シース(Sheath)の電圧が低くスパッタリング(Sputtering)による電極又は構造物の損傷を最小にできる長所がある。
【0023】
本発明ではマイクロウェーブを発生させることができる電磁波源(マグネトロン等)に適切なウェーブガイドを設置し、一端には誘電体負荷を設置して誘電体負荷の内部に適切なpd(圧力×間隙)を造成するとプラズマが発生される。このとき発生されたプラズマに過酸化水素が存在すると、電子衝突、UV吸収、分子・原子との衝突により、OHラジカル等の滅菌に必要な物質が生じる。
【0024】
過酸化水素が存在する条件では、プラズマが発生される場合、発生されるUVによって、バクテリア等の細胞や胞子が滅菌されることもでき、高エネルギーの電子及び気体粒子が直接衝突して死滅させるかもしれない。また、最も重要な役割は、過酸化水素の分解によりOHラジカル又はHO
2ラジカル等の高酸化性化学物質が生じ、滅菌反応を加速することができる。
【0025】
低温条件でもプラズマを発生させられるので、樹脂等の熱に弱い材質に対しても滅菌可能であり、圧力の調整によって微細で複雑な構造の医療装置にも適応できる。
【0026】
また、プラズマ発生部が被処理物から離隔されて、電気的衝撃による医療装置の故障も防止できる。
【0027】
上述した本発明の目的、特徴、及び長所は、添付図面に関する次の実施例を通じてより明らかになるはずである。以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明することによって、本発明を詳細に説明する。各図面に提示された同一の参照符号は同一な部材を示す。
【0028】
図1を参照すると、医療用プラズマ滅菌装置100は、滅菌反応器110と、真空形成部120と、外気供給部130と、過酸化水素供給部140と、マイクロウェーブプラズマ発生部150とを含む。
【0029】
滅菌反応器110は、被処理物の医療用装備に対する滅菌処理が行われる反応器である。滅菌反応器110には、滅菌反応器110内の温度を測定する温度測定センサー111と、滅菌反応器110内の圧力を測定する圧力測定センサー112と、滅菌反応器110、及び被処理物の温度を制御するためのヒーター(未図示)が備えられる。図面に図示されてはいないが、滅菌反応器110には、開閉可能な作業ドアと、真空排気口と、オゾン供給口と、過酸化水素供給口と、外気供給口が設けられる。滅菌反応器110の内部は、約100mtorr未満の真空度を保証できるようにし、使用用途の必要によって内部の体積が算定される。
【0030】
真空形成部120は、真空ポンプ121と、第1連結配管122と、第1調節バルブ122を備える。真空形成部120は、滅菌反応器110の内部を真空状態にする。真空ポンプ121は、滅菌反応器110の内部の気体を外部に排気する。真空ポンプ121は、過酸化水素に対する耐久性を有するものが好ましい。第1連結配管122は、真空ポンプ121と滅菌反応器110に設けられた真空排気口(未図示)の間を連結する。第1調節バルブ123は、第1連結配管122上に設置され、第1連結配管122を開閉する。真空ポンプ121を通過した排気ガスは、オキシダント(oxidant)除去装置124を経て、最終的に排気される。
【0031】
外気供給部130は、第2調節バルブ131と、第2連結配管132と、ヒーター133を備える。外気供給部130は、必要なときに外気を滅菌反応器110に供給する。第2調節バルブ131は、第2連結配管132上に設置され、第2連結配管132を開閉する。第2連結配管132は、滅菌反応器110に設けられた外気供給口(未図示)と連結される。ヒーター133は、第2連結配管132上に外気供給口(未図示)に隣接して設置され、滅菌反応器110の温度を制御する。
【0032】
図1と
図2を参照すると、過酸化水素供給部140は、過酸化水素気化装置141と、第3連結配管142と、第3調節バルブ143とを備える。過酸化水素供給部140は、滅菌反応器110の内部に気化した過酸化水素を供給する。過酸化水素気化装置141は、内部に過酸化水素が貯蔵される貯蔵空間を提供し、ヒーター141aと、温度調節器141bと、排水バルブ141cと、給水バルブ141dと、水位センサー141eとを備える。ヒーター141aは、過度の蒸発によって液体状態の過酸化水素が冷却され結氷されることを防止する。温度調節器141bは、ヒーター141aの作動を制御する。排水バルブ141cは、過酸化水素気化装置141内に貯蔵された液体過酸化水素を排水する際に用いられる。給水バルブ141dは、過酸化水素気化装置141内に液体過酸化水素を供給する際に用いられる。水位センサー141eを通じて過酸化水素気化装置141内に貯蔵された液体過酸化水素の量が測定される。過酸化水素気化装置141で用いられる過酸化水素の濃度は1〜100%である。これとは別に、噴霧、オゾン酸基等の方法により、過酸化水素が滅菌反応器110に提供されることもできる。気化装置141は、過酸化水素の供給量が滅菌反応器110の設定温度で滅菌反応器110の内部体積の飽和圧力の100%未満に相当する量だけ蒸発されて供給できるように3〜100%濃度の液体上過酸化水素を蒸発させることができる。
【0033】
第3連結配管142は、過酸化水素気化装置141とマイクロウェーブプラズマ発生部150の間を連結する。第3連結配管142は、温度調節又は保温できるものが好ましい。第3調節バルブ143は、第3連結配管142上に設置されて第3連結配管142を開閉する。
【0034】
図1及び
図3乃至
図5を参照すると、マイクロウェーブプラズマ発生部150は、マイクロウェーブプラズマ発生器151と電源供給器159を備える。マイクロウェーブプラズマ発生部150はマイクロウェーブを利用してプラズマを発生させる。
【0035】
マイクロウェーブプラズマ発生器151は、電磁波発生源153と、マイクロウェーブガイド152と、プラズマ発生部154と、チューナー部155を備える。
【0036】
電磁波発生源153はマイクロウェーブを発生させる。マイクロウェーブとは、0.3〜300GHzの周波数の電磁波であり、軍用レーダー、家庭用調理器、無線通信等の分野で使用され、水原子の回転振動数(Rotational Frequency)と帯域が同じため、水に吸収されて水分子を過熱する特徴を有する。また、遠距離電力輸送の可能性も報告されている。電磁波発生源153として、本実施例ではマグネトロンを用いると説明するが、本発明がこれに制限されるものではない。電磁波発生源153は、アンテナ153aを備える。電磁波発生源153は、電源供給器159から電源を供給されて作動する。
【0037】
マイクロウェーブガイド152は、両端が閉鎖された四角断面の管形態である。マイクロウェーブガイド152には、その長さ方向に離隔されて電磁波発生源153とプラズマ発生部154が設置される。マイクロウェーブガイド152の内部空間に電磁波発生源153のアンテナ153aが位置する。マイクロウェーブガイド152は、電磁波発生源153で発生したマイクロウェーブをプラズマ発生部154に伝える。マイクロウェーブガイド152には、電磁波発生源153が設置される位置に対応して形成された電磁波発生源設置穴152aと、プラズマ発生部154が設置される位置に対応して形成されたプラズマ発生部設置穴152bが設けられる。電磁波発生源設置穴152aとプラズマ発生部設置穴152bの間には、マイクロウェーブガイド152の長さ方向に沿って順に位置する複数のチューナー設置穴152cが設けられる。
【0038】
プラズマ発生部154は、誘電体材質のチューブ(これとは別にカップ形状もあり得る)形態としてマイクロウェーブガイド152の内部空間を突き抜けるように、プラズマ発生部設置穴152bに設置される。プラズマ発生部154の一端は、滅菌反応器110と連結され、他端は過酸化水素供給部140の第3連結配管142と連結され、過酸化水素ガスがプラズマ発生部154を経て滅菌反応器110に提供される。プラズマ発生部154の内部では、マイクロウェーブによってプラズマが発生し、それによってその内部を通過する過酸化水素は分解され、OHラジカル又はHO
2ラジカル等の滅菌反応を加速させる高酸化性の化学物質が生成される。プラズマ発生部154は、二重管から成り立ち、管と管の間に冷却用流体(オイル、圧縮空気等)が流れるように構成できる。
【0039】
チューナー部155は、多数のチューニング部材155aを備える。チューニング部材155aは、棒形状としてマイクロウェーブガイド152に形成されたチューナー設置穴152cにそれぞれねじ結合と同様の方式で結合される。チューニング部材155aは、マイクロウェーブガイド152の内部空間へ突出された長さがそれぞれ調節される。本実施例では、チューニング部材155aを3つ備えるものとして説明する。
【0040】
被処理物に湿気が残っていたり、温度差が激しい場合、被処理物および被処理物周囲の温度を同一に維持することが必要になることもあり、このとき、第1調節バルブ131を開けて滅菌反応器110の外部の空気をパージ(Purge)してコンディショニング(Conditioning)する。このとき、ヒーター133を利用して過熱された空気を供給することもできる。
【0041】
さて、
図6を参照して
図1に図示された医療用プラズマ滅菌装置による医療用装備の滅菌方法を詳細に説明する。
図6を参照すると、医療用装備の滅菌方法は、被処理物積載段階S10と、温度調節段階S20と、真空排気段階S30と、プラズマ発生段階S40と、過酸化水素注入段階S50と、滅菌処理段階S60と、換気段階S70と、真空解除段階S80と、被処理物回収段階S90とを含む。
【0042】
被処理物積載段階S10では、
図1に図示された医療用プラズマ滅菌装置が作動しない状態で、被処理物である医療用装備が滅菌反応器(
図1の110)内に積載される。
【0043】
温度調節段階S20では、過酸化水素供給部(
図1の140)から供給された、気化した過酸化水素が滅菌反応器(
図1の110)内で凝縮されないように滅菌反応器の温度が適切に維持される。
【0044】
真空排気段階S30では、被処理物の微細構造内部まで均等に滅菌剤が浸透できるように、真空形成部120を利用して滅菌反応器(
図1の110)の内部が10torr以下まで真空排気される。
【0045】
プラズマ発生段階S40では、マイクロウェーブプラズマ発生部(
図1の150)が作動してプラズマ発生部(
図3の154)にプラズマが発生する。プラズマ発生は以降、過酸化水素を注入後60分以下の時間範囲内で持続できる。プラズマ発生は、滅菌反応器に対する換気の以前に終了されたり、真空排気をプラズマ発生部に通過させるように進行する場合、滅菌反応器に対する換気工程まで持続した後で終了される。
【0046】
過酸化水素注入段階S50では、過酸化水素供給部(
図140)によって気化した過酸化水素がプラズマ発生部(
図3の154)を経て、滅菌反応器(
図1の110)内に注入される。
【0047】
滅菌処理段階S60では、滅菌反応器(
図1の110)内で医療用装備に対する滅菌処理が行われる。
【0048】
換気段階S70では、滅菌反応器(
図1の110)に対する10torr未満までの真空排気が行われる。真空排気はプラズマ発生部(
図3の154)を通過するように進行されることができるが、この場合、未反応過酸化水素を水と酸素に変化させて残留過酸化水素が外部排出されることを防止できる。
【0049】
真空解除段階S80では、換気段階S70を通して滅菌反応器(
図1の110)の内部に形成された真空状態が解除される。
【0050】
被処理物回収段階S90では、滅菌処理された被処理物が回収される。
【0051】
場合によっては、プラズマ発生段階S40乃至換気段階S70が2回以上繰り返されることもある。
【0052】
以上で説明した本発明は、前述した実施例及び添付図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を外れない範囲内で、様々な置換、変形、及び変更が可能であることは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者には明らかであろう。