(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938476
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】呼吸器疾患を治療するための定量噴霧式吸入剤を調製する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/58 20060101AFI20160609BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20160609BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20160609BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20160609BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20160609BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20160609BHJP
A61K 31/56 20060101ALI20160609BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20160609BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20160609BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20160609BHJP
A61K 31/4704 20060101ALI20160609BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20160609BHJP
A61K 47/34 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
A61K31/58
A61K9/12
A61K47/10
A61K47/06
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/56
A61K31/573
A61P11/06
A61P11/00
A61K31/4704
A61K31/137
A61K47/34
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-526363(P2014-526363)
(86)(22)【出願日】2012年2月14日
(65)【公表番号】特表2014-527056(P2014-527056A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】CN2012071129
(87)【国際公開番号】WO2013026269
(87)【国際公開日】20130228
【審査請求日】2014年6月26日
(31)【優先権主張番号】201110239124.1
(32)【優先日】2011年8月19日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512227373
【氏名又は名称】益得生物科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウ、ウェイ−シウ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、イェン−チン
【審査官】
山中 隆幸
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−511160(JP,A)
【文献】
特表2002−521424(JP,A)
【文献】
特表2006−510614(JP,A)
【文献】
特開2012−067072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00−9/72
A61K 31/00−31/80
A61K 47/00−47/48
A61P 1/00−43/00JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入剤組成物を調製する方法であって、以下の工程のみからなる方法:
a)アルコールと界面活性剤とを混合し、第一混合物を形成する工程であって、前記アルコールが前記吸入剤組成物の総重量の0.05〜2.5(w/w%)の含量を有する前記工程、
b)前記第一混合物にβ−2アゴニストを分散させ、第二混合物を形成する工程、
c)前記第二混合物にハイドロフルオロアルカン(HFA)噴射剤を添加し、吸入剤組成物を形成する工程、
d)前記吸入剤組成物にコルチコステロイドを分散させる工程、
e)缶内に前記吸入剤組成物を加圧して注入する工程
【請求項2】
前記コルチコステロイドは、ブデソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、シクレソニド、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された一つを含み、
前記β−2アゴニストは、アルブテロール、プロカテロール、フォルモテロール、硫酸アルブテロール、塩酸プロカテロール、フマル酸フォルモテロールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の吸入剤組成物を調製する方法。
【請求項3】
前記HFA噴射剤は、HFA134a及びHFA227の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の吸入剤組成物を調製する方法。
【請求項4】
前記界面活性剤は、100〜6000範囲の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)を含み、添加重量比が前記吸入剤組成物の総重量の0.01%〜2.50%(w/w%)の範囲を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸入剤組成物を調製する方法。
【請求項5】
定量噴霧式吸入剤組成物であって、前記定量噴霧式吸入剤組成物が総重量を有し、
前記総重量の0.05〜2.5%(w/w%)のアルコールと、
ハイドロフルオロアルカン(HFA)噴射剤と、
前記総重量の0.2〜1.5%(w/w%)のPEGと、
前記総重量の0.014〜0.396%(w/w%)のβ−2アゴニスト及び前記総重量の0.252〜0.351%(w/w%)のコルチコステロイドと、を含むことを特徴とする定量噴霧式吸入剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤含有の加圧定量噴霧式吸入剤組成物及びその調製方法を提供する。前記加圧噴霧式定量吸入剤は、医薬品として喘息や慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器関連疾病の治療に用いられる。
【背景技術】
【0002】
加圧定量吸入剤(pressurized Metered Dose Inhaler, pMDI)は吸入した薬を局所的に、迅速的に活性化させ、経口薬物と比べて、より低い全身的な拒絶反応を有している。加圧定量吸入剤は、ドライパウダー吸入剤(Dry Powder Inhaler,DPI)とともに喘息や慢性閉塞性肺疾患の治療に当たって一番普及している薬物投与方法となっており、特にコルチコステロイド、β−2アゴニスト、抗コリン薬、または上記成分を併用した組成物の投与に用いられている。
【0003】
1995年3M社がクロロフルオロカーボン(chlorofluorocarbons, CFC)を噴射剤とした定量加圧吸入剤商品を開発してから、加圧定量吸入剤はすでに喘息や慢性閉塞性肺疾患の治療において一番普及している薬物投与方法となっている。加圧定量吸入剤は経口薬物より早く活性化し、より低い全身的な拒絶反応を有している。従来これらの疾病を治療する薬物の成分は、コルチコステロイド、β−2アゴニスト、抗コリン薬、または上記成分からなる吸入式製剤の薬剤組成物などがある。
【0004】
クロロフルオロカーボン噴射剤は、1970年代にオゾン層破壊の問題があると発見されたため、世界的な使用制限となりつつある。1980年代末に、代替製品であるドライパウダー吸入剤が開発されてきた。ただ、ドライパウダー吸入剤は、湿気の影響を受けやすい、また、有効に投与させるため、製品を使う際に患者は十分な呼気速度が必要となるので、全面的にクロロフルオロカーボン(CFC)噴射剤付き加圧定量吸入剤(pMDI)の代替品とならなかった。最近、3MのRiker社は、初のCFCの代わりとなるハイドロフルオロアルカン(hydrofluoroalkanes, HFA)噴射剤、即ち1,1,1,2−テトラフルオロエタン(tetrafluoroethane, HFA134a、HFC134a)や1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(heptafluoro-n-propane, HFC227ea、HFC227、HFA227)を開発したが、薬剤の製造技術や安全性などの問題でHFA加圧定量吸入剤の製剤は、1996年に始めて最初の製品が販売され、その後2004年に著しく発展し、2010年以降CFCMDIの全面的な生産禁止を促している。
【0005】
Riker/3M社の米国特許5,225,183号、5,439,670号、5,695,743号、5,766,573号、5,836,299号、6,352,684号などでは、HFA134a含有の処方特許が開示されている。サルブタモール(salbutamol)などのβ−2アドレナリンアゴニストと、又はベクロメタゾンプロピオン酸エステルなどのコルチコステロイド成分と、アドレナリン成分と、コリン類又は抗ヒスタミン薬などの薬物を使用し、かつ1〜50%のエタノール化合物を溶解促進剤とし、界面活性剤についてはオレイン酸、ポリエチレングリコール(PEG)400またはSpanなどの誘導体を使用し、添加重量比率は5%以下とする。米国特許6,743,413号では、HFA134aと微粒化薬物を主要成分とし、その他の賦形剤を使用していない。米国特許5,776,432号は、HFA134a、HFA227または両者の混合物を噴射剤として使用し、かつ2%〜12%のエタノールを使用して、主要成分薬物であるベクロメタゾン(beclomethasone)17,21ジプロピオネートの溶解促進剤として使用し、界面活性剤は一切含有していない。
【0006】
Schering社は米国特許5,474,759号ではHFA227を噴射剤とし、長鎖のプロピレングリコールジエステル(propylene glycol diester)を界面活性剤とするものを開示している。主要成分は、アルブテロール(albuterol)、硫酸アルブテロール、ベクロメタゾンジプロピオン酸エステル又はフランカルボン酸モメタゾンなどがある。
【0007】
GSK社は米国特許5,653,962号、5,658,549号、5,744,123号などにHFA含有の処方特許を開示している。かかる処方には、主要成分としてサルメテロール(salmeterol)、サルブタモール、フルチカゾンプロピオン酸エステルなどが含まれるが、溶解共力剤がなく、かつ0.0001%以下の界面活性剤を使用している。その次の特許は薬物輸送の均一性に関するものである。米国特許6,315,173号、米国特許6,510,969号は噴霧ノズルの改良設計である。米国特許6,479,035号は、フルチカゾン(Fluticazone)および7〜20%のアルコール溶解促進剤を用い、かつ0.5〜3%のグリセロールまたはPEGを界面活性剤として使用する。米国特許5,736,124号、5,817,293号、5,916,540号、5,922,306号、6,333,023号、6,200,549号及び6,222,339号での開示は、ホルモテロール(formoterol)を主要成分とし、0.01〜5%のエタノールを使用する。米国特許6,303,103号及び6,238,647号では、サルメテロールと抗コリン薬を併用し、かつ0.0001%以下の賦形剤を使用している。米国特許6,013,245号は、ベクロメタゾン、サルブタモールと関連し、かつHFA227を使用し、界面活性剤は使用しない。5,833,950号はベクロメタゾンとHFAを使用し、0.0001%以下の賦形剤を使用しているものを開示している。
【0008】
Aeropharm社は、HFA含有の処方特許を開示している。米国特許5,891,419号ではフルニソリド(flunisolide)に0.5%〜2%のエタノールのみを添加するものを開示している。米国特許5,891,420号では、トリアムシノロンアセトニドに1%〜3%のエタノールを添加するものを開示している。米国特許6,458,338号は、アミノ酸を安定化剤とした定量噴霧式剤形処方に関する。米国特許6,447,750号、6,540,982号、6,540,983号、6,548,049号及び6,645,468号が、主要成分は糖尿病治療用処方の定量噴霧式剤型処方を開示している。米国特許6,464,959号は、糖尿病治療用の薬物にアミノ酸と合併し、アミノ酸を安定化剤とした処方の定量噴霧式剤形を開示している。
【0009】
Baker Norton(現在はTEVA)社は、米国特許6,004,537号でHFA噴射剤と、溶解促進エタノール10%〜40%w/wによって主要成分のブデソニド(Budesonide)、ホルモテロールを溶解することを開示している。
【0010】
Fisons社の米国特許6,123,924号では、フェノテロール臭化水素酸塩、塩酸プロカテロール、硫酸サルブタモール、硫酸テルブタリン、アナボリックステロイド、ステロイド成分などのβ−2受容体作動薬と、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フルチカゾンプロピオン酸エステル、チプレダン(tipredane)、抗ヒスタミン剤、抗炎症又は、アセチル−β−メチルコリンブロミド(acetyl-β-methylcholine bromide)と、ペンタミジンイソエチオネート(isoethionate)、チプレダネン(tipredanene)、ドクロミルナトリウム(docromil sodium)、クロモグリク酸ナトリウム(sodium cromoglicate)、クレマスチン、又はブデソニド(budesonide)などのコリン類成分と、をHFAに散布し、かつ0.00001〜10%w/wのポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone, PVP)を懸濁化剤とし、分子量400〜3,000のポリエチレングリコールを平滑剤としている。
【0011】
Chiesi社の台湾特許出願公開200303767号では、ホルモテロールの極細製剤技術を開示している。これは、0.003〜0.192%w/vの(R,R)−(±)−ホルモテロールフマル酸塩を含有し、加圧定量吸入剤配合技術によって10〜20%のエタノール及び塩酸でpH値を調整し、かつ1.1μmより小さい、または等しいパーティクルは、30%より大きい、または等しい割合を占めていることを強調している。米国特許7,223,381号ではブデソニド、HFA噴射剤及び溶解共力剤であるエタノール13%及び0.2〜2%のグリセリンからなる処方を開示している。
【0012】
Nektar社の米国特許6,638,495号は、リン脂質を賦形剤としてミクロ構造を形成し、バイオ活性物質を加圧定量吸入剤に散布する製剤組成技術と関している。
【0013】
AstraZeneca社の米国特許6,932,962号は、HFA噴霧式剤形に関し、HFA噴霧式剤形は、脂肪酸またはその塩基、胆汁酸塩、リン脂質またはアルキルポリグリコシドを界面活性剤として含まれ、エタノールの使用量は5〜20%となっている。
【0014】
カーディフ大学・コンサルタンツ株式会社(University College Cardiff Consultants Limited)の米国特許7,481,995号は、アミノ酸を懸濁化賦形剤とするHFAMDI製剤技術に関している。
【0015】
ここでは全体的に加圧定量噴霧式剤形処方に関する先行技術を観察し、薬物及びHFA気体以外に、エタノールの使用状況によって下記通りの技術に分類する。
【0016】
1).添加物なし:GSK社は代表例であって、薬物は完全に懸濁液状態で現れる。ただ、投与の均一性は悪い問題がある。
【0017】
2).エタノールを使用せず、単に賦形剤を使用する:例えばPVPやプロピレングリコール脂肪酸エステルなどである。
【0018】
3).大量のエタノール:10%を超えたエタノールは完全に薬物を溶解することができ、他の賦形剤の添加の有無は問わない。この場合、長所は薬物投与の均一性がよく、短所は薬物の安定性が悪いことと、アルコールの匂いはあまり患者に受け入れられないことである。
【0019】
4).中低量のエタノール:約1〜10%のエタノールと、他の賦形剤とを併せて使用する。この状況では、薬物は溶解する部分と、溶解していない部分と、両方存在する状態となるため、製剤の安定性に対する影響はより大きい。特に保存時間の経過によって薬物の粒径も変わってしまう。
【0020】
5).極低量エタノール:例えばValois社の処方である。その場合、長所は薬物は溶解しない懸濁液状態となり、薬の安定性はより優れる。しかし、薬物投与の均一性が悪く、他の賦形剤の補助が必要である。また、製造工程はより難しいなどの短所もある。
【0021】
Valois SAS社が発表したブデソニドHFAMDIに関する配合の研究(Indian Journal of Pharmaceutical Science, Vol. 69, No. 5, P. 722-724, Sep-Oct 2007)では、0.1〜5%のPEG300と、0.2〜2%のエタノールを使用している。しかし、この処方では、容器が薬物に対する付着性を下げ、かつ投与の均一性を上げるために、やはりアルマイト表面処理した容器(標準アルミニウム陽極酸化缶)を使用する必要がある。工程規模を大きくした場合、または一般容器(アルミニウム缶)を使用する場合は、品質問題が生じてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
そのため、製薬工業において、実際量産する際に、処方内容が同じでも、成分の混合順番及び充填設備や方法の違いによって、品質の差が生じる。例えば主要成分の総量が不足、薬物のパーティクルの粘着や均一性の低下などである。特には二つ主要成分を含有する製品では、その主要成分の間の物理化学性質及び含量比例の差によって、上記の問題は生じやすい。製剤内容の賦形剤の結合工程、特には主要成分と噴射剤と他の賦形剤と混合する順番と均一分散方法から着目すれば、安定する品質で、より安全で、より有効な加圧定量噴霧式剤形を提案できると考えられる。
【0023】
肺部は脆い組織であるので、薬物を経肺投与する際に、肺部に対する損傷を最低限に抑えなければならない。肺部の表面細胞には運動する繊毛があって、吸入した異物を排出できるが、その異物排出の機能は限度があるため、吸入式製剤を調製する際に、なるべく少量または毒性が低い賦形剤を使用すべきである。大量に溶解促進剤を使用すれば、より高い均一性を実現できる一方、安定性が落ちてしまう。そのため、本発明のHFA加圧定量吸入剤製剤の開発方針は、最低量の賦形剤と溶解促進剤によって安全で、有効な懸濁液剤形を調製し、良好な薬物投与均一性及び製品の長期安定性を達成し、かつ有効に患者体内に入る薬剤量(<5μm)を提供することである。しかし、すでに特許権利化したHFA処方は、賦形剤と溶解促進剤を下げる場合、製品の安定性と均一性が低下する傾向がある。特に製品は同時に二つ主要成分を含有している場合、例えばβ−2アゴニストとコルチコステロイドである。両者の間の含有量の差が大きい、かつ物理化学性質が異なる時に、剤形の中の主要成分の均一性と安定性が低下する傾向がある。また、懸濁液剤形の製造工程において、主要成分は賦形剤と均一に混合できないため、薬物のパーティクルが凝縮して製品の有効吸入量(Fine Particle Dose)が酷く落ちる現象がある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明が提供する定量噴霧式吸入剤組成物の調製方法は、下記の工程を有する。
(a)0.05〜10.0%w/w%%のアルコールと界面活性剤とを混合し、第一混合物を形成する。
(b)第一混合物にβ−2アゴニストを分散させ、第二混合物を形成する。
(c)第二混合物にハイドロフルオロアルカン(HFA)噴射剤を添加し、第三混合物を形成する。
(d)前記第三混合物にコルチコステロイドを分散させる。
(e)充填を行う。
【0025】
上記構想に基づき、本発明は吸入式薬剤を適切な工程と合わせ、安定かつ均一の剤形を形成する。まずは、β−2アゴニスト(例えばプロカテロール、サルブタモール、ホルモテロール及びサルメテロール)、コルチコステロイド(ブデソニド、フルカチゾン、シクレソニド(Ciclesonide)及びベクロメタゾン)またはこの二つ薬物の組合せを用いる。続いて、HFA推進剤は、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a、HFC134a)や1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC 227ea、HFC227、HFA227)を使用し、必要があれば混合して使用してもよい。表面活性剤は、ポリエチレングリコール(PEG)によって処方成分を安定させ、または計量バルブ(metering valve)を潤滑して詰まりを防ぐ。その添加量は0.01%〜2.50%w/w%とするが、0.05%〜1.50%w/w%の方がより望ましい。一般的にPEGはこの濃度においては、主要成分の溶解度を影響してその安定性を低下させることはない。PEG分子量は100〜6000が望ましい。懸濁作用以外に、添加量の変更によって粒径の分布を変える作用もあるため、粒径修正剤と見なしてもよい。無水エタノールの添加重量比例は0.05%〜10.0%w/w%とするが、0.25%〜2.0% w/w%の方がより望ましい。この濃度において、無水エタノールはPEGを溶解する働き以外に、噴霧式剤形の噴霧ノズルから揮発したHFAによるパーティクルの凝集現象を改善する効果もある。また、本発明の表面活性剤は、PEG分子量100〜6000の市販品を使用し、エタノールによって必要な粘度を調整する。
【0026】
上記構造に基づき、本発明は具体的に定量噴霧吸入剤の組成物の調製方法を提供する。その調製方法は下記の工程を含む。
(a)0.05%〜10.0%w/w%のアルコールと界面活性剤とを混合し、混合物を形成する。
(b)β−2アゴニストを混合物に分散させ、均一溶液を形成する。
(c)HFAを均一溶液に添加する。
(d)さらにコルチコステロイドを前記均一溶液に分散させる。
(e)冷凍充填または加圧充填などの工程。
【0027】
本発明の噴霧式剤形工程においては、主要成分のパーティクルの均一性を把握するために、PEGをHFAに均一に分散させる工程は非常に重要なステップである。まずは、少量のアルコールをPEGとを均一に混合する。吸入式薬品のパーティクルは非常に細かいため、ここではまだ溶液に凝集しやすい状態となっている。PEGをパーティクルを均一分散させるために、超音波振動方式によって濃縮液を形成する必要がある。アルコールとPEGの混合溶液の粘度と体積は主要成分の用量や特性に応じて変動するが、その変動量は処方総量の2%w/w%を超えるべきではない。ただ、主要成分の薬物含量がより高く、かつ外観の体積がアルコールとPEGの混合溶液体積より遥かに大きい場合、最初は主要成分をアルコール及びPEGとを混合し、前記濃縮液またはアルコールとPEGとの混合液にHFAを更に加え、攪拌して均一液を形成してから、はじめて含量の高い主要成分を均一液に入れて混合させる。上記工程は賦形剤の添加順番及び混合方式は、重要な影響がある。特には工程規模を大きくする場合、薬物のパーティクルの均一分散レベル及び主要成分薬物が混合槽に付着する量については、著しい改善を有している。最後に冷凍充填または加圧充填の工程を行う。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施例に係る処方例Iのブデソニドの送達量均一性の分析を示す図である。
【
図2】本発明の実施例に係る処方例Iの塩酸プロカテロールの送達量均一性の分析を示す図である。
【
図3】本発明の実施例に係る処方例Iのブデソニドの粒子サイズ分布の分析を示す図である。
【0029】
1:アクチュエータ
2:L-スロート
3:ステージ1+ステージ2
4:ステージ3
5:ステージ4
6:ステージ5
7:ステージ6+ステージ7+マイクロオリフィスコレクター(MOC)
【
図4】本発明の実施例に係る処方例Iの塩酸プロカテロールの粒子サイズ分布の分析を示す図である。
【0030】
1:アクチュエータ
2:L-スロート
3:ステージ1+ステージ2
4:ステージ3
5:ステージ4
6:ステージ5
7:ステージ6+ステージ7+マイクロオリフィスコレクター(MOC)
【
図5】本発明の実施例に係る処方例VIIのフルチカゾンの送達量均一性の分析を示す図である。
【
図6】本発明の実施例に係る処方例VIIのフルチカゾンの粒子サイズ分布の分析を示す図である。
【0031】
1:アクチュエータ
2:L-スロート
3:ステージ1
4:ステージ2
5:ステージ3
6:ステージ4
7:ステージ5
8:ステージ6
9:ステージ7
10:マイクロオリフィスコレクター(MOC)
【
図7】本発明の実施例に係る処方例VIIの硫酸アルブテロールの送達量均一性の分析を示す図である。
【
図8】本発明の実施例に係る処方例VIIの硫酸アルブテロールの粒子サイズ分布の分析を示す図である。
【0032】
1:アクチュエータ
2:L-スロート
3:ステージ1
4:ステージ2
5:ステージ3
6:ステージ4
7:ステージ5
8:ステージ6
9:ステージ7
10:マイクロオリフィスコレクター(MOC)
【発明を実施するための形態】
【0033】
送達量均一性(Delivered Dose Uniformity)の評価
スプレー用量の薬剤の有効性と安全性は、送達量均一性に影響を受けている。送達量均一性は、以下を含む。
1.ボトルを振る時に、懸濁溶液は均一かつ迅速に分散されている。
2.ボトルを振った後、均一の懸濁状態を少なくとも5秒間に維持される。
3.噴霧ノズルの許容範囲(米国食品医薬品局は、噴霧ノズル群の平均値が目標値±10%であり、各噴霧ノズルが目標値±15%であることを要求する)。
【0034】
信頼できる均一性試験を得るために、米国薬局方(USP)によって要求される用量サンプリング装置(DUSA)は、ガラス繊維フィルター(1μm)と共に使用される。必要な空気抽出流量(28.3L/分)でスプレーサンプリングを行った後、アクチュエータ(又はマウスピース)及びサンプリング/薬物集積装置における薬剤量を高効率クロマトグラフィーによってそれぞれ測定する。ボトルの初期三回のスプレー、中期四回のスプレー及び最終三回のスプレーのそれぞれは、単一投与量の試験を行う。試験方法は、単一スプレーの主成分が薬局方の要件に応じて指示された投与量の25%以下である必要があり、十回のスプレーのすべての主成分の平均量が、薬局方の要件に応じて指示された投与量の15%以下である必要がある。また、40℃、相対湿度75%及び六ヶ月の維持期間という安定性を促進させるための条件で薬剤を保存し、送達量均一性を評価する。
【0035】
粒子サイズ分布(Particle size distribution)の評価
薬剤の粒子サイズ分布の状態を決定するために、スプレーサンプリングは、米国薬局方(USP)によって要求される空気抽出流量(30.0L/分)で次世代カスケードインパクターを用いて、薬剤の粒子サイズの分析を行う。40℃、相対湿度75%及び六ヶ月の維持期間という安定性を促進させるための条件で薬剤を保存し、次世代カスケードインパクターを用いてあらゆるレベルでの粒子の分布及び変化状況を観察して、処方溶液に懸濁される薬剤粒子の安定性を評価する。
【0036】
本発明で提供されるスプレー投与プロセスの処方例Iに基づいて、送達量均一性が分析される。
図1に示すように、第一スプレーにおけるブデソニドは、指示された投与量180mcgを有し、40℃、相対湿度75%及び六ヶ月の維持期間という安定性を促進させるための試験を行った後、すべてのボトルにおける十回スプレーの送達量においては、単一スプレーが薬局方に応じて指示された投与量の25%以下、十回スプレーの平均量が薬局方に応じて指示された投与量の15%以下という要件を符合している。
図2に示すように、第一スプレーにおける塩酸プロカテロールは、指示された投与量10mcgを有し、40℃、相対湿度75%及び六ヶ月の維持期間という安定性を促進させるための試験を行った後、すべてのボトルにおける十回スプレーの送達量においては、単一スプレーが薬局方に応じて指示された投与量の25%以下、十回スプレーの平均量が薬局方に応じて指示された投与量の15%以下という要件を満たしている。
【0037】
図3は、ブデソニドについての粒子サイズ分布の分析を示す。40℃、相対湿度75%及び六ヶ月の維持期間という安定性を促進させるための試験を行った後、すべてのレベルで次世代カスケードインパクターを用いてブデソニドの分析を行う。前記レベルは、アクチュエータ(actuator)、L-スロート(L−throat)、ステージ1(Stage 1)、ステージ2(Stage 2)、ステージ3(Stage 3)、ステージ4(Stage 4)、ステージ5(Stage 5)、ステージ6(Stage 6)、ステージ7(Stage 7)及びマイクロオリフィスコレクター(MOC)。あらゆるレベルでのブデソニド量及び最初時点のブデソニド量を比較すると、有意差がない(ANOVA検定、p>0.05)。
【0038】
図4は、塩酸プロカテロールについての粒子サイズ分布の分析を示す。40℃、相対湿度75%及び六ヶ月の維持期間という安定性を促進させるための試験を行った後、すべてのレベルで次世代カスケードインパクターを用いて塩酸プロカテロールの分析を行う。あらゆるレベルでの塩酸プロカテロール量及び最初時点の塩酸プロカテロール量を比較すると、有意差がない(ANOVA検定、p>0.05)。
【0039】
図5は、処方例VIIのスプレーにおけるフルチカゾンの送達量均一性の分析を示し、第一スプレーにおけるフルチカゾンは、指示された投与量250mcgを有する。40℃、相対湿度75%及び六ヶ月の維持期間という安定性を促進させるための試験を行った後、すべてのボトルにおける十回スプレーの送達量においては、単一スプレーが薬局方に応じて指示された投与量の25%以下、十回スプレーの平均量が薬局方に応じて指示された投与量の15%以下という要件を満たしている。
【0040】
図6は、処方例VIIのスプレーにおけるフルチカゾンについての粒子サイズ分布の分析を示す。40℃、相対湿度75%及び六ヶ月の維持期間という安定性を促進させるための試験を行った後、すべてのレベルで次世代カスケードインパクターを用いてフルチカゾンの分析を行う。あらゆるレベルでのフルチカゾン量及び最初時点のフルチカゾン量を比較すると、有意差がない(ANOVA検定、p>0.05)。
【0041】
図7は、処方例IXのスプレーにおける硫酸アルブテロールの送達量均一性の分析を示し、第一スプレーにおける硫酸アルブテロールは、指示された投与量250mcgを有する。40℃、相対湿度75%及び六ヶ月の維持期間という安定性を促進させるための試験を行った後、すべてのボトルにおける十回スプレーの送達量においては、単一スプレーが薬局方に応じて指示された投与量の25%以下、十回スプレーの平均量が薬局方に応じて指示された投与量の15%以下という要件を満たしている。
【0042】
図8は、硫酸アルブテロールについての粒子サイズ分布の分析を示す。40℃、相対湿度75%及び六ヶ月の維持期間という安定性を促進させるための試験を行った後、すべてのレベルで次世代カスケードインパクターを用いて硫酸アルブテロールの分析を行う。あらゆるレベルでの硫酸アルブテロール量及び最初時点の硫酸アルブテロール量を比較すると、有意差がない(ANOVA検定、p>0.05)。
【0043】
本発明の目的は、スケールアップ生産において、加圧式スプレー用量薬剤を製造する時、量の安定性、送達量均一性及び品質の安定性を促進することにある。特に、製品に組み合わされた二つの主成分が相対的に物理的及び化学的特性に多くの違いがある時、製造工程に適用される処方は工業的価値を有する。したがって、本発明は、法によって保護されることが求められる。以上の説明によると、本発明で提供される「呼吸器疾患を治療するための定量噴霧式吸入剤を調製する方法」は、当業者であれば本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、多様な変更及び修正が可能であることが分かる。従って、本発明の技術的な範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限らず、特許請求の範囲によって定めなければならない。
【0044】
プロセス例1:
プロカテロールHCl 0.014% w/w%
ブデソニド 0.252% w/w%
HFA227 98.984% w/w%
無水エタノール 0.500% w/w%
PEG6000 0.250% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0045】
プロセスについての説明
PEG6000は、混合溶液を形成するように、無水エタノールに完全に溶解する。次いで、塩酸プロカテロールHClは、混合溶液に注ぎ、均質化溶液を形成するように、超音波振動により溶解される。均質化溶液とHFA227を均質に混合した後、ブデソニドがその中に徐々追加される。最後に、凍結充填又は圧力充填を行う。
【0046】
プロセス例2:
プロピオン酸フルチカゾン 0.350% w/w%
HFA134a 98.900% w/w%
無水エタノール 0.500% w/w%
PEG400 0.250% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0047】
プロセスについての説明
PEG400は、混合溶液を形成するように、無水エタノールに完全に溶解する。均質化溶液とHFA134aを均質に混合した後、フルチカゾンがその中に徐々追加される。最後に、凍結充填又は圧力充填を行う。
【0048】
プロセス例3:
硫酸アルブテロール 0.168% w/w%
プロピオン酸フルチカゾン 0.322% w/w%
HFA134a 97.510% w/w%
無水エタノール 1.000% w/w%
PEG100 1.000% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0049】
プロセスについての説明
PEG100は、混合溶液を形成するように、無水エタノールに完全に溶解する。次いで、硫酸アルブテロールは、混合溶液に注ぎ、均質化溶液を形成するように、超音波振動により溶解される。均質化溶液とHFA227を均質に混合した後、フルチカゾンがその中に徐々追加される。最後に、凍結充填又は圧力充填を行う。
【0050】
プロセス例4:
プロカテロール 0.014% w/w%
HFA227 99.286% w/w%
無水エタノール 0.500% w/w%
PEG2000 0.200% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0051】
プロセスについての説明
PEG2000は、混合溶液を形成するように、無水エタノールに完全に溶解する。次いで、プロカテロールは、混合溶液に注ぎ、均質化溶液を形成するように、超音波振動により溶解される。HFA227は、均質化溶液と均質に混合する。最後に、凍結充填又は圧力充填を行う。
【0052】
処方例1:
プロカテロールHCl 0.014% w/w%
ブデソニド 0.280% w/w%
HFA134a 98.906% w/w%
アルコール 0.500% w/w%
PEG2000 0.300% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0053】
処方例2:
塩プロカテロールHCl 0.014% w/w%
プロピオン酸フルチカゾン 0.350% w/w%
HFA227 98.886% w/w%
アルコール 0.250% w/w%
PEG400 0.500% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0054】
処方例3:
硫酸アルブテロール 0.168% w/w%
プロピオン酸フルチカゾン 0.322% w/w%
HFA227 97.510% w/w%
無水エタノール 1.500% w/w%
PEG400 0.500% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0055】
処方例4:
プロカテロール 0.014% w/w%
HFA134a 97.986% w/w%
アルコール 1.000% w/w%
PEG100 1.000% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0056】
処方例5:
プロカテロールHCl 0.014% w/w%
ブデソニド 0.333% w/w%
HFA134a 98.903% w/w%
アルコール 0.250% w/w%
PEG400 0.500% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0057】
処方例6:
ブデソニド 0.330% w/w%
HFA227 99.530% w/w%
アルコール 1.500% w/w%
PEG2000 0.500% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0058】
処方例7:
プロピオン酸フルチカゾン 0.351% w/w%
HFA227 97.899% w/w%
アルコール 1.500% w/w%
PEG6000 0.250% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0059】
処方例8:
プロカテロールHCl 0.014% w/w%
シクレソニド 0.286% w/w%
HFA227 98.950% w/w%
アルコール 0.500% w/w%
PEG100 1.000% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0060】
処方例9
硫酸アルブテロール 0.396% w/w%
HFA134a 96.604% w/w%
アルコール 2.500% w/w%
PEG6000 0.500% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0061】
処方例10:
硫酸アルブテロール 0.168% w/w%
ジプロピオン酸ベクロメタゾン 0.286% w/w%
HFA227 96.546% w/w%
アルコール 1.500% w/w%
PEG100
1.500% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0062】
処方例11:
プロカテロールHCl 0.014% w/w%
ジプロピオン酸ベクロメタゾン 0.286% w/w%
HFA227 98.950% w/w%
アルコール 0.250% w/w%
PEG400 0.500% w/w%
総量 100.000% w/w%。
【0063】
実施形態
1.定量噴霧式吸入剤組成物を調製する方法であって、
(a)0.05%〜10.0%w/w%のアルコールと界面活性剤とを混合し、第一混合物を形成する工程と、
(b)前記第一混合物にβ−2アゴニストを分散させ、前記第二混合物を形成する工程と、
(c)前記第二混合物にハイドロフルオロアルカン(HFA)噴射剤を添加し、第三混合物を形成する工程と、
(d)前記第三混合物にコルチコステロイドを分散させる工程と、
(e)充填を行う工程と、を含んでいる。
【0064】
2.定量噴霧式吸入剤組成物を調製する方法であって、
(a)0.05%〜10.0%w/w%のアルコールと界面活性剤とを混合し、第一混合物を形成する工程と、
(b)前記第一混合物にβ−2アゴニストを分散させ、前記第二混合物を形成する工程と、
(c)前記第二混合物にHFAを添加し、第三混合物を形成する工程と、
(d)前記第三混合物にコルチコステロイドを分散させる工程と、を含んでいる。
【0065】
3.定量噴霧式吸入剤組成物を調製する方法であって、
(a)0.05%〜0.25%w/w%のアルコールと界面活性剤とを混合し、第一混合物を形成する工程と、
(b)前記第一混合物にβ−2アゴニストを分散させ、前記第二混合物を形成する工程と、
(c)前記第二混合物にHFAを添加し、第三混合物を形成する工程と、を含んでいる。
【0066】
4.実施形態1に記載の方法において、前記コルチコステロイドは、ブデソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、シクレソニド、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された一つを含む。
【0067】
5.実施形態1に記載の方法において、前記β−2アゴニストは、アルブテロール、プロカテロール、フォルモテロール、硫酸アルブテロール、塩酸プロカテロール、フマル酸フォルモテロールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された一つを含む。
【0068】
6.実施形態1に記載の方法において、アルコール溶媒は、無水エタノールである。
【0069】
7.実施形態1に記載の方法において、前記混合工程は、超音波振動によって行われる。
【0070】
8.実施形態5に記載の方法において、前記アルコールは、添加重量比が0.25%〜2.0%w/w%の範囲を有する。
【0071】
9.実施形態1に記載の方法において、前記界面活性剤は、100〜6000範囲の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0072】
10.実施形態9に記載の方法において、前記界面活性剤は、添加重量比が0.01%〜2.5%w/w%の範囲を有する。
【0073】
11.実施形態9に記載の方法において、前記界面活性剤は、添加重量比が0.05%〜1.5%w/w%の範囲を有する。
【0074】
12.実施形態1に記載の方法において、前記ハイドロフルオロアルカン(HFA)噴射剤は、HFA134a及びHFA227の一つを含む。
【0075】
13.実施形態12に記載の方法において、前記ハイドロフルオロアルカン噴射剤は、HFA134a及びHFA227の組み合わせを含んでもよい。
【0076】
14.実施形態1に記載の方法に従って調製する定量噴霧式吸入剤組成物は、喘息発作を罹患している被験者のための緊急薬剤又は偏極性治療の被験者のための薬剤として使用され、前記被験者は、喘息又は慢性閉塞性肺疾患を患い、前記薬剤は、被験者が寝る前又は寝た後に、偏極性治療中に前記被験者に投与される。
【0077】
以上、本発明に係る最も実用的な及び好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。それどころか、すべての修正及び類似の配置を包含するように、最も広い解釈を与えて、添付請求項の精神及び範囲内に含まれる様々な修正及び類似の配置を包含することを意図している。