特許第5938496号(P5938496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938496
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】伸縮継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/12 20060101AFI20160609BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   F16L27/12 E
   E03C1/12 E
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-106962(P2015-106962)
(22)【出願日】2015年5月27日
(62)【分割の表示】特願2011-28134(P2011-28134)の分割
【原出願日】2011年2月14日
(65)【公開番号】特開2015-178907(P2015-178907A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2015年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180068
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 怜史
(72)【発明者】
【氏名】徳丸 武司
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−169874(JP,A)
【文献】 特開平11−082837(JP,A)
【文献】 特開2006−312967(JP,A)
【文献】 特開平11−315979(JP,A)
【文献】 特開2008−106862(JP,A)
【文献】 特開2009−204047(JP,A)
【文献】 実開平01−083988(JP,U)
【文献】 特開平09−126370(JP,A)
【文献】 実開昭54−036125(JP,U)
【文献】 実開平07−017887(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/12
E03C 1/12
F16L 21/00 − 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差口部と、該差口部よりも径の大きい受口部とを一体に有すると共に、該受口部から内部へ挿入された管部材の熱伸縮を吸収可能な伸縮継手において、
前記受口部が、その内部に、挿入された管部材の外周面に弾接して、管部材の軸線方向および半径方向への変位に対するシールが可能なシール部を有し、
前記差口部が、前記受口部から挿入された管部材の外径よりも大きな内径を有し、
前記差口部が、その内部に、差口部まで挿入された管部材の端部がそれ以上奥へ入り込めないように位置規制する最終位置規制部を有し、
前記差口部の内部における前記最終位置規制部よりも手前側の位置に、前記管部材の端部を最適挿入深さで停止可能な中間停止部を設け、
前記最終位置規制部が、前記差口部の端縁部の位置に設けられ、
前記中間停止部が、前記最終位置規制部よりも管部材の最大熱伸長量分だけ手前側の位置に設けられたことを特徴とする伸縮継手。
【請求項2】
前記中間停止部が、差口部の内部における周方向の一部に設けられると共に、奥側へ進むに従い下り勾配となる傾斜面部であることを特徴とする請求項1記載の伸縮継手。
【請求項3】
前記最終位置規制部が、差口部の内方へ張出す内周フランジ部とされ、
該内周フランジ部が、前記傾斜面部とは周方向に反対側となる位置で部分的に切欠かれたことを特徴とする請求項2記載の伸縮継手。
【請求項4】
前記シール部が、受口部の奥側へ向かって縮径されるリップ部を有し、
前記差口部と受口部との境界部分周辺の内部に、リップ部を収容可能なリップ収容溝が設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の伸縮継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、伸縮継手に関するものである。より詳しくは、建物の排水配管設備などに用いられる伸縮継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、建物などには、各種の配管設備が設けられている。このような配管設備には、樹脂製の管部材を、樹脂製の継手部材で接続することによって構成されたものなどがある。
【0003】
上記した配管設備には、内部を高温の流体が流れることにより、主に管部材に熱伸縮を生じるものが存在する。このような熱伸縮が生じる配管設備としては、例えば、高温の排水が流れる排水配管などがある。
【0004】
このように、管部材が熱伸縮を起こした場合、管部材や継手部材が過度の変形によって破損するおそれがある。そのため、継手部材と管部材との間に伸縮継手を設置することにより、管部材の熱伸縮の影響を吸収させて管部材や継手部材などを破損から保護することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このような伸縮継手は、少なくとも、継手部材へ嵌合可能な差口部と、この差口部よりも大きな径を有して管部材を挿入可能な受口部とを一体に有すると共に、この受口部から挿入した管部材の熱伸縮を吸収可能なものとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−2476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した伸縮継手には、以下のような問題があった。
【0008】
即ち、熱伸縮によって管部材や継手部材に破損が生じないようにするためには、一般に、伸縮継手への管部材の挿入作業時に、管部材を、熱伸縮を見込んだ最適挿入深さに設置する必要があるが、この最適挿入深さを得るために、最適挿入深さの位置を計って管部材に標線を書き入れる作業や、標線の位置で管部材が正確に停止されるように管部材の停止位置を調整する作業が必要となるため、作業効率が良くなかった。
【0009】
そこで、上記特許文献1では、伸縮継手の内部に、管部材を最適挿入深さで位置規制する位置規制部を設けるようにしているが、位置規制部が、受口部に設けられていたため、伸縮継手の全長が長くなっていた。また、上記位置規制部を受口部に設けた場合、管部材の端部の位置によっては、受口部の内部に段差が生じるなどによって、伸縮継手の内部に汚物などが滞留するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、
差口部と、該差口部よりも径の大きい受口部とを一体に有すると共に、該受口部から内部へ挿入された管部材の熱伸縮を吸収可能な伸縮継手において、
前記受口部が、その内部に、挿入された管部材の外周面に弾接して、管部材の軸線方向および半径方向への変位に対するシールが可能なシール部を有し、
前記差口部が、前記受口部から挿入された管部材の外径よりも大きな内径を有し、
前記差口部が、その内部に、差口部まで挿入された管部材の端部がそれ以上奥へ入り込めないように位置規制する最終位置規制部を有し、
前記差口部の内部における前記最終位置規制部よりも手前側の位置に、前記管部材の端部を最適挿入深さで停止可能な中間停止部を設け、
前記最終位置規制部が、前記差口部の端縁部の位置に設けられ、
前記中間停止部が、前記最終位置規制部よりも管部材の最大熱伸長量分だけ手前側の位置に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上記構成ことによって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、差口部の端縁部の内部における最終位置規制部よりも管部材の最大熱伸長量分だけ手前側の位置に設けた中間停止部が、受口部への管部材の挿入作業時に、管部材の端部の最適挿入深さにて管部材を停止させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例にかかる伸縮継手の全体斜視図である。
図2図1を側方から見た断面図である。
図3図1を受口部側から見た図である。
図4】キャップ部を取外した図3と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、上記した各問題点を解決するために、主に、構造や形状を最適化して管部材の挿入作業を効率化し得るように構成している。
【0014】
以下、本発明を具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
<構成>以下、構成について説明する。
【0016】
建物などに対して、配管設備を設ける。この配管設備を、樹脂製の管部材を樹脂製の継手部材で接続したものとする。管部材と継手部材とには、例えば、それぞれ塩化ビニル樹脂などの素材ものが使用される。そして、特に、この配管設備を、内部に高温の流体が流れることにより、主に管部材に熱伸縮が生じるものとする。例えば、高温の排水が流れる排水配管などとする。
【0017】
この排水配管は、例えば、建物の各階の間を上下に延びる縦配管と、この縦配管から各階ごとに分岐された横配管とで構成される。そして、縦配管と横配管との分岐・合流部分に継手部材として、ほぼT字状をしたチーズなどの分岐合流継手が設けられる。例えば、上記した排水配管が単管式排水システムである場合、上記した分岐合流継手は、建物の各階ごとに設けられる集合管継手となる。ここで、単管式排水システムとは、要するに、排水の通路と、空気の通路とを、別々の管路に分けることなく、同一の管路の内部に確保し得るようにしたものである。そのために、上記した集合管継手の内部には、排水に旋回力を与えて配管の内周壁に沿って流し得るようにするための旋回羽根が設けられる。
【0018】
そして、上記した管部材の熱伸縮(特に、熱伸長。以下同様)による影響を吸収するために、継手部材と管部材との間に、この実施例にかかる樹脂製の伸縮継手を設置する。
【0019】
図1図2は、この実施例にかかる樹脂製の伸縮継手1を示すものであり、図1は斜視図、図2はその断面図である。この伸縮継手1は、上記した継手部材2へ嵌合可能な差口部3と、この差口部3よりも大きな径を有して管部材5を挿入可能な受口部4とを一体に有すると共に、受口部4から内部へ挿入された管部材5の熱伸縮を吸収可能な構成を有するものとされる。
【0020】
この場合、伸縮継手1は、継手部材2としての、ほぼT字状をしたチーズなどの分岐合流継手の、上部の受口部2aや、分岐合流部分の受口部2b(横向きの受口部)などに取付けることが可能なものとされる。なお、継手部材2における分岐合流部分の受口部2bは、複数設けられても良い。
【0021】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0022】
(構成1)
受口部4が、その内部に、挿入された管部材5の外周面に弾接して、管部材5の軸線方向8および半径方向9への変位に対するシールが可能なシール部11を有している。また、差口部3が、その内部に、差口部3まで挿入された管部材5の端部がそれ以上奥へ入り込めないように位置規制する最終位置規制部12を有している。そして、差口部3の内部における最終位置規制部12よりも手前側の位置に、管部材5の端部を最適挿入深さで停止可能な中間停止部13が設けられる。
【0023】
ここで、伸縮継手1は、基本的に全体がほぼ均一の肉厚となるように構成される。但し、必要な場合には、部分的に肉厚を変更することもできる。そして、差口部3と、この差口部3よりも大径の受口部4は、共に管部材5を内部へ挿入可能な内径寸法を有するものとされる。即ち、差口部3と受口部4との内径は、共に、管部材5の外径よりも大きくなされて、差口部3と受口部4との内部に、管部材5が挿嵌され得るようになっている。
【0024】
シール部11は、ゴム製のリング状をしたシール基部11aと、このシール基部11aの内周から内方へ向けて一体に突設された円錐台状のリップ部11bとを備えている。円錐台状のリップ部11bは、奥側へ向かって縮径される形状を有して、シール基部11aから分岐されている。シール部11は、シール基部11aが、受口部4の内周面に密着状態で嵌合設置されている。そのために、受口部4の内周面には、シール基部11aを収容するための段差部を設けるようにしても良い。また、伸縮継手1の差口部3と受口部4との境界部分周辺の内部には、そのほぼ上半部にリップ収容溝1aが設けられ、管部材5の挿嵌によって拡径されたリップ部11bが収容され得るようになっている。これに対し、伸縮継手1の差口部3と受口部4との境界部分周辺の内部におけるほぼ下半部は、上記したリップ収容溝1aに汚物などが滞留するのを防止するために、リップ収容溝1aを設けない非溝形成部1bとされている。更に、シール部11は、受口部4の外周面に取付けられたキャップ部14によって受口部4から脱落しないよう保持されている。
【0025】
このキャップ部14は、受口部4の外周面に嵌合可能な短筒状部14aと、この短筒状部14aの手前側に一体に設けられて、シール部11の端面を軸線方向8に係止可能な端面係止部14bとを有している。この端面係止部14bには、管部材5を挿嵌可能な開口部14cが設けられている。そして、受口部4の外周面と、キャップ部14の短筒状部14aの内周面との間には相互に嵌合方向(軸線方向)に係止可能な係止部15が周方向に複数箇所設けられている。この係止部15は、係止用爪部などとされている。
【0026】
また、上記した中間停止部13の位置は、管部材5の最大熱伸長量を考慮して決定される。即ち、管部材5が最大に伸長した時に最終位置規制部12にギリギリ到達する、常温時における管部材5の端部の停止位置(最適挿入深さ)として設定される。別の言い方をすると、上記した中間停止部13は、挿入作業時における管部材5の端部の設置基準位置であり、上記した最終位置規制部12は、熱膨張時における管部材5の端部の位置を規制するための位置である。中間停止部13は、挿入作業時に管部材5の端部が確実に停止されて、挿入作業時の挿入力ではそれ以上深く挿入できないようなものであることが望ましい。更に、中間停止部13は、管部材5の端部が当たった時に手ごたえが感じられるようなものであることが望ましい。更にまた、中間停止部13は、伸縮継手1と一体に設けられることが望ましい。
【0027】
(構成2)
伸縮継手1を構成する差口部3および受口部4を、軸線を横へ向けて配置されるものとする。即ち、伸縮継手1を横向きに使用されるものとする。そして、中間停止部13を、差口部3の内部の少なくとも頂部またはその周辺に設けられるようにする。そして、この中間停止部13を、奥側へ進むに従い下り勾配となる傾斜面部17とする。
【0028】
ここで、この横向きの伸縮継手1は、継手部材2としての上記したチーズなどの分岐合流継手(より具体的には、例えば、上記した単管式排水システムの集合管継手)における、分岐合流部分の受口部2b(横向きの受口部)に対してその差口部3が挿入取付けられるものとされる。そして、管部材5は、横配管とされる。
【0029】
また、傾斜面部17は、例えば、差口部3の内部の少なくとも頂部またはその周辺に対し、図3図4に示すように、周方向18に所要の範囲を有して連続的に設けられるものとすることができる。この場合には、差口部3の頂部を中心として、周方向18の両側へほぼ20度〜45度ずつの範囲に拡がるようなものとしている。或いは、特に図示しないが、傾斜面部17は、軸線方向へ延びるリブ状のものとすることができる。このリブ状の傾斜面部17は、差口部3の頂部やその周辺に対して、1個または複数個設けるようにすることができる。傾斜面部17は、最適挿入深さの時に、管部材5の面取りされた端部が傾斜面部17の途中に突き当たるようにする。この場合には、傾斜面部17は、最適挿入深さの位置を中心として、差口部3の内部で軸線方向8の前後へ延びるものとしている。
【0030】
(構成3)
最終位置規制部12が、差口部3の内方へ張出す内周フランジ部21とされる。そして、この内周フランジ部21が、差口部3の底部の位置で部分的に切欠かれるようにしている(底部切欠部22)。
【0031】
ここで、内周フランジ部21は、差口部3の奥端縁部に形成されると共に、管部材5の外径よりも小さな開口部21aを有するものとしている。
【0032】
底部切欠部22は、差口部3の底部の位置で、差口部3の内周面と面一となるものとされる。底部切欠部22は、差口部3の底部を中心として、周方向18の両側へそれぞれ管部材5の半径程度以下の高さとなる範囲に亘って形成することができる。なお、この実施例では、底部切欠部22は、大きな形状変化が生じないように、曲率を徐々に変えるように形成されている。
【0033】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0034】
伸縮継手1は、継手部材2と、管部材5との間に設置されて、管部材5の熱伸縮を吸収することにより、管部材5や継手部材2を破損から保護するように機能する。
【0035】
この伸縮継手1は、差口部3を継手部材2の受口部2a,2bへ嵌合して接着することにより継手部材2に取付けた後、伸縮継手1の受口部4に管部材5の端部を挿嵌状態で挿入接続するようにして使用する。
【0036】
この際、受口部4の内部に設けられたシール部11が、収容した管部材5の外周面に弾接して、管部材5の軸線方向8および半径方向9への変位に対するシールを行う。
【0037】
また、差口部3の内部に設けられた最終位置規制部12が、差口部3へ挿入された管部材5の端部が熱伸縮(この場合には熱膨張)によりそれ以上奥へ入り込まないように最終的な位置規制を行う。これにより、管部材5や継手部材2は破損から保護される。
【0038】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0039】
(作用効果1)
差口部3の内部における最終位置規制部12よりも手前側の位置に設けた中間停止部13が、受口部4への管部材5の挿入作業時に、管部材5の端部の最適挿入深さにて管部材5を確実に停止させる。これにより、受口部4への管部材5の挿入作業時に、上記した最適挿入深さとなるように、位置を計って管部材5に標線を書き入れる作業をなくすと共に、標線の位置で管部材5が正確に停止されるように管部材5の停止位置を調整する作業をなくすことができる。また、中間停止部13で停止されるまで管部材5を挿入するだけの単純作業となるので、作業効率が向上すると共に、熟練がなくても手挿入の感覚によって誰でも停止確認を行うことが可能となる。そして、中間停止部13によって最適挿入深さで管部材5を確実に停止させることができるので、停止位置のバラ付きを無くすことができると共に、管部材5の熱伸縮の際に、継手部材2や管部材5や伸縮継手1に与える荷重を最小限に抑えることができ、継手部材2や管部材5や伸縮継手1の耐久性を向上することができる。
【0040】
更に、最終位置規制部12と中間停止部13とを差口部3の内部に設けて、差口部3にて管部材5の端部の位置を規制するようにしたので、受口部4に中間停止部13を設ける場合と比べて、伸縮継手1の全長を短くすることができる。
【0041】
(作用効果2)
横型の伸縮継手1における、差口部3の内部の少なくとも頂部周辺に、中間停止部13として、奥側へ進むに従い下り勾配となる傾斜面部17を形成することにより、受口部4への管部材5の挿入作業時に、傾斜面部17の途中で管部材5の端部を確実に停止させることができる。また、中間停止部13を傾斜面部17とすることにより、挿入作業時の挿入力ではそれ以上深く挿入できないようにすることができる。更に、中間停止部13としての傾斜面部17は、管部材5の端部が当たった時に手ごたえを感じさせることができる。更にまた、中間停止部13としての傾斜面部17は、伸縮継手1と一体に形成することができる。これにより、中間停止部13を別部材で作って伸縮継手1に取付けるようにする場合と比べて、製造コストや製造の手間を少なくすると共に、確実に機能し得るものとすることができる。
【0042】
また、傾斜面部17を差口部3の内部の少なくとも頂部周辺に設けることにより、即ち、傾斜面部17を高い位置に設けることにより、傾斜面部17に汚物などが滞留するのを防止することができる。また、管部材5の熱伸縮時に、傾斜面部17によって管部材5を軸線方向8および上下方向へ案内することができる。なお、中間停止部13としての傾斜面部17は、管部材5の伸縮に何度でも対応することができる。また、傾斜面部17に沿った管部材5の上下方向の変位に対しては、上記したシール部11がシールを行う。
【0043】
(作用効果3)
最終位置規制部12を、差口部3の内方へ張出す内周フランジ部21とすることにより、管部材5の端部が内周フランジ部21に突き当たることで最終位置規制を行うことが可能となる。この最終位置規制部12によって、継手部材2を保護することができるようになる。
【0044】
また、内周フランジ部21を、差口部3の底部の位置で部分的に切欠くことにより、管部材5の端部が内周フランジ部21から離れている時に、差口部3の底部に内周フランジ部21による段差が生じて、段差に汚物などが滞留するのを防止することができる。
【0045】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0046】
1 伸縮継手
3 差口部
4 受口部
5 管部材
8 軸線方向
9 半径方向
11 シール部
12 最終位置規制部
13 中間停止部
17 傾斜面部
21 内周フランジ部
22 底部切欠部
図1
図2
図3
図4