【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明による上顎平面状態の計測装置の好適な実施の形態について説明する。
図1において、符号1で示されるものは、平面でみて全体形状がU字型又は単なる平板からなる平面板であり、この平面板1は、金属材をプレス加工した金属板の構成、又は、樹脂成形による樹脂板、又は後述の慣性計測装置13を搭載したプリント基板で構成されている。
【0012】
前記平面板1の両側には、一例として、平面でみて八の字型を形成するように、一対の第1、第2突出板2,3が一体状に形成されており、前記平面板1の中央位置1A
の内側Aには、前記第1、第2突出板2,3の内側に位置すると共に、前記第1、第2突出板2,3と同様に平面でみて八の字型をなす第1、第2突出片4,5が前記平面板1と一体に形成されている。
【0013】
前記第1、第2突出片4,5の平面形状は、前記第1、第2突出板2,3の平面形状よりも十分に小さい形状で形成されていると共に、前記第1、第2突出板2,3と同様に平面でみてU字型を形成している。
尚、前記第1、第2突出板2,3は、
図1の上顎平面状態の計測装置10を操作する時あるいは使用時等に使用される取手あるいは保持部材としての作用を有している。但し、前述の各突出板2,3は、図示していないが、省略されて単なる四角形、長方形等の平面板1とすることもできるが、本形態では、第1、第2突出板2,3が形成されている場合について説明する。
【0014】
従って、前記第1、第2突出片4,5により平面でみてU字型をなす取付部材11を形成し、この取付部材11上にはU字型をなすマウスピース12が固定して設けられている。尚、このマウスピース12は、被検者毎に型取りを行って個人毎に形成するものである。
【0015】
前記平面板1の中央位置1Aには、前記取付部材11が位置すると共に、周知の例えば、ジンパル機構、MEMSジャイロ、加速度計等からなる慣性センサを用いた慣性計測装置13が設けられている。
前記慣性計測装置13は、平面板1上において重力基準の水平面で軸調整されており、例えば、
図1のように、NED座標において慣性計測諸元(姿勢・方位角(ロール角X、ピッチ角Y、ヨー角Z)、角速度、加速度、位置)を出力するように構成され、軸定義はNEDに限らず、重力基準の水平面を基準とする任意の座標系を設定することもできる。
また、前記マウスピース12は、予め各被検者(患者)の歯形を取得しておいて製作しておき、そのマウスピース12を被検者の歯に直接取り付けることができるように構成されている。尚、
図2は前記マウスピース12を
図1の取付部材11から取り外した状態を平面で示している。
尚、前記マウスピース12の近傍位置には前記慣性計測装置13が設けられている。
【0016】
従って、実際の計測時には、被検者の上の歯が作る平面と前記平面板1の平面とを互いに一致させることができ、上顎平面の状態を直接計測することができる。
【0017】
前記第1、第2突出片4,5の第1、第2外側部4A,5Aと前記第1、第2突出板2,3の第1、第2内側部2A,3Aとの間には、平面でみて八の字型をなす第1、第2空間部14,15が形成されており、この各空間部14,15には,上の歯でマウスピース12を噛んだ時(すなわち、マウスピース12
上に上顎からなる被検出部材を位置させた時)に、顔の頬が入り込む。
【0018】
次に、前述の構成において、本発明による上顎平面状態の計測装置10を用いて被検者の上顎の平面状態(重力基準で水平面からの傾斜状態をみる)を計測する場合について述べる。
まず、各被検者毎の上歯に合わせて予め製作されたマウスピース12を前記取付部材11上に装着した後、被検者が各突出板2,3の間に顔を挿入する状態で上歯でマウスピース12を噛む、すなわち、マウスピース12
上に上歯が位置すると、これにより、被検者の上歯が作る平面と平面板1の平面が互いに一致した状態となる。
【0019】
前述のようにして、上顎平面状態の計測装置10によって上顎の平面状態(すなわち、重力基準で水平面からの傾斜状態をみる)が慣性計測装置13によって計測されると、この計測結果が被検者の人体姿勢全体の維持の関係に適用され、その結果、上顎平面の状態と人体姿勢全体の維持の関係が実証され、歯科、整形外科、理学療法(リハビリテーション)、整体療術、柔道整復等の人体の姿勢矯正に関連する医療、療術分野での診断及び治療の基準として応用が進むことでQOL(quality of life)の向上につながるものである。
尚、被検出部材としては、人体の上顎に限らず、動物の上顎の計測も可能である。尚、前述の場合、平面板1に各突出板2,3が形成された場合について述べたが、各突出板2,3を有しない単なる平面板1とした場合には、四角状又は長方形の平面板1の角部を手でもって操作することにより、前述と同様の上顎の計測を行うことができる。