特許第5938656号(P5938656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938656
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20160609BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   H02G3/16
   H05K7/14 H
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-32613(P2013-32613)
(22)【出願日】2013年2月21日
(65)【公開番号】特開2014-165961(P2014-165961A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】奥平 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小田 昭博
【審査官】 岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−070603(JP,A)
【文献】 実開昭63−157991(JP,U)
【文献】 特開2011−101556(JP,A)
【文献】 特開平10−154886(JP,A)
【文献】 実用新案登録第3059694(JP,Y2)
【文献】 実開平02−009491(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品がケースの側方から接続される側方部品接続部が設けられた電気接続箱において、
第一のプリント基板に対して第二のプリント基板が垂直に配設されており、前記第一のプリント基板と前記第二のプリント基板が基板間接続端子で相互に接続されて前記ケースに収容されていると共に、
前記第二のプリント基板には、該第二のプリント基板に対して垂直に立設された基板端子によって構成された電気部品接続部が設けられており、前記第二のプリント基板が前記ケースの側面と平行に配設されることによって、前記電気部品接続部で前記側方部品接続部が構成されている一方、
前記第一のプリント基板には、前記第二のプリント基板が差し入れられて支持される差込孔を有する基板支持部材が設けられており、
前記基板支持部材には、前記第一のプリント基板をボルト固定する第一のボルト固定部と、前記第二のプリント基板をボルト固定する第二のボルト固定部とが設けられており、
前記基板支持部材には、前記差込孔への前記第二のプリント基板の差込方向と反対方向に突出して前記差込孔の内面から連続すると共に、前記第二のプリント基板における前記電気部品接続部の配設面と反対側の面に重ね合わされる支持案内面が形成されており、該支持案内面に、前記第二のボルト固定部が設けられている
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
一方の端部が前記第二のプリント基板に半田付けされた前記基板間接続端子の他方の端部が、前記第一のプリント基板のスルーホールに挿通されて半田付けされると共に、
前記第一のプリント基板には一対の前記基板支持部材が設けられており、該一対の基板支持部材の前記差込孔の内面が、前記第二のプリント基板の側縁部が差し入れられて該第二のプリント基板を両側から挟むコの字形状とされている
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記基板間接続端子が合成樹脂製の台座で支持されており、該台座には、前記第一のプリント基板又は前記第二のプリント基板にボルト固定されるボルト固定部が設けられている請求項1又は2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記第二のプリント基板と前記ケースに、前記電気部品接続部への前記電気部品の接続方向と直交する方向で相互に嵌合される凹凸嵌合部が形成されている
請求項1〜の何れか1項に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に搭載されて、コネクタ等の電気部品が接続される電気接続箱に係り、特に、電気部品がケースの側方から接続される側方部品接続部が設けられた電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等には、コネクタやヒューズ等の電気部品を集約して接続する、ジャンクションボックス等の電気接続箱が設けられている。特に近年では、より多数の電気部品を接続可能とするために、特開2012−115053号公報(特許文献1)に記載のように、ケースの側面をも利用して、ケースの側方から電気部品が接続可能とされた側方部品接続部が設けられたものがある。
【0003】
ところで、自動車等に設けられる電装品は増加の一途を辿っており、電気接続箱には、より大型のコネクタや、より多数のヒューズを接続出来ることが要求されている。そこで、ケース側面に設けられた側方部品接続部についても、より大型のコネクタや、より多数のヒューズが接続出来るように、大型化することが検討されている。
【0004】
ところが、特許文献1に記載のように、従来の電気接続箱における側方部品接続部は、基板端子として、プリント基板から突出された後にL字状に屈曲されたL字端子が用いられており、複数のL字端子が多段に配設されることで構成されている。それ故、側方部品接続部を大型化しようとすると、L字端子のプリント基板からの突出高さ寸法をより大きくする必要がある。しかし、L字端子をプリント基板から大きく突出させると、電気部品の挿抜に際してプリント基板からの突出高さを腕長とするより大きなモーメントがL字端子のプリント基板との接続部分に及ぼされることとなり、プリント基板とL字端子との接続信頼性が低下するおそれがあった。また、L字端子のプリント基板からの突出高さが大きくなると、プリント基板の上方に大きなスペースを占有することとなり、スペース効率の低下を招くと共に、多数のL字端子を密に配設するにも相互に接触するおそれが高くなる等の理由から限界があり、側方部品接続部のケース上でのレイアウト自由度が制限されるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−115053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、プリント基板との接続信頼性を確保しつつ、側方部品接続部のレイアウト自由度を向上することの出来る、新規な構造の電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、電気部品がケースの側方から接続される側方部品接続部が設けられた電気接続箱において、第一のプリント基板に対して第二のプリント基板が垂直に配設されており、前記第一のプリント基板と前記第二のプリント基板が基板間接続端子で相互に接続されて前記ケースに収容されていると共に、前記第二のプリント基板には、該第二のプリント基板に対して垂直に立設された基板端子によって構成された電気部品接続部が設けられており、前記第二のプリント基板が前記ケースの側面と平行に配設されることによって、前記電気部品接続部で前記側方部品接続部が構成されている一方、前記第一のプリント基板には、前記第二のプリント基板が差し入れられて支持される差込孔を有する基板支持部材が設けられており、前記基板支持部材には、前記第一のプリント基板をボルト固定する第一のボルト固定部と、前記第二のプリント基板をボルト固定する第二のボルト固定部とが設けられており、前記基板支持部材には、前記差込孔への前記第二のプリント基板の差込方向と反対方向に突出して前記差込孔の内面から連続すると共に、前記第二のプリント基板における前記電気部品接続部の配設面と反対側の面に重ね合わされる支持案内面が形成されており、該支持案内面に、前記第二のボルト固定部が設けられていることを、特徴とする。
【0008】
本発明においては、電気部品接続部が設けられた第二のプリント基板を第一のプリント基板に対して垂直に配設することにより、側方部品接続部を構成した。これにより、側方部品接続部の基板端子をL字状に屈曲させることなく、第二のプリント基板から直線状に突出させることが出来、基板端子の形状を簡素化することが出来る。その結果、L字端子を多段に配設する場合に比して、多数の基板端子をより高密度に配設することが出来ると共に、基板端子を第二のプリント基板上で高いレイアウト自由度をもって配設することが可能となり、側方部品接続部の大型化や、レイアウト自由度の向上を図ることが出来る。
【0009】
さらに、側方部品接続部の基板端子が、第二のプリント基板から垂直に突出されることから、電気部品の挿抜に際してモーメントを生じることを回避することが出来、基板端子とプリント基板との接続部分に及ぼされる応力を低減することが出来る。その結果、基板端子の半田付け部分にクラックを生じる等のおそれを低減することが出来、接続信頼性を向上することが出来る。
【0010】
加えて、第二のプリント基板を第一のプリント基板に対して垂直に支持する基板支持部材が、第一のプリント基板と第二のプリント基板の両方にボルト固定されている。これにより、第二のプリント基板を第一のプリント基板に対して強固に支持することが可能であり、側方部品接続部への電気部品の挿抜に際して、第一のプリント基板と第二のプリント基板を接続する基板間接続端子に及ぼされる応力を軽減することが出来る。その結果、第一のプリント基板と第二のプリント基板との接続信頼性も確保することが出来る。
【0011】
なお、側方部品接続部は、例えば電気部品としてのコネクタが接続されるコネクタ接続部であっても良いし、電気部品としてのヒューズが装着されるヒューズ装着部でも良く、各種の電気部品に対応する任意のものが採用可能である。更に、側方部品接続部は、複数設けられていても良い。また、基板支持部材の個数は限定されるものではなく、例えば1つの基板支持部材で第二のプリント基板を支持しても良いし、2つの基板支持部材で第二のプリント基板の両側縁部を挟んで支持する等しても良い。
【0013】
さらに、本態様では、第二のプリント基板を基板支持部材の差込孔に差し込む際に、第二のプリント基板を支持案内面に当接させて案内することが出来、差し込みを容易にすることが出来る。更に、側方部品接続部に電気部品が接続される場合には、第二のプリント基板が支持案内面に当接されることによって、電気部品から第二のプリント基板に及ぼされるモーメントの腕長を小さく出来ることから、第二のプリント基板をより強固に支持することが出来、第一のプリント基板との接続信頼性をより向上することが出来る。そして、支持案内面に第二のボルト固定部を設けたことにより、第二のボルト固定部をスペース効率良く形成することが出来る。
【0014】
本発明の第の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、一方の端部が前記第二のプリント基板に半田付けされた前記基板間接続端子の他方の端部が、前記第一のプリント基板のスルーホールに挿通されて半田付けされると共に、前記第一のプリント基板には一対の前記基板支持部材が設けられており、該一対の基板支持部材の前記差込孔の内面が、前記第二のプリント基板の側縁部が差し入れられて該第二のプリント基板を両側から挟むコの字形状とされているものである。
【0015】
本態様によれば、一対の基板支持部材で第二のプリント基板を挟むことにより、第二のプリント基板を第一のプリント基板に対して位置決めして、第二のプリント基板から突出された多数の基板間接続端子の端部を、第一のプリント基板の対応するスルーホールに位置合わせすることが出来る。これにより、多数の基板間接続端子を第一のプリント基板のスルーホールに容易に挿通することが出来る。
【0016】
本発明の第の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記基板間接続端子が合成樹脂製の台座で支持されており、該台座には、前記第一のプリント基板又は前記第二のプリント基板にボルト固定されるボルト固定部が設けられているものである。
【0017】
本態様によれば、側方部品接続部に電気部品が挿抜されるに際して、基板間接続端子に及ぼされる応力を、台座を通じて第一のプリント基板又は第二のプリント基板により効果的に分散させることが出来る。これにより、基板間接続端子の第一のプリント基板および第二のプリント基板に対する接続信頼性をより向上することが出来る。なお、台座は、第一のプリント基板および第二のプリント基板の何れに設けられていても良い。例えば、一方の端部が第二のプリント基板に半田付けされた基板間接続端子の他方の端部を、台座に挿通した状態で第一のプリント基板のスルーホールに挿通すると共に、台座を第一のプリント基板に重ね合わせることで台座を第一のプリント基板にボルト固定しても良い。
【0018】
本発明の第の態様は、前記第一〜第の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記第二のプリント基板と前記ケースに、前記電気部品接続部への前記電気部品の接続方向と直交する方向で相互に嵌合される凹凸嵌合部が形成されているものである。
【0019】
本態様によれば、側方部品接続部に電気部品が挿抜される場合には、第一のプリント基板の基板支持部材と共に、ケースでも第二のプリント基板を支持することが出来る。これにより、特に側方部品接続部に大型のコネクタが接続される場合等でも、第二のプリント基板を強固に支持して、基板間接続端子への応力の伝達を低減することが出来る。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、電気部品接続部が設けられた第二のプリント基板を、第一のプリント基板に対して垂直に配設することによって、側方部品接続部を構成した。これにより、側方部品接続部を構成する基板端子を、第二のプリント基板から垂直に突出させることが出来て、基板端子の形状を簡素化することが出来る。その結果、電気部品接続部の第二のプリント基板上でのレイアウト自由度、即ち、側方部品接続部のケース上でのレイアウト自由度を向上することが出来る。そして、第二のプリント基板を支持する基板支持部材を、第一のプリント基板と第二のプリント基板の両方にボルト固定することにより、第二のプリント基板を第一のプリント基板に対して強固に支持して、電気部品の挿抜に際して基板間接続端子に及ぼされる応力を軽減することが出来、第一のプリント基板と第二のプリント基板との接続信頼性も確保することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態としての電気接続箱の上面図。
図2図1におけるII−II断面図。
図3図1に示した電気接続箱を構成するプリント基板組立体の斜視図。
図4】基板支持部材と台座を併せ示す上面図。
図5】基板支持部材の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
先ず、図1および図2に、本発明の一実施形態としての電気接続箱10を示す。電気接続箱10は、アッパケース12とロアケース14によって構成されたケース16の内部に、プリント基板組立体18が収容された構造とされている。以下の説明において、上方とは、図2中の上方を言い、下方とは、図2中の下方を言うものとする。
【0024】
図3に、プリント基板組立体18を示す。プリント基板組立体18は、第一のプリント基板20に、第二のプリント基板22が垂直に組み付けられた構造とされている。第一のプリント基板20の端部24には、一対の基板支持部材26a,26bが設けられている。基板支持部材26a,26bは合成樹脂から形成されている。図4に、基板支持部材26a,26bと後述する台座46を併せ示すと共に、図5に、基板支持部材26aを示す。基板支持部材26a,26bには略同様の形状が設けられていることから、以下、共通の形状については基板支持部材26aを例に説明し、基板支持部材26bについては、図中に同一の符号を付することにより、その説明を省略する。
【0025】
基板支持部材26aは略矩形のブロック形状とされている。基板支持部材26aには、下方に突出する差込突部28が形成されている。また、基板支持部材26aには、ネジ孔が設けられた第一のボルト固定部30が形成されている。第一のボルト固定部30は、基板支持部材26aの後方(図4中、下方)に突出して形成されている。
【0026】
さらに、基板支持部材26aには、差込孔32が形成されている。差込孔32は、上方および基板支持部材26aと基板支持部材26bの対向方向に開口して形成されている。これにより、差込孔32の内面34は、上面視(図4参照)においてコの字形状とされている。差込孔32の幅寸法:wは、第二のプリント基板22の厚さ寸法:tよりもやや大きくされている。また、基板支持部材26aには、差込孔32の後方側(図4中、下側)の壁部から上方に連続して突出する支持板部36が形成されており、該支持板部36の前方側(図4中、上側)の面によって、差込孔32の内面34から連続して上方に突出する支持案内面38が形成されている。これにより、差込孔32と第一のボルト固定部30は、支持板部36を挟んで互いに反対側に形成されている。支持板部36には、ネジ孔が形成された第二のボルト固定部40が形成されている。図示は省略するが、第二のボルト固定部40に形成されたネジ孔は、支持案内面38に開口されている。
【0027】
一方、基板支持部材26bには、基板支持部材26aと反対側(図4中、右側)に突出する長手形状の延長部41が形成されている。そして、基板支持部材26bの第一のボルト固定部30は、延長部41と同方向に突出して形成されている。
【0028】
これら基板支持部材26a,26bは、差込突部28が第一のプリント基板20に貫設された図示しない貫通孔に差し込まれると共に、ボルト42が第一のプリント基板20を挟んで第一のボルト固定部30に螺着されることにより、ボルト42で第一のプリント基板20に固定される。これにより、基板支持部材26aと基板支持部材26bが、第一のプリント基板20の端部24に、互いに隙間を隔てて対向配置されている。
【0029】
一方、第二のプリント基板22における一方の面43の下端部45には、複数の基板間接続端子44a〜44dが突設されている。基板間接続端子44a〜44dは金属線材から形成されており、中間部分が直角に屈曲されたL字形状とされている。基板間接続端子44a〜44dは長さ寸法が互いに異ならされており、基板間接続端子44a〜44dの順に長さ寸法が大きくされている。これら基板間接続端子44a〜44dの一方の端部が、第二のプリント基板22のスルーホールに挿通されて半田付けされることにより、他方の端部が、下方に向けて突出されている。
【0030】
また、基板間接続端子44a〜44dは、合成樹脂製の台座46で支持されている。台座46は長手形状とされており、長手方向の両端部にボルト固定部47,47が設けられている。図4から明らかなように、台座46の長手方向寸法は、基板支持部材26aと基板支持部材26bの対向距離よりも小さくされている。そして、台座46に基板間接続端子44の第二のプリント基板22側の端部が挿通されると共に、台座46のボルト固定部47,47がボルト48,48で第二のプリント基板22に固定されている。なお、特に本実施形態においては、長さ寸法の大きな基板間接続端子44c,44dにおける第二のプリント基板22からの突出先端部が、合成樹脂から形成された長手板形状を有する補助アライメント板49に挿通されることにより、アライメント精度が確保されている。
【0031】
さらに、第二のプリント基板22において、基板間接続端子44が設けられた面43と反対側であり、電気部品接続部の配設面となる面50の上端部51には、電気部品接続部としてのコネクタ接続部52が設けられている。コネクタ接続部52は、合成樹脂からなるコネクタハウジング54に、複数の基板端子56が挿通された構造とされている。コネクタハウジング54は、一方(図2中、右方)に開口する矩形の箱体形状とされており、第二のプリント基板22の平面寸法の略半分程度の寸法を有している。基板端子56は、金属線材や金属板から形成されており、一方の端部が第二のプリント基板22のスルーホールに挿通されて半田付けされると共に、他方の端部がコネクタハウジング54に貫設された端子挿通孔を通じて、コネクタハウジング54内に突出されている。なお、基板端子56は、直線形状やクランク形状を有しており、第二のプリント基板22に対して垂直に立設されている。
【0032】
コネクタハウジング54には、係合板58が取り付けられている。係合板58は合成樹脂から形成された長手の板形状とされており、長手方向の中央部分には、上方に突出する凹凸嵌合部としての嵌合突部60が形成されている。係合板58は、長手方向の両端部がボルト62,62でコネクタハウジング54に固定されている。
【0033】
そして、コネクタハウジング54が、基板端子56を挿通して第二のプリント基板22に複数のボルト64で固定されることにより、コネクタ接続部52が形成されている。これにより、コネクタハウジング54は、第二のプリント基板22に対する垂直方向に開口されている。また、コネクタハウジング54に取り付けられた係合板58によって、第二のプリント基板22には、上方に突出する嵌合突部60が設けられている。
【0034】
このような第二のプリント基板22は、下端部45の両側縁部66a,66bが、第一のプリント基板20に固定された基板支持部材26a,26bの差込孔32,32に対して、上方から下方に向けてそれぞれ差し込まれる。これにより、第二のプリント基板22が基板支持部材26a,26bの差込孔32,32の内面34,34で幅方向(図4中、左右方向)の両側から挟まれて第一のプリント基板20に対して位置合わせされると共に、第二のプリント基板22から突出された基板間接続端子44a〜dのそれぞれの端部が、第一のプリント基板20に形成されたスルーホールと位置合わせされて挿通される。そして、第二のプリント基板22の面43が基板支持部材26a,26bの支持案内面38と重ね合わされて、面50側からボルト68,68で基板支持部材26a,26bの第二のボルト固定部40に固定されることにより、第二のプリント基板22が、基板支持部材26a,26bで第一のプリント基板20に対して垂直に支持される。更に、第一のプリント基板20のスルーホールに挿通された基板間接続端子44a〜dが半田付けされる。これにより、第一のプリント基板20と第二のプリント基板22が、基板間接続端子44a〜dを介して相互に電気的に接続されて、プリント基板組立体18が形成されている。
【0035】
このようなプリント基板組立体18が、合成樹脂から形成されたアッパケース12とロアケース14で形成されたケース16に収容されている。これにより、第二のプリント基板22が、ケース16の側面70と平行に配設されている。アッパケース12には、ケース16の側方(図2中、右方)に開口する開口部72が形成されており、第二のプリント基板22のコネクタ接続部52が開口部72に配設される。開口部72の上側の内面には、下方に開口する凹凸嵌合部としての嵌合凹部74が形成されており、アッパケース12がプリント基板組立体18の上方から被せられることによって、第二のプリント基板22に設けられた嵌合突部60が、嵌合凹部74内に挿入されて上下方向で凹凸嵌合される。なお、嵌合突部60は、好ましくは、嵌合凹部74に圧入される。そして、第二のプリント基板22が、ケース16の側面70と平行に配設されることにより、コネクタハウジング54が、開口部72を通じてケース16の側方に突出されて、ケース16の側方に開口されている。これにより、コネクタ接続部52には、ケース16の側方から電気部品としてのコネクタ76が接続可能とされており、コネクタ接続部52によって、側方部品接続部が構成されている。
【0036】
本実施形態に従う構造とされた電気接続箱10においては、コネクタ接続部52が設けられた第二のプリント基板22を、第一のプリント基板20に対して垂直に配設することにより、第二のプリント基板22のコネクタ接続部52によって、ケース16の側方からコネクタ76を接続可能とする側方部品接続部が構成されている。これにより、コネクタ接続部52を構成する基板端子56を、L字形状に屈曲することなく、第二のプリント基板22から垂直に突出する簡素な形状とすることが出来る。これにより、多数の基板端子56を高密度に配設することも容易になると共に、例えば本実施形態のように、コネクタ接続部52を第二のプリント基板22において第一のプリント基板20から最も離れた上端部51に配設する場合でも、第一のプリント基板20からL字端子を突出させてコネクタ接続部52まで延出する場合に比して、短い基板端子56でスペース効率良く配設することが出来て、コネクタ接続部52のレイアウト自由度を向上することが出来る。
【0037】
さらに、基板端子56の第二のプリント基板22からの突出方向(図2中、左右方向)が、コネクタ接続部52へのコネクタ76の挿抜方向(図2中、左右方向)と等しくされていることから、コネクタ76の挿抜力に対して有効な抗力を得ることが出来、第二のプリント基板22および第一のプリント基板20との接続信頼性を有利に確保することが出来る。加えて、第一のプリント基板20と第二のプリント基板22の両方が、基板支持部材26a,26bに対してボルト固定されていることから、コネクタ76の挿抜力に対して、第二のプリント基板22を強固に支持することが出来る。更に、第二のプリント基板22に接続された基板間接続端子44a〜dが、第二のプリント基板22にボルト固定された台座46で支持されることから、コネクタ76の挿抜に際して基板間接続端子44a〜dに及ぼされる応力を台座46でより効果的に分散することが出来る。これにより、第一のプリント基板20と第二のプリント基板22の間での接続信頼性も高度に確保することが出来る。
【0038】
また、本実施形態においては、第二のプリント基板22に設けられた嵌合突部60とアッパケース12に設けられた嵌合凹部74が、コネクタ76の挿抜方向と直交する方向で凹凸嵌合されていることから、コネクタ76の挿抜に際して、第二のプリント基板22を、コネクタハウジング54を介してアッパケース12でも支持することが出来、第一のプリント基板20との接続部分への挿抜力の伝達をより効果的に抑えることが出来る。特に、嵌合突部60と嵌合凹部74からなる凹凸嵌合部と、基板支持部材26a,26bで第二のプリント基板22の上下方向の両端部を支持することにより、効果的な支持力を得ることが出来る。
【0039】
また、基板支持部材26a,26bには、第二のプリント基板22を差し込む差込孔32,32が形成されており、これら差込孔32,32の内面34,34が、第二のプリント基板22を挟むコの字形状とされていることから、差込孔32,32に第二のプリント基板22を差し込むことによって、第二のプリント基板22を、第一のプリント基板20に対して位置合わせすることが出来る。これにより、第二のプリント基板22に半田付けされた多数の基板間接続端子44a〜dを、第一のプリント基板20のスルーホールに容易に位置合わせすることが出来て、スルーホールへの挿通作業を容易にすることが出来る。特に、差込孔32の内面34から連続する支持案内面38を設けたことにより、第二のプリント基板22を支持案内面38に当接させることで差込孔32への差し込みも容易に行なうことが出来る。また、コネクタ76の挿抜時においては、支持案内面38で第二のプリント基板22を支持することによって、より大きな支持力を得ることも出来る。そして、第二のプリント基板22を基板支持部材26a,26bにボルト固定する第二のボルト固定部40を、支持案内面38に設けたことによって、第二のボルト固定部40を基板支持部材26a,26bにスペース効率良く形成することが出来る。
【0040】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、側方部品接続部は、各種の電気部品の接続部が採用可能であり、前記実施形態の如きコネクタ接続部のみならず、例えば電気部品としてのヒューズが接続されるヒューズ接続部や、電気部品としてのリレーが接続されるリレー接続部等でも良い。更に、側方部品接続部を複数設けることも可能であり、そのような場合には、同種の接続部が複数設けられていても良いし、例えばコネクタ接続部とヒューズ接続部のように、異種の接続部が設けられても良い。また、基板支持部材の数は限定されることはなく、例えば1つの基板支持部材で第二のプリント基板を支持する等しても良い。
【0041】
また、台座は必ずしも必要ではないが、台座を第一のプリント基板側に設けても良く、例えば基板間接続端子における第一のプリント基板側の端部を、台座を挿通した状態で第一のプリント基板のスルーホールに挿通することで台座を第一のプリント基板に重ね合わせて第一のプリント基板にボルト固定する等しても良い。
【0042】
さらに、前記実施形態において嵌合突部60と嵌合凹部74で構成された凹凸嵌合部は必ずしも必要ではないが、例えばコネクタハウジング54に嵌合突部60を一体形成したり、嵌合突部60が形成された係合板58を第二のプリント基板22に直接に固定する等しても良いし、第二のプリント基板22自体に突出部分を設けて、該突出部分を嵌合突部とする等しても良い。
【符号の説明】
【0043】
10:電気接続箱、16:ケース、20:第一のプリント基板、22:第二のプリント基板、26a,b:基板支持部材、30:第一のボルト固定部、32:差込孔、34:内面、38:支持案内面、40:第二のボルト固定部、44a〜d:基板間接続端子、46:台座、50:面(電気部品接続部の配設面)、52:コネクタ接続部(電気部品接続部、側方部品接続部)、56:基板端子、60:嵌合突部(凹凸嵌合部)、66a,b:側縁部、68:ボルト(第二のプリント基板)、70:側面、74:嵌合凹部(凹凸嵌合部)、76:コネクタ(電気部品)
図1
図2
図3
図4
図5