【実施例】
【0089】
<実施例1:ミトコンドリア融合転写物の検出>
ミトコンドリア4977「共通欠失」、ならびにPCT出願番号PCT/CA2007/001711(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)で本出願人により以前に同定された3.4kb欠失は、前立腺組織においてオリゴ−dT選択により同定されるような活性転写物を有する独特のオープンリーディングフレームを生じる(
図2および3)。乳房組織試料の検査も、3.4kb欠失に起因する安定なポリアデニル化融合転写物の存在を明示する(
図4)。
【0090】
〔欠失転写物検出のための逆転写酵素−PCRプロトコール〕
(RNA単離cDNA合成)
メーカーの使用説明書に従って、Aurum(商標)総RNA脂肪および繊維組織キット(Bio-Rad, Hercules, CA)を用いて、急速凍結前立腺および乳房組織試料(腫瘍に隣接する悪性および正常組織の両方)から総RNAを単離した。この実験では、ゲノムDNA夾雑は回避されるべきものであったため、当該技術分野で一般に知られているような方法を用いて、DNアーゼ処理段階を包含した。ND−1000分光光度計(NanoDrop(登録商標) technologies)で、RNAの量および質を確定した。約100gの出発物質から、総RNA濃度は、1.89〜2.10の260/280比で100から1000ng/μLまで変化した。RNA濃度を100ng/μLに調整し、メーカーの使用説明書に従って、RT−PCR用のSuperScript(商標)一次鎖合成系(Invitrogen)での一次鎖DNA合成のために、各鋳型2μLを用いた。安定ポリアデニル化融合転写物を同定するために、ポリ−A尾部を有する転写物を標的にするオリゴ(dT)プライマーを用いた。
【0091】
(PCR)
DNAエンジンOpticon(登録商標)2連続蛍光検出系(Bio-Rad, Hercules, CA)上でのiQ(商標)SYBR(登録商標)Green Supermix(Bio-Rad, Hercules, CA)で5μLの各cDNA鋳型を用いて、実時間PCRを実施した。4977bp欠失をターゲッティングするプライマー対は:8416F 5'−CCTTACACTATTCCTCATCAC−3'、13637R 5'−TGACCTGTTAGGGTGAGAAG−3'であり、ならびに3.4kb欠失に関するものは:ND4LF 5’−TCGCTCACACCTCATATCCTC−3’、ND5R 5’−TGTGATTAGGAGTAGGGTTAGG−3’である。反応カクテルは、以下のものを含む:2×SYBR(登録商標)Green Supermix(100mMのKCl、40mMのトリス−HCl、pH8.4、0.4mMの各dNTP[dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP])、iTaq(商標)DNAポリメラーゼ、50単位/ml、6mMのMgCl2、SYBR(登録商標)Green1、20nMのフルオロセインおよび安定剤)、250nMの各プライマー、およびddH2O。PCRサイクルパラメーターを以下に示す:(1)95℃、2分間、(2)95℃、30秒間、(3)55℃(4977bp欠失に関して)および63℃(3.4kb欠失に関して)、30秒間(4)72℃、45秒間、(5)プレート読取、その後、工程3〜5を39サイクル、そして4℃で最終インキュベーション。サイクル閾値および融解曲線分析のほかに、増幅産物の具体的可視化のためにアガロースゲル上で試料を移動させた(
図2〜4参照)。
【0092】
図2は、ミトコンドリアゲノムからの3.4kbの損失により引き起こされる前立腺試料中のポリアデニル化融合転写物を示すアガロースゲルである。
図2に関する凡例:B−ブランク、レーン1〜6:cDNA中に検出される転写物;レーン7〜12:レーン1〜6における試料に関する無逆転写酵素(RT)対照。
【0093】
図3は、4977kb共通欠失の損失により引き起こされる前立腺試料中のポリアデニル化融合転写物を示す。
図3に関する凡例:B−ブランク、レーン1〜6:cDNA中に検出される転写物;レーン7〜12:レーン1〜6における試料に関する無RT対照。
【0094】
図4は、mtゲノムからの3.4kbの損失により引き起こされる乳房試料中のポリアデニル化融合転写物を示す。
図4に関する凡例:レーン2〜8:乳房cDNAからの転写物;レーン9:陰性(水)対照;レーン2および3における試料に関する陰性無RT対照。
【0095】
これらの結果は、安定ミトコンドリア融合転写物の存在を実証する。
【0096】
<実施例2:融合産物の同定およびターゲッティング>
3.4kb欠失のような突然変異化ミトコンドリアゲノムに起因する新規の転写物の存在を検出し、さらに実証するために、種々のハイブリダイゼーションプローブを設計した。この目的のために、定量的遺伝子発現解析用のシングルプレックス分枝DNAプラットホーム(QuantiGene 2.0(商標)、Panomics(商標))を利用した。この実施例で列挙した特定の欠失および配列は、配列番号1で列挙される全mtDNAゲノムに関するそれらの相対的位置に基づいている。本実施例においてプローブが設計された4つの転写物の核酸配列は、本明細書中で以下のように同定される:転写物1(配列番号18)、転写物2(配列番号19)、転写物3(配列番号20)および転写物4(配列番号21)。
【0097】
3.4kbミトコンドリアゲノム欠失からの連続転写物の一例は、遺伝子ND4L(NADHデヒドロゲナーゼサブユニット4L)およびND5(NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5)に伴って生じる。配列番号19に対する相補的配列を有するプローブを用いて、転写物2を検出した。それぞれの素子は、ND4L中の位置10745〜10754、ND5中の14124〜14133で生じる。
【0098】
3.4kb欠失は、ND4Lの3’末端、全ND4遺伝子、tRNAヒスチジン、tRNAセリン2、tRNAロイシン2および大多数のND5の5’末端の除去を生じて(
図5a参照)、10744(ND4L):14124(ND5)の接合点に関してND4LおよびND5の遺伝子スプライスを生じる(
図5b)。配列番号3は、上記のように検出されるRNA転写物(配列番号19)に対する相補的DNA配列である。
【0099】
同様に、転写物1は、位置8469:13447に関連したATPアーゼ8およびND5間の融合転写物(配列番号18)である。転写物3および4(それぞれ配列番号20および21)は、それぞれヌクレオチド位置7974:15496および7992:15730に関連したCOIIおよびCytb間の融合転写物である。表3は、本実施例に用いられる種々の配列間の関係の要約を示す。表3は、検出融合転写物、ならびに検出された融合転写物と相補的なDNA配列を含む。
【0100】
<実施例3:前立腺癌への適用>
上記の4つの融合転写物、すなわち転写物1〜4を用いて、一患者からの2つの前立腺組織試料を分析して、新規の予測融合転写物の定量的差を査定した。実験結果を、以下の表2に示すが、この場合、「Homog 1」は、一患者からの凍結前立腺腫瘍組織のホモジネートを指し、「Homog 2」は、その患者の当該腫瘍に隣接する凍結正常前立腺組織のホモジネートを指す。これらの試料を、25.8mgのHomog 1および28.9mgのHomog 2で出発して、メーカーのプロトコール(QuantiGene(登録商標)Sample Processing Kit for Fresh or Frozen Animal Tissue;およびQuantiGene(登録商標)2.0 Reagent System User Manual)に従って処理した(表5aおよび5bに検定設定を示す)。
【0101】
正常隣接前立腺組織に比して、前立腺癌組織中のミトコンドリア融合転写物の存在増大が明らかに実証される。融合転写物は正常組織中に存在するが、しかし非常に低いレベルである。標的転写物とのプローブのハイブリダイゼーションにより生成される相対発光強度単位(RLU)は、各転写物の存在量と直接比例する。表2は、試料に関して得られた読取りの変動係数(CV)(パーセンテージで表される)も示す。CVは、標準偏差を値の平均で割ったものである。癌組織中のこのような安定転写ミトコンドリア遺伝子産物の有意性は、疾患の進化および進行において密接な関係を有する。
【0102】
<実施例4:乳癌への適用>
実施例3と同一プロトコールを用いて、しかし3.4kb mtゲノム欠失に関連した新規の融合転写物である転写物2のみに集中して、乳房腫瘍の2つの試料およびその腫瘍に隣接する無腫瘍組織の2つの試料、ならびに前立腺腫瘍組織の3つの試料(1試料は隣接無腫瘍組織を含む)に関して、分析を実行した。本実施例に関する結果を、表4に示す。対応する正常組織切片を有する前立腺腫瘍組織は、腫瘍組織が、正常隣接組織の約2倍の量の融合転写物を有するという点で、実施例3で分析した前立腺試料と同様のパターンを実証した。乳房腫瘍試料は、隣接非腫瘍組織と比較した場合、融合転写物レベルの顕著な増大を実証した。実施例3で言及した実験において最も再現可能的に実施されるので、ホモジネートの1:100希釈液をこの分析のために用いた。
【0103】
したがって、上記の結果は、前立腺および乳房組織の両方の腫瘍の検出における本発明の転写物の適用を例証する。
【0104】
<実施例5:結腸直腸癌への適用>
この試験は、結腸直腸癌を検出するに際しての本発明のいくつかの転写物の有効性を確定しようとした。9例の対照(良性)組織試料(試料1〜9)および10例の腫瘍(悪性)組織試料(試料10〜19)を含む合計19の試料を調製した。試料を、メーカーの推奨に従ってホモジナイズした(QuantiGene(登録商標)Sample Processing Kit for Fresh or Frozen Animal Tissue;およびQuantiGene(登録商標)2.0 Reagent System User Manual)。7つの標的転写物および1つのハウスキーピング転写物を、前記実施例に上記したような方法で調製した。転写物の特質を、以下のように要約する:
【0105】
【表1】
【0106】
転写物2および3は、実施例3および4に関して上記されたものと同一である、ということに留意すべきである。
【0107】
OCTブロックからの約25mgの組織を用いて、ホモジネートを調製し、転写物2および4に関しては1:1に、転写物10および11に関しては1:8に希釈した。Glomax(商標)多重検出系(Promega)で、相対的発光強度単位(RLU)で転写物の量を測定した。全試料を、各転写物に関して三重反復試験で検定した。バックグラウンド測定(無鋳型)を、同様に三重反復試験で実行した。分析は、試料に関するRLU値から下限を差し引くことにより、バックグラウンドを説明した。公式log2aRLU−log2hRLU(式中、aは標的融合転写物であり、hはハウスキーピング転写物である)を用いて、投入RNAを説明した。
【0108】
データの分析は、以下の工程を包含した:
a)三重反復検定に関するCV(変動係数)を確定する;≦15%である場合は、許容可能である。
【0109】
b)標的融合転写物(a)およびハウスキーピング転写物(h)の三重反復検定に関する平均RLUを確定する。
【0110】
c)バックグラウンドRLUの三重反復値からの下限(l)を確定する。
【0111】
d)(a)から下限(l)を差し引く。
【0112】
e)log2aRLU−log2hRLUを算定する。
【0113】
(結果の要約)
上記分析の結果を
図6a〜6g(試料番号に対するlog2aRLU−log2hRLUのプロットを含む)に示す。各転写物に関する結果から確定されるそれぞれのROC(受信者動作特性)曲線も示す。
【0114】
転写物2:正常および悪性群(p>0.09)の平均(p<0.10)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような3.6129のカットオフ値の使用は、60%の感受性および89%の特異性を生じ、曲線下面積は0.73であるが、これは、適正な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0115】
転写物3:正常および悪性群(p=0.03)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような4.0813のカットオフ値の使用は、60%の感受性および78%の特異性を生じ、曲線下面積は0.79であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0116】
転写物8:正常および悪性群(p=0.06)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−6.0975のカットオフ値の使用は、60%の感受性および89%の特異性を生じ、曲線下面積は0.76であるが、これは、適正な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0117】
転写物9:正常および悪性群(p=0.06)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−7.5555のカットオフ値の使用は、60%の感受性および89%の特異性を生じ、曲線下面積は0.76であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0118】
転写物10:正常および悪性群(p=0.01)の平均(p≦0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−3.8272のカットオフ値の使用は、90%の感受性および67%の特異性を生じ、曲線下面積は0.84であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0119】
転写物11:正常および悪性群(p=0.06)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような3.1753のカットオフ値の使用は、70%の感受性および78%の特異性を生じ、曲線下面積は0.76であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0120】
転写物12:正常および悪性群(p=0.06)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような3.2626のカットオフ値の使用は、70%の感受性および78%の特異性を生じ、曲線下面積は0.76であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0121】
(結論)
上記の結果は、結腸直腸癌の検出、ならびに正常結腸直腸組織から悪性組織を区別するに際しての、転写物2、3、8、9、10、11および12の有用性を例証する。上記のように、転写物2および3は、前立腺癌の検出において有用性があることも見出された。転写物2は、乳癌の検出において有用性があることも判明した。転写物11は、黒色腫皮膚癌の検出において有用性があることも判明した。転写物8は、肺癌の検出において有用性があることも見出された。列挙したいくつかの転写物の何れも、個別に、または組合せて、臨床設定における結腸直腸癌の特性化の検出のためのツールとして用いられ得る。
【0122】
<実施例6:肺癌への適用>
この試験は、肺癌の検出における本発明のいくつかの転写物の有効性を確定しようとした。実施例5の場合と同様に、9例の対照(良性)組織試料(試料1〜9)および10例の腫瘍(悪性)組織試料(試料10〜19)を、メーカーの推奨に従ってホモジナイズした(QuantiGene(登録商標)Sample Processing Kit for Fresh or Frozen Animal Tissue;およびQuantiGene(登録商標)2.0 Reagent System User Manual)。ホモジネートを1:8に希釈し、4つの標的転写物および1つのハウスキーピング転写物の量を、Glomax(商標)多重検出系(Promega)で、相対的発光強度単位(RLU)で測定した。全試料を、各転写物に関して三重反復試験で検定した。バックグラウンド測定(無鋳型)を、同様に三重反復試験で実行した。
【0123】
以下の転写物を、この実施例のために調製した:
【0124】
【表2】
【0125】
この実施例に用いた組織試料は、以下の特質を有した:
【0126】
【表3】
【0127】
実施例5に記載した方法に従って、データの分析を実施した。結果を、
図7a、7b、7cおよび7dに示す。
【0128】
(結果の要約)
転写物6:正常(良性)および悪性群(p=0.06)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−6.5691のカットオフ値の使用は、80%の感受性および71%の特異性を生じ、曲線下面積は0.77であるが、これは、適正な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0129】
転写物8:正常および悪性群の平均間の差は、統計的に有意p<0.05である(p=0.02)。ROC曲線により実証されるような−9.6166のカットオフ値の使用は、90%の感受性および86%の特異性を生じ、曲線下面積は0.86であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0130】
転写物10:正常および悪性群の平均間の差は、統計的に有意p≦0.01である(p=0.01)。ROC曲線により実証されるような−10.6717のカットオフ値の使用は、90%の感受性および86%の特異性を生じ、曲線下面積は0.89であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0131】
転写物20:正常および悪性群の平均間の差は、統計的に有意p≦0.1である(p=0.1)。ROC曲線により実証されるような2.5071のカットオフ値の使用は、70%の感受性および71%の特異性を生じ、曲線下面積は0.74であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0132】
(結論)
実施例6からの結果は、肺癌腫瘍の検出における本発明の転写物6、8、10および20の有用性、ならびに悪性および正常肺組織間の区別を例証する。これら3つの転写物のいずれかを、臨床設定における肺癌の検出または特性化のために用い得る。
【0133】
実施例7:黒色腫への適用
この試験は、黒色腫の検出における本発明のいくつかの転写物の有効性を確定しようとした。この試験では、5例の対照(良性)組織試料および9例の悪性組織試料を含む合計14の試料を用いた。全試料をホルマリン固定し、パラフィン包埋した(FFPE)。FFPE組織試料を切片にして試験管に入れ、メーカーの推奨に従ってホモジナイズした(Quantigene(登録商標)2.0 Sample Processing Kit for FFPE Samples;およびQuantigene 2.0 Reagent System User Manual)。ホモジネートを1:4に希釈し、7つの標的転写物および1つのハウスキーピング転写物の量を、Glomax(商標)多重検出系(Promega)で、相対的発光強度単位(RLU)で測定した。全試料を、各転写物に関して三重反復試験で検定した。バックグラウンド測定(無鋳型)を、同様に三重反復試験で実行した。
【0134】
この実施例に用いた14の組織試料は、以下の特質を有した:
【0135】
【表4】
【0136】
以下の転写物を、この実施例のために調製した:
【0137】
【表5】
【0138】
上記のように、転写物10および11は、実施例5でも用いられた。実施例5に記載した方法に従って、データの分析を実施した。結果を、
図8a〜8gに示す。
【0139】
(結果の要約)
転写物6:正常および悪性群(p=0.01)の平均(p≦0.01)間に統計学的有意差が存在する。さらに、ROC曲線により実証されるような−5.9531のカットオフ値の使用は、89%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.96であるが、これは、非常に良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0140】
転写物10:正常および悪性群(p=0.05)の平均(p≦0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−4.7572のカットオフ値の使用は、89%の感受性および40%の特異性を生じ、曲線下面積は0.82であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0141】
転写物11:正常および悪性群(p=0.02)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。さらに、ROC曲線により実証されるような1.6762のカットオフ値の使用は、78%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は0.89であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0142】
転写物14:正常および悪性群(p=0.05)の平均(p≦0.05)間に統計学的有意差が存在する。さらに、ROC曲線により実証されるような−4.9118のカットオフ値の使用は、89%の感受性および60%の特異性を生じ、曲線下面積は0.82であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0143】
転写物15:正常および悪性群(p=0.07)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−7.3107のカットオフ値の使用は、100%の感受性および67%の特異性を生じ、曲線下面積は0.80であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0144】
転写物16:正常および悪性群(p=0.03)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。さらに、ROC曲線により実証されるような−10.5963のカットオフ値の使用は、89%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.878であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0145】
転写物20:正常および悪性群(p=0.04)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。さらに、ROC曲線により実証されるような−8.3543のカットオフ値の使用は、100%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.89であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0146】
(結論)
実施例7からの結果は、悪性黒色腫の検出における本発明の転写物6、10、11、14、15、16および20の有用性を例証する。上記のように、転写物10および11は、結腸直腸癌を検出するのに有用性を有することも判明したが、一方、転写物6は肺癌の検出において有用性がある。疾患による転写物概要を、表6に示す。
【0147】
<実施例8:卵巣癌への適用>
この試験は、卵巣癌の検出における本発明のいくつかの転写物の有効性を確定しようとした。10例の対照(良性)組織試料(試料1〜10)および10例の腫瘍(悪性)組織試料(試料11〜20)を含む合計20の試料を調製した。試料を、メーカーの推奨に従ってホモジナイズした(Quantigene(登録商標)Sample Processing Kit for Fresh or Frozen Animal Tissue;およびQuantigene 2.0 Reagent System User Manual)。8つの標的転写物および1つのハウスキーピング転写物を、前記の実施例で略記したように調製した。
【0148】
この実施例に用いた20の組織試料は、以下の特質を有した:
【0149】
【表6】
【0150】
転写物の特質を、以下のように要約する:
【0151】
【表7】
【0152】
転写物1、2、3、6、11、12、15および20は、実施例3〜7に関して上記したものと同一である、ということに留意すべきである。
【0153】
約25mgの凍結組織を用いて、ホモジネートを調製し、1:4に希釈した。Glomax(商標)多重検出系(Promega)で、相対的発光強度単位(RLU)で転写物の量を測定した。全試料を、各転写物に関して三重反復試験で検定した。バックグラウンド測定(無鋳型)を、同様に三重反復試験で実行した。分析は、試料に関するRLU値から下限を差し引くことにより、バックグラウンドを説明した。公式log2aRLU−log2hRLU(式中、aは標的融合転写物であり、hはハウスキーピング転写物である)を用いて、投入RNAを説明した。
【0154】
データの分析は、以下の工程を包含した:
a)三重反復検定に関するCV(変動係数)を確定する;≦15%である場合は、許容可能である。
【0155】
b)標的融合転写物(a)およびハウスキーピング転写物(h)の三重反復検定に関する平均RLUを確定する。
【0156】
c)バックグラウンドRLUの三重反復値からの下限(l)を確定する。
【0157】
d)(a)から下限(l)を差し引く。
【0158】
e)log2aRLU−log2hRLUを算定する。
【0159】
(結果の要約)
上記分析の結果を
図9a〜9h(試料番号に対するlog2aRLU−log2hRLUのプロットを含む)に示す。各転写物に関する結果から確定されるそれぞれのROC(受信者動作特性)曲線も示す。
【0160】
転写物1:正常および悪性群(p=0.002)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−11.1503のカットオフ値の使用は、90%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.91であるが、これは、非常に良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0161】
転写物2:正常および悪性群(p=0.001)の平均(p<0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような0.6962のカットオフ値の使用は、90%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は0.96であるが、これは、非常に良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0162】
転写物3:正常および悪性群(p=0.000)の平均(p<0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような0.6754のカットオフ値の使用は、100%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は1.00であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0163】
転写物6:正常および悪性群(p=0.007)の平均(p<0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−9.6479のカットオフ値の使用は、90%の感受性および70%の特異性を生じ、曲線下面積は0.86であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0164】
転写物11:正常および悪性群(p=0.000)の平均(p<0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−1.3794のカットオフ値の使用は、100%の感受性および90%の特異性を生じ、曲線下面積は0.99であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0165】
転写物12:正常および悪性群(p=0.001)の平均(p<0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−1.2379のカットオフ値の使用は、90%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は0.96であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0166】
転写物15:正常および悪性群(p=0.023)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−8.6926のカットオフ値の使用は、70%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.80であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0167】
転写物20:正常および悪性群(p=0.000)の平均(p<0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような0.6521のカットオフ値の使用は、100%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は0.76であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0168】
(結論)
上記の結果は、卵巣癌の検出における、ならびに正常卵巣組織から悪性組織を区別するに際しての、転写物1、2、3、6、11、12、15および20の有用性を例証する。転写物1、2および3は、前立腺癌の検出において有用性があることも見出された。転写物6は、黒色腫および肺癌の検出において有用性があることも判明した。転写物11は、黒色腫皮膚癌、結腸直腸癌および精巣癌の検出において有用性があることも判明した。転写物12は、結腸直腸癌および精巣癌の検出において有用性があることも見出された。転写物15は、黒色腫および精巣癌の検出において有用性があることも判明した。転写物20は、結腸直腸癌、黒色腫および精巣癌の検出において有用性があることも見出された。列挙した8つの転写物の何れも、個別に、または組合せて、臨床設定における卵巣癌の検出または特性化のためのツールとして用いられ得る。
【0169】
<実施例9:精巣癌への適用>
この試験は、精巣癌の検出における本発明のいくつかの転写物の有効性を確定しようとした。8例の対照(良性)組織試料(試料1〜8)および9例の腫瘍(悪性)組織試料(試料9〜17)を含む合計17の試料を調製した。悪性試料のうちの5例は非精上皮腫(試料9〜13)であり、4例は精上皮腫(試料14〜17)であった。試料を、メーカーの推奨に従ってホモジナイズした(Quantigene(登録商標)Sample Processing Kit for Fresh or Frozen Animal Tissue;およびQuantigene 2.0 Reagent System User Manual)。10の標的転写物および1つのハウスキーピング転写物を、前記の実施例で略記したように調製した。
【0170】
この実施例に用いた17の組織試料は、以下の特質を有した:
【0171】
【表8】
【0172】
転写物の特質を、以下のように要約する:
【0173】
【表9】
【0174】
転写物2、3、4、7、11、12、15、16および20は、実施例3〜8に関して上記したものと同一である、ということに留意すべきである。
【0175】
約25mgの凍結組織を用いて、ホモジネートを調製し、1:4に希釈した。Glomax(商標)多重検出系(Promega)で、相対的発光強度単位(RLU)で転写物の量を測定した。全試料を、各転写物に関して三重反復試験で検定した。バックグラウンド測定(無鋳型)を、同様に三重反復試験で実行した。分析は、試料に関するRLU値から下限を差し引くことにより、バックグラウンドを説明した。公式log2aRLU−log2hRLU(式中、aは標的融合転写物であり、hはハウスキーピング転写物である)を用いて、投入RNAを説明した。
【0176】
データの分析は、以下の工程を包含した:
a)三重反復検定に関するCV(変動係数)を確定する;≦15%である場合は、許容可能である。
【0177】
b)標的融合転写物(a)およびハウスキーピング転写物(h)の三重反復検定に関する平均RLUを確定する。
【0178】
c)バックグラウンドRLUの三重反復値からの下限(l)を確定する。
【0179】
d)(a)から下限(l)を差し引く。
【0180】
e)log2aRLU−log2hRLUを算定する。
【0181】
(結果の要約)
上記分析の結果を
図10〜18(試料番号に対するlog2aRLU−log2hRLUのプロットを含む)に示す。各転写物に関する結果から確定されるそれぞれのROC(受信者動作特性)曲線も示す。
【0182】
いくつかの転写物は良性および悪性精巣組織間を区別するが、他のものは、腫瘍亜型の精上皮腫と非精上皮腫および/または良性精巣組織との間の区別を実証する。したがって、各クラスからの転写物を組合せると、精巣癌の検出だけでなく、精上皮腫または非精上皮腫の亜型への分類も助長される、と理解される。
【0183】
転写物2:正常群および悪性精上皮腫群(p=0.02)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような1.5621のカットオフ値の使用は、100%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は1.00であるが、これは、優れた試験精度を示す。悪性精上皮腫および悪性非精上皮腫(p=0.024)の平均(p<0.05)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような2.1006のカットオフ値の使用は、100%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.90であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0184】
転写物3:正常群および悪性精上皮腫群(p=0.018)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような0.969のカットオフ値の使用は、100%の感受性および87.5%の特異性を生じ、曲線下面積は0.969であるが、これは、優れた試験精度を示す。悪性精上皮腫および悪性非精上皮腫(p=0.017)の平均(p<0.05)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような1.8181のカットオフ値の使用は、100%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.9であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0185】
転写物4:正常および悪性群(p=0.034)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−9.7628のカットオフ値の使用は、67%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は0.833であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0186】
転写物11:正常群および悪性精上皮腫群(p=0.016)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような0.732のカットオフ値の使用は、100%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は1.00であるが、これは、優れた試験精度を示す。悪性精上皮腫および悪性非精上皮腫(p=0.016)の平均(p<0.05)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような0.9884のカットオフ値の使用は、100%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.90であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0187】
転写物12:正常群および悪性精上皮腫群(p=0.056)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような1.5361のカットオフ値の使用は、100%の感受性および87.5%の特異性を生じ、曲線下面積は0.969であるが、これは、優れた試験精度を示す。悪性精上皮腫および悪性非精上皮腫(p=0.044)の平均(p<0.05)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような1.6039のカットオフ値の使用は、100%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.9であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0188】
転写物13:正常群および悪性群(p=0.019)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−9.8751のカットオフ値の使用は、87.5%の感受性および78%の特異性を生じ、曲線下面積は0.875であるが、これは非常に良好な試験精度を示す。悪性非精上皮腫および良性群(p=0.000)の平均(p<0.01)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−13.9519のカットオフ値の使用は、100%の感受性および87.5%の特異性を生じ、曲線下面積は0.975であるが、これは、優れた試験精度を示す。悪性精上皮腫および悪性非精上皮腫群(p=0.001)の平均(p<0.01)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−15.8501のカットオフ値の使用は、100%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は1.00であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0189】
転写物15:正常および悪性群(p=0.065)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−5.4916のカットオフ値の使用は、75%の感受性および89%の特異性を生じ、曲線下面積は0.833であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0190】
転写物16:正常群および悪性群(精上皮腫および非精上皮腫の両方を含む)(p=0.037)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−6.448のカットオフ値の使用は、89%の感受性および75%の特異性を生じ、曲線下面積は0.806であるが、これは、良好な試験精度を示す。正常および悪性精上皮腫(p=0.037)の平均(p<0.05)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−7.4575のカットオフ値の使用は、100%の感受性および87.5%の特異性を生じ、曲線下面積は0.938であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0191】
転写物20:正常群および悪性精上皮腫群(p=0.006)の平均(p<0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような1.8364のカットオフ値の使用は、100%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は1.00であるが、これは、優れた試験精度を示す。悪性精上皮腫および悪性非精上皮腫(p=0.004)の平均(p<0.01)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような1.6065のカットオフ値の使用は、100%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は1.00であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0192】
(結論)
上記の結果は、精巣癌および亜型精巣癌の検出における、ならびに正常精巣組織から悪性組織を区別するに際しての、転写物2、3、4、11、12、13、15、16および20の有用性を例証する。転写物2は、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌および卵巣癌の検出において有用性があることも見出された。転写物3は、前立腺癌、乳癌、黒色腫、結腸直腸癌および卵巣癌の検出において有用性があることも判明した。転写物4は、前立腺癌および結腸直腸癌における有用性を有することも見出された。転写物11は、結腸直腸癌、黒色腫および卵巣癌の検出において有用性があることも判明した。転写物12は、結腸直腸癌および卵巣癌の検出において有用性があることも見出された。転写物15は、黒色腫および卵巣癌の検出において有用性があることも判明した。転写物16は、黒色腫皮膚癌の検出において有用性があることも判明した。転写物20は、結腸直腸癌、黒色腫および卵巣癌の検出において有用性があることも見出された。列挙した9つの転写物の何れも、個別に、または組合せて、臨床設定における精巣癌の検出または特性化のためのツールとして用いられ得る。
【0193】
一態様において、本発明は、組織試料中の癌の存在を確定するための検定を実行するためのキットを提供する。キットは、上記のような検定を実行するために必要とされる試薬を含む。特に、キットは、上記の転写物1〜17および20に対応する1つ以上のハイブリダイゼーションプローブを含有する1つ以上の容器を含む。理解されるように、検定を実行するための試薬は、任意の必要な緩衝剤、塩、検出試薬等を含む。さらに、キットは、例えばハイブリダイゼーションまたは核酸抽出により組織試料を調製するために必要とされる組織試料、試薬または材料を得るための、ならびに被験者検定(単数または複数)を実行するための任意の必要な試料収集装置、容器等を包含し得る。キットは、罹患または非罹患組織に関する許容可能な値を確定しまたは実証するための対照組織または試料も包含し得る。
【0194】
ある具体的実施形態を参照しながら本発明を記載してきたが、添付の特許請求の範囲に略記されたような本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、本発明の種々の修正が成され得ることは当業者に明らかである。本明細書中で言及される文書(論文、マニュアル、特許出願等)は全て、それらの記載内容が参照により本明細書中で援用される。
【0195】
〔文献〕
特に以下の参考文献を、前記の説明中で引用した。これらの記載内容はすべて、参照により本明細書中で援用される。
【0196】
【表10】
【0197】
【0198】
【表11】
【0199】
【表12】
【0200】
【表13】
【0201】
【表14】
【0202】
−表中の単位結果はRLU(相対的発光強度単位)である。
−バックグラウンドG1、H1
−空のウエルG2〜G8、H2〜H8
【0203】
【表15】
【0204】
ホモジネート1−26 mgの組織を用いて、プロテイナーゼK(PK)を含有する700μLのH溶液中でホモジナイズした。Qiagen TissueRuptorを用いた。40μLのホモジネート上清を用いた。 希釈用20、10および5 μL。
【0205】
ホモジネート1=腫瘍状前立腺からの腫瘍組織。
【0206】
ホモジネート2−29 mgの組織を用いて、PKを含有する700μLのH溶液中でホモジナイズした。Qiagen TissueRuptorを用いた。40μLのホモジネート上清を用いた。 希釈用20、10および5 μL。
【0207】
ホモジネート2=腫瘍状前立腺からの正常組織。
【0208】
RNA希釈液は、以下のように作製した。RNAは、Ambionからの正常前立腺からであった。二重反復試験で検定を実行した。
【0209】
【表16】
【0210】
【表17】