(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態における表示パネルの製造方法、その検査装置及び検査方法について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲によって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0014】
本発明の一態様に係る表示パネルの検査方法は、赤色表示画素、緑色表示画素及び青色表示画素を含み、各色表示画素に対応するカラーフィルタを有する表示パネルの検査方法であって、前記カラーフィルタを介して前記各色表示画素に赤外光を照射し、当該照射時の前記各色表示画素の第1光学像を取得する赤外像取得工程と、前記カラーフィルタを介して前記各色表示画素に赤色に対応する波長の単色光を照射し、当該照射時の前記各色表示画素の第2光学像を取得する赤色像取得工程と、前記第1光学像と前記第2光学像とから前記各色表示画素の欠陥部を検出する欠陥検出工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
本態様によると、赤外光及び赤色単色光を各表示画素に対し、カラーフィルタを介して照射することにより、赤外光のみの照射では検出することができなかった赤色表示画素での欠陥部、ならびに、可視光のみの照射では検出することができなかった青色表示画素での欠陥部を、焦点合わせの工程を簡素化して高精度に検出することが可能となる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの検査方法は、赤色表示画素、緑色表示画素及び青色表示画素を含み、各色表示画素に対応するカラーフィルタを有する表示パネルの検査方法であって、前記カラーフィルタを介して前記各色表示画素に赤外光及び赤色に対応する波長の単色光を同時に照射し、当該照射時の前記各色表示画素の第3光学像を取得する赤外赤色像取得工程と、前記第3光学像から前記各色表示画素の欠陥部を検出する欠陥検出工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
本態様によると、赤外光及び赤色単色光を各表示画素に対し、カラーフィルタを介して同時に照射することにより、赤外光のみの照射では検出困難な赤色表示画素での欠陥部、ならびに、可視光のみの照射では検出困難な青色表示画素での欠陥部を、焦点合わせの工程及び光学像取得工程を簡素化して高精度に検出することが可能となる。
【0018】
また、前記赤外光の波長は、800nm以上1μm以下であり、前記単色光の波長は、600nm以上800nm未満であることが好ましい。
【0019】
本態様によると、赤外光の波長は1μm以下なので、赤外光照射時の分解能を低下させず、表示画素の正常発光を妨げ得る1μm以下の欠陥部を検出することが可能となる。また、赤外光の波長が800nm以上なので、赤外光の青色カラーフィルタに対する高い透過率が維持されるので、青色表示画素における欠陥部の高精度な検出が可能となる。また、赤色単色光の波長が800nm以下なので、赤色単色光照射時の赤色発光画素における欠陥部の高精度な検出が可能となる。
【0020】
また、前記各色表示画素は、陰極及び陽極で挟まれた有機エレクトロルミネッセンス発光層を有し、前記欠陥検出工程では、前記陰極及び前記陽極が短絡された前記欠陥部を検出してもよい。
【0021】
本態様によると、陽極及び陰極に挟まれた有機EL発光層に発生する短絡欠陥部を、高精度に検出することが可能となる。
【0022】
また、前記欠陥検出工程では、前記第1光学像または前記第2光学像により測定された輝度値が所定値以上となっている領域を前記欠陥部と判定してもよい。
【0023】
また、前記欠陥検出工程では、前記第3光学像により測定された輝度値が所定値以上となっている領域を前記欠陥部と判定してもよい。
【0024】
短絡または開放による欠陥部を有する表示画素は、可視光及び赤外光の照射により、その反射光または散乱光により当該欠陥部は正常部よりも高輝度となる。よって、取得された光学像により所定値以上の輝度値を有する領域を欠陥部と判定することにより、高精度な欠陥検出が可能となる。
【0025】
なお、本発明は、このような表示パネルの検査方法として実現できるだけでなく、当該検査方法に含まれる特徴的なステップを実現する表示パネルの検査装置として実現することもできる。
【0026】
また、本発明は、このような表示パネルの検査方法として実現できるだけでなく、当該検査方法に含まれる特徴的なステップを手段とする表示パネルの製造方法として実現することもできる。
【0027】
本発明の一態様に係る表示パネルの製造方法は、赤色表示画素、緑色表示画素及び青色表示画素を含み、各色表示画素に対応するカラーフィルタを有する表示パネルの製造方法であって、表示パネル基板上に、前記赤色表示画素、前記緑色表示画素及び前記青色表示画素をマトリクス状に形成し、前記各色表示画素の上に、前記各色表示画素に対応するカラーフィルタを形成する表示画素形成工程と、前記カラーフィルタを介して前記各色表示画素に赤外光を照射し、当該照射時の前記各色表示画素の第1光学像を取得する赤外像取得工程と、前記カラーフィルタを介して前記各色表示画素に赤色に対応する波長の単色光を照射し、当該照射時の前記各色表示画素の第2光学像を取得する赤色像取得工程と、前記第1光学像と前記第2光学像とから前記各色表示画素の欠陥部を検出する欠陥検出工程と、前記欠陥検出工程で検出された前記欠陥部について、リペアを行なうリペア工程とを含むことを特徴とする。
【0028】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの製造方法は、赤色表示画素、緑色表示画素及び青色表示画素を含み、各色表示画素に対応するカラーフィルタを有する表示パネルの製造方法であって、表示パネル基板上に、前記赤色表示画素、前記緑色表示画素及び前記青色表示画素をマトリクス状に形成し、前記各色表示画素の上に、前記各色表示画素に対応するカラーフィルタを形成する表示画素形成工程と、前記カラーフィルタを介して前記各色表示画素に赤外光及び赤色に対応する波長の単色光を同時に照射し、当該照射時の前記各色表示画素の第3光学像を取得する赤外赤色像取得工程と、前記第3光学像から前記各色表示画素の欠陥部を検出する欠陥検出工程と、前記欠陥検出工程で検出された前記欠陥部について、リペアを行なうリペア工程とを含むことを特徴とする。
【0029】
これらの製造方法によると、赤外光及び赤色単色光を、焦点合わせの工程を簡素化して照射でき、これにより赤色画素での欠陥部及び青色画素での欠陥部を高精度に検出することが可能となる。この高精度な欠陥部の検出により、欠陥部のリペアを確実に実行することができるので製造歩留まりが向上する。
【0030】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図に基づき説明する。なお、以下では、全ての図を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0031】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係る表示パネルの検査装置、検査方法及び製造方法について説明する。
【0032】
<システム構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る有機EL表示パネルの検査及びリペアの構成を示す機能ブロック図である。同図に記載された有機EL表示パネルの検査及びリペアの構成は、検査装置1と、表示装置2と、リペア装置3とを備える。なお、本発明の検査方法及び製造方法を実施する対象となるのは表示パネル22であり、表示装置2が有する制御部21、データ線駆動回路23及び走査線駆動回路24は、構成要素としてなくてもよい。
【0033】
まず、表示装置2について簡潔に説明する。表示装置2は、制御部21と、表示パネル22と、データ線駆動回路23と、走査線駆動回路24とを備える。
【0034】
制御部21は、外部から入力される映像信号を発光画素の発光を決定する輝度信号に変換して走査順にデータ線駆動回路23に出力する。また、制御部21は、データ線駆動回路23から出力される輝度信号を出力するタイミング、及び、走査線駆動回路24から出力される走査信号の出力タイミングを制御する。
【0035】
データ線駆動回路23は、各データ線へ、輝度信号を出力することにより、映像信号に対応した発光画素の発光を実現する。
【0036】
走査線駆動回路24は、各走査線へ走査信号を出力することにより、発光画素の有する回路素子を所定の駆動タイミングで駆動する。
【0037】
なお、制御部21、データ線駆動回路23及び走査線駆動回路24は、本発明の製造方法において、リペア後の点灯検査用データを表示パネル22に供給する際に使用される場合がある。
【0038】
表示パネル22は、複数の発光画素がマトリクス状に配置されている。複数の発光画素のそれぞれは、赤色を表示する赤色表示画素、緑色を表示する緑色表示画素及び青色を表示する青色表示画素のいずれかであり、各色表示画素には当該各色に対応するカラーフィルタが形成されている。複数の発光画素のそれぞれは、データ線駆動回路23からの輝度信号、及び、走査線駆動回路24からの走査信号に応じて発光する。
【0039】
図2Aは、有機EL表示パネルの有する正常な発光画素の回路構成図である。同図に記載された発光画素は、有機EL素子221と、駆動トランジスタ222と、選択トランジスタ223と、コンデンサ224とを備える。また、発光画素列ごとにデータ線231が配置され、発光画素行ごとに走査線241が配置され、全発光画素に共通して正電源線251及び負電源線261が配置されている。選択トランジスタ223のドレイン電極はデータ線231に、選択トランジスタ223のゲート電極は走査線241に、さらに、選択トランジスタ223のソース電極は、コンデンサ224及び駆動トランジスタ222のゲート電極に接続されている。また、駆動トランジスタ222のドレイン電極は正電源線251に接続され、ソース電極は有機EL素子221のアノードに接続されている。
【0040】
有機EL素子221は、例えば、陽極、正孔注入層、有機発光層、電子注入層及び陰極がこの順で積層された構造を有し、陽極側から正孔が、また陰極側から電子が、有機発光層に注入され再結合されることにより励起状態が生成され発光する機能を有する。有機発光層としては、低分子有機材料だけでなく、インクジェットやスピンコートのような湿式成膜法で成膜できる発光性の高分子有機材料も適用される。
【0041】
この構成において、走査線241に走査信号が入力され、選択トランジスタ223をオン状態にすると、データ線231を介して供給された、発光階調に対応した輝度信号がコンデンサ224に書き込まれる。そして、コンデンサ224に書き込まれた保持電圧は、1フレーム期間を通じて保持され、この保持電圧により、駆動トランジスタ222のコンダクタンスがアナログ的に変化し、発光階調に対応した駆動電流が有機EL素子221のアノードに供給される。さらに、有機EL素子221のアノードに供給された駆動電流は、有機EL素子221のカソードへと流れる。これにより、有機EL素子221が発光し画像として表示される。このとき、有機EL素子221のアノードには、順バイアス電圧が印加されていることになる。
【0042】
なお、上述した発光画素の回路構成は、
図2Aに記載された回路構成に限定されない。選択トランジスタ223、駆動トランジスタ222は、輝度信号の電圧値に応じた駆動電流を有機EL素子221に流すために必要な回路構成要素であるが、上述した形態に限定されない。また、上述した回路構成要素に、別の回路構成要素が付加される場合も、本発明に係る表示装置の発光画素回路に含まれる。
【0043】
アクティブマトリクス型の有機EL表示パネルでは、発光画素の構造が微細化、薄型化されるほど、また、発光画素数が増加するほど、微細加工を必要とする製造工程において、有機EL素子のアノード−カソード間の短絡や開放といった電気的な不具合が発生してしまう。
【0044】
図2Bは、有機EL表示パネルの有する欠陥画素の回路構成図である。同図に記載された回路構成は、有機EL素子のアノード−カソード間が短絡している状態を表している。つまり、
図2Aに記載された回路構成と比較して、有機EL素子421のアノードとカソードとの間に電気的導通状態を実現する短絡成分422が並列接続されている点が異なる。ここで、有機EL素子421が短絡している状態とは、短絡成分422の抵抗値が低抵抗状態である場合に、有機EL素子421は短絡状態であると定義する。有機EL素子421のアノード−カソード間が短絡状態である場合の一例としては、有機発光層の膜厚の不均一性により、有機発光層を挟む正孔注入層と電子輸送層とが有機発光層内に生じたピンホールを介して点接触している場合などが想定される。
【0045】
図2Bに記載された、有機EL素子が短絡状態となっている発光画素が、表示パネル22の中に存在する場合、有機EL表示パネルの製造段階で、リペア工程により短絡成分422を除去することが可能である。短絡成分422を除去するリペア工程として、例えば、短絡成分422の存在箇所にレーザーを照射することが挙げられる。このリペア工程については、後述する有機EL表示パネルの製造方法にて説明する。
【0046】
次に、本発明の実施の形態に係る検査装置1の構成及び機能について説明する。
図1に記載された検査装置1は、照射部11と、輝度測定部12と、判定部13とを備える。検査装置1は、リペア装置3によるリペア作業の前段階において、表示装置2の欠陥画素を特定する機能を有する。
【0047】
照射部11は、赤外光、及び、赤色に対応する波長の単色光を各発光画素に対して同時に照射する機能を有する。なお、照射部11は、赤外光、及び、赤色に対応する波長の単色光を各発光画素に対して片方ずつ照射してもよい。照射部11は、例えば、赤外光を出射するレーザー光源及び赤色単色光を出射するレーザー光源を備える。また、照射部11は、例えば、赤外光を出射するLED(Light Emitting Diode)及び赤色単色光を出射するLEDを備える。
【0048】
輝度測定部12は、少なくとも赤外光または赤色単色光の照射時における表示パネル22の光学像を取得し、当該光学像により各発光画素が細分化された領域ごとの発光輝度を測定する機能を有する。輝度測定部12は、例えば、CCDカメラを備える。
【0049】
判定部13は、輝度測定部12で測定された発光輝度の大きさに基づいて上記領域ごとに欠陥部を判定する機能を有する。
【0050】
また、判定部13は、欠陥部を有すると判定した欠陥画素及び当該欠陥部の位置情報をリペア装置3に伝達する。
【0051】
リペア装置3は、判定部13から入手した欠陥画素及び欠陥部の位置情報から、リペア作業を実行する。
【0052】
上述した表示パネル22の検査装置1の構成及び機能によれば、照射部11から赤外光、及び、赤色に対応する波長の単色光を各発光画素に対して同時に、または、片方ずつカラーフィルタを介して照射することにより、赤外光のみの照射では検出困難であった赤色発光画素での欠陥部、ならびに、可視光のみの照射では検出困難であった青色発光画素での欠陥部を、欠陥部へ赤外光及び赤色単色光の焦点をあわせるための焦点調整工程を簡素化して高精度に検出することが可能となる。
【0053】
次に、表示パネル22が有する発光画素の構造を説明する。
【0054】
図3Aは、本発明の実施の形態に係る表示パネルの断面概略図である。同図に示した表示パネル22は、陽極、陰極、および当該両極で挟まれた発光層を含む有機層130を有する有機機能デバイスである。同図に記載された表示パネル22は、サブ画素である赤色発光画素22R、緑色発光画素22G、及び、青色発光画素22Bが隣接配置されて形成された1単位画素が、行列状に配置されている。各サブ画素は、基板110の上に、平坦化膜111と、陽極112と、正孔注入層113と、発光層114と、隔壁123と、電子注入層115と、陰極116と、薄膜封止層117と、封止用樹脂層118と、カラーフィルタ122と、接着層119と透明基板120とを備える。カラーフィルタ122は、
図3Aでは、赤色発光画素22R、緑色発光画素22G、及び、青色発光画素22Bに対応して、それぞれ、可視光領域では赤色を優先透過する赤色カラーフィルタ122R、可視光領域では緑色を優先透過する緑色カラーフィルタ122G、及び、可視光領域では青色を優先透過する青色カラーフィルタ122Bとして表されている。また、赤色カラーフィルタ122R、緑色カラーフィルタ122G、及び、青色カラーフィルタ122Bの間には、それぞれブラックマトリクス121が配置されている。
【0055】
陽極112及び陰極116は、それぞれ、本発明における下部電極層及び上部電極層に相当する。また、正孔注入層113、発光層114及び電子注入層115は、本発明における有機層に相当する。
【0056】
基板110及び透明基板120は、表示パネル22の裏面及び発光表面を保護する基板であり、例えば、厚みが0.5mmである透明の無アルカリガラスである。
【0057】
平坦化膜111は、一例として、絶縁性の有機材料からなり、例えば駆動用の薄膜トランジスタ(TFT)などを含む基板上に形成されている。
【0058】
陽極112は、正孔が供給される、つまり、外部回路から電流が流れ込むアノードであり、例えば、Al、あるいは銀合金APCなどからなる反射電極が平坦化膜111上に積層された構造となっている。反射電極の厚みは、一例として10〜40nmである。
【0059】
正孔注入層113は、正孔注入性の材料を主成分とする層である。正孔注入性の材料とは、陽極112側から注入された正孔を安定的に、または正孔の生成を補助して発光層114へ注入する機能を有する材料である。
【0060】
発光層114は、陽極112および陰極116間に電圧が印加されることにより発光する層であり、例えば、下層としてα−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine)、上層としてAlq3(tris−(8−hydroxyquinoline)aluminum)が積層された構造となっている。
【0061】
電子注入層115は、電子注入性の材料を主成分とする層である。電子注入性の材料とは、陰極116から注入された電子を安定的に、または電子の生成を補助して発光層114へ注入する機能を有する材料である。
【0062】
陰極116は、電子が供給される、つまり、外部回路へ電流が流れ出すカソードであり、例えば、透明金属酸化物であるITOにより積層された構造となっている。電極の厚みは、一例として10〜40nmである。
【0063】
隔壁123は、発光層114をサブ画素ごとに分離するための壁であり、例えば、感光性の樹脂からなる。
【0064】
薄膜封止層117は、例えば、窒化珪素からなり、上記した発光層114や陰極116を水蒸気や酸素から遮断する機能を有する。発光層114そのものや陰極116が、水蒸気や酸素にさらされることにより劣化(酸化)してしまうことを防止するためである。
【0065】
封止用樹脂層118は、アクリルまたはエポキシ系の樹脂であり、上記の基板上に形成された平坦化膜111から薄膜封止層117までの一体形成された層と、カラーフィルタ122とを接合する機能を有する。
【0066】
カラーフィルタ122は、隔壁123で分離された各発光領域を覆うように、透明基板120及び接着層119の下面に、赤、緑および青の色調整を行うカラーフィルタとして形成されている。
【0067】
上述した陽極112、発光層114及び陰極116の構成は有機EL素子の基本構成であり、このような構成により、陽極112と陰極116との間に適当な電圧が印加されると、陽極112側から正孔、陰極116側から電子がそれぞれ発光層114に注入される。これらの注入された正孔および電子が発光層114で再結合して生じるエネルギーにより、発光層114の発光材料が励起され発光する。
【0068】
なお、正孔注入層113および電子注入層115の材料は、本発明では限定されるものではなく、周知の有機材料または無機材料が用いられる。
【0069】
また、表示パネル22の構成として、正孔注入層113と発光層114との間に正孔輸送層があってもよいし、電子注入層115と発光層114との間に電子輸送層があってもよい。また、正孔注入層113の代わりに正孔輸送層が配置されてもよいし、電子注入層115の代わりに電子輸送層が配置されてもよい。正孔輸送層とは、正孔輸送性の材料を主成分とする層である。ここで、正孔輸送性の材料とは、電子ドナー性を持ち陽イオン(正孔)になりやすい性質と、生じた正孔を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を併せ持ち、陽極112から発光層114までの電荷輸送に対して適正を有する材料のことである。また、電子輸送層は、電子輸送性の材料を主成分とする層である。ここで、電子輸送性の材料とは、電子アクセプター性を有し陰イオンになりやすい性質と、発生した電子を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を併せ持ち、陰極116から発光層114までの電荷輸送に対して適正を有する材料のことである。
【0070】
図3Bは、本発明の実施の形態に係る、異物が混入した発光画素の断面概略図である。同図に示した緑色発光画素22Gは、製造工程において、陽極112と陰極116との間に導電性の異物50が混入し、異物50を介して陽極112と陰極116とが短絡している。本発明の表示パネルの製造方法では、異物50が判定部13において欠陥部であると判定された場合には、例えば、異物50またはその周辺である陰極116の一部に対してレーザー照射して高抵抗化することにより、異物50により短絡された陽極112と陰極116との間の短絡を解消(リペア)する。短絡した部分のリペア工程については、後に説明する。
【0071】
<検査方法及び製造方法>
次に、本発明の表示パネルの検査方法及び製造方法について説明する。
【0072】
図4は、本発明の実施の形態に係る表示パネルの製造方法を説明する工程フローチャートである。
【0073】
まず、基板上に表示パネル22を形成する(S10)。
【0074】
次に、ステップS10で形成された表示パネル22の発光画素を検査する(S20)。
【0075】
最後に、ステップS20で特定された欠陥画素をリペアする(S30)。
【0076】
以下、ステップS10〜S30を詳細に説明する。
【0077】
まず、ステップS10での表示パネルの形成工程を説明する。具体的には、
図3Aに示された表示パネル22を準備する。
【0078】
まず、TFTを含む基板110上に、絶縁性の有機材料からなる平坦化膜111を形成し、その後、平坦化膜111上に陽極112を形成する。陽極112は、例えば、スパッタリング法により、平坦化膜111上にAlが30nm成膜され、その後、フォトリソグラフィ及びウエットエッチングによるパターニング工程を経て形成される。
【0079】
次に、陽極112上に、例えば、PEDOTをキシレンよりなる溶剤に溶かし、このPEDOT溶液をスピンコートすることにより、正孔注入層113を形成する。
【0080】
次に、正孔注入層113の上に、例えば、真空蒸着法によりα−NPD、Alq3を積層し、発光層114を形成する。
【0081】
次に、発光層114の上に、例えば、ポリフェニレンビニレン(PPV)を、キシレンまたはクロロホルムよりなる溶剤に溶かしてスピンコートすることにより、電子注入層115を形成する。
【0082】
続いて、電子注入層115が形成された基板を大気曝露させることなく、陰極116を形成する。具体的には、電子注入層115の上に、スパッタリング法によりITO(Indium Tin Oxide)が35nm積層されることにより、陰極116が形成される。このとき、陰極116は、アモルファス状態になっている。
【0083】
上記製造工程により、発光素子としての機能をもつ有機EL素子が形成される。なお、陽極112の形成工程と正孔注入層113の形成工程との間に、表面感光性樹脂からなる隔壁123が所定位置に形成される。
【0084】
次に、陰極116の上に、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により窒化珪素を500nm積層し、薄膜封止層117を形成する。薄膜封止層117は、陰極116の表面に接して形成されるので、特に、保護膜としての必要条件を厳しくすることが好ましく、上記した窒化珪素に代表されるような非酸素系無機材料が好ましい。また、例えば、酸化珪素(Si
XO
Y)や酸窒化珪素(Si
XO
YN
Z)のような酸素系無機材料や、これらの無機材料が複数層形成された構成であってもよい。また、形成方法は、プラズマCVD法に限らず、アルゴンプラズマを用いたスパッタリング法など、その他の方法であってもよい。
【0085】
次に、薄膜封止層117の表面に、封止用樹脂層118を塗布する。その後、塗布された封止用樹脂層118上に、カラーフィルタ122を形成する。
【0086】
次に、カラーフィルタ122の上に、接着層119及び透明基板120を配置する。なお、薄膜封止層117、封止用樹脂層118、接着層119及び透明基板120は、本発明における保護層に相当する。
【0087】
最後に、透明基板120を上面側から下方に加圧しつつ熱またはエネルギー線を付加して封止用樹脂層118を硬化し、透明基板120、接着層119及びカラーフィルタ122と薄膜封止層117とを接着する。
【0088】
上記形成方法により、
図3Aに示す表示パネル22が形成される。なお、陽極112、正孔注入層113、発光層114、電子注入層115及び陰極116の形成工程は、本発明により限定されるものではない。
【0089】
次に、
図4の工程フローチャートに戻り、本発明の要部であるステップS20での発光画素の検査工程を説明する。以下、当該工程を具体的に説明するに先立ち、当該工程を得るに至った経緯について説明する。
【0090】
表示パネル22の製造工程において、
図2B及び
図3Bに示されたように、例えば、有機層内に異物50等が混入し、有機EL素子が短絡欠陥部を有する場合、当該有機EL素子に信号電圧に対応した電圧が印加されても、短絡欠陥部に優先的に電流が流れてしまう。そのため、上記有機EL素子には正常な電流が流れず、滅点化してしまう。従って、有機EL素子は滅点化を防ぐため、滅点化の原因になる短絡欠陥部を検出し、該当箇所をリペアすることが要求される。
【0091】
そこで、有機EL素子内の欠陥部の有無を検出する方法として、表示パネル22に透明基板120側から光を照射し、カラーフィルタ122を介して得られる反射光、または散乱光を検出器で撮像することで取得される表示パネル22の光学像により、有機EL素子内に欠陥部が存在するかを判別することが挙げられる。
【0092】
しかしながら、表示パネル22に照射する光源を可視光とした場合、表示パネル22に照射される光はカラーフィルタ122を透過するので、当該照射光はカラーフィルタ122の透過特性に応じて吸収される。
【0093】
図6Bは、発光画素に可視光を照射した場合の光学像を表す図である。同図に示された光学像は、赤色発光画素22R、緑色発光画素22G及び青色発光画素22Bに対して、カラーフィルタ122を介して可視光を照射したときに取得されたものである。
図6Bに表されたように、各発光画素に可視光を照射した場合、特に青色発光画素22Bでは、欠陥部が検出されていない。ここで、青色を発光する青色発光画素22Bには、青色を透過する青色カラーフィルタ122Bが配設されている。この青色カラーフィルタ122Bは、可視光領域では、青色以外の色に応じた光は吸収し透過させない特性を有する。即ち、青色発光画素22Bに白色光(可視光)を照射すると、光学像は青色に応じた波長によって得られる。ここで、一般的に、青色カラーフィルタ122Bの青色透過率は低く、また、光学像を取得すべき検出器の青色検出強度(感度)は低いことが知られている。よって、
図6Bに表されたように、各発光画素に可視光を照射した場合、特に青色発光画素22Bでは、欠陥部検出が可能な光学像を得ることは困難である。
【0094】
図6Cは、発光画素に赤外光を照射した場合の光学像を表す図である。同図に示された光学像は、赤色発光画素22R、緑色発光画素22G及び青色発光画素22Bに対して、カラーフィルタ122を介して赤外光を照射したときに取得されたものである。
図6Cに表されたように、各発光画素に赤外光を照射した場合、緑色発光画素22G及び青色発光画素22Bでは、精度よく欠陥部が視認できる。ここで、赤色カラーフィルタ122R、緑色カラーフィルタ122G及び青色カラーフィルタ122Bは、可視光領域において各色を優先的に透過するが、可視光領域に隣接する赤外領域も透過させる特性を有している。これにより、緑色発光画素22G及び青色発光画素22Bでは、赤外光照射により、欠陥部の検出精度が高くなる。
【0095】
一方、各発光画素に赤外光を照射した場合、赤色発光画素22Rにおいて、検出される欠陥部が少ない。一般に、カラーフィルタ122は、可視光領域において対応する色を低損失で透過させる所定の帯域幅が確保される必要がある。この関係上、特に、赤色カラーフィルタ122Rでは、赤色領域と隣接する赤外領域の透過率を、赤色領域の帯域幅を拡張させることにより赤色の透過率と同レベルに設定することは困難である。よって、赤色カラーフィルタ122Rは、赤外光の透過率を赤色の透過率と同等に確保することが困難である。
【0096】
つまり、
図6Cに示されたように、カラーフィルタ122の影響を低減させるために、表示パネル22に照射する光源を赤外光とすると、青色発光画素22B及び緑色発光画素22Gでは、可視光の透過率に対して赤外光の透過率が相対的に高いため欠陥部の検出感度は向上する。その反面、赤色発光画素22Rでは、可視光の透過率に対して赤外光の透過率が相対的に低いため、可視光照射の場合と比べて、欠陥部の検出感度は低下する。
【0097】
上述した、可視光照射における青色発光画素22B及び赤外光照射における赤色発光画素22Rの欠陥部検出精度の低下は、カラーフィルタ122を配設した状態で表示パネル22の欠陥部を検出する場合に特有であり、これまでは検討されていなかった。
【0098】
以上の通り、一連の検討を通じ、本発明者は、被検査基板である表示パネル22に、赤外光と赤色に対応する波長の単色光との双方を照射する検出方法に至った。これにより、赤外光及び赤色光の波長が近いことにより、被照射部への焦点調整工程を簡略化でき焦点ぼけのない鮮明な光学像が得られ、カラーフィルタ122の影響を低減させつつ、赤外光では検出することができなかった欠陥部を検出することが可能となる。よって、カラーフィルタが形成された状態で、有機EL素子の発光層のパターン欠陥を検出する検査精度を向上させることが可能となる。
【0099】
以下、ステップ20の検査工程について詳細に説明する。
【0100】
図5Aは、本発明の実施の形態に係る表示パネルの第1の検査方法を説明する動作フローチャートである。
【0101】
まず、照射部11は、赤外光を、カラーフィルタ122を介して表示パネル22に照射する(S201)。このとき、照射部11は、赤外光の焦点を表示パネル22の表面に合わせる。
【0102】
次に、輝度測定部12は、ステップS201で赤外光を照射された表示パネル22の各発光画素の第1光学像を検出器により取得する(S203)。なお、上記検出器は、例えば、CCDカメラが用いられる。ステップS201及びS203は、カラーフィルタ122を介して各色表示画素に赤外光を照射し、当該照射時の各色表示画素の第1光学像を取得する赤外像取得工程に相当する。
【0103】
次に、照射部11は、赤色に対応する波長の単色光を、カラーフィルタ122を介して表示パネル22に照射する(S205)。このとき、照射部11は、赤色単色光の焦点を表示パネル22の表面に合わせるが、ステップS201における赤外光と赤色単色光との波長が近接しているため、赤外光の焦点が合っている状態のままでよく、改めて赤色単色光の焦点を合わせる工程を設ける必要がない。
【0104】
次に、輝度測定部12は、ステップS205で赤色単色光を照射された表示パネル22の各発光画素の第2光学像を検出器により取得する(S207)。なお、上記検出器は、例えば、CCDカメラが用いられる。ステップS205及びS207は、カラーフィルタ122を介して各色表示画素に赤色に対応する波長の単色光を照射し、当該照射時の各色表示画素の第2光学像を取得する赤色像取得工程に相当する。
【0105】
なお、照射部11の有する光源としては、例えば、レーザー及びLED(Light Emitting Diode)などが挙げられる。また、赤外光の波長としては、800nm〜1μmが好ましい。また、赤色単色光の波長としては、600nm〜800nmが好ましい。赤外光の波長が1μmより長くなると、赤外光照射時の分解能が低下するので、発光画素の正常発光を妨げ得る1μm以下の欠陥部を検出できなくなる。また、赤外光の波長が800nmより短くなると、赤外光の青色カラーフィルタ122Bに対する透過率が低くなり、青色発光画素22Bにおける欠陥部の検出感度が低下してしまう。また、赤色単色光の波長が800nmより長くなると、赤色単色光照射時の赤色発光画素22Rにおける欠陥部の検出感度が低下してしまう。
【0106】
最後に、判定部13は、ステップS203で取得された第1光学像、及び、ステップS207で取得された第2光学像から、各発光画素における欠陥部を特定する(S209)。なお、本ステップにおける欠陥部の特定方法としては、得られた第1光学像及び第2光学像において、所定値以上の輝度値を示す部分を欠陥部と特定してもよい。この欠陥部特定方法は、有機EL表示素子の陽極と陰極との間に、短絡欠陥部または発光層の膜厚が局部的に厚い欠陥部などが存在し表示パネル22に赤外光または可視光を照射した場合、当該欠陥部からの反射光または散乱光の輝度が異常に高くなることを利用するものである。ステップS209は、第1光学像と第2光学像とから各色表示画素の欠陥部を検出する欠陥検出工程に相当する。
【0107】
図6Aは、本発明の実施の形態に係る表示パネルの検査方法により取得された光学像を表す図である。
図6Aの(a)は、上述したステップS203で取得された第1光学像の一部である。
図6Aの(a)で観察されるように、特に、青色発光画素22Bにおける赤外光の透過率が高い状態で確保されるため、青色発光画素22Bにおける欠陥部の検出精度が向上する。その反面、赤色発光画素22Rでは、可視光の透過率に対して赤外光の透過率が相対的に低いため、可視光照射の場合と比べて異物の検出感度は低下する。
【0108】
本発明の検出方法では、上述した赤外光照射により取得された第1光学像を補完すべく、ステップS207で取得された第2光学像を活用する。
図6Aの(b)は、上述したステップS207で取得された第2光学像の一部である。
図6Aの(b)で観察されるように、特に、赤色発光画素22Rでは赤色単色光の透過率を高い状態で確保できるため、赤色発光画素22Rにおける欠陥部(
図6Aの(b)における破線円内)の検出精度が向上する。
【0109】
なお、ステップS209では、第1光学像及び第2光学像を合成した像により欠陥部を判定してもよいし、第1光学像及び第2光学像のそれぞれにおいて検出した欠陥部を総合したものを欠陥部と判定してもよい。
【0110】
上述した第1の検査方法により、照射部11から赤外光及び赤色単色光を各発光画素に対し、カラーフィルタ122を介して照射することにより、赤外光のみの照射では検出することができなかった赤色画素での欠陥部、ならびに、可視光のみの照射では検出することができなかった青色画素での欠陥部を、焦点調整工程を簡素化して高精度に検出することが可能となる。なお、上述した検出方法では触れていないが、緑色発光画素22Gにおける欠陥部の検出については、赤外光照射により十分な検出感度が得られている。
【0111】
上述した第1の検査方法では、赤外光と赤色単色光とを順次照射し、それぞれの光学像を取得することにより欠陥部を判定したが、第2の検査方法として、赤外光と赤色単色光とを同時照射して取得された第3光学像により欠陥部を判定してもよい。以下、第2の検査方法について、第1の検査方法と異なる部分を中心に説明する。
【0112】
図5Bは、本発明の実施の形態に係る表示パネルの第2の検査方法を説明する動作フローチャートである。
【0113】
まず、照射部11は、赤外光と赤色単色光とを、カラーフィルタ122を介して表示パネル22に同時に照射する(S202)。このとき、照射部11は、赤外光及び赤色単色光の焦点を表示パネル22の表面に合わせる。ここで、赤外光及び赤色単色光の波長が近接しているため、2種類の光を照射するにも拘わらず1回の調整工程で焦点調整が可能となる。また、広い波長域を有する白色光を照射する場合と比較して、高精度な焦点調整が可能であるので、次ステップにおいて、より鮮明な光学像を取得することが可能となる。
【0114】
次に、輝度測定部12は、ステップS202で赤外光及び赤色単色光の双方を同時に照射された表示パネル22の各発光画素の第3光学像を検出器により取得する(S204)。ステップS202及びS204は、カラーフィルタを介して各色表示画素に赤外光及び赤色に対応する波長の単色光を同時に照射し、当該照射時の各色表示画素の第3光学像を取得する赤外赤色像取得工程に相当する。
【0115】
最後に、判定部13は、ステップS204で取得された第3光学像から、各発光画素における欠陥部を特定する(S206)。ステップS206は、第3光学像から各色表示画素の欠陥部を検出する欠陥検出工程に相当する。
【0116】
図6Aの(c)は、上述したステップS206で取得された第3光学像の一部である。
図6Aの(c)で観察されるように、特に、青色発光画素22Bにおける赤外光の透過率が高い状態で確保されるため、青色発光画素22Bにおける欠陥部の検出精度が向上する。また、特に、赤色発光画素22Rでは赤色単色光の透過率を高い状態で確保できるため、赤色発光画素22Rにおける欠陥部の検出精度が向上する。
【0117】
上述した第2の検査方法により、照射部11から赤外光及び赤色単色光を各発光画素に対し、カラーフィルタ122を介して同時に照射することにより、赤外光のみの照射では検出することができなかった赤色画素での欠陥部、ならびに、可視光のみの照射では検出することができなかった青色画素での欠陥部を、焦点合わせの工程を簡素化して高精度に検出することが可能となる。なお、上述した検出方法では触れていないが、緑色発光画素22Gにおける欠陥部の検出については、赤外光照射により十分な検出感度が得られている。
【0118】
以下、ステップS30のリペア工程について説明する。
【0119】
ステップS30では、ステップS20で特定された欠陥画素を、リペア装置3によりリペアする。リペア装置3は、例えば、レーザー発振器と、検出器と、CCDカメラと、照明と、ステージとを備える。表示パネル22は、ステージの上に固定配置される。そして、例えば、表示パネル22の欠陥部付近の陰極116にレーザー焦点を合わせて、陰極116の一部を高抵抗化させる。CCDカメラは、ステージの高さ及び平面方向を高精度に調整するため、ステージ上の表示パネル22の表面を観察するモニタである。これにより、例えば、異物と電気的に短絡している陰極領域、つまり、陰極の一部で囲まれた陰極領域は、他の陰極領域と絶縁され、異物を介して陽極112と短絡接続されている。これにより、陽極112と陰極116との間に流れる電流パスは、陰極の一部で囲まれた陰極領域には発生しないが、当該陰極領域以外の陰極領域には正常に発生するようになる。ステップS30は、ステップS206またはS209で検出された欠陥部について、リペアを行なうリペア工程に相当する。
【0120】
最後に、上述したレーザーリペアにより、欠陥部を有している発光画素が回復したかを、点灯確認する。
【0121】
図7は、レーザーリペア後の点灯確認を表す図である。例えば、異物による短絡欠陥部が存在する発光画素は、所定の信号電圧を供給した場合、当該短絡欠陥部のみが輝点となる。これに対して、レーザーリペアを実施した後では、例えば、上記レーザーリペアにより短絡欠陥部は高抵抗化され黒点となり、当該短絡欠陥部以外の発光領域が発光する。このような発光モードにおける点灯確認により、発光画素の回復の可否を確認することが可能となる。
【0122】
以上、本発明の表示パネルの製造方法によれば、赤外光及び赤色単色光を、焦点合わせの工程を簡素化して照射でき、これにより赤色画素での欠陥部及び青色画素での欠陥部を高精度に検出することが可能となる。この高精度な欠陥部の検出により、欠陥部のリペアを確実に実行することができるので製造歩留まりが向上する。
【0123】
以上、上記実施の形態に基づいて本発明に係る表示パネルの製造方法、その検査装置及び検査方法を説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る表示パネルを内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0124】
上記実施の形態では、検出すべき発光画素の欠陥部として、異物50が有機層に跨って存在する場合を例示したが、本発明の検査装置及び検査方法により検出される欠陥部はこれに限られない。欠陥部としては、異物50による短絡欠陥の他、例えば、異物50が存在しないが陽極112と陰極116とが有機層を介さずに短絡している態様、または、発光層114が局部的に厚い態様、などが挙げられる。以下、上記2態様について図面を用いて説明する。
【0125】
図8Aは、本発明の実施の形態の第1の変形例に係る発光画素の断面概略図である。本変形例に係る緑色発光画素22Gが、
図3Bに記載された緑色発光画素22Gと異なる点は、陽極112と陰極116とが導電性の異物50を介さずに直接接触して短絡している点である。これは、例えば、有機層の形成工程において短絡部分の位置にピンホールが形成され、その後、陰極116の形成工程において当該ピンホールに陰極116を構成する材料が流入して陰極116が形成されたために、このように直接接触したものである。このような態様においても、赤外光及び赤色単色光を照射することにより、欠陥部51は異常輝点として検出される。そして、欠陥部51を高抵抗化することにより、短絡された陽極112と陰極116との短絡を解消することが可能である。
【0126】
図8Bは、本発明の実施の形態の第2の変形例に係る発光画素の断面概略図である。本変形例に係る緑色発光画素22Gが、
図3Bに記載された緑色発光画素22Gと異なる点は、発光層114が局部的に厚くなっている点である。このような態様においても、赤外光及び赤色単色光を照射することにより、欠陥部52は異常輝点として検出される。そして、欠陥部52を高抵抗化することにより、当該欠陥を解消することが可能である。
【0127】
また、上述した実施の形態では、下部電極を陽極、上部電極を陰極とする構成について示したが、下部電極を陰極、上部電極を陽極とする構成であってもよい。また、発光画素の構成である平坦化膜、陽極、正孔注入層、発光層、隔壁、電子注入層、陰極、薄膜封止層、封止用樹脂層、カラーフィルタ、接着層及び透明基板は、上記した実施の形態に示した構成に限らず、材料や構成、形成方法を変更してもよい。例えば、正孔注入層と発光層との間に正孔輸送層があってもよいし、電子注入層と発光層との間に電子輸送層があってもよい。
【0128】
また、レーザーリペアにおけるレーザーの照射位置は、上述した実施の形態に限定されず、異物や短絡部分を含む所定の範囲に設定されてもよいし、異物や短絡部分のみに設定されてもよい。また、異物や短絡部分の周囲を囲むように設定されてもよい。また、レーザーの照射は、陰極に限らず陽極に対して行われてもよい。
【0129】
また、本発明は、例えば、
図9に示すような、本発明の製造方法による発光パネルを備えた薄型フラットテレビシステムの製造に好適である。
【0130】
また、
図1に記載された検査装置1は、表示装置2に組み込まれていてもよい。この場合、表示装置2の制御部21が、照射部11、輝度測定部12及び判定部13を有し、制御部21が実施の形態で説明した検査方法を実行する。この態様によっても、赤外光及び赤色単色光を、焦点合わせの工程を簡素化して照射でき、これにより赤色画素での欠陥部及び青色画素での欠陥部を高精度に検出することが可能となり、欠陥部のリペアを確実に実行することができるので製造歩留まりが向上する。