(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
供給される電力量をPWM制御によって制御することで発光量を制御可能な発光手段に対して電力を供給すると共に、前記PWM制御のデューティ比を調整することで前記発光手段に供給する前記電力の電力量を制御し、前記発光手段の調光時における見た目の明るさの変化を略均一化するための調光装置であって、
一方の軸を前記デューティ比又は前記デューティ比を決定する要素、他方の軸を明るさの値とする対数グラフ上において、前記デューティ比又は前記デューティ比を決定する要素と前記明るさとの相関の線形変化を示す曲線を第一の特性線とし、
前記一方の軸側の座標の値が、前記調光装置によって前記発光手段を発光させる際に前記発光手段を明るさの最大値で発光させる点の値であり、
前記他方の軸側の座標の値が、前記第一の特性線の前記他方の軸側の座標の値よりも大きく、かつ、前記調光装置によって発光される際の前記発光手段の明るさの最大値を示す点である、前記対数グラフ上の特定の点に対応する値を特定値とし、
かつ、該特定値から前記第一の特性線上の接点に向けて引いた、前記特定値と前記第一の特性線との接線としての直線を第二の特性線としたときに、
前記一方の軸の値の最小値から前記接点の値までを、特定の大きさのパルスにおいて前記PWM制御を行い、前記第一の特性線に依存して前記調光を行い、
前記接点の値から前記一方の軸の値が前記最大値の座標の値までを、前記特定の大きさを変化させたパルスにおいて前記PWM制御を行い、前記第二の特性線に依存して前記調光を行うように前記デューティ比を設定するデューティ比設定手段を備えたことを特徴とする調光装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人間の視覚は比率によって明るさの変化を判断することが知られている。そのため、PWM制御によって発光手段の明るさを制御する場合、明るさの度合いが低い部分での変化(例えば最小値0〜最大値63、という64段階でパルス幅(各パルスの継続時間)の設定値を変化させて明るさを線形変化させる場合、例えばパルス幅が1から2への変化)に比べて、明るさの度合いが高い部分での変化(同上の場合、例えばパルス幅が62から63への変化)の方が、明るさの変化が少なく感じられる。そして、特許文献1に記載の発明においては、デューティ比の変化に伴って発光手段の明るさが線形的に変化するため、同じパルス幅分だけ明るさを変化させても、発光手段の光を直接又は間接に視覚する者(以下「視覚者」と称する)に対し、明るさが増すほど明るさの変化が少なくなるような感覚を与えてしまうという問題がある。
【0005】
そして、特許文献2は、輝度が高い領域ほどデューティ比の単位あたりの輝度変化量が大きくなるため、上述の問題は軽減される。しかし、特許文献2においては、領域同士の境界部分(グラフに表した際に角が形成される部分)で輝度が大きく変化することになり、視覚者の視覚に違和感を与えるという問題がある。
【0006】
一方、特許文献1や特許文献2の構成において、発光手段の明るさをディジタル処理で調整する場合、明るさの度合いも最小値から最大値まで段階数を設定して処理されるが、明るさの値が整数値のみで処理できない場合が発生しうる。そのため、小数点以下の値も処理するために、処理に必要な桁数が大きくなり、回路規模が大きくなって、製造の手間の増大と製造コストの高騰を招くという問題がある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、製造コストの増大を抑止しつつ、明るさの度合いの如何に関わらず、各種の発光手段の調光時における見た目の明るさの変化を略均一化できる調光装置、点灯制御装置、調光方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、供給される電力量をPWM制御によって制御することで発光量を制御可能な発光手段に対して電力を供給すると共に、前記PWM制御のデューティ比を調整することで前記発光手段に供給する前記電力の電力量を制御し、前記発光手段
の調光時における見た目の明るさの変化を略均一化するための調光装置であって、一方の軸を前記デューティ比又は前記デューティ比を決定する要素、他方の軸を明るさの値とする対数グラフ上において、前記デューティ比又は前記デューティ比を決定する要素と前記明るさとの相関の線形変化を示す
曲線を第一の特性線とし、
前記一方の軸側の座標の値が、前記調光装置によって前記発光手段を発光させる際に前記発光手段を明るさの最大値で発光させる点の値であり、前記他方の軸側の座標の値が、前記第一の特性線の前記他方の軸側の座標の値よりも大きく、かつ、前記調光装置によって発光される際の前記発光手段の明るさの最大値を示す点である、前記対数グラフ上の特定の
点に対応する値
を特定値とし、
かつ、該特定値から前記第一の特性線上の接点に向けて引いた
、前記特定値と前記第一の特性線との接線としての
直線を第二の特性線としたときに、
前記一方の軸の値の最小値から前記接点の値までを、特定の大きさのパルスにおいて前記PWM制御を行い、前記第一の特性線に依存して前記調光を行い、前記接点の値から前記一方の軸の値が前記最大値の座標の値までを、前記特定の大きさを変化させたパルスにおいて前記PWM制御を行い、前記第二の特性線に依存して前記調光を行うように前記デューティ比を設定するデューティ比設定手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の構成に加え、前記デューティ比設定手段は、前記デューティ比を決定するためのデューティ比テーブルを備え、前記第一の特性線に依存して前記調光を行う場合は演算により前記デューティ比を決定するとともに、前記第二の特性線に依存して前記調光を行う場合は前記デューティ比テーブルに記録されたデータに基づいて前記デューティ比を決定することを特徴とする。
【0011】
請求項
3に記載の発明は、請求項
1又は2に記載の構成に加え、前記発光手段はLEDであることを特徴とする。
【0012】
請求項
4に記載の発明は、点灯制御装置であって、請求項1乃至
3の何れか一つに記載の調光装置と、該調光装置の制御に基づいて前記発光手段に電力を供給し前記発光手段を点灯させる点灯手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項
5に記載の発明は、供給される電力量をPWM制御によって制御することで発光量を制御可能な発光手段に対して電力を供給すると共に、前記PWM制御のデューティ比を調整することで前記発光手段に供給する前記電力の電力量を制御し、前記発光手段
の調光時における見た目の明るさの変化を略均一化するため
の調光方法であって、一方の軸を前記デューティ比又は前記デューティ比を決定する要素、他方の軸を明るさの値とする対数グラフ上において、前記デューティ比又は前記デューティ比を決定する要素と前記明るさとの相関の線形変化を示す
曲線を第一の特性線とし、
前記一方の軸側の座標の値が、調光装置によって前記発光手段を発光させる際に前記発光手段を明るさの最大値で発光させる点の値であり、前記他方の軸側の座標の値が、前記第一の特性線の前記他方の軸側の座標の値よりも大きく、かつ、前記調光装置によって発光される際の前記発光手段の明るさの最大値を示す点である、前記対数グラフ上の特定の
点に対応する値
を特定値とし、
かつ、該特定値から前記第一の特性線上の接点に向けて引いた
、前記特定値と前記第一の特性線との接線としての
直線を第二の特性線としたときに、
前記一方の軸の値の最小値から前記接点の値までを、特定の大きさの範囲のデューティ比において前記PWM制御を行い、前記第一の特性線に依存して前記調光を行い、前記接点の値から前記一方の軸の値が前記最大値の座標の値までを、前記特定の大きさの範囲を変化させた前記デューティ比において前記PWM制御を行い、前記第二の特性線に依存して前記調光を行うように前記デューティ比を設定するデューティ比設定手順を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、及び請求項6に記載の発明によれば、対数グラフ上の特定値から第一の特性線上の接点に向けて引いた接線としての特性線を第二の特性線に依存して明るさの調整を行うことで、明るさが増すほどデューティ比やパルス幅の変化に伴う明るさの増減量を大きくできて、視覚上線形的に明るさを変化させる調光を実現できる。また、対数グラフ上の線形変化を示す特性線を第一の特性線に依存して明るさの調整を行うことで、調光に用いる値に小数点以下の値が生じて数値の桁数が大きくなる事態を抑止できる。それゆえ、第一の特性線と第二の特性線を、ディジタル回路の分解能限界を超えない範囲で設定することが容易になり、ディジタル回路で処理を行う場合に、処理対象となる数値の桁数が大きくなることを抑止できるため、回路規模を大きくせずに良好な調光を行える。さらに、第二の特性線を対数グラフ上の第一の特性線に向けて引いた接線としたことにより、第一の特性線と第二の特性線の接合部分の傾斜の変化が少なくなり、接点を境に、第一の特性線に依存した調光を第二の特性線に依存した調光に、あるいは、第二の特性線に依存した調光を第一の特性線に依存した調光に移行させることで、移行部分で明るさの変化が急激に増減することのない調光を実現できる。これにより、製造コストの増大を抑止しつつ、明るさの度合いの如何に関わらず、各種の発光手段の調光時における見た目の明るさの変化を略均一化できる。
【0015】
請求項
1に記載の発明によれば、特定値は、明るさの最大値であることにより、明るさの最大値又は最小値に至るまで、良好な調光を行うことができる。
【0016】
請求項
2に記載の発明によれば、第一の特性線に依存して調光を行う場合は演算によりデューティ比を決定し、演算が複雑化する、第二の特性線に依存して調光を行う場合はデューティ比テーブルに記録されたデータに基づいて調光を行うことにより、デューティ比の算出が容易な領域において簡易な演算によって正確な値を算出し、デューティ比の算出が複雑化する領域においてデューティ比テーブルを用いて簡易かつ迅速に値を算出することができるので、回路の複雑化や製造コストの増大を抑止しつつ、PWM制御によって良好な調光を行うことができる。
【0017】
請求項
3に記載の発明によれば、LEDの発光制御に適したPWM制御において、製造コストの増大を抑止しつつ明るさの度合いの如何に関わらず、各種の発光手段の調光時における見た目の明るさの変化を略均一化できる。
【0018】
請求項
4に記載の発明によれば、製造コストの増大を抑止しつつ明るさの度合いの如何に関わらず、各種の発光手段の調光時における見た目の明るさの変化を略均一化できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[基本構成]
図1乃至
図2にこの発明の実施の形態を示す。
【0021】
図1は、この実施の形態に係る点灯装置及び調光装置の全体構成を示す機能ブロック図である。
【0022】
同図に示す点灯制御装置1A及び調光装置1は、電力によって光を発する各種の「発光手段」に対して電力を供給するために用いられる。この実施の形態において、「発光手段」とは、例えば
図1に示す、パチンコ機等の遊技機2に設けられた一又は複数の「照明器具」としてのLED3である。
【0023】
この実施の形態の点灯制御装置1A及び調光装置1は、LED3の点灯制御(例えばLED3のオンオフ制御)や調光(例えば「明るさ」としての輝度を調整するための輝度制御)を行う。具体的には、点灯制御装置1A及び調光装置1は、PWM制御のデューティ比を調整することで、LED3に供給する電力の電力量を制御することで、LED3の点灯制御や調光を行う。この、LED3の点灯制御や調光は、遊技機2の周期的に、あるいは「大当たり」等のイベントの発生ごとに、任意のプログラムやワイヤードロジック等に基づいて行う。
【0024】
点灯制御装置1A及び調光装置1は、パチンコ機(図示せず)の本体に配設されている。ただし、点灯制御装置1A及び調光装置1がパチンコ機(図示せず)の本体とは別に設けられていてもよく、また、一の調光装置1が複数のパチンコ機(図示せず)にそれぞれ複数設けられたLED3の点灯制御を行うものであってもよい。
【0025】
図1に示す、この実施の形態の点灯制御装置1Aは、いわゆるLEDドライバであり、調光装置1と、「点灯手段」としての点灯処理部4、調光操作部5とを備える。
【0026】
調光装置1は、少なくとも1のCPU11を備え、このCPU11における命令やデータの処理によって調光装置1の動作が制御される。さらに、調光装置1は、CPU11の処理における作業領域として機能するRAM12、各種データ等が記憶されるROM13、EEPROM(図示せず)、磁気ディスク(図示せず)等を備えている。なお、調光装置1は、CPU11に替えてシーケンス制御のための各種構成を備え、当該構成の動作によって動作が制御されるものであってもよい。
【0027】
また、調光装置1は、「デューティ比設定手段」としてのデューティ比設定部14、デューティ比テーブル15を備えている。このデューティ比設定部14やデューティ比テーブル15は、CPU11におけるプログラム処理の結果による機能手段を用いて設けられるものでもよいし、ハードウェアによって設けられるものでもよい。
【0028】
デューティ比設定部14は、クロック信号の発信、発信されたクロック信号のカウント、調光操作部5から供給された入力値(後述)に基づいた、デューティ比の決定方法の選択(後述)や、デューティ比やパルス幅の算出や、デューティ比テーブル15から読み出したデューティ比のデータに基づくデューティ比の決定(後述)を行い、決定されたデューティ比やパルス幅を点灯処理部4に出力する。なお、この実施の形態においては、「デューティ比の設定」や「デューティ比の決定」とは、デューティ比そのものを設定したり決定したりすることに加え、デューティ比の設定や決定に用いられる、特定周期内のパルス幅(つまり各パルスの継続時間)を設定したり決定したりすること等、デューティ比の設定や決定に関連する構成や手順も含まれるものとする(本明細書において同じ)。
【0029】
デューティ比テーブル15は、特定の範囲の明るさに調光する場合におけるデューティ比に関するデータが記録されている。デューティ比設定部14は、特定の範囲の明るさに調光する場合にこのデータを読み込んでデューティ比を決定する。
【0030】
点灯処理部4は、交流電源や直流電源といった電源、電圧を変換する変圧器、電源から供給された電流を一定電圧の直流電流に整流する整流器、整流された電流をオン、オフの2値からなるパルス電流として出力するパルス電流形成器等からなる。パルス形成器は、デューティ比設定部14において決定されたデューティ比に基づいてパルス幅を設定したパルス電流を生成し、このパルス電流をLED3に供給してLED3を点灯させる。
【0031】
調光操作部5は、遊技機2等に設けられた他の構成からの入力(例えばCPU11における特定のプログラムの処理結果)や、視覚者や調整作業等を行う操作者等の手動入力(例えばスライド式やダイヤル式の調光操作器の操作)や、各種光センサ(図示せず)の輝度検知の結果に基づいて出力された信号等の入力を受けて、LED3を点灯させる輝度を決定し、決定した輝度の情報を調光装置1に対して出力する。
【0032】
[調光及び点灯制御の原理]
図2は、この実施の形態の点灯制御装置1A及び調光装置1における、パルス幅の設定値とLED3の輝度との相関を示すグラフである。以下、同図に基づいて、調光装置1による調光及び点灯制御装置1AによるLED3の点灯制御の原理を説明する。
【0033】
図2に示す「対数グラフ」としてのグラフ100は、横軸がLED3に供給される、「デューティ比を決定する要素」としての、PWM制御が行われるパルス電流のパルス幅の設定値、縦軸がLED3の輝度を示す片対数グラフである。同図において、横軸に示すパルス幅の設定値は、所定の時間帯(例えば、デューティ比設定部14において、0→1→・・・62→0、と循環して変化するカウンタがあり、このカウンタの0〜62までの1周期(合計63カウント)の間)を設定値0〜設定値62(つまり2
0−1〜2
6−1)に63区間とし、6ビットのディジタル信号(2
0−1〜2
6−1)にて処理できる(6ビットの分解能でPWM制御を行える。例えば、設定値0であれば1周期(0〜62までの63区間)のパルスは全てOFFで、設定値62であれば1周期のパルスは全てONとする制御を行う。)態様としたものを線形軸上に示したものである。
【0034】
グラフ100において、縦軸に示す「輝度」は、LED3の輝度を対数軸上に表したものである。このグラフ100においては、LED3の輝度の最小値から最大値(例えば0cd/m
2〜1.0cd/m
2)を0〜1023(つまり2
0−1〜2
10−1)に1024等分し、10ビットのディジタル信号にて処理できる態様としたものを、対数軸上に示したものを示している。
【0035】
なお、このグラフ100は片対数グラフであるため、縦軸・横軸とも線形軸上であるグラフ上で曲線として表示されるものが直線で表示され、直線として表示されるものが曲線で表示される。従って、以下は、縦軸・横軸とも線形軸上であるグラフ上の表示を基準に、グラフ100上に直線表示された線を「曲線」、曲線表示された線形特性を示す線を「直線」と表記する。
【0036】
ここで、調光の原理として考えられる、(原理1)〜(原理5)を以下に示し、検討する。
【0037】
(原理1)
上述した通り、人間の視覚は明るさを比率で認識する。この人間の視覚の特性に鑑みると、このグラフ100上において、最小値101である輝度1(“0”を除く最小の(整数の)値)から、「特定の値」としての最大値102である輝度1023までを直線で結んだ理想曲線103に沿った調光を行えば、人間の視覚に違和感のない線形的な輝度の増減に見える調光となる。従って、この実施の形態においても、この理想曲線103により近い態様で調光を行うことが望ましい。
【0038】
(原理2)
それに対し、特性のデューティ比、例えば“(設定値+1)/63”のデューティ比の線形特性の変化に略比例して均等に明るさが増減するように設定された均等PWM線104に沿った調光を行う場合を考える。
【0039】
この均等PWM線104は、理想曲線103とは特性が大きく異なり、最大値102に近づくにつれて傾斜が緩くなる。そのため、この(原理2)においては、視覚者に対し、輝度が高くなるにつれて輝度変化が少なく感じさせるものになるという、従来技術の問題点(上述した[特許文献1]における問題点)が解消されない。
【0040】
(原理3)
一方、(原理1)に示したように、ディジタル処理において、理想曲線103に近似したPWM制御によりLED3の調光を行おうとした場合、理想曲線103上の値を、値が大きい順にとっていくと、縦軸の値が32(このとき、横軸の値も32となる)よりも下の領域では、小数点以下の値が発生してしまう。このため、(原理3)として、
図2に示す、「接点」としての、整数値をとりうる限界点105よりも値が下の領域で、理想曲線103に沿った値で調光を行おうとすると、調光に必要なけた数が大きくなり、回路規模が大きくなってしまうという問題が発生する。
【0041】
(原理4)
ここで、この実施の形態において、整数値を取り得る限界値の集合は、横軸の値がX、縦軸の値がYとした場合、
図2に示す、Y=Xとなる「第一の特性線」としての限界直線106となる。そして、上記(原理3)の問題点に鑑み、(原理4)として、縦軸の値が最大値102から限界点105までの領域107を理想曲線103に沿って、限界点105から最小値101までの領域108を限界直線106に沿って(つまり、
図2に示す疑似対数曲線106aに沿って)、それぞれ調光を行えば、回路規模を大きくせずに、理想曲線103に近い調光を行うことができる。
【0042】
しかしこの(原理4)の場合、限界点105付近、つまり、
図2に示す領域108及びその近傍において、理想曲線103から限界直線106へ、あるいは限界直線106から理想曲線103へ、制御状態が変化する。この部分、すなわち
図2に示す領域109の部分で、調光の状態も急激に変化するため、領域108での調光の際、視覚者に対し、明るさの変化が急激に変化したという違和感を与えてしまう。つまり、従来技術の問題点(上述した[特許文献2]における問題点)が解消されないこととなる。
【0043】
(原理5)
上記(原理2)〜(原理4)に示す問題を解決するために、(原理5)として、
図2に示すように、グラフ100上において、最大値102から限界直線106上の接点110に向けて「第二の特性線」としての接線111を引く。そして、最大値102から接点110までを接線111に依存して調光を行い、接点110から最小値101までを限界直線106に依存して調光を行うことを考える。
【0044】
この場合、接線111と限界直線106とは、接点110において、近似した傾斜角度で接触する。即ち、
図2に示す通り、接線111と限界直線106とが接点110で接触する領域112は、急激な傾斜変化をすることなく連続している。
【0045】
そのため、この(原理5)においては、輝度を徐々に上げていく場合は、接点110を境に、限界直線106に依存した調光を接線111に依存した調光に移行させ、輝度を徐々に下げていく場合は、接線111に依存した調光を限界直線106に依存した調光に移行させる。このように制御することで、移行部分で明るさの変化が急激に増減することのない調光を実現できる。
【0046】
しかも、(原理5)においては、限界直線106よりも下の値で制御することがないので、調光に要する数値に小数点以下の値が生じて必要なけた数が大きくなること(そして、小数点以下の値を発生させないために整数値のけた数を大きくすること)を抑止でき、ディジタル回路で制御する場合に回路規模が大きくなることを抑止できる。
【0047】
さらに、(原理5)においては、最大値102から接点110までの接線111の傾きや、接点110から最小値101までの限界直線106の傾きは、理想曲線103の傾きに近いため、このような接線111や限界直線106に沿って調光を行えば、理想曲線103に沿った調光に近い、人間の視覚に違和感のない線形的な輝度の増減に見える調光を実現できる。
【0048】
以上に鑑み、この実施の形態において、調光装置1は、上記(原理5)に基づく調光を行うことで、製造コストの増大の抑止、また、明るさの度合いの如何に関わらず、各種の発光手段の明るさの見た目の変化を略均一化を図るものである。
【0049】
[調光及び点灯制御の手順]
この実施の形態においては、調光装置1及び点灯制御装置1Aは、以下の手順でLED3の調光及び点灯制御を行う。
【0050】
<輝度決定>
まず、点灯制御装置1Aの調光操作部5は、調光装置1に対し、LED3を点灯させる輝度を決定し、決定した輝度の情報を調光装置1に対して出力する。上述したように、この調光操作部5は、遊技機2等に設けられた他の構成からの入力や、視覚者や調整作業等を行う操作者等の手動入力や、各種光センサ(図示せず)の輝度検知の結果に基づいて出力された信号等の入力を受けて、輝度を決定する。
【0051】
<デューティ比の決定方法の選択と、デューティ比の決定>
調光装置1は、調光操作部5が決定して出力した輝度の情報を受け、LED3を点灯させる輝度の数値(
図2において横軸のパラメータとして示された数値)が、接点110の値以上なのか、接点110の値よりも下なのかを確認する。
【0052】
輝度の数値が接点110の値よりも下である場合は、調光装置1がデューティ比を演算により算出する。即ち、この実施の形態においては、上述の通り、横軸の値(設定値0〜62の63段階で示される、パルス電流1周期あたりのパルス幅)がX、縦軸の値(LED3の輝度)がYとした場合、Y=Xとなるようなパルス幅を算出する。そして、算出されたパルス幅にてデューティ比を決定する。
【0053】
輝度の数値が接点110の値よりも
上である場合は、調光装置1は、デューティ比テーブル15のデータに基づいてパルス幅を決定する。そして、このパルス幅にてデューティ比を決定する。
【0054】
<デューティ比の出力と、点灯制御>
調光装置1は、決定されたデューティ比を点灯処理部4に出力する。点灯処理部4は、このデューティ比のパルス電流を生成し、LED3に供給し、LED3の点灯制御を行う。即ち、点灯制御装置1Aは、調光操作部5において決定された輝度でLED3を点灯させる。あるいは、点灯制御装置1Aは、既に点灯しているLED3の輝度を、調光操作部5で決定された輝度となるように調整する。
【0055】
以上示した通り、この実施の形態においては、対数グラフであるグラフ100上の最大値102から限界直線106上の接点110の値に向けて引いた接線111に依存して明るさの調整を行うことで、LED3の輝度が増すほどデューティ比やパルス幅の変化に伴う輝度の増減量を大きくできて、視覚上線形的に輝度を変化させる調光を実現できる。また、対数グラフであるグラフ100上の線形変化を示す特性線である限界直線106に依存して輝度の調整を行うことで、調光に用いる値に小数点以下の値が生じて数値の桁数が大きくなる事態を抑止できる。それゆえ、限界直線106と接線111を、ディジタル回路の分解能限界を超えない範囲で設定することが容易になり、ディジタル回路で処理を行う場合に、処理対象となる数値の桁数が大きくなることを抑止できるため、回路規模を大きくせずに良好な調光を行える。さらに、第二の特性線を対数グラフであるグラフ100の限界直線106に向けて引いた接線111としたことにより、限界直線106と接線111の接合部分の傾斜の変化が少なくなり、接点110を境に、限界直線106に依存した調光を接線111に依存した調光に、あるいは、接線111に依存した調光を限界直線106に依存した調光に移行させることで、移行部分で輝度の変化が急激に増減することのない調光を実現できる。これにより、製造コストの増大を抑止しつつ、明るさの度合いの如何に関わらず、LED3の明るさの見た目の変化を略均一化できる。
【0056】
この実施の形態においては、特定値は、LED3の輝度の最大値102であることにより、輝度の最大値102又は最小値101に至るまで、良好な調光を行うことができる。
【0057】
この実施の形態においては、限界直線106に依存してLED3の調光を行う場合は演算によりデューティ比を決定し、演算が複雑化する、接線111に依存して調光を行う場合はデューティ比テーブル15に記録されたデータに基づいて明るさの調整を行うことにより、デューティ比の算出が容易な限界直線106に沿った領域において簡易な演算によって正確な値を算出し、デューティ比の算出が複雑化する接線111に沿った領域においてデューティ比テーブル15を用いて簡易かつ迅速に値を算出することができるので、回路の複雑化や製造コストの増大を抑止しつつ、PWM制御によって良好な調光を行うことができる。
【0058】
この実施の形態においては、LED3の発光制御に適したPWM制御において、製造コストの増大を抑止しつつ輝度の度合いの如何に関わらず、LED3の調光時における見た目の明るさの変化を略均一化できる。
【0059】
なお、この実施の形態においては、調光装置1は、パルス幅を決定したが、パルス幅に替えてデューティ比を決定するものであってもよい。
【0060】
また、この実施の形態においては、グラフ100は縦軸が対数軸の片対数グラフであるものとしたが、横軸が対数軸の片対数軸グラフであってもよいし、縦軸、横軸とも対数軸の両対数グラフであってもよい。
【0061】
また、この実施の形態においては、「照明器具」としてのLED3が配設されているのは遊技機2とし、遊技機2はパチンコ機であるとしたが、パチンコ機以外の遊技機、例えばパチスロ機等であってもよい。また、この実施の形態において、「照明機器」はLED3としたが、LED3以外の照明機器、例えば白熱電球、ネオン管等の各種照明器具であってもよいし、遊技機2以外のものに用いられた「照明装置」、例えば、家屋やビルの室内灯、街灯、イルミネーション、交通機関の前照灯等であってもよい。また、点灯制御装置1Aや調光装置1が、「照明器具」以外の制御、例えばモータ等の駆動制御にも併用されるものであってもよい。
【0062】
また、この実施の形態においては、点灯制御装置1Aや調光装置1は、「照明器具」としてのLED3の調光に用いられるものとしたが、これに限定されず、点灯制御装置1Aや調光装置1が、「照明器具」以外の、電力によって光を発し、調光が可能な「発光手段」の調光に用いられるものであってもよい。例えば、点灯制御装置1Aや調光装置1は、家電製品等であって明るさの調節ができる「発光機器」、具体的には、例えばパソコン等の各種コンピュータ、携帯電話、スマートフォン、液晶テレビ、ビデオ録画機等に用いられる液晶ディスプレイのバックライト、液晶以外のディスプレイ(例えばブラウン管ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等)を用いた電化製品(例えばテレビ、ビデオ機器、コンピュータ機器、携帯電話、スマートフォン等)、等の調光に用いられるものであってもよい。
【0063】
また、この実施の形態においては、照明機器の「明るさ」をLED3の輝度としたが、これに限定されず、例えば照度、光度、視感度等、各種の明るさを測定する単位系であってもよい。また、カラーLED等のカラーの照明機器等における特定の色の輝度等の明るさについて調光や点灯制御を行うものでもよい。
【0064】
また、この実施の形態においては、「特定値」をLED3の輝度の最大値102とし、この最大値102とLED3の輝度の最小値101とを結んだ理想曲線103を形成したが、「特定値」を最小値101とし、この最小値と最大値102とを結んだ理想曲線103を形成する構成であってもよい。また、「特定値」は、LED3の輝度の最大値102や最小値101以外の特定の値であって、接線111はこのような「特定値」から限界直線106に向けて引かれた線であってもよい。さらには、「特定値」から限界直線106に向けて引かれた線は、理想曲線103に近似したもので、限界直線106との接点で限界直線106に近い傾きを形成し、理想曲線103に代替してLED3の調光に用いられるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0065】
また、この実施の形態においては、横軸の値(パルス幅)が0〜62の63段階の値(2
6すなわち6ビットのディジタル回路に適する値)とし、縦軸の値(輝度)が1024段階の値(2
10すなわち10ビットのディジタル回路に適する値)としたが、これに限定されず、ディジタル回路に適する値であれば、縦軸、横軸の値がどのようなもの(例えば縦軸、横軸とも128(2
8)段階の値や127(2
8−1)段階すなわち8ビットのディジタル回路に適する値)であってもよい。
【0066】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。