【文献】
LG Electronics,Definition of Code Rate in PUSCH control information MCS calculation, 3GPP TSG-RAN WG1#53b R1-082429,2008年 6月24日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
3GPP RAN LTE(3rd Generation Partnership Project Radio Access Network Long Term Evolution、以下「LTE」と省略する)の上り回線では、低PAPR(Peak to Average Power Ratio)を達成するために、シングル・キャリア伝送が採用されている。
【0003】
また、LTEの上り回線では、高スループットを得るために、各ユーザの回線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)に応じて、ユーザ毎にMCS(Modulation and Coding Scheme)パターンを選択する適応変調(AMC:Adaptive Modulation and Coding)が採用されている。
【0004】
また、より高い伝送レートを達成し、かつ、周波数利用効率をさらに向上させるために、MIMOシステムの導入が検討されている。さらに、空間伝搬路の状態に応じて、ランク数が適応的に切り替わるランクアダプテーションなど、伝送レートをより向上させるランク送信技術の導入も検討されている。
【0005】
このような背景の中、LTEの上り回線で、制御情報(Control Information)とユーザデータとを同時に送信する場合においても、低PAPRを維持することができるように、制御情報とユーザデータとを同一サブフレームのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)を用いて時間多重することが合意されている(非特許文献1参照)。
【0006】
ユーザデータと時間多重される制御情報の符号化シンボル数Q’は、式(1)を用いて設定される。
【0007】
【数1】
【0008】
また、式(1)において、M
scは、PUSCHの1サブフレームあたりのサブキャリア数であり、ΔPUSCHoffsetは、ACK/NACK、RI(Rank Indicator)、CQI等の制御情報毎に異なるPUSCHオフセットである。PUSCHオフセットΔPUSCHoffsetは、上位レイヤから通知される(非特許文献1参照)。
【0009】
また、Oは、制御情報のビット数である。また、R
dataは、式(2)で表される。
【0010】
【数2】
式(2)において、K
rは、1ブロック当たりのビット数であり、Cは、PUSCHの1サブフレームあたりのブロック数である。また、N
symbは、PUSCHの1サブキャリアあたりのシンボル数である。ユーザデータの実際の符号化率は、式(2)のR
dataを1シンボルあたりのビット数で除算することにより得られ、式(2)のR
dataに比例するため、以降、式(2)のR
dataを、ユーザデータの符号化率と呼び説明する。
【0011】
式(1)において、Q1は、制御情報のビット数Oと、ユーザデータの符号化率R
dataと、制御情報毎のPUSCHオフセットΔPUSCHoffsetとにより設定される制御情報の符号化後のシンボル数である。また、Q2は、制御情報の符号化後のシンボル数の上限値である。式(1)から分かるように、制御情報の符号化後のシンボル数Q’は、シンボル数Q1と上限値Q2のうち、小さい方の値に設定される。
【0012】
ここで、式(1)を変形すると、式(3)を得る。なお、式(2)のR
dataと同様に、制御情報の実際の符号化率は、式(3)のR
controlを1シンボルあたりのビット数で除算することにより得られ、式(3)のR
controlに比例するため、以降、式(3)のR
controlを、制御情報の符号化率と呼び説明する。
【0013】
【数3】
式(3)において、R1は、ユーザデータの符号化率R
dataと、制御情報毎のPUSCHオフセットΔPUSCHoffsetとにより設定される符号化率であり、R2は、制御情報の符号化率R
controlの下限値である。式(3)から分かるように、制御情報の符号化率R
controlは、符号化率R1と下限値R2のうち、大きい方の値に設定される。以下では、下限値R2に比べ符号化率R1が大きく、制御情報の符号化率R
controlが符号化率R1に設定される場合について考える。
【0014】
このとき、式(3)において、PUSCHオフセットΔPUSCHoffset>0の場合には、制御情報の符号化率R
controlは、ユーザデータの符号化率R
dataよりも低く設定されるようになる。制御情報は、ユーザデータと異なり、一般に再送されないので、PUSCHオフセットΔPUSCHoffset>0とし、式(3)を用いることにより、制御情報の符号化率R
controlを、ユーザデータの符号化率R
dataよりも低くし、制御情報の誤り訂正能力を強化する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
本実施の形態では、ユーザの回線品質情報に応じて適応変調が適用される場合に、ユーザデータが送信されるデータCHのランク数に応じたランクオフセットを用いて、制御情報の符号化率を設定する場合について説明する。制御情報は、例えば、ACK/NACK、RI、CQI等であり、制御情報は、ユーザデータと時間多重されて、端末装置(以下「端末」と省略する)から基地局装置(以下「基地局」と省略する)に送信される。
【0026】
制御情報の符号化率は、基地局又は端末のどちらで設定されても良い。以下では、端末が、制御情報の符号化率を設定する場合について説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態に係る端末の要部構成を示すブロック図である。
図1において、無線受信部111、CP(Cyclic Prefix)除去部112、FFT(Fast Fourier Transfer:高速フーリエ変換)部113、伝搬路推定部114、復調部115及び復号化部116は、端末100の受信部110を構成する。又、
図1において、符号化率設定部121、符号化率設定部122、符号化変調部123、符号化変調部124、チャネル多重化部125、DFT-s-OFDM(Discrete Fourier Transform-spread-OFDM)部126、CP付加部127及び無線送信部128は、端末100の送信部120を構成する。
【0028】
無線受信部111は、アンテナを介して受信した受信信号をベースバンド信号へ変換し、ベースバンド信号をCP除去部112に出力する。
【0029】
CP除去部112は、無線受信部111から出力されるベースバンド信号に対し、CP(Cyclic Prefix)を除去する処理を行い、CP除去後の時間領域信号をFFT部113に出力する。
【0030】
FFT部113は、CP除去部112から出力される時間領域信号に対し、高速フーリエ変換を行い、周波数領域信号を取得し、取得した周波数領域信号を伝搬路推定部114及び復調部115に出力する。
【0031】
伝搬路推定部114は、FFT部113から出力される周波数領域信号に含まれるパイロット信号を用いて、受信信号の伝搬路環境を推定し、推定結果を復調部115に出力する。
【0032】
復調部115は、FFT部113から出力される周波数領域信号のうち、パイロット信号が除かれた信号に対し、伝搬路推定部114から出力される伝搬路環境の推定結果に基づいて伝搬路補償を行う。さらに、復調部115は、基地局で用いられたMSCと同一のMCS、すなわち、同一の変調方式、符号化率等に基づいて、伝搬路補償後の信号に対し復調処理を行い、復調信号を取得し、取得した復調信号を復号化部116に出力する。
【0033】
復号化部116は、復調信号に対し誤り訂正を行い、復号信号を取得する。そして、復号化部116は、取得した復号信号から、情報データ列、1ブロック当たりのビット数を示すKr、1サブフレームあたりのサブキャリア数を示すM
sc、1サブキャリアあたりのシンボル数を示すN
symb、PUSCHオフセット及びデータCHのランク数の情報を抽出する。なお、M
sc及びN
symbの情報は、端末100から送信されるCQIに応じて、基地局において適応変調により好適な値に設定される。復号化部116は、抽出したK
r、M
sc及びN
symbの情報を符号化率設定部121に出力し、PUSCHオフセット及びデータCHのランク数の情報を符号化率設定部122に出力する。
【0034】
符号化率設定部121は、式(2)に基づき、復号化部116から入力されるK
r、M
sc及びN
symbの情報よりユーザデータの符号化率R
dataを設定する。符号化率設定部121は、算出したユーザデータの符号化率R
dataの情報を、符号化率設定部122及び符号化変調部123に出力する。
【0035】
符号化率設定部122は、ユーザデータの符号化率R
data、PUSCHオフセット及びデータCHのランク数の情報に基づいて、制御情報の符号化率R’
controlを設定する。符号化率設定部122の内部構成及び制御情報の符号化率R’
controlの設定方法については、後述する。符号化率設定部122は、設定した制御情報の符号化率R’
controlの情報を符号化変調部124に出力する。
【0036】
符号化変調部123は、符号化率設定部121から出力されるユーザデータの符号化率R
dataの情報に基づいて、入力されるユーザデータを符号化し符号化データを生成し、更に、生成した符号化データを変調しデータCHの送信データを生成する。符号化変調部123は、生成したデータCHの送信データをチャネル多重化部125に出力する。
【0037】
符号化変調部124は、符号化率設定部122から出力される符号化率R’
controlの情報に基づいて、制御情報を符号化し符号化データを生成し、生成した符号化データを変調し制御CHの送信データを生成する。符号化変調部124は、生成した制御CHの送信データをチャネル多重化部125に出力する。
【0038】
チャネル多重化部125は、符号化変調部123から出力されるデータCHの送信データと制御CHの送信データとを時間多重する。チャネル多重化部125は、多重化後の送信データを、DFT-s-OFDM部126に出力する。
【0039】
DFT-s-OFDM部126は、チャネル多重化部125から出力される多重化後の送信データを離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)し、周波数領域信号を取得する。DFT-s-OFDM部126は、周波数領域信号を送信サブキャリアにマッピングし、マッピング後の周波数領域信号を逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)し、時間領域信号の送信データ列を取得し、取得した送信データ列をCP付加部127に出力する。
【0040】
CP付加部127は、DFT-s-OFDM部126から出力される送信データ列の各フレームにおいて、フレーム末尾のデータを複製してフレーム先頭に挿入することにより、送信データ列にCPを付加し、無線送信部128に出力する。
【0041】
無線送信部128は、CP付加部127から出力されるベースバンド信号を無線周波数帯域へ周波数変換し送信信号を取得し、取得した送信信号をアンテナを介して送信する。
【0042】
図2は、本実施の形態に係る符号化率設定部122の内部構成を示すブロック図である。
【0043】
ランク情報オフセット取得部1221は、内部にランク情報オフセットテーブル1222を保持し、ランク情報オフセットテーブル1222からデータCHのランク数に応じたランクオフセットΔRANKoffsetを取得する。ランク情報オフセットテーブル1222については、後述する。ランク情報オフセット取得部1221は、取得したランクオフセットΔRANKoffsetを符号化率演算部1223に出力する。
【0044】
符号化率演算部1223は、ユーザデータの符号化率R
dataと、PUSCHオフセットΔPUSCHoffsetと、データCHのランク数に応じたランクオフセットΔRANKoffsetとから、式(4)に基づき、制御情報の符号化率R’
controlを設定する。
【0045】
【数4】
式(4)において、R’1は、ユーザデータの符号化率R
dataと、制御情報毎のPUSCHオフセットΔPUSCHoffsetと、データCHのランク数に応じたランクオフセットΔRANKoffsetとにより設定される符号化率である。また、R2’は、制御情報の符号化率R’
controlの下限値である。以下では、下限値R’2に比べ符号化率R’1が大きく、制御情報の符号化率R
controlが符号化率R’1に設定される場合について考える。
【0046】
また、式(4)において、Oは、制御情報のビット数であり、Q’は、制御情報の符号化後のシンボル数である。なお、制御情報の符号化後のシンボル数Q’は、式(5)によってあらわされる。
【0047】
【数5】
式(4)から分かるように、本実施の形態では、制御情報の種類に応じたPUSCHオフセットΔPUSCHoffsetと、データCHのランク数に応じたランクオフセットΔRANKoffsetとを用いて、ユーザデータの符号化率R
dataを補正して、補正後の符号化率を、制御情報の符号化率R’
controlに設定する。換言すると、ユーザのCQIに応じて適応的に設定されたユーザデータの符号化率R
dataを基準値とし、制御情報の種類に応じたPUSCHオフセットΔPUSCHoffset及びデータCHのランク数に応じたランクオフセットΔRANKoffsetにより、基準値を補正し、補正後の基準値を制御情報の符号化率R’
controlとする。
【0048】
制御情報の種類に応じたPUSCHオフセットΔPUSCHoffsetには、例えば、制御情報がHARQ−ACKの場合にはΔHARQ−ACKを用い、制御情報がRIの場合にはΔRIを用い、制御情報がCQIの場合にはΔCQIを用いる。ΔHARQ−ACK、ΔRI、ΔCQI等の制御情報に応じたオフセットは、上位レイヤにより基地局から通知される(非特許文献1参照)。
【0049】
図3は、ランク情報オフセット取得部1221が内部に保持するランク情報オフセットテーブル1222の一例である。本実施の形態では、ランク情報オフセットテーブル1222には、データCHのランク数が大きいほど、値が大きいランクオフセットΔRANKoffsetが格納されている。例えば、
図3のランク情報オフセットテーブル1222において、ランクオフセットΔRANKoffsetは、データCHのランク数が小さい順にa〜zに設定され、a〜zの値は、z>・・・>b>aを満たすように設定されている。
【0050】
このようにして、ランクオフセットΔRANKoffsetを、データCHのランク数が大きいほど大きい値とすることにより、式(4)によって得られる制御情報の符号化率R’
controlは、データCHのランク数が大きいほど高い符号化率となるように補正される。
【0051】
一般に、ストリーム間干渉の影響は、ランク数が大きいほど大きい。そのため、データCHのランク数が大きい場合、適応変調では、受信品質を確保するために、ユーザデータのMCSが下げられる。すなわち、適応変調では、データCHのランク数が大きく、ストリーム間干渉の影響が大きくなるほど、ユーザデータの符号化率R
dataが低く設定されるようになる。
【0052】
したがって、適応変調によりユーザデータの符号化率R
dataが低く設定される場合に、制御情報毎のPUSCHオフセットΔPUSCHoffsetのみを用いて、例えば、式(3)より制御情報の符号化率を設定する場合には、制御情報の符号化率がユーザデータの符号化率R
dataよりも更に低く設定されてしまう。そのため、制御情報が過剰に低い符号化率で符号化されてしまう場合がある。
【0053】
これに対し、本実施の形態では、制御情報毎のオフセットに加え、データCHのランク数が大きいほど大きい値のランクオフセットΔRANKoffsetを更に用いて、式(4)より制御情報の符号化率を設定する。これにより、データCHのランク数が大きいほど、制御情報の符号化率が高くなるように補正されるので、制御情報の符号化率が過剰に低く設定されるのを回避することができるようになる。このように、本実施の形態では、データCHが受けるストリーム間干渉の影響と、制御CHが受けるストリーム間干渉の影響との差に応じて、ユーザデータの符号化率の値を補正して制御情報の符号化率を得る。
【0054】
以上のように、本実施の形態によれば、符号化率設定部122は、ユーザの回線品質情報に応じて適応的に設定されるユーザデータの符号化率の値を、ユーザデータと時間多重される制御情報の種類及びユーザデータが送信されるデータCHのランク数に応じて補正し、補正後の符号化率の値を、制御情報の符号化率とするようにした。つまり、符号化率設定部122は、ユーザの回線品質情報に応じて適応的に設定されるユーザデータの符号化率を基準値とし、ユーザデータと時間多重される制御情報の種類及びユーザデータが送信されるデータCHのランク数に応じて基準値を補正し、補正後の基準値を、制御情報の符号化率とするようにした。例えば、符号化率設定部122は、ユーザデータと時間多重される制御情報の符号化率R’
controlを、ユーザデータの符号化率R
dataと、制御情報毎のPUSCHオフセットΔPUSCHoffsetと、データCHのランク数に応じたランクオフセットΔRANKoffsetにより、式(4)を用いて設定する。
【0055】
このようにして、本実施の形態では、制御情報の種類及びデータCHのランク数に応じてユーザデータの符号化率の値を補正し、補正後の符号化率の値を制御情報の符号化率とする。これにより、ユーザデータが送信されるデータCHのランク数が大きく、適応変調によりユーザデータの符号化率が低く設定される場合においても、制御情報の符号化率が過剰に低く設定されるのを回避し、制御情報の伝送効率の低下を抑えることができるようになる。
【0056】
また、データCHのランク数が大きいほど、制御情報の符号化率が高くなるように補正することにより、データCHが受けるストリーム間干渉の影響と、制御CHが受けるストリーム間干渉の影響との差に応じて、ユーザデータの符号化率の値を補正して制御情報の符号化率とすることができる。この結果、ユーザデータの符号化率が極めて低い場合においても、制御情報の符号化率が過剰に低く設定されるのを回避し、制御情報の伝送効率の低下を抑えることができるようになる。
【0057】
なお、以上の説明では、ランク情報オフセット取得部1221が、ランク情報オフセットテーブル1222を保持し、ランク情報オフセットテーブル1222には、ランク数毎にランクオフセットを、a〜zのように個々に定義しておく場合について説明した。しかし、ランク情報オフセット取得部1221が、ランク情報オフセットテーブル1222を保持せず、式(6)に示すような演算式を用いてランクオフセットΔRANKoffsetを算出するようにしても良い。
【数6】
【0058】
また、ランクオフセットは、ランク数毎に必ずしも異なる値に定義する必要はなく、複数のランク数に対して、同一のランクオフセットを定義してもよい。例えば、データCHのランク数と所定の閾値との比較により、データCHのランク数を複数のグループに分け、各グループのデータCHのランク数が大きいほど、制御情報の符号化率を高くすることができるようなランクオフセットを定義してもよい。例えば、
図4に示すように、2以上のランク数では、ランクオフセットを全てa(a>0)に定義しても良い。
【0059】
(実施の形態2)
実施の形態1では、データCHがランク送信される場合に、データCHのランク数に応じたランクオフセットを用いて、制御情報の符号化率を設定する場合について説明した。本実施の形態では、データCH及び制御CHがランク送信される場合に、データCHのランク数と制御CHのランク数との組み合わせに基づいたランクオフセットを用いて、制御情報の符号化率を設定する場合について説明する。
【0060】
図5は、本実施の形態に係る端末の要部構成を示すブロック図である。なお、
図5の本実施の形態に係る端末において、
図1と共通する構成部分には、
図1と同一の符号を付して説明を省略する。
図5の端末100aは、
図1の端末100に対して、復号化部116及び符号化率設定部122に代えて、復号化部116a及び符号化率設定部122aを備える。
【0061】
なお、実施の形態1と同様に、制御情報の符号化率は、基地局又は端末のどちらで設定されても良い。以下では、端末が、制御情報の符号化率を設定する場合について説明する。
【0062】
復号化部116aは、復調信号に対し誤り訂正を行い、復号信号を取得する。そして、復号化部116aは、取得した復号信号から、情報データ列、1ブロック当たりのビット数を示すKr、1サブフレームあたりのサブキャリア数を示すM
sc、1サブキャリアあたりのシンボル数を示すN
symb、PUSCHオフセット、データCHのランク数及び制御CHのランク数の情報を抽出する。
【0063】
復号化部116aは、抽出したK
r、M
sc及びN
symbの情報を符号化率設定部121に出力し、PUSCHオフセット、データCHのランク数及び制御CHのランク数の情報を符号化率設定部122aに出力する。
【0064】
符号化率設定部122aは、ユーザデータの符号化率R
data、PUSCHオフセット、及び、データCHのランク数と御情報のランク数との組み合わせに基づいて、制御情報の符号化率R’
controlを設定する。符号化率設定部122の内部構成及び制御情報の符号化率R’
controlの設定方法については、後述する。符号化率設定部122aは、設定した制御情報の符号化率R’
controlの情報を符号化変調部124に出力する。
【0065】
図6は、本実施の形態に係る符号化率設定部122aの内部構成を示すブロック図である。
【0066】
ランク情報オフセット取得部1221aは、内部にランク情報オフセットテーブル1222aを保持し、ランク情報オフセットテーブル1222aからデータCHのランク数と制御CHのランク数との組み合わせに応じたランクオフセットΔRANKoffsetを取得する。ランク情報オフセットテーブル1222aについては、後述する。ランク情報オフセット取得部1221aは、取得したランクオフセットΔRANKoffsetを符号化率演算部1223aに出力する。
【0067】
符号化率演算部1223aは、ユーザデータの符号化率R
dataと、PUSCHオフセットΔPUSCHoffsetと、データCHのランク数と制御CHのランク数の組み合わせに応じたランクオフセットΔRANKoffsetとから、式(4)に基づき、制御情報の符号化率R’
controlを設定する。
【0068】
図7は、ランク情報オフセット取得部1221aが内部に保持するランク情報オフセットテーブル1222aの一例である。なお、
図7は、最大ランク数が2の場合の例である。本実施の形態では、ランク情報オフセットテーブル1222aには、データCHのランク数と制御CHのランク数との組み合わせに応じたランクオフセットΔRANKoffsetが格納されている。以下、データCHのランク数と制御CHのランク数との組み合わせと、ランクオフセットΔRANKoffsetの値との関係について説明する。
【0069】
図7のケース#1のように、データCHのランク数と制御CHのランク数とが共に1の場合には、データCH及び制御CHは、ストリーム間干渉を共に受けない。そのため、データCHが受けるストリーム間干渉の影響と、ユーザデータの符号化率の値を補正して制御情報の符号化率を得る場合に、ストリーム間干渉の影響の差を考慮する必要がない。そのため、ケース#1のように、データCHのランク数と制御CHのランク数とが共に1である場合には、ランクオフセットΔRANLKoffsetを0とする。なお、ΔRANKoffsetが0の場合には、制御情報の符号化率は式(3)を用いて設定される符号化率と一致する。
【0070】
図7のケース#2のように、データCHのランク数が1で制御CHのランク数2の場合には、ストリーム間干渉により、制御情報の受信品質のみが劣化するので、RANKフセットΔRANKoffset=a(a<0)とする。ΔRANKoffset<0とすることにより、式(4)を用いて得られる制御情報の符号化率を、式(3)を用いて得られる制御情報の符号化率より低くすることができる。これにより、制御情報の誤り訂正能力を強化することができるようになる。
【0071】
図7のケース#3のように、データCHのランク数が2で制御CHのランク数が1の場合には、ストリーム間干渉により、ユーザデータの受信品質のみが劣化するので、RANKオフセットΔRANKoffset=b(b>0)とする。ΔRANKoffset>0とすることにより、式(4)を用いて得られる制御情報の符号化率を、式(3)を用いて得られる制御情報の符号化率より高くすることができる。これにより、制御情報が不必要に低い符号化率で符号化されるのを回避し、制御情報の伝送効率の低下を抑圧することができるようになる。
【0072】
図7のケース#4のように、データCHのランク数と制御CHのランク数とが共に2の場合には、データCH及び制御CHはストリーム間干渉を共に受ける。このとき、ストリーム間干渉の影響は、ユーザデータと制御情報とでほぼ等しいと考えられる。そこで、ケース#4のように、データCHのランク数と制御CHのランク数とが共に2の場合には、基地局と端末との通信状況におけるデータCHが受けるストリーム間干渉の影響と、制御CHが受けるストリーム間干渉の影響との僅かな差に応じた値(c)を、ランクオフセットΔRANKoffsetに設定する。なお、データCHが受けるストリーム間干渉の影響と、制御CHが受けるストリーム間干渉の影響とが等しい場合には、ケース#1と同様に、ランクオフセットΔRANKoffsetを0としても良い。
【0073】
図8は、ランク情報オフセット取得部1221aが内部に保持するランク情報オフセットテーブル1222aの別の一例である。なお、
図8は、最大ランク数が4の場合の例である。以下、データCHのランク数と制御CHのランク数との組み合わせと、ランクオフセットΔRANKoffsetの値との関係について説明する。なお、
図8のケース#1〜ケース#4は、
図7のケース#1〜ケース#4と同じであるため、説明を省略する。
【0074】
図8のケース#5及びケース#9のように、
図7のケース#2と同様に、データCHのランク数より制御CHのランク数が大きい場合には、ストリーム間干渉の影響の違いにより、制御情報の受信品質が劣化がユーザデータの受信品質の劣化に比べ大きい。そこで、この場合には、ランクオフセットΔRANKoffset<0とする。ΔRANKoffset<0とすることにより、式(4)を用いて得られる制御情報の符号化率を、式(3)を用いて得られる制御情報の符号化率より低くすることができる。これにより、制御情報の誤り訂正能力が強化されるようになる。このとき、例えば、データCHのランク数が制御CHのランク数より小さいほど、ランクオフセットΔRANKoffsetの絶対値を大きくすると、データCHのランク数が制御CHのランク数より小さいほど、制御情報の符号化率が低くなるので、制御情報の受信品質の劣化を改善することができる。
【0075】
図8のケース#6、ケース#7、ケース#10〜ケース#12のように、
図7のケース#3と同様に、データCHのランク数が制御CHのランク数より大きい場合には、ストリーム間干渉の影響の違いにより、ユーザデータの受信品質の劣化が制御情報の受信品質の劣化より大きい。そこで、この場合には、ランクオフセットΔRANKoffset>0とする。ΔRANKoffset>0とすることにより、式(4)を用いて得られる制御情報の符号化率を、式(3)を用いて得られる制御情報の符号化率より高くすることができる。これにより、制御情報が不必要に低い符号化率で符号化されるのを回避し、制御情報の伝送効率の低下を抑圧することができる。このとき、例えば、データCHのランク数が制御CHのランク数より大きいほど、ランクオフセットΔRANKoffsetの絶対値を大きくすると、データCHのランク数が制御CHのランク数より大きいほど、制御情報の符号化率が高くなる。この結果、制御情報が不必要に低い符号化率で符号化されるのを回避し、制御情報の伝送効率の低下を抑圧することができる。
【0076】
図8のケース#8及びケース#13のように、
図7のケース#4と同様に、データCHのランク数と制御CHのランク数とが共に等しい場合には、データCHが受けるストリーム間干渉の影響と、制御CHが受けるストリーム間干渉の影響とはほぼ等しいと考えられる。そこで、ケース#4のように、データCHのランク数と制御CHのランク数とが共に等しい場合には、基地局と端末との通信状況におけるデータCHが受けるストリーム間干渉の影響と、制御CHが受けるストリーム間干渉の影響との僅かな差に応じた値(g、l)を、ランクオフセットΔRANKoffsetに設定する。なお、データCHが受けるストリーム間干渉の影響と、制御CHが受けるストリーム間干渉の影響とが等しい場合には、ケース#1と同様に、ランクオフセットΔRANKoffsetを0としても良い。
【0077】
図9は、ランク情報オフセット取得部1221aが内部に保持するランク情報オフセットテーブル1222aの更に別の一例である。
図9のランク情報オフセット取得部1221aには、複数の組み合わせ(データCHのランク数と制御CHのランク数との組み合わせ)に対して、同一のランクオフセットΔRANKoffsetが定義されている。具体的には、データCHのランク数/制御CHのランク数が等しい組み合わせに対し、同一のランクオフセットΔRANKoffsetが定義されている。以下、データCHのランク数と制御CHのランク数との組み合わせと、ランクオフセットΔRANKoffsetの値との関係について説明する。なお、
図9は、
図8と同様に最大ランク数が4の場合の例である。
【0078】
図9のケース#1のように、データCHのランク数と制御CHのランク数とが共に1の場合には、データCH及び制御CHは、ストリーム間干渉を共に受けない。また、データCHのランク数と制御CHのランク数とが共に2以上で等しい場合、データCHが受けるストリーム間干渉の影響と、制御CHが受けるストリーム間干渉の影響とはほぼ等しいと考えられる。
【0079】
そこで、データCHのランク数と制御CHのランク数とが共に等しい場合には、ストリーム間干渉の影響は、データCHと制御CHとで等しいとし、ランクオフセットΔRANKoffsetを0とする。
【0080】
図9のケース#2〜ケース#6のように、データCHのランク数が制御CHのランク数より大きい場合には、ストリーム間干渉の影響の違いにより、ユーザデータの受信品質の劣化が制御情報の受信品質の劣化より大きい。そこで、この場合には、ランクオフセットΔRANKoffset>0とする。ΔRANKoffset>0とすることにより、式(4)を用いて得られる制御情報の符号化率を、式(3)を用いて得られる制御情報の符号化率より高くすることができる。これにより、制御情報が不必要に低い符号化率で符号化されるのを回避し、制御情報の伝送効率の低下を抑圧することができる。
【0081】
このとき、制御CHのランク数に対するデータCHのランク数の比(データCHのランク数/制御CHのランク数)が大きいほど、ランクオフセットΔRANKoffsetの大きくする。例えば、
図9において、p>n>m>o>qとすると、データCHのランク数が制御CHのランク数より大きいほど、制御情報の符号化率が高くなるので、制御情報が不必要に低い符号化率で符号化されるのを回避し、制御情報の伝送効率の低下を抑圧することができる。
【0082】
以上のように、本実施の形態によれば、符号化率設定部122aは、ユーザの回線品質情報に応じて適応的に設定されるユーザデータの符号化率の値を、ユーザデータと時間多重される制御情報の種類、及び、データCHのランク数と制御CHのランク数との組み合わせに応じて補正し、補正後の符号化率の値を、制御情報の符号化率とするようにした。
つまり、符号化率設定部122aは、ユーザの回線品質情報に応じて適応的に設定されるユーザデータの符号化率を基準値とし、ユーザデータと時間多重される制御情報の種類、及び、データCHのランク数と制御CHのランク数との組み合わせに応じて基準値を補正し、補正後の基準値を、制御情報の符号化率とするようにした。例えば、ユーザデータと時間多重される制御情報の符号化率R’
controlを、ユーザデータの符号化率R
dataと、制御情報毎のPUSCHオフセットΔPUSCHoffsetと、データCHのランク数に応じたランクオフセットΔRANKoffsetにより、式(4)を用いて設定する。
【0083】
このとき、データCHのランク数が制御CHのランク数より大きいほど、制御情報の符号化率が高くなるように補正することにより、データCHが受けるストリーム間干渉の影響と、制御CHが受けるストリーム間干渉の影響との差に応じて、ユーザデータの符号化率を補正して制御情報の符号化率を設定することができる。この結果、ユーザデータの符号化率が低い場合においても、制御情報の符号化率が過剰に低く設定されるのを回避し、制御情報の伝送効率の低下を抑えることができるようになる。
【0084】
以上の説明では、端末が制御情報の符号化率を設定する場合について説明したが、基地局が制御情報の符号化率を設定し、設定した制御情報の符号化率を端末に通知し、端末が通知された制御情報の符号化率を取得するようにしても良い。
【0085】
また、制御情報の符号化率に代えて、基地局がランクオフセットΔRANKoffsetを設定し、設定したランクオフセットΔRANKoffsetを端末に通知し、端末が通知されたランクオフセットΔRANKoffsetを用いて制御情報の符号化率を取得するようにしても良い。
【0086】
また、ランク情報オフセットテーブルを基地局から端末に上位レイヤで通知する構成としても良い。
【0087】
また、データCH及び制御CHに限らず、本発明を要求される受信品質が異なる2つのチャネルに適用することができる。
【0088】
上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
【0089】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0090】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0091】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0092】
2008年12月2日出願の特願2008−307658に含まれる明細書、図面及び要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。