(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938740
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 29/14 20060101AFI20160609BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
H04L13/00 313
H04L12/28 200M
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-22211(P2012-22211)
(22)【出願日】2012年2月3日
(65)【公開番号】特開2013-162306(P2013-162306A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年8月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 清
(72)【発明者】
【氏名】森 隆雄
【審査官】
森谷 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−151699(JP,A)
【文献】
米国特許第8102776(US,B2)
【文献】
特開2006−140761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 29/14
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定対象の通信装置である対象装置と通信可能に接続された判定装置であって、
前記対象装置のアドレスを送信先アドレスとし、前記対象装置のアドレス以外の値を送信元アドレスとし、前記対象装置に返信を要求する複数の送信データを生成する送信データ生成部と、
前記送信データ生成部によって生成された第一送信データと第二送信データとの間にIFGを設け、前記第一送信データを送信し、前記第一送信データを送信した後、前記IFGに相当する時間待機した後に前記第二送信データを送信する送信部と、
前記送信部によって前記第二送信データが送信された後、所定の時間待機し、前記所定の時間の待機中に前記対象装置から前記第一送信データに対する第一返信データを受信し、前記所定の時間の経過後に前記対象装置から前記第二送信データに対する第二返信データが受信されているか否かを判定し、前記第二返信データが受信されている場合に、前記対象装置のIFG許容値は前記第一送信データ及び前記第二送信データに設けられたIFG以下の値であると判定する判定部と、
を備える判定装置。
【請求項2】
前記送信データ生成部は、前記第一送信データの送信元アドレスと前記第二送信データの送信元アドレスとを異なる値に設定する、
請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
判定対象の通信装置である対象装置と通信可能に接続された判定装置が行う判定方法であって、
前記対象装置のアドレスを送信先アドレスとし、前記対象装置のアドレス以外の値を送信元アドレスとし、前記対象装置に返信を要求する複数の送信データを生成する送信データ生成ステップと、
前記送信データ生成ステップにおいて生成された第一送信データと第二送信データとの間にIFGを設け、前記第一送信データを送信し、前記第一送信データを送信した後、前記IFGに相当する時間待機した後に前記第二送信データを送信する送信ステップと、
前記送信部によって前記第二送信データが送信された後、所定の時間待機し、前記所定の時間の待機中に前記対象装置から前記第一送信データに対する第一返信データを受信し、前記所定の時間の経過後に前記対象装置から前記第二送信データに対する第二返信データが受信されているか否かを判定し、前記第二返信データが受信されている場合に、前記対象装置のIFG許容値は前記第一送信データ及び前記第二送信データに設けられたIFG以下の値であると判定する判定ステップと、
を有する判定方法。
【請求項4】
判定対象の通信装置である対象装置と通信可能に接続されたコンピュータに対し、
前記対象装置のアドレスを送信先アドレスとし、前記対象装置のアドレス以外の値を送信元アドレスとし、前記対象装置に返信を要求する複数の送信データを生成する送信データ生成ステップと、
前記送信データ生成ステップにおいて生成された第一送信データと第二送信データとの間にIFGを設け、前記第一送信データを送信し、前記第一送信データを送信した後、前記IFGに相当する時間待機した後に前記第二送信データを送信する送信ステップと、
前記送信部によって前記第二送信データが送信された後、所定の時間待機し、前記所定の時間の待機中に前記対象装置から前記第一送信データに対する第一返信データを受信し、前記所定の時間の経過後に前記対象装置から前記第二送信データに対する第二返信データが受信されているか否かを判定し、前記第二返信データが受信されている場合に、前記対象装置のIFG許容値は前記第一送信データ及び前記第二送信データに設けられたIFG以下の値であると判定する判定ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置のIFG(Inter Frame Gap)許容値を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
イーサネット(登録商標)は、IEEE802.3で規定される技術であり、IPネットワーク構築には欠かせない物理層およびデータリンク層の技術である。イーサネット(登録商標)では、送受信される単位であるフレームとフレームとの間にフレーム間ギャップ(IFG)が挿入される。IFGの挿入により、LSI技術が未熟な時代のNIC(Network Interface Card)やハブの処理時間を確保することが可能となっていた。また、IFGの挿入により、多重アクセスの公平性の実現が可能となっている。IFGの長さ(IFG長)については、IEEE802.3で「送信端では12バイト以上」と規定されている。また、クロック周波数偏差については、プラスマイナス100ppm(ppm:parts per million、100万分の1)が許容されており、クロック周波数偏差の吸収は、IFGの伸縮を利用して実現される。そのため、IFGのバイト数は12バイトより小さくなる場合がある。しかし、IEEE802.3は、「受信端ではIFGは8バイトあればよい」との規定があるため、規定違反とはならない。
【0003】
IFG許容値の実装に際しては、チップベンダでのIEEE802.3の解釈のずれにより、受信時に8バイト以上のIFGを許容する装置と、12バイト未満のIFGを許容しない装置とが存在する。前者の装置では、受信時にIFGが8バイト以上である場合フレームは正常に受信される。これに対し、後者の装置では、受信時にIFGがたとえ8バイト以上であったとしても12バイト未満である場合にはフレームが破棄されてしまう。これにより、後者の装置が一つのネットワークシステム内に存在すると、フレームロス(フレーム損失)が発生するおそれがある。
【0004】
フレームの破棄はチップレベルで行われるため、フレーム破棄に関する情報を出力させることができない。そのため、IFG許容値に起因したフレームロスによる障害は、監視不能なサイレント障害となってしまい、原因の特定が困難となる。したがって、IFG許容値に起因したフレーム破棄の有無を把握することは、ネットワークシステムを構築する上で重要な課題となる。このような背景により、IFG許容値に起因したフレームの破棄の有無を把握するための技術が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1に記載の技術では、事前に個体差を考慮することなくパケット破棄率の最悪値を把握することが可能となる。特許文献1に記載の技術では、さらに、IFGの変動による受信ノード装置でのパケット破棄率を簡易に推定することが可能となる。
【0006】
特許文献1に記載の技術ではパケット破棄率を推定しているが、各通信装置におけるIFG許容値を把握することも重要である。従来は、ネットワークシステムとして構築する前の装置単体試験の段階で、IFG許容値を意識したテストパターンを作り込み、測定器2台を用いてフレームロスの有無を確認することで、IFG許容値を間接的に推測していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−004254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の技術では、各通信装置のIFG許容値を正確に把握することが難しいという問題があった。また、従来の技術では、ネットワークシステムの運用中にはIFG許容値に起因したフレームロスの発生箇所を特定することが困難であるという問題があった。
【0009】
IFGを8バイトで送信できる測定器は存在する。しかしながら、IFGを固定的に8バイトとした場合、イーサネット(登録商標)の帯域使用率が100%を超えるため、受信バッファ又は送信バッファに溢れが発生する可能性が高い。そのため、フレームロスの原因がIFGであると特定することが困難である。また、IFGをランダム値とした場合、実際にフレームロスが生じた際のIFGの値がいくらであるか明確に把握することができない。
【0010】
上記事情に鑑み、本発明は、通信装置のIFG許容値を判定することを可能とする技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、判定対象の通信装置である対象装置と通信可能に接続された判定装置であって、前記対象装置のアドレスを送信先アドレスとし、前記対象装置のアドレス以外の値を送信元アドレスとし、前記対象装置に返信を要求する複数の送信データを生成する送信データ生成部と、前記送信データ生成部によって生成された第一送信データと第二送信データとの間にIFGを設け、前記第一送信データ及び前記第二送信データを送信する送信部と、前記対象装置から、前記第一送信データに対する返信と前記第二送信データに対する返信とを受信した場合に、前記対象装置のIFG許容値は前記第一送信データ及び前記第二送信データに設けられたIFG以下の値であると判定する判定部と、を備える判定装置である。
【0012】
本発明の一態様は、上記の判定装置であって、前記送信データ生成部は、前記第一送信データの送信元アドレスと前記第二送信データの送信元アドレスとを異なる値に設定する。
【0013】
本発明の一態様は、判定対象の通信装置である対象装置と通信可能に接続された判定装置が行う判定方法であって、前記対象装置のアドレスを送信先アドレスとし、前記対象装置のアドレス以外の値を送信元アドレスとし、前記対象装置に返信を要求する複数の送信データを生成する送信データ生成ステップと、前記送信データ生成ステップにおいて生成された第一送信データと第二送信データとの間にIFGを設け、前記第一送信データ及び前記第二送信データを送信する送信ステップと、前記対象装置から、前記第一送信データに対する返信と前記第二送信データに対する返信とを受信した場合に、前記対象装置のIFG許容値は前記第一送信データ及び前記第二送信データに設けられたIFG以下の値であると判定する判定ステップと、を有する判定方法である。
【0014】
本発明の一態様は、判定対象の通信装置である対象装置と通信可能に接続されたコンピュータに対し、前記対象装置のアドレスを送信先アドレスとし、前記対象装置のアドレス以外の値を送信元アドレスとし、前記対象装置に返信を要求する複数の送信データを生成する送信データ生成ステップと、前記送信データ生成ステップにおいて生成された第一送信データと第二送信データとの間にIFGを設け、前記第一送信データ及び前記第二送信データを送信する送信ステップと、前記対象装置から、前記第一送信データに対する返信と前記第二送信データに対する返信とを受信した場合に、前記対象装置のIFG許容値は前記第一送信データ及び前記第二送信データに設けられたIFG以下の値であると判定する判定ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、通信装置のIFG許容値を判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一般的な通信システムのネットワーク構成を表す構成図である。
【
図2】フレームとフレームとの間に設けられるIFGの概略を表す図である。
【
図3】本発明の一実施形態である通信システム1の機能構成を表す概略ブロック図である。
【
図4】判定装置10の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図5】判定装置10の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[概略]
図1は、一般的な通信システムのネットワーク構成を表す構成図である。
図1に示される通信システムでは、イーサネット(登録商標)インタフェースを有する複数の通信装置(A〜G)が通信可能に接続されている。各通信装置は、伝送路にイーサネット(登録商標)フレームを送出することによって通信を行う。
以下、イーサネット(登録商標)インタフェースを「ネットワークインタフェース」と言う。また、イーサネット(登録商標)フレームを「フレーム」と言う。
【0018】
図2は、フレームとフレームとの間に設けられるIFGの概略を表す図である。通信装置は、伝送路に複数のフレームを送出する場合、フレームとフレームとの間にIFGを設ける。フレームを受信する通信装置には、IFG許容値が予め設定されている。通信装置は、受信したフレームとフレームとの間のIFGが、自装置に設定されているIFG許容値未満である場合には、後に受信したフレームを破棄する。
本発明の一実施形態である判定装置は、判定対象となる通信装置(対象装置)との間で通信を行う事により、判定対象のIFG許容値を判定する。
【0019】
[詳細]
図3は、本発明の一実施形態である通信システム1の機能構成を表す概略ブロック図である。通信システム1は、判定装置10と通信装置20とを備える。通信装置20は、ネットワークインタフェースを備え、フレームを送受信する。通信装置20は、IFG許容値の判定対象となる装置(対象装置)である。通信装置20が備えるネットワークインタフェースの一つには、IPアドレス・サブネットマスクが設定される。そして、IPアドレス・サブネットマスクが設定されたネットワークインタフェースに対し、判定装置10が接続される。このような接続により、特殊なプロトコルを使うことなく容易な実装で判定装置10によるIFG許容値の判定が可能となる。
【0020】
判定装置10は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、判定プログラムを実行する。判定プログラムの実行によって、判定装置10は、入力部101、送信データ生成部102、通信部103、判定部104、出力部105を備える装置として機能する。なお、判定装置10の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。
【0021】
入力部101は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部101は、ユーザの指示を判定装置10に入力する際にユーザによって操作される。入力部101は、入力装置を判定装置10に接続するためのインタフェースであっても良い。この場合、入力部101は、入力装置においてユーザの入力に応じ生成された入力信号を判定装置10に入力する。
【0022】
送信データ生成部102は、複数の送信データを一組の送信データとして生成する。本実施形態では、第一送信データ及び第二送信データ(二つの送信データ)が一組の送信データとして生成される。送信データ生成部102は、送信データの送信先アドレスとして対象装置のアドレスを設定する。送信データ生成部102は、送信データの送信元アドレスとして、対象装置のアドレス以外の値を設定する。送信データは、対象装置に対して返信を要求するデータである。送信データは、例えばICMP(Internet Control Message Protocol)のEcho Message、ARP(Address Resolution Protocol)の要求パケットである。送信データは、例えばpingのメッセージであっても良い。送信データ生成部102は、複数の送信データを生成し、通信部103に出力する。
【0023】
通信部103は、ネットワークインタフェースを用いて構成される。通信部103は、通信装置20から送信されたデータ(以下、「返信データ」という。)を受信する。通信部103は、受信した返信データを判定部104に出力する。
また、通信部103は、送信データ生成部102によって生成された第一送信データと第二送信データとの間にIFGを設けて伝送路に送信する。通信部103の構成には、IFGの値の設定方法に応じて複数の態様がある。
【0024】
(第一態様)
まず、通信部103の第一態様について説明する。第一態様の通信部103は、入力部101を介してユーザによって指定された値をIFGに設定する。例えば、ユーザによって“8”という値が入力されると、通信部103は第一送信データと第二送信データとの間に8バイトのIFGを設ける。
【0025】
(第二態様)
次に、通信部103の第二態様について説明する。第二態様の通信部103は、所定のタイミングが到来する度に異なる値をIFGに設定する。例えば、第二態様の通信部103は、所定のタイミングが到来する度に、所定の最大値(例えば12バイト)から順に小さい値をIFGに設定する。具体的には以下の通りである。まず、通信部103は、所定の最大値をIFGに設定する。所定のタイミングが到来すると、次に小さい値(例えば11バイト、10バイト等)をIFGに設定する。次の所定のタイミングが到来すると、通信部103は、次に小さい値(例えば8バイト、6バイト等)をIFGに設定する。所定の最小値(例えば0バイト)がIFGに設定された後に次の所定のタイミングが到来すると、通信部103は処理を終了しても良いし、再び所定の最大値をIFGに設定し処理を継続しても良い。
以上、通信部103の二つの態様について説明したが、通信部103の構成は上記二つの態様に限定される必要は無い。
【0026】
判定部104は、通信部103によって受信された返信データが、第一送信データに対する返信データ(第一返信データ)と第二送信データに対する返信データ(第二返信データ)である場合、通信装置20のIFG許容値は、第一送信データ及び第二送信データに設けられたIFG以下の値であると判定する。一方、判定部104は、通信部103によって受信された返信データに、第二送信データに対する返信データが含まれていない場合、通信装置20のIFG許容値は、第一送信データ及び第二送信データに設けられたIFGよりも大きい値であると判定する。
【0027】
なお、上述のように、第一送信データ及び第二送信データの送信元アドレスは、判定装置10のアドレスで無くとも良い。すなわち、通信装置20から送信される返信データの送信先アドレスは、判定装置10のアドレスでなくとも良い。上述のようにIPアドレス・サブネットマスクが設定されているため、判定装置10と通信装置20とが同一のネットワークに接続されている限りは、返信データの送信先アドレスがどのような値であっても、判定装置10は返信データを受信する(伝送路から取得する)ことが可能である。
【0028】
出力部105は、判定装置10に接続された不図示の出力装置を介し、判定装置10のユーザに対して判定部104の判定結果の出力を行う。出力装置は、例えば画像や文字を画面に出力する装置を用いて構成されても良い。例えば、出力装置は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイ等を用いて構成できる。また、出力装置は、画像や文字をシートに印刷(印字)する装置を用いて構成されても良い。例えば、出力装置は、インクジェットプリンタやレーザープリンタ等を用いて構成できる。また、出力装置は、文字を音声に変換して出力する装置を用いて構成されても良い。この場合、出力装置は、音声合成装置及び音声出力装置(スピーカー)を用いて構成できる。また、出力装置は、正常や異常の状態を色で表現する装置を用いて構成されてもよい。例えば、出力装置はアラーム警告灯を用いて構成されても良い。
【0029】
[動作例]
図4は、判定装置10の動作の流れを示すフローチャートである。
図4に示されるフローチャートは、通信部103が第一態様の場合の動作例である。まず、入力部101がユーザによって操作されることにより、判定装置10に対してIFGの値が入力される(ステップS100)。次に、送信データ生成部102が一組の送信データ(第一送信データ及び第二送信データ)を生成する(ステップS101)。次に、通信部103が、第一送信データを送信する(ステップS102)。その後、通信部103は、ステップS100において指定されたIFGに相当する時間待機する(ステップS103)。IFGに相当する時間の経過後、通信部103は、第二送信データを送信する(ステップS104)。
【0030】
判定部104は、通信部103によって第二送信データが送信された後、所定の時間待機する(ステップS105)。判定装置10は、待機中の間に第一返信データを受信する(ステップS106)。所定の時間経過後、判定部104は、第二返信データが受信されているか否か判定する(ステップS107)。第二返信データが受信されている場合(ステップS107−YES)、判定部104は、通信装置20のIFG許容値が、ステップS100で入力されたIFGの値以上であると判定する(ステップS108)。一方、第二返信データが受信されていない場合(ステップS107−NO)、判定部104は、通信装置20のIFG許容値が、ステップS100で入力されたIFGの値未満であると判定する(ステップS109)。そして、出力部105は、判定部104の判定結果を出力する(ステップS110)。
【0031】
図5は、判定装置10の動作の流れを示すフローチャートである。
図5に示されるフローチャートは、通信部103が第二態様の場合の動作例である。まず、送信データ生成部102が一組の送信データ(第一送信データ及び第二送信データ)を生成する(ステップS101)。次に、通信部103が、IFGの値を決定する(ステップS201)。最初にステップS201の処理を行う場合、例えば通信部103は所定の最大値をIFGの値として決定する。次に、通信部103が、第一送信データを送信する(ステップS102)。その後、通信部103は、ステップS201において決定したIFGに相当する時間待機する(ステップS103)。IFGに相当する時間の経過後、通信部103は、第二送信データを送信する(ステップS104)。
【0032】
判定部104は、通信部103によって第二送信データが送信された後、所定の時間待機する(ステップS105)。判定装置10は、待機中の間に第一返信データを受信する(ステップS106)。所定の時間経過後、判定部104は、第二返信データが受信されているか否か判定する(ステップS107)。第二返信データが受信されている場合(ステップS107−YES)、判定部104は、通信装置20のIFG許容値が、ステップS201で決定したIFGの値以上であると判定する(ステップS108)。一方、第二返信データが受信されていない場合(ステップS107−NO)、判定部104は、通信装置20のIFG許容値が、ステップS201で決定したIFGの値未満であると判定する(ステップS109)。
【0033】
次に、通信部103は、直前のステップS201の処理で決定したIFGの値が所定の最小値であるか否か判定する(ステップS202)。最小値でない場合(ステップS202−NO)、通信部103はステップS201の処理に戻り、新しいIFGの値を決定する。例えば、通信部103は、前回のIFGよりも小さい値をIFGの値として決定する。そして、判定装置10はステップS102以降の処理を行う。なお、通信部103がIFGに設定する値やその順序は予め通信部103に設定されていても良い。
【0034】
ステップS202において、直前のステップS201の処理で決定したIFGの値が所定の最小値である場合(ステップS202−YES)、通信部103は送信データを送信する処理を終了する。そして、出力部105は、判定部104の判定結果を出力する(ステップS110)。
【0035】
判定装置10によれば、通信装置20によって検出することができない通信装置20のIFG許容値を判定することが可能となる。そのため、通信装置20のIFG許容値に起因するフレーム破棄を明確に確認することが可能となる。また、
図1に示されるような複数の通信装置を備えたネットワークにおいて、問題の発生箇所(通信装置)を特定することが可能となる。
【0036】
また、判定装置10を用いて事前に通信装置20の検証を行うことにより、潜在的にフレーム損失特性をもつ通信装置20を排除したIPネットワークを構築できる。
また、検証の際は、検出に要する装置コンフィグを1つのネットワークインタフェースとすることができる。
また、検証の際は、ルーティングプロトコルを設定する必要が無い。そのため、通信装置20のIFG許容値の判定に要する時間やコストを削減することが可能となる。
【0037】
[変形例]
送信データ生成部102は、第一送信データの送信元アドレスと第二送信データの送信元アドレスとを異なる値に設定しても良い。このような処理により、通信装置20においてガードタイムが設定されている場合であっても、第一送信データ及び第二送信データがガードタイムに起因して破棄されてしまうことを防止できる。すなわち以下の通りである。通信装置によっては、同一の送信元から所定の時間(ガードタイム)より短い間隔で複数のデータが送信されてきた場合にそのデータを無視する、という設定がなされている場合がある。通信装置20に対してこのような設定がなされていると、判定装置10において第二送信データに対する返信データが受信されない場合に、その原因がIFG許容値であるのかガードタイムであるのかの区別が困難となる。しかしながら、送信データ生成部102が上記のように構成されることにより、ガードタイムに起因して第二送信データに対する返信データが受信されないということを防止できる。
【0038】
[適用例]
次に、送信データの具体例について説明する。以下の説明では、送信元アドレス及び送信先アドレスの具体例としてMACアドレスとIPアドレスとがある。また、以下の説明では、上述した変形例のようにガードタイムに対する対策がなされた送信元アドレスについて説明する。また、以下の説明では、送信データはARPの要求パケットである。
【0039】
第一送信データの送信元MACアドレスは、例えば判定装置10のMACアドレスでも通信装置20のMACアドレスでもないMACアドレス(例えば“0000.0000.0001”)である。第一送信データの送信元IPアドレスは、例えば判定装置10のIPアドレスでも通信装置20のIPアドレスでもないIPアドレス(例えば“192.168.10.1”)である。第一送信データの送信先MACアドレスは、“FFFF.FFFF.FFFF”であり、送信先IPアドレスは通信装置20に割り当てられているIPアドレスである。
【0040】
第二送信データの送信元MACアドレスは、例えば判定装置10のMACアドレスでも通信装置20のMACアドレスでも第一送信データの送信元MACアドレスでもないMACアドレス(例えば“0000.0000.0002”)である。第二送信データの送信元IPアドレスは、例えば判定装置10のIPアドレスでも通信装置20のIPアドレスでも第一送信データの送信元IPアドレスでもないIPアドレス(例えば“192.168.10.2”)である。第二送信データの送信先MACアドレスは、“FFFF.FFFF.FFFF”であり、送信先IPアドレスは通信装置20に割り当てられているIPアドレスである。
【0041】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1…通信システム, 10…判定装置, 101…入力部, 102…送信データ生成部, 103…通信部(送信部), 104…判定部, 105…出力部, 20…通信装置