特許第5938765号(P5938765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938765
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
   A63F5/04 512D
   A63F5/04 512Z
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2011-157307(P2011-157307)
(22)【出願日】2011年7月17日
(65)【公開番号】特開2013-22096(P2013-22096A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100107113
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 健一
(72)【発明者】
【氏名】首藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】白田 健二
(72)【発明者】
【氏名】井川 拓士
(72)【発明者】
【氏名】下森 大輔
(72)【発明者】
【氏名】菊地 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 重之
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−066007(JP,A)
【文献】 特開2006−239098(JP,A)
【文献】 特開平08−224339(JP,A)
【文献】 特開2005−21660(JP,A)
【文献】 特開2007−29110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部抽選処理を含む遊技に係る制御を実行するとともに複数のコマンドを作成するメイン基板と、前記メイン基板から複数の前記コマンドを受けて演出に関する処理を実行するサブ基板とを備え、前記メイン基板と前記サブ基板の間に不正に設けられるぶら下がり基板による、前記メイン基板から前記サブ基板へ送られるコマンドの改変を報知するようにした遊技機であって、
前記メイン基板は、1回の遊技が終了したときに遊技終了コマンドを前記サブ基板へ送信するものであり、 前記メイン基板は、作成された複数の前記コマンドを作成された順に加算して得られる累積値を求める第1累積手段と、前記累積値を記憶する第1累積値記憶部と、前記コマンドを前記サブ基板へ送るための送信バッファとを備え、
前記サブ基板は、前記メイン基板から受けた複数の前記コマンドを受けた順に加算して得られる累積値を求める第2累積手段と、前記第2累積手段で求めた前記累積値を記憶する第2累積値記憶部と、前記メイン基板から受けた前記第1累積値記憶部の前記累積値を前記第2累積値記憶部の前記累積値と比較する比較部と、前記比較部の比較結果に基づきエラーである旨の報知を行うエラー報知部とを備え、
前記メイン基板において、作成された前記コマンドが前記送信バッファに設定されるときに、前記第1累積手段が、前記第1累積値記憶部から前記累積値を読み出してこれに当該コマンドを加算することにより前記累積値を求めるとともに、前記遊技終了コマンドを送信するタイミングにおいて、前記第1累積値記憶部が、記憶した前記累積値を前記送信バッファに設定することにより当該累積値を加算された前記コマンドとは別のコマンドとして前記サブ基板へ送信し、
前記サブ基板において、前記メイン基板から前記コマンドを受けたときに、前記第2累積手段が、前記第2累積値記憶部から前記累積値を読み出してこれに当該コマンドを加算することにより前記累積値を求めるとともに、前記メイン基板から前記累積値を受けたときに前記比較部により比較を行い、この結果が不一致であるときにエラーである旨の報知を行い、
前記第1累積手段及び前記第2累積手段が前記累積値を求める前記コマンドは、前記ぶら下がり基板により改変されるコマンドが含まれる、ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
内部抽選処理を含む遊技に係る制御を実行するとともに複数のコマンドを作成するメイン基板と、前記メイン基板から複数の前記コマンドを受けて演出に関する処理を実行するサブ基板とを備え、前記メイン基板と前記サブ基板の間に不正に設けられるぶら下がり基板による、前記メイン基板から前記サブ基板へ送られるコマンドの改変を報知するようにした遊技機であって、
前記メイン基板は、1回の遊技が終了したときに遊技終了コマンドを前記サブ基板へ送信するものであり、 前記メイン基板は、作成された複数の前記コマンドを作成された順に加算して得られる累積値を求める第1累積手段と、前記累積値を記憶する第1累積値記憶部と、前記コマンドを前記サブ基板へ送るための送信バッファとを備え、
前記サブ基板は、前記メイン基板から受けた複数の前記コマンドを受けた順に加算して得られる累積値を求める第2累積手段と、前記第2累積手段で求めた前記累積値を記憶する第2累積値記憶部と、前記メイン基板から受けた前記第1累積値記憶部の前記累積値を前記第2累積値記憶部の前記累積値と比較する比較部と、前記比較部の比較結果に基づきエラーである旨の報知を行うエラー報知部とを備え、
前記メイン基板において、作成された前記コマンドが前記送信バッファに設定されるときに、前記第1累積手段が、前記第1累積値記憶部から前記累積値を読み出してこれに当該コマンドを加算することにより前記累積値を求めるとともに、前記遊技終了コマンドを送信するタイミングにおいて、前記第1累積値記憶部が、記憶した前記累積値を前記送信バッファに設定することにより当該累積値を加算された前記コマンドとは別のコマンドとして前記サブ基板へ送信し、
前記サブ基板において、前記メイン基板から前記コマンドを受けたときに、前記第2累積手段が、前記第2累積値記憶部から前記累積値を読み出してこれに当該コマンドを加算することにより前記累積値を求めるとともに、前記メイン基板から前記累積値を受けたときに前記比較部により比較を行い、この結果が不一致であるときにエラーである旨の報知を行い、
前記第1累積手段及び前記第2累積手段が前記累積値を求める前記コマンドは、前記ぶら下がり基板により改変されるコマンドが含まれ、
所定のタイミングにおいて前記第1累積値記憶部及び前記第2累積値記憶部の内容を消去するクリア手段を備え
前記累積値の送信タイミングの間隔は、前記累積値のクリアのタイミングの間隔よりも、短いことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
前記コマンドは、電文の開始を示す第1電文とこれに続く第2電文とを含むものであり、
前記第1累積手段及び前記第2累積手段は、前記第2電文について前記累積値を求めることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記比較部による比較の後において、前記メイン基板から受けた前記累積値を前記第2累積値記憶部に上書き保存することを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記エラー報知部は、前記予め定められたタイミングにおいて、前記メイン基板から前記累積値を受けないときにエラーである旨の報知を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンやパチンコ機などの遊技機に関し、特にメイン基板からサブ基板へ送られるコマンドに対する不正行為を防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン等の遊技機にはメダルの投入口が設けられており、遊技者は所定の枚数のメダルを投入してゲームを楽しむことができる。遊技に必要なメダルは、遊技ホール内に設けられたメダル貸機等で借りることができ、所望の遊技機のメダル投入口に投入することによりゲームを開始することができる。
【0003】
従来の遊技機の動作は次のようなものであった。
先ず、スタートスイッチが操作されることにより、スタートスイッチがONとなる。これを受けて遊技機内部の当選判定手段により抽選処理が行われる。ここで所定の役に当選すると当選フラグがセットされる。回転リールの回転が開始する。ストップスイッチが操作されることにより、ストップスイッチがONとなる。そして、対応する回転リールの回転が停止する。全部の回転リールに対応するストップスイッチの操作が行われた後、当選フラグ成立中に当該当選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。入賞が確定したと判定された場合、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
【0004】
抽選処理の評価が例えば外れの場合は所定の図柄が揃わないように設定され(いわゆる蹴飛ばし)、当たりの場合はストップスイッチが所定のタイミングで押下されることなどを条件に所定の図柄が揃うように設定される(いわゆる引き込み)。つまり、抽選処理において当選しているときのみ所定の条件の下で図柄が揃い入賞することにより、メダルが払い出されるが、当選しないときはストップスイッチをどのように操作してもメダルが払い出されることはない。これはメダルの払い出しを一定確率に保つためである。これを実現するため抽選処理において乱数発生器が用いられている。
【0005】
また、スロットマシンなどの遊技機は、演出表示を行うための液晶表示装置(LCD)及び音響装置(スピーカ)を備える。液晶表示装置には演出に係るアニメーションなどが表示され、スピーカからは音楽や効果音とともに当該アニメーションに対応するナレーションや台詞などの音声が出力される。
【0006】
この制御は、主に遊技処理を実行する制御部(メイン基板)から、主に演出処理を実行する副制御部(サブ基板)へ予め定められたコマンドを送信することで実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−100944号公報
【特許文献2】特開平09−182850号公報
【特許文献3】特開2001−000686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、遊技機に対する不正行為が大きな問題になっている。不正行為にはさまざまなものがある。ROMを交換したり、制御部そのものを交換することのほか、制御部と副制御部の間に不正に基板(ぶら下がり基板)を設け、制御部から副制御部へ送られるコマンドを改変して遊技者に有利な演出を行わせるという不正行為(ぶら下がりゴト)が存在する。当該不正行為では、副制御部による画面表示やランプの点灯などは正常に行わせているので、一見して不正行為とはわからない。したがって、このような不正行為の摘発は困難である。
【0009】
この発明は、上記不正行為を防止するためになされたもので、いわゆるぶら下がり基板によるコマンド改変を検知することのできる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、内部抽選処理を含む遊技に係る制御を実行するとともに所定のコマンドを作成するメイン基板と、前記メイン基板から前記コマンドを受けて演出に関する処理を実行するサブ基板とを備える遊技機において、
前記メイン基板は、作成された前記コマンドについて累積値を求める第1累積手段と、前記累積値を記憶する第1累積値記憶部と、前記コマンドを前記サブ基板へ送るための送信バッファとを備え、
前記サブ基板は、前記メイン基板から受けた前記コマンドについて累積値を求める第2累積手段と、前記第2累積手段で求めた前記累積値を記憶する第2累積値記憶部と、前記メイン基板から受けた前記第1累積値記憶部の前記累積値を前記第2累積値記憶部の前記累積値と比較する比較部と、前記比較部の比較結果に基づきエラーである旨の報知を行うエラー報知部とを備え、
前記メイン基板において、作成された前記コマンドが前記送信バッファに設定されるときに、前記第1累積手段が、前記第1累積値記憶部から前記累積値を読み出してこれに当該コマンドを加算することにより前記累積値を求めるとともに、予め定められたタイミングにおいて、前記第1累積値記憶部が、記憶した前記累積値を前記送信バッファに設定することにより当該累積値を前記サブ基板へ送信し、
前記サブ基板において、前記メイン基板から前記コマンドを受けたときに、前記第2累積手段が、前記第2累積値記憶部から前記累積値を読み出してこれに当該コマンドを加算することにより前記累積値を求めるとともに、前記メイン基板から前記累積値を受けたときに前記比較部により比較を行い、この結果が不一致であるときにエラーである旨の報知を行う、ものである。
【0011】
前記コマンドは、電文の開始を示す第1電文とこれに続く第2電文とを含むものであり、
前記第1累積手段及び前記第2累積手段は、前記第2電文について累積値を求めるようにしてもよい。
【0012】
所定のタイミングにおいて前記第1累積値記憶部及び前記第2累積値記憶部の内容を消去するクリア手段を備えるようにしてもよい。
【0013】
前記比較部による比較の後において、前記メイン基板から受けた前記累積値を前記第2累積値記憶部に上書き保存するようにしてもよい。
【0014】
前記エラー報知部は、前記予め定められたタイミングにおいて、前記メイン基板から前記累積値を受けないときにエラーである旨の報知を行うようにしてもよい。
【0015】
前記メイン基板は、1回の遊技が終了したときに遊技終了コマンドを前記サブ基板へ送信するものであり、
前記予め定められたタイミングは、前記遊技終了コマンドを送信するときであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、メイン基板とサブ基板それぞれにおいてコマンドの累積値を求め、予め定められたタイミングで両者を比較し、不一致のときに不正行為と判定するようにしたので、遊技処理を実行する制御部(メイン基板)から、演出処理を実行する副制御部(サブ基板)へ送られるコマンドの改変を検知することができる。これに基づきエラーである旨の報知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図である。
図2】前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図である。
図3】スロットマシンのブロック図である。
図4】スロットマシンの遊技処理のフローチャートである。
図5】発明の実施の形態に係る遊技機のブロック図である。
図6】発明の実施の形態に係るコマンドを送信バッファに設定する処理フローチャートである。
図7】発明の実施の形態に係るメイン基板の累積値を送信バッファに設定する処理フローチャートである。
図8】発明の実施の形態に係るメイン基板の設定変更時の処理フローチャートである。
図9】発明の実施の形態に係るサブ基板のコマンド受信処理のフローチャートである。
図10】発明の実施の形態に係るサブ基板のエラー解除コマンド受信処理のフローチャートである。
図11】発明の実施の形態に係るサブ基板の設定変更時の処理フローチャートである。
図12】発明の実施の形態に係るコマンド構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
【0019】
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴からなるリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1回胴〜第3回胴)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
【0020】
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
【0021】
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
【0022】
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
【0023】
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
【0024】
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
【0025】
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134,ストップボタン140,リールユニット(リール駆動装置を含む)203,リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
【0026】
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
【0027】
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
【0028】
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
【0029】
投入受付部1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
【0030】
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
【0031】
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0032】
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1050から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
【0033】
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
【0034】
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0035】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
【0036】
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0037】
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。リプレイ処理手段1600については、後に再度説明を加える。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
【0038】
リール制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動して、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
【0039】
また、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
【0040】
すなわち、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
【0041】
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
【0042】
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるリールインデックス(図示せず)を備えており、リール制御手段1300は、リールが1回転する毎にリールインデックスで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0043】
リール制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
【0044】
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
【0045】
入賞判定手段1400は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
【0046】
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0047】
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
【0048】
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0049】
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
【0050】
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
【0051】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
【0052】
リールユニット203は、図示しない3つのリールを備えるが、3つのリールそれぞれにひとつづつステッピングモータが取り付けられている。ステッピングモータは、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンのリールの回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
【0053】
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
【0054】
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
【0055】
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
【0056】
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
【0057】
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
【0058】
スロットマシンでは、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
【0059】
次に、遊技機における遊技処理について図4を参照して説明を加える。
【0060】
一般的に、遊技機において、メダルの投入(クレジットの投入)に始まり、払い出しが終了するまで(又はクレジット数の増加が終了するまで)が一遊技である。一遊技が終了するまでは次回の遊技に進めないという決まりがある。
【0061】
先ず、規定枚数のメダルが投入されることでスタートスイッチ134が有効になり、図4の処理が開始される。
【0062】
ステップS1において、スタートスイッチ134が操作されることにより、スタートスイッチ134がONとなる。そして、次のステップS2に進む。
【0063】
ステップS2において、メイン基板10により抽選処理が行われる。そして、次のステップS3に進む。
【0064】
ステップS3において、第1リール〜第3リールの回転が開始する。そして、次のステップS4に進む。
【0065】
ステップS4において、ストップボタン140が操作されることにより、ストップボタン140がONとなる。そして、次のステップS5に進む。
【0066】
ステップS5において、第1リール〜第3リールのうち押下されたストップボタン140に対応するリールについて回転停止処理が行われる。そして、次のステップS6に進む。
【0067】
ステップS6において、三個のリールに対応するストップボタン140の操作が行われたか否かが判定される。そして、三個のリールに対応する3つのストップボタン140すべての操作が行われたと判定された場合、次のステップS7に進む。
【0068】
ステップS7において、抽選フラグ成立中に当該抽選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。そして、入賞が確定したと判定された場合、次のステップS8に進む。なお、入賞が確定しなかったときは、抽選フラグが成立していてもメダルの払い出しは行われない。
【0069】
ステップS8において、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
【0070】
メダルの投入からステップS8の実行完了までが、一遊技である。ステップS8の待機処理が終了すると、処理はフローチャートの最初に戻る。言い換えれば、次の遊技が可能な状態になる(次遊技へ移行する)。
【0071】
次に、図5以降を参照して、本発明の実施の形態に係る遊技機について説明を加える。
【0072】
図5は、本発明の実施の形態に係る不正行為検知のための装置のブロック図である。同図の装置は、例えば、メイン基板10、サブ基板20のCPUがそれぞれ所定のプログラムを実行することで実現される。あるいは、ICなどのハードウエアで実現することもできる。
【0073】
10−1は、メイン基板10に設けられ、そこで作成されてサブ基板20へ送られるコマンドについて累積値を求める第1累積手段である。
【0074】
10−2は、メイン基板10に設けられ、第1累積手段10−1で求めた累積値を記憶する第1累積値記憶部である。
【0075】
10−3は、コマンドをサブ基板20へ送るための送信バッファである。
【0076】
10−4は、遊技機の電源投入後において(例えば設定変更後において、あるいは初期設定の際に)、第1累積値記憶部10−2の内容を消去するクリア手段である。
【0077】
20−1は、サブ基板20に設けられ、メイン基板10から受けたコマンドについて累積値を求める第2累積手段である。
【0078】
20−2は、サブ基板20に設けられ、第2累積手段20−1で求めた累積値を記憶する第2累積値記憶部である。
【0079】
20−3は、メイン基板10から受けた第1累積値記憶部10−2の累積値(メイン累積値)を第2累積値記憶部20−2の累積値(サブ累積値)と比較する比較部である。
【0080】
20−4は、比較部20−3の比較結果に基づきエラーである旨の報知を行うエラー報知部である。
【0081】
20−5は、遊技機の電源投入後において(例えば設定変更後において)、第2累積値記憶部20−2の内容を消去するクリア手段である。
【0082】
20−6は、メイン基板10からのデータ(コマンドや累積値)を受信する受信部である。
【0083】
累積手段10−1と20−1は、設置されている場所が異なる点を除き全く同じものであり、同じ動作を行い、同じ累積値を計算する。累積値記憶部10−2と20−2、及び、クリア手段10−4と20−5についても同じである。
【0084】
図5に示すメイン基板10において、作成されたコマンドが送信バッファ10−3に設定されるときに、第1累積手段10−1が、第1累積値記憶部10−2から累積値を読み出してこれに当該コマンドの電文2を加算することにより前記累積値を求める。例えば、第1累積値記憶部10−2の累積値a(n−1)とし、電文2のデータをxとすれば、a(n)=a(n−1)+xを求め、a(n)を第1累積値記憶部10−2に上書き保存する。nは自然数であり、加算の繰り返し回数を意味する。ただし、n自体は上記処理を行う際に必須ではなく、nを考慮することなく上記処理を行うことができる。
【0085】
上記処理は、第2累積手段20−1、第2累積値記憶部20−2についても同じである。
ここで「加算」は、算術的な意味の加算とともに、他の算術演算である減算、乗算、除算、論理演算である排他的論理和、あるいは他の演算をも含む概念である。要するに、生成される一連のコマンドの電文2に関し、それら全てに基づき固有の値を生成可能な演算であれば、本発明の実施の形態において「加算」として用いることができる。なお、「加算」により値が増加するようになることがあるが、この場合においてはその一部のビットについてのみ累積値として扱うようにする(オーバーフローを避けるため)。例えば、3FHでマスクすることにより、下位6ビットのみを処理対象とすることができる。
【0086】
メイン基板10で作成されるコマンドは電文1と電文2の組み合わせである。例えば、電文1と電文2はそれぞれ1バイトである。コマンド作成手法は公知であるのでその説明は省略する。なお、コマンドの構造については後に説明を加える。
【0087】
予め定められたタイミングにおいて(例えば遊技終了時点で)、第1累積値記憶部10−2が、記憶した累積値を送信バッファ10−3に設定することにより累積値をサブ基板20へ送信する。送信バッファ10−3に送信すべきデータ(コマンドや累積値)をセットすると、割り込み処理により自動的に送信が行われる。この送信処理自体は公知であるので説明は省略する。
【0088】
サブ基板20において、メイン基板10から累積値を受けたときに比較部20−3により比較を行い、この結果が不一致であるときにエラー報知部20−4によりエラーである旨の報知(エラー報知)を行う。エラー報知はブザーの吹鳴などであるが、エラー報知自体は公知であるのでその説明は省略する。
【0089】
図6は、通常のコマンドをコマンド送信バッファ10−3に設定するときの処理フローチャートである。同図の処理は、サブ基板20の所定の演出を行わせるためのコマンド(公知)をコマンド送信バッファ10−3に設定したときに、図5の装置が行う処理を示す。なお、コマンドを送信するための本来の処理も行われるが、図6においてその表示は省略している。
【0090】
S20:第1累積手段10−1が、送信バッファ10−3に設定された(あるいはまだ設定されていないがやがて設定されるべき)コマンドの電文2を取り出して、第1累積値記憶部10−2の累積値に加算し、加算したものを第1累積値記憶部10−2に上書きする。
【0091】
S21:メイン基板10がコマンド送信を行う。これは割り込み処理で行われる。この処理は公知である。
【0092】
図7は、累積値をコマンド送信バッファ10−3に設定するときの処理フローチャートである。この処理は、S30で示されるように、例えば1遊技の終了時点で行われる。図4で言えば、S8の処理を終了した時点(入賞していなければS6の後)においてS30でYESとなり、S31とS32の処理が行われる。
【0093】
S31:第1累積値記憶部10−2が記憶している累積値を読み出して送信バッファ10−3に設定する。
【0094】
このとき、上記累積値を電文2として設定するとともに、電文1として「累積値を送信した旨のコマンド(データ)」を設定するようにしてもよい。このようにすれば、サブ基板20は受信したデータが累積値であることがわかり、その後の処理を適切に行うことができる(図9のS50参照)。
【0095】
S32:メイン基板10が通常のコマンドと同様に送信を行う。これは割り込み処理で行われる。この処理は公知である。
【0096】
図8は、設定変更時の処理である。
内部抽選手段1200には、例えば設定値1〜6にそれぞれ対応する複数の抽選テーブルが格納されており、設定変更によって設定された設定値に対応した抽選テーブルを用いて抽選処理が行われる。設定値とは、予め用意された複数の抽選テーブルのそれぞれに対応付けられたものであり、これら複数の抽選テーブルのいずれかを選択するためのものである。設定変更とは、前記設定値を変更することである。テーブルの種類によって当選の確率が変わる。
【0097】
設定変更手順は概ね次のとおりである。
(1)図示しない設定変更キースイッチ(遊技機の扉内に設けられていて、鍵を挿入して操作することによりオンオフするスイッチ)をオンにする。
(2)図示しない設定変更スイッチ(遊技機の扉内に設けられている)を押下する。
設定変更スイッチが1回押下されるごとに、設定値に+1を加算する。設定値は1〜6の整数であり、設定値=6の状態で設定変更スイッチが押下されると、設定値=1に戻る。
(3)スタートスイッチ134を押下する。これにより設定値は確定される。
(4)設定キースイッチをオフにする。
【0098】
例えば、(3)又は(4)の後に図8のS41が実行される。
【0099】
S41:クリア手段10−4が第1累積値記憶部10−2の内容を消去する。
【0100】
図9は、サブ基板のコマンド受信処理のフローチャートである。この処理はコマンド(累積値を含む)を受信するごとに実行される。
【0101】
S50:受信部20−6が受信したコマンド種類を判定する。
受信したコマンドが通常コマンドであればS57,S58を実行し、累積値の通知コマンドであればS51乃至S56を実行する。
【0102】
S51:比較部20−3が第2累積値記憶部20−2から累積値(サブ累積値)を読み出す。
【0103】
S52:比較部20−3が、累積値(サブ累積値)を、メイン基板10から受けた累積値(メイン累積値)と比較する。
【0104】
S53:比較結果に基づき処理を選択する。
上述のように、累積手段10−1と20−1、累積値記憶部10−2,20−2はいずれも同じものであり、また、クリア手段10−4,20−5により同じようにクリアされるから(しかも後述のS55の処理が行われるので)、コマンドの改変が行われない限りサブ累積値はメイン累積値と一致するはずである。そこで、不一致のときは前述の不正行為がなされたとみなしてエラー報知を行う(S54)。
【0105】
S55:第2累積値記憶部20−2は、メイン累積値で内容を上書きする。こうすることで、ノイズ等でたまたまエラーになった(コマンドが化けた)ような場合には、誤ったエラー報知が繰り返しなされることを防止することができる。ノイズ等の影響の場合は、次の比較処理(S53)において一致と判定するようになる。
【0106】
S56:第2累積手段20−1がコマンドの電文2を累積値(サブ累積値)に加算する。電文2がメイン累積値であれば、サブ累積値にメイン累積値に加算することを意味する。言い換えれば、メイン累積値も他のコマンドの電文2と同じように扱うことになる(メイン基板10の第1累積手段10−1でも同じ処理を行う)。なお、S56の処理を無くするようにもできる。
【0107】
S57:第2累積手段20−1がコマンドの電文2を累積値(サブ累積値)に加算する。
この処理は、図6のS20に相当する。この処理は必須である。
【0108】
S58:通常のコマンド処理を行う。
この処理は公知なので説明は省略する。
【0109】
図10は、エラー解除コマンド受信処理のフローチャートである。
図9のS54のエラー報知処理はサブ基板20で行われる。このエラー報知を止めるにはメイン基板10から特定のコマンドをサブ基板20へ送る。このコマンドがエラー解除コマンドである。エラー解除コマンドが受信されると図10の処理が実行される。
【0110】
S60:エラー報知中かどうか判定し、エラー報知中であればエラー報知終了処理(S61)を実行する。エラー報知終了処理は公知であるので説明は省略する。
【0111】
図11は、設定変更時の処理である。これは図8の処理と実質的に同じものである。設定変更については、図8の説明を参照されたい。
【0112】
S71:クリア手段20−5が第2累積値記憶部20−2の内容を消去する。
【0113】
図12はコマンドの説明図である。
【0114】
メイン基板10で生成するコマンドは複数の電文からなる。図12は2つの電文、つまり電文1(第1電文)と電文2(第2電文)からなるコマンドの例を示す。これは最も簡単な構成である。電文1と電文2の他にも電文を含み3つ以上の電文からなるコマンドについても本発明の実施の形態を適用することができる。
【0115】
図12の例では、各電文は8ビット(1バイト)のデータであり、その先頭ビット(MSB)が1であるときは電文1を意味し、0であるときは電文1以外の電文2などを意味する。これらは例えば次のような意義を有する。電文1はコマンドの最初の電文であることを意味すると共に、サブ基板20に実行させる処理を識別するための情報などを意味する。電文2は、電文1に縦続するコマンドであることを意味すると共に、サブ基板20が実行すべき処理の内容を具体的に指定する。例えば、電文1で液晶表示装置に関するコマンドであること(液晶表示装置に対して所定の処理を実行させるコマンドであること)を意味するとき、電文2は液晶表示装置に表示すべき具体的な画像(演出)の種類を指定するものである。したがって、電文1と電文2が、その順番で正しく揃って初めてコマンドとして意味をもつ。
【0116】
電文1は1バイトであり、例えば設定変更の開始/終了を示すもの、遊技開始/遊技終了を示すもの、エラー発生を示すもの、回胴回転/回胴停止を示すもの、メダルの投入/払い出しを示すものなどがある。
【0117】
電文2も1バイトであり、コマンドの具体的な内容を示すものである。例えば、設定変更の終了であれば設定された設定値に応じて電文2が定められ、遊技開始/遊技終了であればRT(リプレイ高確率状態)中であるか、BB内部中(ボーナスフラグが持ち越されているか)であるかなどに応じて電文2が定められ、エラーであればエラーの内容に応じて電文2が定められる。
【0118】
以上のように、この発明の実施の形態によれば、メイン基板、サブ基板それぞれにおいてコマンドの電文2の累積値を求め、遊技終了時点でメイン基板の累積値をサブ基板へ送り、これをサブ基板の累積値と照合することにより、伝送途中でコマンドを勝手に書き換えるという不正行為を検知することができる。当該不正行為を検知したことを報知することで当該不正行為を効果的に抑止することができるようになる。
【0119】
なお、サブ基板20は、メイン基板10から累積値(メイン累積値)が送られてくるべきタイミング(遊技終了時のような予め定められたタイミング)において、メイン基板10から累積値を受けないときに、エラー報知部20−4でエラー報知を行うようにしてもよい。本来受けるべきコマンドを受けないということは何らかのトラブルが生じた(不正行為が行われたなど)可能性が高いから、このような場合にエラー報知を行うことには意義がある。具体的には、上記遊技終了コマンド(電文1、例えば9BH)を受けたときに図示しないタイマーを起動し、当該タイマーで所定の時間(例えば1秒)を計測し、この間にメイン累積値を受けないときにエラー報知を行うようにする。
【0120】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0121】
10 メイン基板
10−1 第1累積手段
10−2 第1累積値記憶部
10−3 送信バッファ
10−4 クリア手段
20 サブ基板
20−1 第2累積手段
20−2 第2累積値記憶部
20−3 比較部
20−4 エラー報知部
20−5 クリア手段
20−6 受信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12