【発明が解決しようとする課題】
【0016】
バイオマスから合成ガスを生成するときの主たる問題は、タールの形成であり、これは、水熱プロセスでは大体は回避することができる。しかしながら、バイオコールを介した間接的な経路がこれに続くはずであるため、これは明確ではない。400℃、および少なくとも221.2barの圧力における超臨界条件の下で(水の臨界温度は374℃)、 バイオマススラリをCO
2、およびH
2に分解することが可能であるはずであるが、これは高いエネルギー入力を要する。
【0017】
さらに解決すべき問題は、適切なプロセス制御であり、問題のバイオマスの収集、輸送、および貯蔵の問題である。これらの運転も、エネルギーを必要とし、これは水熱炭化により放出されるものより少ないはずである。
【0018】
終わりに、バイオマス自体は可燃物ではなく、基本的に、可燃物であるのは、バイオマスから生成されるガスのみなので、全てのバイオマス燃焼プロセスの前に、ガス化プロセスがある。
【0019】
現在の技術水準に対応する、水性、または蒸気環境内での水熱炭化HTCなどのバイオマスの炭化では、外部から追加的に水、または蒸気が反応器に供給される。これは、炭化プラントの建設、および運転のための相当な追加コストを意味する。水、または蒸気を提供するため、および水を加熱するために熱エネルギーが必要である。炭化の後のプロセス水の利用、または処分は、追加的な操作を示し、相当な技術的、および金銭的なコストが伴う。
【0020】
既知のプロセスでは、ガス、および蒸気が形成される。これらは、しばしば、技術的な方策により解決しなければならない、相当な追加コストを伴うという、追加的な問題を示す。
【0021】
本発明により解決すべき問題は、バイオマスから多かれ少なかれすべての炭素、およびガスを取得し、これらを単純、かつ経済的に生成することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この問題は、本発明に従って、
a)外部熱エネルギーを、加熱素子に作動的に接続された、具体的には加熱ジャケットによって包囲された、炭化反応器に供給すること、およびさらなる熱エネルギーを少なくとも一つのプラントから、特にガス化反応器から提供することと、
b)冷却エネルギーを第2のベッセル、すなわち冷却ベッセルからガス化反応器に供給することと、
c)ほぼ連続的なプロセスを確実にするために、水分、特に水を第2のベッセル、すなわち冷却ベッセルに供給することと、
d)炭化反応器、および/または第2のベッセル、すなわち冷却ベッセルから反応ガスをガス保存タンクに供給することであって、反応ガスはガス化反応器へ再循環される、供給することと、により解決される。
【0023】
このようにして、加熱のため、およびユニットを駆動するための炭素、特に石炭、ならびに、さらにガスも、バイオマスから、単純で、経済的で、省エネルギー様式で、設営が容易な機器により、ガスエンジン、ガスタービン、および加熱装備などの様々な消費者による使用のために得られる。
【0024】
本発明による方法は、好ましくは、主として都市ごみとして発生し、多くの場合多大な費用をかけて処分しなければならない、水を含むバイオマスを使用する。しかしながら、この方法では、残渣として処分しなくてもよい他のバイオマスも使用することが可能である。
【0025】
この方法を実施するために、少なくとも2つの反応器が使用される。一方は炭化反応器であり、もう一方はガス化反応器である。
【0026】
対照的に、本明細書に記述した方法では、蒸発のために必要なエネルギーは、生成された反応器ガスの冷却の間に放出された熱を利用することによって提供される。
【0027】
バイオマスの炭化が先行するガス化運転のために、本発明に従い、この方法により生成される反応器ガスは、ほぼ完全にタール、またはタール形成構成物質を含まない。これは、具体的には、プロセスが管理される様式が、バイオマスからの揮発分対不燃物の比を既存の80%から約30%に下げることができることを意味するので、達成される(表1、および2を参照)。先行技術の設置に対する値は、表1に与えられ、本発明による機器に対する値は、表2に与えられる。
【0028】
ガス化反応器を出た後、反応器ガスは、固体粒子、例えば微細な微粉を除去するために塵埃分離により清浄化され、その後電力、または熱を生成するために利用することができる。
【0029】
追加的な水、または加熱蒸気の割合が小さいということは、ごくわずかなプロセス水のみが生成されることを意味する。供給される水はプラント内で蒸発するので、排水処理、または排水の処分のいずれかのために追加的なコストが生じることが無い。
【0030】
このプラントは、集落の限られた地域に電力と熱を供給するため、および同時に適切な都市ごみを処分するために、熱利用を伴うガスエンジン発電機設備を使用して、小さい産業規模で使用することができる。
【0031】
本発明による方法では、ガスの汚染の問題、およびタールの形成の問題も解決される。すなわち、ガス化反応器内での燃焼を通して、ガス状または蒸気の形態の致命的な反応生成物のほぼ完全な内部処分がある。
【0032】
これにより、CO
2を回避することとなりを導き、この場合、潜在的なエネルギーのわずかな部分のみが解放されることになる。
【0033】
水熱炭化の利点の1つは、使用可能な植物バイオマスが、水分含有率の低い植物に制限されず、かつ二酸化炭素の排出無しに得られるエネルギーが、必要とされる乾燥ステップにより減少せず、または、必要な場合、最終製品の乾燥に直接に使用可能であることである。従って、以前はほとんど使用可能ではなかった、市街地の庭園、および緑地からの刈り込み、および剪定によるものなどの、植物材料であっても、エネルギー生成に使用することができ、同時に、そうでなければ、バイオマスのバクテリアによる変換の間に、より一層気候に悪影響を与えるメタンとともに、形成されることになる、二酸化炭素を保留する。プラント全体の運転は、ほとんどすべての放出された熱エネルギーが、作業プロセスに再循環されるので、省エネルギーでもある。
【0034】
このため、5〜30barの圧力で、好ましくは15〜25barの圧力で、特に約20barの圧力で、かつ200℃〜1200℃の温度で、好ましくは400℃〜800℃の温度で、炭化反応器内に受け入れられた水分を含んだバイオマスが蒸発され、直接的に、または間接的に、ラインを介してガス化反応器に供給される反応ガスが形成されるのは有利である。
【0035】
ガス化反応器が1200℃〜1800℃、好ましくは1000℃〜1400℃の温度範囲で作動し、作業プロセスの間、ガス化反応器と炭化反応器とを接続するラインを介して熱エネルギーを放出するのも有利である。
【0036】
本発明の開発によると、サイクロン分離器、および/またはガス洗浄装置がラインを介してガス化反応器に接続される追加的な可能性があり、サイクロン分離器、および/またはガス洗浄装置の間に、ガスを40℃〜80℃、または50℃〜60℃の熱交換器の作動温度まで下げ、かつ結果として得られる理論的なエネルギーを加熱システム、および/またはプラントの作業プロセスへ再循環する、熱交換器を提供することができる。熱交換器から放出された熱エネルギーは、加熱システムなどの、消費者へのラインを介して供給される。
【0037】
さらに、炭化反応器、および/または第2のベッセル、すなわちバッファタンクで放出された有害物質、または不純物が、熱的装置の手段により破壊され、または少なくとも部分的に破壊され、あるいは除去されるのは有利である。
【0038】
閉鎖可能な入口を有する加熱可能な炭化反応器の手段による、エネルギー担体、および/または原料担体を生成するための、湿潤バイオマス、特に水を含んだバイオマス、および/または乾燥したバイオマスの熱化学的な炭化、およびガス化のための装置もまた有利であり、そこでバイオマスが固体状、流動性、またはガス状のエネルギー担体、および/または原料担体に変換され、エネルギー担体、および/または原料担体の中間保存のために、かつ閉鎖可能な出口を介して、炭化反応器に接続された冷却可能なベッセルへ排出され、ベッセルは下流のガス化反応器に接続され、そこでガス、および灰などの廃棄物がそこでバイオマスから分離され、以下の特徴により、特徴付けられる。
a)湿潤バイオマス、特に水を含むバイオマス、および/または乾燥したバイオマスの熱化学的な炭化、およびガス化装置、すなわち第1のベッセルは、閉鎖可能な接続を介して、第2のベッセル、すなわちバッファタンクへ接続され、
b)第1のベッセル、および/または第2のベッセル、すなわちバッファタンクは、各々の場合、ガス保存タンク、特に反応ガス保存タンクへ、ラインを介して接続され、
c)反応ガス保存タンクは、ガス化反応器へのラインを介して接続され、
d)ガス化反応器は、サイクロン分離器、および/またはガス洗浄装置などの、清浄化装置へ直接的に、または間接的に接続され、
e)得られた熱エネルギー、またはガス化反応器で放出されたエネルギーは、少なくとも1つのラインを介して、熱化学的な炭化のプロセス制御、およびガス化装置、すなわち第1のベッセルへ供給される。
【0039】
ガス化反応器が、ガス化反応器で得られた石炭の処理、および/またはさらなる処理のために、ラインを介して処理装置へ接続されるのは、有利である。
【0040】
本発明にとって、ベッセル、および/またはガス化反応器内で得られた石炭の処置、およびさらなる処理のために第2のベッセル、および/またはガス化反応器が処理装置へのラインを介して接続されていて、スパンボンドされた織物、またはリボン状の織物が搬送層として使用されることが特に重要である。
【0041】
飽和蒸気が、飽和蒸気を消費者、または加熱システム、および/または蒸気ピストンエンジンに搬送するラインを介して接続されたガス化反応器内で得られることも有利である。
【0042】
さらに、ガス化反応器が、少なくとも1つのラインを介して、消費者、または少なくともガス圧縮機、および/またはガスエンジンに接続されることも有利である。
【0043】
ガス化反応器、および/または第2のベッセルは、冷却装置により冷却される、またはそれぞれの場合に冷却ジャケットにより包囲され、かつ冷却装置には冷却水が供給される手段により冷却される可能性があることも有利であり、少なくとも第2のベッセルの冷却ジャケットからの冷却水は、ガス化反応器へのラインを介してもまた供給される。
【0044】
更に、この方法が以下の方法のステップにより特徴付けられることも有利である。
a)バイオマスは、炭化反応器内で、プラントから炭化反応器へ供給される外部熱エネルギー、およびさらなる熱エネルギーの手段により、固体状、流動性、またはガス状のエネルギー担体、および/または原料担体に変換されること、
b)炭化反応器内で形成されたガスは、反応ガス保存タンク内に受け入れられること、
c)第1のベッセル、および第2のベッセル内で得られる、またはこれらの中に存在する反応ガスは、ガス化反応器に直接的に、または間接的に直接供給されること、
d)湿潤したバイオマス、特に水を含んだバイオマス、および/または乾燥したバイオマスの熱化学的な炭化、およびガス化の方法で得られたエネルギーの少なくとも一部は、処理プロセス、特にベッセルに再循環されること、
e)ガス化反応器で得られた石炭は、さらなる処理装置に提供されること、
f)第2のベッセル内に供給された冷却エネルギーは、同時に、または引き続きガス化反応器の冷却ジャケットに供給されること、
g)ガス化反応器内で生成された、放出されたエネルギー、または飽和蒸気は、加熱システムなどの1つ以上の消費者、および/または蒸気ピストンエンジンに供給されること。
【0045】
本発明の発展形態によると、追加的な可能性の1つは、プラント全体、または第1のベッセルで生成した反応ガスが、直接的に、または間接的にサイクロン分離器へ、および/またはガス洗浄装置へ、その後除湿器へ、または直接的に、もしくは間接的に、圧縮機を介して消費者へ供給されることである。
【0046】
1つ以上のラインの中に、手動、または駆動装置によりオン・オフすることができ、駆動装置は、作業プロセスに関連してコンピュータを介して制御することができる、制御弁が提供されることも有利である。
【0047】
さらに、本発明のさらなる利点、および詳細が、特許請求の範囲、および記述に説明され、以下の図面に示される。