【実施例1】
【0017】
図1〜
図9は、本発明の実施例を示す。
【0018】
最初に、対象部品について説明する。
【0019】
図9に対象部品が示されている。同図(A)は、ワッシャ付きボルトである。ボルト1は、軸部2と頭部3によって構成されている。そして、頭部3は、軸部2よりも大径の六角部3Aとワッシャ3Bによって構成されている。ワッシャ3Bは軸部2の小径部5に組み付けられて、軸部2から抜けることなく、ぐらぐらと動くことが許容されている。
【0020】
また、
図9(B)に示すものは、頭部3が、六角部3Aと六角部3Aと一体に成型されたフランジ6によって構成されている。なお、軸部2に雄ねじが加工してあり、
図9(A)と(B)にだけ雄ねじが図示してあり、他の図では雄ねじの図示は省略してある。
【0021】
図9(C)は、短い円筒型の頭部7と雄ねじのない軸部8によって構成された頭部付き軸状部品である。上記3種類の部品は、いずれも鉄製である。
【0022】
対象部品としては、上述のように種々なものがあるが、ここでは
図9(A)に示したワッシャ付きボルト1である。
【0023】
つぎに、貯留容器について説明する。
【0024】
多数のボルト1が収容される貯留容器9は、真上から見て四角い形の箱状とされている。ステンレス鋼製の四角い板材で作られた底部材10の四辺にステンレス鋼製の壁板12、13、14および15が溶接してある。
【0025】
貯留容器9の底部材10の端部近傍に、低部位16が形成してある。この低部位16は
図1の右上に配置してある。そのために、
図1の右方に向かって低くなる第1傾斜面17と、
図1の上方に向かって低くなる第2傾斜面18が形成してある。第1傾斜面17と第2傾斜面18は途中から傾斜が急になっているので、折れ線19が現れている。
【0026】
図示していないが、貯留容器9に開閉蓋を設けて、鉄屑などの不純物がボルト1に混入しないようにすることが望ましい。
【0027】
つぎに、リフト部材について説明する。
【0028】
底部材10の右上隅の箇所に四角い通過孔20が開けられている。リフト部材22は、分厚い板材を細長く形成した部材で構成され、ほぼ鉛直方向に昇降するようになっている。リフト部材22の上面にボルト1を載置する載置面23が形成されている。この載置面23は水平面でもよいが、ボルト1がこぼれ落ちるのを防止するために、壁板15側が低くなるような平坦な傾斜面とされている。この傾斜角θが
図3に示してある。なお、リフト部材22は、非磁性材料であるステンレス鋼で作られている。
【0029】
載置面23は、リフト部材22が最下位に位置しているときに、
図3や
図5(A)に示すように、傾斜した底部材10(第2傾斜面18)と連続した状態になっている。こうすることにより、低部位16に移動してきたボルト1が載置面23上に待機するようになっている。
【0030】
リフト部材22は、貯留容器9の内壁に沿って昇降できる状態で配置してあり、ここでは壁板15の内面に沿って昇降する。載置面23の広さによって載置されるボルト1の個数が定められる。図示の場合は、3個である。
【0031】
リフト部材22を昇降させるエアシリンダ24が壁板12に固定され、リフト部材22の下端に結合された支持板25に、エアシリンダ24のピストンロッド26が結合してある。エアシリンダ24が進退出力をすることによって、リフト部材22が昇降動作をする。
【0032】
つぎに、ボルト同士の絡み合いについて説明する。
【0033】
図6(A)は、ボルト同士の絡み合い状態を示している。多数のボルト1が貯留容器9に収容されると、ボルト1のねじ山に軸部2の端部の角部が食い込んだり、フランジ6同士が重なり合ったり、ねじ山の谷部に山部が合致したり、ボルト1の重量が作用したりなどの種々な絡み合いが生じるので、第1傾斜面17や第2傾斜面18の傾斜が付与してあっても、低い方へ滑動することが不可能となる。
【0034】
このような現象は上記の絡み合い状態によってときどき発生し、一旦発生すると、多数のボルト1が絡み合って拘束されたような部品群になる。このような状態になると、
図6(B)に示すように、ボルト1が存在しない空域27が形成され、リフト部材22の載置面23にボルト1が待機しない現象が発生し、ボルト1の移送が不可能となる。
【0035】
このようないわゆるロックされた現象を防止するために、ボルト1同士が絡み合った部品群の一部を、低部位16側へ吸引する吸引手段または部品群の一部を低部位16側へ押し出す押出し手段が設けられている。
【0036】
図7は、吸引手段の事例である。リフト部材22に永久磁石28が埋め込んであり、その高さ位置は、リフト部材22が最も上昇したときに、ボルト1を低部位16に引きつけることができる位置とされている。つまり、リフト部材22が最上位に位置しているときに、永久磁石28が第2傾斜面18の近くに待機するようになっている。
【0037】
図7に示す位置に永久磁石28が停止すると、拘束状態になっているボルト1が永久磁石28の方へ引きつけられるので、空域27の領域へ移動し、拘束状態となっている部品群の一部が解きほぐされる。それに連続して連鎖的に解きほぐし動作が拡大し、永久磁石28に近い領域の非拘束状態の範囲が広くなる。このようにして、絡み合った部品群の一部を低部位16側へ吸引し、部分的な解きほぐしによってボルト1の待機を行わせ、さらに、解きほぐされた範囲が拡大され、リフト部材22に空動作のない確実な移送が実現する。
【0038】
なお、
図7に2点鎖線で示すように、永久磁石28を壁板15の外側に配置することも可能である。
【0039】
一方、
図8は、押出し手段の事例である。貯留容器9の外側にエアシリンダ55が取り付けられ、このエアシリンダ55で進退する押出し部材56が貯留容器9内に突出できるように配置してある。ここでは、押出し部材56はエアシリンダ55のピストンロッドによって形成されている。図示していないが、押出し部材56の先端に押出し板を溶接し、この板の広い表面で多数のボルト1に押出し力を作用させることも可能である。
【0040】
拘束状態になっている部品群に向かって押出し部材56が強制的に進出すると、ボルト同士の絡み合いが崩されて押出し部材56の延長方向側のボルト拘束が解きほぐされる。このような解きほぐしによって、ボルト1が強制的に押し出されながら第1傾斜面17を滑降し、空域27の領域へボルト1を到達させ、載置面23上でのボルト1の待機がなされる。
【0041】
つぎに、移送手段について説明する。
【0042】
移送手段は、リフト部材22で持ち上げられたボルト1を目的箇所へ移送するものであり、下り傾斜を利用してボルト1を滑降させるものや、振動を利用して移送するものなど、種々な形式のものが採用できる。ここでは、後者の振動式の直進フィーダである。
【0043】
移送手段である直進フィーダは、符号29で示されている。直進フィーダ29は、その長手方向を壁板15の外側面に沿わせて配置してある。直進フィーダ29は、ボルト1が移載される受け部材30と、それに連続する吊り下げ部材31と、この吊り下げ部材31に連続する選別部材32が直線的に配列されている。そして、選別部材32から目的箇所へボルト1を供給するか、または吊り下げ部材31と同様な吊り下げ部材33を経て目的箇所へ供給される。
【0044】
細長い基部材35上に、支持部材36、37、38および39を介して受け部材30、吊り下げ部材31、選別部材32および吊り下げ部材33がボルト付けなどで結合してある。基部材35は、斜めに配置した2つの板ばね40によって静止部材41の上位に配置してあり、電磁石42で基部材35に上下方向の振動を付与することにより、
図4左方への送出力成分が形成されてボルト移送がなされる。
【0045】
受け部材30の中央にボルト1を集中させるために、左右に中央が低くなった傾斜面43を形成して浅いV字型断面部44としてある。そして、ボルト1が移載される箇所、すなわちV字型断面部44は、リフト部材22の上昇位置の近傍に配置してある。
図3、
図5および
図7に示すように、リフト部材22が最上位に位置すると、載置面23とV字型断面部44は壁板15を間にして隣り合った位置関係となる。
【0046】
吊り下げ部材31は、
図5(B)に示すように、一対の平行なレール部材45の滑動面46にワッシャ3Bの下面、すなわち頭部3の下面が滑動できる状態で支持されている。そして、軸部2がレール部材45の間を吊り下げ状態で通過するようになっている。両レール部材45はその下部が結合部材47で一体化してある。
【0047】
つぎに、転落構造部について説明する。
【0048】
部品供給の工程箇所においては、正常な長さの正常ボルト1Aや、長すぎる過長ボルト1Bや、短すぎる過短ボルト1Cなどが近在した箇所で移送されることがあり、何らかの原因、例えば、作業者が過長ボルト1Bや過短ボルト1Cを誤って正常ボルト1Aに混入することがある。このような異常混入が発生したときに備えて、選別部材32が吊り下げ部材31に連続した状態で配置してある。
【0049】
この選別部材32が中核的な部材になって、頭部付き軸状部品の転落構造部が形成されている。
【0050】
選別部材32は、異常長さのボルト1Bや1Cを貯留容器9内へ転落させる構造部分であり、そのために
図5に示すように、選別部材32の左側が開放されている。この開放は、開放空間48に向かってなされている。それとともに、壁板15の上部に切欠き部15Aを設けて、異常長さのボルト1B、1Cが貯留容器9内へ転落できるようになっている。このように、レール部材45によって吊り下げ状態で搬送されてきたボルト1の長さが異常であるときに、
選別部材32から異常部品を転落によって除去するようになっている。
【0051】
図5(C)に示すように、頭部3の下面(ワッシャ3Bの下面)が滑動する平坦な第1滑動面32Aと、軸部2の下端部(下端面)が滑動する平坦な第2滑動面32Bが形成され、両滑動面32Aと32Bの上下方向の間隔を軸部2の長さと同じにしてある。そして、軸部2の中心軸線が第2滑動面32Bのほぼ中央部を通過しているのに対して、第1滑動面32Aは軸部2の中心軸線から傾斜している側にずれた箇所に配置してある。こうすることにより、頭部3の下面と軸部2の下端部が、それぞれ同時に第1滑動面32Aと第2滑動面32Bを滑動する。
【0052】
そして、異常長さのボルト1B、1Cは、
図5(D)や(E)の矢線で示す方向に転落する。一方、選別部材32は、この転落方向とは反対側に傾斜させた姿勢で配置してある。つまり、鉛直線O−Oに対して選別部材32の上側が右方に傾けてある。
【0053】
正常ボルト1Aは、頭部3の下面と軸部2の下端部がそれぞれ同時に第1滑動面32Aと第2滑動面32Bを滑動できるように支持されているので、
図5(C)に示すように、右側へもたれかかったような安定した状態で、そのまま移送され吊り下げ部材33へ移載される。
【0054】
上述のように、頭部3の下面と軸部2の下端部がそれぞれ同時に第1滑動面32Aと第2滑動面32Bを滑動しているので、直進フィーダ29の振動が正常ボルト1Aに加えられても、転倒するようなことがなく安定した移送がなされる。
【0055】
過長ボルト1Bが選別部材32に移載されると、頭部3が第1滑動面32Aから浮上した位置におかれるので、ボルト1Bの起立状態が不安定になり、そこへ振動が加算されて矢線の方へ倒れるようにして転落する。また、過長ボルト1Bはその上側が、鉛直線O−Oよりも右側にわずかに傾いているが、上記の不安定状態によって転落する。選別部材32の傾斜角をもう少し立てた状態にして、過長ボルト1Bが鉛直線O−Oよりも左側にわずかに傾くようにして、転落しやすくすることも可能である。
【0056】
このように過長ボルト1Bが不安定になるのは、
図5(D)に示すように、頭部3の外周部が選別部材32の上方部分に接触して、この接触箇所からも振動が頭部3に伝達されるとともに、頭部3と第1滑動面32Aとの間に空間ができるためである。
【0057】
過長ボルト1Bの軸部2の下端部が第2滑動面に受け止められ、頭部3が第1滑動面32Aから浮上していると、搬送力が過長ボルト1Bに作用することにより、頭部3が搬送方向の後方側に傾いて頭部3の角部が第1滑動面32Aに受け止められ、軸部2の下端部の角部は第2滑動面32B上に接触して、頭部3の角部が第1滑動面32Aを引きずるようにして移動することがある。すなわち、搬送方向の後方側に過長ボルト1Bが傾き、軸部2の下端部が頭部3よりも先行した傾斜状態になる。このような傾斜状態は、過長ボルト1Bの頭部下面と軸部下端部においてそれぞれ第1滑動面32Aと第2滑動面32Bで滑動可能な状態で受け止める状態ではない。したがって、過長ボルト1Bの支持安定性が維持できなくなり、選別部材32から転落する。
【0058】
上記のような傾斜状態においては、頭部3の角部が第1滑動面32Aの軸部2側の開放側角部11に当たるので、選別部材32の開放側に向かう力が頭部3に作用する、という現象がある。このような力成分によって確実な転落がなされる。
【0059】
搬送方向における過長ボルト1Bの傾き方向が、上記の方向とは逆になる場合もある。この場合も、頭部3の角部が開放側角部11に当たるので、選別部材32の開放側に向かう力が頭部3に作用し、この力成分によって確実な転落がなされる。
【0060】
過短ボルト1Cが選別部材32に移載されると、頭部3が第1滑動面32Aよりも低い位置におかれるので、ボルト1Cの起立状態が不安定になり、そこへ振動が加算されて矢線の方へ倒れるようにして転落する。また、過短ボルト1Cはその上側が、鉛直線O−Oよりも左側にわずかに傾いているので、転落しやすくなっている。このように過短ボルト1Cが不安定になるのは、
図5(E)に示すように、頭部3の外周部が選別部材32の
上方部分32Cに接触して、鉛直方向よりもさらに左側に傾いた姿勢になるためである。
【0061】
正常ボルト1Aの長さが替えられた場合には、選別部材32を支持部材38から取り外し、第1滑動面32Aと第2滑動面32Bの間隔長さが異なった選別部材32に取り替える。こうすることにより、長さの異なった正常ボルト1Aに柔軟に対応することができる。
【0062】
例えば、受け部材30を基部材35に結合する場合には、図示していないが、基部材35の下側から挿入した固定ボルトを、支持部材36を貫通させて受け部材30にねじ込むことが1つの方法である。同様にして、選別部材32も受け部材30と同様な固定ボルトで着脱することができるので、正常ボルト1Aの長さが替わった場合への対応は簡単に行える。
【0063】
吊り下げ部材31から選別部材32へ円滑にボルト1が移載されるようにするために、壁板15側のレール部材45が他方のレール部材45よりも長さL(
図1参照)の分だけ長く設定してある。
図5(B)に示すように、吊り下げ状態で移送されてきたボルト1は、長さLの差があるので、このLの箇所に差しかかると、壁板15から遠い側のレール部材45が先に途切れる。このため、ボルト1は壁板15側が高くなるように傾斜する。このような傾斜によって外側に傾いている選別部材32に沿うような状態で移載される。つまり、
図5(C)に示すように、正常ボルト1Aが滑らかに選別部材32へ移行する。
換言すると、両レール部材45の間の空間が、第2滑動面32Bの上側の空間部に連なっているので、上記のように、選別部材32に沿うような状態で移載される。【0064】
もし、何らかの原因で吊り下げ部材31上をボルト1が横向きになって移送されたり、頭部3が下側になって移送されたりすると、正しい吊り下げ状態ではないので、ボルト1は吊り下げ部材31から選別部材32側へ転落し選別部材32の一部に衝突する。これによってボルト1は弾かれ、貯留容器9内へ転落する。
【0065】
このように、吊り下げ部材31上のボルト姿勢が異常であったり、ボルトの長さが過長や過短であったりすると、それらは全て貯留容器9内へ転落し、
図5(C)に示す状態のボルト1Aだけが通過することとなり、異常ボルトを確実に排除できる。換言すると、
図5(C)に示すように、頭部3の下面が第1滑動面32A上を滑動し、軸部2の下端部が第2滑動面32B上を滑動し、これら両滑動が同時になされている場合だけ、正常ボルト1Aの通過が許される。
【0066】
つぎに、選別部材以降の構成を説明する。
【0067】
選別部材32以降は受け箱に入れたり、図示のような吊り下げ部材33へ移送したりする。ここでは、吊り下げ部材33から計数ユニット49で所定個数のボルト通過がなされ、待機ボックス50に蓄積され、同ボックス50の蓋を開けて所定個数のボルト1を取り出すようになっている。
【0068】
計数ユニット49の構成例としては種々なものがある。ここでは、一対の規制部材52、54を進退させるタイプである。エアシリンダ51で進退する規制部材52が進出して一番目のボルト1を停止させ、エアシリンダ53で進退する規制部材54が後退位置で待機している。規制部材54が進出して二番目のボルト1の移動を停止し、次いで規制部材52が後退すると、一番目のボルト1だけが待機ボックス50内へ転落する。
【0069】
その後、規制部材52が再び進出するのと同時に規制部材54が後退すると、二番目にあったボルト1が一番目の位置に停止させられて、上記のような順序で2個目のボルト転落がなされる。
【0070】
ボルト1が直進フィーダ29から外側へ転落することを防止するために、保護板21や34が設けてある。保護板21は、平面的に見て細長いL型であり、受け部材30の端面にボルト付けなどで固定してある。また、保護板34は選別部材32の背面にボルト付けなどで固定してある。
【0071】
つぎに、ボルトの移送挙動について説明する。
【0072】
図1、
図2、
図3および
図5(A)に示すように、エアシリンダ24の動作でリフト部材22が最下位に位置しているときには、載置面23を含む低部位16に複数個のボルト1が待機した状態になっている。この状態でリフト部材22が上昇すると、載置面23上のボルト1が壁板15の内面(内壁)を擦りながら上昇し、載置面23がV字型断面部44と隣り合った位置で停止する。
【0073】
載置面23はV字型断面部44側が低くなっているので、ボルト1は壁板15の上端部を通過してV字型断面部44上に移載される。
【0074】
図5(A)に示すように、ボルト1はV字型断面部44上において、横向きや、頭部3が下側になった逆立ち状態や、斜め向きになった状態など、種々な姿勢になっている。これらのボルト1が振動でV字型断面部44上を移送されると、ボルト1がV字型断面部44の谷部に沿った姿勢となる。そのような状態で軸部2がレール部材45の間に自重で入り込むと、頭部3の下面が滑動面46で受止められ、ボルト1は首吊り状態になる。
【0075】
このような首吊り状態で吊り下げ部材31を移動して選別部材32に移載され、正常ボルト1Aは
図5(C)に示す状態で移送され、過長ボルト1Bや過短ボルト1Cは
図5(D)や(E)に示すように矢線の方へ転落する。このようにして正常ボルト1Aだけが計数ユニット49を通過して待機ボックス50に送られる。
【0076】
なお、上記各種のエアシリンダに換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。また、上記の永久磁石を電磁石に置き換えることも可能である。
【0077】
上述のリフト部材の進退動作や計数ユニットなどの動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行うことが可能である。制御装置またはシーケンス回路からの信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって、所定の動作を確保することができる。
【0078】
以上に説明した実施例の作用効果は、つぎのとおりである。
【0079】
上記のように、選別部材32には、頭部3の下面と軸部2の下端部が同時に滑動する第1滑動面32Aと第2滑動面32Bが形成されており、しかも選別部材32は異常長さのボルトの転落方向とは反対側に傾斜した状態でレール部材45に連続させてある。このため、正常長さのボルト1は、頭部3の下面と軸部2の下端部が第1滑動面32Aと第2滑動面32Bに対して同時に滑動、すなわち両滑動面で同時に支持される。そして、選別部材32には上記のような方向の傾斜が付与してある。したがって、正常ボルト1Aは両滑動面の2箇所における支持と、上記傾きによって安定した姿勢が維持され、確実な移送がなされる。つまり、異常長さのボルト1B、1Cを選別部材32から転落させるために、転落側が開放された形態になっているが、正常ボルト1Aは転落の恐れが全くない状態で搬送される。
【0080】
過長ボルト1Bがレール部材45から選別部材32に移送されてくると、軸部2の下端部は第2滑動面32Bに接触するが、頭部2は第1滑動面32Aから上方に離れた位置におかれる。このため、過長ボルト1Bの起立安定性が低下し、そこへ搬送用の振動が加算されたりすると、起立状態を維持することが不可能となり、選別部材32の傾斜方向とは反対側へ倒れるようにして転落する。
【0081】
過長ボルト1Aのように軸部2の下端部が第2滑動面32Bに受け止められ、頭部3が第1滑動面32Aから浮上していると、搬送力が過長ボルト1Bに作用することにより、頭部3が搬送方向の後方側に傾いて頭部3の角部が第1滑動面32Aに受け止められ、軸部2の下端部の角部が第2滑動面32Bに接触して、頭部3の角部が第1滑動面32Aを引きずるようにして移動することがある。すなわち、搬送方向の後方側に過長ボルト1Bが傾き、軸部2の下端部が頭部3よりも先行した傾斜状態になる。このような傾斜状態は、ボルトの頭部下面と軸部下端部においてそれぞれ第1滑動面32Aと第2滑動面32Bで滑動可能な状態で受け止める状態ではない。したがって、過長ボルト1Bの支持安定性が維持できなくなり、選別部材32から転落する。
【0082】
上記のように、過長ボルト1Bが搬送方向に傾くと、頭部3が第1滑動面32Aの開放側角部11に当たるので、頭部3は選別部材32の開放側、すなわち開放空間48の方へ押し出されるような状態になり、これによって過長ボルト1Bの転落がなされる。
【0083】
過短ボルト1Cがレール部材45から選別部材32に移送されてくると、軸部2の下端部は第2滑動面32Bに接触するが、頭部3は第1滑動面32Aよりも低い箇所の選別部材32の横側面32Cに接触し、過短ボルト1Cの起立安定性が低下し、そこへ搬送用の振動が加算されたりすると、起立状態を維持することが不可能となり、選別部材32の傾斜方向とは反対側へ倒れるようにして転落する。
【0084】
また、過短ボルト1Cが選別部材32に移載される過渡期に、頭部3が第1滑動面32Aの開放側角部11に接触すると、過短ボルト1Cは開放側角部11で弾かれるようにして転落する。
【0085】
ボルト1が直進フィーダ29に移載される受け部材30が、リフト部材22の上昇位置の近傍に設定されているので、直進フィーダ29へのボルト移載が確実に行える。同時に、直進フィーダ29のような細長い移送手段を貯留容器9の側面に沿わせて配置することができるので、装置全体のコンパクト化にとって効果的である。
【0086】
移送手段を直進フィーダ29のような細長いユニットで構成し、それを貯留容器9の真っ直ぐな横側面に沿わせて配置することにより、貯留容器9と直進フィーダ29との一体化が最小限のスペース取りで達成でき、装置のコンパクト化にとって効果的である。
【0087】
リフト部材22を昇降させるエアシリンダ24が貯留容器9の外壁面に取り付けてあるので、エアシリンダ24と貯留容器9の一体化が最小限のスペース取りで達成でき、装置のコンパクト化にとって効果的である。このエアシリンダ24は、リフト部材22の昇降手段であり、エアシリンダ24に換えて進退出力式の電動モータにすることも可能である。