(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938835
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】地形認識警報システム、方法、及び、コンピュータ読取り可能媒体
(51)【国際特許分類】
G08G 5/04 20060101AFI20160609BHJP
B64D 45/04 20060101ALI20160609BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20160609BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
G08G5/04 A
B64D45/04 A
G09B29/10 A
G09B29/00 A
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-503982(P2013-503982)
(86)(22)【出願日】2011年4月8日
(65)【公表番号】特表2013-524370(P2013-524370A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】US2011031734
(87)【国際公開番号】WO2011127378
(87)【国際公開日】20111013
【審査請求日】2014年4月8日
(31)【優先権主張番号】61/322,522
(32)【優先日】2010年4月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512261447
【氏名又は名称】サンデル アヴィオニックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ブロック,ジェラルド,ジェイ.
【審査官】
島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−212238(JP,A)
【文献】
特開2000−097723(JP,A)
【文献】
特表2004−523411(JP,A)
【文献】
特表2005−519414(JP,A)
【文献】
特表2002−528802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/04
B64D 45/04
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの航路定点を含む航空機のフライトプラン詳細を入力するためのインターフェースを備えた航空機の地形認識警報システムであって、
既知の航路定点およびユーザが入力した航路定点をそれぞれ複数含むデータベースであって、前記既知の航路定点および前記ユーザが入力した航路定点の各々は、地理的な場所を表しており、前記既知の航路定点の少なくとも1つは独自の滑走路識別子に対応付けられた既知の滑走路を含み、前記ユーザが入力した航路定点の少なくとも1つは、前記既知の航路定点には含まれておらず、かつ、独自の滑走路識別子に対応付けられた1つの滑走路を含む、データベース、および、
既知の航路定点ではない、少なくとも1つのユーザが入力した航路定点を含む航空機のフライトプラン詳細を入力するためのインターフェースであって、少なくとも1つの前記ユーザが入力した航路定点は、前記ユーザが入力した航路定点の特性を示す文字を含む識別子を有し、前記地形認識警報システムが、1つ以上の前記ユーザが入力した航路定点が1つの滑走路を示す識別子を含むかどうか判断するために、識別子のための前記ユーザが入力した航路定点を構文解析するように構成され、1つの滑走路に対応付けられた航路定点において航空機の着陸操作が行なわれる間、前記地形認識警報システムにおいて警告が抑制される、インターフェースを含む、地形認識警報システム。
【請求項2】
前記インターフェースが、ユーザインターフェースを含んでおり、該ユーザインターフェースが、航路定点、滑走路、又は、滑走路識別子を、ユーザが入力するための少なくとも1つのデータエントリフィールドを含む、請求項1に記載の地形認識警報システム。
【請求項3】
前記警告が、潜在的な対地衝突警告である、請求項1に記載の地形認識警報システム。
【請求項4】
前記航空機が、垂直離着陸(VTOL)航空機である、請求項1に記載の地形認識警報システム。
【請求項5】
前記インターフェースが、ユーザインターフェースを含んでおり、該ユーザインターフェースが、航路定点を受信するための複数のデータエントリフィールドを含む、請求項1に記載の地形認識警報システム。
【請求項6】
前記インターフェースが、フライト管理コンピュータに対するインターフェースである、請求項5に記載の地形認識警報システム。
【請求項7】
偽の警告が少ない地形認識を行なうための方法であって、
(a)航空機の乗務員が、既知の航路定点ではない、少なくとも1つのユーザが入力した航路定点を含む航空機のフライトプラン詳細を入力することを可能とするための第1インターフェースを設けるステップであって、該フライトプラン詳細が、第2インターフェースを介して地形認識警報システムに伝達され、該地形認識警報システムは、複数の既知の航路定点を有するデータベースを備え、前記既知の航路定点の各々は、地理的な場所を表しており、少なくとも1つの前記ユーザが入力した航路定点は、前記既知の航路定点には含まれていない、独自の滑走路識別子に対応付けられた1つの滑走路を含む、ステップと、
(b)既知の航路定点ではない、前記第1インターフェースに入力された少なくとも1つの前記ユーザが入力した航路定点が、1つの滑走路と対応付けられた1つの識別子を含むかどうか判断するように前記地形認識警報システムを構成するステップであって、前記識別子は、前記ユーザが入力した航路定点の特性を示す文字を含み、
前記第1インターフェースに入力された、既知の航路定点ではない前記ユーザが入力した航路定点であって、1つの滑走路と対応付けられた1つの識別子を有している前記ユーザが入力した航路定点において、前記航空機の着陸操作が行なわれる間、警告が禁止されるように前記地形認識警報システムを構成するステップとを含む方法。
【請求項8】
ユーザインターフェースを提供するステップを含み、該ユーザインターフェースが、航路定点、滑走路、又は、滑走路識別子を、ユーザが入力するための少なくとも1つのデータエントリフィールドを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記警告が潜在的な対地衝突警告である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1インターフェースは、フライト管理コンピュータまたはナビゲーション受信機と接続されており、フライトプラン詳細が、該フライト管理コンピュータまたはナビゲーション受信機に入力され、前記第1インターフェースに伝達される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第1インターフェースが、複数のデータエントリフィールドを含んでおり、前記フィールド内で前記フライトプラン詳細が受信される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記航路定点が陸上の航路定点である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
計算デバイスに請求項7に記載の方法を実施させるための指示を含む、コンピュータ読取り可能媒体。
【請求項14】
航空機の地形認識警報システムは、
(a)既知の航路定点を有するデータベースモジュールであって、各々の前記既知の航路定点が特定の地理的な場所を表しており、少なくとも1つの既知の航路定点が、独自の滑走路識別子に対応付けられた滑走路を含むデータベースモジュールと、
(b)既知の航路定点ではない、少なくとも1つのユーザが入力した航路定点を含む航空機のフライトプラン詳細を受信するためのインターフェースモジュールであって、入力された前記ユーザが入力した航路定点は、前記ユーザが入力した航路定点の特性を示す文字を含む独自の識別子を有しており、該インターフェースモジュールが、前記データベースモジュールと通信する、インターフェースモジュールを備えた航空機の地形認識警報システムであって、
地形認識警報システムは、既知の航路定点ではない、少なくとも1つの前記ユーザが入力した航路定点が、既知の航路定点ではない1つの滑走路を示す1つの識別子を含むかどうか判断するように構成されており、既知の航路定点ではない1つの滑走路と対応付けられた1つの識別子を有している、前記ユーザが入力した航路定点における着陸操作中、前記航空機において潜在的な対地衝突警告が禁止されるように構成される、地形認識警報システム。
【請求項15】
前記航路定点が陸上の航路定点である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1インターフェースが、フライトプラン詳細を受信するための複数のデータエントリフィールドを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記インターフェースモジュールが、フライト管理コンピュータまたはナビゲーション受信機からデータを受信する、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年4月9日に「METHOD AND APPARATUS FOR ENTRY OF LANDING ZONE INFORMATION FOR SUPPRESSION OF TAWS WARNINGS AND ALERTS」というタイトルで提出された米国仮特許出願シリアル番号61/322,522号の優先権の恩恵を主張しており、この出願は、本出願の譲受人によって所有され、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
地形認識システム、特に広く使用される地形認識警報システム(TAWS)には、様々な検出手段が装備されており、これらの手段は、多くの他の状況の中でもとりわけ、航空機の飛行中および/または着陸操作中に地上に衝突するような状況が差し迫っている場合に、航空機の乗務員やパイロットに警告または警報するように努めるものである。しかしながらいったん分かってしまうと、全ての警告が本物ではない場合もある。時には様々な理由により偽の警告が生じることがある。乗務員の仕事量が多いときや、離着陸などの危険な時間には、このような偽の警告はさらに悩ましいものになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国仮特許出願シリアル番号61/322,522号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって上記の考察に照らしてみて、当分野において上記の欠点を受けない地形認識警報システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に指摘したように、全ての警告が警報のために生じるわけではない。例えば、航空機の着陸操作中に長じる警告は、煩わしいものであることが多く、このような警告は、航空機が現在使用している滑走路がTAWSによって「安全な」滑走路として認識されないことから生じている。より具体的には、TAWSは、TAWSデータベースによってサポートされており、このデータベースは、TAWSの製造元、関連する航空当局などによって認識される複数の滑走路を記録するように構成されている。TAWSはさらに、GPS装置を含むことで、航空機の現在の場所を検出する。潜在的な滑走路がデータベースにない場合、TAWSは、たとえ現在使用中の滑走路が着陸操作を行なうのに適している場合でも、この使用中の滑走路が認識された滑走路ではないと判断すると、特定のアルゴリズムに基づいて潜在的な対地衝突警告を発する。例えばヘリコプターなどの垂直離着陸(VTOL)航空機の場合、空港以外の場所に着陸することが多くなるため、このような警告のような事象はなおさら当てはまる。
【0006】
しかしながら多くのTAWS装置には、航空機の乗務員が不必要な警告を一時的に作動しないようにすることを許可する設備がある。このような設備は、航空機の乗務員やパイロットが、着陸操作が行なわれる際、または航空機が次のフライトの準備が整ったときに非作動ボタンをリセットする必要がある。パイロットや乗務員の側でそれを行なうのを忘れた場合、不注意により必要な正しい警告が禁止されてしまう恐れがあり、これは潜在的なControlled Flight Into Terrain(CFIT)事故につながる可能性がある。
【0007】
本システムおよび方法は、航空機で利用されるTAWSに関するものであり、より詳細には、クライアント側のユーザがそれと相互作用する設備を備えることで、例えば正式な滑走路において航空機の着陸操作中に発せられる偽の警告を選別して排除する、あるいは禁止することが可能なTAWSに関する。
【0008】
より詳細には、本システムおよび方法は、インターフェースと通信するデータベースを含む改良された航空機のTAWSを教示している。このインターフェースは、ユーザから直接フライトプラン情報を受信することができる、あるいはユーザがフライトプラン情報をフライト管理コンピュータまたはナビゲーション受信機に入力し、TAWSにフライト管理コンピュータまたはナビゲーション受信機と通信させることで本明細書に記載される目的を達成することもできる。データベースは、とりわけ航路定点を記録するように構成されており、各々の航路定点は、独自の滑走路識別子、例えば「LZ」の後に3桁の数字が続くものに対応付けられた滑走路を含むことができる特定の地理的な場所を表している。滑走路は、簡易ヘリコプター発着場、空港または飛行場、規定された滑走路、または任意の他の好適な場所であってよい。航空機のフライトプランの詳細は、少なくとも1つの航路定点を含んでおり、大抵はフライト管理コンピュータに入力されるが、一部のケースでは、1つまたは複数の航路定点が好適なインターフェースを介してTAWS自体に入力される場合もある。フライトプラン詳細には航路定点と滑走路が含まれ、フライトの前またはフライト中に入力することができる。ひとたび航路定点が入力されると、TAWSは、例えば航路定点情報かあるかをフライト管理コンピュータに対してポーリングすることによって、この航路定点が滑走路識別子に対応付けられているかどうか判断するように構成されている。もしそうであるならば、滑走路識別子が表す滑走路において航空機の着陸操作が行なわれる間、潜在的な対地衝突警告が禁止される。
【0009】
一態様において、本発明は航空機の地形認識警報システムを対象としており、この装置は、少なくとも1つの航路定点を含んだ航空機のフライトプラン詳細を入力するためのインターフェースを含んでおり、その場合地形認識システムは、この少なくとも1つの航路定点に対応付けられた滑走路において航空機の着陸操作が行なわれる間、この航空機における警告を禁止するように構成されている。
【0010】
本発明の実装形態は、以下の1つまたは複数を含むことができる。地形認識警報システムはさらに、航路定点を含むデータベースを含むことができ、各々の航路定点は、特定の地理的な場所を表しており、航路定点の少なくとも1つは、独自の滑走路識別子に対応付けられた滑走路を含んでいる。この警告は、潜在的な対地衝突警告を含むことができる。システムは、滑走路識別子を構文解析することで航路定点が滑走路を含むかどうかを判断するように構成することができる。インターフェースは、ユーザインターフェースを含んでよく、ユーザインターフェースは、航路定点を受信するための複数のデータエントリフィールドを含んでおり、あるいはインターフェースは、フライト管理コンピュータに対するインターフェースであってもよい。航空機は、垂直離着陸(VTOL)航空機である場合もある。
【0011】
別の態様において、本発明は、偽の警告が少ない地形認識を行なう方法を対象としており、この方法は、(a)第1インターフェースを設けることで、航空機の乗務員が、少なくとも1つの航路定点を含む航空機のフライトプラン詳細を入力することを可能にし、フライトプラン詳細が、第2インターフェースを介して地形認識警報システムに伝達されるステップと、(b)該少なくとも1つの航路定点に対応付けられた特定の地理的な場所に位置する滑走路において航空機の着陸操作が行なわれる間、警告が禁止されるように地形認識警報システムを構成するステップを含む。
【0012】
本発明の実装形態は、以下の1つまたは複数を含むことができる。システムは、航路定点を有するデータベースを含むことができ、各々の航路定点は、特定の地理的な場所を表しており、航路定点の少なくとも1つは、独自の滑走路識別子に対応付けられた滑走路を含んでいる。この警告は、潜在的な対地衝突警告を含むことができる。第1および第2インターフェースによって、フライト管理コンピュータまたはナビゲーション受信機に対するインターフェースを提供することができ、フライトプラン詳細がフライト管理コンピュータまたはナビゲーション受信機に入力され、TAWSに伝達することができる。インターフェースは、複数のデータエントリフィールドを含んでおり、このフィールド内にフライトプラン詳細が受信される。航路定点は、滑走路などの陸上の航路定点であってよい。
【0013】
別の態様において、本発明は、計算デバイスに上記の方法を実施させるための指示を含んだコンピュータ読取り可能媒体を対象としている。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、航空機の地形認識警報システムを対象としており、このシステムは、(a)航路定点を含んだデータベースモジュールであり、各々の航路定点が特定の地理的な場所を表しており、少なくとも1つの航路定点が独自の滑走路識別子に対応付けられた滑走路を含むデータベースモジュールと、(b)少なくとも1つの航路定点を含んだ航空機のフライトプラン詳細を受信するためのインターフェースモジュールであり、ユーザインターフェースがこのデータベースと通信し、地形認識警報システムが、滑走路識別子によって表される滑走路における航空機の着陸操作中、この航空機において潜在的な対地衝突警告が禁止されるように構成されるインターフェースモジュールを含んでいる。
【0015】
本発明の実装形態は以下の1つまたは複数を含むことができる。警告は、潜在的な対地衝突警告であってよい。航路定点は、陸上の航路定点であってよい。インターフェースは、複数のデータエントリフィールドを含んでおり、その中にフライトプラン詳細を受信することができる。インターフェースモジュールは、フライト管理コンピュータまたはナビゲーション受信機からデータを受信することができる。
【0016】
本明細書の実施形態の利点は、添付の図面を併用する以下の詳細の記載から容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態による地形認識警報システムの1つの実装形態の概略図である。
【
図2】本発明の別の実施形態による地形認識警報システムの概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による偽の警告の排除を表すフローチャートである。
【
図4】本発明の別の実施形態による偽の警告の排除を表すフローチャートである。
【
図5】本発明の別の実施形態による地形認識警報システムの概略図である。
【
図6】本発明の別の実施形態による地形認識警報システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な記載において、本明細書の一部を形成する添付の図面が参照されており、その中で実施され得る特定の実施形態が例として示されている。このような実施形態は、当業者がこの実施形態を実施することができるように十分詳細に記載されており、この実施形態の範囲から逸脱することなく、論理的、機械的およびその他の変更を行なうことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細は、限定するものとして理解されるものではない。
【0019】
本発明の実装形態は、航空機で利用されるTAWSに関連しており、中でもとりわけ、航空機が地面に近づいて危険な状態のときに航空機の乗務員やパイロットに視覚的および聴覚的警告または警報を与えることを目的としている。記載されるシステムは、航空機の特定の着陸操作中に発せられる偽のわずらわしい警告を排除することができることから有利である。システムは、いかなるタイプの航空機にも適用可能であるが、垂直離着陸(VOTL)航空機、例えばヘリコプターなどは、空港以外の場所に着陸することが多く、偽の警告がよく発動されやすいため、特にこのシステムの実装形態から利益を得ることができる。
【0020】
図1を参照すると、TAWSシステム6が、通信チャネル7によってフライト管理コンピュータまたはナビゲーション受信機5に結合されて示されている。多くの場合、パイロット、ナビゲータまたは別のユーザは、フライト管理コンピュータ5にフライトプラン情報を入力し、フライトプラン情報には、航路定点、滑走路または任意の他の有益なフライト情報が含まれている。このフライトプラン情報は、共通ルートのデータベースから取り込まれる場合もある。この情報はその後TAWS6に伝送される、あるいはTAWS6が、このような情報があるかどうかフライト管理コンピュータ5に問い合わせる場合もある。フライト管理コンピュータ5またはTAWS6において、どの滑走路が警告を禁止するか、ならびにその禁止をどのように行なうかの判断を行なうことができる。一部のケースでは、この2つが上記の目的を達成するために協働して働くことになる。当業者は、非常に多くの変形形態に気付くであろう。例えば指摘したように、航路定点がフライト管理コンピュータに入力され、通信チャネルを介してTAWSによって検出することができる。他のケースでは、特定の航路定点をTAWS自体に入力することもできる。一部のケースでは、特定のタイプの識別子を有する航路定点は、フライト管理コンピュータによって潜在的または確実な滑走路としてフラグが立てられる場合もある。フライト管理コンピュータおよびTAWSは、要求される機能を分散させることで、本発明の実装形態をこの2つの構成要素において、あるいは同様に他のアビオニクス機器構成要素も含めた何らかの方法で実施することができる、
【0021】
図2を参照すると、システム10は、クライアント側のユーザインターフェース12と、データベース14と、インジケータ18を含むことができ、これらはプロセッサ16を介してデータのやり取りをする。ユーザインターフェース12によってフライト管理コンピュータ5または航空機の乗務員が、プロセッサ16によってイネーブルになったTAWS6と相互作用することが可能になる。より詳細には、ユーザインターフェース12は、航空機のフライトプラン詳細を受信するための複数のデータエントリフィールドを含んでおり、このフライトプラン詳細には、地理的な場所または位置を表す少なくとも1つの陸上の航路定点が含まれている。フライトプラン詳細はまた、航行予定時間、悪天候の場合の代わりの空港、フライト形式、パイロットの名前、乗客の数なども含むことができる。フライトプラン詳細は、航行前または航行中に入力することができる。指摘した通り、一般にフライト管理コンピュータ5を利用してシステム6にアクセスすることができ、この場合フライトプラン詳細は、システム6そのもの以外の場所から特定のデバイスに入力される。
【0022】
さらに
図2を参照すると、システム10は、GPSナビゲータおよび/または受信機の発展したものであり、よってデータベース14は、地理的な場所を表す航路定点を含んでいる。各々の航路定点は、特定の地理的な場所を表しており、独自の滑走路識別子に対応付けられた滑走路を含むことができる。滑走路は、簡易ヘリコプター発着場、空港、任意の他の好適な場所または飛行場の可能性がある。データベース14は、フライトプラン詳細を回収可能に記録するように適合されている。インジケータ18は、例えばLCDモニタなどの視覚的インジケータ、例えばスピーカなどの聴覚的インジケータ、あるいはその両方である可能性があり、航空機のパイロットおよび乗務員に対して効果的に警告することを目的としている。
【0023】
図3を参照すると、地形認識システムの動作がフローチャート100によって示されており、これはインターフェースを利用してその各々のデータエントリフィールドにフライトプラン詳細を入力することによって始まる(ステップ122)。この情報は典型的には、
図1で指摘されるようにフライト管理コンピュータまたはGPS受信機/ナビゲータに入力される、あるいはこの情報は一部のケースではTAWSに入力される場合もある。例えばTAWSによって、警告を禁止する1つまたは複数の場所を入力する機能が与えられる。この詳細が所定の場所にあるとき、プロセッサが詳細を構文解析することで、1つまたは複数の航路定点を検出する。プロセッサは、検出した後、航路定点が滑走路識別子に対応付けられているかどうかを判断する(ステップ124)。詳細にはシステムおよび方法は、特定のタイプの入力があるかどうかを探す、例えばフライトプランの航路定点の入力の中に特定の文字の組み合わせがあるかどうかを探すことができる。それが探している特定のパターンの言葉が、「LZ###」の形態であるとすると、その「###」は、所与の滑走路を列挙する3けたの数を表している。システムまたは方法は、選択された言葉のパターンが、別の用途のために保留されていないか、あるいは別の用途と矛盾していないかを調べることができる。全く見つからなければ、任意選択のステップは、プロセッサがユーザインターフェースを介して、入力された航路定点にあるいは入力された航路定点によって表される地理的な場所に滑走路が認められないことを知らせることができることである(ステップ126)。しかしながら1つまたは複数の航路定点が滑走路識別子に対応付けられている場合、プロセッサは、この対応付けられた滑走路において航空機の着陸操作が行なわれる間、潜在的な対地衝突警告などの警告を禁止させる(ステップ130)。
【実施例】
【0024】
1.パイロットおよび航空機が、例えばGarmin(登録商標) 430 GPSナビゲータを利用することができる。
2.パイロットが、フライトプランメニューを作動させ、このメニューが空港のリストまたはカタログを提示する。例えば米国の空港は一般に「K」の文字で始まる。
3.パイロットは次にこのような方法で複数の航路定点を入力することができる。典型的には、これらの航路定点は「NavAids」として知られる所定の航行地点である。
4.滑走路を入力するために、パイロットは、カタログにない識別子、この実施例では「LZ」の文字で始まる識別子を規定する。
5.(他のケースでは既知のルートが読み込まれている場合もある)。
6.TAWSが通信チャネルを介してナビゲータ航路定点を受信する。航路定点が接頭語LZを持つことが分かった場合、このときこのような航路定点は、TAWSソフトウェアによって滑走路として処理され、その禁止アルゴリズムに従って、このような場所における着陸操作の間警告を禁止することができる。
【0025】
図4を参照すると、本発明の別の実装形態による方法を例示するフローチャート150が示されている。フローチャート150において、最初のステップは、ユーザ、例えばパイロットやナビゲータが、航路定点を含んだフライトプランをフライト管理コンピュータ、ナビゲーション受信機または他のこういった装置に入力する(ステップ152)。TAWSはその後、通信チャネルを介して、フライト管理コンピュータにおいて滑走路識別式を抽出する、あるいは検出する(ステップ154)。いずれかが検出された場合、滑走路識別子を有するこのような場所は滑走路として処理され(ステップ158)、フライトが続行する間、このような場所における警告が禁止される(ステップ160)。滑走路識別子が検出されなかった場合、そのとき方法は続けられ、追加の航路定点(滑走路)の警告が禁止されることはない(ステップ156)。
【0026】
図5は、システムを構成し記載される方法を実施する例示のTAWS6のモジュール方式の描写を示している。システム6は、インターフェースモジュール162を含んでおり、このモジュールによって、システム6とフライト管理コンピュータまたはナビゲーション受信機の間に好適なインターフェースを実現することができる。インターフェースモジュール162がさらにユーザインターフェースを含むことで、TAWSに直接航路定点を入力する場合もある。フライト管理コンピュータ、ナビゲーション受信機またはユーザが、データを入力することができるモジュールは、データエントリモジュール166によって包括的に示されている。TAWS6はまた、データベースモジュール164を含む場合もあり、このデータベースモジュールは、航路定点、および記録されたルート、以前の航路定点や滑走路、サーバからダウンロードされたデータ、製造元によって包括されるデータなどの他のフライトプラン情報を記録することができる。
【0027】
図6は、システムを構成し、記載される方法を実施することができる例示のコンピュータデバイス200の別の描写を示している。デバイス200は、プロセッサ180と、メモリ172を含んでおり、メモリは、例えば滑走路を含み得る航路定点などのフライトプラン詳細を入力することができるインターフェースを提供することが可能なコンピュータ読取り可能指示を有する。デバイス200はさらに、地面に近づいていることをパイロットに警告することができるデバイス、例えばTAWSに少なくとも一部のフライトプラン詳細を伝達するためのインターフェースを提供することが可能なコンピュータ読取り可能指示を有するメモリ174を含む。デバイス200はさらに、例えば滑走路識別子を有する滑走路に一致する航路定点において警告を禁止することができるコンピュータ読取り可能指示を有するメモリ176を含む。デバイス200はさらに、入力された航路定点が、滑走路に一致するかどうかを判断することが可能なコンピュータ読取り可能指示を有するメモリ178を含む。本明細書中に指摘される他のステップを実施するのに他のメモリを使用することも可能であることを理解されたい。
【0028】
上記に記載するように、システムおよび方法は、既知の滑走路において警告を禁止するために提供されている。フライトプラン航路定点の中で見つかったこのような滑走路はいずれも、TAWSによって既知の滑走路として利用することができる。システムはその後、警告を禁止する技術を適用することで、着陸操作中の警告を禁止することができる。このようにして所望の効果が得られる。
【0029】
システムおよび方法は、任意の数の計算デバイスにおいて完全に実装することができ、このような計算デバイスは、フライト管理コンピュータ、ナビゲーション受信機、TAWSシステムなどとして具現化することができる。典型的には指示は、非一時的なコンピュータ読取り可能媒体にレイアウトされ、このような指示は、計算デバイスにあるプロセッサが本発明の方法を実践することができるようにするのに十分なものである。コンピュータ読取り可能媒体は、ハードドライブ、または起動する際、ランダムアクセスメモリに取り込まれる指示を有するソリッドステート記録装置であってよい。例えば複数のユーザまたは任意の1人のユーザからアプリケーションへの入力は、任意の数の適切なコンピュータ入力装置を介するものであってよい。例えばユーザは、キーボード、マウス、タッチスクリーン、ジョイスティック、トラックパッド他のポインティングデバイス、あるいは任意の他のこのようなコンピュータ入力装置を利用することで、計算に関連するデータを入力することができる。データはまた、挿入式のメモリチップ、ハードドライブ、フラッシュドライブ、フラッシュメモリ、光媒体、磁気媒体または任意の他のファイル記録媒体によって入力することもできる。出力は、ビデオグラフィックスカード、またはディスプレイに結合され、このディスプレイによって見ることができる一体型のグラフィックスチップセットを介して、例えばパイロットまたはナビゲータなどのユーザに送ることができる。あるいはプリンタを利用して結果のハードコピーを出力することもできる。このような教示からして、任意の数の他の有形の出力も本発明によって企図されることが理解されるであろう。例えば出力は、メモリチップ、ハードドライブ、フラッシュドライブ、フラッシュメモリ、光媒体、磁気媒体または任意の他のタイプの出力装置に記録することができる。また本発明は、任意の数の異なるタイプの計算デバイスにおいて、例えばパーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、ネットブックコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータおよびこのような目的のために特別に設計されたデバイスにおいて実施することができることにも留意されたい。ある実装形態では、スマートフォンまたはWi−Fi接続デバイスのユーザは、無線インターネット接続を使用して、サーバからそれぞれのデバイスにアプリケーションのコピーをダウンロードする。このアプリケーションは、モバイル接続によって、またはWiFiによって、あるいは他の無線ネットワーク接続によってダウンロードすることができる。アプリケーションはその後、ユーザによって起動させることができる。このようなネットワークでつながれたシステムによって、複数のユーザがこのシステムおよび方法に対して別々に入力することができる実装形態に適した計算環境を形成することができる。
【0030】
上記の特定の実施形態の記載は、本明細書の実施形態の大まかな性質を完全に明らかにしているため、他者は、現行の知識を適用することによって、包括的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を様々な用途に対して容易に修正および/または適用することが可能であり、よってこのような適用および修正は、開示される実施形態の均等物の趣旨および範囲内にあるものと認識されるべきであり、そのように意図されている。例えばフライト管理コンピュータおよびTAWSは、あらゆる方法において機能を分散することができる。システムは、TAWS装置以外のアビオニクス機器システムにおいて実施することもできる。本明細書で利用される言葉遣いまたは専門用語は、記載する目的であって限定するものではないことを理解されたい。よって本明細書の実施形態は、好ましい実施形態の観点において記載されており、本明細書の実施形態は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内の修正形態によって実施することができることを当業者は理解するであろう。
【符号の説明】
【0031】
5 フライト管理コンピュータ
6 TAWSシステム
7 通信チャネル
12 インターフェース
14 データベース
16 プロセッサ
18 インジケータ
100 フローチャート
122 航路定点を入力するステップ
124 滑走路が検出されたか?
126 「滑走路が検出されない」ことを表示するステップ
130 着陸操作中の警告を禁止するステップ
150 フローチャート
152 ユーザが、フライトプランをフライト管理コンピュータまたはナビゲータ受信機に入力する ステップ
154 TAWSデバイスが、通信チャネルを介してLZ識別子を探すステップ
156 フライトを続行するステップ
158 LZ識別子を持つ場所が、滑走路として処理されるステップ
160 この滑走路における警告を禁止するステップ
162 インターフェースモジュール
164 データベースモジュール
166 データエントリモジュール
172 航路定点を含むフライトプラン詳細を入力することができるインターフェースを提供することが可能なコンピュータ読取り可能指示を有するメモリ
174 TAWSに少なくとも一部のフライトプラン詳細を伝達するためのインターフェースを提供することが可能なコンピュータ読取り可能指示を有するメモリ
176 滑走路に一致する航路定点において警告を禁止することができるコンピュータ読取り可能指示を有するメモリ
178 航路定点が滑走路を含む、あるいは滑走路に一致するかどうかを判断することが可能なコンピュータ読取り可能指示を有するメモリ
180 プロセッサ