(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態に係るハロゲン含有ガス供給装置は、ハロゲン含有ガスを、そのハロゲン含有ガスが高圧充填された容器から外部装置へと供給するものであって、容器と外部装置とを接続する供給管と、供給管に設けられ、容器からハロゲン含有ガスを供給するための第1供給弁と、を備える。供給管の少なくとも一部には、ガス流通断面積が0.5cm
2以下である細部が設けられる。第1供給弁の下流にはハロゲン含有ガスを外部装置へと導入するための導入弁が設けられる。導入弁は、外部装置内に設けるようにしてもよく、また、ハロゲン含有ガス供給装置内に設けるようにしてもよい。
【0026】
外部装置は、半導体デバイス、МEМSデバイス、液晶用TFTパネル、及び太陽電池等に用いられる半導体を製造する半導体製造装置である。また、ハロゲン含有ガスは、半導体製造工程にてクリーニングプロセス用ガスやエッチングプロセス用ガスとして用いられる。
【0027】
以下、本発明の実施の形態に係るハロゲン含有ガス供給装置について詳細に説明する。
【0028】
ハロゲン含有ガスが高圧充填された容器は、開閉弁を具備する。容器は、少なくとも5MPaG以上の高圧を保つことができる密閉性を有し、かつ、開閉弁にてハロゲン含有ガスを放出できる構造であればよい。望ましくは、20MPaG以上の高圧を保てる密閉性を有するのが好ましい。
【0029】
容器の材質は、充填されるハロゲンガスに対して耐蝕性を有するものが好ましく、例えば、マンガン鋼、ステンレス鋼、ニッケルを含む合金(ハステロイ、インコネル、モネルなど)が挙げられる。
【0030】
ハロゲン含有ガスのハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり、これらのうちいずれか2種類以上が混合されたものであってもよい。
【0031】
ハロゲン含有ガスは、ハロゲンが含有されているものであればよく、フッ素ガス、塩素ガス、臭素ガス、ヨウ素ガスのハロゲンガス、又はNF
3、BF
3、ClF、ClF
3、IF
7等のハロゲン化合物のガスに、N
2、Ar、He等の不活性ガスを混合したものであってもよい。また、ハロゲンガスとハロゲン化合物のガスとの混合ガスに不活性ガスを混合したものであってもよい。
【0032】
ハロゲン含有ガス中のハロゲンガス、ハロゲン化合物のガスの濃度は、特に限定されないが、例えば、フッ素ガス、塩素ガス、臭素ガス、ヨウ素ガス、NF
3ガス、BF
3ガス、ClFガス、ClF
3ガス、及びIF
7ガスのうち少なくともいずれか1種類が0.1vol%以上100%以下の範囲である。
【0033】
ハロゲン含有ガスの充填圧力は、5MPaG以上20MPaG以下であることが望ましい。5MPaG未満では、導入側の導入弁内部の温度上昇を引き起こし難く、また、導入弁の弁室内の表面腐食や導入弁に用いられるシール材の劣化が生じ難い。一方、20MPaG超では、本発明の供給装置を具備することにより導入弁内部の温度上昇は引き起こさないものの、ハロゲンガスによる接ガス部表面の腐食が生じ易くなるため、好ましくない。
【0034】
供給管の細部の構造は特に限定されることは無く、他の部位と比較してガス流通断面積を小さくするバルブ又はオリフィス板など、ガス流通断面積を特定できるものであればよい。また、細部を、直線状のチューブにて構成するようにしてもよい。つまり、第1供給弁と導入弁とを管径が一様なチューブにて接続するようにしてもよい。細部のガス流通断面積は、0.5cm
2以下であることが好ましい。細部の最小ガス流通断面積は、ガスが流通可能であればよく、具体的には0.0001cm
2以上であることが好ましい。更には、供給管と外部装置との接続部までのハロゲン含有ガスの封入時間を考慮すると、0.001cm
2以上であることが特に好ましい。
【0035】
さらに、供給管に細部を迂回するようにバイパス管を接続し、バイパス管に第2供給弁を設けるようにしてもよい。これにより、ハロゲン含有ガスを外部装置に供給する場合、供給管と外部装置との接続部までハロゲン含有ガスを封入後、第2供給弁を開放することによって、バイパス管をハロゲン含有ガスが流通するため、ハロゲン含有ガスの供給流量を向上させることができる。したがって、バイパス管のガス流通断面積は、0.5cm
2超であることが好ましい。
【0036】
また、供給管は、細部を複数有していてもよい。例えば、複数の細部を直列又は並列に配置するようにしてもよい。
【0037】
容器の開閉弁、供給管、第1供給弁、バイパス管、第2供給弁、導入弁におけるハロゲンガスが接触する部分には、メタル材質を用いることが望ましい。メタル材質としては、ステンレス鋼、インコネル、又はハステロイ等が挙げられる。
【0038】
開閉弁、第1供給弁、及び第2供給弁のバルブ構造については特に限定されることはない。
【0039】
本発明のハロゲン含有ガス供給装置を、例えば、外部装置としての半導体製造装置に接続し、半導体製造装置へハロゲン含有ガスを供給する場合について、
図1を参照して説明する。
【0040】
図1に示す実施例では、ハロゲン含有ガスが高圧充填された容器1の開閉弁2には、導管6を介して第1供給弁3が接続される。第1供給弁3には供給管4が接続され、供給管4の下流端には半導体製造装置101が接続される。供給管4には、第1供給弁3を通じて供給されたハロゲン含有ガスを半導体製造装置101へと導くための導入弁100が設けられる。供給管4には、第1供給弁3と導入弁100との間に、他の部位と比較してガス流通断面積が小さい細部5(例えば、開口部の断面積が0.001cm
2以上0.5cm
2以下のオリフィス板)が設けられる。開閉弁2と第1供給弁3は、接ガス部がオールメタル製のダイヤフラムバルブである。
【0041】
図1において、第1供給弁3を開放、及び開閉弁2と導入弁100を閉止した状態で、開閉弁2から導入弁100までの導管6及び供給管4内を真空ライン(図示省略)により真空状態とする。その後、第1供給弁3を閉止し、開閉弁2を開放して容器1から第1供給弁3までの導管6内にハロゲン含有ガスを封入する。その後、第1供給弁3を開放することにより、第1供給弁3から導入弁100までの供給管4内の圧力が上昇し内圧が一定となる。これにより、半導体製造装置101にハロゲン含有ガスを供給可能な状態となる。また、供給管4に細部5を迂回するバイパス管が接続され、かつバイパス管に第2供給弁が設けられる場合(図示省略)には、第1供給弁3から導入弁100までの供給管4内の圧力が上昇し内圧が一定となった後に、第2供給弁を開放することにより、半導体製造装置101にハロゲン含有ガスを供給可能な状態となる。
【0042】
供給弁を開放して高圧のハロゲン含有ガスを供給する場合、外部装置へハロゲン含有ガスを導入するための導入弁の内部温度の上昇を引き起こし易く、また、導入弁の弁室内の表面腐食や導入弁に用いられるシール材の劣化が生じ易い。これは、供給弁の開放により、ハロゲン含有ガスが流通する供給管内で衝撃波が発生し、発生した衝撃波が伝播する過程で成長し導入弁に達するため、導入弁内部の温度上昇を引き起こすものと推測される。そこで、本発明では、供給管4の第1供給弁3と導入弁100との間にガス流通断面積が小さい細部5を設けることによって、衝撃波の発生または成長を抑制する。これにより、導入弁内部の温度上昇、及び導入弁の弁室内の表面腐食やシール材の劣化を抑制することができる。
【0043】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0044】
図2に本実施例の概略図を示す。マンガン鋼製の容器1には、N
2希釈による20vol%F
2ガスが5MPaGの圧力で充填されている。容器1には開閉弁2が装着されている。開閉弁2と第1供給弁3は、外径1/2インチ、肉厚1mm、長さ200mmの直線状のステンレス製の導管6で接続されている。第1供給弁3の下流側には、導管6と同一形状のステンレス管の供給管4が接続される。供給管4の途中には、ステンレス製のオリフィス板25が介在され、オリフィス板25の下流側には内容量50ccのステンレス製のシリンダ26が接続されている。オリフィス板25のガス流通断面積は0.1cm
2である。
【0045】
シリンダ26の下流側には、手動弁28を介して真空ライン29が接続されている。シリンダ26内の下流端底部には、各辺3mmのPCTFE(三フッ化塩化エチレン)チップ27が封入されている。
【0046】
開閉弁2及び第1供給弁3はオールメタル製のダイヤフラム自動弁である。手動弁28及び真空ライン29は導管6及び供給管4内のガス置換を行うためのものである。
【0047】
次に、操作について説明する。開閉弁2を閉、それ以外の弁を開にした状態で導管6及び供給管4内を真空ライン29を通じて真空状態とする。その後、すべての弁を閉止した後、開閉弁2を開放して容器1から第1供給弁3までの導管6内の圧力を5MPaGとした。
【0048】
さらに、第1供給弁3を開放して容器1からシリンダ26までの供給管4内の圧力を5MPaGとした。その後、開閉弁2を閉止して真空ライン29を通じて導管6及び供給管4内のガス置換を行った。
【0049】
以上のような操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例2】
【0050】
図3に本実施例の概略図を示す。本実施例では、オリフィス板25に代わり弁35が設けられる。それ以外の構成は実施例1と同様である。弁35は、オールメタル製のダイヤフラム自動弁であり、弁開放時の弁内の最小ガス流通断面積は0.1cm
2である。
【0051】
次に、操作について説明する。開閉弁2を閉、それ以外の弁を開にした状態で導管6及び供給管4内を真空ライン29により真空状態とする。その後、すべての弁を閉止した後、開閉弁2を開放して容器1から第1供給弁3までの導管6内の圧力を5MPaGとした。
【0052】
さらに、弁35を開放した後に第1供給弁3を開放して容器1からシリンダ26までの供給管4内の圧力を5MPaGとした。その後、開閉弁2を閉止し、真空ライン29を通じて導管6及び供給管4内のガス置換を行った。
【0053】
以上のような操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例3】
【0054】
図4に本実施例の概略図を示す。本実施例では、外径1/2インチ、肉厚1mmの直線状のステンレス製の供給管4の途中にステンレス製のオリフィス板45が介在される。更に、第2供給弁410が介在された外径1/2インチ、肉厚1mmのステンレス製のバイパス管411がオリフィス板45を迂回するように供給管4に接続される。それ以外の構成は実施例1と同様である。
【0055】
次に、操作について説明する。開閉弁2を閉、それ以外の弁を開にした状態で導管6及び供給管4内を真空ライン29により真空状態とする。その後、すべての弁を閉止した後、開閉弁2を開放して容器1から第1供給弁3までの導管6内の圧力を5MPaGとした。
【0056】
さらに、第1供給弁3を開放して容器1からシリンダ26までの供給管4内の圧力を5MPaGとした後、第2供給弁410を開放した。その後、開閉弁2を閉止し、真空ライン29を通じて導管6及び供給管4内のガス置換を行った。
【0057】
以上のような操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例4】
【0058】
本実施例では、容器1に、N
2希釈による20vol%F
2ガスが14.7MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。
【0059】
次に、操作について説明する。開閉弁2を閉、それ以外の弁を開にした状態で導管6及び供給管4内を真空ライン29により真空状態とする。その後、すべての弁を閉止した後、開閉弁2を開放して容器1から第1供給弁3までの導管6内の圧力を14.7MPaGとした。
【0060】
さらに、第1供給弁3を開放して容器1からシリンダ26までの導管内の圧力を14.7MPaGとした。その後、開閉弁2を閉止し、真空ライン29を通じて導管6及び供給管4内のガス置換を行った。
【0061】
以上のような操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例5】
【0062】
本実施例では、オリフィス板25のガス流通断面積が0.0002cm
2である。それ以外の構成は実施例1と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0063】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例6】
【0064】
本実施例では、オリフィス板25のガス流通断面積が0.001cm
2である。それ以外の構成は実施例1と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0065】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例7】
【0066】
本実施例では、オリフィス板25のガス流通断面積が0.49cm
2である。それ以外の構成は実施例1と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0067】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例8】
【0068】
本実施例では、容器1に、N
2希釈による10vol%Cl
2ガスが5MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0069】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例9】
【0070】
本実施例では、容器1に、N
2希釈による0.5vol%Br
2ガスが5MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0071】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例10】
【0072】
本実施例では、容器1に、N
2希釈による0.1vol%ヨウ素ガスが5MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0073】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例11】
【0074】
本実施例では、容器1に、N
2希釈による10vol%のF
2+Cl
2混合ガス(F
2とCl
2の体積分率はそれぞれ50vol%)が5MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0075】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例12】
【0076】
本実施例では、容器1に、N
2希釈による20vol%F
2ガスが3.6MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0077】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例13】
【0078】
本実施例では、容器1に、N
2希釈による10vol%F
2ガスが19MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0079】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例14】
【0080】
本実施例では、容器1に、N
2希釈による10vol%F
2ガスが21MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0081】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、チップ表面に若干の変色が認められたものの、重量減少率は0.5質量%以下であった。重量変化は発生しておらず、目視変化も僅かであったことから、PCTFEの焼損としては問題の無い範囲であった。
【実施例15】
【0082】
本実施例では、容器1に、N
2希釈による50vol%F
2ガスが5MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0083】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例16】
【0084】
本実施例では、容器1に、100vol%NF
3ガスが14.7MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0085】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例17】
【0086】
本実施例では、容器1に、100vol%O
2ガスが14.7MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0087】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例18】
【0088】
本実施例では、容器1に、N
2希釈による20vol%BF
3ガスが14.7MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0089】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例19】
【0090】
本実施例では、容器1に、N
2希釈による20vol%ClFガスが14.7MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0091】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例20】
【0092】
本実施例では、容器1に、N
2希釈による0.1vol%ClF
3ガスが5MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0093】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
【実施例21】
【0094】
本実施例では、容器1に、N
2希釈による0.1vol%IF
7ガスが5MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は実施例1の構成と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0095】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化は無く、重量減少率も0.5質量%以下であった。目視変化及び重量減少が発生していなかったことから、PCTFEの焼損は発生していなかったものと判断できる。
[比較例1]
図5に本比較例の概略図を示す。本比較例では、マンガン鋼製の容器1にN
2希釈による20vol%F
2ガスが5MPaGの圧力で充填されている。容器1には開閉弁2が装着されている。開閉弁2と第1供給弁3は、外径1/2インチ、肉厚1mm、長さ200mmの直線状のステンレス製の導管6で接続されている。第1供給弁3の下流側には、導管6と同一形状のステンレス製の供給管4を介して、内容量50ccのステンレス製のシリンダ26が接続されている。
【0096】
シリンダ26の下流側には、手動弁28を介して真空ライン29が接続されている。シリンダ26内の下流端底部には、各辺3mmのPCTFEチップ27が封入されている。
【0097】
開閉弁2及び第1供給弁3はオールメタル製のダイヤフラム自動弁である。手動弁28及び真空ライン29は導管6及び供給管4内のガス置換を行うためのものである。
【0098】
次に、操作について説明する。開閉弁2を閉、それ以外の弁を開にした状態で導管6及び供給管4内を真空ライン29を通じて真空状態とする。その後、すべての弁を閉止した後、開閉弁2を開放して容器1から第1供給弁3までの導管6内の圧力を5MPaGとした。
【0099】
さらに、第1供給弁3を開放して容器1からシリンダ26までの供給管4内の圧力を5MPaGとした。その後、5分間経過した後に開閉弁2を閉止し、真空ライン29を通じて導管6及び供給管4内のガス置換を行った。
【0100】
以上のような操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化ではPCTFE表面の約50%が焼損の為変色しており、重量減少率も12質量%であった。目視変化及び重量減少が発生していたことから、PCTFEの焼損が発生したものと判断できる。
[比較例2]
本比較例では、オリフィス板25のガス流通断面積が0.6cm
2である。それ以外の構成は実施例1と同様である。また、操作も実施例1と同様に行った。
【0101】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った結果、目視変化ではPCTFE表面の約30%が焼損の為変色しており、重量減少率も7質量%であった。目視変化及び重量減少が発生していたことから、PCTFEの焼損が発生したものと判断できる。
[比較例3]
本比較例では、容器1に、100vol%NF
3ガスが14.7MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は比較例1の構成と同様である。また、操作も比較例1と同様に行った。
【0102】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った。その結果、重量変化率は0.5質量%以下であったものの、目視観察では、わずかではあるが、表面に焼損の為の変色が認められた。
[比較例4]
本比較例では、容器1に、100vol%O
2ガスが14.7MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は比較例1の構成と同様である。また、操作も比較例1と同様に行った。
【0103】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った。その結果、重量変化率は0.5質量%以下であったものの、目視観察では、わずかではあるが、表面に焼損の為の変色が認められた。
[比較例5]
本比較例では、容器1に、N
2希釈による20vol%BF
3ガスが14.7MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は比較例1の構成と同様である。また、操作も比較例1と同様に行った。
【0104】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った。その結果、重量変化率は0.5質量%以下であったものの、目視観察では、わずかではあるが、表面に焼損の為の変色が認められた。
[比較例6]
本比較例では、容器1に、N
2希釈による20vol%ClFガスが14.7MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は比較例1の構成と同様である。また、操作も比較例1と同様に行った。
【0105】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った。その結果、重量変化率は0.5質量%以下であったものの、目視観察では、わずかではあるが、表面に焼損の為の変色が認められた。
[比較例7]
本比較例では、容器1に、N
2希釈による0.1vol%ClF
3ガスが5MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は比較例1の構成と同様である。また、操作も比較例1と同様に行った。
【0106】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った。その結果、重量変化率は0.5質量%以下であったものの、目視観察では、わずかではあるが、表面に焼損の為の変色が認められた。
[比較例8]
本比較例では、容器1に、N
2希釈による0.1vol%IF
7ガスが5MPaGの圧力で充填されている。それ以外の構成は比較例1の構成と同様である。また、操作も比較例1と同様に行った。
【0107】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った。その結果、重量変化率は0.5質量%以下であったものの、目視観察では、わずかではあるが、表面に焼損の為の変色が認められた。
[比較例9]
本比較例では、オリフィス板25のガス流通断面積が0.6cm
2である。それ以外の構成は実施例17と同様である。また、操作も実施例17と同様に行った。
【0108】
該操作を10回繰り返した後に、シリンダ26内のPCTFEチップ27を取出し、目視観察及び重量減少率の測定を行った。その結果、目視観察では、わずかではあるが、表面に焼損の為の変色が認められ、重量減少率も0.6質量%であった。
【0109】
なお、上記実施の形態では、高圧充填されたハロゲン含有ガスを容器から外部装置へと供給する装置について説明した。しかし、実施例17、比較例4、及び比較例9に示したように、ハロゲン含有ガスに代わりO
2やNO等の支燃性ガスを用いた場合も同様の作用効果を奏する。つまり、適用するガスをハロゲン含有ガスから支燃性ガスに代え、それ以外の構成は同一であっても、発明として成立する。
【0110】
具体的には、支燃性ガスを、その支燃性ガスが高圧充填された容器から外部装置へと供給する支燃性ガス供給装置であって、前記容器と前記外部装置とを接続する供給管と、前記供給管に設けられ前記容器から支燃性ガスを供給するための第1供給弁とを備え、前記供給管の前記第1供給弁の下流の少なくとも一部にガス流通断面積が0.5cm
2以下である細部が設けられる、と構成しても発明が成立する。
【0111】
また、上記構成に加えて、前記細部を迂回するように前記供給管に接続されたバイパス管と、前記バイパス管に設けられた第2供給弁と、をさらに備える構成としても発明が成立する。
【0112】
また、支燃性ガスの充填圧力は、5MPa以上20MPa以下であることが好ましい。
【0113】
また、細部には、オリフィス板又はバルブが用いられる。
【0114】
支燃性ガスが用いられる本構成においても、供給管にはガス流通断面積が0.5cm
2以下である細部が設けられるため、導入弁の弁室内の温度上昇、及び導入弁の表面腐食や導入弁に用いられるシール材の劣化を抑制することができる。
【0115】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。