(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938877
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】AWHアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/28 20060101AFI20160609BHJP
H01Q 9/18 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
H01Q9/28
H01Q9/18
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-249353(P2011-249353)
(22)【出願日】2011年11月15日
(65)【公開番号】特開2013-106233(P2013-106233A)
(43)【公開日】2013年5月30日
【審査請求日】2014年7月23日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 平成23年8月2日 インターネットアドレス「http://76468288.at.webry.info/」「http://76468288.at.webry.info/201108/article_2.html」に発表
(73)【特許権者】
【識別番号】306045165
【氏名又は名称】勝部 利夫
(72)【発明者】
【氏名】勝部 利夫
【審査官】
岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭11−003706(JP,B1)
【文献】
実開昭56−169608(JP,U)
【文献】
米国特許第02942259(US,A)
【文献】
変形AWXアンテナの開発,暁の広場,2011年 5月13日,URL:https://web.archive.org/web/20110513195145/http://blog.goo.ne.jp/strikeeagl
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q9/16−9/28
H01Q21/00−21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直偏波で送受信するAWHアンテナであって、
設計周波数に対応する波長をλとして、長さ約10/7λの導体を中央部からそれぞれ約30度(α°)折り曲げ、更にその先端を垂直方向に折り曲げることにより、左右対称の長さ約3/7λの垂直部(L1)と、長さ約2/7λの傾斜部(L2)とを有する大略U形状の第1エレメントと、
上記第1エレメントの中央折り曲げ部を中心として、上下対称且つ同中央折り曲げ部で連結された第2エレメントとから成り、
上記第1エレメントと第2エレメントとの連結部を給電点としたことを特徴とするAWHアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にUHF帯域などの電波の送受信に適用して好適なAWHアンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に八木アンテナがUHF帯で多く使用されているが、一辺の素子の長さは、約1/2λが使用され、輻射器の前後に導波器、反射器を配置して、そして導波器を多くして利得を上げている。また、このアンテナと同じような形態では、従来のAWHアンテナがあるが(
図10)、これは、1辺エレメント長1/2λ又は、5/8λアンテナを1/2λ又は5/8λ離してオープンフィーダーの中央で給電するアンテナがある。しかしエレメント長5/8λ、間隔5/8λの場合、利得が高くてもインピーダンス整合ができなく、実用化されていなかった。(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−333125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高い利得を得るためには、八木アンテナの場合導波器を多く使用し、そのためブーム長が長くする必要があり、更に利得を高くするために上下、又は左右にスタック配置し給電する必要があった。
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上述のような問題点に鑑みてなされたもので、従来のアンテナに比べて、簡単な構造で利得を上げるアンテナ素子を提供すること、並びに、従来の利得を得る八木アンテナに比べて単体は大きくなるが、ブーム長が短く、屋外で設置が容易なアンテナを提供することを目的としている。このことにより同じ利得の場合ブーム長さが八木アンテナの場合より、1/4以下となった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
垂直偏波で送受信するAWHアンテナであって、
設計周波数に対応する波長をλとして、長さ約10/7λの導体を中央部からそれぞれ約30度(α°)折り曲げ、更にその先端を垂直方向に折り曲げることにより、左右対称の長さ約3/7λの垂直部(L1)と、長さ約2/7λの傾斜部(L2)とを有する大略U
形状の第1エレメントと、
上記第1エレメントの中央折り曲げ部を中心として、上下対称且つ同中央折り曲げ部で連結された第2エレメントとから成り、
上記第1エレメントと第2エレメントとの連結部を給電点としたことを特徴とするAWHアンテナ。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によると、簡単な構造で双方向に利得を高くすることができる
アンテナ素子を提供することができる。エレメントは大きくなるが、
同じ利得の場合ブーム長さが八木アンテナの場合より1/4以下のアンテナ素子を提供できると共に、設置も容易なAWHアンテナを提供することができる。
また、アンテナの直角方向に指向性があるので、前後に反射器、導波器を設けることにより多素子アンテナとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施の形態によるAWHアンテナを説明するための正面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態によるAWHアンテナのビームパターンを示し(A)は、水平ビームパターン、(B)は垂直ビームパターンを示す表である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態によるAWHアンテナでインピーダンスマッチングのオープンスタブを配置した図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態によるAWHアンテナのV・S・W・R特性曲線である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態によるAWHアンテナのV・S・W・R特性曲線でオープンスタブを挿入し改善したものである。
【
図6】本発明の第1の実施の形態によるAWHアンテナを幅射器とした3エレアンテナの斜視である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態によるアンテナを輻射器とした、3エレアンテナの指向性ビームパターン図を、示し(A)は、水平ビームパターン(B)は、垂直ビームパターンを示す表である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態によるAWHアンテナを幅射器とした3エレアンテナのV・S・W・R特性曲線である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態によるアンテナを輻射器とした、3エレアンテナの周波数内(435MHZ)のゲインの表である。
【
図10】従来のAWHアンテナの形態の図面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すのは、本発明の第1の実施の形態による
垂直偏波で送受信するAWHアンテナ素子である。この
AWHアンテナは、
図1に示すように設計周波数に対応する波長をλとして、長さ約10/7λの導電性の良好な導体を中央部からそれぞれ約30度(α°)折り曲げ、更にその先端を垂直方向に折り曲げることにより、左右対称の長さ約3/7λの垂直部(L1)と、長さ約2/7λの傾斜部(L2)とを有する大略U形状の第1エレメント(A)と、上記第1エレメント(A)の中央折り曲げ部を中心として、上下対称且つ同中央折り曲げ部で連結された第2エレメント(B)とから成り、上記第1エレメント(A)と第2エレメント(B)との連結部を給電点(C)として構成している。
例えば、430MHZ仕様の場合、
傾斜部(L2)の長さ約200mm、垂直部(L1)の長さ約300mmとすると、垂直部(L1)から傾斜部(L2)までの全長(L)の長さは約50cmとなる。
【0010】
導体は、導電性の良好な金属などにより実現可能であり、金属は銅、アルミ、真鍮、ス
テンレスなどの金属からなるのがよい。このアンテナ導体の径は、本実施の形態においては4mmとしている。
【0011】
図2は、このAWHアンテナのビームパターンである。
図2(A)はAWHアンテナの水平ビームパターン、
図2(B)はAWHアンテナの垂直ビームパターンである。
図2(A)及び図2(B)に示すようにAWHアンテナの指向性は、このアンテナの直角方向になり、利得は約7dbdとなる。
【0012】
図3は、インピーダンス整合するためにマッチングスタブ(E)を設けた状況図である。給電部の箇所にコの字型のスタブを設けて、この長さによりインピーダンス整合をとる。
図4は、この
AWHアンテナの定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Rati)である。430MHz仕様の場合、マッチングスタブを設けない場合VSWR<1.5以下が2MHZであるが、スタブを使用すると、帯域幅が、10MHZ(図−8)に広がる。
【0013】
図6は、本発明の第1の実施の形態による
AWHアンテナが直角方向に指向性があることを利用して多素子アンテナとした本発明の他の実施例を示す。図6では多素子アンテナとして、AWHアンテナを輻射器として、前後に導波器、反射器を設けた3エレアンテナの斜視図を示している。
この3エレアンテナにおいては、AWHアンテナに、導波器、反射器を設け、利得の上昇を目的としている。単体では、双指向性であるが、八木アンテナのように前後に導波器、反射器を設置すれば、前方により強い指向性が生じ、利得が上がる。エレメントの長さは八木アンテナのように導波器では、放射器より数%短く、反射器は長くして、配置する。輻射器と反射器の間隔は約0.15λ、導波器の間隔は、約0.3λとしている。この430MHZ仕様3エレの場合利得は、11.6dbdとなっていて、八木アンテナ8エレ以上に相当する。
【0014】
図7は、
上記3エレアンテナにしたアンテナの指向性パターン図である。
図7(A)が
3エレアンテナの水平ビームパターン、
図7(B)が3エレアンテナの垂直ビームパターンである。前後比20db以上、利得は11.6dbdとなっている。
【0015】
図8は、
3エレアンテナのVSWRである。430MHZ仕様の場合、10MHZ内VSWR<2以下に収まっている。
【0016】
図9は、3エレアンテナのゲインの図面である。13dbi〜14dbiあり、8エレ八木アンテナ以上となる。
【符号の説明】
【0017】
A 第1エレメント
B 第2エレメント
L1 垂直部
L2 傾斜部
C 給電点
D 間隔
E オープンスタブ