(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の弁体と前記第1の遮蔽部との互いに対向する面の少なくともいずれかの一部に設けられた隙間形成用凸部をさらに備えた、請求項1〜3のいずれかに記載の弁装置。
前記第1の遮蔽部は、前記軸線を中心とした円盤形状に第3の切欠が形成された形状を有し、かつ前記給湯装置に前記弁装置が取付けられた状態で前記第3の切欠が前記第1の遮蔽部の最下部に位置するように構成されている、請求項6に記載の給湯装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
まず本実施の形態の弁装置およびステッピングモータの構成を
図1〜
図10を用いて説明する。
【0020】
主に
図1を参照して、本実施の形態の弁装置1にはステッピングモータ2が取付け固定されている。このステッピングモータ2により、後述するように弁装置1内の軸体および弁体が回転駆動可能なように構成されている。
【0021】
主に
図2および
図3を参照して、本実施の形態の弁装置1は、弁本体11と、軸体12と、第1および第2の弁体13a、13bと、スペーサ14と、弁カラー15と、Oリング16a、16bとを主に有している。
【0022】
弁本体11は、内部に媒体を流すための流路11Aを有している。その流路11Aは、第1の開口部11aと、その第1の開口部11aを挟むように配置された第2の開口部11bおよび第3の開口部11cとを有している。また弁本体11には、第4の開口部11dが流路11Aに通じるように形成されている。流路11Aは第2の開口部11bと第3の開口部11cとの間に第4の開口部11dを有している。
【0023】
この弁装置1は分配弁であり、第1の開口部11aは流体(たとえば湯水)の流入口であり、第2および第3の開口部11b、11cの各々は流体の流出口である。特に第4の開口部11dは、弁装置1が追焚付き給湯装置に用いられる場合には、逆流防止弁へ上水の1次圧を与えるための水圧導出口となる部分である。
【0024】
軸体12は、弁本体11の流路11A内に配置されており、かつ仮想の軸線C−Cを中心に回転可能に構成されている。つまり軸体12は、軸体12の一方端側の外周部に取付られた弁カラー15を介在して弁本体11に支持されることにより、軸線C−Cを中心に回転可能である。
【0025】
軸体12と弁カラー15との間にはOリング16aが配置されており、かつ弁カラー15と弁本体11との間にはOリング16bが配置されている。また軸体12はステッピングモータ(駆動源)2により回転駆動力を与えられるように、軸体12の一方端にはステッピングモータ2が接続されている。このステッピングモータ2は、サーボ取付板3を介在して弁本体11に取付け固定されている。
【0026】
第1および第2の弁体13a、13bの各々は軸体12に取付けられている。第1の弁体13aは、流路11A内において第1の開口部11aと第2の開口部11bとの間に位置している。第2の弁体13bは、流路11A内において第1の開口部11aと第3の開口部11cとの間に位置している。
【0027】
主に
図4を参照して、第1の弁体13aは軸線C−Cを中心Oとした円盤形状に第1の切欠13a
1が形成された形状を有している。この第1の切欠13a
1は、円盤形状の第1の弁体13aの中心Oの周りに約180°の角度範囲で設けられている。第1の切欠13a
1が設けられていない第1の弁体13aの部分13a
2は円弧形状を有している。また第1の切欠13a
1が設けられた第1の弁体13aの部分はたとえばインボリュート曲線に似た外形を有している。
【0028】
第2の弁体13bも、第1の弁体13aと同様、軸線C−Cを中心Oとした円盤形状に第2の切欠13b
1が形成された形状を有している。この第2の切欠13b
1は、円盤形状の第2の弁体13bの中心Oの周りに約180°の角度範囲で設けられている。第2の切欠13b
1が設けられていない第2の弁体13bの部分13b
2は円弧形状を有している。また第2の切欠13b
1が設けられた第2の弁体13bの部分はたとえばインボリュート曲線に似た外形を有している。
【0029】
具体的には第1および第2の切欠13a
1、13b
1は、軸体12を
図4の矢印RD方向に回転させたときに、第1および第2の切欠13a
1、13b
1の各々の第1および第2の遮蔽部14a、14bから開いた部分の面積の変化が軸体12の回転角度の2乗に比例するような形状を有している。
【0030】
第1および第2の弁体13a、13bの双方は1つの軸体12に取付けられているため、第1の弁体13aの中心Oと第2の弁体13bの中心Oとは同一の軸線(直線)C−C上に位置している。第1の弁体13aの円弧部13a
2の中心Oからの半径R1は、第2の弁体13bの円弧部13b
2の中心Oからの半径R2と同じであってもよく、または異なっていてもよい。本実施の形態においては、半径R2は半径R1よりも小さくなっている。
【0031】
第1の切欠13a
1は、軸線C−C方向から見たときに、第2の切欠13b
1に対して軸線C−Cを中心Oとした点対称となるように配置されていることが好ましい。上述のように本実施の形態では半径R2が半径R1よりも小さくなっている場合には、軸線C−C方向から見た第1の弁体13aの形状は第2の弁体13bの形状の相似形状を有している。
【0032】
主に
図3および
図5を参照して、スペーサ14は、第1および第2の遮蔽部14a、14bと、連結部14cと、2つの凸状係合部14dとを主に有している。第1の遮蔽部14aは第1の弁体13aの軸線C−Cを中心とした回転により第1の弁体13aの第1の切欠13a
1を開閉可能なように流路11A内に配置されている。また第2の遮蔽部14bは第2の弁体13bの軸線C−Cを中心とした回転により第2の弁体13bの第2の切欠13b
1を開閉可能なように流路11A内に配置されている。
【0033】
第1および第2の遮蔽部14a、14bの各々は、たとえば半円形状を有している。第1および第2の遮蔽部14a、14bの各々の半円形状の外周端面14a
1、14b
1の各々は流路11Aの壁面(以下、「流路壁面」とも称する)に当接する部分であり、内周端面14a
2、14b
2の各々は軸体12の外周面に当接する部分である。
【0034】
第1および第2の遮蔽部14a、14bの各々は、軸線C−Cを中心とした円盤形状に第3の切欠14a
3、14b
3が形成された形状を有している。この第3の切欠14a
3、14b
3は軸線C−Cの周りに約180°の角度範囲で設けられている。第1および第2の遮蔽部14a、14bの各々は、後述する給湯装置に弁装置1が取付けられた状態で第3の切欠14a
3、14b
3が第1および第2の遮蔽部14a、14bの各々の最下部に位置するように構成されている。ここで最下部とは鉛直方向の最も下に位置する部分である。
【0035】
連結部14cは、第1および第2の遮蔽部14a、14bの双方に接続される部分であり、かつ軸体12の外周面に沿ってその外周面を覆う半円筒形状部を有している。連結部14cには軸線C−C方向と直交する方向に延びる貫通孔14eが形成されている。2つの凸状係合部14dは、それぞれ連結部14cの両端部に配置されており、かつ第1および第2の遮蔽部14a、14bの双方の外周端部よりも外周側に突き出すとともに、軸線C−C方向に延在している。
【0036】
主に
図2および
図6を参照して、スペーサ14は、弁本体11と別体で設けられている。第1の遮蔽部14aは第1の弁体13aに対向する面に隙間形成用凸部GPを有している。また第2の遮蔽部14bは第2の弁体13bに対向する面に隙間形成用凸部GPを有している。隙間形成用凸部GPは内周端面14a
2、14b
2の各々に沿って第1の弁体13aおよび第2の弁体13bに対向する方向に突出するように形成されている。
【0037】
隙間形成用凸部GPによって、第1の遮蔽部14aの第1の弁体13aに対向する面および第2の遮蔽部14bの第2の弁体13bに対向する面に段差が形成されている。このため、第1の遮蔽部14aの第1の弁体13aに対向する面および第2の遮蔽部14bの第2の弁体13bに対向する面の各々の隙間形成用凸部GPが形成されていない部分では、第1の弁体13aおよび第2の弁体13bの各々との間に隙間が形成されている。
【0038】
主に
図2および
図7を参照して、スペーサ14は、第1の弁体13aと第2の弁体13bとの間で挟み込まれるとともに、貫通孔14e内に第2の弁体13bを挿通させることにより、軸体12に取付けられている。第1の弁体13aは第1の遮蔽部14aに対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れAの上流側に配置されている。この取付け状態において、第1の遮蔽部14aの内周端面14a
2および第2の遮蔽部14bの内周端面14b
2の各々は軸体12の外周面に当接している。またこの取付け状態において、連結部14cの半円筒形状部は軸体12の外周面に沿ってその外周面を覆っている。またこの取付け状態において、第1および第2の遮蔽部14a、14bは、軸線C−Cに対して互いに同じ方向に位置している。
【0039】
この取付け状態においてスペーサ14に対して軸体12を回転させることにより、第1の切欠13a
1を第1の遮蔽部14aで開閉可能であり、かつ第2の切欠13b
1を第2の遮蔽部14bで開閉可能である。そして第1および第2の切欠13a
1、13b
1が軸線C−Cに対して互いに異なる方向に位置し、かつ第1および第2の遮蔽部14a、14bが軸線C−Cに対して互いに同じ方向に位置しているため、第1の遮蔽部14aが第1の切欠13a
1を閉じているときに、第2の遮蔽部14bが第2の切欠13b
1を開くことができる。また逆に、第1の遮蔽部14aが第1の切欠13a
1を開いているときに、第2の遮蔽部14bが第2の切欠13b
1を閉じることもできる。
【0040】
主に
図8および
図9を参照して、弁本体11の流路壁面には、軸線C−Cの延びる方向に延在する直線状の溝11eが形成されている。スペーサ14は、凸状係合部14dが溝11e内に嵌め込まれた状態で、溝11eで案内されながら流路11A内に挿入されることにより、流路壁面に固定され得る。つまりスペーサ14が流路11A内に挿入された状態ではスペーサ14の両側の凸状係合部14dのそれぞれが溝11e内に嵌り込んでいるため、軸体12が軸線C−Cを中心として回転してもスペーサ14が軸体12とともに回転することはない。また、
図9に示すように後述する給湯装置に弁装置1が取付けられた状態では、第1の遮蔽部14aの第3の切欠14a
3が第1の遮蔽部14aの最下部に位置している。
【0041】
主に
図9を参照して、スペーサ14の第1および第2の遮蔽部14a、14bの各々は、軸体12の他方端側(ステッピングモータ2に接続される一方端とは反対側)において軸体12を流路壁面に対して軸体12の径方向に支持している。具体的には、第1および第2の遮蔽部14a、14bの各々の半円形の外周端面14a
1、14b
1が流路11Aの円形の壁面に当接するとともに、第1および第2の遮蔽部14a、14bの各々の半円形の内周端面14a
2、14b
2が軸体12の外周面に当接している。
【0042】
またスペーサ14の連結部14cの半円筒形状部が軸体12の外周面に当接していてもよい。第1および第2の遮蔽部14a、14bと連結部14cは、たとえば180°の範囲で軸体12の外周面に当接している。
【0043】
主に
図2を参照して、特に第1の遮蔽部14aは、第1の弁体13aよりも他方端側において軸体12を径方向に支持していることが好ましい。また第1および第2の遮蔽部14a、14bを有するスペーサ14が、第1の開口部11aの流路11Aへの開口位置と径方向に対向する位置に配置されていることが好ましい。
【0044】
主に
図2および
図10を参照して、第1の弁体13aの円弧部13a
2と流路壁面との間には径方向の僅かな隙間(寸法L1)があり、円弧部13a
2と流路壁面とが直接接していないことが好ましい。また第2の弁体13bの円弧部13b
2と流路壁面との間には径方向の隙間(寸法L2)があり、円弧部13b
2と流路壁面とが直接接していないことが好ましい。
【0045】
なお軸線C−Cに対して、第1、第3および第4の開口部11a、11c、11dは直交する向きに設けられており、第2の開口部11bは平行な向きに設けられていることが好ましい。
【0046】
弁本体11、軸体12、第1および第2の弁体13a、13b、スペーサ14および弁カラー15の材質はたとえばPPS(polyphenylene sulfide)などの樹脂からなっており、サーボ取付板3はたとえば亜鉛めっき鋼板からなっている。また第1および第2の弁体13a、13bは軸体12と一体的に形成されたものであってもよく、また軸体12と別体からなり軸体12に取付け固定されたものであってもよい。
【0047】
また第1および第2の弁体13a、13bの各々に設けられる第1および第2の切欠13a
1、13b
1はともに約180°の角度範囲で形成されている。この第1および第2の切欠13a
1、13b
1の形成角度範囲は、ともに180°未満であってもよく、また180°を超えていてもよい。
【0048】
なお上記の実施の形態においては、隙間形成用凸部GPが第1および第2の遮蔽部14a、14bの各々に設けられている構成について説明したが、隙間形成用凸部GPは第1の弁体13aと第1の遮蔽部14aとの互いに対向する面の少なくともいずれかの一部に設けられていればよい。また隙間形成用凸部GPは第2の弁体13bと第2の遮蔽部14bとの互いに対向する面の少なくともいずれかの一部に設けられていればよい。したがって、隙間形成用凸部GPは、第1および第2の遮蔽部14a、14bに設けられていてもよく、第1および第2の弁体13a、13bに設けられていてもよい。以下、隙間形成用凸部GPが第1の弁体13aに設けられた構成について説明する。
【0049】
図11を参照して、第1の弁体13aは第1の遮蔽部14aに対向する面に隙間形成用凸部GPを有している。隙間形成用凸部GPは軸体12の径方向の周囲に第1の遮蔽部14aと対向する方向に突出するように形成されている。また、第2の弁体13bは第2の遮蔽部14bに対向する面に隙間形成用凸部GPを有していてもよい。隙間形成用凸部GPは軸体12の径方向の周囲に第2の遮蔽部14bと対向する方向に突出するように形成されていてもよい。
【0050】
また上記の実施の形態においては、スペーサ14が流路11Aの上側に配置されている構成について説明したが、スペーサ14は給湯装置に弁装置1が取付けられた状態で第1の遮蔽部14aの第3の切欠14a
3が第1の遮蔽部14aの最下部に位置していればよい。以下、スペーサ14が流路11Aの上下に渡って配置された構成について説明する。
【0051】
図12を参照して、給湯装置に弁装置1が取付けられた状態でスペーサ14は流路11Aの右半分を覆うように配置されている。この状態で第1の遮蔽部14aの第3の切欠14a
3が流路11Aの上下方向に伸びるように配置されている。この状態でも第1の遮蔽部14aの第3の切欠14a
3が第1の遮蔽部14aの最下部に位置している。この状態では流路11Aの左半分はスペーサ14に覆われていないため、第1の遮蔽部14aの第3の切欠14a
3を通って流路11Aの最下部に媒体が流れることができる。
【0052】
また上記の実施の形態においては、第1の弁体13aが軸体12の他方端側に取付けられており、第2の弁体13bが軸体12の一方端側に取付けられている構成について説明したが、第1の弁体13aが軸体12の一方端側に取付けられており、第2の弁体13bが軸体12の他方端側に取付けられていてもよい。以下、第1の弁体13aが軸体12の一方端側に取付けられており、第2の弁体13bが軸体12の他方端側に取付けられた構成について説明する。
【0053】
図13を参照して、第1の弁体13aが軸体12の一方端側に取付けられており、第2の弁体13bが軸体12の他方端側に取付けられている。また、第1の遮蔽部14aが軸体12の一方端側に配置されており、第2の遮蔽部14bが軸体12の他方端側に配置されている。第1の弁体13aは第1の遮蔽部14aに対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れAの上流側に配置されている。
【0054】
また上記の実施の形態においては、第1の弁体13aのみが第1の遮蔽部14aに対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れの上流側に配置されている構成について説明したが、第2の弁体13bも第2の遮蔽部14bに対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れAの上流側に配置されていてもよい。以下、第2の弁体13bも第2の遮蔽部14bに対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れAの上流側に配置された構成について説明する。
【0055】
図14を参照して、第1の弁体13aを挟むように軸体12の一方端側および他方端側に2つの遮蔽板からなる第1の遮蔽部14aが配置されている。また第2の弁体13bを挟むように軸体12の一方端側および他方端側に2つの遮蔽板からなる第2の遮蔽部14bが配置されている。第1の弁体13aは第1の遮蔽部14aの一方の遮蔽板に対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れAの上流側に配置されている。また第2の弁体13bも第2の遮蔽部14bの一方の遮蔽板に対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れAの上流側に配置されている。
【0056】
また、
図2および
図14を参照して、弁装置1が混合弁として用いられる場合には、第2の開口部11bおよび第3の開口部11cから流路11Aの内部を媒体が流れる。弁装置1が混合弁として用いられる場合も、第1の弁体13aは第1の遮蔽部14aの他方の遮蔽板に対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れBの上流側に配置されている。また第2の弁体13bは第2の遮蔽部14bの他方の遮蔽板に対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れBの上流側に配置されている。
【0057】
また、第1および第2の遮蔽部14a、14bは第1および第2の弁体13a、13bに挟み込まれる位置にのみ配置されていてもよい。
図15を参照して、第1および第2の遮蔽部14a、14bは第1および第2の弁体13a、13bに挟み込まれるように配置されている。弁装置1が混合弁としてのみ用いられる場合、第1の弁体13aは第1の遮蔽部14aに対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れBの上流側に配置されている。また第2の弁体13bは第2の遮蔽部14bに対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れBの上流側に配置されている。
【0058】
また、第1および第2の遮蔽部14a、14bは第1および第2の弁体13a、13bを挟み込む位置にのみ配置されていてもよい。
図16を参照して、第1および第2の遮蔽部14a、14bは第1および第2の弁体13a、13bを挟み込むように配置されている。弁装置1が分配弁としてのみ用いられる場合、第1の弁体13aは第1の遮蔽部14aに対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れAの上流側に配置されている。また第2の弁体13bは第2の遮蔽部14bに対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れAの上流側に配置されている。
【0059】
次に、本実施の形態の弁装置1を有する給湯装置の構成について
図17を用いて説明する。
【0060】
図17を参照して、給湯装置20は、弁装置1と、ステッピングモータ2と、熱交換器21と、バイパス回路22と、燃焼バーナ23と、送風機24と、給水配管31と、出湯配管32とを主に有している。
【0061】
熱交換器21には、熱交換器21に給水するための給水配管31と、熱交換器から出湯するための出湯配管32とが接続されている。バイパス回路(バイパス配管)22は、この給水配管31と出湯配管32とを接続している。
【0062】
熱交換器21は、燃焼バーナ23で発生する燃焼ガスとの間で熱交換を行なうものであり、送風機24は、燃焼バーナ23に対して燃焼に必要な空気を供給するためのものである。
図1〜
図10に示す構成を有する本実施の形態の弁装置1は、たとえば給水配管31とバイパス回路22との接続部に接続されている。
【0063】
主に
図2および
図17を参照して、弁装置1の第1の開口部11aは給水配管31の給水側部分31aに接続されており、第3の開口部11cは給水配管31の熱交換器側部分31bに接続されている。また第2の開口部11bはバイパス回路22に接続されている。
【0064】
この給湯装置20においては、弁装置1が給水配管31とバイパス回路22との接続部に配置されているため、熱交換器21およびバイパス回路22への分配比を弁装置1により調整することができる。
【0065】
つまり給湯装置20においては、当該装置への入水が一旦、熱交換器21側とバイパス回路22側とへ分配され、熱交換器21を通過した高温水とバイパス回路22を通過した低温水とが混合されて所望の出湯温度が得られる。この際に弁装置1により分配比を調整することにより所望の出湯温度に制御することが可能となる。
【0066】
次に、本実施の形態の弁装置1の動作について
図18(A)〜
図18(C)を用いて説明する。給湯装置20に弁装置1が取付けられた状態では、第1および第2の遮蔽部14a、14bの第3の切欠14a
3、14b
3が第1および第2の遮蔽部14a、14bの最下部に位置している。
【0067】
図18(A)を参照して、この状態は、第1の弁体13aの第1の切欠13a
1の全体が第1の遮蔽部14aで覆われておらず開いており(全開)、かつ第2の弁体13bの第2の切欠13b
1の全体が第2の遮蔽部14bで覆われて閉じた(全閉)状態を示している。この状態では
図2に示すように、第1の開口部11aと第2の開口部11bとの間で流体(たとえば湯水)が流通可能であり、かつ第1の開口部11aと第3の開口部11cとの間で流体の流通は遮断されている。
【0068】
なお
図18(A)中において第1および第2の切欠13a
1、13b
1が形成された部分のうち第1および第2の遮蔽部14a、14bで覆われておらず開いた部分にはハッチングが付されている。このハッチングは、
図18(B)、(C)にも同様に付されている。
【0069】
図18(B)を参照して、この状態は
図18(A)の状態から軸体12を矢印RDで示すように図中時計周りに約90°回転させた状態である。この状態では、第1の弁体13aの第1の切欠13a
1の一部が第1の遮蔽部14aで覆われているが、残りの部分は第1の遮蔽部14aで覆われておらず開いている。また第2の弁体13bの第2の切欠13b
1の一部が第2の遮蔽部14bで覆われているが、残りの部分は第2の遮蔽部14bで覆われておらず開いている。つまり、第1および第2の切欠13a
1、13b
1の双方の一部分が開いた状態となっている。このため、この状態では、第1の開口部11aと第2の開口部11bとの間で所定量の流体が流通可能であり、かつ第1の開口部11aと第3の開口部11cとの間でも所定量の流体が流通可能である。
【0070】
図18(C)を参照して、この状態は
図18(B)の状態から軸体12を矢印RDで示すように図中時計回りにさらに約90°回転させた状態である。この状態では、第1の弁体13aの第1の切欠13a
1の全体が第1の遮蔽部14aで覆われて閉じており(全閉)、かつ第2の弁体13bの第2の切欠13b
1の全体が第2の遮蔽部14bで覆われておらず開いた(全開)状態となっている。この状態では
図10に示すように、第1の開口部11aと第2の開口部11bとの間で主たる流体の流通は遮断されており、かつ第1の開口部11aと第3の開口部11cとの間で流体は流通可能である。
【0071】
このように軸体12を回転させることにより、第1および第2の切欠13a
1、13b
1の開閉操作を行なうことができる。これにより、第1の開口部11aと第2の開口部11bとの間の流路の開度と、第1の開口部11aと第3の開口部11cとの間の流路の開度とを調整することができる。このため、第1の開口部11aと第2の開口部11bとの間の流量と、第1の開口部11aと第3の開口部11cとの間の流量とを同時に制御することが可能となる。
【0072】
なお上記の実施の形態においては、1つの軸体12に2つの弁体13a、13bが接続された構成について説明したが、本発明は1つの軸体に1つの弁体が接続された構成に適用することもできる。以下、1つの軸体に1つの弁体が接続された構成について
図19および
図20を用いて説明する。
【0073】
図19および
図20を参照して、この弁装置1の構成は、
図1〜
図10に示す弁装置1の構成と比較して、1つの軸体12に1つの弁体13が設けられている点と、弁本体11内の流路11Aに2つの開口部11a、11bが設けられている点と、弁体13の切欠13a
1が半円形である点と、遮蔽部14が半円形であり連結部を有していない点とにおいて異なっている。
【0074】
弁体13は、軸体12のステッピングモータ2が接続された一方端とは反対側の他方端側に接続されている。この弁体13は、円盤形状に半円形の切欠13a
1を設けた構成を有している。この弁体13は、第1の開口部11aと第2の開口部11bとの間に位置している。この弁体13aは遮蔽部14aに対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れAの上流側に配置されている。
【0075】
遮蔽部14は、半円形状を有しており、弁体13よりも軸体12の他方端側に配置されている。この遮蔽部14は外周端面14a
1と内周端面14a
2とを有しており、外周端面14a
1は流路11Aの壁面に当接しており、かつ内周端面14a
2は軸体12の外周面に当接している。これにより、遮蔽部14は、軸体12の他方端側において軸体12を流路壁面に対して軸体12の径方向に支持している。
【0076】
遮蔽部14aは弁体13aに対向する面に隙間形成用凸部GPを有している。隙間形成用凸部GPは内周端面14a
2に沿って弁体13aに対向する方向に突出するように形成されている。遮蔽部14aは、軸線C−Cを中心とした円盤形状に第3の切欠14a
3が形成された形状を有している。遮蔽部14aは、給湯装置に弁装置1が取付けられた状態で第3の切欠14a
3が遮蔽部14aの最下部に位置するように構成されている。
【0077】
なおこれ以外の
図19および
図20に示す弁装置1の構成は、
図1〜
図10示す弁装置1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0078】
図19および
図20に示す弁装置1においても、弁体13aは遮蔽部14aに対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れAの上流側に配置されている。このため、弁装置1の流路11Aの内部を流れる媒体によって弁体13aと遮蔽部14aとを密着させることにより弁体13aと遮蔽部14aとの間から媒体が漏れることを抑制することができる。よって、流路11Aを十分に密閉することができる。
【0079】
なお
図1〜
図10に示す弁装置1の第1および第2の切欠13a
1、13b
1の形状および
図19および
図20に示す弁装置1の切欠13a
1の形状は、上述したものに限定されるものではない。上記に示す弁装置1の第1および第2の切欠13a
1、13b
1の形状が半円形状であってもよく、また
図19および
図20に示す弁装置1の切欠13a
1の形状がインボリュート形状に似た形状であってもよい。
【0080】
また、本発明は、弁装置が追焚付き給湯装置に用いられた構成に適用することもできる。以下、弁装置が追焚付き給湯装置に用いられた構成について
図21を用いて説明する。
【0081】
図21を参照して、追焚付き給湯装置100は、弁装置1と、ステッピングモータ2と、給湯側熱交換器131aと、風呂側熱交換器131bと、燃焼バーナ132と、送風機33と、給水配管35と、出湯配管36と、バイパス回路37と、配管38〜44と、逆流防止弁50と、ポンプ60と、逆止弁80a、80bと、注湯電磁弁90とを主に有している。
【0082】
給湯側熱交換器131aには、給湯側熱交換器131aに給水するための給水配管35と、給湯側熱交換器131aから出湯するための出湯配管36とが接続されている。バイパス回路(バイパス配管)37は、この給水配管35と出湯配管36とを接続している。
図1〜
図10に示す構成を有する本実施の形態の弁装置1は、たとえば給水配管35とバイパス回路37との接続部に接続されている。
【0083】
風呂側熱交換器131bの入口側には風呂戻り配管43が接続されており、風呂側熱交換器131bの出口側には風呂往き配管44が接続されている。ポンプ60は、主に浴槽(図示せず)と風呂側熱交換器131bとの間で湯水を循環させるためのものであり、風呂戻り配管43に接続されている。
【0084】
給湯側熱交換器131aおよび風呂側熱交換器131bの各々は、燃焼バーナ132で発生する燃焼ガスとの間で熱交換を行なうためのものである。送風機33は燃焼バーナ132に対して燃焼に必要な空気を供給するためのものである。
【0085】
逆流防止弁50は、風呂の雑水と上水とを縁切りするための安全装置である。この逆流防止弁50は、上水の給水元側の圧力(1次圧)と供給先側の圧力(2次圧)との圧力差により通常はオーバーフロー口を閉止するものであり、1次圧を導入するために配管38を通じて給水配管35に接続され、かつ2次圧を導入するために配管39、40と注湯電磁弁90と逆止弁80aとを通じて出湯配管36に接続されている。この配管40は逆止弁80bと配管42とを通じて風呂戻り配管43に接続されている。なお注湯電磁弁90は、風呂湯張り時に開弁して、出湯配管36の湯水を配管42を介して風呂回路に導くものである。
【0086】
また逆流防止弁50は、断水などで給水元側に負圧が発生すると開弁してオーバーフロー口から雑水を給湯装置100の外部へ排出するため、そのオーバーフロー口は配管41を通じて給湯装置100の排水部に接続されている。
【0087】
主に
図2および
図21を参照して、弁装置1の第1の開口部11aは給水配管35の給水側部分35aに接続されており、第3の開口部11cは給水配管35の熱交換器側部分35bに接続されている。また第2の開口部11bはバイパス回路37に接続されている。第4の開口部11dは、逆流防止弁50の1次圧を導入するための水圧導入口に繋がる配管38に接続されている。
【0088】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
仮に第1の弁体13aが第1の遮蔽部14aに対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れAの下流側に配置されている構成では、流路11Aの内部を流れる媒体によって第1の弁体13aは第1の遮蔽部14aから離れる方向に力が加えられる。このため第1の弁体13aと第1の遮蔽部14aとの間から媒体が漏れることがある。
【0089】
この場合、第2の開口部11bがバイパス回路22に接続され、第3の開口部11cが給水配管31の熱交換器側部分31bに接続されている構成では、バイパス回路22を第1の弁体13aと第1の遮蔽部14aで全閉状態にしようとしても、媒体が漏れる。そのため、バイパス回路22に余分な水が流れる。これにより給湯温度が低下する。そこで、この給湯温度の低下の分だけ熱交換器21の温度を上げる必要がある。この結果、エネルギー効率が低下する。
【0090】
一方、本実施の形態の弁装置1によれば、
図2に示すように、第1の弁体13aは、第1の遮蔽部14aに対して流路11Aの内部を流れる媒体の流れAの上流側に配置されている。このため、流路11Aの内部を流れる媒体によって第1の弁体13aは第1の遮蔽部14aに押し付けられる。したがって、第1の弁体13aと第1の遮蔽部14aとを密着させることができる。これにより、第1の弁体13aと第1の遮蔽部14aとの間から媒体が漏れることを抑制することができる。よって、流路11Aを十分に密閉することができる。
【0091】
これにより、バイパス回路22に余分な水が流れることによる給湯温度の低下を抑制することができる。そのため、給湯温度の低下の分だけ熱交換器21の温度を上げる必要がない。このため、熱交換器21の温度を低くすることができる。したがって、燃焼バーナ23を全開する必要がない。また、エネルギー効率は燃焼バーナ23の全数がわずかに燃料している状態がよい。よって、本実施の形態の弁装置1ではエネルギー効率を向上することができる。
【0092】
本実施の形態の弁装置1では、第1および第2の弁体13a、13bの回転により第1および第2の切欠13a
1、13b
1の開閉操作が可能であり、第1の開口部11aと第2の開口部11bとの間の流路11Aの開度と、第1の開口部11aと第3の開口部11cとの間の流路11Aの開度とを同時に調整することができる。このため、第1の開口部11aと第2の開口部11bとの間の流量と、第1の開口部11aと第3の開口部11cとの間の流量とを同時に制御することができる。
【0093】
また上記開度を調整するために第1および第2の弁体13a、13bを軸体12とともに軸線C−C方向に移動させる必要がない。よって、軸体12にネジ切りをする必要がなく、軸体12を細くすることができるため、軸体12を回転させるための駆動源(たとえばモータ)を小型化できる。したがって、小型で簡易な構成で分配比または混合比を調整することが可能となる。
【0094】
本実施の形態の弁装置1では、第1および第2の遮蔽部14a、14bとを有するスペーサ14が弁本体11と別体で設けられ、かつ弁本体11の流路11Aの壁面に固定されている。これにより、軸体12の回転時にスペーサ14が軸体12とともに回転することを防止することができる。
【0095】
本実施の形態の弁装置1では、弁装置1は第1の弁体13aと第1の遮蔽部14aとの互いに対向する面の少なくともいずれかの一部に設けられた隙間形成用凸部GPをさらに備えている。これにより、隙間形成用凸部GPによって第1の弁体13aと第1の遮蔽部14aとの互いに対向する面での異物が挟まれる面積を小さくすることができる。このため、異物が挟まれることを抑制することができる。
【0096】
本実施の形態の弁装置1では、流路11Aは、第2の開口部11bと第3の開口部11cとの間に第4の開口部11dを有している。これにより、第4の開口部11dに逆流防止弁50の水圧導入口を接続することができ、第4の開口部11dから安定した水圧を与えることができる。
【0097】
本実施の形態の弁装置1を本実施の形態の給湯装置20に用いることにより、弁体が設けられた軸体12の回転によって弁開度を調整することができ、かつ軸体12の回転を規制することができる給湯装置20を得ることができる。そして、流路を十分に密閉することができる給湯装置を得ることができる。
【0098】
本実施の形態の給湯装置では、給湯装置20に弁装置1が取付けられた状態で第3の切欠14a
3が第1の遮蔽部14aの最下部に位置するように構成されている。これにより、第1の遮蔽部14aの最下部に位置する第3の切欠14a
3から媒体を排出することができる。よって、弁装置1の排水性を向上することができる。このため、残水凍結を起こり難くすることができる。
【0099】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。