(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938907
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】光輝性化粧紙
(51)【国際特許分類】
B32B 27/10 20060101AFI20160609BHJP
B32B 33/00 20060101ALI20160609BHJP
E04F 13/07 20060101ALI20160609BHJP
D21H 19/82 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
B32B27/10
B32B33/00
E04F13/00 B
D21H19/82
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-2182(P2012-2182)
(22)【出願日】2012年1月10日
(65)【公開番号】特開2013-141766(P2013-141766A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】593173840
【氏名又は名称】株式会社トッパン・コスモ
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勝
(72)【発明者】
【氏名】小林 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中條 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】芹川 嘉寛
【審査官】
加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−247099(JP,A)
【文献】
特開2010−194976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/10
B32B 33/00
D21H 19/82
E04F 13/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙質基材上にインキ層、パールインキ層、メジウムコート層をこの順に備えてなる光輝性化粧紙において、前記インキ層は全面で略均一な網点によって構成されており、前記パールインキ層はベタ状であり、前記メジウムコート層はメラミン樹脂から構成され、かつ、前記紙質基材は前記メラミン樹脂が含浸されていることを特徴とする光輝性化粧紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建築物の内外装材や、造作材、建具等の建築資材、住設機器や家電製品などの表面化粧等に使用するための光輝性化粧紙に関するものであり、さらに詳しくは、表面に設けるインキ層、パールインキ層のメラミン樹脂含浸性を改善して、意匠性にすぐれた輝度を有するメラミン化粧板を成形する為の光輝性化粧紙に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧紙に光輝性を出そうとして、光輝性顔料からなる絵柄模様を印刷してパールインキ層を設けることが行われてきていた。しかしながら、パールインキ層と紙質基材の間に紙質基材に対する隠蔽性を出す為にベタインキ層を設けたり、パールそのものをベタ層にすると、メラミン樹脂の含浸性が悪くなり、メラミン化粧板成形時に輝度感が減少してしまう。インキの物性の改善やインキ層の塗布厚や塗工方法などが検討されているが、十分な安定性を得るには至っていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−194976
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、すなわちその課題とするところは、意匠性にすぐれた輝度感を有し、かつ紙質基材に対する隠蔽性を有する光輝性化粧紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこの課題を解決したものであり、すなわちその請求項1記載の発明は、紙質基材上にインキ層、パールインキ層、メジウムコート層をこの順に備えてなる光輝性化粧紙において、前記インキ層は全面で略均一な網点によって構成されており、前記パールインキ層はベタ状であり、前記メジウムコート層はメラミン樹脂から構成され、かつ、
前記紙質基材は前記メラミン樹脂
が含浸されていることを特徴とする光輝性化粧紙である。
【発明の効果】
【0006】
本発明はその請求項1記載の発明により、従来のベタインキ層を全面で略均一な網点の印刷により置き換えることで、メラミン樹脂の含浸性を改善しかつ隠蔽性を有し、意匠性にすぐれた輝度感を発現することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明における光輝性化粧紙の一実施例の断面の形状を示す説明図である。
【
図2】本発明における光輝性化粧紙の一実施例の全面で略均一な網点の印刷により設けられたインキ層の表面の形状を示す説明図である。
【
図3】本発明における光輝性化粧紙の他の実施例の全面で略均一な網点の印刷により設けられたインキ層の表面の形状を示す説明図である。
【
図4】本発明における光輝性化粧紙の他の実施例の全面で略均一な網点の印刷により設けられたインキ層の表面の形状を示す説明図である。
【
図5】本発明における光輝性化粧紙の他の実施例の全面で略均一な網点の印刷により設けられたインキ層の表面の形状を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。
図1に本発明における光輝性化粧紙の一実施例の断面の形状を示す。紙質基材1上に全面で略均一な網点の印刷により設けられたインキ層2、パールインキ層3、メジウムコート層4を設けてなる。
図2〜
図5に本発明における光輝性化粧紙の全面で略均一な網点の印刷により設けられたインキ層の表面の形状を示す。黒い部分がインキがのる部分で白い部分がインキがのらない部分である。
【0009】
本発明における紙質基材1としては、基本的には従来の一般の化粧紙に使用されているものと同様のものが使用可能である。具体的には薄紙、チタン紙、含浸紙などが好適に用いられる。
【0010】
本発明におけるインキ層2としては、前記紙質基材1上に全面で略均一な網点の印刷により設けられる。インキ層2に用いる材料としては、二酸化チタンや酸化鉄等の不透明顔料を多く含む不透明な印刷インキや透明顔料インキが用いられる。
【0011】
図2に本発明における光輝性化粧紙の一実施例の全面で略均一な網点の印刷により設けられたインキ層の表面の形状を示す。網点の形状は
図2に示すものに限定されるものではなく、求められる隠蔽度合いと後述するメラミン樹脂の含浸性の改善による輝度感とにより適宜調整すれば良い。
【0012】
本発明におけるパールインキ層3としては、バインダー樹脂と光輝性顔料からなるパールインキをグラビアベタ印刷により設けられる。層厚は、乾燥後の塗布量で1〜5g/m
2となるように設ける。特には2g/m
2が最適である。1g/m
2より薄いと十分な光輝性が発現されず、3g/m
2より厚いと抜けなどの不具合が発生し易くなる。
【0013】
パールインキ層3に用いるバインダー樹脂としては、例えばカゼイン、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、硝化綿等またはそれらの混合物等がよく使用されるが、勿論これらに限定されるものではない。
パールインキ層3に用いる光輝性顔料としては、天然の雲母に酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物を被覆したパール顔料が好適に使用可能であり、その他アルミ粉等の金属粉も使用可能である。
【0014】
光輝性顔料の粒径としては、1〜20μmの銀色のもの、あるいは10〜35μmの金色のものなどが用いられる。特には銀色のものとしては平均粒径10μm、金色のものとしては平均粒径21μmで粒径にばらつきの少ないものが最適である。35μmより大きいとムラやスジなどの不具合が発生し易くなる。
【0015】
本発明におけるメジウムコート層4に用いるメラミン樹脂としては、従来から表面の熱硬化性樹脂として用いられているものから適宜選択して使用できる。塗布厚としては1〜5μm程度が好適である。
【実施例1】
【0016】
紙質基材1として米坪量80g/m
2のチタン紙(ムンクショー・ペーパー・デコール社製「UG80S」)を用いた。
この上からインキ層2に用いるインキとしてATSK(東洋インキ製造(株)製)を用い、これを
図2〜
図4で示す4種の版を用いて印刷した。
続いてこの上からパールインキ層3としてハイドリックパールインキ(大日精化工業(株)製)を用い、ベタ版を用いて印刷し、乾燥後の塗布量で2g/m
2となるように設けた。
【0017】
最後に表面にメジウムコート層4としてメジウムインキ(東洋インキ製造(株)製)を用いて層厚2μmとなるように塗布し、本発明の化粧紙を得た。
【0018】
<比較例1>
インキ層2をベタ版で印刷した以外は実施例1と同様にして化粧紙を得た。
【0019】
<比較例2>
パールインキ層として
図2〜
図5の4種の版を用いて印刷した以外は実施例1と同様にして化粧紙を得た。
【0020】
<評価結果>
以上のようにして得た実施例1、比較例1、2の化粧紙を直径5mmの円状にカットし、ニカレジン:お湯=55:45の比率で混ぜたメラミン樹脂を室温まで放置して冷やし、試験容器に満たした前記メラミン樹脂の液面に前記円状の印刷面を接するように置き、メラミン樹脂が印刷紙全体に浸透するまでの時間(秒)を測定した。結果を表1に示す。目標値は16.9秒(柄印刷の場合)以下を合格とした。なお表1中にて、
図2の版を用いたものを実施例1Aと比較例2Aとし、
図3の版を用いたものを実施例1Bと比較例2Bとし、以下
図4を実施例1Cと比較例2C、
図5を比較例2Dとして示す。
【0021】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の光輝性化粧紙は住宅等の建築物の内外装材や、造作材、建具等の建築資材、住設機器や家電製品などの表面化粧等に使用可能である。
【符号の説明】
【0023】
1…紙質基材
2…インキ層
3…パールインキ層
4…メジウムコート層