特許第5939008号(P5939008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939008
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】血圧計
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
   A61B5/02 630J
   A61B5/02 633F
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-93078(P2012-93078)
(22)【出願日】2012年4月16日
(65)【公開番号】特開2013-220187(P2013-220187A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100122286
【弁理士】
【氏名又は名称】仲倉 幸典
(72)【発明者】
【氏名】西岡 孝哲
(72)【発明者】
【氏名】山下 新吾
(72)【発明者】
【氏名】柳ヶ瀬 真孝
(72)【発明者】
【氏名】上坂 知里
(72)【発明者】
【氏名】土井 龍介
(72)【発明者】
【氏名】有賀 裕恭
(72)【発明者】
【氏名】池田 恵太
(72)【発明者】
【氏名】八丸 泉
【審査官】 伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−114015(JP,A)
【文献】 特開平09−038054(JP,A)
【文献】 特開昭63−005727(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/157392(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/25400(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 − 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が供給される流体袋を内包する血圧測定用カフと、
上記血圧測定用カフに対向して取り付けられた本体と、
上記本体の内部に配置され、上記流体袋に流体を供給可能なポンプと、
上記ポンプから上記流体袋へ流体を送り込み又は上記流体袋から流体を排出させる第1の流体経路と
を備え、
上記ポンプは、このポンプに設けられた流体排出口が上記流体袋に設けられた流体供給口に対向する態様で配置され、
上記第1の流体経路は、上記ポンプの上記流体排出口と上記流体袋の上記流体供給口との間でストレートに延在していることを特徴とする血圧計。
【請求項2】
請求項1に記載の血圧計において、
上記本体の内部に配置され、上記流体袋内の圧力を検知可能な圧力センサと、
上記流体袋から上記圧力センサへ流体を送り込む第2の流体経路と
を備え、
上記第2の流体経路は、上記流体袋と上記圧力センサとの間でストレートに延在していることを特徴とする血圧計。
【請求項3】
請求項2に記載の血圧計において、
上記第1の流体経路の延在方向と上記第2の流体経路の延在方向とは、同じであることを特徴とする血圧計。
【請求項4】
請求項3に記載の血圧計において、
上記血圧測定用カフを被験者の手首に巻き付けた装着状態において、
上記手首の周方向に関して、上記第1の流体経路と上記第2の流体経路とのズレが2cm以下であることを特徴とする血圧計。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1つに記載の血圧計において、
上記本体の内部に配置され、上記血圧計を制御する制御部を搭載した基板を備え、
上記基板と上記ポンプとは、上記第1の流体経路の延在方向に対して垂直な方向に並んで配置されていることを特徴とする血圧計。
【請求項6】
請求項5に記載の血圧計において、
上記基板は、略L字形状を有し、
上記ポンプは、上記略L字形状のくぼみに配置されていることを特徴とする血圧計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被測定部位を圧迫する血圧測定用カフと、このカフに対向して取り付けられた本体とを有する血圧計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の血圧計としては、例えばDCモータ駆動式のロータリポンプが筐体内に収容され、上記ロータリポンプの空気排出口からエア配管を通して、カフに空気を供給する血圧計が知られている。
【0003】
また、特許文献1(特開2010−88513号公報)に開示されているように、血圧計の外装ケースの内部にインナーケースを収容して、このインナーケースにエア回路部品を嵌め込み、このエア回路部品をインナーケースに形成したエア通路に接続して、カフに空気を供給するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−88513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記従来の血圧計では、上記エア配管やエア通路は屈曲して設けられている。このため、エア配管やエア通路のためのスペースが必要となり、血圧計の小型化や薄型化を図ることが困難であるという問題がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、被測定部位を圧迫する血圧測定用カフと、このカフに対向して取り付けられた本体とを有する血圧計であって、屈曲したエア配管やエア通路を設けることなく、上記カフと上記本体との間の流体経路を簡単に構成でき、小型化および薄型化を図ることができるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の血圧計は、
流体が供給される流体袋を内包する血圧測定用カフと、
上記血圧測定用カフに対向して取り付けられた本体と、
上記本体の内部に配置され、上記流体袋に流体を供給可能なポンプと、
上記ポンプから上記流体袋へ流体を送り込み又は上記流体袋から流体を排出させる第1の流体経路と
を備え、
上記ポンプは、このポンプに設けられた流体排出口が上記流体袋に設けられた流体供給口に対向する態様で配置され、
上記第1の流体経路は、上記ポンプの上記流体排出口と上記流体袋の上記流体供給口との間でストレートに延在していることを特徴とする。
【0008】
本明細書で、上記流体経路が「ストレート」であるとは、上記ポンプの流体排出口と上記カフの流体供給口とを含む上記ポンプと上記カフとの間の上記流体経路がストレートであることを意味する。
【0009】
この発明の血圧計では、上記ポンプは、このポンプに設けられた流体排出口が上記流体袋に設けられた流体供給口に対向する態様で配置され、上記第1の流体経路は、上記ポンプの上記流体排出口と上記流体袋の上記流体供給口との間でストレートに延在している。したがって、被測定部位を圧迫する血圧測定用カフと、このカフに対向して取り付けられた本体との間に屈曲したエア配管やエア通路を設けることなく、ストレートのエア配管のみで簡単に構成できる。また、上記ポンプを上記流体袋とは反対の側から見たとき、上記ポンプは、上記流体袋の上記流体供給口に重なって配置される。この結果、製品の小型化および薄型化を図ることができる。また、部品点数や組立て工数を削減できて、製品のコストダウンを図ることができる。
【0010】
一実施形態の血圧計では、
上記本体の内部に配置され、上記流体袋内の圧力を検知可能な圧力センサと、
上記流体袋から上記圧力センサへ流体を送り込む第2の流体経路と
を備え、
上記第2の流体経路は、上記流体袋と上記圧力センサとの間でストレートに延在していることを特徴とする。
【0011】
この一実施形態の血圧計では、上記第2の流体経路は、上記流体袋と上記圧力センサとの間でストレートに延在している。したがって、上記第2の流体経路は、屈曲したエア配管やエア通路を設けることなくストレートのエア配管のみで簡単に構成できる。この結果、製品の小型化および薄型化を図ることができる。また、部品点数や組立て工数を削減できて、製品のコストダウンを図ることができる。また、上記流体袋と上記圧力センサとを簡単に接続できて、血圧計を簡単に組み立てることができる。
【0012】
一実施形態の血圧計では、上記第1の流体経路の延在方向と上記第2の流体経路の延在方向とは、同じであることを特徴とする。
【0013】
この一実施形態の血圧計では、上記第1の流体経路の延在方向と上記第2の流体経路の延在方向とは、同じである。したがって、製品の小型化および薄型化をさらに図ることができる。また、部品点数や組立て工数を削減できて、製品のコストダウンをさらに図ることができる。
【0014】
一実施形態の血圧計では、上記血圧測定用カフを被験者の手首に巻き付けた装着状態において、上記手首の周方向に関して、上記第1の流体経路と上記第2の流体経路とのズレが2cm以下であることを特徴とする。
【0015】
本明細書で、「上記第1の流体経路と上記第2の流体経路とのズレ」とは、上記手首の周方向に関する、上記第1の流体経路と上記第2の流体経路との中心間距離を指す。
【0016】
この一実施形態の血圧計では、上記手首の周方向に関して、上記第1の流体経路と上記第2の流体経路とのズレが2cm以下である。このため、手のひらを上に向けた状態で、上記第1の流体経路と上記第2の流体経路とを上記手首の周方向に関する平坦部に対応させて配置することができる。この結果、本体のカフ側の面の形状を上記左手首の形状に沿わせることができる。したがって、本体が取り付けられたカフによる被験者の手首に対する圧迫力の低下を防止して、血圧測定の精度が低下するのを防止できる。
【0017】
一実施形態の血圧計では、上記本体の内部に配置され、上記血圧計を制御する制御部を搭載した基板を備え、上記基板と上記ポンプとは、上記第1の流体経路の延在方向に対して垂直な方向に並んで配置されていることを特徴とする。
【0018】
この一実施形態の血圧計では、上記基板と上記ポンプとは、上記第1の流体経路の延在方向に対して垂直な方向に並んで配置されているので、基板およびポンプの設置面積をそれぞれ確保できるとともに製品の薄型化をさらに図ることができる。
【0019】
一実施形態の血圧計では、上記基板は、略L字形状を有し、上記ポンプは、上記略L字形状のくぼみに配置されていることを特徴とする。
【0020】
この一実施形態の血圧計では、上記基板は、略L字形状を有し、上記ポンプは、上記略L字形状のくぼみに配置されているので、上記基板およびポンプをコンパクトに配置できて、製品の小型化および薄型化をさらに図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上より明らかなように、この発明の血圧計によれば、屈曲したエア配管やエア通路を設けることなく、上記カフと上記本体との間の流体経路を簡単に構成でき、小型化および薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明の血圧計を被験者の手首に装着したときの外観を示す斜視図である。
図2】上記血圧計の本体の内部に配置されたポンプ、圧力センサおよび基板の配置を説明するための平面図である。
図3A】上記血圧計の流体袋と上記ポンプとの接続を模式的に示す図である。
図3B】上記流体袋と上記圧力センサとの接続を模式的に示す図である。
図4】上記本体の内部から上記ポンプ、圧力センサおよび基板を取り外した状態を説明するための平面図である。
図5】上記本体を図4のA−A線に垂直な方向から見たところを示す図である。
図6図4のB−B線に沿って切断した本体ケーシングの断面を示す図である。
図7図4のC−C線に沿って切断した上記本体ケーシングの断面を示す図である。
図8】上記血圧計の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は、この発明の血圧計を被験者の左手首90に巻き付けて装着した装着状態における血圧計の外観を斜視図により示している。
【0025】
図1に示すように、この実施形態の血圧計は、血圧測定用カフとしてのカフ20と、このカフ20に対向して取り付けられた本体10とで構成されている。また、上記血圧計は、カフ20と反対側の本体10の外面10aに沿って配置された表示部11を有している。
【0026】
上記本体10は、上記外面10aに対して垂直な方向から見たとき、略長方形の形状を有する。図1では、本体10の長手方向(左右方向)がカフ20の外周面の上部と略平行になっている。
【0027】
上記カフ20は、帯状袋21と、この帯状袋21に内包された流体袋(図3A図3B中に符号22で示す。)とを有している。上記流体袋は、流体としての空気が供給されて膨張することで左手首90を圧迫する。上記帯状袋21は、布製で、一部に図示しない面ファスナが設けられている。上記血圧計は、左手の手のひらを上方へ向けてカフ20の本体10に沿った部分を左手首90に載せ、カフ20によって左手首90を取り巻き、上記面ファスナにより、カフ20が二重に重なった部分を固定することで装着されている。
【0028】
図2は、上記本体10の内部を外面10a側から見たところを模式的に示している。なお、図2には、理解の容易のためにXYZ直交座標を設けている(図3Aから図7も同様)。
【0029】
図2に示すように、上記本体10は、本体ケーシング12と、上記流体袋に空気を供給可能なポンプユニット31と、このポンプユニット31に接続され上記流体袋内の空気を排出しまたは封入するために開閉される弁32と、基板41とを有している。
【0030】
上記ポンプユニット31は、モータ311とエアポンプ312とから構成されている。また、上記圧力センサ33は、例えばピエゾ抵抗式圧力センサからなる。
【0031】
上記基板41は、略L字形状を有し、外面10aと平行に、すなわちXY平面に沿って配置されている。上記基板41上には、上記流体袋内の圧力(以下、「カフ圧」という)を検出するための圧力センサ33が搭載されている。また、上記基板41上には、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)およびその補助回路を含み、上記血圧計を制御する制御部50が設けられている。
【0032】
上記ポンプユニット31、弁32、および基板41は、本体ケーシング12の内側でXY面内に並んで配置されている。また、上記ポンプユニット31および弁32は、基板41の略L字形状のくぼみに配置されている。このため、上記ポンプユニット31、弁32、および基板41の設置面積を確保しつつ、これらをコンパクトに配置できて、製品の小型化および薄型化を図ることができる。
【0033】
図3Aは、ポンプユニット31と流体袋22との接続を説明するために、ポンプユニット31および流体袋22の断面を模式的に示している。また、図3Bは、圧力センサ33と流体袋22との接続を説明するために、圧力センサ33および流体袋22の断面を模式的に示している。
【0034】
図3Aに示すように、ポンプユニット31(より詳しくは、エアポンプ312)は、このポンプユニット31に設けられた空気排出口31aが流体袋22に設けられた空気供給口22aに対向する態様で配置されている。これに応じて、ポンプユニット31は、流体袋22の空気供給口22aの真上(図3Aにおいて)に重なって配置されている。上記ポンプユニット31は、流体袋22に対して第1の流体経路301を介して接続されている。また、上記弁32は、流体袋22に対してエアポンプ312および第1の流体経路301を介して接続されている。
【0035】
上記第1の流体経路301は、ポンプユニット31の空気排出口31aと流体袋22の空気供給口22aとの間でZ方向にストレートに延在し、ポンプユニット31から供給された空気を流体袋22送り込み、または流体袋22内の空気を弁32に送るようになっている。
【0036】
図3Bに示すように、上記圧力センサ33は、第2の流体経路302を介して流体袋22に接続されている。
【0037】
上記第2の流体経路302は、圧力センサ33と流体袋22との間で、第1の流体経路301と同様にZ方向にストレートに延在し、流体袋22内の空気を圧力センサ33へ送るようになっている。この送られた空気により、圧力センサ33は、カフ圧を検出している。
【0038】
図4は、本体ケーシング12からポンプユニット31、弁32および基板41を取り外した状態の本体ケーシング12の内面を本体10の外面10aに対して垂直な方向から見たところを示している。
【0039】
図4に示すように、上記本体ケーシング12は、本体ケーシング12の底部から内面側、すなわち+Z方向へ突出している略円筒形状の第1,第2の凸部111,112を有している。この第1の凸部111は、第1の流体経路301の一部を形成するとともに、ポンプユニット31の図示しない空気供給口に接続されるようになっている。上記第2の凸部112は、第2の流体経路302の一部を形成するとともに、圧力センサ33に接続されるようになっている。
【0040】
また、上記本体ケーシング12は、本体ケーシング12の底部から内面側、すなわち+Z方向へ突出している複数の係合リブ113を有している。これらの複数の係合リブ113は、ポンプユニット31および弁32に対応した位置に設けられ、ポンプユニット31および弁32と係合して、それらを固定するようになっている。
【0041】
また、上記本体ケーシング12は、本体ケーシング12の側部から内面側へ突出している複数の係合リブ114を有している。これらの複数の係合リブ114は、基板41に対応した位置に設けられ、基板41と係合して固定するようになっている。
【0042】
図5は、図4のA−A線に垂直な方向に見たときの本体10を示している。
【0043】
図5に示すように、本体ケーシング12は、本体ケーシング12の底部から外面側、すなわち−Z方向へ突出している円形管状の第1,第2のノズル121,122を有している。
【0044】
上記第1のノズル121は、第1の凸部111に対応する位置に設けられ、第1の凸部111と連通して第1の流体経路301を形成している。上記第1のノズル121は、流体袋22に取り付けられて、流体袋22への空気供給口または流体袋22からの空気排出口となる。
【0045】
上記第2のノズル122は、第2の凸部112に対応する位置に設けられ、第2の凸部112と連通して第2の流体経路302を形成している。上記第2のノズル122は、流体袋22に取り付けられて、流体袋22からの空気取出口となる。
【0046】
上記第1,第2のノズル121,122の中心間距離は2cmである。したがって、上記血圧計の装着状態では、上記第1のノズル121と第2のノズル122との上記左手首の周方向に関するズレd、つまり第1の流体経路301と第2の流体経路302との上記ズレdは、2cmである。
【0047】
ここで、人間の手首は、大きく分けると、手のひら側に実質的に平坦な平坦部(図1中に符号90aで示す。)を有している。上記手のひら側の平坦部90aの幅は、統計データによると、99%以上の人が2cmよりも大きい。
【0048】
このため、第1,第2のノズル121,122をともに左手首90の上記手のひら側の平坦部90aに対応する位置に配置できる。したがって、本体10の座面の形状を左手首90の形状に沿わせることができるので、本体10が取り付けられたカフ20による上記左手首に対する圧迫力の低下を防止して、血圧測定の精度が低下するのを防止できる。
【0049】
図6は、図4のB−B線に沿って切断した本体ケーシング12の断面を示している。
【0050】
図6に示すように、上記第2の凸部112の内面112aと、第2のノズル122の内面122aとは連通し、第2の流体経路302を形成している。
【0051】
また、本体ケーシング12は、−X方向側の底部に電池収納部15を有している。この電池収納部15は、本体ケーシング12の外面側に設けられ、電池カバー16によって閉じられている。
【0052】
図7は、図4のC−C線に沿って切断した本体ケーシング12の断面を示している。
【0053】
図7に示すように、上記第1の凸部111の内面111aと、第1のノズル121の内面121aとは連通し、第1の流体経路301を形成している。また、上記第1の流体経路301の延在方向と第2の流体経路302の延在方向とは、共にZ方向で同じである。したがって、製品の小型化および薄型化を図ることができる。また、部品点数や組立て工数を削減できて、製品のコストダウンをさらに図ることができる。
【0054】
図8に示すように、上記本体10は、この本体10の基板41上に搭載された制御部50を構成するCPU(Central Processing Unit)100、表示部11、メモリ51、操作部52、電源部53を含む。
【0055】
上記表示部11は、ディスプレイおよびインジケータ等を含み、CPU100からの制御信号に従って所定の情報を表示する。具体的には、表示部11は、上記血圧計によって測定された被験者の血圧に関連する情報、例えば最高血圧である収縮期血圧(SBP(Systolic Blood Pressure))、最低血圧である拡張期血圧(DBP(Diastolic Blood Pressure))および脈拍数を表示する。
【0056】
上記操作部52は、電源部53をONまたはOFFするための指示の入力を受付ける電源スイッチや、血圧の測定開始の指示を受け付けるための血圧測定スイッチを含む。上記電源スイッチおよび血圧測定スイッチは、操作者による指示に応じた操作信号をCPU100に入力する。
【0057】
上記メモリ51は、上記血圧計を制御するためのプログラムのデータ、上記血圧計を制御するために用いられるデータ、上記血圧計の各種機能を設定するための設定データ、および血圧値や脈拍数の測定結果のデータなどを記憶する。また、メモリ51は、プログラムが実行されるときのワークメモリなどとして用いられる。
【0058】
上記CPU100は、メモリ51に記憶された上記血圧計を制御するためのプログラムに従って、操作部52からの操作信号に応じて、ポンプユニット31や弁32を駆動する制御を行う。また、CPU100は、圧力センサ33からの信号に基づいて、血圧値や脈拍数を算出し、表示部11およびメモリ51を制御する。
【0059】
上記電源部53は、CPU100、ポンプユニット31、弁32、圧力センサ33、表示部11、メモリ51の各部に電力を供給する。
【0060】
上記ポンプユニット31は、カフ20に内包されている流体袋22内の圧力(カフ圧)を加圧するために、第1の流体経路301を介して、流体袋22に空気を供給する。弁32は、第1の流体経路301を介して流体袋22の空気を排出し、または封入して、カフ圧を制御するために開閉される。上記圧力センサ31は、第2の流体経路302を介して、流体袋22に接続されている。圧力センサ31からの信号は、CPU100に出力される。
【0061】
上述のように、上記血圧計では、第1の流体経路301は、ポンプユニット31と流体袋22との間でストレートに延在している。このとき、エアポンプ312の空気排出口と、流体袋22への空気供給口とが同じ方向を向いているので、屈曲したエア配管やエア通路を設けることなくストレートのエア配管のみで簡単に構成できる。したがって、製品の小型化および薄型化を図ることができる。また、部品点数や組立て工数を削減できて、製品のコストダウンを図ることができる。
【0062】
また、上記第2の流体経路302は、流体袋22と圧力センサ33との間でストレートに延在している。このため、屈曲したエア配管やエア通路を設けることなくストレートのエア配管のみで簡単に構成できる。したがって、製品の小型化および薄型化を図ることができる。また、部品点数や組立て工数を削減できて、製品のコストダウンを図ることができる。また、流体袋22と圧力センサ33とを簡単に接続できて、血圧計を簡単に組み立てられる。
【0063】
なお、上記血圧計を左手首に装着するとしたが、右手首や足首、指など人体のどこに装着してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、第2の流体経路302は、圧力センサ33と流体袋22との間で、Z方向にストレートに延在していたが、圧力センサ33と流体袋22との間で屈曲していてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、上記第1の流体経路301の延在方向と第2の流体経路302の延在方向とは、共にZ方向で同じであったが、これに限られるものではない。上記第1の流体経路の延在方向と第2の流体経路の延在方向とが異なるようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、第1の流体経路301と第2の流体経路302とのズレdは、2cmであったが、これに限られるものではない。第1の流体経路と第2の流体経路との上記ズレは、例えば1cm,0.5cm,0.1cmなど、2cm以下であれば、どのような大きさにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、圧力センサ33および制御部50が基板41上に搭載されていたが、例えば本体ケーシングの側部や底部など、どこに配置してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、ポンプユニット31、弁32、および基板41は、本体ケーシング12の内側でXY面内に並んで配置されていたが、例えば、ポンプユニットおよび弁と、基板41とが異なる面内に配置されていてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、基板41は、略L字形状であったが、例えば略長方形状や略T字形状など、どのような形状にしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、ポンプユニット31は、モータ311とエアポンプ312から構成されていたが、例えば圧電ポンプやソレノイドポンプなど、別のポンプで構成してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、流体袋22に空気を供給していたが、例えば水など、どのような流体を供給してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 本体
11 表示部
20 カフ
22 流体袋
31 ポンプユニット
32 弁
33 圧力センサ
41 基板
50 制御部
301 第1の流体経路
302 第2の流体経路
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8