(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ヒートポンプ装置では、1つの冷媒回路、すなわち1台の室内機に対して1台のエンジンが作動することとなる。これによれば、作動中の1台の室内機に対して、空気調和負荷を小さくする指令が為された場合、当該作動中の1台のエンジンに対して回転数を落とす制御が為される。
【0006】
エンジンは、定格回転数で運転している際に高いトルクを発生し、エンジン効率が良くなる。つまり、高トルク運転時にエンジン効率は高くなる。一方、空気調和負荷が比較的小さい場合には、エンジンの出力が小さくて済むため、エンジンの回転数は小さく制御され、それに伴いトルクも低下する。エンジンの排気量(cc)に対して低いトルクでエンジンを運転することは、エンジン効率の面で好ましくない。例えば、エンジンの出力を最大出力の半分にしても、出力半分でエンジンを運転させるのに必要な燃料は、最大出力で必要な燃料の半分より大きくなる。つまり、エンジンを排気量に対するトルク出力割合が低い状態で運転すると、燃費が悪くなる。
【0007】
上記ヒートポンプ装置では、1つの冷媒回路における空気調和負荷が小さい場合に、エンジン効率が低下するという問題があった。特に昨今では、二酸化炭素排出の低減や省エネルギーが求められており、コスト低減以上にエンジン効率の向上が求められている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、エンジン効率を向上させることができるエンジン駆動ヒートポンプ式空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、エンジン駆動ヒートポンプ式空気調和装置であって、1台の室外熱交換器と、室内熱交換器と、膨張弁と、前記1台の室外熱交換器及び前記室内熱交換器に対してのみ機能する複数の圧縮機と、を有する冷媒回路と、前記複数の圧縮機に接続された複数のエンジンと、前記複数のエンジンを制御する制御ユニットと、を備え、各前記エンジンには、1台以上の前記圧縮機が接続され、前記制御ユニットは、空気調和の負荷に応じて前記複数のエンジンのうちの一部の前記エンジンを選択し、当該選択されたエンジンを停止させる又は定格回転数とするまで、当該選択されたエンジンの回転数のみを空気調和の負荷に応じて変動させ
、前記複数の圧縮機は、第1圧縮機、第2圧縮機、及び第3圧縮機を含み、前記複数のエンジンは、前記第1圧縮機に接続された第1エンジンと、前記第2圧縮機及び前記第3圧縮機に接続された第2エンジンと、を含み、前記制御ユニットは、前記複数のエンジンに対する制御状態を、前記負荷の低下に伴い、前記第1エンジン及び前記第2エンジンを駆動させる第1制御状態から、前記第1エンジンを停止し前記第2エンジンのみを駆動させる第2制御状態に切り替え、さらに前記負荷の低下に伴い、前記第2制御状態から、前記第2エンジンを停止し且つ停止中の前記第1エンジンを起動させて前記第1エンジンのみを駆動させる第3制御状態に切り替える。
【0010】
請求項
4に記載の発明は、請求項1
〜3の何れか一項において、前記複数のエンジンは、互いに異なる圧縮性能の前記圧縮機が接続された少なくとも2台の前記エンジンを含んでいる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、1つの冷媒回路で必要な空気調和能力を複数のエンジンに分割できるため、1つのエンジンの排気量(cc)を小さくすることができる。これにより、最大の空気調和能力が必要な場合、すべてのエンジンを定格回転数(エンジンに設定された適切な運転が可能な最大回転数)で運転させ、小さい空気調和能力が必要な場合、複数のうちの選択された一部のエンジンに対してのみ回転数低下又は停止させ、他のエンジンを定格回転数で運転させることができる。つまり、低い空気調和負荷(低負荷)の際にも、一部のエンジンを高いトルクで運転させることができる。また、低負荷の際、一部のエンジンを停止させることで、低トルク運転のエンジンを無くすことができる。このように本発明によれば、エンジン効率を向上させることができる。
【0013】
請求項
4に記載の発明によれば、少なくとも2台のエンジンで圧縮機の圧縮能力が異なるため空気調和負荷に応じてより細かく空気調和能力を調整することができる。そして、細かな調整制御が可能となることで、一部のエンジン停止回数が増え、エンジン停止に起因して他のエンジンのトルクが上昇する現象の回数も増やすことができる。本発明によれば、細かな制御が可能となり、高トルク運転期間を増やすことができ、エンジン効率をさらに向上させることができる。
【0014】
また、上記エンジン駆動ヒートポンプ式空気調和装置が互いに異なる台数の圧縮機が接続された少なくとも2台のエンジンを含むことにより、エンジンに対する圧縮機接続台数を調整するだけで、エンジン効率を向上させることができ、例えば同一性能の圧縮機を準備すれば良く、調整及び製造が容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0017】
<第一実施形態>
第一実施形態のエンジン駆動ヒートポンプ式空気調和装置は、
図1に示すように、主に、室外機1と、室内機2と、制御ユニット10と、を備えている。室外機1及び室内機2は、流路を形成する配管A〜Fと共に、1つの冷媒回路Zを形成している。
【0018】
室外機1は、室外に配置されており、室外熱交換器11と、ファン12と、切替弁13と、第一エンジン14と、第二エンジン15と、第一圧縮機16と、第二圧縮機17と、第三圧縮機18と、アキュムレータ19と、を備えている。
【0019】
室外熱交換器11は、内部を通過する冷媒と外気との間で熱交換を実行させる装置である。室外熱交換器11は、室外機1内に1台設置されている。室外熱交換器11は、
図1では並列に分かれているが、片方が独立して機能することはない。つまり、1台の熱交換器とは、冷媒回路上の近接する場所(実質的に同一の場所)において、分離制御不可で一体的に機能する熱交換器を意味する。
【0020】
室外熱交換器11の一方側は、配管Fを介して切替弁13の第四ポート34に接続されている。室外熱交換器11の他方側は、配管Dを介して膨張弁23及び室内熱交換器21に接続されている。ファン12は、室外熱交換器11に隣接して配置され、室外熱交換器11に向かって送風する。
【0021】
切替弁13は、4つのポート31〜34を備えた四方切替弁である。切替弁13は、制御ユニット10により制御され、冷房運転時と暖房運転時とで冷媒の流路を切り替える。切替弁13は、冷房運転時には冷媒の流れが
図1の実線矢印で示す流れとなる流路を形成し、暖房運転時には冷媒の流れが
図1の破線矢印で示す流れとなる流路を形成する。
【0022】
第一エンジン14は、ガスを燃料として駆動するガスエンジンである。第一エンジン14は、制御ユニット10により回転数を制御されている。第一エンジン14には、第一圧縮機16が接続されている。つまり、第一エンジン14は、自身の駆動力により第一圧縮機16を駆動させる。具体的に本実施形態では、第一エンジン14の駆動軸と第一圧縮機16の入力軸とにプーリが取り付けられており、これらをベルトで接続している。
【0023】
第一エンジン14の排気量は、想定される最大空気調和負荷時に必要な空気調和能力(出力)の半分の能力を発揮できる排気量となっている。例えば、最大空気調和負荷(例えば外気温35度の際の冷房)で定格回転数(又は定格回転数付近)となるエンジンの排気量が2000ccである場合、第一エンジン14の排気量は1000ccとなる。
【0024】
第二エンジン15は、ガスを燃料として駆動するガスエンジンである。第二エンジン15は、制御ユニット10により回転数を制御されている。第二エンジン15には、第二圧縮機17及び第三圧縮機18が接続されている。つまり、第二エンジン15は、自身の駆動力により第二圧縮機17及び第三圧縮機18を駆動させる。具体的に本実施形態では、第二エンジン15の駆動軸と第二圧縮機17の入力軸及び第三圧縮機18の入力軸とにプーリが取り付けられており、これらをベルトで接続している。第二エンジン15の排気量は、第一エンジン14同様、最大空気調和負荷時に必要な能力の半分の能力で定格回転数(又は定格回転数付近)となる排気量である。各エンジン14、15の定格回転数は、接続される圧縮機の台数に応じて設定されることが好ましい。本実施形態では、第一エンジン14の定格回転数は、第二エンジン15の定格回転数よりも低くなっている。
【0025】
第一圧縮機16は、冷媒を圧縮するコンプレッサであって、第一エンジン14に接続されている。第一圧縮機16は、第一エンジン14の駆動力で作動する。第一圧縮機16の吐出口は、配管A1及び配管Aを介して切替弁13の第一ポート31に接続されている。第一圧縮機16の吸入口は、配管B1及び配管Bを介してアキュムレータ19の吐出口に接続されている。
【0026】
第二圧縮機17及び第三圧縮機18は、冷媒を圧縮するコンプレッサであって、第二エンジン15に接続されている。第二圧縮機17及び第三圧縮機18は、第二エンジン15の駆動力で作動する。第二圧縮機17の吐出口は、配管A2及び配管Aを介して切替弁13の第一ポート31に接続されている。第二圧縮機17の吸入口は、配管B2及び配管Bを介してアキュムレータ19の吐出口に接続されている。第三圧縮機18の吐出口は、配管A3及び配管Aを介して切替弁13の第一ポート31に接続されている。第三圧縮機18の吸入口は、配管B3及び配管Bを介してアキュムレータ19の吐出口に接続されている。
【0027】
配管Aの圧縮機16〜18側は3つの配管A1〜A3に分岐しており、配管Bの圧縮機16〜18側も3つの配管B1〜B3に分岐している。つまり、各圧縮機16〜18は、冷媒回路Z上で互いに並列に接続されている。本実施形態において、全圧縮機16〜18の圧縮能力は、互いに実質的に同一に設定されている。つまり、第一エンジン14よりも第二エンジン15のほうが、発揮される圧縮能力は大きくなる。
【0028】
アキュムレータ19は、液分離器であって、圧縮機16〜18内に液体冷媒が流入しないようにするものである。アキュムレータ19の吸入口は、配管Cを介して切替弁13の第二ポート32に接続されている。
【0029】
室内機2は、室内に配置されており、室内熱交換器21と、ファン22と、膨張弁23と、を備えている。室内熱交換器21は、内部を通過する冷媒と外気との間で熱交換を実行させる装置である。室内熱交換器21の一方側は、配管Dにより膨張弁23を介して室外熱交換器11の他方側に接続されている。室内熱交換器21の他方側は、配管Eにより切替弁3の第三ポート33に接続されている。ファン22は、室内熱交換器21に隣接して配置され、室内熱交換器21に向かって送風する。
【0030】
膨張弁23は、制御ユニット10により開度制御可能な電動の電子膨張弁である。膨張弁23は、配管D上に配置され、開度を調整することで配管D内の冷媒の流量を調整する。膨張弁23は、圧縮された冷媒を膨張させて低温にする。
【0031】
制御ユニット10は、電子制御ユニット(ECU)であって、室外機1及び室内機2の運転を制御している。具体的に、制御ユニット10は、ファン12、22(図示しない駆動モータ)、切替弁13、第一エンジン14、第二エンジン15、及び膨張弁23をそれぞれ制御している。制御ユニット10により切替弁13が切り替えられることで、エンジン駆動ヒートポンプ式空気調和装置は、冷房運転又は暖房運転に設定される。切替弁13が冷房側に切り替わると、
図1実線矢印に示すように、室外熱交換器11が凝縮器として機能し、室内熱交換器21が蒸発器として機能する。切替弁13が暖房側に切り替わると、
図1破線矢印に示すように、室内熱交換器21が凝縮器として機能し、室外熱交換器11が凝縮器として機能する。
【0032】
制御ユニット10は、冷房運転時又は暖房運転時に、室内機2の空気調和負荷に応じて、膨張弁23の開度やファン12、22の駆動量を制御する。また、制御ユニット10は、冷房運転時又は暖房運転時に、室内機2の空気調和負荷に応じて、第一エンジン14又は第二エンジン15の回転数を制御する。
【0033】
ここで、制御ユニット10によるエンジン14、15の制御について説明する。
図2に示すように、冷房運転状態又は暖房運転状態において、室内機2の空気調和負荷(以下、単に負荷とも称する)が最大のとき、制御ユニット10は、第一エンジン14及び第二エンジン15の回転数を共に定格回転数に制御する。両エンジン14、15が定格回転数で駆動しているため、両エンジン14、15で高トルク運転となり、エンジン効率は良い状態となる。
【0034】
次に、負荷が最大の状態よりも低い状態のとき、制御ユニット10は、第一エンジン14を制御対象に選択し、第一エンジン14の回転数のみを負荷に応じて制御する。この場合、制御ユニット10は、第一エンジン14の回転数を定格回転数よりも低い回転数(定格回転数未満最低回転数以上)に制御する。第二エンジン15は、負荷に応じて制御されずに、定格回転数を維持する。第二エンジン15が定格回転数で運転しているため、第二エンジン15については高トルク運転が維持され、エンジン効率の低下は抑制される。
【0035】
制御ユニット10によるエンジン14、15の選択については、制御ユニット10内において、負荷の大きさによって予め設定されている。本実施形態の制御ユニット10は、最大負荷又は負荷0からの負荷の変化量が小さい範囲では、1台分の圧縮能力である第一エンジン14を選択し回転数制御するように設定され、他の範囲では第一エンジン14を定格回転数又は停止状態で維持して、第二エンジン15を選択し回転数制御するように設定されている。制御ユニット10は、選択されたエンジン14又は15の回転数を、当該選択されたエンジン14又は15を停止させるか又は定格回転数とするまで、負荷に応じて変動させ、選択されなかったエンジン14又は15については定格回転数又は停止状態で維持する。つまり、制御ユニット10は、選択されたエンジン14又は15のみを負荷に応じて変動制御し、選択されなかったエンジン14又は15を高トルク運転又は停止状態に維持する。
【0036】
次に、負荷がさらに低い状態のとき、制御ユニット10は、第一エンジン14を停止させ、第二エンジン15を定格回転数で維持する。第一エンジン14が停止により燃料を消費せず、第二エンジン15が高トルク状態で維持されるため、エンジン効率を向上させることができる。
【0037】
次に、負荷がさらに低い状態のとき、制御ユニット10は、第二エンジン15を選択し、第二エンジン15の回転数を負荷に応じて定格回転数未満最低回転数以上で変動させる。第一エンジン14が停止状態であるため、エンジン効率の低下は抑制される。次に、負荷がさらに低い状態のとき、制御ユニット10は、第二エンジン15を停止状態とし、第一エンジン14の回転数を停止状態から負荷に応じて上昇させる(最低回転数以上定格回転数以下)。第二エンジン15が停止状態であるため、エンジン効率の低下は抑制される。
【0038】
このように、本実施形態では、1つの冷媒回路Zに対して、最大負荷時の必要出力を複数の小さいエンジン14、15で担当し、制御ユニット10によって選択された一方のエンジン14又は15のみの回転数を負荷に応じて変動制御することで、他方のエンジン14又は15を高トルク状態又は停止状態で維持することができる。これにより、装置全体におけるエンジン効率を向上させることができる。また、同じ負荷に対しても、1台のエンジンの排気量に対するトルク出力割合を高く維持することができる。このように、エンジン駆動ヒートポンプ式空気調和装置の燃費は向上する。
【0039】
また、本実施形態では、接続された圧縮機16〜18の台数がエンジン14、15毎に異なるため、圧縮能力を細かく制御でき、エンジン効率をさらに向上させることができる。少なくとも2台のエンジンに対して互いに異なる台数の圧縮機を設けることで、例えば
図2に示すように、負荷に応じて3つの異なる制御状態(両エンジン14、15駆動、第一エンジン14のみ駆動、第二エンジン15のみ駆動)を設定することができる。以下、実施例として最大負荷状態から負荷が低下していった場合を例に説明する。
【0040】
本実施例では、
図3に示すように、負荷が最大(100%)である場合、第二エンジン15が定格回転数で運転され、第一エンジン14も定格回転数で運転される。圧縮機の接続台数が少ないエンジンには、圧縮機の接続台数が多いエンジンに比べて、定格回転数が低いエンジンを使用している。そして、制御ユニット10は、負荷の低下に伴って、第一エンジン14のみ回転数を低下させる。接続された圧縮機台数が第二エンジン15より少ない第一エンジン14、すなわち定格回転数が第二エンジン15より低い第一エンジン14の回転数を低下させる。そして、制御ユニット10は、負荷の低下に伴って、第一エンジン14を最低回転数とし、停止させる。ここで、第一エンジン14が停止すると、第一エンジン14が担当していた負荷が第二エンジン15に掛かり、第二エンジン15のトルクが上昇する。この際に、第二エンジン15がさらなる高トルク状態となり、第二エンジン15のエンジン効率が向上する。
【0041】
そして、さらに負荷が低下すると、制御ユニット10は、第二エンジン15の回転数を低下させる。ここで、1つの負荷状態における1つの第二エンジン15に対して、本実施形態では第一エンジン14よりも多い2台の圧縮機17、18が作動している。これにより、第二エンジン15は、1つのエンジンに1台の圧縮機が作動している場合に比べて、低い回転数により同一の能力を発揮することができる。出力が同一の場合、回転数が低いほどトルクが高くなる(出力=回転数×トルク×定数)。つまり、第二エンジン15は、1つの負荷状態において、1台の圧縮機が接続されている場合よりも低回転高トルクで運転される。エンジン駆動ヒートポンプ式空気調和装置が互いに接続台数の異なる複数のエンジンを有することで、第二エンジン15のエンジン効率が向上し、装置全体のエンジン効率が向上する。
【0042】
さらに負荷が低下すると、制御ユニット10は、第二エンジン15を停止させ、第一エンジン14を一気に作動させる。この際、第二エンジン15の停止に伴い、第一エンジン14に加わる負荷が大きくなり、第一エンジン14が高トルク運転となる。これにより、第一エンジン14のエンジン効率が向上する。
【0043】
このように、第一実施形態によれば、エンジン駆動ヒートポンプ式空気調和装置のエンジン効率を向上させることができる。なお、参考に、従来装置におけるエンジン効率、すなわち冷媒回路Zと同条件の1つの冷媒回路に1台のエンジン(エンジン14、15の倍の排気量)及び1台の圧縮機(圧縮機16〜18と同一性能)が設けられた場合のエンジン効率について
図6に示す。本実施例は、従来に比べて2〜3割程度エンジン効率が向上している。
【0044】
また、エンジン14、15に対し異なる圧縮性能の圧縮機を設けても良い。圧縮性能は、例えばスクロール1回転(又はエンジンの出力軸1回転)で圧縮できる圧縮容量や圧縮比、又は圧縮機の排除容積で決まる。また、エンジンが圧縮機を駆動する際の減速比を変更することで圧縮性能を変更しても良い。
【0045】
<第二実施形態>
第二実施形態のエンジン駆動ヒートポンプ式空気調和装置は、第一エンジン14に2台の圧縮機が接続されている点で第一実施形態と異なっている。つまり、第二実施形態では、第一エンジン14と第二エンジン15に同数の圧縮機が接続されている。すべての圧縮機の性能は、第一実施形態同様、実質的に同一である。
【0046】
図4に示すように、第一エンジン14には、プーリ及びベルトにより第一圧縮機16と第四圧縮機160とが接続されている。第四圧縮機160は、第一エンジン14の駆動力により作動する。第四圧縮機160の吸入口は、配管B4及び配管Bを介してアキュムレータ19の吐出口に接続されている。第四圧縮機160の吐出口は、配管A4及び配管Aを介して切替弁13の第一ポート31に接続されている。つまり、圧縮機16〜18、160は、冷媒回路Z上で並列的に接続されている。
【0047】
この構成であっても、第一実施形態同様の制御により、エンジン効率を向上させることができる。ただし、制御ユニット10は、変動制御対象となるエンジンの選択において、両エンジン14、15が同様の圧縮能力を発揮するため、負荷に応じて選択するに際し、いずれのエンジン14、15を選択しても良いこととなる。
【0048】
具体的に実施例を
図5を参照して説明する。
図5に示すように、負荷が最大のとき、両エンジン14、15は同じ回転数で高トルク運転状態となる。そして、制御ユニット10は、負荷の低下に応じて、一方のエンジン(ここでは第一エンジン14)の回転数を低下させる。制御ユニット10が負荷の低下に伴って第一エンジン14を停止させると、第二エンジン15に停止した分の負荷が掛かり、第二エンジン15のトルクが高くなる。これにより、第二エンジン15のエンジン効率は向上する。
【0049】
さらに負荷が低下すると、制御ユニット10は、第二エンジン15の回転数を低下させる。これにより、第二エンジン15のエンジン効率は、従来のように悪化するが、排気量が小さい(ここでは必要排気量の半分の排気量)分、同じ負荷状態で比べると従来よりも高いエンジン効率で運転されることとなる。同じ負荷状態であっても、排気量に対するトルク低下割合が、排気量が小さいほうが小さくて済む。このように、第二実施形態においても、エンジン効率を向上させることができる。ただし、第一実施形態のほうが第二実施形態よりもエンジン効率の向上度は大きい。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、エンジンと圧縮機の接続は、プーリ機構でなくても良く、直接的でもクラッチを介した接続でも良い。また、複数の圧縮機は、冷媒回路Z上で直列接続されていても良い。この場合、例えば各圧縮機に対してバイパス通路(図示せず)を設け、停止したエンジンに接続された圧縮機に対しては制御ユニット10等が冷媒流路をバイパス通路に切り替えて、冷媒回路Zを維持する構成としても良い。これによっても、上記同様の効果が発揮される。
【0051】
また、エンジンの燃料は、ガスに限らず、ガソリン、軽油、又は灯油等の液体燃料でも良い。
図3、
図5、及び
図6は、上段が負荷と回転数の関係を示し、中段が負荷とトルクの関係を示し、下段が負荷とエンジン効率の関係を示す。