特許第5939013号(P5939013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939013
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】EGRクーラー
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/35 20160101AFI20160609BHJP
   F02M 26/22 20160101ALI20160609BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20160609BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20160609BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20160609BHJP
   B23K 101/14 20060101ALN20160609BHJP
【FI】
   F02M25/07 580D
   F02M25/07 580E
   F01N3/24 S
   F01N3/24 L
   F01N3/28 P
   B23K1/00 330L
   B23K101:14
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-96709(P2012-96709)
(22)【出願日】2012年4月20日
(65)【公開番号】特開2013-224607(P2013-224607A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2015年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 朝幸
(72)【発明者】
【氏名】飯島 章
【審査官】 小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−038962(JP,A)
【文献】 特開2000−146465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00− 3/08、31/02、33/00
F01N 3/00、 3/02、 3/04− 3/38、
9/00−11/00
F28D 1/00−13/00
F28F 9/00−19/06
F02M 26/35、26/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路と吸気通路とを連通するEGR通路に配設されるEGRクーラー本体と、前記EGRクーラー本体内に間隔を隔てて配設され、前記EGRクーラー本体内に冷却水室を区画形成する一対のエンドプレートと、前記一対のエンドプレート間に架け渡され、内部にEGRガスが流通する複数本のEGRガス管と、前記EGRガス管を前記エンドプレートにろう付けすることにより前記EGRガス管と前記エンドプレートとの間に形成されるろう付け接合部とを備え、前記ろう付け接合部、EGRガスに含まれる粒子状物質を浄化する触媒成分を混ぜたろう付け材を用いて形成されることを特徴とするEGRクーラー。
【請求項2】
前記触媒成分は、Pt、Pd及びRhの内の少なくとも一つを有する請求項1に記載のEGRクーラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気通路から吸気通路に還流させるEGRガスを冷却するためのEGRクーラーに関する。
【背景技術】
【0002】
NOx(窒素酸化物)をより低減させるために、EGR(排気還流又は排気再循環)ガスを冷却するEGRクーラーがディーゼルエンジン等の内燃機関に取り付けられている。EGRクーラーは、一般的に、内燃機関の排気通路と吸気通路とを連通するEGR通路の途中に配設されるEGRクーラー本体と、EGRクーラー本体内に間隔を隔てて配設され、EGRクーラー本体内に冷却水室を区画形成する一対のエンドプレートと、一対のエンドプレート間に架け渡され、内部にEGRガスが流通する複数本のEGRガス管とを備え、このEGRガス管を用いて冷却水室内の冷却水との熱交換(EGRガスの冷却)を行っている。
【0003】
EGRクーラーのEGRガス管内には、EGRガスに含まれる未燃燃料成分やスート等の粒子状物質が堆積する場合がある。このような粒子状物質がEGRガス管内に堆積することにより、EGRクーラーの冷却性能が劣化する。
【0004】
そこで、EGRガス管の内周面に貴金属やPGM等の触媒成分を塗布することにより、この触媒成分によってEGRガス中の未燃燃料成分及びスートを酸化させて、EGRガスに含まれる粒子状物質によるEGRガス管内の堆積物をなくすことが考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−38962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、貴金属やPGM等の触媒成分をEGRガス管の内周面に塗布するには、ウォッシュコート(触媒)や、ウォッシュコートをメタル(金属)に着けるためにアンカー材と称される接着剤が必要となる。
【0007】
しかしながら、ウォッシュコートやアンカー材は熱伝導率が比較的低いため、ウォッシュコートやアンカー材をEGRガス管の内周面に塗布することで、EGRクーラーの本来の機能である冷却性能が損なわれてしまう虞がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、EGRクーラーの本来の機能である冷却性能を損なわずに、EGRクーラーのEGRガス管内に未燃燃料成分やスート等の粒子状物質が堆積することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明に係るEGRクーラーは、内燃機関の排気通路と吸気通路とを連通するEGR通路に配設されるEGRクーラー本体と、前記EGRクーラー本体内に間隔を隔てて配設され、前記EGRクーラー本体内に冷却水室を区画形成する一対のエンドプレートと、前記一対のエンドプレート間に架け渡され、内部にEGRガスが流通する複数本のEGRガス管と、前記EGRガス管を前記エンドプレートにろう付けすることにより前記EGRガス管と前記エンドプレートとの間に形成されるろう付け接合部とを備え、前記ろう付け接合部が、EGRガスに含まれる粒子状物質を浄化する触媒成分を含むものである。
【0010】
前記触媒成分は、Pt、Pd及びRhの内の少なくとも一つを有するものであっても良い。
【0011】
前記ろう付け接合部は、前記触媒成分を混ぜたろう付け材を用いて前記EGRガス管を前記エンドプレートにろう付けすることにより前記EGRガス管と前記エンドプレートとの間に形成されるものであっても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、EGRクーラーの本来の機能である冷却性能を損なわずに、EGRクーラーのEGRガス管内に未燃燃料成分やスート等の粒子状物質が堆積することを抑制することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るEGRクーラーの側断面図である。
図2】本発明の他の実施形態に係るEGRクーラーの側断面図である。
図3】EGRクーラーが取り付けられる内燃機関の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0015】
図3に本実施形態に係るEGRクーラーが取り付けられる内燃機関を示す。
【0016】
図3に示すように、本実施形態に係るEGRクーラー10が取り付けられる内燃機関(例えば、ディーゼルエンジン)1は、内燃機関1の排気ポート1aに接続された排気通路(排気マニホールド及び排気配管)2と、内燃機関1の吸気ポート1bに接続された吸気通路(吸気マニホールド及び吸気配管)3と、排気通路2と吸気通路3とを連通するEGR通路(EGR配管)4とを備える。EGRクーラー10は、EGR通路4の途中に配設されている。
【0017】
図1に本実施形態に係るEGRクーラーを示す。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係るEGRクーラー10は、EGR通路4の途中に配設されるEGRクーラー本体(ケーシング)11と、EGRクーラー本体11内に間隔を隔てて配設され、EGRクーラー本体11内に冷却水室12を区画形成すると共に冷却水室12の両側にガス室(入口側ガス室13及び出口側ガス室14)を区画形成する一対のエンドプレート(仕切板)15と、一対のエンドプレート15間に架け渡され、内部にEGRガスが流通する複数本のEGRガス管16と、EGRクーラー本体11に設けられ、冷却水を冷却水室12に導入する冷却水導入管17と、EGRクーラー本体11に設けられ、冷却水を冷却水室12から排出する冷却水排出管18とを備える。
【0019】
EGRクーラー10は、EGRガスが高温で且つ硫黄分を含み得ることから、高温強度及び耐腐食性に優れる材料(例えば、ステンレス)により製作される。また、EGRクーラー10は、複数の部品(EGRクーラー本体11、エンドプレート15、EGRガス管16、冷却水導入管17及び冷却水排出管18等)を相互にろう付け(ロー付け)することにより製作される。特に、各エンドプレート15には、EGRガス管16を挿通するための挿通孔15aがEGRガス管16の本数分だけ開口されており、これら挿通孔15aには、複数本のEGRガス管16の両端がその端部を所定長さだけ突出させた状態でろう付けにより固定されている。
【0020】
本実施形態に係るEGRクーラー10においては、EGRガス管16をエンドプレート15にろう付けすることにより、EGRガス管16の外周面16aとエンドプレート15の外側面(入口側ガス室13側又は出口側ガス室14側の側面)15bとの間にろう付け接合部19が形成されており、このろう付け接合部19が、EGRガスに含まれる未燃燃料成分(SOF)やスート(煤)等の粒子状物質(PM)を浄化する触媒成分を含んでいる。これは、EGRクーラー10を製造する際(EGRガス管16をエンドプレート15にろう付けする際)に、貴金属やPGM(白金族元素)等の触媒成分をろう付け材(例えば、銀ろう)に混ぜることにより実現可能となる。なお、EGRガス管16の外周面16aとエンドプレート15の外側面15bとの間に形成されるろう付け接合部19以外の箇所(ろう付け接合部)については、触媒成分が含まれない通常のろう付け材を使用してろう付けしても良い。
【0021】
EGRガスに含まれる粒子状物質を浄化する触媒成分としては、貴金属やPGM(貴金属触媒)を用いることができる。貴金属とは、一般的には、Au(金)、Ag(銀)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)、Ir(イリジウム)、Ru(ルテニウム)、Os(オスミウム)の八つの元素を指す。また、PGMとは、一般的に、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)、Ir(イリジウム)、Ru(ルテニウム)、Os(オスミウム)の六つの元素を指す。このような貴金属やPGMを触媒成分として用いることができるが、特に、Pt(白金)、Pd(パラジウム)又はRh(ロジウム)の内の少なくとも一つを触媒成分として用いることが好ましい。
【0022】
本実施形態に係るEGRクーラー10の作用効果を説明する。
【0023】
本実施形態に係るEGRクーラー10においては、EGRガス管16をエンドプレート15にろう付けすることによりEGRガス管16の外周面16aとエンドプレート15の外側面15bとの間に形成されるろう付け接合部19が、EGRガスに含まれる粒子状物質を浄化する触媒成分を含んでいる。
【0024】
EGRガスに含まれる粒子状物質を入口側ガス室13側のろう付け接合部19中の触媒成分と反応させて酸化させることにより、EGRガス管16に流入するEGRガス中の未燃燃料成分及びスートが減少し、EGRガスに含まれる粒子状物質のEGRガス管16内への付着性が低減されるため、EGRガス管16内にEGRガスに含まれる粒子状物質が堆積することを抑制することが可能になる。また、ウォッシュコートやアンカー材を用いずに、ウォッシュコートやアンカー材に比べて熱伝導性に優れるろう付け材、及び触媒成分をEGRガス管16に直接塗布することにより、EGRクーラー10の本来の機能である冷却性能が損なわれることはない。
【0025】
従って、本実施形態に係るEGRクーラー10によれば、EGRクーラー10の本来の機能である冷却性能を損なわずに、EGRガス管16内に未燃燃料成分やスート等の粒子状物質が堆積することを抑制することができる。そのため、EGRガスに含まれる粒子状物質によるEGRガス管16内の堆積物をなくすことが可能になる。
【0026】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
【0027】
例えば、EGRクーラー10が取り付けられる内燃機関1は、ディーゼルエンジンには限定はされず、ガソリンエンジン等であっても良い。
【0028】
また、EGRガスに含まれる未燃燃料成分やスート等の粒子状物質を浄化する触媒成分は、貴金属及びPGM(貴金属触媒)に限定はされず、EGRガスに含まれる粒子状物質を浄化することができるものであれば良い。
【0029】
さらに、図2に示すEGRクーラー20のように、EGRガス管16の内周面16bに、EGRガスに含まれる未燃燃料成分やスート等の粒子状物質を浄化する触媒成分を含む触媒層21を設けても良い。これは、例えば、貴金属やPGM等の触媒成分(特に、Pt、Pd及びRh)を混ぜたろう付け材(例えば、銀ろう)をEGRガス管16の内周面16bに塗布することにより実現可能になる。ウォッシュコートやアンカー材をEGRガス管16の内周面16bに塗布せずに、ウォッシュコートやアンカー材に比べて熱伝導性に優れるろう付け材、及び触媒成分をEGRガス管16の内周面16bに直接塗布することにより、EGRクーラー20の本来の機能である冷却性能が損なわれることはない。
【符号の説明】
【0030】
1 エンジン
2 排気通路
3 吸気通路
4 EGR通路
10 EGRクーラー
11 EGRクーラー本体
12 冷却水室
13 入口側ガス室
14 出口側ガス室
15 エンドプレート
16 EGRガス管
17 冷却水導入管
18 冷却水排出管
19 ろう付け接合部
20 EGRクーラー
21 触媒層
図1
図2
図3