(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記携帯端末装置は、前記判別手段によって前記ネットワーク通信回線が前記通信経路として判別された場合、前記ネットワーク通信回線の通信接続が確立されるまで前記近距離無線通信回線を介してジョブを送信し、前記通信接続が確立されることに伴って前記近距離無線通信回線におけるジョブの未送信部分を前記ネットワーク通信回線に引き継いで送信することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
前記携帯端末装置は、前記判別手段によって前記ネットワーク通信回線が前記通信経路として判別された場合、前記近距離無線通信回線における送信済のデータサイズが、前記ネットワーク通信回線における送信済のデータサイズよりも大きいことを条件として、前記近距離無線通信回線におけるジョブの未送信部分を前記ネットワーク通信回線に引き継いで送信することを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
前記ジョブ送信手段は、前記判別手段によって前記ネットワーク通信回線が前記通信経路として判別された場合、前記ネットワーク通信回線の通信接続が確立されるまで前記近距離無線通信回線を介してジョブを送信し、前記通信接続が確立されることに伴って前記近距離無線通信回線におけるジョブの未送信部分を前記ネットワーク通信回線に引き継いで送信することを特徴とする請求項12に記載のプログラム。
前記ジョブ送信手段は、前記判別手段によって前記ネットワーク通信回線が前記通信経路として判別された場合、前記近距離無線通信回線における送信済のデータサイズが、前記ネットワーク通信回線における送信済のデータサイズよりも大きいことを条件として、前記近距離無線通信回線におけるジョブの未送信部分を前記ネットワーク通信回線に引き継いで送信することを特徴とする請求項15に記載のプログラム。
前記ジョブ送信手段は、前記通信経路におけるデータ通信速度が所定値未満である場合には、それまでの通信経路とは別の通信回線に通信経路を切り替えることを特徴とする請求項12乃至16のいずれかに記載のプログラム。
前記携帯端末装置を、前記近距離無線通信回線を介するジョブの送信ができないとき、ユーザーに対して前記携帯端末装置を前記通信可能範囲内に移動させるように所定の報知手段に案内させる案内制御手段として更に機能させることを特徴とする請求項12乃至17のいずれかに記載のプログラム。
前記携帯端末装置を、前記判別手段によって前記ネットワーク通信回線が前記通信経路として判別された場合、ユーザーに対して前記携帯端末装置を前記通信可能範囲外に移動させても良いことを所定の報知手段に案内させる案内制御手段として更に機能させることを特徴とする請求項12乃至18のいずれかに記載のプログラム。
前記通信制御手段は、前記画像処理装置と前記携帯端末装置とが近距離無線通信を行うことを条件として前記画像処理装置にジョブを実行させるための所定の識別情報を、近距離無線通信を行うことによりその画像処理装置と共有して保持し、
前記ジョブ送信手段は、前記識別情報をジョブに含めて前記ネットワーク通信回線を介して前記中継サーバに送信することを特徴とする請求項12乃至19のいずれかに記載のプログラム。
近距離無線通信回線を介してデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線とは別のネットワーク通信回線を介してデータ通信を行うネットワーク通信手段と、ユーザーによる操作指示を入力する操作入力手段と、を備える携帯端末装置において実行されるプログラムであって、前記携帯端末装置を、
前記近距離無線通信手段および前記ネットワーク通信手段を制御することにより、前記近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある画像処理装置と、前記ネットワーク通信回線を介して前記画像処理装置へのジョブを中継する中継サーバとのそれぞれとデータ通信を行う通信制御手段、
前記操作入力手段が入力する指示操作に基づくジョブを、前記通信制御手段を介して送信するジョブ送信手段、および、
前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうちジョブの送信完了所要時間が短時間となる一方をジョブの通信経路として判別する判別手段、
として機能させ、
前記ジョブ送信手段は、前記判別手段による判別結果に基づく通信経路においてジョブを送信し、
前記通信制御手段は、前記画像処理装置と前記携帯端末装置とが近距離無線通信を行うことを条件として前記画像処理装置にジョブを実行させるための所定の識別情報を、近距離無線通信を行うことによりその画像処理装置と共有して保持し、
前記ジョブ送信手段は、前記識別情報をジョブに含めて前記ネットワーク通信回線を介して前記中継サーバに送信することを特徴とするプログラム。
前記判別手段は、前記通信経路におけるデータ通信速度が所定値未満である場合、それまでの通信経路とは別の通信回線を新たな通信経路として判別することを特徴とする請求項26乃至28のいずれかに記載の画像処理装置。
前記判別手段によって前記近距離無線通信回線が前記通信経路として判別された場合において、その近距離無線通信回線を介してジョブの受信が所定時間できないとき、ユーザーに対して前記携帯端末装置を前記通信可能範囲内に移動させるように所定の報知手段に案内させる案内制御手段を更に備えることを特徴とする請求項26乃至29のいずれかに記載の画像処理装置。
前記判別手段によって前記ネットワーク通信回線が前記通信経路として判別された場合、ユーザーに対して前記携帯端末装置を前記通信可能範囲外に移動させても良いことを所定の報知手段に案内させる案内制御手段を更に備えることを特徴とする請求項26乃至30のいずれかに記載の画像処理装置。
前記通信制御手段は、前記携帯端末装置と近距離無線通信を行うことによって、その携帯端末装置に対して前記中継サーバのアドレス情報を送信することを特徴とする請求項26乃至32のいずれかに記載の画像処理装置。
近距離無線通信回線を介してデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線とは別のネットワーク通信回線を介してデータ通信を行うネットワーク通信手段と、を備える画像処理装置において実行されるプログラムであって、前記画像処理装置を、
前記近距離無線通信手段および前記ネットワーク通信手段を制御することにより、前記近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある携帯端末装置と、前記ネットワーク通信回線を介して前記携帯端末装置からのジョブを中継する中継サーバとのそれぞれとデータ通信を行う通信制御手段、
前記通信制御手段が受信するジョブを実行するジョブ実行手段、および、
前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうち前記携帯端末装置におけるジョブの送信完了所要時間が短時間である一方をそのジョブの通信経路として判別する判別手段、
として機能させ、
前記通信制御手段は、前記携帯端末装置が前記近距離無線通信回線および前記ネットワーク通信回線のそれぞれを介して送信するジョブを受信すると共に、前記携帯端末装置と近距離無線通信を行うことにより前記ジョブのデータサイズを前記携帯端末装置から取得し、
前記判別手段は、前記近距離無線通信回線と前記ネットワーク通信回線とのそれぞれのデータ通信速度を計測し、その計測結果と、各通信回線におけるジョブの未受信部分のデータサイズとに基づいて、前記近距離無線通信回線と前記ネットワーク通信回線とのうち受信完了所要時間が短時間となる一方を前記通信経路として判別し、
前記通信制御手段は、前記判別手段による判別結果を前記携帯端末装置に通知することにより、前記携帯端末装置に対して前記通信経路においてジョブを送信させることを特徴とするプログラム。
近距離無線通信回線を介してデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線とは別のネットワーク通信回線を介してデータ通信を行うネットワーク通信手段と、を備える画像処理装置において実行されるプログラムであって、前記画像処理装置を、
前記近距離無線通信手段および前記ネットワーク通信手段を制御することにより、前記近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある携帯端末装置と、前記ネットワーク通信回線を介して前記携帯端末装置からのジョブを中継する中継サーバとのそれぞれとデータ通信を行う通信制御手段、
前記通信制御手段が受信するジョブを実行するジョブ実行手段、および、
前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうち前記携帯端末装置におけるジョブの送信完了所要時間が短時間である一方をそのジョブの通信経路として判別する判別手段、
として機能させ、
前記通信制御手段は、前記判別手段による判別結果を前記携帯端末装置に通知することにより、前記携帯端末装置に対して前記通信経路においてジョブを送信させると共に、前記携帯端末装置と近距離無線通信を行うことによって、所定の識別情報をその携帯端末装置と共有して保持し、
前記ジョブ実行手段は、前記通信制御手段が前記ネットワーク通信回線を介して前記識別情報を含むジョブを受信した場合に、そのジョブを実行することを特徴とする画像処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来技術は、サーバ装置が印刷対象となる画像データを保持し、携帯端末装置からの印刷指示に基づいて、そのサーバ装置がプリンタに画像データ(印刷データ)を送信する構成である。携帯端末装置は、ネットワーク通信を行うことによりインターネットなどからダウンロードして印刷対象となる画像データを保持していることもある。そのため、今後は、従来のようにサーバ装置が蓄積している画像データを印刷出力するだけなく、携帯端末装置が蓄積している画像データをプリンタに送信して印刷出力することも考えられる。
【0006】
携帯端末装置は、上述したように、ネットワーク通信の他に近距離無線通信を行うことが可能である。そのため、画像データの送信ルートとしては、ネットワーク通信回線と近距離無線通信回線との2つの送信ルートが存在する。但し、ネットワーク通信回線を利用する場合、例えば、携帯端末装置は、サーバ装置のアドレスにアクセスして接続要求を行い、サーバ装置からその接続要求に対する許可応答を経て、はじめて画像データを送信することが可能な接続状態となる。すなわち携帯端末装置とサーバ装置とのネットワーク通信回線が確立するまでには、サーバ装置が接続要求を許可するためのある程度の時間を要する。一方、赤外線通信などの近距離無線通信では、携帯端末装置とプリンタとで1対1でのデータ通信が行われるため、携帯端末装置とプリンタは、比較的短時間で相手方を特定することができる。そのため、近距離無線通信を利用する場合、上述したネットワーク通信回線に比べると短時間で通信接続が確立する。これにより携帯端末装置は、近距離無線通信回線を利用することにより、ネットワーク通信回線に比べて早期に画像データの送信を開始することができる。
【0007】
しかし、赤外線通信などの近距離無線通信回線は、ネットワーク通信回線よりもデータ通信速度が遅いので、常に近距離無線通信回線を介して画像データを送信すると、却ってネットワーク通信回線を介して画像データを送信するよりも送信完了まで時間がかかる可能性がある。これに対して、ネットワーク通信回線は、近距離無線通信回線に比べるとデータ通信速度が高速であるが、上述したように近距離無線通信回線に比べて画像データの送信開始が遅れるので、常にネットワーク通信回線を介して画像データを送信すると、却って近距離無線通信回線を介して画像データを送信するよりも送信完了までの時間がかかる可能性がある。
【0008】
以上のように、ネットワーク通信回線と近距離無線通信回線との2つの送信ルートのうち、いずれの送信ルートで画像データを送信しても、他の送信ルートよりも送信完了まで時間がかかる可能性がある。この場合、ユーザーは、印刷出力が行われるまで無駄に待たされることになる。そのような事態を防止するため、例えばそれら2つの送信ルートのうちジョブ送信が短時間で完了する一方を選択することのできる技術が望まれるが、そのような技術は未だ提案されていない。
【0009】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、携帯端末装置から画像処理装置に対してジョブ送信を行う場合に、そのジョブ送信を早期に完了させることができユーザーの利便性を従来よりも向上させた情報処理システム、携帯端末装置、画像処理装置、および、プログラムを提供することを、その目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、中継サーバを介して携帯端末装置と画像処理装置とがデータ通信可能な情報処理システムであって、前記携帯端末装置は、近距離無線通信回線を介して前記画像処理装置と通信可能であると共に、前記近距離無線通信回線
に比べてデータ通信速度が高速であるネットワーク通信回線を介して前記中継サーバと通信可能であり、前記近距離無線通信回線および前記ネットワーク回線のうち少なくとも一方を介して、ユーザーによる操作指示に基づくジョブを送信し、前記画像処理装置は、前記近距離無線通信回線を介して前記携帯端末装置と通信可能であると共に、前記ネットワーク通信回線を介して前記中継サーバと通信可能であり、前記近距離無線通信回線および前記ネットワーク回線のうち少なくとも一方を介して受信するジョブを実行し、前記携帯端末装置又は前記画像処理装置に設けられ、前記近距離無線通信回線と前記ネットワーク通信回線とのうち前記携帯端末装置が送信するジョブの送信完了所要時間が短時間となる通信経路を判別する判別手段を備え、前記携帯端末装置は、
前記ネットワーク通信回線を介してジョブの送信を開始する前に、少なくともネットワーク通信接続が確立するまでの通信準備時間を要し、前記判別手段は、ジョブのデータサイズが前記通信準備時間を含む前記ネットワーク通信回線を介する送信完了所要時間よりも、前記近距離無線通信回線を介する送信完了所要時間が短時間となるジョブのデータサイズを判別するためのデータサイズ閾値未満である場合には、前記近距離無線通信回線が前記通信経路であると予測して判別し、前記携帯端末装置は、前記判別手段による判別結果に基づく通信経路においてジョブを送信することを特徴とする。
【0013】
請求項
2に係る発明は、請求項
1に記載の情報処理システムにおいて、前記携帯端末装置は、前記判別手段によって前記ネットワーク通信回線が前記通信経路として判別された場合、前記ネットワーク通信回線の通信接続が確立されるまで前記近距離無線通信回線を介してジョブを送信し、前記通信接続が確立されることに伴って前記近距離無線通信回線におけるジョブの未送信部分を前記ネットワーク通信回線に引き継いで送信することを特徴とする。
【0014】
請求項
3に係る発明は、
中継サーバを介して携帯端末装置と画像処理装置とがデータ通信可能な情報処理システムであって、前記携帯端末装置は、近距離無線通信回線を介して前記画像処理装置と通信可能であると共に、前記近距離無線通信回線に比べてデータ通信速度が高速であるネットワーク通信回線を介して前記中継サーバと通信可能であり、前記近距離無線通信回線および前記ネットワーク回線のうち少なくとも一方を介して、ユーザーによる操作指示に基づくジョブを送信し、前記画像処理装置は、前記近距離無線通信回線を介して前記携帯端末装置と通信可能であると共に、前記ネットワーク通信回線を介して前記中継サーバと通信可能であり、前記近距離無線通信回線および前記ネットワーク回線のうち少なくとも一方を介して受信するジョブを実行し、前記携帯端末装置又は前記画像処理装置に設けられ、前記近距離無線通信回線と前記ネットワーク通信回線とのうち前記携帯端末装置が送信するジョブの送信完了所要時間が短時間となる通信経路を判別する判別手段を備え、前記携帯端末装置は
、前記近距離無線通信回線を介してジョブを送信し、その後に、ネットワーク通信接続が確立することに伴って前記ネットワーク通信回線を介してジョブの送信を開始し、前記判別手段は、前記近距離無線通信回線と前記ネットワーク通信回線とのそれぞれのデータ通信速度を計測し、その計測結果と
ジョブのデータサイズとに基づいて、前記近距離無線通信回線と前記ネットワーク通信回線とのうち一方を前記通信経路として判別し、前記携帯端末装置は、前記判別手段による判別結果に基づいて前記通信経路とは別の通信回線におけるジョブの送信を中止することを特徴とする。
【0015】
請求項
4に係る発明は、請求項
3に記載の情報処理システムにおいて、前記携帯端末装置は、前記判別手段によって前記ネットワーク通信回線が前記通信経路として判別された場合、前記近距離無線通信回線における送信済のデータサイズが、前記ネットワーク通信回線における送信済のデータサイズよりも大きいことを条件として、前記近距離無線通信回線におけるジョブの未送信部分を前記ネットワーク通信回線に引き継いで送信することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理システムにおいて、前記携帯端末装置は、ジョブのデータサイズを所定の記憶領域に記憶させることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の情報処理システムにおいて、前記携帯端末装置は、ジョブの送信前にそのジョブのデータサイズを前記記憶領域に記憶させることを特徴とする。
【0016】
請求項7に係る発明は、携帯端末装置であって、近距離無線通信回線を介して、その近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある画像処理装置とデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線
に比べてデータ通信速度が高速であるネットワーク通信回線を介して、前記画像処理装置へのジョブを中継する中継サーバとデータ通信を行うネットワーク通信手段と、ユーザーによる操作指示を入力する操作入力手段と、前記操作入力手段が入力する指示操作に基づくジョブを送信するジョブ送信手段と、前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうちジョブの送信完了所要時間が短時間となる一方をジョブの通信経路として判別する判別手段と、を備え、
前記ネットワーク通信手段は、前記ネットワーク通信回線を介してジョブの送信を開始する前に、少なくともネットワーク通信接続が確立するまでの通信準備時間を要し、前記判別手段は、ジョブのデータサイズが前記通信準備時間を含む前記ネットワーク通信回線を介する送信完了所要時間よりも、前記近距離無線通信回線を介する送信完了所要時間が短時間となるジョブのデータサイズを判別するためのデータサイズ閾値未満である場合には、前記近距離無線通信回線が前記通信経路であると予測して判別し、前記ジョブ送信手段は、前記判別手段による判別結果に基づく通信経路においてジョブを送信することを特徴とする。
請求項8に係る発明は、携帯端末装置であって、近距離無線通信回線を介して、その近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある画像処理装置とデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線に比べてデータ通信速度が高速であるネットワーク通信回線を介して、前記画像処理装置へのジョブを中継する中継サーバとデータ通信を行うネットワーク通信手段と、ユーザーによる操作指示を入力する操作入力手段と、前記操作入力手段が入力する指示操作に基づくジョブを送信するジョブ送信手段と、前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうちジョブの送信完了所要時間が短時間となる一方をジョブの通信経路として判別する判別手段と、を備え、前記ジョブ送信手段は、前記近距離無線通信回線を介してジョブを送信し、その後に、ネットワーク通信接続が確立することに伴って前記ネットワーク通信回線を介してジョブの送信を開始し、前記判別手段は、前記近距離無線通信回線と前記ネットワーク通信回線とのそれぞれのデータ通信速度を計測し、その計測結果とジョブのデータサイズとに基づいて、前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうち一方を前記通信経路として判別し、前記ジョブ送信手段は、前記判別手段による判別結果に基づいて前記通信経路とは別の通信回線におけるジョブの送信を中止することを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項7又は8に記載の携帯端末装置において、ジョブのデータサイズを記憶する記憶手段を更に備えることを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項9に係る発明において、前記記憶手段は、ジョブの送信前にそのジョブのデータサイズを記憶することを特徴とする。
請求項11に係る発明は、携帯端末装置であって、近距離無線通信回線を介して、その近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある画像処理装置とデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線とは別のネットワーク通信回線を介して、前記画像処理装置へのジョブを中継する中継サーバとデータ通信を行うネットワーク通信手段と、ユーザーによる操作指示を入力する操作入力手段と、前記操作入力手段が入力する指示操作に基づくジョブを送信するジョブ送信手段と、前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうちジョブの送信完了所要時間が短時間となる一方をジョブの通信経路として判別する判別手段と、を備え、前記ジョブ送信手段は、前記判別手段による判別結果に基づく通信経路においてジョブを送信すると共に、前記画像処理装置と近距離無線通信を行うことを条件として前記画像処理装置にジョブを実行させるための所定の識別情報を、近距離無線通信を行うことによりその画像処理装置と共有して保持し、前記ネットワーク通信回線を介してジョブを送信するときには、前記識別情報をジョブに含めて前記ネットワーク通信回線を介して前記中継サーバに送信することを特徴とする。
【0017】
請求項
12に係る発明は、近距離無線通信回線を介してデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線
に比べてデータ通信速度が高速であるネットワーク通信回線を介してデータ通信を行うネットワーク通信手段と、ユーザーによる操作指示を入力する操作入力手段と、を備える携帯端末装置において実行されるプログラムであって、前記携帯端末装置を、前記近距離無線通信手段および前記ネットワーク通信手段を制御することにより、前記近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある画像処理装置と、前記ネットワーク通信回線を介して前記画像処理装置へのジョブを中継する中継サーバとのそれぞれとデータ通信を行う通信制御手段、前記操作入力手段が入力する指示操作に基づくジョブを、前記通信制御手段を介して送信するジョブ送信手段、および、前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうちジョブの送信完了所要時間が短時間となる一方をジョブの通信経路として判別する判別手段、として機能させ、
前記通信制御手段は、前記ネットワーク通信回線を介してジョブの送信を開始する前に、少なくともネットワーク通信接続が確立するまでの通信準備時間を要し、前記判別手段は、ジョブのデータサイズが前記通信準備時間を含む前記ネットワーク通信回線を介する送信完了所要時間よりも、前記近距離無線通信回線を介する送信完了所要時間が短時間となるジョブのデータサイズを判別するためのデータサイズ閾値未満である場合には、前記近距離無線通信回線が前記通信経路であると予測して判別し、前記ジョブ送信手段は、前記判別手段による判別結果に基づく通信経路においてジョブを送信することを特徴とする。
【0020】
請求項
13に係る発明は、請求項
12に記載のプログラムにおいて、前記ジョブ送信手段は、前記判別手段によって前記ネットワーク通信回線が前記通信経路として判別された場合、前記ネットワーク通信回線の通信接続が確立されるまで前記近距離無線通信回線を介してジョブを送信し、前記通信接続が確立されることに伴って前記近距離無線通信回線におけるジョブの未送信部分を前記ネットワーク通信回線に引き継いで送信することを特徴とする。
【0021】
請求項
14に係る発明は、請求項
12に記載のプログラムにおいて、前記通信制御手段は、前記近距離無線通信回線が前記通信経路として判別された場合において、前記中継サーバとのネットワーク通信接続を開始し、前記ジョブ送信手段は、前記近距離無線通信回線を介してジョブを送信している場合であって、且つ、予め設定された前記通信準備時間よりも早く前記ネットワーク通信接続が確立された場合には、前記ネットワーク通信回線を介してジョブの送信を開始し、前記判別手段は、各通信回線におけるデータ通信速度を計測し、その計測結果と各通信回線におけるジョブの未送信部分のデータサイズとに基づいて、前記近距離無線通信回線と前記ネットワーク通信回線とのうち送信完了所要時間が短時間となる一方を前記通信経路として再判別することを特徴とする。
【0022】
請求項
15に係る発明は、
近距離無線通信回線を介してデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線に比べてデータ通信速度が高速であるネットワーク通信回線を介してデータ通信を行うネットワーク通信手段と、ユーザーによる操作指示を入力する操作入力手段と、を備える携帯端末装置において実行されるプログラムであって、前記携帯端末装置を、前記近距離無線通信手段および前記ネットワーク通信手段を制御することにより、前記近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある画像処理装置と、前記ネットワーク通信回線を介して前記画像処理装置へのジョブを中継する中継サーバとのそれぞれとデータ通信を行う通信制御手段、前記操作入力手段が入力する指示操作に基づくジョブを、前記通信制御手段を介して送信するジョブ送信手段、および、前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうちジョブの送信完了所要時間が短時間となる一方をジョブの通信経路として判別する判別手段、として機能させ、前記ジョブ送信手段は、前記近距離無線通信回線を介してジョブを送信し、その後に、ネットワーク通信接続が確立することに伴って前記ネットワーク通信回線を介してジョブの送信を開始し、前記判別手段は、前記近距離無線通信回線と前記ネットワーク通信回線とのそれぞれのデータ通信速度を計測し、その計測結果と、各通信回線におけるジョブの未送信部分のデータサイズとに基づいて、前記近距離無線通信回線と前記ネットワーク通信回線とのうち送信完了所要時間が短時間となる一方を前記通信経路として判断し、前記ジョブ送信手段は、前記通信経路とは別の通信回線におけるジョブの送信を中止することを特徴とする。
【0023】
請求項
16に係る発明は、請求項
15に記載のプログラムにおいて、前記ジョブ送信手段は、前記判別手段によって前記ネットワーク通信回線が前記通信経路として判別された場合、前記近距離無線通信回線における送信済のデータサイズが、前記ネットワーク通信回線における送信済のデータサイズよりも大きいことを条件として、前記近距離無線通信回線におけるジョブの未送信部分を前記ネットワーク通信回線に引き継いで送信することを特徴とする。
【0024】
請求項
17に係る発明は、請求項
12乃至
16の何れかに記載のプログラムにおいて、前記ジョブ送信手段は、前記通信経路におけるデータ通信速度が所定値未満である場合には、それまでの通信経路とは別の通信回線に通信経路を切り替えることを特徴とする。
【0025】
請求項
18に係る発明は、請求項
12乃至
17の何れかに記載のプログラムにおいて、前記携帯端末装置を、前記近距離無線通信回線を介するジョブの送信ができないとき、ユーザーに対して前記携帯端末装置を前記通信可能範囲内に移動させるように所定の報知手段に案内させる案内制御手段として更に機能させることを特徴とする。
【0026】
請求項
19に係る発明は、請求項
12乃至
18の何れかに記載のプログラムにおいて、前記携帯端末装置を、前記判別手段によって前記ネットワーク通信回線が前記通信経路として判別された場合、ユーザーに対して前記携帯端末装置を前記通信可能範囲外に移動させても良いことを所定の報知手段に案内させる案内制御手段として更に機能させることを特徴とする。
【0027】
請求項
20に係る発明は、請求項
12乃至
19の何れかに記載のプログラムにおいて、前記通信制御手段は、前記画像処理装置と前記携帯端末装置とが近距離無線通信を行うことを条件として前記画像処理装置にジョブを実行させるための所定の識別情報を、近距離無線通信を行うことによりその画像処理装置と共有して保持し、前記ジョブ送信手段は、前記識別情報をジョブに含めて前記ネットワーク通信回線を介して前記中継サーバに送信することを特徴とする。
【0028】
請求項
21に係る発明は、請求項
12乃至
20の何れかに記載のプログラムにおいて、前記通信制御手段は、近距離無線通信を行うことによって前記画像処理装置から前記中継サーバのアドレス情報を取得し、前記ジョブ送信手段は、前記アドレス情報に基づいて前記中継サーバを特定し、その中継サーバに対してジョブを送信することを特徴とする。
【0029】
請求項
22に係る発明は、請求項
12乃至
21の何れかに記載のプログラムにおいて、前記携帯端末装置を、一対の暗号鍵と復号鍵とを生成する暗号鍵生成手段、として更に機能させ、前記ジョブ送信手段は、前記暗号鍵生成手段によって生成された暗号鍵に基づいてジョブを暗号化した後、前記ネットワーク通信回線を介してその暗号化したジョブを前記中継サーバに送信し、前記通信制御手段は、前記復号鍵を前記近距離無線通信回線を介して前記画像処理装置に送信することを特徴とする。
請求項23に係る発明は、近距離無線通信回線を介してデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線とは別のネットワーク通信回線を介してデータ通信を行うネットワーク通信手段と、ユーザーによる操作指示を入力する操作入力手段と、を備える携帯端末装置において実行されるプログラムであって、前記携帯端末装置を、前記近距離無線通信手段および前記ネットワーク通信手段を制御することにより、前記近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある画像処理装置と、前記ネットワーク通信回線を介して前記画像処理装置へのジョブを中継する中継サーバとのそれぞれとデータ通信を行う通信制御手段、前記操作入力手段が入力する指示操作に基づくジョブを、前記通信制御手段を介して送信するジョブ送信手段、および、前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうちジョブの送信完了所要時間が短時間となる一方をジョブの通信経路として判別する判別手段、として機能させ、前記ジョブ送信手段は、前記判別手段による判別結果に基づく通信経路においてジョブを送信し、前記通信制御手段は、前記画像処理装置と前記携帯端末装置とが近距離無線通信を行うことを条件として前記画像処理装置にジョブを実行させるための所定の識別情報を、近距離無線通信を行うことによりその画像処理装置と共有して保持し、前記ジョブ送信手段は、前記識別情報をジョブに含めて前記ネットワーク通信回線を介して前記中継サーバに送信することを特徴とする。
請求項24に係る発明は、請求項12乃至23のいずれかに記載のプログラムにおいて、前記携帯端末装置に、ジョブのデータサイズを所定の記憶領域に記憶させることを特徴とする。
請求項25に係る発明は、請求項24に記載のプログラムにおいて、前記携帯端末装置に、ジョブの送信前にそのジョブのデータサイズを前記記憶領域に記憶させることを特徴とする。
【0030】
請求項
26に係る発明は、携帯端末装置と、その携帯端末装置からのジョブを中継する中継サーバとのそれぞれとデータ通信可能な画像処理装置であって、近距離無線通信回線を介して、その近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある前記携帯端末装置とデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線
に比べてデータ通信速度が高速であるネットワーク通信回線を介して前記中継サーバとデータ通信を行うネットワーク通信手段と、前記近距離無線通信手段および前記ネットワーク通信手段を制御する通信制御手段と、前記通信制御手段が受信するジョブを実行するジョブ実行手段と、前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうち前記携帯端末装置におけるジョブの送信完了所要時間が短時間となる通信経路を判別する判別手段と、を備え、
前記判別手段は、ジョブのデータサイズと、前記携帯端末装置が前記ネットワーク通信回線を介してジョブを送信する場合に前記携帯端末装置がネットワーク通信接続を確立するための通信準備時間を含む送信完了所要時間よりも、前記携帯端末装置が前記近距離無線通信回線を介してジョブを送信する場合の送信完了所要時間が短時間となるデータサイズ閾値と、を比較し、ジョブのデータサイズが前記データサイズ閾値未満である場合には、前記近距離無線通信回線が前記通信経路であると予測して判別し、前記通信制御手段は、前記判別手段による判別結果を前記携帯端末装置に通知することにより、前記携帯端末装置に対して前記通信経路においてジョブを送信させることを特徴とする。
【0031】
請求項
27に係る発明は、請求項
26に記載の画像処理装置において、前記通信制御手段は、前記携帯端末装置がジョブを送信するよりも前に送信するそのジョブのデータサイズを前記近距離無線通信回線を介して取
得することを特徴とする。
【0033】
請求項
28に係る発明は、
携帯端末装置と、その携帯端末装置からのジョブを中継する中継サーバとのそれぞれとデータ通信可能な画像処理装置であって、近距離無線通信回線を介して、その近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある前記携帯端末装置とデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線とは別のネットワーク通信回線を介して前記中継サーバとデータ通信を行うネットワーク通信手段と、前記近距離無線通信手段および前記ネットワーク通信手段を制御する通信制御手段と、前記通信制御手段が受信するジョブを実行するジョブ実行手段と、前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうち前記携帯端末装置におけるジョブの送信完了所要時間又は前記画像処理装置におけるジョブの受信完了所要時間が短時間となる通信経路を判別する判別手段と、を備え、前記通信制御手段は、前記携帯端末装置が前記近距離無線通信回線および前記ネットワーク通信回線のそれぞれを介して送信するジョブを受信すると共に、前記携帯端末装置と近距離無線通信を行うことにより前記ジョブのデータサイズを前記携帯端末装置から取得し、前記判別手段は、前記近距離無線通信回線と前記ネットワーク通信回線とのそれぞれのデータ通信速度を計測し、その計測結果と、各通信回線におけるジョブの未受信部分のデータサイズとに基づいて、前記近距離無線通信回線と前記ネットワーク通信回線とのうち受信完了所要時間が短時間となる一方を前記通信経路として判別
し、前記通信制御手段は、前記判別手段による判別結果を前記携帯端末装置に通知することにより、前記携帯端末装置に対して前記通信経路においてジョブを送信させることを特徴とする。
【0034】
請求項
29に係る発明は、請求項
26乃至
28の何れかに記載の画像処理装置において、前記判別手段は、前記通信経路におけるデータ通信速度が所定値未満である場合、それまでの通信経路とは別の通信回線を新たな通信経路として判別することを特徴とする。
【0035】
請求項
30に係る発明は、請求項
26乃至
29の何れかに記載の画像処理装置において、前記判別手段によって前記近距離無線通信回線が前記通信経路として判別された場合において、その近距離無線通信回線を介してジョブの受信が所定時間できないとき、ユーザーに対して前記携帯端末装置を前記通信可能範囲内に移動させるように所定の報知手段に案内させる案内制御手段を更に備えることを特徴とする。
【0036】
請求項
31に係る発明は、請求項
26乃至
30の何れかに記載の画像処理装置において、前記判別手段によって前記ネットワーク通信回線が前記通信経路として判別された場合、ユーザーに対して前記携帯端末装置を前記通信可能範囲外に移動させても良いことを所定の報知手段に案内させる案内制御手段を更に備えることを特徴とする。
【0037】
請求項
32に係る発明は、請求項
26乃至
31の何れかに記載の画像処理装置において、前記通信制御手段は、前記携帯端末装置と近距離無線通信を行うことによって、所定の識別情報をその携帯端末装置と共有して保持し、前記ジョブ実行手段は、前記通信制御手段が前記ネットワーク通信回線を介して前記識別情報を含むジョブを受信した場合に、そのジョブを実行することを特徴とする。
【0038】
請求項
33に係る発明は、請求項
26乃至
32の何れかに記載の画像処理装置において、前記通信制御手段は、前記携帯端末装置と近距離無線通信を行うことによって、その携帯端末装置に対して前記中継サーバのアドレス情報を送信することを特徴とする。
【0039】
請求項
34に係る発明は、請求項
26乃至
33の何れかに記載の画像処理装置において、一対の暗号鍵と復号鍵とを生成する暗号鍵生成手段を更に備え、前記通信制御手段は、前記暗号鍵を前記近距離無線通信回線を介して前記携帯端末装置に送信し、前記ジョブ実行手段は、前記通信制御手段が、暗号化されたジョブを前記ネットワーク通信回線を介して受信することに伴って、そのジョブを前記復号鍵によって復号化することを特徴とする。
請求項35に係る発明は、携帯端末装置と、その携帯端末装置からのジョブを中継する中継サーバとのそれぞれとデータ通信可能な画像処理装置であって、近距離無線通信回線を介して、その近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある前記携帯端末装置とデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線とは別のネットワーク通信回線を介して前記中継サーバとデータ通信を行うネットワーク通信手段と、前記近距離無線通信手段および前記ネットワーク通信手段を制御する通信制御手段と、前記通信制御手段が受信するジョブを実行するジョブ実行手段と、前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうち前記携帯端末装置におけるジョブの送信完了所要時間又は前記画像処理装置におけるジョブの受信完了所要時間が短時間となる通信経路を判別する判別手段と、を備え、前記通信制御手段は、前記判別手段による判別結果を前記携帯端末装置に通知することにより、前記携帯端末装置に対して前記通信経路においてジョブを送信させると共に、前記携帯端末装置と近距離無線通信を行うことによって、所定の識別情報をその携帯端末装置と共有して保持し、前記ジョブ実行手段は、前記通信制御手段が前記ネットワーク通信回線を介して前記識別情報を含むジョブを受信した場合に、そのジョブを実行することを特徴とする。
請求項36に係る発明は、請求項26乃至35のいずれかに記載の画像処理装置において、ジョブのデータサイズを記憶する記憶手段を更に備えることを特徴とする。
請求項37に係る発明は、請求項36に記載の画像処理装置において、前記記憶手段は、前記携帯端末装置がジョブを送信するよりも前にそのジョブのデータサイズを記憶することを特徴とする。
【0040】
請求項
38に係る発明は、近距離無線通信回線を介してデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線
に比べてデータ通信速度が高速であるネットワーク通信回線を介してデータ通信を行うネットワーク通信手段と、を備える画像処理装置において実行されるプログラムであって、前記画像処理装置を、前記近距離無線通信手段および前記ネットワーク通信手段を制御することにより、前記近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある携帯端末装置と、前記ネットワーク通信回線を介して前記携帯端末装置からのジョブを中継する中継サーバとのそれぞれとデータ通信を行う通信制御手段、前記通信制御手段が受信するジョブを実行するジョブ実行手段、および、前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうち前記携帯端末装置におけるジョブの送信完了所要時間が短時間である一方をそのジョブの通信経路として判別する判別手段、として機能させ、
前記判別手段は、ジョブのデータサイズと、前記携帯端末装置が前記ネットワーク通信回線を介してジョブを送信する場合に前記携帯端末装置がネットワーク通信接続を確立するための通信準備時間を含む送信完了所要時間よりも、前記携帯端末装置が前記近距離無線通信回線を介してジョブを送信する場合の送信完了所要時間が短時間となるデータサイズ閾値と、を比較し、ジョブのデータサイズが前記データサイズ閾値未満である場合には、前記近距離無線通信回線が前記通信経路であると予測して判別し、前記通信制御手段は、前記判別手段による判別結果を前記携帯端末装置に通知することにより、前記携帯端末装置に対して前記通信経路においてジョブを送信させることを特徴とする。
請求項39に係る発明は、近距離無線通信回線を介してデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線とは別のネットワーク通信回線を介してデータ通信を行うネットワーク通信手段と、を備える画像処理装置において実行されるプログラムであって、前記画像処理装置を、前記近距離無線通信手段および前記ネットワーク通信手段を制御することにより、前記近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある携帯端末装置と、前記ネットワーク通信回線を介して前記携帯端末装置からのジョブを中継する中継サーバとのそれぞれとデータ通信を行う通信制御手段、前記通信制御手段が受信するジョブを実行するジョブ実行手段、および、前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうち前記携帯端末装置におけるジョブの送信完了所要時間が短時間である一方をそのジョブの通信経路として判別する判別手段、として機能させ、前記通信制御手段は、前記携帯端末装置が前記近距離無線通信回線および前記ネットワーク通信回線のそれぞれを介して送信するジョブを受信すると共に、前記携帯端末装置と近距離無線通信を行うことにより前記ジョブのデータサイズを前記携帯端末装置から取得し、前記判別手段は、前記近距離無線通信回線と前記ネットワーク通信回線とのそれぞれのデータ通信速度を計測し、その計測結果と、各通信回線におけるジョブの未受信部分のデータサイズとに基づいて、前記近距離無線通信回線と前記ネットワーク通信回線とのうち受信完了所要時間が短時間となる一方を前記通信経路として判別し、前記通信制御手段は、前記判別手段による判別結果を前記携帯端末装置に通知することにより、前記携帯端末装置に対して前記通信経路においてジョブを送信させることを特徴とする。
請求項40に係る発明は、近距離無線通信回線を介してデータ通信を行う近距離無線通信手段と、前記近距離無線通信回線とは別のネットワーク通信回線を介してデータ通信を行うネットワーク通信手段と、を備える画像処理装置において実行されるプログラムであって、前記画像処理装置を、前記近距離無線通信手段および前記ネットワーク通信手段を制御することにより、前記近距離無線通信回線の通信可能範囲内にある携帯端末装置と、前記ネットワーク通信回線を介して前記携帯端末装置からのジョブを中継する中継サーバとのそれぞれとデータ通信を行う通信制御手段、前記通信制御手段が受信するジョブを実行するジョブ実行手段、および、前記近距離無線通信回線と、前記ネットワーク通信回線とのうち前記携帯端末装置におけるジョブの送信完了所要時間が短時間である一方をそのジョブの通信経路として判別する判別手段、として機能させ、前記通信制御手段は、前記判別手段による判別結果を前記携帯端末装置に通知することにより、前記携帯端末装置に対して前記通信経路においてジョブを送信させると共に、前記携帯端末装置と近距離無線通信を行うことによって、所定の識別情報をその携帯端末装置と共有して保持し、前記ジョブ実行手段は、前記通信制御手段が前記ネットワーク通信回線を介して前記識別情報を含むジョブを受信した場合に、そのジョブを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、携帯端末装置から画像処理装置に対してジョブ送信を行う場合に、近距離無線通信回線とネットワーク通信回線とのうちジョブの送信完了所要時間が短時間となる通信経路を判別するので、携帯端末装置におけるジョブ送信に要する時間を従来よりも短縮させることが可能になる。また、本発明によれば、近距離無線通信回線とネットワーク通信回線とのうち画像処理装置におけるジョブの受信完了所要時間が短時間となる通信経路を判別し、その判別結果を携帯端末装置に通知するので、携帯端末装置におけるジョブ送信に要する時間を従来よりも短縮させることができる。これにより、画像処理装置においてはジョブを早期に実行することが可能になるので利便性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0044】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における情報処理システム1の一構成例を示す図である。情報処理システム1は、MFPなどで構成される画像処理装置2と、ユーザーが普段携帯して使用している携帯端末装置3とを備えて構成される。画像処理装置2と携帯端末装置3とのそれぞれは、ネットワーク5を介して、ジョブを中継する中継サーバ4と通信可能である。ネットワーク5は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、公衆電話網、インターネット網などを含むネットワークである。尚、画像処理装置2、携帯端末装置3および中継サーバ4は、例示している数に限られない。
【0045】
画像処理装置2は、ネットワーク通信回線C2を介して中継サーバ4との通信を行う機能を有する。また、画像処理装置2は、そのような通信機能のほかに、コピー機能、スキャン機能、プリント機能、BOX機能およびFAX機能などの複数の機能を備えている。スキャン機能は、画像処理装置2の装置本体上部に設けられたスキャン部6を駆動して原稿の読み取り動作を行って画像データを生成する機能である。プリント機能は、画像処理装置2の装置本体中央部に設けられた印刷処理部7を駆動して印刷出力を行う機能である。コピー機能は、スキャン機能とプリント機能とが連続的に作動し、原稿の複写出力を行う機能である。BOX機能は、所定の記憶領域に各種データを記憶しておく機能であり、例えば、スキャン機能で読み取った画像データを記憶したり、ネットワーク5を介して受信するデータを記憶したりする。FAX機能は、公衆電話網を介して画像データの送受信を行う機能であり、例えば受信した画像データをBOX保存したり印刷出力したりする。
【0046】
画像処理装置2は、装置本体の正面側に、ユーザーが画像処理装置2を操作する際のユーザーインタフェースとなる操作パネル8を備えている。画像処理装置2は、例えばこの操作パネル8に対して行われるユーザーの指示操作に基づいて上述した複数の機能のうちの少なくとも1つを動作させ、ユーザーによって指定されたジョブを実行する。
【0047】
さらに画像処理装置2は、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)などにより通信可能範囲内にある特定のデバイスとの間で近距離無線通信回線C3を介して近距離無線通信を行う近距離無線通信機能を搭載している。この近距離無線通信機能により、画像処理装置2は、ユーザーが所持する携帯端末装置3との間で1対1での通信を行うことができる構成となっている。画像処理装置2は、近距離無線通信を行う相手方を常時検索しており、相手方が通信可能エリア内に存在することを検知すると自動でその相手方との通信接続を確立させる。
【0048】
一方、携帯端末装置3は、ダブレット端末やスマートフォンなどで構成される可搬型の情報処理端末であり、一人のユーザーによって占有される装置である。この携帯端末装置3は、例えば液晶パネルなどで構成され各種情報を表示するための表示部15を備えている。また携帯端末装置3は、その表示部15と一体に設けられユーザーインタフェースとなる操作入力部16を備えている。携帯端末装置3は、その表示部15において、ユーザーが操作するための操作ボタンなどを表示するようになっており、ユーザーがその操作ボタンを画面上で操作することで操作入力部16がユーザーの操作指示を検知するように構成される。
【0049】
また、携帯端末装置3は、ネットワーク5を介して中継サーバ4とのネットワーク通信回線C1を介するネットワーク通信を行うネットワーク通信機能と、上述したNFCなどにより近距離無線通信回線C3の通信可能範囲内にある特定のデバイスとの間で近距離無線通信を行う近距離無線通信機能との2つの通信機能を搭載している。例えば、携帯端末装置3は、ウェブブラウザ機能を搭載しており、ネットワーク通信回線C1を介するネットワーク通信を行うことにより、ウェブ上にある画像データなどをダウンロードし、その画像データを表示部15に表示することが可能である。そして、携帯端末装置3は、その画像データに対するユーザーからの操作指示に基づいてジョブを生成し、そのジョブを必要に応じて近距離無線通信回線C3を介して画像処理装置2に送信したり、或いは、ネットワーク通信回線C1を介して中継サーバ4に送信したりする。
【0050】
中継サーバ4は、例えばインターネット上に設置されるサーバであり、主に、ネットワーク通信回線C1を介して受信する携帯端末装置3からのジョブをネットワーク通信回線C2を介して画像処理装置2に転送するサービスを提供するためのものである。但し、これに限られず、例えば、中継サーバ4は、社内LANなどに接続されるプリントサーバなどであっても良い。尚、「ジョブ」には、画像処理装置2に画像データの印刷出力を行わせるための印刷ジョブ、画像処理装置2に画像データのFAX送信を行わせるためのFAXジョブ、画像処理装置2に画像データのBOX保存を行わせるためのBOXジョブなどが含まれる。以下の説明では、「ジョブ」が印刷ジョブである場合を例示する。また、以下においては、ネットワーク通信回線C1およびC2を区別する必要が無い場合には、単に「ネットワーク通信回線」と称する。
【0051】
次に、本実施形態の概要について説明する。携帯端末装置3は、ユーザーによる印刷指示を検知すると、例えばそのときウェブブラウザが表示部15に表示させている画像データに基づいて印刷ジョブを生成する。このときユーザーは、例えば予め指定されている画像処理装置2の所定部位に携帯端末装置3をかざす。これにより、携帯端末装置3が画像処理装置2の近距離無線通信可能範囲内に位置することとなり、携帯端末装置3と画像処理装置2とが自動で近距離無線通信接続を確立させる。このとき、携帯端末装置3と画像処理装置2との間で画像データの印刷出力を行うのに必要な情報が近距離無線通信回線C3を介して交換される。その後、携帯端末装置3は、近距離無線通信回線C3とネットワーク通信回線とのうち、その印刷ジョブの送信完了所要時間が短時間となる一方を通信経路として判別する。
【0052】
ここで、携帯端末装置3は、上述したように、ネットワーク通信の他に近距離無線通信を行うことが可能である。そのため、印刷ジョブの送信ルートとしては、ネットワーク通信回線と近距離無線通信回線C3との2つの送信ルートが存在する。但し、ネットワーク通信回線を利用する場合、例えば、携帯端末装置3は、中継サーバ4のアドレスにアクセスして接続要求を行い、中継サーバ4からその接続要求に対する許可応答を経て、はじめて印刷ジョブを送信することが可能な接続状態となる。すなわち携帯端末装置3と中継サーバ4とのネットワーク通信回線が確立するまでには、中継サーバ4が接続要求を許可するためのある程度の時間を要する。一方、近距離無線通信においては、携帯端末装置3と画像処理装置2とで1対1でのデータ通信が行われるため、携帯端末装置3と画像処理装置2は、比較的短時間で相手方を特定することができる。そのため、近距離無線通信を利用する場合、上述したネットワーク通信回線に比べると短時間で通信接続が確立する。これにより携帯端末装置3は、近距離無線通信回線C3を利用することにより、ネットワーク通信回線に比べて早期に印刷ジョブの送信を開始することができる。
【0053】
しかし、近距離無線通信回線C3は、一般的にネットワーク通信回線よりもデータ通信速度が遅いので、常に近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを送信すると、却ってネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを送信するよりも送信完了まで時間がかかる可能性がある。これに対して、ネットワーク通信回線は、一般的に近距離無線通信回線C3に比べるとデータ通信速度が高速であるが、上述したように近距離無線通信回線C3に比べて印刷ジョブの送信開始が遅れるので、常にネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを送信すると、却って近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを送信するよりも送信完了までの時間がかかる可能性がある。
【0054】
そこで、携帯端末装置3は、近距離無線通信回線C3がデータ通信可能になるタイミングと、その近距離無線通信回線C3よりもデータ通信速度の速いネットワーク通信回線がデータ通信可能なるタイミングとの時間差を考慮して、近距離無線通信回線C3とネットワーク通信回線とのうち印刷ジョブの送信完了所要時間が短時間となる一方を通信経路として判別する。これにより、そのような通信経路判別を行わない従来に比べて印刷ジョブの送信完了所要時間を短縮させることができるので、画像処理装置2において印刷ジョブを早期に実行することが可能となる。
【0055】
なお、上述した時間差は、本実施形態の概念を説明するための一例であり、近距離無線通信とネットワーク通信とで同時に接続要求を行うことを想定した場合に起こり得る時間差である。但し、本実施形態では、近距離無線通信とネットワーク通信とで同時に接続要求を行うのではなく、既に近距離無線通信接続が確立されている状態でネットワーク通信の接続要求を行う場合を例示する。すなわち、本実施形態においては、まず近距離無線通信回線C3を介して印刷出力に必要な情報が交換されてから上記通信経路の判別が行われる。つまり、通信経路の判別時においては、既に近距離無線通信接続が確立されているので直ちに近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを送信することができる。一方、ネットワーク通信回線においては、後述するように近距離無線通信回線C3を介して交換した情報に基づいて接続要求が行われる。そのため、近距離無線通信回線C3において印刷ジョブが送信可能になったタイミングから、ネットワーク通信回線において印刷ジョブが送信可能になるまでには、ネットワーク通信回線において接続要求が行われてから通信接続が確立するまでのネットワーク通信回線における通信準備時間だけ時間差が生じる。
【0056】
そこで、本実施形態では、携帯端末装置3は、近距離無線通信回線C3とネットワーク通信回線とのうち、上記通信準備時間を考慮して印刷ジョブの送信完了所要時間が短時間となる通信経路を判別し、その通信経路において印刷ジョブを送信する。なお、この場合、既に近距離無線通信接続が確立された後に、ネットワーク通信の接続要求を行うので、上述した近距離無線通信とネットワーク通信とで同時に接続要求を行う場合に比べて、近距離無線通信回線C3とネットワーク通信回線との上記時間差は更に長くなる。以下、そのように構成される情報処理システム1について詳しく説明する。
【0057】
図2は、携帯端末装置3のハードウエア構成の一例を示す図である。携帯端末装置3は、制御部21と、ネットワーク通信制御部11と、近距離無線通信制御部12と、記憶部22と、上述した表示部15および操作入力部16とを備えている。尚、携帯端末装置3がスマートフォンなどで構成される場合には、この他にも電話通話を行うためのマイクやスピーカなどが設けられる。
【0058】
制御部21は、CPU21aとメモリ21bとを備えており、各部の動作を制御するものである。CPU21aは、例えば制御部21が起動することに伴って記憶部22に記憶されているプログラム23などを読み出して実行する。プログラム23は、制御部21を後述する各処理部として機能させるためのプログラムである。メモリ21bは、CPU21aがプログラム23などを実行することに伴う一時的なデータなどを記憶するものである。
【0059】
ネットワーク通信制御部11は、制御部21がネットワーク通信回線C1を介してネットワーク通信を行う場合に、その通信制御を行うものである。すなわち携帯端末装置3がネットワーク通信回線C1を介して中継サーバ4とのネットワーク通信を行う場合には、このネットワーク通信制御部11を介してデータの送受信が行われる。
【0060】
近距離無線通信制御部12は、制御部21が画像処理装置2との間で近距離無線通信回線C3を介して近距離無線通信を行う場合に、その通信制御を行う処理部である。この近距離無線通信制御部12は、画像処理装置2との間で近距離無線通信を行うことができる状態になると、それを自動検知して制御部21に通知する。制御部21は、この通知を受けると画像処理装置2との通信接続を確立させる。これにより制御部21は、近距離無線通信制御部12を介して画像処理装置2と近距離無線通信を行うことができるようになる。
【0061】
表示部15は、上述したように、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成され、ユーザーに対して各種情報を表示する。また、操作入力部16は、その表示部15の表示画面上に配置されるタッチパネルセンサーなどで構成され、携帯端末装置3のユーザーからの入力操作を検知する。
【0062】
記憶部22は、例えばソリッドステートドライブ(SSD)などで構成される不揮発性の記憶装置である。この記憶部22は、上述したプログラム23を記憶すると共に、画像データ記憶部24、閾値情報記憶部25、および、識別情報記憶部26を備えている。画像データ記憶部24は、例えば上述したウェブブラウザがダウンロードしたウエブページなど、印刷候補となる1又は複数の画像データを記憶する。閾値情報記憶部25は、印刷ジョブの通信経路を判別する際の判別基準となるデータサイズ閾値を記憶する。データサイズ閾値については後述する。識別情報記憶部26は、画像処理装置2の識別情報(以下「画像処理装置ID」と称する)と、中継サーバ4のアドレス情報とを記憶する。画像処理装置IDおよびアドレス情報は、近距離無線通信回線C3を介して画像処理装置2から取得する情報である。画像処理装置IDは、中継サーバ4が、印刷ジョブを実行する画像処理装置2を特定するための識別情報である。また、アドレス情報は、携帯端末装置3が中継サーバ4にアクセスする際に、その中継サーバ4を特定するための識別情報であり、例えば、中継サーバ4のURL(Uniform Resource Locator)である。
【0063】
図3は、上記のようにしてCPU21aがプログラム23を起動させた状態における制御部10の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部21は、上述したプログラム23を実行することにより、画像データの印刷ジョブを生成する印刷ジョブ生成部31、ネットワーク通信制御部11および近距離無線通信制御部12を制御する通信制御部32、および、表示部15に各種情報を表示させる表示制御部33として機能する。通信制御部32は、ネットワーク通信回線および近距離無線通信回線C3のうち一方を通信経路として判別する判別部32aと、印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信部32bとを備えている。更に、印刷ジョブ送信部32bは、一対の暗号鍵および復号鍵を生成する暗号鍵生成部32cを備えている。制御部21は、操作入力部16を介してユーザーによる印刷指示を検知すると各処理部が連携して以下のように処理を行う。
【0064】
まず、操作入力部16がユーザーによる印刷指示を検知すると、表示制御部33が機能する。表示制御部33は、そのとき画像処理装置2と携帯端末装置3との近距離無線通信が確立されているか否かを判断し、近距離無線通信が確立されていない状態であれば、ユーザーに対して携帯端末装置3を近距離無線通信回線C3の通信可能範囲内に移動するように案内する案内画面を表示部15に表示させる。そして通信制御部32は、画像処理装置2との近距離無線通信が接続できる状態になると、その近距離無線通信を確立させる。
【0065】
表示制御部33は、上記のようにして近距離無線通信が確立された場合、又は、印刷指示を検知したとき既に画像処理装置2との近距離無線通信が確立されている場合、ユーザーに印刷設定を行わせるための印刷設定画面を表示部15に表示させる。例えば、表示制御部33は、予め所定の記憶領域に記憶されている印刷設定画面を上記記憶領域から読出して表示部15に表示させる。又は、表示制御部33は、通信制御部32を介して画像処理装置2と近距離無線通信を行うことによって、画像処理装置2に対して印刷設定画面の送信要求を行い、その画像処理装置2から近距離無線通信回線C3を介して印刷設定画面を取得しても良い。
【0066】
印刷設定画面に対してユーザーによる印刷設定が行われると、その指示操作は、操作入力部16を介して通信制御部32が検知する。通信制御部32は、印刷設定を検知すると、印刷設定情報を近距離無線通信回線C3を介して画像処理装置2に送信する。一方、画像処理装置2は、近距離無線通信回線C3を介して携帯端末装置3から印刷設定情報を受信すると、その印刷設定情報を記憶する。これにより、後に画像処理装置2が印刷ジョブを受信した場合に、その印刷ジョブの印刷設定に基づき印刷出力を行うことができる。但し、これに限られず、通信制御部32は、印刷設定情報を一時的に図示しない記憶領域に記憶させ、後述する印刷ジョブ生成部31が生成する印刷ジョブに上記印刷設定情報を含めても良い。
【0067】
次に通信制御部32は、後に通信経路がネットワーク通信回線として判別される場合に備えて、近距離無線通信回線C3を介して画像処理装置2に対して画像処理装置IDおよびアドレス情報(以下、各情報をまとめて「識別情報」と称する)の送信要求を行う。そして通信制御部32は、画像処理装置2からの識別情報を近距離無線通信回線C3を介して受信すると、その識別情報を識別情報記憶部26に記憶させる。
【0068】
但し、画像処理装置IDは、上述したように中継サーバ4が画像処理装置2を特定するためのものであるので、例えば中継サーバ4が、予め設定された1つの画像処理装置2を常に利用する場合など、中継サーバ4が、印刷ジョブを実行する画像処理装置2を予め把握しているような場合には必ずしも必要ではない。また、アドレス情報は、携帯端末装置3が中継サーバ4を特定するためのものであるので、例えば、携帯端末装置3が毎回同一の中継サーバ4に対して印刷ジョブを送信するような場合には必ずしも必要ではない。
【0069】
識別情報記憶部26に識別情報が記憶されると、次に印刷ジョブ生成部31が機能する。印刷ジョブ生成部31は、上記識別情報記憶部26から識別情報を読出すと共に、画像データ記憶部24から印刷指示に基づく画像データを読出す。そしてその画像データに識別情報を関連づけた印刷ジョブを生成する。印刷ジョブ生成部31は、印刷ジョブを生成すると、その印刷ジョブのデータサイズを測定し、そのデータサイズと印刷ジョブとを例えばメモリ21bに一時的に記憶させる。このデータサイズは、後述するように通信経路を判別する際にデータサイズ閾値と共に参照される情報である。
【0070】
上記のようにして印刷ジョブと、その印刷ジョブのデータサイズとがメモリ21bに記憶されると、次に判別部32aが機能する。判別部32aは、まずメモリ21bから印刷ジョブのデータサイズを読出すと共に、閾値情報記憶部25からデータサイズ閾値を読出して、印刷ジョブのデータサイズが所定値未満であるか否かに基づいて通信経路を判別する。所定値は、例えば、近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを送信する方がネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを送信するよりも短時間となる印刷ジョブのデータサイズを判別するためのデータサイズ閾値である。以下、データサイズ閾値について説明する。
【0071】
図4は、印刷ジョブのデータサイズと、携帯端末装置3における印刷ジョブの送信完了所要時間との関係を示す図である。縦軸は印刷ジョブのデータサイズ(B)であり、横軸は時間(t)である。また、図例では、ネットワーク通信回線は、近距離無線通信回線C3に比べてデータ通信速度が高速であり、また、携帯端末装置3がネットワーク通信回線を介して印刷ジョブの送信が開始できるようになるまで、通信準備時間Txだけ近距離無線通信回線C3における印刷ジョブの送信開始よりも遅れる場合を例示している。そのため、データサイズがある程度小さい場合には、ネットワーク通信回線よりもデータ通信速度の遅い近距離無線通信回線C3の方が印刷ジョブの送信完了時間が短時間となるケースが存在する。データサイズ閾値は、そのような通信準備時間Txを含むネットワーク通信回線を介する送信完了所要時間よりも、近距離無線通信回線C3を介する送信完了所要時間が短時間となるデータサイズの閾値である。
【0072】
具体的に説明すると、
図4では、タイミングT1において近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの送信を開始し、タイミングT1から通信準備時間Txだけ遅れてタイミングT3においてネットワーク通信回線を介して印刷ジョブの送信を開始した場合が想定されている。タイミングT1において印刷ジョブが生成されたとき、上述したように既に近距離無線通信回線C3の通信接続は確立されているので、そのタイミングT1において近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの送信を行うことが可能である。そこで、タイミングT1において近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを送信すると、印刷ジョブのデータサイズがサイズB1である場合にはネットワーク通信回線の通信接続が確立するタイミングT3よりも前のタイミングT2において印刷ジョブの送信は完了する。すなわち、通信準備時間Tx内に送信が完了できるデータサイズであれば、近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを送信する方がネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを送信するよりも送信完了時間が短時間となる。
【0073】
また、ネットワーク通信回線の通信接続が確立した後であっても近距離無線通信回線C3の方がネットワーク通信回線よりも短時間で印刷ジョブを送信することができる場合がある。例えば、印刷ジョブのデータサイズがサイズB2であるとすると、近距離無線通信回線C3においてはタイミングT4において送信が完了する一方、ネットワーク通信回線においては上記タイミングT4に遅れてタイミングT5において送信が完了する。この場合にも近距離無線通信回線C3がネットワーク通信回線よりも通信完了所要時間が短時間となる。
【0074】
そして、印刷ジョブのデータサイズがサイズBxである場合、
図4に示すように、近距離無線通信回線C3ではタイミングT6において印刷ジョブの送信が完了し、同様に、ネットワーク通信回線でもタイミングT6において印刷ジョブの送信が完了する。すなわち、近距離無線通信回線C3の通信速度線と、ネットワーク通信回線の通信速度線とが交わる点PにおけるサイズBxが、近距離無線通信回線C3とネットワーク通信回線とで印刷ジョブの送信完了所要時間がほぼ同時となるデータサイズである。一方、データサイズがサイズBxを超えるデータサイズである場合には、近距離無線通信回線C3は、ネットワーク通信回線よりも送信完了所要時間が遅れることになる。従って、上記サイズBxをデータサイズ閾値として予め設定しておくことで、印刷ジョブの送信前に通信経路を正確に判別することが可能となる。
【0075】
上記のようなデータサイズ閾値は、例えば、各通信回線のデータ通信速度と、通信準備時間Txとに基づいて予め算出され、閾値情報記憶部25に記憶される。各通信回線のデータ通信速度および通信準備時間Txは、例えば理論値である。すなわち、この場合、常に同一のデータサイズ閾値に基づいて通信経路判別が行われることになる。但し、これに限らず、各通信回線のデータ通信速度および通信準備時間Txは、例えば過去の平均値などであっても良い。そして、それら平均値に基づいて定期的にデータサイズ閾値の最新情報が更新されるように構成しても良い。
【0076】
図3に戻って、判別部32aは、通信経路を判別する際、上述したデータサイズ閾値に基づいて、印刷ジョブのデータサイズがデータサイズ閾値未満である場合には、近距離無線通信回線C3を通信経路として判別し、一方、印刷ジョブのデータサイズがデータサイズ閾値を上回る場合には、ネットワーク通信回線を通信経路として判別する。尚、印刷ジョブのデータサイズがデータサイズ閾値と同一である場合には、いずれの通信回線を通信経路としても構わない。以下においては、印刷ジョブのデータサイズがデータサイズ閾値である場合、ネットワーク通信回線が通信経路である場合を例示する。
【0077】
印刷ジョブ送信部32bは、判別部32aが上記のようにして判別結果を導出すると、メモリ21bから印刷ジョブを読出し、その判別結果に基づく通信経路において印刷ジョブの送信を開始する。例えば、印刷ジョブ送信部32bは、近距離無線通信回線C3が通信経路として判別されると、近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの送信を開始する。一方、印刷ジョブ送信部32bは、ネットワーク通信回線が通信経路として判別されると、メモリ21bから印刷ジョブを読出すと共に、その印刷ジョブに含まれているアドレス情報に基づいて中継サーバ4を特定する。そして印刷ジョブ送信部32bは、その中継サーバ4とのネットワーク通信接続を開始する。つまり印刷ジョブ送信部32bは、ネットワーク通信回線を介して中継サーバ4に対して接続要求を行い、中継サーバ4と所定のネゴシエーションを完了させた後に、その中継サーバ4とのネットワーク通信接続を確立させる。ネットワーク通信接続が確立すると、印刷ジョブ送信部32bは、その中継サーバ4に対して印刷ジョブを送信する。これにより、事前判別された通信経路において印刷ジョブが送信されるので、他方の通信回線を介して印刷ジョブを送信する場合に比べて短時間でその印刷ジョブの送信を完了させることができる。
【0078】
また、ネットワーク通信回線を介して印刷ジョブの送信が開始される場合、ユーザーに対して携帯端末装置3を近距離無線通信回線C3の通信可能範囲外に移動させても良いことを案内しても良い。すなわち、この場合、表示制御部33は、案内制御部として機能し、判別部32aによってネットワーク通信回線が通信経路として判別されると、携帯端末装置3を近距離無線通信回線C3の通信可能範囲外に移動させても良いことを案内する案内画面を表示部15に表示させる。例えば、ユーザーが画像処理装置2の所定部位に対して携帯端末装置3をかざす姿勢を保持することで近距離無線通信が行われるような場合、表示制御部33は、その姿勢を解除しても良いことを案内する。これにより、ユーザーは、その姿勢から解放されるので、身体的負担が軽減される。
【0079】
また、ネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを送信する場合、セキュリティを向上させるべくその印刷ジョブを暗号化しても良い。この場合、暗号鍵生成部32cが機能する。すなわち暗号鍵生成部32cは、判別部32aによってネットワーク通信回線が通信経路として判別されると、一対の暗号鍵と複合鍵とを生成する。そして印刷ジョブ送信部32bは、印刷ジョブ生成部31によって生成された印刷ジョブを上記暗号鍵で暗号化する。印刷ジョブ送信部32bは、暗号鍵生成部32cによって印刷ジョブが暗号化されると、そのときネットワーク通信回線が確立されていることを条件として、ネットワーク通信回線を介して、暗号化された印刷ジョブを中継サーバ4に送信する。一方、暗号鍵生成部32cは、生成した複合鍵を近距離無線通信回線C3を介して画像処理装置2に送信する。但し、近距離無線通信回線C3を介する復号鍵の送信タイミングは、上述した姿勢解除の案内が行われる前である。また、一対の暗号鍵と複合鍵とを生成するタイミングは、通信経路の判別後に限られず、後述するように、通信経路の判別前の場合もある。
【0080】
ところで、上記の処理は、印刷ジョブを送信する前に通信経路を予想して判別する処理である。そのため、例えば通信経路として判別された通信回線に通信障害が発生したり、当該通信回線がビジー状態であったりすることにより、例えば実際のデータ通信速度が上記理論値等よりも遅い可能性がある。この場合、予想された送信完了所要時間までに印刷ジョブの送信が完了しないこともあり得る。そこで、携帯端末装置3は、通信経路において印刷ジョブを送信した後、データ通信速度を計測し、そのデータ通信速度が所定値未満であるか否かに基づいて、再度通信経路を判別しても良い。
【0081】
すなわち、判別部32aは、印刷ジョブ送信部32bが印刷ジョブの送信を開始することに伴ってデータ通信速度の計測を開始し、そのデータ通信速度が所定値未満であるか否かを定期的に判断する。所定値は、例えば、そのとき通信経路として判別されている通信回線とは別の通信回線のデータ通信速度の理論値である。一例を挙げると、各通信回線のデータ通信速度の理論値は、図示しない記憶領域に予め記憶されている。印刷ジョブ送信部32bは、近距離無線通信回線C3が通信経路として事前判別された場合、その近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの送信を開始した後、上記記憶領域からネットワーク通信回線のデータ通信速度の理論値を読出して、近距離無線通信回線C3におけるデータ通信速度と、ネットワーク通信回線のデータ通信速度の理論値とを比較する。そして印刷ジョブ送信部32bは、近距離無線通信回線C3におけるデータ通信速度が、上記理論値よりも遅いことを検知すると、近距離無線通信回線C3による印刷ジョブの送信を中止すると共に、それまで近距離無線通信回線C3を介して送信した印刷ジョブの未送信部分をネットワーク通信回線に引き継いで送信する。但し、このときからネットワーク通信接続を開始すると、ネットワーク通信接続が確立するまでの時間だけ送信完了所要時間が遅延してしまう。そこで、予め、例えば通信経路が近距離無線通信回線C3と判別された場合であってもネットワーク通信接続を確立させても良い。
【0082】
一方、ネットワーク通信回線が通信経路として事前判別された場合において、そのネットワーク通信回線におけるデータ通信速度が、近距離無線通信回線C3のデータ通信速度の理論値よりも遅い場合、印刷ジョブ送信部32bは、ネットワーク通信回線を介する印刷ジョブの送信を中止すると共に、それまでネットワーク通信回線を介して送信した印刷ジョブの未送信部分を近距離無線通信回線C3に引き継いで送信する。但し、この場合、上述した姿勢解除の案内が行われていると、近距離無線通信回線C3の通信可能範囲外に携帯端末装置3が移動されている場合がある。そこで表示制御部33は、通信制御部32が近距離無線通信を所定時間行うことができないとき、近距離無線通信回線C3の通信可能範囲内に携帯端末装置3を移動するように案内する案内画面を表示部15に表示させても良い。これによりユーザーに対して、近距離無線通信の通信可能範囲内に携帯端末装置3を移動させることができる。
【0083】
中継サーバ4は、携帯端末装置3からの印刷ジョブを受信すると、その印刷ジョブに含まれている画像処理装置IDに基づいて、印刷ジョブを実行する画像処理装置2を特定する。そして中継サーバ4は、画像処理装置2とのネットワーク通信接続を開始し、その通信接続が確立することに伴って印刷ジョブを画像処理装置2に転送する。但し、中継サーバ4が印刷ジョブを受信してから画像処理装置2とのネットワーク通信接続を開始すると、その通信接続を確立するのに要する時間だけ印刷ジョブの送信完了所要時間が遅延する。そこで、例えば、画像処理装置2が常に同一の中継サーバ4を利用するような場合には、予め中継サーバ4と画像処理装置2とのネットワーク通信接続を確立させておいても良い。これにより中継サーバ4が印刷ジョブを受信すると直ちに画像処理装置2への転送を開始することができるようになる。
【0084】
次に、画像処理装置2について説明する。
【0085】
図5は、画像処理装置2のハードウエア構成の一例を示す図である。画像処理装置2は、制御部41と、ネットワーク通信制御部42と、近距離無線通信制御部43と、記憶装置45とを備えると共に、上述したスキャン部6、印刷処理部7および操作パネル8を備え、それらがバス50を介して接続されることにより相互に通信可能に構成される。
【0086】
制御部41は、CPU41aとメモリ41bとを備えており、各部の動作を制御するものである。CPU41aは、記憶装置45に記憶されているプログラム46などを読み出して実行する。プログラム46は、制御部41を後述する各種処理部として機能させるためのプログラムである。メモリ41bは、CPU41aがプログラム46などを実行することに伴う一時的なデータなどを記憶するものである。
【0087】
ネットワーク通信制御部42は、制御部41がネットワーク通信回線C2を介してネットワーク通信を行う場合に、その通信制御を行うものである。すなわち画像処理装置2がネットワーク5を介して中継サーバ4とデータ通信を行う場合には、このネットワーク通信制御部42を介してデータの送受信が行われる。
【0088】
近距離無線通信制御部43は、制御部41が携帯端末装置3との間で近距離無線通信回線C3を介して近距離無線通信を行う場合に、その通信制御を行う処理部である。この近距離無線通信制御部43は、携帯端末装置3との間で近距離無線通信を行うことができる状態になると、それを自動検知して制御部41に通知する。制御部41は、この通知を受けると携帯端末装置3との通信接続を確立させる。これにより制御部41は、近距離無線通信制御部43を介して携帯端末装置3と近距離無線通信を行うことができるようになる。
【0089】
操作パネル8は、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成され、各種情報を表示する表示部と、その表示部の表示画面上に配置されるタッチパネルセンサーなどで構成され、ユーザーによる操作を検知する操作入力部とを備えている。
【0090】
記憶装置45は、例えばハードディスク装置などで構成される不揮発性の記憶装置である。この記憶装置45は、上述したプログラム46を記憶すると共に、携帯端末装置3からの印刷ジョブを記憶する印刷ジョブ記憶部47と、識別情報を記憶する識別情報記憶部48と、を備えている。なお、識別情報記憶部48には、予め画像処理装置IDとアドレス情報とが記憶されている。
【0091】
図6は、制御部41の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部41は、上述したCPU41aがプログラム46を実行することにより、通信制御部51、印刷制御部52(本発明のジョブ実行手段)およびパネル制御部53として機能する。
【0092】
通信制御部51は、ネットワーク通信制御部42および近距離無線通信制御部43を制御する。そして通信制御部51は、ネットワーク通信制御部42を介する中継サーバ4とのデータ通信と、近距離無線通信制御部43を介する携帯端末装置3とのデータ通信とを必要に応じて行う。
【0093】
印刷制御部52は、印刷処理部7を制御することにより、通信制御部51が受信する印刷ジョブを実行する。これにより印刷処理部7において印刷出力が行われる。例えば、印刷制御部52は、印刷ジョブに含まれる画像データのRIP(Raster Image Processing)処理を行うと共に、その印刷ジョブにおいて指定されている印刷設定に基づいて印刷処理部7に印刷出力を行わせる。
【0094】
パネル制御部53は、操作パネル8を制御する。すなわちパネル制御部53は、ユーザーによる操作パネル8への操作指示を検知すると共に、その操作指示に基づく表示画面を操作パネル8に表示させる。
【0095】
以下、上記のように構成される各処理部が連携して行う処理について説明する。
【0096】
通信制御部51は、近距離無線通信制御部43が携帯端末装置3との近距離無線通信を自動接続すると、近距離無線通信回線C3を介して携帯端末装置3とデータ通信を開始する。例えば、通信制御部51は、携帯端末装置3からの印刷設定画面の送信要求を受信すると、所定の記憶領域から印刷設定画面を読出して携帯端末装置3に送信する。また、通信制御部51は、携帯端末装置3から近距離無線通信回線C3を介して印刷設定情報を受信すると、その印刷設定情報を印刷ジョブ記憶部47に記憶させる。次に通信制御部51は、識別情報(画像処理装置ID,アドレス情報)を識別情報記憶部48から読み出して、近距離無線通信回線C3を介して携帯端末装置3に送信する。
【0097】
上記のようにして、識別情報を画像処理装置2に送信すると、携帯端末装置3において上述した判別処理が行われることになる。そこで、通信制御部51は、例えばこのタイミングで中継サーバ4とネットワーク通信接続を確立させても良い。これにより中継サーバ4が早期にネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを送信することができる。但し、画像処理装置2と中継サーバ4とのネットワーク通信接続は、上記タイミングに限られず、画像処理装置2が起動することに伴って行っても良いし、上記のように中継サーバ4が携帯端末装置3からの印刷ジョブを受信することに伴ってその中継サーバ4から送信される接続要求を受信した場合に行っても良い。
【0098】
そして通信制御部51は、携帯端末装置3が近距離無線通信回線C3又はネットワーク通信回線を介して送信する印刷ジョブを受信するまで待機し、近距離無線通信回線C3又はネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを受信すると、その印刷ジョブを印刷ジョブ記憶部47に記憶させる。但し、通信制御部51は、印刷ジョブが送信される前に、近距離無線通信回線C3を介して、その印刷ジョブの復号鍵を受信することもある。この場合、通信制御部51は、その復号鍵を印刷ジョブ記憶部47に記憶させる。
【0099】
印刷ジョブが印刷ジョブ記憶部47に記憶されると、次に印刷制御部52が機能する。印刷制御部52は、印刷設定情報を印刷ジョブ記憶部47から読出して、その印刷設定情報に基づいて印刷ジョブを実行する。このとき、その印刷ジョブは暗号化されている場合があるが、その場合、印刷制御部52は、復号鍵を印刷ジョブ記憶部47から読み出し、その復号鍵で印刷ジョブを復号化して印刷ジョブを実行する。また、上述したように、携帯端末装置3において通信経路を切り替えて印刷ジョブが送信される場合があるが、その場合の具体的な処理については後述する。
【0100】
ここで、上記の例では、携帯端末装置3と画像処理装置2とが近距離無線通信を行うことによって画像処理装置2が携帯端末装置3に識別情報を送信する処理について例示した。但し、携帯端末装置3が識別情報を予め保持しているような場合には、必ずしも事前に近距離無線通信を行う必要がないので、上記のような処理手順を経ずに、携帯端末装置3から中継サーバ4を介して印刷ジョブを画像処理装置2に送信することができる。この場合、近距離無線通信を行う必要がないので、ユーザーは、例えば、出先からでも携帯端末装置3から印刷ジョブを中継サーバ4経由で画像処理装置2に送信することが可能である。しかし、そのような場合、画像処理装置2の近くに印刷ジョブの送信元ユーザーが存在しなくても印刷出力を行うことが可能となるため、印刷物を第三者に読まれてしまう可能性がありセキュリティ上好ましくない。そこで、以下のように、携帯端末装置3と画像処理装置2とが近距離無線通信を行うことを条件として画像処理装置2に印刷出力を行わせるための所定の識別情報(以下「ジョブ識別情報」と称する)を互いに共有して保持し、画像処理装置2がそのジョブ識別情報を含む印刷ジョブを受信した場合に、その印刷ジョブを実行するように構成しても良い。なお、ジョブ識別情報は、携帯端末装置3と画像処理装置2とが互いに一の印刷ジョブに関するデータ通信処理であることを特定するためのセッション情報などであっても良い。
【0101】
画像処理装置2において通信制御部51は、携帯端末装置3との近距離無線通信回線C3を行うことに伴って識別情報を携帯端末装置3に送信する際、ジョブ識別情報を生成して識別情報記憶部48に記憶させると共に、そのジョブ識別情報を上記識別情報と共に携帯端末装置3に送信する。
【0102】
一方、携帯端末装置3において通信制御部51は、近距離無線通信回線C3を介して受信したジョブ識別情報を含む識別情報を識別情報記憶部26に記憶させる。これにより携帯端末装置3と画像処理装置2とで近距離無線通信回線C3を介してジョブ識別情報を互いに保持した状態となる。そして、印刷ジョブ生成部31は、印刷ジョブを生成する際、ジョブ識別情報を含む識別情報と画像データとに基づいてジョブ識別情報を含む印刷ジョブを生成する。印刷ジョブ送信部32bは、ジョブ識別情報を含む印刷ジョブを通信経路において送信する。
【0103】
画像処理装置2において通信制御部51は、印刷ジョブを受信すると、上記と同様にその印刷ジョブを印刷ジョブ記憶部47に記憶させる。印刷制御部52は、通信制御部51が印刷ジョブを印刷ジョブ記憶部47に記憶させると、識別情報記憶部48を検索し、識別情報記憶部48に記憶されているジョブ識別情報と同一のジョブ識別情報をその印刷ジョブが含んでいるか否かを判断する。そして、印刷制御部52は、識別情報記憶部48に記憶されているジョブ識別情報と同一のジョブ識別情報をその印刷ジョブが含んでいる場合にその印刷ジョブを実行する。一方、印刷制御部52は、識別情報記憶部48に記憶されているジョブ識別情報と同一のジョブ識別情報を印刷ジョブが含んでいない場合には印刷ジョブを実行しない。これにより、近距離無線通信を行わないで送信された印刷ジョブを実行しないので、印刷ジョブの送信元ユーザーが画像処理装置2の近くに存在しない場合に印刷出力が行われてしまうことを防止することができる。
【0104】
図7,
図8は、情報処理システム1が中継サーバ4とデータ通信を行う場合のプロセスの一例を示すシーケンス図である。
図7は、近距離無線通信回線C3が通信経路として判別される場合を例示し、
図8は、ネットワーク通信回線が通信経路として判別される場合を例示している。上記の説明では、画像処理装置2と中継サーバ4とのネットワーク通信接続のタイミングを幾つか例示したが、以下においては、画像処理装置2の起動に伴って中継サーバ4とのネットワーク通信接続が確立される場合を例示する。
【0105】
図7に示すように、まず、画像処理装置2は、起動することに伴って中継サーバ4とネットワーク通信接続を確立させる(プロセスP1)。その状態で携帯端末装置3は、ユーザーからの印刷指示を検知すると(プロセスP2)、画像処理装置2との近距離無線通信接続を確立させる(プロセスP3)。尚、このとき既に画像処理装置2との近距離無線通信が確立している場合には、上記接続確立のための処理を行う必要はない。
【0106】
次に、携帯端末装置3は、印刷ジョブのデータサイズとデータサイズ閾値とに基づいて通信経路を判別する(プロセスP4)。このとき、例えば、近距離無線通信回線C3が通信経路として判別されると、携帯端末装置3は、近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを画像処理装置2に送信する(プロセスP5)。画像処理装置2は、印刷ジョブの受信が完了すると印刷出力を行う(プロセスP6)。
【0107】
図8に示すように、ネットワーク通信回線が通信経路として判別される場合も、プロセスP11〜P14までは上記と同様である。そして、携帯端末装置3は、ネットワーク通信回線を通信経路として判別すると、中継サーバ4とネットワーク通信接続を確立させ(プロセスP15)、中継サーバ4に対して印刷ジョブを送信する(プロセスP16)。中継サーバ4は、その印刷ジョブを画像処理装置2に転送する(プロセスP17)。画像処理装置2は、印刷ジョブの受信が完了すると印刷出力を行う(プロセスP18)。
【0108】
図9,
図10は、携帯端末装置3の制御部21において実行される処理のフローチャートである。制御部21は、起動することに伴ってプログラム23を実行すると、ユーザーからの印刷指示を検知するまで待機する(ステップS1のNO)。制御部21は、印刷指示を検知すると(ステップS1のYES)、そのとき既に近距離無線通信回線C3が確立されているか否かを判断する(ステップS2)。制御部21は、近距離無線通信回線C3が未だ確立されていない場合(ステップS2のNO)、ユーザーに対して携帯端末装置3を近距離無線通信回線C3の通信可能範囲内に移動させるように報知する。そして、制御部21は、近距離無線通信の相手方となる画像処理装置2を検知すると、その画像処理装置2との近距離無線通信接続を確立させる(ステップS4)。尚、制御部21は、ステップS2において、既に近距離無線通信接続が確立されている場合(ステップS2のYES)、ステップS3,S4をスキップする。制御部21は、次に、ユーザーに印刷設定を行わせた後、画像処理装置2から識別情報を取得する(ステップS5)。
【0109】
次に、制御部21は、画像データ記憶部24から印刷対象となる画像データを読み出すと共に(ステップS6)、識別情報記憶部26から識別情報を読出して(ステップS7)、印刷ジョブを生成する(ステップS8)。次に制御部21は、通信経路を判別するための通信経路判別処理を行う(ステップS9)。
【0110】
図10は、通信経路判別処理のフローチャートである。まず制御部21は、閾値情報記憶部25からデータサイズ閾値を読出す(ステップS21)。そして、制御部21は、印刷ジョブのデータサイズがデータサイズ閾値未満である場合(ステップS22のYES)、近距離無線通信回線C3を通信経路として判別する(ステップS23)。そして、制御部21は、近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの送信を開始する(ステップS29)。
【0111】
一方、制御部21は、印刷ジョブのデータサイズがデータサイズ閾値以上である場合(ステップS22のNO)、ネットワーク通信回線を通信経路として判別する(ステップS24)。この場合、制御部21は、中継サーバ4とのネットワーク通信接続を開始する(ステップS25)。次に、制御部21は、一対の暗号鍵と復号鍵とを生成し、その暗号鍵で印刷ジョブを暗号化すると共に(ステップS26)、近距離無線通信回線C3を介して複合鍵を画像処理装置2に送信する(ステップS27)。次に、制御部21は、ネットワーク通信接続が確立している場合には(ステップS28のYES)、そのネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを送信する(ステップS29)。一方、ネットワーク通信接続が未だ確立していない場合には(ステップS28のNO)、制御部21は、ネットワーク通信接続が確立するまで待機する。以上により、通信経路判別処理は終了する。
【0112】
図9に戻って、上記のようにして通信判別処理が終了すると、制御部21は、通信経路におけるデータ通信速度を計測する(ステップS10)。そして、そのデータ通信速度が所定値未満である場合には(ステップS11のYES)、それまでの通信経路とは別の通信回線に通信経路を切り替える(ステップS12)。一方、制御部21は、データ通信速度が所定値以上である場合(ステップS11のNO)、ステップS12をスキップする。そして、制御部21は、印刷ジョブの送信が完了するまで(ステップS13のNO)、ステップS10〜S12の処理を繰りかえす。制御部21は、印刷ジョブの送信が完了すると(ステップS13のYES)、処理を終了する。
【0113】
ところで、上記においては、ネットワーク通信回線が通信経路として判別されたとき、ネットワーク通信接続が確立するまで待機し、そのネットワーク通信接続が確立することに伴って印刷ジョブの送信を開始する場合を例示した。すなわち、この場合、ネットワーク通信接続が確立するまでの間、印刷ジョブは送信されない。そこで、ネットワーク通信接続が確立するまでの間、近距離無線通信回線C3を介して先に印刷ジョブを送信し、その後にネットワーク通信接続が確立することに伴って、その近距離無線通信回線C3からネットワーク通信回線に印刷ジョブの送信を引き継ぐことで送信完了所要時間を更に短縮させることができる。
【0114】
図11は、そのような、近距離無線通信回線C3からネットワーク通信回線に印刷ジョブの送信を引き継ぐ場合に短縮できる通信完了所要時間を示す図である。すなわち、タイミングT1において近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの送信が開始される場合において、ネットワーク通信接続が確立するタイミングがタイミングT2であるとする。仮にデータサイズがサイズB1であるとするとネットワーク通信回線における印刷ジョブの送信完了所要時間は所要時間TyでありタイミングT3で送信が完了する。このような処理であっても、近距離無線通信回線C3を介する場合の送信完了所要時間Tzに比べると、タイミングT3〜T4間だけネットワーク通信回線を介する場合の方が短時間で印刷ジョブの送信を完了することができる。
【0115】
これに対して通信経路を引き継ぐ場合、タイミングT2まで近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを送信しておくことにより、後にネットワーク通信回線により送信すべき印刷ジョブのデータサイズを減少させることができる。つまり、タイミングT2からネットワーク通信回線を介して印刷ジョブの送信を開始するとき、それまで近距離無線通信回線C3を介して送信した印刷ジョブの未送信部分をネットワーク通信回線に引き継いで送信することにより、送信完了所要時間はTyzとなりタイミングT2aで送信が完了する。この場合、上述した、単にネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを送信する場合に比べて、タイミングT2a〜T3間だけ短時間で印刷ジョブの送信を完了させることができる。
【0116】
次に、通信経路を引き継ぐ場合における制御部の具体的な処理内容について説明する。
【0117】
図12は、通信回線を引き継ぐ場合の制御部21における通信経路判別処理(
図9でステップS9)のフローチャートである。制御部21は、上記と同様にして、まず閾値情報記憶部25からデータサイズ閾値を読み出す(ステップS31)。そして、制御部21は、印刷ジョブのデータサイズがデータサイズ閾値未満であるか否かを判断し(ステップS32)、印刷ジョブのデータサイズがデータサイズ閾値未満である場合には(ステップS32のYES)、近距離無線通信回線C3を通信経路として判断し(ステップS33)、その近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを送信する(ステップS34)。以上の処理は、上記と同様である。
【0118】
一方、印刷ジョブのデータサイズがデータサイズ閾値以上である場合には(ステップS32のNO)、ネットワーク通信回線を通信経路として判別する(ステップS35)。このとき制御部21は、一対の暗号鍵と複合鍵とを生成し、その暗号鍵で印刷ジョブを暗号化すると共に(ステップS36)、近距離無線通信回線C3を介して画像処理装置2に複合鍵を送信する(ステップS37)。そして制御部21は、近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの送信を開始する(ステップS38)。次に、制御部21は、中継サーバ4とのネットワーク通信接続を開始する(ステップS39)。
【0119】
続いて制御部21は、ネットワーク通信接続が確立するまで待機し(ステップS40のNO)、ネットワーク通信接続が確立すると(ステップS40のYES)、近距離無線通信回線C3を介する印刷ジョブの送信を中止する(ステップS41)。次に、制御部21は、それまでに近距離無線通信回線C3を介して送信した印刷ジョブの未送信部分を特定し(ステップS42)、その未送信部分をネットワーク通信回線に引き継いで送信する(ステップS43)。以上により、通信経路判別は終了する。
【0120】
上記のように通信経路を一方から他方に切り替える場合、画像処理装置2において通信制御部51は、通信経路を切り替えて受信する印刷ジョブを合体させて一の印刷ジョブとして印刷ジョブ記憶部47に記憶させる。この場合、例えば、画像処理装置2において切り替え前後の印刷ジョブを特定できるように、上述したジョブ識別情報を、近距離無線通信の開始時において予め携帯端末装置3と画像処理装置2とで互いに保持しておいても良い。そして、携帯端末装置3は、印刷ジョブを送信する場合に、上記ジョブ識別情報を印刷ジョブに関連づけて画像処理装置2に送信する。これにより、通信経路を切り替える場合であっても、切り替え前後で同一となるジョブ識別情報が印刷ジョブに関連づけられている状態になる。そして画像処理装置2は、通信経路を切り替えて印刷ジョブを受信する際、ジョブ識別情報に基づいて切り替え前後で同一となる印刷ジョブを特定し、それら印刷ジョブを合体させて一の印刷ジョブとして保存する。
【0121】
ところで、近距離無線通信回線C3が通信経路として事前判別された場合において、その近距離無線通信回線C3において印刷ジョブの送信が開始された後、実際のネットワーク通信接続の接続タイミングを検知することで更に通信完了所要時間を短縮することができる場合がある。
【0122】
図13は、そのようなネットワーク通信接続の接続タイミングを検知する場合に短縮できる送信完了所要時間を示す図である。上述したように、本実施形態では、理論値である通信準備時間Txに基づいてデータサイズ閾値が予測されて導出されているため、実際にはその通信準備時間Txよりも前にネットワーク通信接続が確立できる可能性がある。例えば、通信準備時間Txの理論値がタイミングT1〜T2bである場合のデータサイズ閾値がサイズBxであるとする。また、印刷ジョブのデータサイズがデータサイズ閾値未満のサイズB1である場合、上記の例では、ネットワーク通信回線における送信完了所要時間Tybよりも近距離無線通信回線C3における送信完了所要時間Tzの方が短時間であるので、近距離無線通信回線C3が通信経路として予想されて判別されることになる。但し、実際にはタイミングT2aにネットワーク通信接続が確立できる可能性もある。この場合、ネットワーク通信回線の送信完了所要時間は、送信完了所要時間Tyaとなり、近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブが送信される場合の送信完了所要時間Tzよりも短時間となる。そこで、このように通信準備時間Txの理論値と実測値とが異なる場合に、ネットワーク通信回線を通信経路として再判別することで送信完了所要時間を短縮させることができる。以下、具体的な処理について説明する。
【0123】
例えば、タイミングT1において近距離無線通信回線C3が通信経路として判別された場合、印刷ジョブ送信部32bは、そのタイミングT1において近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの送信を開始する。このとき印刷ジョブ送信部32bは、ネットワーク通信接続も開始する。そして、印刷ジョブ送信部32bは、通信準備時間Txの理論値に基づくタイミングT2bよりも前にネットワーク通信接続が確立するか否かを判断する。そして、印刷ジョブ送信部32bは、理論値に基づく通信準備時間Txが経過するタイミングT2bよりも前にネットワーク通信接続が確立すると、ネットワーク通信回線を介して印刷ジョブの送信を開始する。この場合、近距離無線通信回線C3とネットワーク通信回線とで並行して印刷ジョブが送信される状態となる。
【0124】
そして、判別部32aは、各通信回線におけるデータ通信速度を計測し、例えばタイミングT2においてその計測結果を得ると、その計測結果と各通信回線における印刷ジョブの未送信部分のデータサイズとに基づいて各通信回線における送信完了所要時間を算出し、近距離無線通信回線C3とネットワーク通信回線とのうち送信完了所要時間が短時間となる一方を通信経路として再判別する。印刷ジョブ送信部32bは、判別部32aによる判別結果に基づいて、再判別された通信経路において印刷ジョブを送信する。例えば、近距離無線通信回線C3が通信経路として再判別された場合には、ネットワーク通信回線における印刷ジョブの送信を中止する。一方、印刷ジョブ送信部32bは、ネットワーク通信回線が通信経路として再判別された場合には、近距離無線通信回線C3を介する印刷ジョブの送信を中止する。図例は、ネットワーク通信回線が通信経路として再判別される場合を例示している。これにより、図例に示すように、タイミングT3において印刷ジョブの送信は完了するので、近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの送信が完了するタイミングT3〜T3a間だけ送信完了所要時間を短縮させることができる。さらに、この場合、上記と同様にそれまで近距離無線通信回線C3を介して送信した印刷ジョブの未送信部分をネットワーク通信回線に引き継いで送信しても良い。
【0125】
以上のように、本実施形態では、携帯端末装置3は、近距離無線通信回線C3と、ネットワーク通信回線とのうち印刷ジョブの送信完了所要時間が短時間となる一方を印刷ジョブの通信経路として判別する。そして印刷ジョブ送信部32bは、判別部32aによる判別結果に基づく通信経路において印刷ジョブを送信する。これにより、印刷ジョブの送信完了所要時間が短時間となる通信経路において印刷ジョブが送信されるので、早期に印刷ジョブの送信を完了させることができる。その結果、印刷ジョブを早期に実行させることが可能となるのでユーザーが印刷物を早期に取得することができる。
【0126】
また、本実施形態では、判別部32aは、印刷ジョブのデータサイズが所定値未満であるか否かを判断し、データサイズが所定値未満である場合に、近距離無線通信回線C3が通信経路であると予測して判別する。このような構成によれば、データサイズ閾値に基づいて通信経路を判別するので、例えば、実際にデータ通信速度を測定してから通信経路を判別する場合に比べて処理が簡易である。
【0127】
特に、上記実施形態では、閾値情報記憶部25にデータサイズ閾値が記憶されており、印刷ジョブのデータサイズがデータサイズ閾値未満であるか否かに基づいて通信経路判別処理が行われる。データサイズ閾値は、上述したようにネットワーク通信回線における通信準備時間Txを考慮して規定されているので、印刷ジョブを送信する前の段階で正確に通信経路を判別することができる。
【0128】
また、本実施形態では、印刷ジョブ送信部32bは、判別部32aによってネットワーク通信回線が通信経路として判別された場合、そのネットワーク通信回線の通信接続が確立されるまで近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを送信し、上記通信接続が確立されることに伴って近距離無線通信回線C3における印刷ジョブの未送信部分をネットワーク通信回線に引き継いで送信する。これにより、単にネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを送信するよりも送信完了所要時間が短時間となる。
【0129】
また、上記実施形態では、通信制御部32は、画像処理装置2と近距離無線通信を開始することに伴って、中継サーバ4とのネットワーク通信接続をも開始する。そして、印刷ジョブ送信部32bは、近距離無線通信回線C3が通信経路として判別された後、その近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを送信している場合であって、且つ、理論値に基づく通信準備時間Txよりも早くネットワーク通信接続が確立された場合には、ネットワーク通信回線を介してジョブの送信を開始する。そして、判別部32aは、各通信回線におけるデータ通信速度を計測し、その計測結果と各通信回線における印刷ジョブの未送信部分のデータサイズとに基づいて、近距離無線通信回線C3とネットワーク通信回線とのうち送信完了所要時間が短時間となる一方を通信経路として再判別する。これにより、ネットワーク通信接続が予想よりも短時間で確立された場合に柔軟に対応できるので、単に近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを送信する場合よりも短時間で印刷ジョブを送信することができる。
【0130】
また、本実施形態では、印刷ジョブ送信部32bは、通信経路において印刷ジョブが送信されている状態で、その通信経路におけるデータ通信速度が所定値未満である場合には、それまでの通信経路とは別の通信回線に通信経路を切り替える構成である。これによりデータ通信速度の速い通信回線に切り替えるので印刷ジョブの送信完了所要時間を短縮させることができる。
【0131】
また、本実施形態では、近距離無線通信回線C3のデータ通信ができない場合、ユーザーが携帯端末装置3を近距離無線通信回線C3の通信可能範囲外に移動させてしまっている可能性もあるので、ユーザーに対して携帯端末装置3を通信可能範囲内に移動させるように案内する。これによりユーザーは、携帯端末装置3が上記通信可能範囲内から離れてしまっていることを知ることができる。
【0132】
また、上記実施形態では、ネットワーク通信回線が通信経路として判別された場合、ユーザーに対して携帯端末装置3を通信可能範囲外に移動させても良いことを案内する構成である。これによりユーザーは、それ以降、携帯端末装置3の位置を気にせずに済むので便利である。
【0133】
また、本実施形態では、画像処理装置2と携帯端末装置3とが近距離無線通信を行うことを条件として画像処理装置2に印刷ジョブを実行させるためのジョブ識別情報を、近距離無線通信を行うことによりその画像処理装置2と共有して保持する。そして、印刷ジョブ送信部32bは、そのジョブ識別情報を印刷ジョブに含めてネットワーク通信回線を介して中継サーバ4に送信する。これにより、ユーザーが画像処理装置2の近くに存在する場合に印刷出力を行うことが可能になるのでセキュリティが向上する。尚、上記の例では画像処理装置2がジョブ識別情報を生成する場合を例示したが携帯端末装置3が生成しても構わない。
【0134】
また、上記実施形態では、通信制御部32は、近距離無線通信を行うことによって画像処理装置2から中継サーバ4のアドレス情報を取得する。そして、印刷ジョブ送信部32bは、そのアドレス情報に基づいて中継サーバ4を特定し、その中継サーバ4に対して印刷ジョブを送信する。これにより、携帯端末装置3において予めユーザーが中継サーバ4のアドレス情報を設定しておくような手間が省けるので使い勝手が向上する。
【0135】
また、上記実施形態では、携帯端末装置3は、一対の暗号鍵と復号鍵とを生成する暗号鍵生成部32cを備えている。そして、印刷ジョブ送信部32bは、その暗号鍵生成部32cによって生成された暗号鍵に基づいて印刷ジョブを暗号化した後、ネットワーク通信回線を介してその暗号化した印刷ジョブを中継サーバ4に送信する。一方、通信制御部32は、上記復号鍵を近距離無線通信回線C3を介して画像処理装置2に送信する。これにより、ネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを送信する場合のセキュリティが向上する。
【0136】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態においては、印刷ジョブの送信を開始する前に通信経路が判別される処理である。第2の実施形態では、制御部21は、近距離無線通信回線C3とネットワーク通信回線とのそれぞれにおいて印刷ジョブを送信し、その後に各通信経路におけるデータ通信速度に基づいて通信経路を判別する。
【0137】
図14は、本実施形態において、各通信回線におけるデータ通信速度と通信完了所要時間との関係を示す図である。
図14(a)は、ネットワーク通信回線が近距離無線通信回線C3よりもデータ通信速度が速い場合を例示し、
図14(b)は、近距離無線通信回線C3がネットワーク通信回線よりもデータ通信速度が速い場合を例示している。
【0138】
図14(a)に示すように、ネットワーク通信回線が近距離無線通信回線C3よりもデータ通信速度が速い場合であって、且つ、データサイズがサイズBx未満である場合、通信準備時間Txの発生しない近距離無線通信回線C3の方が通信準備時間Txを要するネットワーク通信回線よりも印刷ジョブの送信所要完了時間は短くなる。これに対して、データサイズがサイズBx以上である場合、ネットワーク通信回線の方が近距離無線通信回線C3よりも印刷ジョブの送信所要完了時間は短くなる。例えば、印刷ジョブのデータサイズがサイズB1である場合、ネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを送信すると、通信経路を判別するタイミングであるタイミングT2aからの送信所要完了時間は所要時間Tyとなり、タイミングT3において送信が完了する。一方、近距離無線通信回線C3を介する場合には、タイミングT2aからの送信完了所要時間は、送信完了所要時間TzとなりタイミングT4において送信が完了する。この場合、ネットワーク通信回線は、タイミングT3〜T4間だけ近距離無線通信回線C3よりも印刷ジョブの送信所要完了時間が短時間となる。
【0139】
これに対して、
図13(b)に示すように、近距離無線通信回線C3がネットワーク通信回線よりもデータ通信速度が速い場合、上記とは異なり、データサイズに関わらず近距離無線通信回線C3の方が常にネットワーク通信回線よりも印刷ジョブの送信所要完了時間が短時間となる。一例を挙げると、データサイズがサイズB1の場合、タイミングT1から近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの送信を開始すると、通信経路を判別するタイミングT2aからの送信完了所要時間は、送信完了所要時間TzとなりタイミングT3において送信が完了する。一方、ネットワーク通信回線を介する場合には、タイミングT2aからの送信完了所要時間は、送信完了所要時間Tyとなり、タイミングT4において印刷ジョブの送信が完了する。したがって、この場合、タイミングT3〜T4間だけ近距離無線通信回線C3の方がネットワーク通信回線よりも印刷ジョブの送信所要完了時間が短時間となる。
【0140】
図15は、本実施形態における情報処理システム1のプロセスの一例を示すシーケンス図である。尚、
図15では、既に画像処理装置2と中継サーバ4はネットワーク通信接続が確立されている状態である。
【0141】
図15に示すように、携帯端末装置3は、ユーザーによる印刷指示を検知すると(プロセスP31)、近距離無線通信回線C3の通信可能範囲内に画像処理装置2が存在することを条件として、その近距離無線通信回線C3を介して画像処理装置2と近距離無線通信接続を確立させる(プロセスP32)。そして、携帯端末装置3は、近距離無線通信回線C3のデータ通信速度の計測を開始する(プロセスP34)。
【0142】
そして、携帯端末装置3は、中継サーバ4とのネットワーク通信接続を確立させる(プロセスP35)。携帯端末装置3は、ネットワーク通信接続が確立することに伴って、ネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを中継サーバ4に送信する(プロセスP36)。中継サーバ4は、携帯端末装置3からの印刷ジョブを受信すると、その印刷ジョブを画像処理装置2に転送する(プロセスP37)。
【0143】
携帯端末装置3は、上記のようにしてネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを中継サーバ4に送信すると、ネットワーク通信回線のデータ通信速度の計測を開始する(プロセスP38)。このとき、携帯端末装置3は、近距離無線通信回線C3のデータ通信速度と、ネットワーク通信回線のデータ通信速度とに基づいて通信経路を判別する(プロセスP39)。
【0144】
携帯端末装置3は、通信経路として判別された通信回線における印刷ジョブの送信を継続し、通信経路として判別されなかった通信回線における印刷ジョブの送信を中止する。例えば、近距離無線通信回線C3が通信経路として判別された場合、図例に示すように、携帯端末装置3は、近距離無線通信回線C3を介する印刷ジョブの送信を継続する一方、ネットワーク通信回線を介する印刷ジョブの送信を中止する(プロセスP40)。これに伴って、中継サーバ4は、印刷ジョブを受信しなくなるので印刷ジョブの転送を中止する(プロセスP41)。尚、図示しないが、ネットワーク通信回線が通信経路として判別された場合、携帯端末装置3は、ネットワーク通信回線を介する印刷ジョブの送信を継続し、近距離無線通信回線C3を介する印刷ジョブの送信を中止する。
【0145】
画像処理装置2は、近距離無線通信回線C3を介する印刷ジョブの受信を完了すると、その印刷ジョブを実行することにより印刷出力を行う(プロセスP42)。
【0146】
図16は、本実施形態の制御部21における通信経路判別処理の一例を示すフローチャートである。尚、本実施形態においても全体的な処理は
図9と同様であるので説明を省略する。
図16に示すように、まず、暗号鍵生成部32cは、一対の暗号鍵と復号鍵とを生成し、近距離無線通信回線C3を介してその復号鍵を画像処理装置2に送信する(ステップS51)。これは、後に近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの送信が開始されてから、その近距離無線通信回線C3に割り込んで復号鍵の送信を行うと処理が煩雑になるので、できるだけ処理を簡単にするためである。そして印刷ジョブ送信部32bは、印刷ジョブを上記暗号鍵で暗号化する(ステップS52)。続いて印刷ジョブ送信部32bは、近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを画像処理装置2に送信する(ステップS53)。判別部32aは、印刷ジョブ送信部32bが上記のようにして近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの送信を開始すると、その近距離無線通信回線C3のデータ通信速度の測定を開始する(ステップS54)。
【0147】
次に、通信制御部32は、中継サーバ4とのネットワーク通信接続を開始する(ステップS55)。そして、印刷ジョブ送信部32bは、ネットワーク通信接続が確立するまで待機し(ステップS56のNO)、ネットワーク通信接続が確立すると(ステップS56のYES)、先に行われている近距離無線通信回線C3を介する印刷ジョブの送信が完了しているか否かを判断する(ステップS57)。印刷ジョブ送信部32bは、既に近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの送信が完了している場合(ステップS57のYES)、処理を終了する(
図9参照)。一方、印刷ジョブ送信部32bは、未だ近距離無線通信回線C3を介する印刷ジョブの送信が完了していない場合(ステップS57のNO)、ネットワーク通信回線を介して印刷ジョブの中継サーバ4への送信を開始する(ステップS58)。そして、判別部32aは、ネットワーク通信回線のデータ通信速度の計測を開始する(ステップS59)。
【0148】
判別部32aは、各通信回線のデータ通信速度と、各通信回線における印刷ジョブの未送信部分とに基づいて、各通信回線における送信完了所要時間を算出し、それら各通信回線における送信完了所要時間を比較する(ステップS60)。その結果、判別部32aによって近距離無線通信回線C3が短時間であると判断された場合(ステップS61のYES)、印刷ジョブ送信部32bは、ネットワーク通信回線を介を介する印刷ジョブの送信を中止する(ステップS62)。一方、判別部32aによってネットワーク通信回線が短時間であると判断された場合(ステップS61のNO)、印刷ジョブ送信部32bは、近距離無線通信回線C3を介する印刷ジョブの送信を中止する(ステップS63)。以上により通信経路判別処理は終了する。
【0149】
図17は、近距離無線通信回線C3からネットワーク通信回線に印刷ジョブを引き継いで送信する場合に短縮できる送信完了所要時間を示す図である。すなわち、本実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様に近距離無線通信回線C3からネットワーク通信回線に印刷ジョブを引き継いで送信することで、送信完了所要時間を短縮させることができる。
【0150】
例えば、タイミングT1において近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの送信を開始し、タイミングT2においてネットワーク通信回線を介して印刷ジョブの送信を開始するとする。そして、タイミングT2aにおいてネットワーク通信回線が通信経路として判別されると、印刷ジョブ送信部32bは、それまで行っていたネットワーク通信回線を介する印刷ジョブの送信を中止すると共に、近距離無線通信回線C3による印刷ジョブの送信も中止する。そして、近距離無線通信回線C3を介して送信した印刷ジョブの未送信部分をネットワーク通信回線に引き継いで送信を開始する。
【0151】
これにより、仮に印刷ジョブのデータサイズがサイズB1であるとすると、上記のように通信回線を引き継ぐ場合の送信完了所要時間は、送信完了所要時間TyzでありタイミングT2bで送信が完了する。一方、単にネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを送信する場合の送信完了所要時間は、送信完了所要時間TyでありタイミングT3で送信が完了する。従って、この場合、タイミングT2b〜T3間だけ短時間で印刷ジョブの送信を完了することができる。但し、図例とは異なり、ネットワーク通信回線が近距離無線通信回線C3よりも極端にデータ通信速度が速い場合などには、印刷ジョブを引き継ぐタイミングT2aにおいて、既にネットワーク通信回線を介して送信したデータサイズが近距離無線通信回線C3を介して送信したデータサイズよりも大きい事態が生じる可能性がある。そこで、印刷ジョブ送信部32bは、上記引き継ぎを行うに先立って、ネットワーク通信回線における印刷ジョブの送信済のデータサイズと、近距離無線通信回線C3における印刷ジョブの送信済のデータサイズとを比較して、近距離無線通信回線C3における印刷ジョブの送信済のデータサイズがネットワーク通信回線における送信済のデータサイズよりも大きい場合に、上記引き継ぎを行うことが好ましい。
【0152】
以上のように、本実施形態では、印刷ジョブ送信部32bは、近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを送信し、その後に、ネットワーク通信接続が確立することに伴ってネットワーク通信回線を介して印刷ジョブの送信を開始する。そして、判別部32aは、近距離無線通信回線C3とネットワーク通信回線とのそれぞれのデータ通信速度を計測し、その計測結果と、各通信回線における印刷ジョブの未送信部分のデータサイズとに基づいて各通信回線のうち送信完了所要時間が短時間となる一方を通信経路として判断する構成である。これにより、印刷ジョブの送信完了所要時間が短時間となる通信経路において印刷ジョブが送信されるので、早期に印刷ジョブの送信を完了させることができる。また、本実施形態においては、実際のデータ通信速度に基づいて通信経路を判断するので送信完了所要時間の短時間となる通信経路を正確に判断することができる。
【0153】
また、本実施形態では、印刷ジョブ送信部32bは、判別部32aによってネットワーク通信回線が通信経路として判別された場合、近距離無線通信回線C3における送信済のデータサイズが、ネットワーク通信回線における送信済のデータサイズよりも大きいことを条件として、近距離無線通信回線Cにおけるジョブの未送信部分をネットワーク通信回線に引き継いで送信する構成である。これにより、単にネットワーク通信回線を介して印刷ジョブを送信する場合に比べて送信完了所要時間を短縮させることができる。
【0154】
(第3の実施形態)
上述した第1の実施形態では、携帯端末装置3がデータサイズ閾値に基づいて通信経路を判別する構成を例示した。本実施形態では、画像処理装置2がデータサイズ閾値に基づいて通信経路を判別する処理が行われる。但し、画像処理装置2の基本構成や通信経路を判別する判断手法などについては、上記と同様であるので、以下においては、上記と同様の構成については説明を省略し、上記と異なる構成についてのみ説明を行う。
【0155】
図18は、本実施形態における画像処理装置2aにおける制御部41の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部41における各処理部は基本的には上記と同様であるが、本実施形態では通信制御部51が判別部51aを備えている。また、画像処理装置2aは、閾値情報記憶部55を更に備える。
【0156】
通信制御部51は、携帯端末装置3と近距離無線通信接続を確立させた後、識別情報を近距離無線通信回線C3を介して携帯端末装置3に送信すると共に、携帯端末装置3に対して印刷ジョブのデータサイズの送信要求を行う。携帯端末装置3は、印刷ジョブの送信前に印刷ジョブのデータサイズを近距離無線通信回線C3を介して画像処理装置2aに送信する。尚、携帯端末装置3は、印刷ジョブのデータサイズを画像処理装置2aに送信すると、後述する画像処理装置2aからの判別結果通知を待機する状態となる。
【0157】
画像処理装置2aにおいて通信制御部51は、近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブのデータサイズを受信すると、そのデータサイズを例えば印刷ジョブ記憶部47など所定の記憶領域に記憶する。次に判別部51aは、上記記憶領域からデータサイズを読出すと共に、閾値情報記憶部55からデータサイズ閾値を読み出し、印刷ジョブのデータサイズがデータサイズ閾値未満であるか否かに基づいて通信経路を判別する。すなわち、通信制御部51は、印刷ジョブのデータサイズがデータサイズ閾値未満である場合には近距離無線通信回線C3を通信経路として判別し、上記データサイズがデータサイズ閾値以上である場合には、ネットワーク通信回線を通信経路として判別する。
【0158】
ここで、データサイズ閾値は、第1の実施形態と同様であり、ネットワーク通信回線のデータ通信速度の理論値と、携帯端末装置3と中継サーバ4とのネットワーク通信接続が確立するまでの通信準備時間Txの理論値に基づいて導出された固定値である。但し、近距離無線通信の開始時などに、携帯端末装置3からデータ通信速度と通信準備時間Txとの過去の平均値を予め取得し、それら平均値に基づいて最新のデータサイズ閾値を算出しても良い。
【0159】
以上のようにして判別部51aが通信経路を判別すると、次に通信制御部51は、判別部51aによる判別結果を近距離無線通信回線C3を介して携帯端末装置3に通知する。これにより、携帯端末装置3は、その通知に基づいて、判別部51aによる判別結果に基づく通信経路において印刷ジョブを送信する。
【0160】
通信制御部51は、近距離無線通信回線C3を介して、又は、ネットワーク通信回線を介して印刷ジョブの受信を開始すると、受信した印刷ジョブを印刷ジョブ記憶部47に記憶させていく。このとき通信制御部51において判別部51aは、通信経路におけるデータ通信速度を計測する。そして、そのデータ通信速度が所定値未満である場合には、判別部51aは、通信経路をそれまでとは別の通信回線に再判別する。通信制御部51は、判別部51aによる判別結果に基づいて、近距離無線通信回線C3を介して上記再判別結果を携帯端末装置3に再通知する。尚、近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを受信している場合、通信制御部51は、その処理に割り込んで上記通知を行う。
【0161】
以上のように、本実施形態においては、画像処理装置2aにおいて近距離無線通信回線C3と、ネットワーク通信回線とのうち携帯端末装置3が印刷ジョブを送信する場合に送信完了所要時間が短時間となる一方を通信経路を判別する。そして、通信制御部51は、判別部51aによる判別結果を携帯端末装置3に通知することにより、携帯端末装置3に対して上記通信経路において印刷ジョブを送信させる構成である。これにより、携帯端末装置3に上記通信経路において印刷ジョブを送信させるので、携帯端末装置3に印刷ジョブの送信を早期に完了させることができる。
【0162】
また、本実施形態においては、画像処理装置2aと携帯端末装置3とが近距離無線通信を開始することに伴って、通信制御部51が携帯端末装置3に対して印刷ジョブのデータサイズの送信要求を行う。これにより携帯端末装置3が印刷ジョブを送信するよりも前に、印刷ジョブのデータサイズを取得することが可能となる。そして、判別部51aは、そのデータサイズが所定値未満である場合に、近距離無線通信回線C3が通信経路であると予測して判別する。これにより、印刷ジョブのデータサイズに基づいて通信経路を判別するので、例えば、実際に各通信回線のデータ通信速度を測定して通信経路を判別する場合に比べて比較的処理が簡易である。
【0163】
また、本実施形態においては、上記のような事前判別を行う際、印刷ジョブのデータサイズと、通信準備時間Txを考慮したデータサイズ閾値とに基づいて通信経路を判別する構成である。これにより携帯端末装置3が印刷ジョブを送信する前において通信経路を正確に判別することができる。
【0164】
また、本実施形態においては、通信制御部51は、携帯端末装置3と近距離無線通信を行うことによって、その携帯端末装置3に対して識別情報を送信する構成である。その識別情報には、中継サーバ4のアドレス情報が含まれている。これによりユーザーが予め中継サーバ4のアドレス情報を携帯端末装置3において設定するような手間を省くことができる。
【0165】
また、本実施形態においては、判別部51aは、通信経路を判別した後において、その通信経路におけるデータ通信速度を測定し、そのデータ通信速度が所定値未満である場合、それまでの通信経路とは別の通信回線を新たな通信経路として判別する。これにより、携帯端末装置3が単に通信経路において印刷ジョブを送信する場合に比べて短時間で印刷ジョブの送信を完了させることができる。
【0166】
(第4の実施形態)
上記第3の実施形態では、画像処理装置2aがデータサイズ閾値に基づいて通信経路を判別する処理を例示した。第4の実施形態では、データ通信速度の実測値に基づいて通信経路が判別される処理を例示する。本実施形態も第3の実施形態と画像処理装置2aの基本構成は同様である。但し、画像処理装置2aは必ずしもデータサイズ閾値を記憶する必要はない。
【0167】
通信制御部51は、上記と同様に近距離無線通信回線C3を介して識別情報を送信すると共に、携帯端末装置3に印刷ジョブのデータサイズの送信要求を行うことで携帯端末装置3から印刷ジョブのデータサイズを取得する。携帯端末装置3は、印刷ジョブのデータサイズを画像処理装置2aに送信すると、各通信回線を介して印刷ジョブの送信を開始する。但し、携帯端末装置3は、ネットワーク通信回線においてはネットワーク通信接続が確立した後に印刷ジョブを送信することになる。
【0168】
通信制御部51は、近距離無線通信回線C3とネットワーク通信回線とのそれぞれを介して受信する印刷ジョブを印刷ジョブ記憶部47に記憶させる。すなわち通信制御部51は、通信回線毎に異なる記憶領域に印刷ジョブを記憶させていく。また、判別部51aは、各通信回線におけるデータ通信速度を計測する。
【0169】
判別部51aは、各通信回線のデータ通信速度を計測すると、以下に説明するように通信経路の判別処理を行う。すなわち、判別部51aは、印刷ジョブの全データサイズと、各通信回線における受信済のデータサイズとに基づいて、各通信回線における未受信部分のデータサイズを算出する。そして、判別部51aは、その各通信回線における未受信のデータサイズと、各通信回線のデータ通信速度とに基づいて、各通信回線における受信完了所要時間を算出し、各通信回線における受信完了所要時間を比較する。そして、近距離無線通信回線C3とネットワーク通信回線とのうち受信完了所要時間が早い一方を通信経路として判別する。
【0170】
判別部51aが上記のようにして通信経路を判別すると、通信制御部51は、その判別結果を近距離無線通信回線C3を介して携帯端末装置3に通知する。このとき通信制御部51は、印刷ジョブの受信処理に割り込んで上記通知を行う。そして携帯端末装置3は、近距離無線通信回線C3とネットワーク通信回線とのうち通知に基づく通信経路において印刷ジョブの送信を継続し、他方の送信を中止することになる。
【0171】
また、判別部51aは、判別後の通信経路におけるデータ通信速度を計測し、そのデータ通信速度が所定値未満である場合に別の通信回線を通信経路として再判別する。そして通信制御部51は、判別部51aによる再判別結果を近距離無線通信回線C3を介して携帯端末装置3に通知する。このとき通信制御部51は、近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブを受信している場合には、その印刷ジョブの受信処理に割り込んで上記通知を行う。そして携帯端末装置3は、再判別結果に基づく通信経路において印刷ジョブを送信する。これにより受信完了所要時間が更に短縮される。
【0172】
以上のように、本実施形態においては、通信制御部51は、携帯端末装置3が近距離無線通信回線C3およびネットワーク通信回線のそれぞれを介して送信する印刷ジョブを受信する。そして、判別部51aは、各通信回線のデータ通信速度を計測し、その計測結果と、各通信回線における印刷ジョブの未受信部分のデータサイズとに基づいて、近距離無線通信回線C3とネットワーク通信回線とのうち受信完了所要時間が短時間となる一方を通信経路として判別する。そして、その判別結果を携帯端末装置3に通知することにより、携帯端末装置3に対して判別結果に基づく通信経路において印刷ジョブを送信させる。これにより、携帯端末装置3に印刷ジョブの送信を早期に完了させることができる。また、本実施形態では、データ通信速度の実測値に基づいて受信完了所要時間を判断するので正確に通信経路を判別することができる。
【0173】
また、上記第3および第4の実施形態においても上記第1および第2の実施形態と同様に、以下の処理を行っても良い。例えば、近距離無線通信回線C3が通信経路として判別された場合において、その近距離無線通信回線C3を介して印刷ジョブの受信が所定時間できないとき、パネル制御部53は、案内制御部として機能し、ユーザーに対して携帯端末装置3を通信可能範囲内に移動させる案内画面を操作パネル8に表示させても良い。これにより、ユーザーに対して、近距離無線通信を行うべき適切な位置に携帯端末装置3を移動させることができる。
【0174】
また、ネットワーク通信回線が通信経路として判別された場合、パネル制御部53は、ユーザーに対して携帯端末装置3を通信可能範囲外に移動させても良いことを案内する案内画面を操作パネル8に表示させても良い。これによりユーザーは、それ以降、携帯端末装置3の位置を気にしなくて済むようになる。
【0175】
また、通信制御部51は、携帯端末装置3との近距離無線通信の開始時においてジョブ識別情報を携帯端末装置3に送信することによって、そのジョブ識別情報を携帯端末装置3と共有して保持し、また、印刷制御部52は、通信制御部51がネットワーク通信回線を介して上記ジョブ識別情報を含む印刷ジョブを中継サーバ4から受信した場合に、その印刷ジョブを実行しても良い。これにより、印刷ジョブを発行したユーザーが画像処理装置2aの近くにいる場合に印刷出力を行うことができるのでセキュリティが向上する。
【0176】
また、
図3に示す暗号鍵生成部32cを画像処理装置2aが備えても良い。すなわち、画像処理装置2aは、一対の暗号鍵と復号鍵とを生成する暗号鍵生成部32cを更に備えている。暗号鍵生成部32cは、携帯端末装置3と画像処理装置2aとの近距離無線通信の開始時において、一対の暗号鍵と復号鍵とを生成し、上記識別情報にその暗号鍵を含めて送信する。またこの場合、暗号鍵生成部32cは、その復号鍵を例えば識別情報記憶部48に記憶させる。そして携帯端末装置3は、その暗号鍵に基づいて印刷ジョブを暗号化して送信する。一方、画像処理装置2aにおいて通信制御部51は、近距離無線通信回線C3および/又はネットワーク通信回線を介して、暗号化された印刷ジョブを受信するとその印刷ジョブを印刷ジョブ記憶部47に記憶させる。そして、印刷制御部52は、印刷ジョブの受信が完了すると、復号鍵を識別情報記憶部48から読み出して、その復号鍵で印刷ジョブを復号化し、その印刷ジョブを実行する。これにより、セキュリティが向上する。
【0177】
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0178】
例えば、上述した第1および第2の実施形態においては、画像処理装置2が印刷機能やスキャン機能を備えるMFPである場合を例示したがこれに限られない。例えば、ネットワーク通信および近距離無線通信を行うことができれば、印刷機能のみを備える印刷装置であっても良い。
【0179】
また、上述した第1〜第4の実施形態では、中継サーバ4が自主的に画像処理装置2に印刷ジョブを転送する処理を例示したがこれに限られない。例えば、画像処理装置2が定期的に中継サーバ4にジョブ確認を行い、中継サーバ4が携帯端末装置3からの印刷ジョブの受信を開始している場合に、中継サーバ4が上記ジョブ確認に応答することによって印刷ジョブを画像処理装置2に転送しても良い。
【0180】
また、上述した第2の実施形態では、データ通信速度の実測値に基づいて携帯端末装置3における印刷ジョブの送信完了所要時間を算出し、その送信完了所要時間に基づいて通信経路を判別する処理を例示した。但し、これに限られず、データ通信速度の実測値に基づいて画像処理装置2における印刷ジョブの受信完了所要時間を算出し、その受信完了所要時間に基づいて通信経路を判別しても良い。この場合、携帯端末装置3は、印刷ジョブを送信する前に印刷ジョブのデータサイズを画像処理装置2に送信する。そして、画像処理装置2は、近距離無線通信回線C3のデータ通信速度と、ネットワーク通信回線のデータ通信速度とを計測し、それら計測結果を近距離無線通信回線C3を介して携帯端末装置3に通知すると共に、未受信部分のデータサイズを通知する。そして、携帯端末装置3は、上記通知に基づいて画像処理装置2における受信完了所要時間を導出し、その導出結果に基づいて通信経路を判別する。すなわち、この場合、携帯端末装置3は、画像処理装置2における受信完了所要時間に基づいて通信経路を判別することになる。但し、画像処理装置2は、近距離無線通信回線C3において印刷ジョブを受信している処理に割り込んで、上記通知を行う必要がある。
【0181】
また、上述した第3の実施形態では、ネットワーク通信回線と近距離無線通信回線C3とのうち携帯端末装置3における印刷ジョブの送信完了所要時間が短時間となる通信経路を画像処理装置2aにおいて事前判別する場合を例示した。但し、これに限られず、ネットワーク通信回線と近距離無線通信回線C3とのうち画像処理装置2aにおける印刷ジョブの受信完了所要時間に基づいて通信経路を事前判別しても良い。すなわち、この場合、閾値情報記憶部55には、近距離無線通信回線C3を介して携帯端末装置3から印刷ジョブを受信する場合の受信完了所要時間の方が、上記通信準備時間Txを含むネットワーク通信回線を介して中継サーバ4から印刷ジョブを受信する場合の受信完了所要時間よりも短時間となる印刷ジョブのデータサイズを判別するためのデータサイズ閾値が記憶されている。データサイズ閾値は、例えば、各通信回線のデータ通信速度や通信準備時間Txの理論値に基づいて予め導出された固定値である。そして、判別部51aは、そのデータサイズ閾値に基づいて、上記と同様にして通信経路を判別しても良い。
【0182】
また、上述した第3の実施形態では、携帯端末装置3が画像処理装置2からのデータサイズ閾値に基づく判別結果を受け取ると、その判別結果に基づく通信経路において印刷ジョブを送信する処理を例示した。但し、単に通信経路において印刷ジョブを送信するだけでなく、第1の実施形態と同様に、その判別結果通知に基づいて、例えば、
図11に示す印刷ジョブの引き継ぎ処理を行っても良い。同様に、第4の実施形態では、第2の実施形態と同様に、
図17に示す引き継ぎ処理を行っても良い。この場合、携帯端末装置3は、
図17に示すタイミングT2aにおいて画像処理装置2からの判別結果通知を取得することになる。