特許第5939069号(P5939069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5939069-パワーコンディショナ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939069
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】パワーコンディショナ
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20160609BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20160609BHJP
【FI】
   H02J3/38 130
   H02M7/48 R
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-165388(P2012-165388)
(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-27761(P2014-27761A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100107445
【弁理士】
【氏名又は名称】小根田 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 智晴
(72)【発明者】
【氏名】若山 義洋
(72)【発明者】
【氏名】土屋 友範
(72)【発明者】
【氏名】楢木 達真
【審査官】 杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−201129(JP,A)
【文献】 特開2004−135454(JP,A)
【文献】 特開2006−29635(JP,A)
【文献】 特開2007−330032(JP,A)
【文献】 特開2009−17758(JP,A)
【文献】 特開2013−179748(JP,A)
【文献】 特開2014−11834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力系統に系統連系して発電電力を構内電気負荷へ出力するとともに、系統電圧が所定の出力抑制制御開始条件を満たさないときは前記出力電力が商用電力系統に逆潮流可能となるように前記出力電力を制御するパワーコンディショナにおいて、
前記出力電力が商用電力系統に逆潮流しているか否かを判定する逆潮流判定手段を備え、前記出力抑制制御開始条件を満たす場合であっても逆潮流していなければ出力電力の有効電力を減少させず逆潮流しているときにのみ出力電力の有効電力を減少させるように構成されているとともに、
前記出力抑制制御開始条件を満たす場合でも、前記逆潮流判定手段が逆潮流していないと判定しているときは出力電力の有効電力の増加を許容するように構成されていることを特徴とするパワーコンディショナ。
【請求項2】
請求項に記載のパワーコンディショナにおいて、商用電力系統から構内電気負荷へ潮流する電流値を検出するカレントトランスの検出信号の入力部を備え、前記逆潮流判定手段は、入力部に入力されるカレントトランス検出信号に基づいて逆潮流の有無を判定することを特徴とするパワーコンディショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電力系統と連系して構内電気負荷へ交流電力を供給するとともに余剰電力の商用電力系統への逆潮流を許容するパワーコンディショナに関する。
【背景技術】
【0002】
この種従来の太陽電池発電システム用のパワーコンディショナは、下記の特許文献1及び2に開示されているように、通常時は系統への逆潮流を許容する一方、系統電圧が所定値を超えているときには系統電力の電圧上昇を抑制するための電圧上昇抑制制御が行われるようになっている。すなわち、電気事業法において、標準電圧100Vの場合の商用電力系統の系統電圧は、30分移動平均値で95〜107Vの範囲に維持すべきことが規定されている。かかる要件を満たすため、一般的なパワーコンディショナでは、系統電力の品質維持のために、系統電圧が107V近くまで上昇するとまず進相無効電力制御を行い、それでも系統電圧が上昇を続けて107Vを超えると出力抑制制御を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−17758号公報
【特許文献2】特開2006−29635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近隣に変電所や大きな工場などが存在する地域では、慢性的に系統電圧が107V前後の高い状態となっている場合があり、また、近隣の工場などにおける大きな電気負荷が停止したときなどは一時的に系統電圧が110V程度まで上昇する場合もある。
【0005】
そのような地域に設置された従来の発電システムでは、頻繁に出力抑制制御が実施され、太陽電池パネルの発電電力を有効利用することができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、系統電圧が高い場合であっても、構内電気負荷で消費される範囲では有効電力の抑制を行わないようにすることで、系統電力の品質を確保しつつも、慢性的に系統電圧が高い地域における発電電力の有効利用を図ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は次の技術的手段を講じた。
【0008】
すなわち、本発明は、商用電力系統に系統連系して発電電力を構内電気負荷へ出力するとともに、系統電圧が所定の出力抑制制御開始条件を満たさないときは前記出力電力が商用電力系統に逆潮流可能となるように前記出力電力を制御するパワーコンディショナにおいて、前記出力電力が商用電力系統に逆潮流しているか否かを判定する逆潮流判定手段を備え、前記出力抑制制御開始条件を満たす場合であっても逆潮流していなければ出力電力の有効電力を減少させず逆潮流しているときにのみ出力電力の有効電力を減少させるように構成されていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0009】
かかる本発明のパワーコンディショナによれば、パワーコンディショナ自体によって逆潮流の有無を判定可能であるので、外部の電力測定ユニットなどが不要となるとともに、逆潮流の有無に応じた制御を行わせることができる。そして、系統電圧が例えば107Vを超えるなどの出力抑制制御開始条件を満たした場合であっても、逆潮流しておらず、発電電力が構内電気負荷によってすべて消費されているならば、出力電力の有効電力を減少させることなく、発電電力をすべて構内電気負荷に出力することができ、慢性的に系統電圧が高い地域であっても発電電力を効率的に利用することができる。なお、出力抑制制御中に出力電力の有効電力を減少させる際は、系統連系規程に定められた所定時間(500ミリ秒)未満で出力電力を0Wとすることができる勾配で有効電力を急速に減少させつつ、逆潮流しなくなったことを検出した時点で有効電力の減少を停止させることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明のパワーコンディショナにおいて、前記出力抑制制御開始条件を満たす場合でも、前記逆潮流判定手段が逆潮流していないと判定しているときは出力電力の有効電力の増加を許容するように構成されているものとする(請求項)。これによれば、系統電圧が高いことによって出力抑制制御開始条件を満たしている場合でも、逆潮流が生じない範囲で有効電力を増加させ、発電電力で構内電気負荷を作動させることができる。好ましくは、ハンチング防止のために最低所定の電力(例えば10W)は商用電力系統から電力を購入するように出力電力を制御することが好ましい。
【0011】
また、商用電力系統から構内電気負荷へ潮流する電流値を検出するカレントトランスの検出信号の入力部を備え、前記逆潮流判定手段は、入力部に入力されるカレントトランス検出信号に基づいて逆潮流の有無を判定するものとすることができる(請求項)。このように、逆潮流判定手段をパワーコンディショナに内蔵し、カレントトランスの検出信号を入力部を介して逆潮流判定手段に供給することにより、パワーコンディショナ単体で逆潮流の有無の検出を行うことができるとともに、逆潮流の有無による制御の応答速度を高速にすることができ、系統連系規程を遵守しつつも発電電力を有効利用するための制御構成を容易かつ柔軟に設計可能となる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の請求項1に係るパワーコンディショナによれば、パワーコンディショナ自体によって逆潮流の有無を判定可能であるので、外部の電力測定ユニットなどが不要となるとともに、逆潮流の有無に応じた制御を行わせることができる。そして、系統電圧が例えば107Vを超えるなどの出力抑制制御開始条件を満たした場合であっても、逆潮流しておらず、発電電力が構内電気負荷によってすべて消費されているならば、出力電力の有効電力を減少させることなく、発電電力をすべて構内電気負荷に出力することができ、慢性的に系統電圧が高い地域であっても発電電力を効率的に利用することができる。
【0013】
さらに、本発明の請求項に係るパワーコンディショナによれば、系統電圧が高いことによって出力抑制制御開始条件を満たしている場合でも、逆潮流が生じない範囲で有効電力を増加させ、発電電力で構内電気負荷を作動させることができる。
【0014】
また、本発明の請求項に係るパワーコンディショナによれば、逆潮流判定手段をパワーコンディショナに内蔵し、カレントトランスの検出信号を入力部を介して逆潮流判定手段に供給することにより、パワーコンディショナ単体で逆潮流の有無の検出を行うことができるとともに、逆潮流の有無による制御の応答速度を高速にすることができ、系統連系規程を遵守しつつも発電電力を有効利用するための制御構成を容易かつ柔軟に設計可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る発電システムのブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る太陽光発電システムを示しており、該発電システムは、太陽電池パネル1a,1bにより主構成される発電部で発電される直流電力をパワーコンディショナ2によって交流電力に変換して単相3線式の商用電力系統に系統連系され、構内電気負荷3に交流電力を供給するとともに余剰電力を商用電力系統へ逆潮流するように構成されたものである。なお、複数の太陽電池パネル1a,1bの出力は昇圧接続箱4に一旦集められ、発電電力を一定の電圧に昇圧した上でパワーコンディショナ2に入力されるようになっている。
【0018】
商用電力系統のU相、V相及びN相からなる単相3線式の引き込み線は、買電用メーター5及び売電用メーター6を介して配電盤7に接続されている。配電盤7には、アンペアブレーカー8(契約ブレーカー)、漏電ブレーカー9及び安全ブレーカー10が設けられ、これらブレーカー8,9,10を介して系統電力が構内電気負荷3に供給される。パワーコンディショナ2の出力は発電用ブレーカー12を介してアンペアブレーカー8と漏電ブレーカー9との間の接続部13で系統に並列に接続されている。
【0019】
また、上記接続部13よりも外側には、商用電力系統から構内電気負荷に向けて潮流する電流値を検出するためのカレントトランス14が設けられており、該カレントトランス14はパワーコンディショナ2に電気的に接続されて、検出信号がパワーコンディショナ2に出力されるようになっている。
【0020】
パワーコンディショナ2は、従来公知のものと内部の基本構成は同様であるが、カレントトランス14の検出信号の入力部2aを備える点と、該入力部2aに入力された検出信号に基づいて内蔵マイコン(逆潮流判定手段)で逆潮流しているか否かを判定する点が、従来とは異なる特徴的構成である。すなわち、マイコンやインバータ駆動回路などからなる制御部と、発電部からの発電電力を昇圧して出力するDC/DCコンバータと、該コンバータの出力をDC/AC変換するインバータとを備え、該インバータの出力がパワーコンディショナ2の出力となる構成については従来公知であるので図示省略する。なお、上記接続箱4にDC/DCコンバータの役割を持たせることもでき、この場合にはパワーコンディショナ2にはDC/DCコンバータを内蔵する必要はない。また、パワーコンディショナ2内には、系統連系点の系統電圧を検出するための計器用変圧器(系統電圧検出手段)が設けられており、該計器用変圧器は制御部に電気的に接続され、系統電圧検出値が制御部に入力されている。
【0021】
そして、内蔵マイコンにおいて、カレントトランス14の検出信号と、系統電圧検出値とに基づいて、単位時間あたりの平均購入電力を演算して、この平均購入電力値が正の値であれば逆潮流が生じていないと判定し、一方、平均購入電力値が負の値であれば逆潮流が生じていると判定させることができる。而して、マイコンが購入電力演算手段並びに逆潮流判定手段として機能する。
【0022】
制御部は、系統電圧が所定の出力抑制制御開始条件を満たさないときは、発電電力をすべて構内へ出力し、商用電力系統に逆潮流可能となるように出力電力を制御する。すなわち、出力電圧が系統電圧よりも若干高くなるように出力制御することにより、構内電気負荷3で消費しきれない余剰電力が電位差によって商用電力系統へ逆潮流するように制御する。なお、発電電力のほぼすべてが構内で消費される場合にはパワーコンディショナ2の出力電圧が降下するため商用電力系統から構内へ潮流するようになる。
【0023】
また、制御部は、出力される交流電力の力率を制御することにより系統電圧の上昇抑制を行う無効電力制御手段、出力の有効電力を抑制するための出力抑制制御手段、並びに、系統電圧が系統連系規程に定められる所定電圧を超えたときに発電システムを系統から解列させる解列制御手段を備える。これら各手段はマイコンのシーケンス制御によって実現してもよいし、FPGAにより構成しても良いし、各手段毎の専用制御回路によって実現してもよい。
【0024】
無効電力制御手段は、主としてインバータを制御することにより出力の力率制御を行うものであり、系統電圧が所定の電圧上昇抑制制御開始電圧(例えば106V)より高い状態を一定時間(例えば3分〜30分)継続すると、無効電力制御を開始し、系統電圧に対して出力する電流の位相を段階的に進み側にずらして、力率が85%になるまで無効電力を増加させ、該無効電力制御中に系統電圧が電圧上昇抑制制御開始電圧より低くなれば無効電力制御を終了する。
【0025】
出力抑制制御手段は、コンバーターの出力制御或いはインバータのPWM制御によりインバーターの出力の有効電力の抑制を行うものであり、上記の無効電力制御によっても系統電圧が上昇し続け、電圧上昇抑制制御開始電圧よりも高い所定の出力抑制制御開始電圧(例えば107V)よりも系統電圧が高くなると、出力抑制制御を開始し、系統電圧が上記の出力抑制制御開始電圧よりも低くなると出力抑制制御を終了する。
【0026】
本実施形態のパワーコンディショナ2における出力抑制制御では、マイコンが逆潮流していると判定しているときは有効電力を急激に減少させる。この有効電力の減少は、系統連系規程に定められた所定時間(500ミリ秒)以内にパワーコンディショナ2の出力の有効電力を0Wとすることのできる出力抑制勾配を求めて、該出力抑制勾配にしたがって10数ミリ秒毎に有効電力を段階的に減少させていくことが好ましい。そして1段階乃至数段階減少させる毎に逆潮流の有無を再判定し、逆潮流しなくなった時点で有効電力の減少を停止することができる。
【0027】
一方、マイコンが逆潮流していないと判定しているときは、有効電力を減少させることを禁止し、逆潮流している状態にならない範囲で有効電力を徐々に増加させていく。かかる出力増加を行っても、逆潮流させなければ増加分は構内電気負荷3により消費されて商用電力系統に悪影響を与えるものではないが、ハンチングの発生や安全率を考慮して、最低所定の電力(例えば10W)は購入している状態を維持しつつ、可能な限り出力を増加させるように制御することが好ましい。なお、所定の電力を購入する状態を維持するように制御していても、構内電気負荷の消費電力の変動によって一時的に逆潮流が生じてしまうこともあるが、その場合は上記したように逆潮流が生じなくなるまで有効電力を急激に降下させる。
【0028】
解列制御手段は、所定の解列条件が成立したときにインバータに内蔵された遮断機を動作させることによりパワーコンディショナ2を系統から解列させるものであり、所定の解列条件としては、例えば、上記の出力抑制制御開始電圧よりも高い解列閾値(例えば109〜112V)以上で、且つ、パワーコンディショナ2の出力電力が0Wであることを条件とすることができる。かかる条件では、逆潮流のない状態では、たとえ系統電圧が解列閾値を超えても解列させず、パワーコンディショナ2の出力を構内電気負荷3へ継続的に供給することができる。なお、本実施形態では上記の通り逆潮流防止制御を行うものであるから、逆潮流しているときに系統電圧が解列閾値を超えた場合であっても、解列させることなくインバータのゲートブロックにより瞬間的に逆潮流を解消した上で、ゲートブロックを解除して逆潮流が生じない範囲で徐々に出力増加させることも可能である。
【0029】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、上記実施形態ではカレントトランス14の検出信号を直接パワーコンディショナ2に入力させたが、パワーコンディショナ2とは分離した電力測定ユニットに検出信号を入力させ、この電力測定ユニットで購入電力や逆潮流の有無を検出してパワーコンディショナ2に出力することも可能である。また、逆潮流判定手段を構成する制御部は、パワーコンディショナ2を主構成するインバータとは別の筐体内に設けられていても良いが、同一の筐体内に設けられたものとするのが好ましい。
【符号の説明】
【0030】
1 太陽電池パネル
2 パワーコンディショナ
3 構内電気負荷
14 カレントトランス
図1