(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939106
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】誘導加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/10 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
H05B6/10 381
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-209367(P2012-209367)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2014-63692(P2014-63692A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】矢野 征紀
(72)【発明者】
【氏名】新井 充
(72)【発明者】
【氏名】山田 聡
【審査官】
長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−342518(JP,A)
【文献】
特開平02−155193(JP,A)
【文献】
特開平10−116680(JP,A)
【文献】
特開平05−266975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電源に接続された誘導加熱コイルを介して耐熱絶縁ケース内を加熱し、耐熱絶縁ケース内を流れる薄板ワークを加熱する誘導加熱装置において、
前記耐熱絶縁ケースを構成する耐熱部材を無機質系絶縁材料からなる耐熱絶縁ボードとし、耐熱絶縁ケースの上板部分と下板部分になる複数枚の耐熱絶縁ボードを、耐熱絶縁ケースの側板と接合する部分にそれぞれ複数の凸部と複数の凹部を有する同一形状に形成し、且つ前記側板に複数の凸部を形成し、この側板の凸部を前記耐熱絶縁ボードの凹部に嵌合して耐熱絶縁ケースを組み込むと共に、前記耐熱絶縁ボードの上板部分と下板部分の各凸部に穿設されたボルト孔間に絶縁ボルトを貫通し、ナットの締め込みで耐熱絶縁ケースを構成したことを特徴とした誘導加熱装置。
【請求項2】
前記耐熱絶縁ケースの上板部分と下板部分にそれぞれ点検窓を形成して常時は点検蓋を被せ、上板部分と下板部分間に絶縁ボルトを貫通し、ナットの締め込みで耐熱絶縁ケースを構成したことを特徴とした請求項1記載の誘導加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱装置に係わり、特に薄板加熱用誘導加熱装置の大型加熱コイル内面に組み付けられる耐熱絶縁ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄板加熱用誘導加熱装置は特許文献1等によって公知となっており、従来の誘導加熱装置における耐熱絶縁ケースは
図5で示すように構成されている。
図5において、1はエポキシ樹脂などの絶縁材からなる耐熱絶縁ケースで、この耐熱絶縁ケースは上下左右が密着した矩形状に形成され、前後方向の内部に薄板ワーク(被加熱材)2の流路が形成されている。耐熱絶縁ケース1の外周には高周波電源に接続された加熱コイル3が取付けられており、加熱コイル3に高周波電流を流すことで耐熱絶縁ケース1内が加熱される。
【0003】
耐熱絶縁ケース1は、加熱コイル3により加熱されることで熱変形する。そのため、耐熱絶縁ケース1に補強絶縁板4をセラミック材で形成された締結ボルト5によって固定している。また、耐熱絶縁ケース1の内部(薄板ワークの流路)には加温された風が送られることで、耐熱絶縁ケース1を形成するとき、上下左右の板材の接合位置に接着剤(レジン)が塗布されて加温された空気流が漏れないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−241173
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薄板加熱用誘導加熱装置は塗料の乾燥に用いられるが、その際、従来では耐熱絶縁ケース1の内部温度は100゜C程度のあることから、耐熱絶縁ケース1を形成する部材は100゜C程度の耐熱温度のもので構成できたが、近年、耐熱絶縁ケース1の内部温度が200゜C以上の乾燥温度を必要とする塗料が開発されている。
【0006】
しかし、耐熱絶縁ケース1の内部温度が200゜C以上になると、高温下での部材の乾燥収縮が大きくなり、耐熱絶縁ケースの寸法が大きく変化して締結ボルト5が破断する虞を有している。また、耐熱絶縁ケースにはレジンで接着されていることで、構成部材の変形発生時に、変形部材のみを分解して交換することは不可能で、一部の変形発生時には耐熱絶縁ケース全体の交換となってしまうことから経済的にも問題があり、200゜C以上の内部温度に耐え得る耐熱絶縁ケースが要望されている。
【0007】
本発明が目的とするとこは、上記要望に基づく誘導加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、高周波電源に接続された誘導加熱コイルを介して耐熱絶縁ケース内を加熱し、耐熱絶縁ケース内を流れる薄板ワークを加熱する誘導加熱装置において、
前記耐熱絶縁ケースを構成する耐熱部材をセメント系耐熱断熱材からなる耐熱絶縁ボードとし、耐熱絶縁ケースの上板部分と下板部分になる複数枚の耐熱絶縁ボードを、耐熱絶縁ケースの側板と接合する部分にそれぞれ複数の凸部と複数の凹部を有する同一形状に形成し、且つ前記側板に複数の凸部を形成し、この側板の凸部を前記耐熱絶縁ボードの凹部に嵌合して耐熱絶縁ケースを組み込むと共に、前記耐熱絶縁ボードの上板部分と下板部分の各凸部に穿設されたボルト孔間に絶縁ボルトを貫通し、ナットの締め込みで耐熱絶縁ケースを構成したことを特徴としたものである。
【0009】
また、本発明は、耐熱絶縁ケースの上板部分と下板部分にそれぞれ点検窓を形成して常時は点検蓋を被せ、上板部分と下板部分間に絶縁ボルトを貫通し、ナットの締め込みで耐熱絶縁ケースを構成したことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のとおり、本発明によれば、発生したガスや加温空気流に漏れを生じさせず、機密性を保ちながら200゜C以上の内部温度での使用が可能となるものである。また、組込み時間が大幅に短縮でき、且つ長期間の使用によって耐熱絶縁ケースの内部損傷が発生した場合でも、耐熱絶縁ケースを構成する耐熱絶縁ボードの裏表交代や、或いは上下交代させるだけで補修ができ、新規の部材と交換することなく長期間の使用が可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態を示す耐熱絶縁ケースの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施例を示す耐熱絶縁ケース10の構成図で、耐熱絶縁ケース10は、
図1の例では上板部分として2枚の耐熱絶縁ボード11a,11bよりなり、また、下板部分も同様に2枚の耐熱絶縁ボード11c,11dよりなっている。
上板の耐熱絶縁ボード11a,11b、及び下板の耐熱絶縁ボード11c,11dの各連結部分にはそれぞれ点検窓12が形成され、常時は点検蓋13a,13bによって塞がれている。点検窓12を省いても良いことは勿論で、その場合には、耐熱絶縁ボード11a,11b、及び下板の耐熱絶縁ボード11c,11dはそれぞれ密着して直接接合される。
【0013】
耐熱絶縁ボード11a〜11dとしてはセメント系耐熱断熱材(無機質系絶縁材料)が使用される。この耐熱絶縁ボード11a〜11dは、
図2で示すように4枚を略同外形寸法に形成されて耐熱絶縁ケース10の組込み時での上板と下板との部材の共通化を図っている。
【0014】
すなわち、耐熱絶縁ボード11a〜11dは、組込み時に絶縁ボルト13が貫通するボルト孔11eを有する凸部11f〜11iと、
図3で示す側板14が嵌合される凹部11j〜11mが形成されている。なお、この凹部11j〜11mと側板14の嵌合には気密性を持たせるために、側板14の凸部とは木組みインロー合わせ構造にされている。そのため、凹部11j〜11mにはそれぞれに段差を持たせている。
【0015】
側板14は
図3で示すように、耐熱絶縁ボード11に形成された凹部11j〜11mと嵌合する凸部14a〜14hが形成されている。
図4は点検蓋13(13a,13b)の構成図で、上下にそれぞれ絶縁ボルト15の貫通孔13aが形成され、また、左右には耐熱絶縁ボード11の側面と嵌合するための段差部が形成されている。この点検蓋13は、耐熱絶縁ケース10の保守・点検時に絶縁ボルト15を取外すことで耐熱絶縁ケース10の内部を覗けるようにしたもので、これによって耐熱絶縁ケース10の内部状態の把握を可能としたものである。絶縁ボルト15は、その上下に部分的にネジ部が螺設され、耐熱絶縁ケース10の上板と下板間を貫通するかんざし絶縁ボルトが使用されてネジ部にナットが螺合する。
【0016】
なお、複数の耐熱絶縁ボード11を同形構造にした理由の一つとしは、耐熱絶縁ケース10の内部温度が200゜C以上に上昇することで、薄板ワーク2の塗料からの発生ガスや、長期間の使用によって耐熱絶縁ケース10内の耐熱絶縁ボード内面が損傷する虞が生じる。その場合、損傷発生した箇所の耐熱絶縁ボード11の部分取換えや、或いは、耐熱絶縁ケース内面が全体的に損傷した場合には、
例えば、上板部分のみの損傷のときには上板のみの表裏をひっくり返すことでよく、或いは、
上板部分の耐熱絶縁ボードと下板部分の耐熱絶縁ボードの何れか一方,若しくはそれぞれの表裏をひっくり返すことで新たに部材交換をしなくてもリニュアールが可能となって、耐熱絶縁ケース10の更なる長期使用が可能となる。
【0017】
耐熱絶縁ケース10の組込みは、下板となる耐熱絶縁ボード11c,11dに
左右2枚の測板14を介して上板となる耐熱絶縁ボード11a,11bを配置し、かんざし絶縁ボルト(絶縁ボルト)15によって締結することで実施する。その際、各耐熱絶縁ボード11に設けられた凹部11j〜11mに、側板14に設けられた凸部14a〜14hをそれぞれ所定の凹部位置に嵌合し、穿設されたボルト孔を通して上板と下板間にかんざし絶縁ボルトを貫通させて固定する。その後、点検蓋13を被せることで組込みは終了する。
【0018】
以上のように本発明は、薄板加熱用誘導加熱装置の耐熱絶縁ケース用の耐熱絶縁ボードをセメント系耐熱断熱材とし、その耐熱絶縁ボードを複数同形状に形成する。そして、耐熱絶縁ケースの上板部分及び下板部分間に設けられる側板との接合部を木組みインロー合わせ構造にして絶縁ボルトとナットで締結して耐熱絶縁ケースを構成したものである。
【0019】
このように構成した本発明によれば、発生したガスや加温空気流に漏れを生じさせず、機密性を保ちながら200゜C以上の内部温度での使用が可能となるものである。また、組込み時間が大幅に短縮でき、且つ長期間の使用によって耐熱絶縁ケースの内部損傷が発生した場合でも、耐熱絶縁ケースを構成する耐熱絶縁ボードの表裏をひっくり返すだけで補修ができ、新規の部材と交換することなく長期間の使用が可能となるものである。
【符号の説明】
【0020】
10… 耐熱絶縁ケース
11… 耐熱絶縁ボード
12… 点検窓
13… 点検蓋
14… 側板
15… 絶縁ボルト(かんさし絶縁ボルト)