(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動量算出部が算出した前記移動量と、現在の前記切り出し領域の座標から前記領域移動部により指定された前記目標位置の座標までの距離と、に基づいて、前記切り出し領域が前記目標位置に到達する時間を算出する到達時間算出部をさらに備え、
前記顔検出制御部は、前記切り出し領域が前記目標位置に到達する時間に基づいて、前記顔検出処理部に、前記目標位置における前記被写体に含まれる顔の検出を開始させる請求項1に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
本実施の形態に係る撮像装置は、動画像を撮像して、その一部の領域をスルー画像として表示するものである。つまり、撮像装置は、撮像処理により生成された画像データの一部の領域を、スルー画像として切り出して表示する。また、撮像装置は、切り出した領域の画像データを、携帯端末装置に送信してもよい。携帯端末装置は、受信したスルー画像を表示する。なお、携帯端末装置とは、表示部を有し、撮像装置と通信可能な端末であり、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、ノートPC、ゲーム機、音楽プレーヤー等である。
【0011】
<撮像装置1の構成>
本実施の形態に係る撮像装置について、
図1を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる撮像装置1の内部構成の例を示すブロック図である。撮像装置1は動画像を撮像することができる。なお、本発明に係る撮像装置1は、動画像を撮像できるものであれば、その形状、及び構成は特に限定されるものではない。
【0012】
中央制御部400はCPU(Central Processing Unit)、各種プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)、及びワークエリアとしてのRAM(Random Access Memory)等を含む半導体集積回路により構成されている。中央制御部400をマイクロコンピュータで構成することができる。中央制御部400は、撮像、各種画像の表示、又は後述する画像処理や画像表示等に関する撮像装置1全体の処理を統括的に制御する。
【0013】
撮像装置1は、ズームレンズ101、フォーカスレンズ102、絞り103、及び撮像素子104で構成される撮像部100を有する。ズームレンズ101は図示しないズームアクチュエータによって光軸LAに沿って移動する。これにより、撮像される撮像画像のズーム倍率が変更する。同様に、フォーカスレンズ102は、図示しないフォーカスアクチュエータ(フォーカス調整部)によって光軸LAに沿って移動する。絞り103は、図示しない絞りアクチュエータ(露光調整部)に駆動されて動作する。撮像素子104は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等で構成される。
【0014】
撮像装置1を用いた撮像は以下の手順で行われる。撮像素子104はズームレンズ101、フォーカスレンズ102、及び絞り103を通過した光を光電変換して、被写体のアナログ画像信号を生成する。アナログ画像信号処理部105が、このアナログ画像信号を増幅した後、画像A/D変換部106が、その増幅された信号をデジタル画像データに変換する。画像入力コントローラ107は、画像A/D変換部106から出力されたデジタル画像データを撮像画像データとして取り込んで、バス200を介してメインメモリ206に格納する。
【0015】
デジタル信号処理部108は、バス200を介して中央制御部400からの指令に基づき、メインメモリ206に格納された撮像画像データを取り込み、所定の信号処理を施して輝度信号と色差信号とからなるデータを生成する。デジタル信号処理部108はまた、オフセット処理、ホワイトバランス調整処理、ガンマ補正処理、RGB補完処理、ノイズ低減処理、輪郭補正処理、色調補正処理、光源種別判定処理等の各種デジタル補正を行う。
【0016】
圧縮・伸長処理部201は、バス200を介して中央制御部400からの指示に従って、撮像画像データ及びデジタル音声データに所定の圧縮処理を施して圧縮データを生成する。また、圧縮・伸長処理部201は、中央制御部400からの指示に従って、記録部の一例であるカード型記録媒体302に格納された圧縮データに所定形式の伸張処理を施して非圧縮データを生成する。所定の圧縮処理としては、静止画像に対してはJPEG規格に準拠した圧縮方式を採用することができ、動画像に対してはMPEG2規格やAVC/H.264規格に準拠した圧縮方式を採用することができる。
【0017】
音声処理部202は、バス200を介して中央制御部400の指示に従い、マイク(不図示)等で取得された音声データに所定の処理を施す。例えば、音声データをデジタルデータに変換したり、雑音除去処理等をしたりする。
【0018】
ROM203はバス200を介して中央制御部400に接続されており、中央制御部400が実行する制御プログラム及び制御に必要な各種データ等を格納している。フラッシュROM204は、ユーザの設定情報等、撮像装置1の動作に関する各種設定情報を格納している。撮像装置1は、様々な撮像のシチュエーションに応じて、いくつかの撮像モードと、各モードにあわせた撮像条件の設定を予めフラッシュROM204に記憶している。そして、ユーザは撮像を開始する前に、各モードの中から最適なモードを選択することにより、最適な撮像条件で撮像を実施することができる。例えば、特定の人物の撮像に適した「ポートレートモード」、運動会等の撮像に適した「スポーツモード」、又は夜景等の暗い場所の撮像に適した「夜景モード」等である。
【0019】
メディア制御部207は、中央制御部400からの指示に従って、カードI/F301を介してカード型記録媒体302に対してデータを書き込み、カード型記録媒体302に記録されたデータを読み出すよう制御する。カード型記録媒体302はSDカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)等の外部メモリであり、撮像装置1に対して脱着可能に設けられている。
【0020】
ODSミックス208は、ユーザが撮影条件などの各種設定を入力するために使用されるアイコン画像を適切に配置したGUI(Graphic User Interface)に係る画像(インターフェイス画像)を、液晶モニタ304に表示される撮像画像に重畳させる。
【0021】
液晶モニタ304、スピーカ305、操作部306及び入出力端子307は入出力I/F303に接続されている。液晶モニタ304は、例えばカード型記録媒体302やメインメモリ206に一時記録された撮像画像データや各種メニュー画像データ等、各種画像データから生成された画像を表示する。液晶モニタ304は、撮像部100によって取得された動画像を表示する。
【0022】
スピーカ305は、例えばメインメモリ206に一時記録された音声を出力する。操作部306は、図示しないレリーズ・スイッチや電源スイッチを含む操作キー、十字キー、ジョイスティック、又は液晶モニタ304上に重畳されたタッチパネル等から構成されており、ユーザの撮像装置1への操作入力を受け付ける。入出力端子307は、図示しないテレビモニタやPC(Personal Computer)等に接続される。操作部306(目標位置指定部)は、パンチルト動作の指示を中央制御部400に入力する。パンチルト動作の指示とは、画像データにおける切り出し領域の移動先(目標位置)の座標を指定することを意味する。
【0023】
無線モジュール309は、バス200及び無線I/F308を介して、表示部を有する携帯端末装置との間で信号の送受信を行う。具体的には、無線モジュール309は、Wi−Fi等の無線LAN規格に準拠した通信処理を行う。これにより、携帯端末装置との通信が可能になる。なお、例えば、携帯端末装置は、表示部を有し、撮像装置1が撮像したスルー画像を表示可能な構成である。
【0024】
デジタルパンチルト処理部130は、画像切り出し部131と、領域移動部132と、を有する。画像切り出し部131は、撮像処理により得られた画像データの一部の領域を、表示部(液晶モニタ304や外部の携帯端末装置の表示部)に表示させる領域として切り出す(トリミング)。画像切り出し部131は、切り出した切り出し領域を、メインメモリ206に出力する。なお、画像切り出し部131は、切り出し領域の位置(座標)も取得し、後述する移動量算出部401に出力する。液晶モニタ304は、切り出された領域の画像データをスルー画像として表示する。
【0025】
領域移動部132は、ユーザのパンチルト操作に基づいて、画像データにおける切り出し領域の位置を変更する。これにより、デジタルパンチルトが実現される。領域移動部132は、後述する移動量算出部401により算出された切り出し領域の移動量に基づいて、切り出し領域を移動させる。
【0026】
顔検出処理部140は、撮像部100が撮像した動画像に対して顔検出処理を順次行う。これにより、動画像に含まれるフレーム画像中の顔が検出される。例えば、フレーム画像から特徴を抽出して、特徴の位置や大きさに応じて顔を検出する。顔検出処理部140は、フレーム画像における顔座標、及び顔サイズを検出する。顔検出処理部140による顔検出処理は、少なくとも数フレームを有する。すなわち、顔検出処理は、動画像の数フレームに対応する時間を要する処理である。したがって、動画像の撮像中では、複数のフレーム毎に顔検出が行われることになる。
【0027】
中央制御部400は、移動量算出部401と、到達時間算出部402と、を備える。移動量算出部401は、画像データにおける現在の切り出し領域の座標から目標位置の座標までの距離に基づいて、画像データにおける水平方向及び垂直方向の1フレームあたりの切り出し領域の移動量を算出する。上記した通り、切り出し領域の目標位置は、操作部306を用いて入力される。
【0028】
ここで、移動量算出部401の移動量の算出方法について詳細に説明する。まず、移動量算出部401は、次の式(1)(2)を用いて、現在の切り出し領域の座標から目標位置の座標までの距離を算出する。なお、切り出し領域の座標とは、例えば切り出し領域の中央の座標を用いることができる。また、目標位置の座標とは、目標位置に切り出し領域が移動した場合における切り出し領域の中央の座標を用いることができる。ここで、RemainingDistanceXは現在の切り出し領域の座標から目標位置の座標までの水平方向の距離であり、RemainingDistanceYは現在の切り出し領域の座標から目標位置の座標までの垂直方向の距離である。また、TargetPositionXは目標位置の水平座標(X座標)であり、TargetPositionYは目標位置の垂直座標(Y座標)である。また、CurrentPositionXは現在の切り出し領域の水平座標(X座標)であり、CurrentPositionYは現在の切り出し領域の垂直座標(Y座標)である。
RemainingDistanceX = |TargetPositionX - CurrentPositionX| (1)
RemainingDistanceY = |TargetPositionY - CurrentPositionY| (2)
【0029】
次に、移動量算出部401は、算出したRemainingDistanceX、RemainingDistanceYに基づいて、切り出し領域の1フレームあたりの移動量を算出する。具体的には、移動量算出部401は、RemainingDistanceX、RemainingDistanceYの大小関係に応じて、次の式(3)〜(8)を用いて、切り出し領域の1フレームあたりの水平方向及び垂直方向の移動量を算出する。ここで、Stepは予め設定された1フレームあたりの移動量(基準移動量)であり、水平方向及び垂直方向で共通の値である。なお、Stepは目標位置が変化しても変動しない固定値である。また、StepX'は補正後の1フレームあたりの水平方向の移動量であり、StepY'は補正後の1フレームあたりの垂直平方向の移動量である。なお、移動量算出部401が算出する移動量は、所定時間あたりの移動量であればよく、複数フレーム毎の移動量であってもよいし、数ミリ秒毎の移動量であってもよい。
【0030】
RemainingDistanceX > RemainingDistanceYの場合
StepX' = Step (3)
StepY' = Step * (RemainingDistanceY / RemainingDistanceX) (4)
【0031】
RemainingDistanceX < RemainingDistanceYの場合
StepX' = Step * (RemainingDistanceX / RemainingDistanceY) (5)
StepY' = Step (6)
【0032】
RemainingDistanceX = RemainingDistanceYの場合
StepX' = Step (7)
StepY' = Step (8)
【0033】
なお、RemainingDistanceX、RemainingDistanceY、Step、StepX'、 及びStepY'は、画素数単位で規定される値である。このとき、係数(RemainingDistanceY / RemainingDistanceX)の値が整数ではなく、小数を含む場合もある。この場合、補正後の移動量StepX'、 StepY'が小数を含む値となる。そのため、小数を含む値を用いて画素を指定する必要があるが、例えば、画素の内挿処理(補間処理)を用いることにより、撮像装置1は、小数を含む値を用いて指定された画素の切り出しや表示を実現することができる。移動量算出部401は、算出した(補正した)水平方向及び垂直方向の移動量StepX'、StepY'を領域移動部132に出力する。
【0034】
到達時間算出部402は、RemainingDistanceX、RemainingDistanceYに基づいて、切り出し領域が目標位置に到達する時間を算出する。具体的には、RemainingDistanceX / StepX'またはRemainingDistanceY / StepY'を計算することにより、切り出し領域が目
標位置に到達するまでの時間を算出する。
【0035】
なお、式(3)〜(8)においては、移動量StepX'、StepY'のうち少なくとも一方は、必ず基準移動量Stepと同じである。このため、切り出し領域は、水平方向及び垂直方向のうち移動距離が長い方向には、必ず基準移動量Stepで移動する。その結果、基準移動量を補正しない場合(常に基準移動量Stepを用いて水平方向及び垂直方向に移動する場合)と比べても、移動にかかる時間が増加することはない。つまり、切り出し領域は、基準移動量を補正しない場合と同じ時間で目標位置の到達することができる。
【0036】
<撮像装置1の動作>
続いて、本実施の形態にかかる撮像装置1の動作について、
図2に示すフローチャートを参照して説明する。まず、ユーザが操作部306を用いて目標位置を指示する。移動量算出部401は、指示された目標位置の座標を取得する(ステップS101)。なお、ユーザによる目標位置の指示は、特に限定されるものではない。例えば、切り出し領域の画像が表示されている液晶モニタ304の一部に、撮像部100により撮像されている画像全体を表示して、目標位置をタッチすることにより指定してもよい。また、ユーザが目標位置として設定した座標の履歴を記憶しておき、当該履歴の中から目標位置を選択してもよい。さらに、液晶モニタ304をスワイプすることにより、目標位置を指定してもよい。この場合、移動量算出部401は、スワイプの速度や量、方向に基づいて、目標位置の座標を算出すればよい。
【0037】
次に、移動量算出部401は、現在の切り出し領域の座標(CurrentPositionX、CurrentPositionY)と、目標位置の座標(TargetPositionX、TargetPositionY)と、を用いて、上記の式(1)(2)を計算して、切り出し領域の現在の位置から目標位置までの距離(RemainingDistanceX、RemainingDistanceY)を算出する(ステップS102)。なお、現在の切り出し領域の座標は、画像切り出し部131から移動量算出部401に送られる。
【0038】
移動量算出部401は、切り出し領域の現在の位置から目標位置までの距離を用いて、上記の式(3)〜(8)を計算して、画像データにおける水平方向及び垂直方向の移動量(StepX'、StepY')を算出する(ステップS103)。つまり、移動量算出部401は、予め設定された基準移動量(Step)を式(3)〜(8)を用いて補正する。移動量算出部401は、補正後の移動量を領域移動部132に出力する。
【0039】
到達時間算出部402は、切り出し領域が移動を開始すると、目標位置までの到達時間を算出する(ステップS104)。
【0040】
領域移動部132は、補正後の移動量に基づいて、切り出し領域を移動させる(ステップS105)。具体的には、領域移動部132は、1フレーム毎に補正後の移動量に応じた画素ずつ切り出し領域の座標を水平方向及び垂直方向に移動させる。
【0041】
次に、移動量算出部401は、切り出し領域が目標位置に到達したか否かを判定する(ステップS106)。具体的には、移動量算出部401は、RemainingDistanceX、RemainingDistanceYが0になったか否かを判定する。なお、ステップS106における判定は、例えば数フレーム間隔で行われる。
【0042】
切り出し領域が目標位置に到達した場合(ステップS106:Yes)、領域移動部132は、切り出し領域の移動を終了する。
【0043】
一方、切り出し領域が目標位置に到達していない場合(ステップS106:No)、移動量算出部401は、ステップS103において算出した水平方向及び垂直方向の移動量に応じて、切り出し領域を再び移動させる(ステップS105)。
【0044】
<切り出し領域の移動処理の具体例>
ここで、
図3〜
図6を参照して、デジタルパンチルト処理部130及びCPU400による切り出し領域の移動処理について具体的に説明する。
図3〜
図6においては、撮像部100により撮像される撮像領域が領域70であり、画像切り出し部131が切り出す領域が領域80(スルー画像)である。撮像領域70は撮像部100の画角に応じたサイズである。切り出し領域80は、液晶モニタ304や携帯端末装置の表示部に応じたサイズである。なお、
図3〜
図6における横方向が画像データの水平方向(X方向)であり、縦方向が画像データの垂直方向(Y方向)であるとする。
【0045】
図3においては、切り出し領域80は、撮像領域70の略中央部に位置している。現在の切り出し領域80の座標は、(CurrentPositionX、CurrentPositionY)である。つまり、液晶モニタ304には、何も被写体が存在しない画像が表示されている。
【0046】
このとき、ユーザが撮像領域70のうち、被写体90の位置を目標位置として指定する。つまり、切り出し領域80の移動先が指定される。これにより、移動量算出部401は、指定された位置(座標)を、切り出し領域80の移動先(目標位置)の座標(TargetPositionX、TargetPositionY)として認識する(
図4参照)。
【0047】
次に、移動量算出部401は、上記した式(1)(2)を用いて、切り出し領域80の現在の座標から目標位置の座標までの距離(RemainingDistanceX、RemainingDistanceY)を算出する(
図4参照)。
【0048】
本例の場合、
図4に示すようにRemainingDistanceX > RemainingDistanceYであるため、移動量算出部401は、上記した式(3)(4)を用いて、切り出し領域80の移動量(StepX'、StepY')を算出する。
【0049】
領域移動部132は、1フレーム毎に、算出された移動量に応じた画素ずつ切り出し領域80を移動させる。
図5は、
図4から例えば10フレーム経過後の切り出し領域80の位置を示した図である。
図5に示すように、切り出し領域80は、水平方向に10*StepX'だけ移動し、垂直方向に10*StepY'だけ移動している。このとき、水平方向の移動量StepX'は垂直方向の移動量StepY'よりも大きい値である。つまり、1フレームの間に切り出し領域80移動する画素数は、垂直方向よりも水平方向の方が多い。言い換えると、所定時間あたりに切り出し領域80が移動する量は、水平方向と垂直方向で異なる。
【0050】
このように、切り出し領域80の現在の座標から目標位置の座標までの距離が0になるまで、領域移動部132は、水平方向と垂直方向とで異なる移動量を用いて、切り出し領域80を移動させる。これにより、撮像装置1は、切り出し領域70の座標を目標位置の座標に近づける。
図6に切り出し領域80の移動の軌跡を示す。
図6に示すように、切り出し領域80は、現在の位置から目標位置まで直線的に移動する。
【0051】
以上のように、本実施の形態にかかる撮像装置1の構成によれば、移動量算出部401が、画像データにおける現在の切り出し領域の座標から目標位置の座標までの距離に基づいて、画像データにおける水平方向及び垂直方向の1フレームあたりの切り出し領域の移動量を算出する。そして、領域移動部132は、算出された移動量に応じて、切り出し領域を移動させる。このため、領域移動部132は、現在の切り出し領域の座標から目標位置の座標までの水平方向及び垂直方向の距離に応じた移動量を用いて、切り出し領域を移動させることができる。その結果、目標位置まで切り出し領域が移動する際に、現在の切り出し領域の水平方向の移動と垂直方向の移動とが同じ時間(フレーム)で完了する。つまり、切り出し領域は現在の切り出し領域の位置から目標位置まで、直線的に移動することができる。その結果、自然なデジタルパンチルト動作を実現できる。
【0052】
<参考例>
ここで、
図7を用いて参考例について説明する。
図7は、
図6に対応する図であり、切り出し領域80の移動の軌跡を示している。参考例にかかる撮像装置においては、切り出し領域80の水平方向の移動量と垂直方向の移動量とが同じ値である。つまり、切り出し領域80は、撮像領域70上を斜めに移動する場合、X軸またはY軸に対して45°の角度で移動する。そのため、
図7に示すように、水平方向の移動よりも垂直方向の移動が先に完了してしまい、その後は水平方向のみの移動が行われる。
【0053】
このため、液晶モニタ304に表示される画像は、最初は目標位置に向かって斜めに変化するが、途中から水平方向のみの変化となる。その結果、ユーザにとって不自然なデジタルパンチルト動作となってしまう。
【0054】
これに対して、本実施の形態にかかる撮像装置1の動作によれば、上述の通り、現在位置から目標位置まで直線的に移動する。そのため、液晶モニタ304に表示される画像は、目標位置に向かって常に斜めに変化する。その結果、自然なデジタルパンチルト動作を実現できる。
【0055】
<変形例>
本実施の形態にかかる撮像装置1の変形例について説明する。変形例にかかる撮像装置においては、切り出し領域の1フレームあたりの移動量StepX'、StepY'の算出方法が上記の実施の形態とは異なる。なお、その他の構成については上述した撮像装置1と同様であるので、説明を適宜省略する。
【0056】
まず、移動量算出部401は、上記の式(1)(2)を用いて、現在の切り出し領域の座標から目標位置の座標までの距離を算出する。
【0057】
さらに、移動量算出部401は、次の式(9)を用いて、現在の切り出し領域の座標から目標位置の座標までの直線距離RemainingDistanceを算出する。なお、各パラメータは、既に示した式(1)〜(8)と同様の値を意味する。
RemainingDistance = √(RemainingDistanceX
2 + RemainingDistanceY
2) (9)
【0058】
次に、移動量算出部401は、次の式(10)(11)を用いて、切り出し領域の移動量を算出する。言い換えると、移動量算出部401は、基準移動量Stepを、RemainingDistance、RemainingDistanceX、及びRemainingDistanceYを用いた係数によって、基準移動量Stepを補正する。
StepX' = Step * (RemainingDistanceX / RemainingDistance) (10)
StepY' = Step * (RemainingDistanceY / RemainingDistance) (11)
【0059】
以上のように、変形例にかかる撮像装置によれば、現在の切り出し領域の座標から目標位置の座標までの直線距離RemainingDistance、水平距離RemainingDistanceX、及び垂直距離RemainingDistanceYに基づいて、切り出し領域の移動量を算出する。このため、領域移動部132は、現在の切り出し領域の座標から目標位置の座標までの水平方向及び垂直方向の距離に応じた移動量を用いて、切り出し領域を移動させることができる。その結果、上記の撮像装置1と同様に、自然なデジタルパンチルト動作を実現できる。
【0060】
さらに、現在の切り出し領域の座標から目標位置の座標までの直線距離RemainingDistanceを用いているため、式(3)〜(8)に示したような場合分けをすることなく、移動量StepX'、StepY'を算出することができる。そのため、移動量算出フローを簡略化することができる。
【0061】
一方、式(3)〜(8)に示したように、水平距離RemainingDistanceX、及び垂直距離RemainingDistanceYに基づいて場合分けをする方法では、上記の式(9)のようなルートの計算が不要となる。そのため、移動量StepX'、StepY'の計算コストを低減できる。
【0062】
<実施の形態2>
本発明にかかる実施の形態2について説明する。本実施の形態にかかる撮像装置2のブロック図を
図8に示す。撮像装置2は、
図1に示した撮像装置1の構成に加えて、フォーカス・露光制御部403及び顔検出制御部404を備える。すなわち、撮像装置2は、撮像部100において実行されるフォーカス調整、露光調整、及び顔検出処理に特徴を有する。なお、その他の構成については撮像装置1と同様であるので、説明を適宜省略する。
【0063】
フォーカス・露光制御部403は、撮像部100のフォーカスアクチュエータ(図示省略)がフォーカス調整を実行する領域の位置を制御する。同様に、フォーカス・露光制御部403は、撮像部100の絞りアクチュエータ(図示省略)が露光調整を実行する領域の位置を制御する。ここで、領域の位置とは、撮像部100の撮像処理により生成された画像データのうち、フォーカス調整、露光調整すべき領域の座標を意味する。また、顔検出制御部404は、顔検出処理部140が顔検出処理を実行する領域の位置を制御する。
【0064】
続いて、本実施の形態にかかる撮像装置の動作について、
図9に示すフローチャートを参照して説明する。まず、フォーカス・露光制御部403は、フォーカスアクチュエータ及び絞りアクチュエータに通常処理を実行させる(ステップS201)。ここで、通常処理とは、現在の切り出し領域に対してフォーカス調整及び露光調整を実行することを意味する。具体的には、フォーカス・露光制御部403は、フォーカスアクチュエータ及び絞りアクチュエータに、現在の切り出し領域に含まれる被写体に合わせて、フォーカス及び露光を調整させる。また、顔検出制御部404は、顔検出処理部140に通常処理を実行させる(ステップS201)。具体的には、顔検出制御部404は、顔検出処理部140に現在の切り出し領域に含まれる顔の検出を実行させる。
【0065】
次に、フォーカス・露光制御部403及び顔検出制御部404は、切り出し領域が移動中であるか否かを判定する(ステップS202)。当該判定は、例えば、
図1に示した領域移動部132が切り出し領域を移動させたことを、フォーカス・露光制御部403及び顔検出制御部404に通知してもよいし、フォーカス・露光制御部403及び顔検出制御部404が切り出し領域の座標の変化を検知してよい。切り出し領域が移動中でない場合(ステップS202:No)、フォーカスアクチュエータ、絞りアクチュエータ、及び顔検出処理部140は、通常処理を続ける(ステップS201)。
【0066】
切り出し領域が移動中である場合(ステップS202:Yes)、フォーカス・露光制御部403及び顔検出制御部404は、切り出し領域が目標位置に到達するまでの時間(例えば、到達するまでにかかるフレーム数等)を取得する(ステップS203)。具体的には、フォーカス・露光制御部403及び顔検出制御部404は、
図2のステップS104において、到達時間算出部402が算出した到達時間を取得する。
【0067】
それと共に、フォーカス・露光制御部403及び顔検出制御部404は、切り出し領域の目標位置の座標を取得する(ステップS203)。具体的には、フォーカス・露光制御部403及び顔検出制御部404は、移動量算出部401から目標位置の座標(TargetPositionX、TargetPositionY)を取得する。
【0068】
そして、フォーカス・露光制御部403及び顔検出制御部404は、目標位置の座標を中心として、切り出し領域に対応する大きさの領域(以下、単に目標位置領域と称す場合もある)の画像データを取得する(ステップS204)。つまり、フォーカス・露光制御部403及び顔検出制御部404は、目標位置に切り出し領域が到達した場合に切り出されるべき領域の画像データを取得する。例えば、フォーカス・露光制御部403及び顔検出制御部404は、取得した目標位置の画像データをメインメモリ206等に格納しておく。
【0069】
フォーカス・露光制御部403は、フォーカスアクチュエータ及び絞りアクチュエータに、目標位置領域に対してフォーカス調整及び露光調整を実行させる(ステップS205)。つまり、フォーカス・露光制御部403は、フォーカスアクチュエータ及び絞りアクチュエータに対して、メインメモリ206に格納した画像データ(目標位置領域)に合わせて、フォーカス調整及び露光調整を実行させる。言い換えると、フォーカスアクチュエータ及び絞りアクチュエータは、目標位置の被写体に対してフォーカス調整及び露光調整を行う。つまり、フォーカスアクチュエータ及び絞りアクチュエータは、移動中の現在の切り出し領域の被写体に対してフォーカス調整及び露光調整を行わない。
【0070】
なお、フォーカス・露光制御部403は、切り出し領域が目標位置に到達するまでの時間に基づいて、フォーカス調整及び露光調整を開始してもよい。例えば、フォーカス・露光制御部403は、フォーカス調整及び露光調整に5フレーム必要であるとする。このとき、切り出し領域が目標位置に到達するまでの時間が30フレームだとすると、フォーカス・露光制御部403は、移動開始後25フレームにおいては、移動している現在の切り出し領域の被写体に対してフォーカス及び露光を合わせる。そして、最後の5フレームにおいて、フォーカス・露光制御部403は、目標位置の被写体に対してフォーカス及び露光を合わせる。これにより、目標位置に到達する直前までは、現在の切り出し領域に対してフォーカス及び露光が調整される。その結果、現在の切り出し領域に適したフォーカス及び露光が、目標位置領域に適したフォーカス及び露光と大きく異なる場合であっても、移動完了の直前までは、移動中の現在の切り出し領域に合わせてフォーカス及び露光が調整される。その結果、移動中の切り出し領域の画質の低下を抑制できる。
【0071】
一方、切り出し領域が目標位置に到達するまでの時間が5フレーム以下の場合、フォーカス・露光制御部403は、切り出し領域の移動と同時に、標位置の被写体に対してフォーカス及び露光を合わせる。
【0072】
同様に、顔検出制御部404は、顔検出処理部140に、目標位置領域に対して顔認識処理を実行させる(ステップS205)。つまり、顔検出制御部404は、顔検出処理部140に対して、メインメモリ206に格納した画像データ(目標位置領域)に含まれる顔の検出を実行させる。言い換えると、顔検出処理部140は、目標位置の被写体に含まれる顔の検出を行う。つまり、顔検出処理部140は、移動中の現在の切り出し領域に含まれる顔の検出を行わない。
【0073】
以上のように、本実施の形態にかかる撮像装置2の構成によれば、フォーカス・露光制御部403が、フォーカスアクチュエータ及び絞りアクチュエータに対して、目標位置領域のフォーカス調整及び露光調整を実行させる。また、目標位置領域のフォーカス調整及び露光調整は、切り出し領域が目標位置へ移動している間に実行される。そのため、切り出し領域が目標位置に到達した際には、目標位置領域にフォーカス及び露光が合っている状態となる。その結果、フォーカス及び露光が合った目標位置の画像を迅速に表示させることができる。
【0074】
また、目標位置領域に含まれる顔の検出処理についても、切り出し領域が目標位置へ移動している間に実行される。その結果、目標位置の画像における顔検出の検出結果を迅速に表示されることができる。
【0075】
<参考例>
ここで、参考例にかかる撮像装置のフォーカス調整について説明する。参考例にかかる撮像装置は、パンチルト動作中(切り出し領域の移動中)においても、切り出し領域に対してフォーカス調整を行う。そのため、撮像装置は、パンチルト動作により画像が変化する切り出し領域に対して、フォーカス調整を行うことになる。その結果、フォーカスを高精度に調整することが困難となる。なお、露光調整や顔検出処理についても同様の問題が生じる。
【0076】
加えて、参考例にかかる撮像装置においては、移動中の切り出し領域に対してフォーカス調整を行っているため、切り出し領域が目標位置に到達した時点で、目標位置領域に対するフォーカス調整が開始される。そのため、切り出し領域が目標位置に到達してからフォーカス調整が完了するまでに時間がかかってしまう。
【0077】
これに対して、本実施の形態にかかる撮像装置2によれば、上記のように、切り出し領域が目標位置に到達したときには、既に目標位置領域に対してフォーカスが合っている。そのため、フォーカスが合った目標位置の画像を迅速に表示させることができる。なお、移動中の切り出し領域の画像は常に変化しているため、フォーカスや露光を正確に合わせなくても、ユーザは違和感を感じない。
【0078】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、上記のデジタルパンチルト処理、フォーカス調整、露光調整、及び顔検出処理は、メインプロセッサのROM等に格納されたコンピュータプログラムによって実行可能である。上述の例において、各処理をコンピュータ(プロセッサ)に行わせるための命令群を含むプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。