(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂層を有し、且つ互いに対峙する第1セパレータ及び第2セパレータを備え、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータには、前記樹脂層の表裏両面にセラミックスがコートされたセラミックス層が形成されており、
さらに、電極を収納する収納部と、前記収納部よりも前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの端縁側で前記第1セパレータと前記第2セパレータとを接合する接合部と、を有する電極を収納済みのセパレータであって、
前記セラミックス層において、前記接合部に位置する部位には、前記第1セパレータの樹脂層と前記第2セパレータの樹脂層とを繋ぐ連繋部が設けられており、
前記連繋部に連続するとともに、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータが対向する面とは反対側の外面に係止する係止部を有しており、
前記係止部は、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの外面上に広がった形状を有していることを特徴とする電極を収納済みのセパレータ。
樹脂層を有し、且つ互いに対峙する第1セパレータ及び第2セパレータを備え、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータには、前記樹脂層の表裏両面にセラミックスがコートされたセラミックス層が形成されており、
さらに、電極を収納する収納部と、前記収納部よりも前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの端縁側で前記第1セパレータと前記第2セパレータとを接合する接合部と、を有する電極を収納済みのセパレータであって、
前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの対向する面側に形成されているセラミックス層は、前記接合部に位置する部位に貫通孔を有し、該貫通孔において、前記第1セパレータの樹脂層と前記第2セパレータの樹脂層とを繋ぐ連繋部が設けられており、
前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの対向する面側とは反対側の外面に形成されているセラミックス層の少なくともいずれか一方には、前記連繋部と重なる位置に貫通孔を有していることを特徴とする電極を収納済みのセパレータ。
前記連繋部は、前記接合部において、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの端縁よりも内側に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電極を収納済みのセパレータ。
前記電極は、該電極の端縁から突出するタブを有するとともに、前記タブは前記第1セパレータと前記第2セパレータの対向する面の間を通って第1セパレータ及び第2セパレータの端縁よりも突出しており、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの接合部のうち、前記タブの突出した端縁側の接合部と、前記収納部を挟んで前記タブの突出した端縁と反対の端縁側の接合部とでは、前記連繋部の面積の総和が同じになっている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の電極を収納済みのセパレータ。
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の電極を収納済みのセパレータの内部に第1の電極が収納されており、前記電極を収納済みのセパレータと、前記第1の電極とは極性の異なる第2の電極とを層状に形成した電極組立体を備えたことを特徴とする蓄電装置。
樹脂層を有し、且つ互いに対峙する第1セパレータ及び第2セパレータを備え、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータには、前記樹脂層の表裏両面にセラミックスがコートされたセラミックス層が形成されており、
さらに、電極を収納する収納部と、前記収納部よりも前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの端縁側で前記第1セパレータと前記第2セパレータとを接合する接合部と、を有する電極を収納済みのセパレータの製造方法であって、
針状部材を前記樹脂層の融点よりも高い温度まで加熱し、
前記接合部に前記針状部材を突き刺して前記第1セパレータの樹脂層と前記第2セパレータの樹脂層とを繋ぐ貫通孔を形成し、
前記針状部材の熱によって前記樹脂層の一部を溶融させた後、前記針状部材を引き抜いて前記貫通孔に溶融した樹脂を流れ込ませ、溶融した前記樹脂層の一部を固化させることを特徴とする電極を収納済みのセパレータの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種のセパレータにおいては、例えば熱収縮に対する耐久性向上を狙って、所定の材料(例えばセラミックスなど)で表面がコーティングされたセパレータを使用したいニーズがある。しかし、背景技術で述べた袋状セパレータの場合、表面コーティングされたセパレータを袋状に接着する際に、コーティング部材が影響を及ぼして、互いに対峙する第1セパレータ及び第2セパレータを接続することができない可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、互いに対峙する第1セパレータ及び第2セパレータにおいて、第1セパレータにおける第2セパレータと対向する面にセラミックスがコートされていても、第1セパレータと第2セパレータとを互いに接続することができる電極収納セパレータ、蓄電装置、及び電極収納セパレータの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、樹脂層を有し、且つ互いに対峙する第1セパレータ及び第2セパレータを備え、前記第1セパレータ
及び前記第2セパレータ
には、前記樹脂層の表裏両面にセラミックスがコートされたセラミックス層が形成され
ており、さらに、電極を収納する収納部と、前記収納部よりも前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの端縁側で前記第1セパレータと前記第2セパレータとを接合する接合部と、を有する電極
を収納
済みのセパレータであって、前記セラミックス層において、前記接合部に位置する部位には、前記第1セパレータの樹脂層と前記第2セパレータの樹脂層とを繋ぐ連繋部が設けられて
おり、前記連繋部に連続するとともに、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータが対向する面とは反対側の外面に係止する係止部を有しており、前記係止部は、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの外面上に広がった形状を有していることを要旨とする。
【0008】
この発明によれば、連繋部によって樹脂層同士を繋ぐことができるため、熱収縮に対する耐久性の向上を狙って第1セパレータにおける第2セパレータと対向する面にセラミックス層が形成されていても、第1セパレータと第2セパレータとを互いに接続することができる。
また、樹脂層の片面のみにセラミックス層が形成されている場合に比べると、第1セパレータ及び第2セパレータにおける熱収縮の耐久性を向上させることができる。また、連繋部と連続する係止部が第1セパレータ及び第2セパレータが対向する面とは反対側の外面に係止されているため、第1セパレータと第2セパレータとの接続をより強固なものとすることができる。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、樹脂層を有し、且つ互いに対峙する第1セパレータ及び第2セパレータを備え、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータには、前記樹脂層の表裏両面にセラミックスがコートされたセラミックス層が形成されており、さらに、電極を収納する収納部と、前記収納部よりも前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの端縁側で前記第1セパレータと前記第2セパレータとを接合する接合部と、を有する電極を収納済みのセパレータであって、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの対向する面側に形成されているセラミックス層は、前記接合部に位置する部位に貫通孔を有し、該貫通孔において、前記第1セパレータの樹脂層と前記第2セパレータの樹脂層とを繋ぐ連繋部が設けられており、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの対向する面側とは反対側の外面に形成されているセラミックス層の少なくともいずれか一方には、前記連繋部と重なる位置に貫通孔を有していることを要旨とする。
この発明によれば、連繋部によって樹脂層同士を繋ぐことができるため、熱収縮に対する耐久性の向上を狙って第1セパレータにおける第2セパレータと対向する面にセラミックス層が形成されていても、第1セパレータと第2セパレータとを互いに接続することができる。また、樹脂層の片面のみにセラミックス層が形成されている場合に比べると、第1セパレータ及び第2セパレータにおける熱収縮の耐久性を向上させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記連繋部は、前記接合部において、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの端縁よりも内側に設けられていることを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、連繋部が、第1セパレータ及び第2セパレータの端縁に形成されている場合に比べると、第1セパレータと第2セパレータとの接続を強固なものとすることができる。
【0017】
請求項
4に記載の発明は、請求項1〜請求項
3のいずれか一項に記載の発明において、前記接合部には、前記連繋部が所定の間隔をおいて複数設けられていることを要旨とする。
【0018】
この発明によれば、収納部の周縁全てに連繋部が形成されない。すなわち、収納部の周縁において、セラミックス層を残すことができるため、樹脂層における熱収縮に対する耐久性を向上させることができる。
【0023】
請求項
5に記載の発明は、請求項1〜請求項
4のいずれか一項に記載の発明において、前記電極は、該電極の端縁から突出するタブを有するとともに、前記タブは前記第1セパレータと前記第2セパレータの対向する面の間を通って第1セパレータ及び第2セパレータの端縁よりも突出しており、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの接合部のうち、前記タブの突出した端縁側の接合部と、前記収納部を挟んで前記タブの突出した端縁と反対の端縁側の接合部とでは、前記連繋部の面積の総和が同じになっていることを要旨とする。
【0024】
この発明によれば、例えば、樹脂層を溶融させた状態で押圧して連繋部を形成する場合、タブの突出した端縁側の接合部と、収納部を挟んだ反対の端縁側の接合部とで同じ荷重が加わり、片方の接合部に荷重が集中して加わることを防止することができる。このため、電極収納セパレータにおいて、タブの突出した端縁側の接合部と、収納部を挟んだ反対の端縁側の接合部とで、連繋部での接合不良を防止することができるとともに、接合部に皺が生じることを防止できる。
【0025】
請求項
6に記載の発明は、蓄電装置において、請求項1〜請求項
5のいずれか一項に記載の電極
を収納
済みのセパレータの内部に第1の電極が収納され
ており、前記電極
を収納
済みのセパレータと、前記第1の電極とは極性の異なる第2の電極とを層状に形成した電極組立体を備えたことを要旨とする。
【0026】
この発明によれば、第1の電極、第2の電極及びセパレータの積み重ね工程数を減らすことができ、蓄電装置の生産性を向上させることができる。
請求項
7に記載の発明は、請求項
6に記載の発明において、前記蓄電装置は二次電池であることを要旨とする。この発明によれば、請求項
6と同様な効果を得ることができる。
【0027】
請求項
8に記載の発明は、樹脂層を有し、且つ互いに対峙する第1セパレータ及び第2セパレータを備え、前記第1セパレータ
及び前記第2セパレータ
には、前記樹脂層の表裏両面にセラミックスがコートされたセラミックス層が形成され
ており、さらに、電極を収納する収納部と、前記収納部よりも前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの端縁側で前記第1セパレータと前記第2セパレータとを接合する接合部と、を有する電極
を収納
済みのセパレータの製造方法であって、前記接合部に
針状部材を貫通させ、該針状部材の両端を、前記第1セパレータ及び第2セパレータが対向する面とは反対側の外面から突出させ、前記接合部を加熱して前記針状部材及び前記樹脂層を溶融させ、前記針状部材の両端を前記外面上に流れさせ、前記針状部材及び前記樹脂層を固化させることを要旨とする。この発明によれば、請求項1と同様な効果を得ることができる。
請求項9に記載の発明は、樹脂層を有し、且つ互いに対峙する第1セパレータ及び第2セパレータを備え、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータには、前記樹脂層の表裏両面にセラミックスがコートされたセラミックス層が形成されており、さらに、電極を収納する収納部と、前記収納部よりも前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの端縁側で前記第1セパレータと前記第2セパレータとを接合する接合部と、を有する電極を収納済みのセパレータの製造方法であって、針状部材を前記樹脂層の融点よりも高い温度まで加熱し、前記接合部に前記針状部材を突き刺して前記第1セパレータの樹脂層と前記第2セパレータの樹脂層とを繋ぐ貫通孔を形成し、前記針状部材の熱によって前記樹脂層の一部を溶融させた後、前記針状部材を引き抜いて前記貫通孔に溶融した樹脂を流れ込ませ、溶融した前記樹脂層の一部を固化させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0032】
この発明によれば、互いに対峙する第1セパレータ及び第2セパレータにおいて、第1セパレータにおける第2セパレータと対向する面にセラミックスがコートされていても、第1セパレータと第2セパレータとを互いに接続することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1の実施形態)
以下、本発明を車両(例えば産業車両や乗用車両)に搭載される二次電池に具体化した第1の実施形態を
図1〜
図5にしたがって説明する。なお、二次電池は、走行モータを駆動するために用いられる。
【0035】
図1に示すように、二次電池10は、電極組立体11と、電極組立体11を収容するアルミニウム製のケース20とから構成されている。ケース20は、電極組立体11を挿入可能な開口部21aが形成された有底矩形箱状をなすケース本体21と、ケース本体21の開口部21aを閉鎖する矩形板状の蓋22とから構成されている。ケース20の内部には電解液が注入されている。蓋22の周縁から立設された4つの側壁のうちの一つの側壁である端子壁23には、正極端子23a及び負極端子23bが外部に向けて突設されている。
【0036】
図2に示すように、電極組立体11は、袋状をなすとともにその内部に第1の電極である正極シート12を収納した電極収納セパレータ30と、正極シート12とは極性の異なる第2の電極である負極シート13とをそれぞれ一定方向(積層方向)に複数枚積層して層状に構成されている。すなわち、本実施形態の電極組立体11は、正極シート12を収納した電極収納セパレータ30と負極シート13とが、電極組立体11の厚み方向(積層方向)に沿って一定方向に積み重ねられてなる積層型の電極組立体である。
【0037】
正極シート12は、四角形シート状である正極用金属箔121と、正極用金属箔121の表裏両面に活物質が塗布されてなる正極活物質層12aとを有している。また、正極用金属箔121における活物質が塗布されていない部位によって正極未塗工部12bが構成されている。正極未塗工部12bの端縁121bからは正極タブ12cが突出している。負極シート13は、四角形シート状である負極用金属箔131と、負極用金属箔131の表裏両面に活物質が塗布されてなる負極活物質層13aとを有している。また、負極用金属箔131における活物質が塗布されていない部位によって負極未塗工部13bが構成されている。負極未塗工部13bの端縁131bからは負極タブ13cが突出している。各正極シート12は、各正極タブ12cが重なるようにして一定方向に積層されるとともに、各負極シート13は、各負極タブ13cが重なるようにして一定方向に積層される。なお、正極用金属箔121はアルミニウム箔であるとともに、負極用金属箔131は銅箔である。また、正極シート12は負極シート13よりも小さいサイズに形成されており、負極活物質層13aによって正極活物質層12aが覆われるように正極シート12及び負極シート13のサイズが設定されている。
【0038】
図1に示すように、電極組立体11には、各正極タブ12cを集めてなる正極タブ群12dが形成されている。正極タブ群12dには矩形板状をなす正極導電部材19aが超音波溶接により接合(接続)されている。また、電極組立体11には、各負極タブ13cを集めてなる負極タブ群13dが形成されている。負極タブ群13dには矩形板状をなす負極導電部材19bが超音波溶接により接合(接続)されている。正極タブ群12d及び負極タブ群13dは、電極組立体11の一方側から同方向(一方向)に延びている。
【0039】
正極導電部材19aは正極端子23aにおけるケース本体21内に突出する端部に連結されるとともに、負極導電部材19bは負極端子23bにおけるケース本体21内に突出する端部に連結される。これにより、正極タブ群12dと正極端子23aとが正極導電部材19aを介して電気的に接続されるとともに、負極タブ群13dと負極端子23bとが負極導電部材19bを介して電気的に接続される。さらに、電極組立体11がケース本体21内に収容された状態において、蓋22とケース本体21とがレーザー溶接により接合されて、ケース本体21の開口部21aが蓋22により塞がれて密閉されることで二次電池10が構成される。なお、電極組立体11とケース20の内面との間は、図示しない絶縁シートにより絶縁が確保されている。
【0040】
次に、電極収納セパレータ30について説明する。
図2に示すように、電極収納セパレータ30は、互いに対峙する四角形シート状の第1セパレータ31と四角形シート状の第2セパレータ32とから構成されている。第1セパレータ31は、樹脂層としての第1樹脂層31aと、第1樹脂層31aの表面にセラミックスがコートされてなるセラミックス層としての第1セラミックス層311bと、第1樹脂層31aの裏面にセラミックスがコートされてなるセラミックス層としての第2セラミックス層312bとを有している。第1樹脂層31aは、例えばポリエチレン(PE)により形成されている。第1セラミックス層311b及び第2セラミックス層312bは、例えば酸化アルミニウム(Al
2O
3)よりなるセラミックス粒子(セラミックス粉末)、及びバインダを含んでなる多孔質の層である。
【0041】
第2セパレータ32は、樹脂層としての第2樹脂層32aと、第2樹脂層32aの表面にセラミックスがコートされてなるセラミックス層としての第3セラミックス層321bと、第2樹脂層32aの裏面にセラミックスがコートされてなるセラミックス層としての第4セラミックス層322bとを有している。第2樹脂層32aは例えばポリエチレン(PE)により形成されている。第3セラミックス層321b及び第4セラミックス層322bは、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)よりなるセラミックス粒子(セラミックス粉末)、及びバインダを含んでなる多孔質の層である。第1セパレータ31と第2セパレータ32との間には正極シート12が挟み込まれるようにして配置されている。
【0042】
図3に示すように、第1セパレータ31及び第2セパレータ32において、正極タブ12cと対向する部分を除いた外縁部は、第1セパレータ31と第2セパレータ32とを接合する接合部30bとなっている。接合部30bには、溶着部W1が所定の間隔をおいて複数設けられている。接合部30bは、正極シート12の周囲で溶着部W1が設けられた領域全体のことであり、全ての溶着部W1を含めて接合部30bとなっている。各溶着部W1は、正極シート12の四辺(第1セパレータ31及び第2セパレータ32の四辺)にそれぞれ沿うように直線状に並んで配置されている。
【0043】
図4に示すように、溶着部W1は、第1セパレータ31及び第2セパレータ32において、互いに対向する面を形成する第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bを貫通するように形成された連通部R1に設けられている。そして、溶着部W1が第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bを貫通して、この溶着部W1により第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとが繋がっている。これら溶着部W1により、第1セパレータ31と第2セパレータ32とを互いに対峙するように重ね合わせてなる袋状の電極収納セパレータ30が形成され、電極収納セパレータ30の内部に、正極シート12が収納される収納部30aが形成されている。接合部30bは、収納部30aよりも第1セパレータ31の端縁31e及び第2セパレータ32の端縁32e側に形成されている。第1セラミックス層311bは第1セパレータ31側の最外層に位置するとともに、第4セラミックス層322bは第2セパレータ32側の最外層に位置する。
【0044】
溶着部W1は、接合部30bにおいて、第1セパレータ31の端縁31e及び第2セパレータ32の端縁32eよりも内側(収納部30a側)に形成されている。第1セラミックス層311bにおける溶着部W1と重なる部位は、第1樹脂層31a側に押し潰されている。すなわち、第1樹脂層31aにおける第1セラミックス層311b側の面であって、溶着部W1と重なる部位にはセラミックスがコートされている。
【0045】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態の電極組立体11は、電極収納セパレータ30に正極シート12を予め収納した状態で、電極収納セパレータ30と負極シート13とを交互に積み重ねていくことにより組み立てられる。よって、正極シート、負極シート、セパレータを、順に積み重ねて電極組立体を組み立てる場合に比べると、電極組立体11の組み立て時に積層するシートの枚数が少なく抑えられ、生産性のタクトタイムが短くなり、電極組立体11の生産性、ひいては二次電池10の生産性が向上する。
【0046】
また、電極収納セパレータ30を構成する第1セパレータ31及び第2セパレータ32は、第1樹脂層31aの表裏両面に第1セラミックス層311b及び第2セラミックス層312bを有するとともに、第2樹脂層32aの表裏両面に第3セラミックス層321b及び第4セラミックス層322bを有している。よって、第1樹脂層31aの熱収縮に対する耐久性が第1セラミックス層311b及び第2セラミックス層312bにより向上しているとともに、第2樹脂層32aの熱収縮に対する耐久性が第3セラミックス層321b及び第4セラミックス層322bにより向上している。したがって、高温下において、電極組立体11を構成する正極シート12及び負極シート13同士が短絡することが抑制され、二次電池10において不具合が生じてしまうことが抑制されている。その結果として、二次電池10を使用した車両の走行性能に不具合が生じてしまうことが抑制されている。
【0047】
次に、電極収納セパレータ30の製造方法について説明する。
図5(a)に示すように、電極収納セパレータ30を製造する際には、金属製の押圧部材40が用いられる。押圧部材40の一端面40aには、複数の押圧部41が突出形成されている。各押圧部41の先端は平坦面状に形成されている。
【0048】
そして、第1セパレータ31と第2セパレータ32との間に正極シート12を挟み込むとともに、押圧部材40を、第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aの融点よりも高い温度まで加熱した状態で、押圧部材40の各押圧部41を、接合部30bに対して第1セパレータ31側から押し付ける。すると、
図5(b)に示すように、第1セパレータ31において、第1セラミックス層311bが各押圧部41によって押し潰されるとともに、
図5(b)において拡大して示すように、押し潰された第1セラミックス層311bと重なる第1樹脂層31aの部位に、押圧部材40からの熱が伝わる。
【0049】
この押圧部材40からの熱によって、押し潰された第1セラミックス層311bと重なる第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aの部位を形成する樹脂が溶融する。そして、第1樹脂層31aにおいて溶融した溶融樹脂が、各押圧部41からの荷重により第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321b側へ染み出すように押し出される。すると、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bにおける押し潰された第1セラミックス層311bと重なる部位を形成するセラミックス粒子は、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321b側へ押し出された溶融樹脂と混ざり合う。
【0050】
これにより、
図5(c)に示すように、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bにおける押し潰された第1セラミックス層311bと重なる部位には、溶融樹脂とセラミックス粒子とが混ざり合った混合樹脂が流れ込むとともに、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとを連通する連通部R1が形成される。すなわち、接合部30bに対して押し付けられる押圧部材40の各押圧部41からの荷重は、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bにおける押し潰された第1セラミックス層311bと重なる部位に、混合樹脂が流れ込み易くなるようにセラミックス粒子の密度を小さくすることができる程度の荷重となっている。
【0051】
そして、この連通部R1に混合樹脂が流れ込んで、この混合樹脂により、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとが繋がる。そして、これら溶融した混合樹脂を固化することで、第1セパレータ31と第2セパレータ32とを互いに接合する溶着部W1が形成される。すなわち、溶着部W1は、第1樹脂層31aの一部が溶融して固化することで形成されている。よって、溶着部W1は、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとを繋ぐ連繋部に相当する。これら溶着部W1により第1セパレータ31と第2セパレータ32とが互いに接合されることで、第1セパレータ31と第2セパレータ32とを互いに対峙するように重ね合わせてなる袋状の電極収納セパレータ30が形成される。
【0052】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)熱収縮に対する耐久性向上を狙って第1樹脂層31aの表裏両面に第1セラミックス層311b及び第2セラミックス層312bを形成するとともに、第2樹脂層32aの表裏両面に第3セラミックス層321b及び第4セラミックス層322bを形成した第1セパレータ31及び第2セパレータ32により電極収納セパレータ30を構成した。そして、本実施形態では、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bにおいて、接合部30bに、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとを繋ぐ溶着部W1を設けた。よって、第1セパレータ31及び第2セパレータ32において、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bが互いに対向するように配置されていても、第1セパレータ31と第2セパレータ32とを互いに接続することができる。
【0053】
(2)溶着部W1は、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bを貫通しているため、第1セパレータ31と第2セパレータ32との接続を強固なものとすることができる。
【0054】
(3)溶着部W1を、第1セパレータ31の端縁31e及び第2セパレータ32の端縁32eよりも内側に形成した。よって、溶着部W1が、第1セパレータ31の端縁31e及び第2セパレータ32の端縁32eに形成されている場合に比べると、第1セパレータ31と第2セパレータ32との接続を強固なものとすることができる。
【0055】
(4)第1セパレータ31及び第2セパレータ32において、第1樹脂層31aの表裏両面に第1セラミックス層311b及び第2セラミックス層312bを形成し、第2樹脂層32aの表裏両面に第3セラミックス層321b及び第4セラミックス層322bを形成した。よって、第1樹脂層31aの片面のみにセラミックスがコートされていたり、第2樹脂層32aの片面のみにセラミックスがコートされていたりする場合に比べると、第1セパレータ31(第1樹脂層31a)又は第2セパレータ32(第2樹脂層32a)における熱収縮の耐久性を向上させることができる。
【0056】
(5)第1樹脂層31aにおいて、第1セパレータ31及び第2セパレータ32における互いに対向する面とは反対側の面であって、溶着部W1と重なる部位にセラミックスがコートされている。よって、第1樹脂層31aにおいて、第1セパレータ31及び第2セパレータ32における互いに対向する面側とは反対側の面であって、溶着部W1と重なる部位にセラミックスがコートされていない場合に比べて、第1樹脂層31aにおける熱収縮に対する耐久性を向上させることができる。
【0057】
(6)接合部30bは、所定の間隔をおいて複数形成された溶着部W1を備える。よって、収納部30aの周縁において、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bを残すことができるため、第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aにおける熱収縮に対する耐久性を向上させることができる。
【0058】
(7)接合部30bは、所定の間隔をおいて複数形成された溶着部W1を備える。よって、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとを溶融させて接合させる際に、収納部30aの周縁全てが溶融しないため、溶着部W1を、第1セパレータ31の端縁31e及び第2セパレータ32の端縁32eよりも内側に形成し易くすることができる。
【0059】
(8)溶着部W1は、第1樹脂層31aの一部を溶融させて固化することで形成されている。よって、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとを繋ぐために、第1樹脂層31aを構成する樹脂とは別の樹脂を用いずに、既存の樹脂を用いて第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとを繋ぐことができるため、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとを容易に繋ぐことができる。
【0060】
(9)本実施形態によれば、電極収納セパレータ30に正極シート12を予め収納した状態で、電極収納セパレータ30と負極シート13とを交互に積み重ねていくことにより電極組立体11を組み立てることができる。よって、正極シート、負極シート、セパレータを、順に積み重ねて電極組立体を組み立てる場合に比べると、電極組立体11の組み立て時に積層するシートの枚数が少なく抑えられ、生産性のタクトタイムが短くなり、電極組立体11の生産性、ひいては二次電池10の生産性を向上させることができる。
【0061】
(10)本実施形態では、電極収納セパレータ30を構成する第1セパレータ31及び第2セパレータ32は、第1樹脂層31aの表裏両面に第1セラミックス層311b及び第2セラミックス層312bを有するとともに、第2樹脂層32aの表裏両面に第3セラミックス層321b及び第4セラミックス層322bを有している。よって、第1樹脂層31aの熱収縮に対する耐久性を第1セラミックス層311b及び第2セラミックス層312bにより向上させることができるとともに、第2樹脂層32aの熱収縮に対する耐久性を第3セラミックス層321b及び第4セラミックス層322bにより向上させることができる。したがって、高温下において、電極組立体11を構成する正極シート12及び負極シート13同士が短絡することが抑制され、二次電池10において不具合が生じてしまうことを抑制することができる。その結果として、二次電池10を使用した車両の走行性能に不具合が生じてしまうことを抑制することができる。
【0062】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を
図6〜
図9にしたがって説明する。なお、
以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。また、第2の実施形態では、電極収納セパレータ30Aの製造方法を中心に説明する。
【0063】
図6に示すように、まず、帯状の長い第1セパレータ31及び第2セパレータ32を用意する。そして、第1セパレータ31と第2セパレータ32との間に複数の正極シート12を並べて配置し、これら正極シート12を第1セパレータ31及び第2セパレータ32で挟み込む。
【0064】
続いて、
図7に示すように、重ね合わせた第1セパレータ31及び第2セパレータ32における上端側(正極タブ12cが突出する側)の端縁、及び下端側(正極タブ12cが突出する側とは反対側)の端縁同士を、第1の実施形態と同様に接合する。
【0065】
続いて、
図8に示すように、第1セパレータ31及び第2セパレータ32を、隣り合う正極シート12の間で切断する。この切断は、
図9(a)に示すような金属製の切断部材50により行われる。切断部材50は、第1セパレータ31及び第2セパレータ32を切断する際に、第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aの融点よりも高い温度まで加熱される。そして、
図9(b)に示すように、加熱された切断部材50により、第1セパレータ31及び第2セパレータ32が、隣り合う正極シート12の間において切断される。すると、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとが第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bの切断縁である第2セラミックス層312bの端縁R2及び第3セラミックス層321bの端縁R3を介して連通する。
【0066】
また、このとき、第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aにおける切断部材50と接する部位に、切断部材50からの熱が伝わる。すると、この切断部材50からの熱によって、第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aにおける切断部材50と接する部位が溶融する。そして、第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aにおいて溶融した溶融樹脂が、第1セパレータ31及び第2セパレータ32の切断縁である第1セパレータ31の端縁31e及び第2セパレータ32の端縁32eよりも外側へ流れ出す。さらに、この流れ出た溶融樹脂が第2セラミックス層312bの端縁R2又は第3セラミックス層321bの端縁R3を介して互いに接続される。そして、溶融樹脂が固化することで、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとの間には、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとを繋ぐ連繋部としての溶着部W2が形成される。すなわち、溶着部W2は、第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aの一部が溶融して固化することで形成されるとともに、第1セパレータ31の端縁31e及び第2セパレータ32の端縁32eに沿って連続するように形成されている。このようにして、溶着部W2により第1セパレータ31と第2セパレータ32とが互いに接合され、第1セパレータ31と第2セパレータ32とを互いに対峙するように重ね合わせてなる袋状の電極収納セパレータ30Aが複数形成される。
【0067】
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)、(4)、(8)〜(10)と同様の効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(11)溶着部W2は、第1セパレータ31及び第2セパレータ32の切断縁である第1セパレータ31の端縁31e及び第2セパレータ32の端縁32eに形成されている。よって、第1セパレータ31及び第2セパレータ32において、溶着部W2よりも外側に存在する部位が存在しない分だけ第1セパレータ31及び第2セパレータ32全体のサイズを小さくすることができる。
【0068】
(12)第2の実施形態では、電極収納セパレータ30Aの外側から溶着部W2を視認することができるため、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとの接続状態を容易に確認することができる。
【0069】
(第3の実施形態)
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を
図10にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。また、第3の実施形態では、電極収納セパレータ30Bの製造方法を中心に説明する。
【0070】
図10(a)に示すように、まず、第1セパレータ31及び第2セパレータ32における接合部30bに対して、例えばポリプロピレン(PP)からなる針状部材60を、所定の間隔をおいて複数貫通させる。具体的には、各針状部材60の一端が、第4セラミックス層322bから突出するとともに、他端が第1セラミックス層311bから突出するように、各針状部材60を第1セパレータ31及び第2セパレータ32における接合部30bに対して貫通させる。この針状部材60における第1セパレータ31及び第2セパレータ32への貫通によって、接合部30bにおいて、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bには、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとを連通する貫通孔R4,R5が形成される。
【0071】
続いて、第1セパレータ31及び第2セパレータ32における接合部30bを、第1樹脂層31a、第2樹脂層32a及び針状部材60よりも融点の高い温度まで加熱する。すると、
図10(b)に示すように、各針状部材60の一端が溶融して第1セラミックス層311bの外面上に流れるとともに、各針状部材60の他端が溶融して第4セラミックス層322bの外面上に流れる。さらに、針状部材60の一端と他端とを繋ぐ胴部63、及び胴部63周りの第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aも溶融する。
【0072】
そして、これら溶融した針状部材60、第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aを固化させる。その結果、第1セラミックス層311bの外面上で固化した針状部材60の一端により、第1セラミックス層311bの外面に係止される係止部としての第1係止部61が形成される。また、第4セラミックス層322bの外面上で固化した針状部材60の他端により、第4セラミックス層322bの外面に係止される係止部としての第2係止部62が形成される。さらに、胴部63と、胴部63周りの第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aとが接合される。すなわち、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとは胴部63を介して繋がっている。よって、第3の実施形態では、胴部63が貫通孔R4,R5に設けられるとともに第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bを貫通する連繋部に相当する。これにより、第1セパレータ31と第2セパレータ32とが互いに接合され、第1セパレータ31と第2セパレータ32とを互いに対峙するように重ね合わせてなる袋状の電極収納セパレータ30Bが形成される。
【0073】
また、第1係止部61における第1セラミックス層311bの外面への係止、及び第2係止部62における第4セラミックス層322bの外面への係止により、第1セパレータ31及び第2セパレータ32が第1係止部61と第2係止部62との間に挟み込まれている。このため、第1セパレータ31と第2セパレータ32との接続がより強固なものとなっている。
【0074】
したがって、第
3の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(4)、(6)、(7)、(9)、(10)と同様の効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
【0075】
(13)第1係止部61を、第1セラミックス層311bの外面に係止させるとともに、第2係止部62を、第4セラミックス層322bの外面に係止させた。よって、第1係止部61及び第2係止部62により、第1セパレータ31及び第2セパレータ32を挟み込むことができるため、第1セパレータ31と第2セパレータ32との接続をより強固なものとすることができる。
【0076】
(14)針状部材60をポリプロピレン(PP)により形成した。よって、針状部材60は、ポリエチレン(PE)により形成された第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aよりも融点が高いため、高温化において、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとの接合部分が熱収縮してしまうことを抑制し易くすることができる。
【0077】
(第4の実施形態)
以下、本発明を具体化した第4の実施形態を
図11にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。また、第4の実施形態では、電極収納セパレータ30Cの製造方法を中心に説明する。
【0078】
図11(a)に示すように、電極収納セパレータ30Cを製造する際には、金属製の針状部材70が用いられる。針状部材70の一端面70aには、複数の針部71が突出形成されている。
【0079】
そして、
図11(b)に示すように、第1セパレータ31と第2セパレータ32との間に正極シート12を挟み込むとともに、針状部材70を第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aの融点よりも高い温度まで加熱した状態で、針状部材70の各針部71を、接合部30bに対して第1セパレータ31側から突き刺す。具体的には、各針部71の先端が、第1セラミックス層311b、第1樹脂層31a、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bを貫通して、第2樹脂層32aに到達するまで、各針部71を突き刺す。すると、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bには、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとを連通する貫通孔R6,R7が形成される。また、第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aにおける各針部71周りの部位が、針状部材70の熱により溶融する。
【0080】
続いて、
図11(c)に示すように、各針部71を引き抜く。すると、第1樹脂層31aにおいて溶融した溶融樹脂は、貫通孔R6,R7を介して第2樹脂層32a側へ流れ込む。そして、溶融樹脂が固化することで、第1セパレータ31と第2セパレータ32とを互いに接合する溶着部W3が形成される。すなわち、溶着部W3は、第1樹脂層31aの一部が溶融して固化することで形成されている。よって、溶着部W3は、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとを繋ぐとともに第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bを貫通する連繋部に相当する。そして、溶着部W3により第1セパレータ31と第2セパレータ32とが互いに接合されることで、第1セパレータ31と第2セパレータ32とが互いに接合され、第1セパレータ31と第2セパレータ32とを互いに対峙するように重ね合わせてなる袋状の電極収納セパレータ30Cが形成される。
【0081】
したがって、第
4の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(4)、(6)〜(10)と同様の効果を得ることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0082】
○
図12に示すように、1枚の大きめのセパレータ81を用意し、これに正極シート12を並べた後、セパレータ81を中央で折り返すことにより、正極シート12の表裏からセパレータ81で包み込むようにしてもよい。この場合、1枚のセパレータ81を折り曲げるという簡単な形式で、電極収納セパレータ30Dを製造することができる。
【0083】
○
図13(a)に示すように、押圧部材40の一端面40aから突出形成された複数の押圧部41は、その先端に平坦面状の押圧面41aを備える。なお、押圧面41aの平面形状は、製造される溶着部W1の平面形状と相似形状の四角形状である。また、各押圧部41の先端において、押圧面41aの周縁は、押圧面41aに連続し、かつ押圧部41の基端に向けて円弧状に湾曲する面取り部41bとなっている。
【0084】
このように構成した場合、押圧部材40を、第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aの融点よりも高い温度まで加熱した状態で、各押圧部41の押圧面41aを、接合部30bに対して第1セパレータ31側から押し付ける。すると、
図13(b)に示すように、第1セパレータ31において、第1セラミックス層311bが各押圧部41によって押圧されるとともに、第1樹脂層31aが押し潰される。このとき、各面取り部41bによって、各押圧面41aの周縁が第1セラミックス層311bに角当たりすることが防止される。
【0085】
よって、第1セパレータ31において、押圧面41aで押圧された部位の周縁に過大な荷重が集中して掛かることが防止され、第1セラミックス層311bが切れてしまうことが防止できる。
【0086】
○
図14に示すように、電極収納セパレータ30の接合部30bのうち、正極タブ12cの突出する端縁側の接合部をタブ側接合部30dとする。一方、電極収納セパレータ30の接合部30bのうち、収納部30aを挟んで正極タブ12cの突出する端縁側と反対の端縁側の接合部を底側接合部30eとする。
【0087】
そして、タブ側接合部30dが含む溶着部W1と、底側接合部30eが含む溶着部W1の数を同じにし、タブ側接合部30dと底側接合部30eで溶着部W1の面積の総和を同じにしてもよい。タブ側接合部30dでは、正極タブ12cを挟んだ両側に、正極タブ12cの正極未塗工部12bからの突出方向に沿って2つの溶着部W1が並設されている。
【0088】
このように構成した場合、押圧部材40によって接合部30bを押圧したとき、タブ側接合部30dと、底側接合部30eとで、押圧部材40から同じ荷重を加えることができる。このため、タブ側接合部30dと底側接合部30eのうち片方に荷重が集中して加わることを防止することができる。したがって、タブ側接合部30dと底側接合部30eとで、押圧部41の押圧によって形成される溶着部W1の面積の総和も同じになる。その結果、得られる電極収納セパレータ30において、タブ側接合部30dと、底側接合部30eとで、溶着部W1での接合不良を防止することができるとともに、タブ側接合部30d及び底側接合部30eに皺が生じることを防止できる。
【0089】
なお、溶着部W1の配置、形状は適宜変更してもよい。
図15に示すように、タブ側接合部30dと底側接合部30eの両角部の溶着部W1を、平面視Y字状に形成するとともに、両角部のY字状の溶着部W1の間に、実施形態と同様の平面視四角形状の溶着部W1を複数並設し、タブ側接合部30dと底側接合部30eで溶着部W1の面積の総和を同じにしてもよい。なお、両角部のY字状の溶着部W1は、平面視T字状であってもよい。
【0090】
また、
図16に示すように、タブ側接合部30dと底側接合部30eの両角部の溶着部W1を、平面視直線状に形成するとともに、両角部の直線状の溶着部W1の間に、細長直線状の溶着部W1を設け、タブ側接合部30dと底側接合部30eで溶着部W1の面積の総和を同じにしてもよい。
【0091】
○ 第1の実施形態において、溶着部W1は、接合部30bの少なくとも一部に形成さ
れていればよい。また、例えば、溶着部W1が、接合部30bに、格子状に配列されるように複数形成されていてもよい。
【0092】
○ 第1の実施形態において、溶着部W1は、収納部30aの周縁に沿って連続するように形成されていてもよい。
○ 第1の実施形態において、第1樹脂層31aにおける第1セラミックス層311b側の面であって、溶着部W1と重なる部位にセラミックスがコートされていなくてもよい。
【0093】
○ 第1の実施形態において、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bにおける押し潰された第1セラミックス層311bと重なる部位を形成するセラミックス粒子が、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321b側へ押し出された溶融樹脂と混ざり合わなくてもよい。例えば、各押圧部41からの荷重により、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bにおける押し潰された第1セラミックス層311bと重なる部位を形成するセラミックス粒子の隙間を介して溶融樹脂が流れ込んで、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとを溶融樹脂により繋いでもよい。この場合は、第2セラミックス層312b及び第3セラミックス層321bにおける押し潰された第1セラミックス層311bと重なる部位を形成するセラミックス粒子同士の間は、各押圧部41からの荷重により、溶融樹脂が流れ込むことが可能な隙間となるように広がっている。
【0094】
○ 第1の実施形態において、第1セパレータ31の端縁31e及び第2セパレータ32の端縁32eに溶着部がさらに形成されていてもよい。
○ 第2の実施形態において、第1セパレータ31の端縁31e及び第2セパレータ32の端縁32eに、例えば接着剤を塗布することで、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとを繋いでもよい。この場合、第1樹脂層31aと第2樹脂層32aとを繋ぐ接着剤が連繋部に相当する。
【0095】
○ 第3の実施形態において、第1係止部61又は第2係止部62のみを形成してもよい。
○ 第3の実施形態において、針状部材60は、例えばポリエチレン(PE)により形成されていてもよい。
【0096】
○ 第4の実施形態において、各針部71の先端が、第1セラミックス層311b、第1樹脂層31a、第2セラミックス層312b、第3セラミックス層321b、第2樹脂層32a、及び第4セラミックス層322bを貫通してもよい。さらに、各針部71を第1セパレータ31及び第2セパレータ32から引き抜いた際に、第1樹脂層31aの一部を第1セラミックス層311bの外面上にはみ出させて、はみ出た第1樹脂層31aが固化することで、第1セラミックス層311bの外面に係止する係止部を形成してもよい。同様に、第2樹脂層32aの一部を第4セラミックス層322bの外面上にはみ出させて、はみ出た第2樹脂層32aが固化することで、第4セラミックス層322bの外面に係止する係止部を形成してもよい。
【0097】
○ 上記各実施形態において、第1セパレータ31と第2セパレータ32とが互いに対向する面のうちの少なくとも一方の面にセラミックス層が配置されていればよい。例えば、第2セラミックス層312bを削除してもよいし、第3セラミックス層321bを削除してもよい。
【0098】
○ 上記各実施形態において、第1セラミックス層311bを削除してもよいし、第4セラミックス層322bを削除してもよい。要は、第1樹脂層31aの表裏両面のうちの
少なくとも一方の面にセラミックス層が形成されていればよく、同様に、第2樹脂層32aの表裏両面のうちの少なくとも一方の面にセラミックス層が形成されていればよい。
【0099】
○ 上記各実施形態において、第1樹脂層31a及び第2樹脂層32aは、例えば、ポリプロピレン(PP)やアラミド等により形成されていてもよい。
○ 上記各実施形態において、第1〜第4セラミックス層311b,312b,321b,322bは、例えば酸化ジルコニアよりなるセラミックス粒子(セラミックス粉末)であってもよい。
【0100】
○ 上記各実施形態において、正極シート12に代えて、負極シート13を電極収納セパレータ30,30A,30B,30C,30D内に収納してもよい。
○ 上記各実施形態において、電極組立体11が、電極収納セパレータ30,30A,30B,30C,30D内に収納されていてもよい。
【0101】
○ 上記各実施形態において、電極収納セパレータ30,30A,30B,30C,30Dは、袋状に限定されず、例えば、筒状等の他の形状に変更可能である。
○ 上記各実施形態において、第1セパレータ31及び第2セパレータ32の形状は、四角形状に限定されず、他の形状に適宜変更可能である。
【0102】
○ 上記各実施形態において、電極組立体11は、積層型に限定されず、正極シート、負極シートを何層にも捲いて構成される捲回型であってもよい。
○ 上記各実施形態では、正極及び負極として、シート状の正極シート12及び負極シート13を用いたが、これに限らず、例えば、所定量の厚みのある板状の正極及び負極を用いてもよい。
【0103】
○ 上記各実施形態において、正極シート12、負極シート13、第1セパレータ31及び第2セパレータ32の素材は、適宜変更可能である。
○ 本発明を、車両用の二次電池10に具体化したが、これに限らず、車両用以外の二次電池に具体化してもよい。
【0104】
○ 本発明を、二次電池10に具体化したが、これに限らず、例えば、電気二重層コンデンサ等の蓄電装置に具体化してもよい。