特許第5939166号(P5939166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939166
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】皺検出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 26/00 20060101AFI20160609BHJP
   B65H 18/20 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   B65H26/00
   B65H18/20
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-2260(P2013-2260)
(22)【出願日】2013年1月10日
(65)【公開番号】特開2014-133625(P2014-133625A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(72)【発明者】
【氏名】塩田 哲司
(72)【発明者】
【氏名】永井 泰樹
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭50−071696(JP,U)
【文献】 特開昭55−119653(JP,A)
【文献】 特開2006−044869(JP,A)
【文献】 特開2002−365225(JP,A)
【文献】 特開昭63−189360(JP,A)
【文献】 特開2008−001482(JP,A)
【文献】 特開昭54−008362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/18 − 23/198
B65H 26/00 − 26/08
B65H 18/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻き取られている紙に外周面を接触させながら回転する回転体と、
前記回転体の回転を制御する駆動装置と、
前記駆動装置の負荷電流を検出する負荷電流検出器と、
前記負荷電流検出器によって検出された電流値設定電流値より大きい場合、設定時間が経過した時に前記負荷電流検出器によって検出された電流値と設定電流値とを比較し、前記負荷電流検出器によって検出された電流値が設定電流値より再び大きい場合に前記紙に皺が発生したことを検出する判定器と、
を備え
設定電流値は、前記紙を巻き取る際の異常の有無を判定するための閾値である皺検出装置。
【請求項2】
前記設定時間は、ロール状に巻き取られた前記紙が一周するのに要する時間である請求項に記載の皺検出装置。
【請求項3】
ロール状に巻き取られている紙に外周面を接触させながら回転する第1回転体及び第2回転体と、
前記第1回転体の回転を制御する第1駆動装置と、
前記第2回転体の回転を制御する第2駆動装置と、
前記第1駆動装置の負荷電流を検出する第1負荷電流検出器と、
前記第2駆動装置の負荷電流を検出する第2負荷電流検出器と、
前記第1負荷電流検出器によって検出された電流値設定電流値より大きい場合、設定時間が経過した時に前記第2負荷電流検出器によって検出された電流値と設定電流値と比較し、前記第2負荷電流検出器によって検出された電流値が設定電流値より大きい場合に前記紙に皺が発生したことを検出する判定器と、
を備え
設定電流値は、前記紙を巻き取る際の異常の有無を判定するための閾値である皺検出装置。
【請求項4】
前記設定時間は、ロール状に巻き取られた前記紙が前記第1回転体に接触する位置から前記第2回転体に接触する位置に移動するのに要する時間である請求項に記載の皺検出装置。
【請求項5】
ロール状に巻き取られている紙に外周面を接触させながら回転する第1回転体、第2回転体及び第3回転体と、
前記第1回転体の回転を制御する第1駆動装置と、
前記第2回転体の回転を制御する第2駆動装置と、
前記第3回転体の回転を制御する第3駆動装置と、
前記第1駆動装置の負荷電流を検出する第1負荷電流検出器と、
前記第2駆動装置の負荷電流を検出する第2負荷電流検出器と、
前記第3駆動装置の負荷電流を検出する第3負荷電流検出器と、
前記第1負荷電流検出器によって検出された電流値設定電流値より大きい場合に第1設定時間が経過した時に前記第2負荷電流検出器によって検出された電流値と設定電流値とを比較し、前記第2負荷電流検出器によって検出された電流値が設定電流値より大きい場合に第2設定時間が経過した時に前記第3負荷電流検出器によって検出された電流値と設定電流値と比較し、前記第3負荷電流検出器によって検出された電流値が設定電流値より大きい場合に前記紙に皺が発生したことを検出する判定器と、
を備え
設定電流値は、前記紙を巻き取る際の異常の有無を判定するための閾値である皺検出装置。
【請求項6】
前記第1設定時間は、ロール状に巻き取られた前記紙が前記第1回転体に接触する位置から前記第2回転体に接触する位置に移動するのに要する時間であり、
前記第2設定時間は、ロール状に巻き取られた前記紙が前記第2回転体に接触する位置から前記第3回転体に接触する位置に移動するのに要する時間である
請求項に記載の皺検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、皺の発生を検出する皺検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、シート状の紙に皺が発生したことを検出するための装置が開示されている。特許文献1に記載された装置では、紙に光を当てることによって皺の発生を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−249850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上質紙等の紙は抄紙機によって製造され、仕上げ機械によって製品の状態に形成される。抄紙機によって製造された紙は、ロール状に巻き取られる。また、抄紙機によって製造された紙は幅が大きく、例えば、その幅が10mになるものがある。このため、仕上げ機械では、抄紙機によって製造された紙を巻き戻し、その途中で所望の幅に裁断している。
【0005】
紙をロール状に巻き取る際に、皺が発生することがある。従来では、カメラによって紙を撮影したり、特許文献1に記載された装置のように紙に光を当てたりすることによって、皺の発生を検出していた。しかし、このような方法では、紙の幅全体に渡って皺の発生を検出することが困難であった。また、紙の粉が舞う環境下では、検出精度が低下するといった問題もあった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものである。この発明の目的は、紙を巻き取る時に発生する皺を精度良く検出することができる皺検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る皺検出装置は、ロール状に巻き取られている紙に外周面を接触させながら回転する回転体と、回転体の回転を制御する駆動装置と、駆動装置の負荷電流を検出する負荷電流検出器と、負荷電流検出器によって検出された電流値設定電流値より大きい場合、設定時間が経過した時に負荷電流検出器によって検出された電流値と設定電流値とを比較し、負荷電流検出器によって検出された電流値が設定電流値より再び大きい場合に紙に皺が発生したことを検出する判定器と、を備える。設定電流値は、紙を巻き取る際の異常の有無を判定するための閾値である。
【0008】
また、この発明に係る皺検出装置は、ロール状に巻き取られている紙に外周面を接触させながら回転する第1回転体及び第2回転体と、第1回転体の回転を制御する第1駆動装置と、第2回転体の回転を制御する第2駆動装置と、第1駆動装置の負荷電流を検出する第1負荷電流検出器と、第2駆動装置の負荷電流を検出する第2負荷電流検出器と、第1負荷電流検出器によって検出された電流値設定電流値より大きい場合、設定時間が経過した時に第2負荷電流検出器によって検出された電流値と設定電流値と比較し、第2負荷電流検出器によって検出された電流値が設定電流値より大きい場合に紙に皺が発生したことを検出する判定器と、を備える。設定電流値は、紙を巻き取る際の異常の有無を判定するための閾値である。
【0009】
また、この発明に係る皺検出装置は、ロール状に巻き取られている紙に外周面を接触させながら回転する第1回転体、第2回転体及び第3回転体と、第1回転体の回転を制御する第1駆動装置と、第2回転体の回転を制御する第2駆動装置と、第3回転体の回転を制御する第3駆動装置と、第1駆動装置の負荷電流を検出する第1負荷電流検出器と、第2駆動装置の負荷電流を検出する第2負荷電流検出器と、第3駆動装置の負荷電流を検出する第3負荷電流検出器と、第1負荷電流検出器によって検出された電流値設定電流値より大きい場合に第1設定時間が経過した時に第2負荷電流検出器によって検出された電流値と設定電流値とを比較し、第2負荷電流検出器によって検出された電流値が設定電流値より大きい場合に第2設定時間が経過した時に第3負荷電流検出器によって検出された電流値と設定電流値と比較し、第3負荷電流検出器によって検出された電流値が設定電流値より大きい場合に紙に皺が発生したことを検出する判定器と、を備える。設定電流値は、紙を巻き取る際の異常の有無を判定するための閾値である。

【発明の効果】
【0010】
この発明に係る皺検出装置であれば、紙を巻き取る時に発生する皺を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の実施の形態1における皺検出装置の構成を示す図である。
図2】この発明の実施の形態1における皺検出装置の動作を示すフローチャートである。
図3】この発明の実施の形態1における皺検出装置の機能を説明するための図である。
図4】この発明の実施の形態2における皺検出装置の構成を示す図である。
図5】この発明の実施の形態2における皺検出装置の動作を示すフローチャートである。
図6】この発明の実施の形態2における皺検出装置の機能を説明するための図である。
図7】この発明の実施の形態3における皺検出装置の構成を示す図である。
図8】この発明の実施の形態3における皺検出装置の動作を示すフローチャートである。
図9】この発明の実施の形態3における皺検出装置の機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。各図では、同一又は相当する部分に、同一の符号を付している。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。
【0013】
実施の形態1.
上質紙等の紙は抄紙機によって製造され、仕上げ機械によって製品の状態に形成される。図1は、仕上げ機械の構成を示す図である。本皺検出装置は、図1に示すような仕上げ機械に備えられる。仕上げ機械は、例えば、アンワインダ1、ペーパーロール2、裁断機3、ワインダ4、検出装置5を備える。
【0014】
ロール紙6は、抄紙機によって製造される。ロール紙6は、ロール状に巻かれた紙からなる。ロール紙6は、例えば、大きいものでその幅が10mになる。ロール紙6は、アンワインダ1にセットされる。アンワインダ1は、セットされたロール紙6を回転させて紙を繰り出すための装置である。アンワインダ1は、電動機7、駆動装置8を備える。電動機7は、アンワインダ1にセットされたロール紙6を回転させるための駆動力を発生させる。駆動装置8は、電動機7を制御し、ロール紙6を回転及び停止させる。
【0015】
ペーパーロール2は、アンワインダ1(具体的には、アンワインダ1にセットされたロール紙6)から繰り出された紙を案内するためのロールである。アンワインダ1から繰り出された紙は、ペーパーロール2によって方向転換され、ワインダ4に至る。ペーパーロール2は、必要に応じて複数個が設置される。
【0016】
裁断機3は、アンワインダ1から繰り出された紙を裁断するための装置である。裁断機3は、スリッタ9、電動機10、駆動装置11を備える。アンワインダ1から繰り出された紙は、スリッタ9により、その進行方向に沿って裁断される。電動機10は、スリッタ9を回転させるための駆動力を発生させる。駆動装置11は、電動機10を制御し、スリッタ9を回転及び停止させる。
【0017】
ワインダ4は、裁断機3によって裁断された紙を巻き取るための装置である。アンワインダ1から繰り出された紙は、裁断機3によって裁断された後、ワインダ4によって紙管12に巻き付けられる。ワインダ4は、例えば、リアドラム13、フロントドラム14、ライダーロール15、電動機16及び17、駆動装置18及び19を備える。
【0018】
リアドラム13、フロントドラム14、ライダーロール15は、紙を紙管12にロール状に巻き取るための回転体からなる。リアドラム13、フロントドラム14、ライダーロール15は、紙管12より長い円筒状又は円柱状を呈する。リアドラム13、フロントドラム14、ライダーロール15は、紙の巻き取り当初は外周面を紙管12に接触させ、その後は外周面を紙管12に巻き取られている紙に接触させながら回転する。リアドラム13、フロントドラム14、ライダーロール15が回転することによって紙管12が回転し、紙が紙管12に巻き付けられていく。
【0019】
裁断機3によって裁断された紙は、リアドラム13の下方を通過し且つリアドラム13とフロントドラム14との間を通過するように、リアドラム13に巻き付けられる。その後、紙はリアドラム13から離れ、紙管12に巻き付けられる。リアドラム13及びフロントドラム14は、紙管12の下方に配置され、紙管12に巻き取られた紙に下側から接触する。電動機16は、リアドラム13を回転させるための駆動力を発生させる。駆動装置18は、電動機16を制御し、リアドラム13を回転及び停止させる。また、電動機17は、フロントドラム14を回転させるための駆動力を発生させる。駆動装置19は、電動機17を制御し、フロントドラム14を回転及び停止させる。
【0020】
ライダーロール15は、紙管12に巻き取られた紙に上方から接触する。ライダーロール15は、紙管12に巻き取られた紙の全体の径に応じて上方に移動する。
【0021】
検出装置5は、紙管12に巻き付けられた紙に皺が発生したことを検出するための装置である。検出装置5は、負荷電流検出器20と判定器21とを備える。負荷電流検出器20は、駆動装置18の負荷電流を検出する。判定器21は、負荷電流検出器20によって検出された負荷電流の値(検出電流値)に基づいて、紙管12に巻き付けられた紙に皺が発生したか否かを判定する。
【0022】
以下に、図2及び図3も参照し、本皺検出装置の機能及び動作について具体的に説明する。図2は、この発明の実施の形態1における皺検出装置の動作を示すフローチャートである。図3は、この発明の実施の形態1における皺検出装置の機能を説明するための図である。
【0023】
仕上げ機械では、先ず、抄紙機によって製造されたロール紙6がアンワインダ1にセットされる。アンワインダ1にセットされたロール紙6から紙が繰り出され、各ペーパーロール2とワインダ4のリアドラム13とに巻き掛けられる。アンワインダ1から繰り出された紙の先端部分は、紙管12に固定される。
【0024】
紙の先端部分が紙管12に固定されると、ロール紙6、スリッタ9、リアドラム13、フロントドラム14が回転を開始する。これにより、アンワインダ1から紙が順次繰り出され、裁断機3によって裁断された後に紙管12に巻き付けられる。
【0025】
電動機16によってリアドラム13が駆動されると、負荷電流検出器20は、駆動装置18の負荷電流を検出する(S101)。負荷電流検出器20による負荷電流の検出は、その後も極短い周期で行われる。判定器21は、負荷電流検出器20によって検出された電流値(検出電流値)を設定電流値と比較する(S102)。
【0026】
図3は、負荷電流検出器20によって検出された電流値と経過時間との関係を示している。紙を紙管12に巻き付ける時に異常が発生しなければ、経過時間に対する検出電流値は、例えば直線或いは滑らかな曲線として表される。図3では、かかる場合に経過時間に対する検出電流値が右肩下がりの直線として表される場合を一例として示している。これは、紙を紙管12にきれいに巻き付けるため、巻き付け当初は紙をきつめに巻き、その後に巻き方を緩くする場合の例である。このような巻き付け制御は、紙の張力を制御することによって実現できる。
【0027】
設定電流値は、紙を巻き取る際の異常の有無を判定するための閾値である。設定電流値は、演算によって求めることができる。例えば、直近のある期間に負荷電流検出器20によって検出された電流値の平均値が、設定電流値として用いられる。
【0028】
なお、設定電流値として、紙の巻き取り開始から終了まで同じ値(記憶値)を用いても良い。例えば、紙の巻き取り開始から終了まで、異常が発生しなければ検出電流値がほぼ一定の値を示すことが予め分かっている場合は、設定電流値として記憶値を用いることができる。
【0029】
紙を巻き取る時に皺が発生すると、その皺がリアドラム13と紙管12に巻き取られた紙との間を通過する際に駆動装置18の負荷が微小に変動する。
【0030】
判定器21は、S102において、負荷電流検出器20によって検出された電流値が設定電流値より大きいか否かを判定する。検出電流値が設定電流値以下であれば、紙に皺が発生していないことが判定器21によって判定される(S103)。
【0031】
検出電流値が設定電流値より大きい場合(S102のYes)、判定器21は、設定電流値より大きい検出電流値の検出が行われてから設定時間t1が経過したか否かを判定する(S104)。設定時間t1は、紙管12(及び、紙管12にロール状に巻き取られている紙)が一周するのに要する時間である。
【0032】
本実施の形態では、サーフェイスドライブ方式を採用したワインダ4を示している。即ち、紙管12は、紙管12に巻き取られた一番外側の紙にリアドラム13等が接触することによって駆動される。このようなワインダ4では、通常、紙管12に巻き取られた紙の全体の径が大きくなる程、設定時間t1が長くなる。
【0033】
ワインダ4が上記ドライブ方式を採用する場合、設定時間t1は演算によって求めることができる。例えば、設定時間t1は、紙管12に巻き取られた紙の全体の径の情報とリアドラム13の周速の情報とを用いて演算される。
【0034】
S104において設定時間t1が経過したことが検出されると、判定器21は、その時に負荷電流検出器20によって検出された電流値と設定電流値との比較を行う(S105)。この時の検出電流値が設定電流値以下であれば、紙に皺が発生していないことが判定器21によって判定される(S103)。
【0035】
紙を巻き取る時に皺が発生すると、その皺がリアドラム13と紙管12に巻き取られた紙との間を通過した後、設定時間t1が経過した時に再び同じ位置を通過する。このため、紙を巻き取る時に皺が発生していれば、S102において駆動装置18の負荷が微小に変動してから設定時間t1が経過した時に、駆動装置18の負荷が再び微小に変動する。判定器21は、負荷電流検出器20によって検出された電流値が設定電流値より大きいことがS105において再び判定されると、紙に皺が発生したことを検出する(S106)。
【0036】
上記構成を有する皺検出装置であれば、紙を巻き取る時に発生する皺を精度良く検出することができる。皺が発生した位置によって検出精度が低下する恐れはない。また、紙の粉が舞うような環境下においても、皺の発生を精度良く検出することができる。
【0037】
本実施の形態では、負荷電流検出器20が駆動装置18の負荷電流を検出する場合について説明した。これは一例を示すものである。負荷電流検出器20は、駆動装置19の負荷電流を検出しても良い。また、ライダーロール15が電動機によって駆動される場合は、負荷電流検出器20は、その電動機を制御する駆動装置の負荷電流を検出しても良い。
【0038】
S102において設定電流値より大きい検出電流値が検出された場合に、皺が発生していることを判定器21によって判定することも可能である。しかし、かかる構成では、本実施の形態で開示した構成よりも誤検出が発生し易くなる。本実施の形態で開示した構成であれば、皺の発生を精度良く検出することができる。
【0039】
本実施の形態では、設定時間t1として紙管12が一周するのに要する時間を採用した。これは一例を示すものである。設定時間t1として紙管12が二周或いは三周するのに要する時間を採用しても良い。しかし、例えば、設定時間t1として紙管12が三周するのに要する時間を採用した場合は、設定時間t1が経過した時に皺の外側に三枚分の紙が存在する。皺の外側に紙が複数回巻かれることによって負荷の変動が現れ難くなってしまう。このため、設定時間t1は、紙管12が一周するのに要する時間を採用することが最も好ましい。
【0040】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2における皺検出装置の構成を示す図である。
本実施の形態における皺検出装置は、実施の形態1における皺検出装置の構成に負荷電流検出器22を更に備える。即ち、検出装置5は、負荷電流検出器20及び22と判定器21とを備える。図4に示すその他の構成は、実施の形態1で開示した構成と同じである。
【0041】
負荷電流検出器22は、駆動装置19の負荷電流を検出する。判定器21は、負荷電流検出器20によって検出された負荷電流の値(検出電流値)と負荷電流検出器22によって検出された負荷電流の値(検出電流値)とに基づいて、紙管12に巻き付けられた紙に皺が発生したか否かを判定する。
【0042】
以下に、図5及び図6も参照し、本皺検出装置の機能及び動作について具体的に説明する。図5は、この発明の実施の形態2における皺検出装置の動作を示すフローチャートである。図6は、この発明の実施の形態2における皺検出装置の機能を説明するための図である。
【0043】
電動機16によってリアドラム13が駆動されると、負荷電流検出器20は、駆動装置18の負荷電流を検出する。また、電動機17によってフロントドラム14が駆動されると、負荷電流検出器22は、駆動装置19の負荷電流を検出する(S201)。負荷電流検出器20及び22による負荷電流の検出は、その後も極短い周期で行われる。
【0044】
判定器21は、先ず、負荷電流検出器20によって検出された電流値(検出電流値)を設定電流値と比較する(S202)。
【0045】
図6は、負荷電流検出器20及び22によって検出された電流値と経過時間との関係を示している。紙を紙管12に巻き付ける時に異常が発生しなければ、経過時間に対する各検出電流値は、例えば直線或いは滑らかな曲線として表される。図6は、負荷電流検出器20によって検出された電流値と負荷電流検出器22によって検出された電流値とがほぼ同じ値を示す場合を一例として示している。
【0046】
設定電流値は、紙を巻き取る際の異常の有無を判定するための閾値である。例えば、直近のある期間に負荷電流検出器20によって検出された電流値の平均値が、S202において負荷電流検出器20による検出電流値と比較される設定電流値として用いられる。場合によっては、上記設定電流値として一定の値(記憶値)を用いても良い。
【0047】
判定器21は、S202において、負荷電流検出器20によって検出された電流値が設定電流値より大きいか否かを判定する。検出電流値が設定電流値以下であれば、紙に皺が発生していないことが判定器21によって判定される(S203)。
【0048】
検出電流値が設定電流値より大きい場合、判定器21は、S202において設定電流値より大きい検出電流値の検出が行われてから設定時間t2が経過したか否かを判定する(S204)。設定時間t2は、紙管12にロール状に巻き取られている紙が、リアドラム13に接触する位置からフロントドラム14に接触する位置に移動(回転)するのに要する時間である。設定時間t2は、例えば、紙管12に巻き取られた紙の全体の径の情報とリアドラム13の周速の情報とを用いて演算することができる。
【0049】
S204において設定時間t2が経過したことが検出されると、判定器21は、その時に負荷電流検出器22によって検出された電流値を設定電流値と比較する(S205)。例えば、直近のある期間に負荷電流検出器22によって検出された電流値の平均値が、S205において負荷電流検出器22による検出電流値と比較される設定電流値として用いられる。場合によっては、上記設定電流値として一定の値(記憶値)を用いても良い。この時の検出電流値が設定電流値以下であれば、紙に皺が発生していないことが判定器21によって判定される(S203)。
【0050】
紙を巻き取る時に皺が発生すると、その皺がリアドラム13と紙管12に巻き取られた紙との間を通過した後、設定時間t2が経過した時にフロントドラム14と紙管12に巻き取られた紙との間を通過する。このため、紙を巻き取る時に皺が発生していれば、S202において駆動装置18の負荷が微小に変動してから設定時間t2が経過した時に、駆動装置19の負荷が微小に変動する。
【0051】
判定器21は、負荷電流検出器22によって検出された電流値が設定電流値より大きいことがS205において判定されると、紙に皺が発生したことを検出する(S206)。
【0052】
上記構成を有する皺検出装置であれば、紙を巻き取る時に発生する皺を精度良く検出することができる。皺が発生した位置によって検出精度が低下する恐れはない。また、紙の粉が舞うような環境下においても、皺の発生を精度良く検出することができる。
【0053】
本実施の形態では、負荷電流検出器20による検出電流値が設定電流値より大きい場合に、負荷電流検出器22による検出電流値と設定電流値との比較を行う場合について説明した。これは一例を示すものである。負荷電流検出器22による検出電流値が設定電流値より大きい場合に、負荷電流検出器20による検出電流値と設定電流値との比較を行っても良い。
【0054】
また、本実施の形態では、駆動装置18の負荷電流と駆動装置19の負荷電流とに基づいて皺の発生を検出する場合について説明した。これは一例を示すものである。ライダーロール15が電動機によって駆動され、その電動機が駆動装置によって制御される場合は、その駆動装置の負荷電流と駆動装置18の負荷電流とに基づいて皺の発生を検出しても良い。或いは、その駆動装置の負荷電流と駆動装置19の負荷電流とに基づいて皺の発生を検出しても良い。
【0055】
本実施の形態では、設定時間t2として紙がリアドラム13の位置からフロントドラム14の位置に移動するのに要する時間を採用した。これは一例を示すものである。設定時間t2として、上記時間に紙管12が一周或いは二周するのに要する時間を加算した時間を採用しても良い。しかし、かかる場合は、皺の外側に紙が巻かれることによって負荷の変動が現れ難くなってしまう。設定時間t2として、紙がリアドラム13の位置からフロントドラム14の位置に移動するのに要する時間を採用することが最も好ましい。
【0056】
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3における皺検出装置の構成を示す図である。
本実施の形態における皺検出装置は、実施の形態2における皺検出装置の構成に、電動機23、駆動装置24を更に備える。即ち、ワインダ4は、リアドラム13と、フロントドラム14と、ライダーロール15と、電動機16、17及び23と、駆動装置18、19及び24とを備える。また、本実施の形態における皺検出装置は、負荷電流検出器25を更に備える。即ち、検出装置5は、負荷電流検出器20、22及び25と判定器21とを備える。図7に示すその他の構成は、実施の形態2で開示した構成と同じである。
【0057】
電動機23は、ライダーロール15を回転させるための駆動力を発生させる。駆動装置24は、電動機23を制御し、ライダーロール15を回転及び停止させる。
【0058】
負荷電流検出器25は、駆動装置24の負荷電流を検出する。判定器21は、負荷電流検出器20によって検出された負荷電流の値(検出電流値)と負荷電流検出器22によって検出された負荷電流の値(検出電流値)と負荷電流検出器25によって検出された負荷電流の値(検出電流値)とに基づいて、紙管12に巻き付けられた紙に皺が発生したか否かを判定する。
【0059】
以下に、図8及び図9も参照し、本皺検出装置の機能及び動作について具体的に説明する。図8は、この発明の実施の形態3における皺検出装置の動作を示すフローチャートである。図9は、この発明の実施の形態3における皺検出装置の機能を説明するための図である。
【0060】
電動機16によってリアドラム13が駆動されると、負荷電流検出器20は、駆動装置18の負荷電流を検出する。また、電動機17によってフロントドラム14が駆動されると、負荷電流検出器22は、駆動装置19の負荷電流を検出する。電動機23によってライダーロール15が駆動されると、負荷電流検出器25は、駆動装置24の負荷電流を検出する(S301)。負荷電流検出器20、22及び25による負荷電流の検出は、その後も極短い周期で行われる。
【0061】
判定器21は、先ず、負荷電流検出器20によって検出された電流値(検出電流値)を設定電流値と比較する(S302)。
【0062】
図9は、負荷電流検出器20、22及び25によって検出された電流値と経過時間との関係を示している。紙を紙管12に巻き付ける時に異常が発生しなければ、経過時間に対する各検出電流値は、例えば直線或いは滑らかな曲線として表される。図9は、負荷電流検出器20によって検出された電流値と負荷電流検出器22によって検出された電流値とがほぼ同じ値を示し、且つこれらの検出電流値が負荷電流検出器25によって検出された電流値より大きい場合を一例として示している。
【0063】
設定電流値は、紙を巻き取る際の異常の有無を判定するための閾値である。例えば、直近のある期間に負荷電流検出器20によって検出された電流値の平均値が、S302において負荷電流検出器20による検出電流値と比較される設定電流値として用いられる。場合によっては、上記設定電流値として一定の値(記憶値)を用いても良い。
【0064】
判定器21は、S302において、負荷電流検出器20によって検出された電流値が設定電流値より大きいか否かを判定する。この時の検出電流値が設定電流値以下であれば、紙に皺が発生していないことが判定器21によって判定される(S303)。
【0065】
S302において検出電流値が設定電流値より大きい場合、判定器21は、設定電流値より大きい検出電流値の検出が行われてから設定時間t3が経過したか否かを判定する(S304)。設定時間t3は、紙管12にロール状に巻き取られている紙が、リアドラム13に接触する位置からライダーロール15に接触する位置に移動(回転)するのに要する時間である。設定時間t3は、例えば、紙管12に巻き取られた紙の全体の径の情報とリアドラム13の周速の情報とを用いて演算することができる。
【0066】
S304において設定時間t3が経過したことが検出されると、判定器21は、その時に負荷電流検出器25によって検出された電流値を設定電流値と比較する(S305)。例えば、直近のある期間に負荷電流検出器25によって検出された電流値の平均値が、S305において負荷電流検出器25による検出電流値と比較される設定電流値として用いられる。場合によっては、上記設定電流値として一定の値(記憶値)を用いても良い。この時の検出電流値が設定電流値以下であれば、紙に皺が発生していないことが判定器21によって判定される(S303)。
【0067】
紙を巻き取る時に皺が発生すると、その皺がリアドラム13と紙管12に巻き取られた紙との間を通過した後、設定時間t3が経過した時にライダーロール15と紙管12に巻き取られた紙との間を通過する。このため、紙を巻き取る時に皺が発生していれば、S302において駆動装置18の負荷が微小に変動してから設定時間t3が経過した時に、駆動装置24の負荷が微小に変動する。
【0068】
検出電流値が設定電流値より大きい場合、判定器21は、S305において設定電流値より大きい検出電流値の検出が行われてから設定時間t4が経過したか否かを判定する(S306)。設定時間t4は、紙管12にロール状に巻き取られている紙が、ライダーロール15に接触する位置からフロントドラム14に接触する位置に移動(回転)するのに要する時間である。設定時間t4は、例えば、紙管12に巻き取られた紙の全体の径の情報とリアドラム13の周速の情報とを用いて演算することができる。
【0069】
S306において設定時間t4が経過したことが検出されると、判定器21は、その時に負荷電流検出器22によって検出された電流値を設定電流値と比較する(S307)。例えば、直近のある期間に負荷電流検出器22によって検出された電流値の平均値が、S307において負荷電流検出器22による検出電流値と比較される設定電流値として用いられる。場合によっては、上記設定電流値として同じ値(記憶値)を用いても良い。この時の検出電流値が設定電流値以下であれば、紙に皺が発生していないことが判定器21によって判定される(S303)。
【0070】
判定器21は、負荷電流検出器22によって検出された電流値が設定電流値より大きいことがS307において判定されると、紙に皺が発生したことを検出する(S308)。
【0071】
上記構成を有する皺検出装置であれば、紙を巻き取る時に発生する皺を精度良く検出することができる。皺が発生した位置によって検出精度が低下する恐れはない。また、紙の粉が舞うような環境下においても、皺の発生を精度良く検出することができる。
【0072】
本実施の形態では、負荷電流検出器20による検出電流値と設定電流値とを比較した後に負荷電流検出器25による検出電流値と設定電流値とを比較し、更にその後、負荷電流検出器22による検出電流値と設定電流値との比較を行う場合について説明した。上記比較を行う順番はこれに限るものではない。比較する順番を変更する場合は、その変更に合わせて設定時間t3及びt4が適宜設定される。
【0073】
本実施の形態では、設定時間t3として紙がリアドラム13の位置からライダーロール15の位置に移動するのに要する時間を採用した。これは一例を示すものである。設定時間t3として、上記時間に紙管12が一周或いは二周するのに要する時間を加算した時間を採用しても良い。しかし、かかる場合は、皺の外側に紙が巻かれることによって負荷の変動が現れ難くなってしまう。設定時間t3として、紙がリアドラム13の位置からライダーロール15の位置に移動するのに要する時間を採用することが最も好ましい。
設定時間t4についても同様のことが言える。
【符号の説明】
【0074】
1 アンワインダ
2 ペーパーロール
3 裁断機
4 ワインダ
5 検出装置
6 ロール紙
7、10、16、17、23 電動機
8、11、18、19、24 駆動装置
9 スリッタ
12 紙管
13 リアドラム
14 フロントドラム
15 ライダーロール
20、22、25 負荷電流検出器
21 判定器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9