特許第5939187号(P5939187)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939187
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】撮像装置、及び撮影制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20160609BHJP
   G03B 17/00 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   H04N5/225 F
   G03B17/00 G
   G03B17/00 Q
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-69177(P2013-69177)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-192850(P2014-192850A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松田 英明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 一人
【審査官】 藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−130636(JP,A)
【文献】 特開2004−325615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222− 5/257
G03B 17/00
G03B 17/26 −17/34
G03B 17/38 −17/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指による撮影操作を行なうために所定方向にストロークするレリーズボタンと、
このレリーズボタンに設けられた、前記撮影操作のためのストロークの方向への前記撮影操作を行う指の位置を検出する操作手段と、
前記操作手段により指の位置が検出されると、前記撮影操作を行う指の位置ごとに予め割り当てられた所定の機能による撮影を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記操作手段は、前記撮影操作のためのストロークの方向へ行われた前記撮影操作の終了後の指の位置を、更に検出し、
前記制御手段は、前記操作手段により前記撮影操作の終了後の指の位置が検出されると、前記撮影操作の終了後の指の位置ごとに予め割り当てられた撮影実行後の所定の機能を実行することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
指による撮影操作を行なうために所定方向にストロークするレリーズボタンと、
このレリーズボタンに設けられた、前記撮影操作のためのストロークの方向へ行った前記撮影操作の終了後の指の位置を検出する操作手段と、
前記操作手段により指の位置が検出されると、前記撮影操作の終了後の指の位置ごとに予め割り当てられた撮影実行後の所定の機能を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
指による撮影操作を行なうために所定方向にストロークするレリーズボタンに設けられた、前記撮影操作のためのストロークの方向への前記撮影操作を行う指の位置を検出する操作手段により、指の位置が検出されると、前記撮影操作を行う指の位置ごとに予め割り当てられた所定の機能による撮影を実行する制御方法、含むことを特徴とする撮像制御方法。
【請求項5】
指による撮影操作を行なうために所定方向にストロークするレリーズボタンに設けられた、前記撮影操作のためのストロークの方向へ行った前記撮影操作の終了後の指の位置を検出する操作手段により、指の位置が検出されると、前記撮影操作の終了後の指の位置ごとに予め割り当てられた撮影実行後の所定の機能を実行する制御方法、含むことを特徴とする撮像制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置、及び撮影制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レリーズボタンの半押し機能が広く撮像装置に搭載されており、フォーカスロック等に利用されている。一方、例えば、特許文献1には、タッチパネルを用い、レリーズ機能とズームポジションの決定機能とを兼用させることで撮像装置の省スペース化を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−35107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレリーズボタンは、ストローク式であるため、タッチパネルと比較して操作感に優れており、確実な操作を行うことができるが、1段階の押下に比べて1種類の機能が増えるに過ぎず、また、中間位置でレリーズボタンを停止させるために微妙な力加減が必要であるという課題があった。更に、特許文献1に開示された技術によれば、撮影操作とズーム操作とを切り換えて操作するために指を大きく移動させる必要があり、また、例えば、視線を、一端タッチパネル上に移動させないと操作しにくいといった問題もあり、このため、レリーズボタンとしての操作性に劣るという課題があった。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、レリーズボタンの操作性と多機能性とを両立可能な撮像装置、及び撮影制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため本発明の撮像装置は、指による撮影操作を行なうために所定方向にストロークするレリーズボタンと、このレリーズボタンに設けられた、前記撮影操作のためのストロークの方向への前記撮影操作を行う指の位置を検出する操作手段と、前記操作手段により指の位置が検出されると、前記撮影操作を行う指の位置ごとに予め割り当てられた所定の機能による撮影を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とする。また、本発明の撮像制御方法は、指による撮影操作を行なうために所定方向にストロークするレリーズボタンに設けられた、前記撮影操作のためのストロークの方向への前記撮影操作を行う指の位置を検出する操作手段により、指の位置が検出されると、前記撮影操作を行う指の位置ごとに予め割り当てられた所定の機能による撮影を実行する制御方法、含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レリーズボタンの操作性と多機能性とを両立可能な撮像装置、及び撮影制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態による撮像装置の外観構造の斜視図、操作子の断面図、および操作の種類を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態による撮像装置で使用される操作子の変形例を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態による撮像装置の電気的な内部構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態による撮像装置の動作を示すフローチャート(1)である。
図5】本発明の第1実施形態による撮像装置の動作を示すフローチャート(2)である。
図6】本発明の第1実施形態による撮像装置の動作を示すフローチャート(3)である。
図7】本発明の第1実施形態による撮像装置の動作を示すフローチャート(4)である。
図8】本発明の第1実施形態による撮像装置に使用される操作子の他の実施例を示す図である。
図9】本発明の第2実施形態による撮像装置の動作を示すフローチャート(1)である。
図10】本発明の第2実施形態による撮像装置の動作を示すフローチャート(1)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という)について詳細に説明する。なお、本実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0010】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態から説明する。
【0011】
(実施形態の構成)
図1は、本発明の第1実施形態による撮像装置10の外観構造の斜視図、操作子の断面図、および操作の種類を示す図である。第1実施形態による撮像装置10は、例えば、デジタルカメラであり、図1に示すように、カメラ筐体1と、メカニカルなレリーズボタン21の押圧面に、後述するタッチパネルあるいはトラックポイント(登録商標)等、小型の操作子22が貼付されたボタンスイッチ2とを備えている。なお、レリーズボタン21の押圧面への操作子22の実装形態は、貼付に限らず、固定され、あるいは載置されていてもよい。
【0012】
カメラ筐体1は、撮像装置10として機能するための各種部品を備えている。すなわち、図示省略してあるが、適切な露光量を得るために発光するストロボ、ユーザーが被写体を見るファインダ窓、撮影の際に押圧操作されるレリーズボタン21(シャッターボタン)、その他の機能部品がカメラ筐体1に設けられている。また、カメラ筐体1には、SDメモリカード等の外部記憶媒体が着脱自在になっており、この外部記憶媒体に撮影した画像データを保存することができる。
【0013】
図1の丸枠内には、レリーズボタン21周辺の断面構造が示されている。図1によれば、レリーズボタン21上には、断面が平面形状の操作子22が実装されている。レリーズボタン21は、撮影操作を行なう際に押下操作が行なわれるメカニカルスイッチであり、操作子22は、レリーズボタン21による撮影操作のためのストローク方向とは異なる方向への指の動きを検出する、位置入力用のセンサを構成する透明電極シートが形成されたタッチパネルである。
【0014】
タッチパネルは、指が触れた位置をセンサで検知してどの位置が指定されたかを特定し、後述する制御部(図3の11)による制御の下で予め定義された所定の機能を実行する。タッチパネルは、タッチインタフェースにおける指の操作のうち、画面を軽く叩く「タップ操作」、タップを素早く2回叩く「ダブルタップ操作」、画面に指をつけた状態である「ホールド操作」、そして、画面上を指でなぞる「ドラッグ操作」が知られており、所定の機能を割当てる際の検出対象になる。
【0015】
なお、操作子22として、タッチパネルの代わりにトラックポイント(登録商標)を使用してもよい。トラックポイント(登録商標)は、図8に他の実施例としてその形状が示されるように、突起状の操作ポイント220を有するポインテングデバイスであって、指先で操作ポイント220に圧力を加えることにより、圧力を加える方向に応じた処理を実行する。したがって、上記したタッチパネルとは異なり、「圧力を加える操作」のみが所定の機能を割り当て時の検出対象になる。
【0016】
また、レリーズボタンがトラックポイント(登録商標)を兼ね、レリーズボタンの中央を押し込むと撮影操作を行い、撮影操作と異なる方向に圧力を加えることにより、圧力を加える方向に応じた処理を実行するようにしてよい。
【0017】
図2(a)(b)に操作子22の形状の変形例が示されている。図2(a)に示したタッチバネル22aは、指との接触面が球面形状になっており、図2(b)に示したタッチパネル22bは、平面形状で中央部が凸形状になっている、いずれも球面対応のフレキシブルな透明導電シートにより形成されている。図2(a)に示す断面形状によれば、図1に示す平面形状のタッチパネルに比較して操作が容易になって検出性能が増し、図2(b)に示す断面形状によれば幅を狭くすることができる。
【0018】
本実施形態による撮像装置10の電気的な内部構成が図3に示されている。図3に示すように、本実施形態による撮像装置10は、制御部11と、記憶部12と、撮像部13と、表示部14と、操作部15と、通信部16と、電源部18とが、アドレス、データ、コントロールのための信号線が複数本で構成されるバス19に共通接続されて構成されている。
【0019】
撮像装置10は、例えば、静止画像のほかに動画像の撮影も可能なデジタルカメラであり、制御部11を中核として動作する。制御部11は二次電池からなる電源部18からの電力供給によって動作し、記憶部12に記録された各種プログラムにしたがい撮像装置10の全体動作を制御するもので、制御部11には図示しないCPU(中央演算処理装置)や内蔵メモリなどが設けられている。制御部11は、操作子22により指の動きが検出されると、指の動き毎に予め割り当てられた所定の機能を実行する。例えば、「タップ操作」、「ダブルタップ操作」、あるいは「ホールド操作」を検出すると、その位置によって、オートフォーカス、絞り、シャッター速度、ズーム等の制御を行い、「ドラッグ操作」を検出すると、その方向によりフラッシュ使用/未使用の切替え制御を行なう。
【0020】
制御部11は、操作子22によって検出されるユーザーの指の動きにしたがい、後述する撮像部13を制御して、オートフォーカス処理(AF処理)、露出調整処理(AE処理)、ズーム処理等を実行し、あるいは撮像部13からの画像データに対して各種の画像処理としてホワイトバランス調整、色補間処理を実行し、また、画像処理として収差補正処理、画像をJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式などの大きさに圧縮する圧縮処理、この圧縮データを伸長復元する復元処理等を実行する。
【0021】
記憶部12は、例えば、ROM、フラッシュメモリ等を有する構成で、例えば、図4図5に示したフローチャート(処理手順)からなるプログラムがプログラム領域に割り当てられて格納されている。記憶部12には、更に、撮像済み画像を保存する画像記憶領域の他、ワーク領域と、を有する構造になっている。なお、記憶部12は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、例えば、通信部16によりネットワークに接続された状態においては所定の外部サーバ側の記憶領域を含むものであってもよい。
【0022】
撮像部13は、被写体を高精細に撮影可能なカメラ部を構成するもので、光学レンズ、絞り、撮像素子を有し、光学レンズから絞りを通して撮像素子に結像される被写体を撮像する。絞りは、光学レンズと結像面の撮像素子との間に配置され、複数枚の板(絞り羽根)を重ね合わせて円形に近い開口部を有する構成となっている。撮像素子は、CCDやCMOSなどのイメージセンサである。この撮像部13には、光学レンズ、絞り、撮像素子の他、図示省略したが、光学系駆動部、照明用のストロボ、アナログ処理回路、信号処理回路などが備えられている。絞り及び撮像素子は、光軸の垂直方向に対して平行に移動可能となっており、絞り及び撮像素子を平行移動させる駆動機構(図示省略)にそれぞれ連結されている。
【0023】
表示部14は、例えば、高精細LCD(Liquid Crystal Device:液晶)ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、電気泳動型ディスプレイ(電子ペーパ)のいずれかを使用し、画像を高精細に表示するもので、撮像された画像(スルー画像:ライブビュー画像)を表示するファインダ画面(モニタ画面)として機能し、あるいは保存済み画像を表示する再生画面として機能する。なお、この表示部14の表面に指の接触を検出する透明なタッチパネルを積層配設することにより、例えば、静電容量方式のタッチスクリーン(タッチ画面)を構成するようにしてもよい。
【0024】
操作部15は、レリーズボタン21他、露出やシャッタスピードなどの撮影条件の設定操作、撮影済み画像の再生を指示する再生操作などを行う押しボタン式の各種のキーを備えたもので、制御部11は、この操作部15からの入力操作信号に応じた処理として、例えば、撮影処理、撮影条件の設定、再生処理、データ入力処理などを実行する。なお、操作子22としてタッチパネルを使用する場合、タッチパネルもこの操作部15に含まれる。
【0025】
通信部16は、撮像装置10を不図示の外部サーバに接続するためにネットワークに接続するための通信インタフェースである。なお、電源部18は、二次電池であり、バス19に接続される制御部11,記憶部12,撮像部13,表示部14,操作部15,通信部16に駆動電力を供給する。
【0026】
(実施形態の動作)
以下、図4図7に示すフローチャート(1)〜(4)を参照しながら、図1図3に示す第1実施形態による撮像装置10の動作について説明する。ここでは、特に、操作子22の操作パターンに対する機能割り当ての一例を説明する。ここで、「操作パターン」とは、操作の種類(タップ、ダブルタップ、ホールド、ドラッグ)と、操作位置(中央、左端、右端、前端、後端)との組み合わせをいう。
【0027】
制御部11は、操作子22による指の「タップ操作」を検出すると(図4のステップS101“Yes”)、更にそのタップ位置を判定し(ステップS102)、中央で有れば(ステップS102“Yes”)、露出モードを自動的に切替える制御を実行する(ステップS103)。また、操作子22によるタップ操作位置が左端であって(ステップS104“Yes”)、更に撮影モードが絞り優先になっている場合(ステップS105“絞り”)、制御部11は、絞りを絞り側に切り換える制御を実行し(ステップS106)、シャッター速度優先になっていた場合(ステップS105“シャッター速度”)、シャッター速度を低速側に切り換える制御を実行する(ステップS107)。
【0028】
また、制御部11は、操作子22によるタップ位置が右端であって(ステップS108“Yes”)、更に、撮影モードが、絞り優先になっていた場合(ステップS109“絞り”)、絞りを開放側に切替える制御を実行し(ステップS110)、シャッター速度優先になっていた場合(ステップS109“シャッター速度”)、シャッター速度を高速側に切り換える制御を実行する(ステップS111)。また、操作子22によるタップ位置が前端の場合(ステップS112“Yes”)、制御部11は、望遠側に一段階だけズーム動作を行なう制御を実行し(ステップS113)、後端の場合(ステップS114“Yes”)、広角側に一段階だけズーム動作を行う制御を実行する(ステップS115)。なお、タップ位置が後端でなければ(ステップS114“No”)、上記の一例の処理を終了する。
【0029】
なお、本実施形態においては、トラックポイント(登録商標)における前後左右方向への「圧力を加える操作」が、タッチパネルにおけるタップ操作位置が前端、後端、左端、右端である「タッチ操作」に相当する。
【0030】
次に、制御部11は、操作子22による指のダブルタップ操作を検出すると(図5のステップS120“Yes”)、更にその位置を判定し(ステップS121)、中央で有れば(ステップS121“Yes”)、オートフォーカスの目標を切り換える制御を実行する(ステップS122)。また、操作子22によるタップ操作位置が左端であって(ステップS123“Yes”)、更に撮影モードが絞り優先になっていた場合(ステップS124“絞り”)、制御部11は、絞りを絞り側の最小側に切り換える制御を実行し(ステップS125)、シャッター速度優先になっていた場合(ステップS124“シャッター速度”)、シャッター速度を最低速側に切り換える制御を実行する(ステップS126)。
【0031】
また、制御部11は、操作子22によるタップ操作位置が右端であって(ステップS127“Yes”)、更に、撮影モードが、絞り優先になっていた場合(ステップS128“絞り”)、絞りを開放側最大に切替える制御を実行し(ステップS129)、シャッター速度優先になっていた場合(ステップS128“シャッター速度”)、シャッター速度を最高速側に切り換える制御を実行する(ステップS130)。また、操作子22によるタップ操作位置が前端の場合(ステップS131“Yes”)、制御部11は、望遠側に最大ズーム動作を行なう制御を実行し(ステップS132)、後端の場合(ステップS133“Yes”)、広角側に最大ズーム動作を行う制御を実行する(ステップS134)。なお、後端でなければ(ステップS133“No”)、上記の一例の処理を終了する。
【0032】
次に、制御部11は、操作子22による指のホールド操作を検出すると(図6のステップS140“Yes”)、更にその位置を判定し(ステップS141)、中央で有れば(ステップS141“Yes”)、AF(オートフォーカス)制御を実行する(ステップS142)。また、操作子22によるタップ位置が左端であれば(ステップS143“Yes”)、現状、特に機能割り当てがなされていないため何もせずに終了する。そして、ホールド位置が右端であれば(ステップS144“Yes”)、制御部11は、オートフォーカス制御を実行し、ホールド位置に相当する箇所をホールドしながらレリーズボタン21の押下でブラケット撮影を行う(ステップS145)。
【0033】
一方、操作子22によるホールド位置が前端の場合(ステップS146“Yes”)、制御部11は、望遠側にズーム動作を行なう制御を実行し(ステップS147)、後端の場合(ステップS148“Yes”)、広角側にズーム動作を行う制御を実行する(ステップS149)。なお、後端でなければ(ステップS148“No”)、上記の一例の処理を終了する。
【0034】
次に、制御部11は、操作子22による指のドラッグ操作を検出すると(図7のステップS150“Yes”)、更にその方向を判定し(ステップS151)、左から右方向へのドラッグであれば(ステップS151“Yes”)、フラッシュの使用/未使用の切り替え制御を行う(ステップS152)。一方、右から左方向へのドラッグ(ステップS153“Yes”)、前から後方向へのドラッグ(ステップS154“Yes”)、後から前方向へのドラッグ(ステップS155“Yes”)、あるいは中央から左方向へのドラッグであれば(ステップS156“Yes”)、現状、特に機能割り当てがなされていないため、何もせずに終了する。
【0035】
一方、中央から右方向へのドラッグであれば(ステップS157“Yes”)、制御部11は、撮像部13を制御してフォーカスロック制御を実行し(ステップS158)、中央から前方向へのドラッグであれば(ステップS159“Yes”)、自動フォーカス制御への切り替えを実行する(ステップS160)。この自動切換え制御にあたり、制御部11は、例えば、不図示の加速度センサを用いることで撮像装置10が移動状態から停止状態へ移行したことを検出すると、手動フォーカスからから自動フォーカスに切り換えることができる。また、中央から後方向へのドラッグであれば(ステップS161“Yes”)、制御部11は、フォーカスの自動切換え制御を行う(ステップS162)。制御部11は、例えば、撮像部13から出力されるスルー画像の変化を検出することでも切り替えが可能になる。
【0036】
次に、制御部11は、操作子22縁部の左回転を検出すると(ステップS163“Yes”)、レリーズボタン21押下でカウントダウンが開始されシャッター押下までの秒数を増加させるセルフタイマ時間のカウントの変更制御を行う(ステップS164)。逆に、操作子22縁部の右回転を検出すると(ステップS165“Yes”)、レリーズボタン21押下でカウントダウンが開始されシャッター押下までの秒数を減少させる、セルフタイマ時間のカウントの変更制御を行う(ステップS166)。
【0037】
なお、上記した操作子22の操作パターンに対する機能割り当ては任意であり、制御部11によるソフトウエア制御でその機能を実行するため、撮像装置10をユーザーが使いやすいようにカスタマイズ(パーソナライズ)することができ、レリーズボタン21を使用する感覚を残したままで、タッチパネルやトラックポイント(登録商標)等の操作子22による様々な撮影操作が可能になる。
【0038】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態がレリーズ操作前のタップ、ダブルタップ、ホールド、ドラッグ操作を検出して、続くレリーズ操作によりレリーズ操作前のタップ、ダブルタップ、ホールド、ドラッグ操作に対応した設定で撮影を実行するのに対して、撮影のためのレリーズ操作が検出された際の(同時に)指の位置、及びレリーズ操作後の(連続して)指の位置を検出して、指の位置応じて設定された内容で、撮影処理、撮影後の処理を実行するようにしている。
【0039】
(実施形態の構成)
第2実施形態の構成は、第1実施形態に準ずるもので、説明は省略する。
【0040】
(実施形態の動作)
続いて、第2実施形態の動作を、図9図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0041】
制御部11は、レリーズボタン21の押下操作を検出すると(図のステップS201“Yes”)、更にその押下操作時の指の位置を判定し、中央で有れば(ステップS202“Yes”)、特別な設定は行わずステップS207に進む。また、レリーズボタン21による押下操作時の指の位置が左端であれば(ステップS203“Yes”)、セルフタイマ撮影を設定し(ステップS209)、指の位置が右端であれば(ステップS204“Yes”)、制御部11は、ブラケット撮影を設定する(ステップS210)。
【0042】
一方、レリーズボタン21による押下操作時の指の位置が前端の場合(ステップS205“Yes”)、制御部11は、望遠側に最大ズーム動作を行う設定を行い(ステップS211)、後端の場合(ステップS206“Yes”)、広角側に最大ズーム動作を行う設定を行う(ステップS212)。なお、後端でなければ(ステップS206“No”)、特別な設定は行わず、ステップS207に進む。
【0043】
その後、制御部11は、オートフォーカス(AF)、自動露出(AE)、オートホワイトバランス(AWB)を行って(ステップS207)、設定された内容に撮影設定を変更して撮影を実行する(ステップS208)。
【0044】
制御部11は、撮影が実行されると、更にその押下操作終了後の指の位置を判定し(図10のステップS213)、中央で有れば(ステップS213“Yes”)、特別な設定は行わずステップS218に進む。また、レリーズボタン21による押下操作後の指の位置が左端であれば(ステップS214“Yes”)、セルフタイマ解除を設定し(ステップS219)、指の位置が右端であれば(ステップS215“Yes”)、制御部11は、レビュー表示の延長を設定する(ステップS220)。
【0045】
一方、レリーズボタン21による押下操作時の指の位置が前端の場合(ステップS216“Yes”)、制御部11は、レビュー表示の拡大ズーム表示を行う設定を行い(ステップS221)、後端の場合(ステップS217“Yes”)、撮影画像の削除を行う設定を行う(ステップS222)。なお、後端でなければ(ステップS217“No”)、特別な設定は行わず、その後、設定された内容で処理を実行して撮影を終了する(ステップS218)。
【0046】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態による撮像装置10によれば、制御部11は、撮影操作を行なうレリーズボタン21に設けられた、撮影操作のためのストロークの方向とは異なる方向への指の動きを検出する操作子22(タッチパネルまたはトラックポイント(登録商標))で指の動きが検出されると、当該指の動き毎に予め割り当てられた所定の機能を実行する。このため、ユーザーは、撮影に関する操作を、レリーズボタン21に指をのせたまま行うことができるため、撮影のために指を大きく移動させる必要がなく、また、視線を操作子22に移動させる必要もないため、迅速な撮影操作が可能になる。
【0047】
本実施形態による撮像装置10によれば、操作子22は、操作子22に対する指の接触位置により指の動きを検出する。このため、操作パターンにより、例えば、オートフォーカス、ズーム、絞りやシャッタスピードの撮影制御等、ソフトウエアにより豊富な機能を提供できる。また、指との接触面が球面形状であり、あるいは平面形状であって中央部位が凸形状となっている操作子22を用いることで、平面形状の操作子22を使用した場合に比べて操作性が向上し、かつ、指の接触位置の検出性能も向上する。
【0048】
また、制御部11により実行される所定の機能は、操作子22へのタップ、ダブルタップ、ホールド操作のいずれかにより、かつ、指の接触位置により変化するため、これらの組み合わせにより、豊富な機能の提供が可能である。また、制御部11は、指による操作子22のドラッグ操作によるドラッグ方向を検出して対応する所定の機能を実行することでも豊富な機能を提供することができる。なお、操作子22に対する指の圧力により異なる方向への指の動きを検出することで、レリーズボタン21の指が接触する面積が狭くても操作が容易になり、また、その際に、制御部11により実行される所定の機能は、操作子22を押す方向に応じて変化させることで、豊富な機能を提供することができる。
【0049】
以上説明のように、本実施形態による撮像装置10によれば、操作子22にタッチパネルあるいはトラックポイント(登録商標)を使用することにより、ソフトウエア制御により割当てる機能は可変であり、様々な応用が可能である。また、操作子22の下にはメカニカルレリーズボタン21が配置してあることにより、従来のメカニカルシャッターと同じ感覚で使用することができる。
【0050】
なお、本実施形態による撮像装置10によれば、操作子22は、静電式で指の位置を検出するものとして説明したが、圧力を検知する感圧式で異なるストローク方向への指の動きを検出してもよく、この場合、割当てられる機能は、操作子22を押す方向に応じて変化する。また、例えば、光の反射で指紋を検出し、指紋の移動を検出する光電式によっても同様の効果が得られる。また、メカニカルなレリーズボタン21の半押しと併用してもよい、
【0051】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0052】
以下に、本願出願時の特許請求の範囲を付記する。
[請求項1]
指による撮影操作を行なうために所定方向にストロークするレリーズボタンと、
このレリーズボタンに設けられた、前記撮影操作のためのストロークの方向とは異なる方向への前記撮影操作を行う指の位置または動きを検出する操作手段と、
前記操作手段により指の位置または動きが検出されると、前記指の位置または動きに予め割り当てられた所定の機能を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とする撮像装置。
[請求項2]
前記指の位置または動きに予め割り当てられた所定の機能は複数であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
[請求項3]
前記操作手段は、前記撮影操作のためのストロークの方向とは独立して同時にまたは連続して、前記ストロークの方向とは異なる方向への指の動きを検出することを特徴とする請求項1または2記載の撮像装置。
[請求項4]
前記操作手段は、
前記レリーズボタンの所定部分に設けられた所定の操作手段に対する前記指の接触位置の変化により前記撮影操作のためのストロークの方向とは異なる方向への指の動きを検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の撮像装置。
[請求項5]
前記操作手段は、
前記指との接触面を有し、この接触面上における指の接触位置の変化により前記撮影操作のためのストロークの方向とは異なる方向への指の動きを検出することを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
[請求項6]
前記操作手段の有する前記指との接触面は、
球面形状であることを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
[請求項7]
前記操作手段の有する前記指との接触面は、
略中央部が凸形状であることを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
[請求項8]
前記操作手段は、
前記指との接触面を有し、前記操作手段に位置する指の部位の変化により前記撮影操作のためのストロークの方向とは異なる方向への指の動きを検出することを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
[請求項9]
前記制御手段により実行される所定の機能は、
前記撮影操作のためのストロークの方向とは異なる方向への指の動きに加えて更に、前記操作手段へのタップ、ダブルタップ、ホールド操作のいずれかによる前記指の接触位置により変化することを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項記載の撮像装置。
[請求項10]
前記制御手段は、
前記指による前記操作手段のドラッグ操作による前記撮影操作のためのストロークの方向とは異なる方向へのドラッグ方向を検出して対応する前記所定の機能を実行することを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項記載の撮像装置。
[請求項11]
前記操作手段は、
前記操作手段に対する前記指による撮影操作のためのストロークの方向とは異なる方向への圧力により、前記撮影操作のためのストロークの方向とは異なる方向への前記指の動きを検出することを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
[請求項12]
前記レリーズボタンは、
前記撮影操作のためのストロークの方向とは異なる方向へもストローク可能であり、
前記操作手段は、
前記レリーズボタンの前記撮影操作のためのストロークの方向とは異なる方向へのストロークにより前記撮影操作を行う指の前記撮影操作のためのストロークの方向とは異なる方向への前記指の動きを検出することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
[請求項13]
前記制御手段により実行される所定の機能は、
前記操作手段が検出する押される方向に応じて変化することを特徴とする請求項11または12記載の撮像装置。
[請求項14]
前記制御手段は、
前記操作手段により前記撮影のためのストロークが検出されると同時にまたは連続して前記撮影操作のためのストロークの方向とは異なる方向への指の動きが検出された場合に、この検出方向に応じた処理を撮影動作と同時にまたは連続して実行することを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
[請求項15]
指による撮影操作を行なうために所定方向にストロークするレリーズボタンに設けられた、前記撮影操作のためのストロークの方向とは異なる方向への前記撮影操作を行う指の位置または動きを検出する操作手段により、指の位置または動きが検出されると、前記指の位置または動きに予め割り当てられた所定の機能を実行する制御方法、含むことを特徴とする撮像制御方法。
【符号の説明】
【0053】
1…カメラ筐体、2…ボタンスイッチ、10…撮像装置、11…制御部(制御手段)、12…記憶部、13…撮像部、14…表示部、15…操作部、16…通信部、18…電源部、19…バス、21…レリーズボタン、22、22a、22b…操作子(操作手段)
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図10