特許第5939194号(P5939194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊田合成株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5939194-車両用エアバッグ 図000002
  • 特許5939194-車両用エアバッグ 図000003
  • 特許5939194-車両用エアバッグ 図000004
  • 特許5939194-車両用エアバッグ 図000005
  • 特許5939194-車両用エアバッグ 図000006
  • 特許5939194-車両用エアバッグ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939194
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】車両用エアバッグ
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/203 20060101AFI20160609BHJP
   B60R 21/2342 20110101ALI20160609BHJP
【FI】
   B60R21/203
   B60R21/2342
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-88393(P2013-88393)
(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公開番号】特開2014-210521(P2014-210521A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2015年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】飯田 仁
(72)【発明者】
【氏名】林 幹根
(72)【発明者】
【氏名】石黒 直彦
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−195137(JP,A)
【文献】 特開2008−302888(JP,A)
【文献】 特開2005−193881(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/087160(WO,A1)
【文献】 実開平04−035051(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16 − 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張用ガスにより膨張する膨張部を備え、膨張完了時に車体側に配置される車体側布部と、膨張完了時に乗員側に配置される乗員側布部とを、それらの周縁部に沿って設けられた周縁結合部で結合することにより前記膨張部が形成された車両用エアバッグにおいて、
前記周縁結合部よりも内側には、互いに左右方向に離間した箇所でそれぞれ略上下方向に延びて前記車体側布部及び前記乗員側布部を前記周縁結合部よりも低い強度で結合し、前記膨張部を上流側膨張部と、その左右両側の下流側膨張部とに区画する一対の仮結合部が設けられ、
前記各仮結合部の上端部と前記周縁結合部との間、及び前記各仮結合部の下端部と前記周縁結合部との間には、前記上流側膨張部及び前記各下流側膨張部を連通させる連通路がそれぞれ形成され、
さらに、前記各仮結合部は、前記上流側膨張部の膨張に伴い前記仮結合部による結合状態が上側の端末から下側の端末に向けて解除されるように設けられていることを特徴とする車両用エアバッグ。
【請求項2】
前記両上側の端末は、対応する上側の前記連通路に面した状態で互いに指向しており、前記各下端部は、前記上流側膨張部及び前記下流側膨張部の境界部分に湾曲部を有している請求項1に記載の車両用エアバッグ。
【請求項3】
前記両上側の端末間の間隔は、前記両湾曲部間の間隔よりも狭く設定されている請求項2に記載の車両用エアバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に衝突等の衝撃が加わった場合に、乗員の前方で展開膨張してその乗員を衝撃から保護する車両用エアバッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のステアリングホイールには、車両に前方から衝撃が加わった場合に、ステアリングホイールと運転者との間で展開膨張して、その運転者の上半身を衝撃から保護するエアバッグ装置が組み込まれている。図6に示すように、このエアバッグ装置におけるエアバッグ51は、膨張用ガスにより膨張する膨張部52を備える。膨張部52は、膨張完了時にステアリングホイール側に配置される車体側布部53と、膨張完了時に運転者側に配置される乗員側布部54とを、それらの周縁部に沿って設けられた周縁結合部55で結合することにより形成されている(例えば、特許文献1参照)。なお、図6では、乗員側布部54についても図示するために、車体側布部53の一部が破断された状態で図示されている。
【0003】
ここで、運転席に着座している運転者の腹部とステアリングホイールとの間隙は、運転者の胸部、頭部等とステアリングホイールとの間隙よりも狭い。そのため、エアバッグ51を腹部とステアリングホイールとの間の狭い間隙で展開膨張させるためには、エアバッグ51は小さな厚みで膨張されることが望ましい。一方で、運転者の上半身を衝撃から保護する観点からは、エアバッグ51は大きな厚みで膨張されることが望ましい。
【0004】
そこで、膨張部52の周縁結合部55よりも内側に一対の仮結合部56が設けられる。両仮結合部56は、ステアリングホイールが中立状態にあるとき、互いに左右方向に離間した箇所でそれぞれ略上下方向に延びて車体側布部53及び乗員側布部54を周縁結合部55よりも低い強度で結合し、膨張部52を上流側膨張部57と、その左右両側の下流側膨張部58とに区画する。さらに、各仮結合部56は、同仮結合部56による結合状態が、上流側膨張部57の膨張に伴い上側の端末61から下側の端末62に向けて解除されるように設けられている。各仮結合部56の上端部63と周縁結合部55の最寄りの箇所との間には、上流側膨張部57及び下流側膨張部58を連通させる連通路64が形成されている。
【0005】
そのため、前面衝突(前突)等により車両に対し前方から衝撃が加わると、慣性により運転者が前傾しようとするが、エアバッグ51の膨張部52では、上記衝撃に応じ、膨張用ガスが上流側膨張部57に供給される。この膨張用ガスは、上流側膨張部57を通過した後、各連通路64から各下流側膨張部58に流入する。この膨張用ガスにより、上流側膨張部57及び各下流側膨張部58が展開膨張する。この際、両仮結合部56が上流側膨張部57及び両下流側膨張部58の膨張厚みを規制する。そのため、膨張部52が運転者の腹部とステアリングホイールとの間の狭い間隙に入り込んで展開膨張しやすい。一方で、上流側膨張部57の展開膨張に伴い、各仮結合部56による結合状態が上側の端末61から下側の端末62に向けて解除されていく。結合状態が解除された箇所から各仮結合部56による膨張厚みの規制が解除されるとともに、下流側膨張部58が上流側膨張部57に繋がっていき、膨張部52の膨張厚みが上から下に向けて大きくなっていく。このように膨張厚みの大きくなっていく膨張部52が、前傾しようとする運転者とステアリングホイールとの間に介在し、運転者を拘束し、衝撃から保護する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−195137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記エアバッグ51の構成では、上流側膨張部57内の膨張用ガスは、各仮結合部56の上端部63と周縁結合部55との間の連通路64からしか各下流側膨張部58に供給されない。そのため、膨張部52の膨張初期には、その膨張部52の中央部分の上流側膨張部57しか展開膨張させることができない。
【0008】
こうした問題は、ステアリングホイール用のエアバッグ装置に限らず、車両の他の箇所に組み込まれるエアバッグ装置、例えば助手席用エアバッグ装置におけるエアバッグでも同様に起こり得る。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、膨張部の膨張初期から下流側膨張部を含めた膨張部の広い領域に膨張用ガスを供給することのできる車両用エアバッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する車両用エアバッグは、膨張用ガスにより膨張する膨張部を備え、膨張完了時に車体側に配置される車体側布部と、膨張完了時に乗員側に配置される乗員側布部とを、それらの周縁部に沿って設けられた周縁結合部で結合することにより前記膨張部が形成された車両用エアバッグにおいて、前記周縁結合部よりも内側には、互いに左右方向に離間した箇所でそれぞれ略上下方向に延びて前記車体側布部及び前記乗員側布部を前記周縁結合部よりも低い強度で結合し、前記膨張部を上流側膨張部と、その左右両側の下流側膨張部とに区画する一対の仮結合部が設けられ、前記各仮結合部の上端部と前記周縁結合部との間、及び前記各仮結合部の下端部と前記周縁結合部との間には、前記上流側膨張部及び前記各下流側膨張部を連通させる連通路がそれぞれ形成され、さらに、前記各仮結合部は、前記上流側膨張部の膨張に伴い前記仮結合部による結合状態が上側の端末から下側の端末に向けて解除されるように設けられている。
【0011】
上記の構成によれば、衝突等により、乗員の前方から車両に衝撃が加わると、慣性により乗員が前傾しようとする。一方、エアバッグの膨張部では、上記衝撃に応じ、膨張用ガスが上流側膨張部に供給される。この膨張用ガスは、上流側膨張部を通過した後、各上側の連通路及び各下側の連通路から各下流側膨張部に流入する。そのため、上側の連通路のみから膨張用ガスが各下流側膨張部に流入する場合よりも多くの膨張用ガスが各下流側膨張部に流入する。すなわち、膨張部の膨張初期から下流側膨張部を含めた膨張部の広い領域に膨張用ガスが供給される。そして、上記膨張用ガスにより、上流側膨張部及び各下流側膨張部が展開膨張する。この際、両仮結合部が上流側膨張部及び両下流側膨張部の膨張厚みを規制する。そのため、乗員の腹部とその前方の車体側部材との間隙が、胸部、頭部等とその前方の車体側部材との間隙よりも狭いが、膨張部がこの狭い間隙に入り込んで展開膨張しやすい。一方で、上流側膨張部の展開膨張に伴い、各仮結合部による結合状態が上側の端末から下側の端末に向けて解除されていく。結合状態が解除されたところから各仮結合部による膨張厚みの規制が解除されるとともに、下流側膨張部が上流側膨張部に繋がっていき、膨張部の膨張厚みが上から下に向けて大きくなっていく。このように膨張厚みの大きくなっていく膨張部が、前傾しようとする乗員とその前方の車体側部材との間に介在し、乗員を拘束し、衝撃から保護する。
【0012】
上記車両用エアバッグにおいて、前記両上側の端末は、対応する上側の前記連通路に面した状態で互いに指向しており、前記各下端部は、前記上流側膨張部及び前記下流側膨張部の境界部分に湾曲部を有していることが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、膨張用ガスが上流側膨張部から上側の連通路を経由して各下流側膨張部に流入する際には、車体側布部及び乗員側布部が撓んで互いに離間し、同連通路を開放させる。この離間の際に、各仮結合部の上端部において上側の連通路に面した箇所に対し、応力が加わる。同様に、膨張用ガスが上流側膨張部から下側の連通路を経由して各下流側膨張部に流入する際には、車体側布部及び乗員側布部が撓んで互いに離間し、同連通路を開放させる。この離間の際に、仮結合部の下端部において下側の連通路に面した箇所に対し、応力が加わる。
【0014】
ここで、両上側の端末が、対応する上側の連通路に面した状態で互いに指向していることから、上記両布部の離間に伴う応力が両上側の端末に集中しやすい。これに対し、各下端部が、上流側膨張部及び下流側膨張部の境界部分に湾曲部を有していることから、上記両布部の離間に伴う応力が、湾曲部の曲線状をなす広い箇所で受け止められることとなり、同応力が湾曲部の特定の箇所に集中して加わることが起こりにくい。このように、各仮結合部のうち上側の端末と下端部とで両布部の離間に伴う応力が異なることから、各仮結合部による結合状態は、上流側膨張部の膨張に伴い上側の端末から下側の端末に向けて解除される。
【0015】
上記車両用エアバッグにおいて、前記両上側の端末間の間隔は、前記両湾曲部間の間隔よりも狭く設定されていることが好ましい。
上記の構成によれば、上流側膨張部内の膨張用ガスは、車体側布部及び乗員側布部を互いに離間させて各上側の連通路から各下流側膨張部に流入する際、両上側の端末間の領域を通過する。また、上流側膨張部内の膨張用ガスは、両布部を互いに離間させて各下側の連通路から各下流側膨張部に流入する際、両湾曲部間の領域を通過する。この際、両布部の離間に伴い上側の端末及び湾曲部に応力が加わるところ、この応力は、広い領域に面している湾曲部におけるよりも、狭い領域に面している上側の端末において大きくなる。従って、各仮結合部による結合状態は、上流側膨張部の膨張に伴い上側の端末から下側の端末に向けてより一層解除されやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
上記車両用エアバッグによれば、各仮結合部の下端部と周縁結合部との間に、上流側膨張部及び各下流側膨張部を連通させる連通路を形成したため、膨張部の膨張初期から下流側膨張部を含めた膨張部の広い領域に膨張用ガスを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】車両用エアバッグの一実施形態を示す図であり、エアバッグ装置が組み込まれたステアリングホイールの正面図。
図2】一実施形態において、仮結合部の断面構造を模式的に示す断面図。
図3】一実施形態において、車体側布部の一部が破断されて平らに展開されたエアバッグを、車体側布部側から見た状態を示す背面図。
図4】一実施形態におけるステアリングホイール及びエアバッグ装置の断面図。
図5】一実施形態を示す図であり、エアバッグが展開膨張する途中の状態をステアリングホイール及び運転者とともに示す断面図。
図6】従来技術を示す図であり、ステアリングホイールに組み込まれた状態とは表裏が反転され、かつ車体側布部の一部が破断されて平らに展開されたエアバッグを、車体側布部側から見た状態を示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、車両用エアバッグの一実施形態について、図1図5を参照して説明する。
図1及び図4に示すように、車両の運転席よりも前方には、回転軸線L1を中心として回転するステアリングシャフト(操舵軸)11が、運転席側(後側、図4の左側)ほど高くなるように傾斜した状態で配設されている。ステアリングシャフト11の後端部には、ステアリングホイール12が一体回転可能に取付けられている。
【0019】
なお、回転操作されるステアリングホイール12の位置を特定するために、本実施形態では、車両が直進しているときのステアリングホイール12の状態、すなわち中立状態を基準に、「上」、「下」、「左」、「右」を規定するものとする。従って、ステアリングホイール12の左右方向は、車両の幅方向(車幅方向)と同一となる。
【0020】
図1及び図5に示すように、ステアリングホイール12は、リム部(ハンドル部、リング部と呼ばれることもある)13、パッドカバー14、ロアカバー15及びスポーク部16を備えている。
【0021】
リム部13は、上記ステアリングシャフト11を中心とした略円環状をなしている。パッドカバー14は、リム部13の中央部分に配置されている。ロアカバー15は、同中央部分においてパッドカバー14の前側に配置されている。スポーク部16は、リム部13及びパッドカバー14間に設けられている。
【0022】
ステアリングホイール12の上記構成部材(リム部13、スポーク部16)の各内部、及びパッドカバー14とロアカバー15とによって囲まれた空間には、鉄、アルミニウム、マグネシウム、又はこれらの合金等によって形成された芯金17が配設されている。芯金17は、ステアリングホイール12の骨格部分をなすものである。
【0023】
上記ステアリングホイール12にはエアバッグ装置20が組み込まれている。エアバッグ装置20は、前面衝突(前突)等により、乗員としての運転者P1及び車両の前方からその車両に対し衝撃が加わった場合に、車両用エアバッグ(以下、単に「エアバッグ」という)30を運転者P1とステアリングホイール12との間で展開膨張させて、その運転者P1に加わる衝撃を緩和するためのものである。図4に示すように、エアバッグ装置20は、上記エアバッグ30のほかに、インフレータ21、エアバッグカバー22、ケース24、リテーナ26等を備えている。
【0024】
インフレータ21は、高さの低い円柱状をなしている。インフレータ21の内部には、ガス発生剤(図示略)が収容されている。なお、インフレータ21としては、上記ガス発生剤を用いたタイプに代えて、高圧ガスの充填された高圧ガスボンベの隔壁を火薬等によって破断してガスを噴出させるタイプが用いられてもよい。
【0025】
エアバッグ30は、強度が高く、かつ可撓性を有する織布等の布によって袋状に形成され、折り畳まれた状態で収納されている。エアバッグ30の詳細については、後述する。
エアバッグカバー22は、上記パッドカバー14によって構成されている。エアバッグカバー22は、折り畳まれてケース24に収納されたエアバッグ30を後方から覆う天井壁部22aと、天井壁部22aの外周縁付近から前方へ延びる略四角筒状の側壁部22bとを備え、合成樹脂によって形成されている。天井壁部22aには、膨張するエアバッグ30に押されて上下両側に開く一対の扉部23が形成されている。図1では、両扉部23は開かれた状態で図示されている。
【0026】
ケース24は、エアバッグ30とインフレータ21とを収納して保持するために用いられており、上記芯金17に支持されている。また、ケース24の側壁部24aには、リベット25等により、エアバッグカバー22の側壁部22bが取付けられている。
【0027】
リテーナ26は、ボルト及びナット(図示略)により、エアバッグ30及びインフレータ21をケース24に取付けるために用いられている。
上記インフレータ21の作動は、制御装置27によって制御される。制御装置27に接続された衝突検知センサ28は、車両の衝突時の減速度を検知可能な加速度センサ等からなる。制御装置27は、衝突検知センサ28から入力される電気信号に基づきインフレータ21を作動させる。
【0028】
次に、エアバッグ30について説明する。
図3及び図5に示すように、エアバッグ30は、膨張完了時に、車体側であるステアリングホイール12側に配置される車体側布部31と、膨張完了時に、乗員側である運転者P1側に配置される乗員側布部32とを備えている。車体側布部31及び乗員側布部32は、平らに展開された状態では、図1において二点鎖線で示すように、ステアリングホイール12のリム部13よりも大径の略円形状をなしている。車体側布部31及び乗員側布部32は、それらの周縁部に沿って設けられた周縁結合部33によって結合されている。
【0029】
なお、図3では、乗員側布部32についても図示するために、車体側布部31の一部が破断された状態で図示されている。
本実施形態では、周縁結合部33は、両布部31,32の周縁部を、縫合糸で縫合することにより形成されている。この点は、後述する仮結合部38についても同様である。
【0030】
上記縫製に関し、図3及び図6では、3つの線種によって縫製部分が表現されている。1つ目の線種は、一定長さの太線を断続的に並べて表現した線(破線の一種)であり、これは、縫合部分を前後方向から見た状態を示している(図3における仮結合部38等参照)。2番目の線種は、一定長さ(一般的な破線よりも長い長さ)の細線を断続的に並べて表現した線(破線の一種)であり、これは、隠れていて直接は見えない縫糸の状態を示している(図3における周縁結合部33等参照)。3番目の線種は、点を一定間隔おきに並べて表現した線(破線の一種)であり、これは、縫合の対象となる車体側布部31と乗員側布部32との間における縫糸の状態を示している(図3における周縁結合部33、仮結合部38等参照)。すなわち、縫製が3番目の線種で表現されている図は、縫製部分を通る断面に沿った断面構造を示している。
【0031】
図3及び図5に示すように、車体側布部31と乗員側布部32との間であって、周縁結合部33によって囲まれた空間は、インフレータ21からの膨張用ガスによって膨張する膨張部34となっている。
【0032】
上記膨張部34は、周縁結合部33による結合後に両布部31,32が裏返されることによって形成されている。上記の裏返しにより、両布部31,32において周縁結合部33よりも外側の部分である縫い代は、膨張部34の内部に位置している。なお、膨張部34は、周縁結合部33による結合後に両布部31,32が裏返されないことによって形成されたものであってもよい。後者のタイプでは、両布部31,32において、周縁結合部33よりも外側の部分である縫い代が膨張部34の外部に露出する。
【0033】
なお、周縁結合部33は、上記縫糸を用いた縫合とは異なる手段、例えば接着剤を用いた接着によって形成されてもよい。
車体側布部31の中央部には、インフレータ21を膨張部34内に挿入させるための開口35が形成されている。また、車体側布部31において、開口35の周りの複数箇所には、リテーナ26の図示しないボルトを挿通させるための取付孔36が形成されている。
【0034】
また、車体側布部31の上部であって、左右対称となる2箇所には、それぞれ円形をなすベントホール37が形成されている。
ここで、平らに展開された状態の膨張部34について、その中央部の開口35に近づく側を内側といい、遠ざかる側を外側というものとする。周縁結合部33よりも内側には、ステアリングホイール12が中立状態にあるとき、互いに左右方向に離間した箇所でそれぞれ略上下方向に延びる一対の仮結合部38が設けられている。両仮結合部38の少なくとも中間部分は、両布部31,32の外形形状に対応した形状、すなわち、外側へ膨らむ略円弧状をなしている。各仮結合部38は、両布部31,32を周縁結合部33よりも低い強度で結合している。膨張部34は、両仮結合部38により、同膨張部34の中央部分の領域を占める1つの上流側膨張部41と、上流側膨張部41の左右両側に位置する一対の下流側膨張部42とに区画されている。
【0035】
各仮結合部38の上端部47と周縁結合部33の最寄りの箇所との間には、上流側膨張部41及び各下流側膨張部42を連通させる上側の連通路43が形成されている。また、各仮結合部38の下端部48と周縁結合部33の最寄りの箇所との間には、上流側膨張部41及び各下流側膨張部42を連通させる下側の連通路44が形成されている。
【0036】
さらに、各仮結合部38では、上流側膨張部41の膨張に伴い、各仮結合部38による結合状態を上側の端末45から下側の端末46に向けて解除させるための構造が採用されている。両上側の端末45は、対応する上側の連通路43に面した状態で互いに指向している。また、各仮結合部38の下端部48は、上流側膨張部41及び下流側膨張部42の境界部分に湾曲部48aを有している。さらに、両上側の端末45間の間隔D1は、両湾曲部48a間の間隔D2よりも狭く設定されている。
【0037】
また、図2に示すように、仮結合部38の形成、換言すると、車体側布部31と乗員側布部32との縫合には、上糸及び下糸として縫合糸T1,T2が用いられている。両縫合糸T1,T2は同一の素材によって形成されている。しかし、ステアリングホイール12側の縫合糸T1として、運転者P1側の縫合糸T2よりも細く、強度の低いものが用いられている。
【0038】
なお、周縁結合部33の形成に用いられる縫合糸は、仮結合部38を形成する縫合糸T1,T2よりも高く、かつ膨張部34の膨張時にも結合状態を解除しない程度の強度を有している。
【0039】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。
車両に対し、前面衝突(前突)等による前方からの衝撃が加わらないときには、エアバッグ装置20では、制御装置27からインフレータ21に対し、これを作動させるための作動信号が出力されず、インフレータ21から膨張用ガスが上流側膨張部41に供給されない。そのため、エアバッグ30は、折り畳まれた状態でステアリングホイール12内に収納され続ける。
【0040】
これに対し、車両の走行中に、前突等により車両に対し前方から衝撃が加わると、慣性により運転者が前傾しようとする。一方、エアバッグ装置20では、車両に対し前方から所定値以上の衝撃が加わったことが衝突検知センサ28によって検出されると、その検出信号に基づき制御装置27からインフレータ21に対し、これを作動させるための作動信号が出力される。この作動信号に応じて、インフレータ21では、ガス発生剤が膨張用ガスを発生する。この膨張用ガスは、エアバッグ30の上流側膨張部41に供給される。この膨張用ガスは、上流側膨張部41を通過した後、各上側の連通路43及び各下側の連通路44から各下流側膨張部42に流入する。上側の連通路64のみから膨張用ガスが各下流側膨張部58に流入する特許文献1に比べ、多くの膨張用ガスが各下流側膨張部42に流入する。すなわち、膨張部34の膨張初期から下流側膨張部42を含めた膨張部34の広い領域に膨張用ガスが供給される。
【0041】
そして、上記膨張用ガスにより、上流側膨張部41及び各下流側膨張部42が膨張する。この膨張するエアバッグ30により、エアバッグカバー22に押圧力が加わって、図1及び図4において二点鎖線で示すように、上下一対の扉部23が押し開かれてエアバッグ30が後方へ向けて展開膨張する。
【0042】
この展開膨張の際、両仮結合部38が図5において実線で示すように、上流側膨張部41及び両下流側膨張部42の膨張厚み、すなわち、車体側布部31と乗員側布部32との間隔を規制する。そのため、同図5に示すように、運転者P1の腹部PBとステアリングホイール12との間隙は、胸部PT、頭部PH等とステアリングホイール12との間隙よりも狭いが、膨張厚みを規制された膨張部34は、この狭い間隙に入り込んで展開膨張しやすい。腹部PBがステアリングホイール12に当たることがエアバッグ30によって抑制される。
【0043】
一方で、上流側膨張部41の展開膨張に伴い、両仮結合部38による結合状態が上側の端末45から下側の端末46に向けて解除されていく。すなわち、膨張用ガスが上流側膨張部41から各上側の連通路43を経由して各下流側膨張部42に流入する際には、両布部31,32が撓んで互いに離間し、同連通路43を開放させる。この離間の際に、各仮結合部38の上端部47において上側の連通路43に面した箇所に対し、応力が加わる。同様に、膨張用ガスが上流側膨張部41から各下側の連通路44を経由して各下流側膨張部42に流入する際には、両布部31,32が撓んで互いに離間し、同連通路44を開放させる。この離間の際に、仮結合部38の下端部48において下側の連通路44に面した箇所に対し、応力が加わる。
【0044】
ここで、両上側の端末45が、対応する上側の連通路43に面した状態で互いに指向していることから、両布部31,32の離間に伴う応力が両上側の端末45に集中しやすい。これに対し、各仮結合部38の下端部48が、上流側膨張部41及び下流側膨張部42の境界部分に湾曲部48aを有している。このことから、上記離間に伴う応力が、湾曲部48aの曲線状をなす広い箇所で受け止められる。その結果、上記応力が仮結合部38における各湾曲部48aの特定の箇所に集中して加わることが起こりにくい。また、各仮結合部38の多くを占める中間部分は円弧状をなしているため、部分的な応力集中が生じにくく、応力が仮結合部38の中間部分の全体に分散されやすい。このように、各仮結合部38のうち上側の端末45と他の箇所(下端部48を含む)とで両布部31,32の離間に伴う応力が異なることから、各仮結合部38による結合状態は、上流側膨張部41の膨張に伴い上側の端末45から下側の端末46に向けて解除される。換言すると、上側の端末45が、仮結合部38の結合解除時の起点となる始端を構成する。各仮結合部38による結合状態の解除が、上側の端末45(始端)を起点として円滑かつ迅速に行なわれる。
【0045】
また、上流側膨張部41内の膨張用ガスは、両布部31,32を離間させて各上側の連通路43を通じて各下流側膨張部42に流入する際、両上側の端末45間の領域を通過する。また、上流側膨張部41内の膨張用ガスは、両布部31,32を離間させて各下側の連通路44を通じて各下流側膨張部42に流入する際、両湾曲部48a間の領域を通過する。この際、両布部31,32の離間に伴い上側の端末45及び湾曲部48aに応力が加わるところ、この応力は、広い領域に面している湾曲部48aにおけるよりも、狭い領域に面している上側の端末45において大きくなる。従って、各仮結合部38による結合状態は、上流側膨張部41の膨張に伴い上側の端末45から下側の端末46に向けてより一層解除されやすくなる。
【0046】
さらに、上記結合状態の解除に際しては、仮結合部38の一部を構成する縫合糸T1が破断される。この破断による糸抜けが伝播することで、仮結合部38による結合状態の解除が円滑に行なわれる。
【0047】
ここで、本実施形態では、ステアリングホイール12側の縫合糸T1として、運転者P1側の縫合糸T2よりも細く、強度の低いものが用いられている。このように縫合糸T1と縫合糸T2とで強度差が設けられている。そのため、仮結合部38による結合状態が解除される場合には、強度の低い方の縫合糸T1が、両布部31,32の離間に伴う応力によって破断され、仮結合部38の結合解除が迅速に行なわれる。破断された縫合糸T1が順次抜かれるようにして糸抜けが伝播されつつ、上側の端末45から下側の端末46に向けて結合状態(縫合状態)が解除される。このようにして、仮結合部38による結合状態の解除が円滑に行なわれる。なお、破断された縫合糸T1の多くは車体側布部31の前側に位置することとなり、運転者P1側に飛散することが起こりにくい。
【0048】
結合状態が解除された箇所から各仮結合部38による膨張厚みの規制が解除されるとともに、各下流側膨張部42が上流側膨張部41に繋がっていき、図5において二点鎖線で示すように、膨張部34の膨張厚みが上から下に向けて大きくなっていく。このように膨張厚みの大きくなっていく膨張部34が、前傾しようとする運転者P1の上半身とステアリングホイール12との間に介在する。運転者P1の上半身が膨張部34によって拘束され、運転者P1の前傾が規制され、運転者P1が衝撃から保護される。
【0049】
なお、膨張部34内の余剰の膨張用ガスは、車体側布部31に設けられたベントホール37を通じて、エアバッグ30の前方へ排出される。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
【0050】
(1)周縁結合部33よりも内側には、ステアリングホイール12が中立状態にあるとき、互いに左右方向に離間した箇所でそれぞれ略上下方向に延びて車体側布部31及び乗員側布部32を周縁結合部33よりも低い強度で結合し、膨張部34を上流側膨張部41と、その左右両側の下流側膨張部42とに区画する一対の仮結合部38を設ける。各仮結合部38の上端部47と周縁結合部33との間、及び各仮結合部38の下端部48と周縁結合部33との間に、上流側膨張部41及び各下流側膨張部42を連通させる連通路43,44をそれぞれ形成している(図3)。
【0051】
そのため、膨張部34の膨張初期から、両下流側膨張部42を含めた膨張部34の広い領域に膨張用ガスを供給することができる。膨張初期から膨張部34の広い領域を展開させ、エアバッグ30の展開初期での保護エリアを十分に確保することができる。
【0052】
また、膨張部34の膨張初期には、両仮結合部38により膨張部34の前後方向の膨張厚みを小さくし、ステアリングホイール12(リム部13)と運転者P1の腹部PBとの間の狭い間隙に入り込ませることができ、エアバッグ30の運転者P1に対する拘束性を安定させることができる(図5)。
【0053】
(2)各仮結合部38による結合状態が、上流側膨張部41の膨張に伴い上側の端末45から下側の端末46に向けて解除されるようにしている(図3)。
そのため、膨張部34の膨張厚みを時間とともに上から下に向けて大きくしていき、十分な膨張厚みに膨張した膨張部34によって、前傾しようとする運転者P1を受け止めて衝撃から保護することができる。
【0054】
(3)両上側の端末45を、対応する上側の連通路43に面した状態で互いに指向させる。各仮結合部38の下端部48において、上流側膨張部41及び下流側膨張部42の境界部分に湾曲部48aを設けている(図3)。
【0055】
そのため、両布部31,32の離間に伴う応力が両上側の端末45に集中して加わるようにする反面、湾曲部48aの特定の箇所に同応力が集中して加わらないようにすることができ、各仮結合部38による結合状態を、上流側膨張部41の膨張に伴い上側の端末45から下側の端末46に向けて解除させることができる。
【0056】
(4)両上側の端末45間の間隔D1を、両湾曲部48a間の間隔D2よりも狭く設定している(図3)。
そのため、両布部31,32の離間に伴う応力を、間隔の狭い領域に面する上側の端末45に加わりやすくし、間隔の広い領域に面する湾曲部48aに加わりにくくすることができ、各仮結合部38による結合状態の解除を、上流側膨張部41の膨張に伴い、上側の端末45から下側の端末46に向けて行なわせやすくすることができる。
【0057】
(5)仮結合部38を、縫合糸T1,T2を用いた縫合により形成している(図2)。
そのため、接着剤等を用いた場合よりも仮結合部38の形成が容易となる。
(6)仮結合部38の形成に際し、車体側布部31と乗員側布部32との縫合に用いられる縫合糸T1,T2として、強度の異なるものを用いている(図2)。
【0058】
そのため、強度の低い縫合糸T1を破断させることで、両縫合糸T1,T2として強度の同じものを用いた場合よりも、仮結合部38による結合を解除しやすくすることができる。
【0059】
(7)各仮結合部38の中間部分を湾曲状に形成している(図3)。
そのため、両布部31,32の離間に伴う応力を、湾曲状をなす広い箇所で受け止めることができる。その結果、上記応力が各仮結合部38における中間部分の特定の箇所に集中して加わるのを抑制し、上側の端末45よりも早く同中間部分が破断するのを抑制することができる。
【0060】
(8)各仮結合部38の中間部分を円弧状に形成している(図3)。
そのため、各仮結合部38の中間部分を緩やかに変化する形状とし、同形状が急激に変化するものに比べ、同仮結合部38の中間部分を縫製により容易に形成することができる。
【0061】
(9)両仮結合部38を左右対称形状に形成している。
そのため、結合状態の解除を左右の両仮結合部38においてバランスよく行なうことができる。
【0062】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<仮結合部38について>
・各仮結合部38は、乗員側布部32及び車体側布部31を接着剤で接着させることにより形成されたものであってもよい。この場合には、膨張用ガスによる上流側膨張部41の膨張に伴い、接着部分が破断されて乗員側布部32及び車体側布部31が剥離されることにより、仮結合部38による結合状態の解除が行なわれる。
【0063】
・各仮結合部38の中間部分は、上記実施形態とは異なる形状(非円弧状)に形成されてもよい。
・両上側の端末45を対応する上側の連通路43に面した状態で互いに指向させ、両下端部48に湾曲部48aを形成することのみをもって、各仮結合部38による結合状態を上側の端末45から下側の端末46に向けて解除できる場合には、両上側の端末45間の間隔D1は、両湾曲部48a間の間隔D2と同一、又は広く設定されてもよい。
【0064】
<縫合糸T1,T2について>
・上記実施形態とは逆に、強度の低い縫合糸T1が乗員側布部32側に配置され、強度の高い縫合糸T2が車体側布部31側に配置されてもよい。
【0065】
・縫合糸T1,T2として、異なる種類の素材によって形成されることで、互いに強度の異なるものが用いられてもよい。
・縫合糸T1,T2として、同等の強度を有するものが用いられてもよい。
【0066】
<その他>
・上記車両用エアバッグは、ステアリングホイール用のエアバッグ装置20とは異なるエアバッグ装置、例えば助手席用エアバッグ装置のエアバッグに適用可能である。
【0067】
その他、前記各実施形態から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに記載する。
(A)請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両用エアバッグにおいて、前記両仮結合部は、互いに強度の異なる縫合糸を上糸及び下糸として用いて前記車体側布部及び前記乗員側布部を縫合することにより形成されている。
【0068】
上記の構成によれば、強度の低い縫合糸を破断させることで、両縫合糸として強度の同じものを用いた場合よりも、仮結合部による結合状態を解除しやすくすることができる。
(B)請求項1〜3及び上記(A)のいずれか1つに記載の車両用エアバッグにおいて、前記仮結合部の中間部分は湾曲状に形成されている。
【0069】
上記の構成によれば、車体側布部及び乗員側布部の離間に伴う応力が、各仮結合部における中間部分の特定の箇所に集中して加わるのを抑制し、上側の端末よりも早く同中間部分が破断するのを抑制することができる。
【0070】
(C)請求項1〜3、上記(A)及び(B)のいずれか1つに記載の車両用エアバッグにおいて、前記車体側布部は車両のステアリングホイールに面して配置され、前記乗員側布部は車両の運転者に面して配置され、前記両仮結合部は、前記ステアリングホイールが中立状態にあるとき、互いに左右方向に離間した箇所でそれぞれ略上下方向に延びて前記車体側布部及び前記乗員側布部を前記周縁結合部よりも低い強度で結合し、前記膨張部を上流側膨張部と、その左右両側の下流側膨張部とに区画するものである。
【0071】
上記の構成によれば、車両のステアリングホイール用のエアバッグにおいて、請求項1〜3、上記(A)及び(B)に記載の車両用エアバッグと同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0072】
30…車両用エアバッグ、31…車体側布部、32…乗員側布部、33…周縁結合部、34…膨張部、38…仮結合部、41…上流側膨張部、42…下流側膨張部、43…上側の連通路、44…下側の連通路、45…上側の端末、46…下側の端末、47…仮結合部の上端部、48…仮結合部の下端部、48a…湾曲部、D1,D2…間隔、P1…運転者(乗員)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6