(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
以下、
図1から
図8を参照しつつ、本発明に係るステッピングモータ及びこれを備える時計の第1の実施形態について説明する。なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
図1(a)は、本実施形態におけるステッピングモータの平面図であり、
図1(b)は、
図1(a)の矢視b方向から見たステッピングモータの側面図である。
本実施形態のステッピングモータ100は、例えば時計500(
図6参照)の指針501(例えば、秒針、分針、時針)を動作させる運針機構や日付機構等を駆動させるために適用される小型のモータである。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、ステッピングモータ100は、ロータ(Rotor;回転子)1と、ステータ(Stator;固定子)2と、ステータ2と磁気的に接続されたコイルブロック3と、を備えている。
【0013】
図1(a)に示すように、本実施形態において、ロータ1は、上面視においてほぼ円形状に形成された円盤状又は円筒状の磁石である。
ロータ1は、径方向に2極(S極及びN極)に着磁されている。
ロータ1を構成する磁石としては、例えば希土類磁石等(例えば、サマリウムコバルト磁石等)の永久磁石が好適に用いられるが、ロータ1を構成する磁石の種類はこれに限定されない。
ロータ1の円中心には、ロータ回転軸11が設けられている。
ロータ1は、後述するステータ2のロータ収容孔23に収容され、ロータ回転軸11を回転中心として回転可能に配置されている。なお、本実施形態において、ロータ1は、後述するコイル32に駆動パルスが印加されることにより、ロータ収容孔23内において所定のステップ角で回転可能となっている。
【0014】
ロータ回転軸11にはロータかな12が設けられている。ロータかな12には、例えば時計500の指針501を運針させるための輪列機構を構成する歯車502(
図6参照)等が連結されており、ロータ1が回転することにより、ロータかな12と噛み合っている歯車502等が回転するようになっている。
【0015】
図2(a)は、本実施形態におけるステータの平面図であり、
図2(b)は、
図2(a)におけるb-b線に沿う断面図である。
【0016】
本実施形態において、ステータ2は、パーマロイ等の高透磁率材料によって形成されている。より具体的には、例えば
パーマロイB(PB)等がステータ2の材料として適用される。
パーマロイBは、Ni=45、Fe=Balを材料成分としており、初透磁率60000μi、最大透磁率180000μm、飽和磁束密度0.65Bm(T)、保持力1.2Hc(A/m)、固有抵抗0.55μΩ.m以上であり、比較的飽和磁束密度が低く、磁束が飽和しやすい。
なお、ステータ2を形成する材料は、
パーマロイBに限定されるものではない。
【0017】
図1(a)及び
図2(a)に示すように、ステータ2は、ステッピングモータ100の延在方向(
図1(a)及び
図2(a)における左右方向であり、後述するコイル32が形成されたコイルコア31の直状部311の延在方向)に延在する板状の部材である。
ステータ2の両端部は、後述するコイルコア31と磁気的に接続される接合部を構成するステータ側接合部21となっている。ステータ側接合部21は、ステータ2の延在方向(すなわち、
図1(a)及び
図2(a)における左右方向であり、コイルコア31の直状部311の延在方向)と直交する同一方向に張り出しており、コイルコア31のコイル側接合部312とほぼ重なり合う形状となっている。
各ステータ側接合部21には、それぞれネジ孔22が形成されている。ネジ孔22は、ステータ2の延在方向の中央部からの距離がほぼ等しくなるように(すなわち、
図1(a)及び
図2(a)の左右方向における対称位置に)配置されている。なお、ネジ孔22は、組み付け精度上、いずれか一方を長孔とすることが好ましい。
また、本実施形態では、ステータ2は、ステータ2の延在方向における両側(
図1(a)及び
図2(a)における左右)においてほぼ同じ厚みに形成されている。
【0018】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、ステータ2は、ロータ1を収容するロータ収容孔23と、磁束飽和位置を決める一対の外側凹部(外ノッチ)24と、ロータ1の安定静止位置を決める内側凹部(内ノッチ)25と、を有している。
ロータ収容孔23は、ほぼ円形の孔部であって、本実施形態では、ステータ2の延在方向(本実施形態において、
図1(a)及び
図2(a)における左右方向であり、コイルコア31の直状部311の延在方向)のほぼ中央部に配置されている。
本実施形態のステータ2は、ロータ収容孔23を中心として、ステータ側接合部21及びネジ孔22が、ステータ2の延在方向(
図1(a)及び
図2(a)の左右方向)におけるほぼ対称位置に配置されており、ステータ2全体の形状及び厚みがロータ収容孔23の左右(
図1(a)及び
図2(a)における左右)においてほぼ対称となっている。
【0019】
外側凹部24は、ステータ2の外側面であってロータ収容孔23を挟んだ対向位置に設けられており、外側凹部24とロータ収容孔23とが最も近接している箇所同士を繋ぎロータ収容孔23の円中心を通る線が、ステータ2の延在方向(本実施形態において、
図1(a)及び
図2(a)における左右方向であり、コイルコア31の直状部311の延在方向)と直交しロータ収容孔23の円中心を通る線から所定角度(
図2(a)においてθ1)ずれるように配置されている。
上記所定角度θ1をどの程度とするか、すなわち、外側凹部24とロータ収容孔23とが最も近接している箇所同士を繋ぎロータ収容孔23の円中心を通る線(
図2(a)においてLa)をステータ2の延在方向と直交しロータ収容孔23の円中心を通る線(
図2(a)においてLb)からどの程度ずらすかについては、ステッピングモータ100の大きさ、ステータ2の幅等の条件により異なるが、10度から25度程度の間で適宜設定されることが好ましく、本実施形態では17度程度に設定されている。
なお、外側凹部24の形状、大きさ等は図示例に限定されない。
【0020】
各外側凹部24とロータ収容孔23との間の領域は、ステータ2の幅が狭くなっており、他の部分と比較して磁気飽和が起き易い可飽和部26となっている。
可飽和部26は、ロータ1の磁束によっては磁気飽和しないが、後述するコイル32が励磁されたときに磁気飽和して磁気抵抗が大きくなる磁束飽和位置となるように構成されている。
【0021】
また、ロータ収容孔23の内側面には、ほぼ対向する位置に2つの内側凹部25が形成されている。
内側凹部25は、ロータ1が安定して停止する位置(安定静止位置)を決めるための位置決め部を構成するものである。
ロータ1は、より近くにある金属に吸着しようとする特性を有するため、ステッピングモータ100は、ロータ1の2つの極が内側凹部25の設けられていない部分と対向している状態、すなわち、2つの内側凹部25とロータ1の分極位置とが対向している状態において最も保持トルクが大きくなる。このため、後述するコイル32に駆動パルスが印加されていない非通電状態では、ロータ1は、内側凹部25とロータ1の分極位置とが対向している位置で磁気的に安定して停止する。
【0022】
本実施形態では、内側凹部25は、内側凹部25の最深部同士を繋ぎロータ収容孔23の円中心を通る線が、外側凹部24とロータ収容孔23とが最も近接している箇所同士を繋ぎロータ収容孔23の円中心を通る線から所定角度(
図2(a)においてθ2)ずれるように配置されている。
上記所定角度θ2をどの程度とするか、すなわち、内側凹部25の最深部同士を繋ぎロータ収容孔23の円中心を通る線(
図2(a)においてLc)を、外側凹部24とロータ収容孔23とが最も近接している箇所同士を繋ぎロータ収容孔23の円中心を通る線(
図2(a)においてLa)からどの程度ずらすかについては、ステッピングモータ100の仕様等の各種条件により異なるが、30度から50度程度の間で適宜設定されることが好ましく、本実施形態では45度程度に設定されている。
なお、内側凹部25の形状、大きさ等は図示例に限定されない。
【0023】
上述のように、本実施形態のステータ2は、ロータ収容孔23を中心として、ステータ2の延在方向の両側(すなわち、
図1(a)及び
図2(a)における左右)の形状、厚み等がほぼ対称となっている。
このため、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、ステータ2の表裏を逆にしてもコイルブロック3等を組み付けることができる。
例えば、ロータ1を時計回り(
図1(a)に矢印で示す回転方向)に回転させたい場合には、
図1(a)に示すように、ステータの外側凹部24が左上と右下とに配置される向きでステータ2を配置し、コイルブロック3を組み付ける。
また、ロータ1を反時計回り(
図3(a)に矢印で示す回転方向)に回転させたい場合には、
図3(a)に示すように、ステータの外側凹部24が右上と左下とに配置される向きでステータ2を配置し、コイルブロック3を組み付ける。
このように、本実施形態では、同一のステータ2を表裏逆にして組み付けるだけでロータ1の回転方向を変えることができる。
【0024】
図4(a)は、本実施形態におけるコイルブロック3の平面図であり、
図4(b)は、
図4(a)における矢視b方向から見た側面図である。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、コイルブロック3は、コイルコア31と、このコイルコア31に導線を巻回して形成されたコイル32と、を備えている。
【0025】
コイルコア31は、パーマロイ等の高透磁率材料によって形成されている。より具体的には、例えば
パーマロイC(PC)等がコイルコア31の材料として適用される。
パーマロイCは、Ni=77〜78、Mo=5、Cu=4、Fe=Balを材料成分としており、初透磁率4500μi、最大透磁率45000μm、飽和磁束密度1.50Bm(T)、保持力12Hc(A/m)、固有抵抗0.45μΩ.m以上であり、ステータ2に用いられる
パーマロイBと比較して磁束が飽和しにくい。
なお、コイルコア31を形成する材料は、
パーマロイCに限定されるものではない。コイルコア31は、例えばフェライト等、他の高透磁率材料によって形成されてもよい。
【0026】
図5(a)は、本実施形態におけるコイルコア31の平面図であり、
図5(b)は、
図5(a)における矢視b方向から見た側面図であり、
図5(c)は、
図5(a)におけるc-c線に沿う断面図である。
図5(a)から
図5(c)に示すように、コイルコア31は、導線を巻回してコイル32が形成される直状部311と、直状部311の両端側に設けられたコイル側接合部312とで構成されている。
直状部311は、ステッピングモータ100の組み立て状態においてステータ2の延在方向(すなわち、
図1(a)、
図2(a)及び
図5(a)の左右方向であり、ステッピングモータ100の延在方向)に沿って延在する直線状の部である。本実施形態において、直状部311は、コイル側接合部312よりも僅かに厚みが厚く形成されている。
コイル側接合部312は、直状部311の延在方向と直交する方向に張り出しており、ステッピングモータ100の組み立て状態においてステータ2のステータ側接合部21と重なり合い、ステータ2と磁気的に接続される接合部を構成する。
各コイル側接合部312には、それぞれステータ側接合部21のネジ孔22に対応する位置にネジ孔33が形成されている。なお、ネジ孔33は、組み付け精度上、いずれか一方を長孔とすることが好ましい。
【0027】
本実施形態では、ステッピングモータ100の組み立て状態において、ステータ側接合部21のネジ孔22とコイル側接合部312のネジ孔33とが、ビス507(
図6参照)により連結される。
すなわち、
図6に示すように、ステッピングモータ100を時計ケース510の内部等に実装する場合には、ステッピングモータ100は、時計ケース510内に設けられた地板505(
図6等参照)や図示しない基板上等にビス507によって固定され、このビス507によってコイルコア31とステータ2とが連結される。
なお、コイルコア31とステータ2とを連結させる手法はこれに限定されない。例えば、コイルコア31とステータ2とをビス止めや溶接等により予め連結させ、ステッピングモータ100として一体化させた上で、完成状態のステッピングモータ100をビス507によって地板505等に固定し、時計ケース510内に実装してもよい。
【0028】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、いずれか一方のコイル側接合部312(本実施形態では、
図4(a)において左側のコイル側接合部312)には、スペーサ5aを介して基板5が重畳されている。なお、スペーサ5aは、コイル32の高さと基板5の高さとを調整するものであり、その厚みはコイル32の高さ等に応じて適宜設定される。また、スペーサ5aは必須の構成要素ではなく、これを備えない構成としてもよい。
基板5の上には、第1のコイル端子51及び第2のコイル端子52が実装されている。第1のコイル端子51及び第2のコイル端子52には、コイル32の導線端部34が接続されている。コイル32は、この第1のコイル端子51及び第2のコイル端子52を介して図示しない駆動パルス供給回路と接続されており、駆動パルス供給回路によりコイル32に駆動パルスが印加されるとコイル32に磁束が生じる。コイル32から生じた磁束はコイルコア31からステータ2へと流れる。これにより、ロータ収容孔23周囲の磁極が適宜切り替えられ、ロータ1が所定のステップ角(例えば180度)ずつ回転するようになっている。
基板5には、ステータ側接合部21のネジ孔22及びコイル側接合部312のネジ孔33に対応する位置にネジ孔53が設けられており、ビス507によってコイルコア31とステータ2とを連結、固定させる際に、基板5もともに固定される。
【0029】
図6は、本実施形態のステッピングモータを時計(例えば腕時計等)に組み込んだ場合の配置例を模式的に示したものであり、
図7は、時計に組み込まれたステッピングモータ及びその周辺を拡大した要部断面図である。
本実施形態に係る時計500は、例えば、指針501(例えば、秒針、分針、時針)を回転させて時刻を表示するアナログ方式の時計である。なお、
図6では、指針501を破線で示している。
【0030】
図6に示すように、本実施形態における時計500は、金属材料や合成樹脂等で形成された時計ケース510を備えている。
時計ケース510の内部には、ステッピングモータ100やこれに接続された輪列機構等を備える時計モジュール(図示せず)及び時計モジュールにより回転駆動する指針501等が収容されている。また、時計モジュールの上には、文字板及び透明なガラス等で形成された風防部材等が配置されている。なお、
図6では、ステッピングモータ100の配置を示すために、文字板や風防部材等の図示を省略している。
図6では、時計ケース510内に3つのステッピングモータ100(100a,100b,100c)が収容されている場合を例示している。なお、1つの時計ケース510内に収容されるステッピングモータ100の数は3つに限定されず、これよりも少なくてもよいし、4つ以上でもよい。
【0031】
図7に示すように、ステッピングモータ100やこれに接続された歯車502等の輪列機構は、ステッピングモータ100等を組み付ける土台となる地板505と地板505の上に組み付けられたステッピングモータ100等を地板505との間に挟み込んで保持する輪列受け506との間に配置されている。
前述のようにステッピングモータ100は、ビス507により地板505の上に組み付けられ固定される。
【0032】
図8は、地板505からステッピングモータ100等を取り外した状態を示す平面図である。
図8に示すように、地板505には、例えば表面にステッピングモータ100の外形形状に沿って浅く掘り下げた凹部を形成する等により、ステッピングモータ100を配置する位置が示されている。
また、本実施形態では、地板505は、ステッピングモータ100のステータ2の外側凹部24に対応する位置決め部508を備えている。
位置決め部508は、外側凹部24に嵌るような形状に形成された突起状のものである。
なお、位置決め部508の数や配置は、図示例に限定されない。位置決め部508は、少なくとも外側凹部24又は内側凹部25のうちのいずれか1つに対応して設けられていればよく、いずれかの内側凹部25に嵌るような形状に形成されたものであってもよい。また、一対の外側凹部24や一対の内側凹部25に嵌るように、1つのステッピングモータ100につき一対の位置決め部508を設けてもよい。また、位置決め部508は、外側凹部24や内側凹部25に嵌ってステッピングモータ100の位置決めができるものであればよく、その形状は図示例に限定されない。例えばピンのような細い形状のものであってもよい。
【0033】
前述のように、本実施形態のステータ2は、表裏いずれの向きでも組み付けが可能であり、ステータ2を組み付ける向きによってロータ1の回転方向が逆転する。この点、
図6及び
図8に示すように、ステッピングモータ100が組み付けられる地板505の側に位置決め部508を設けた場合には、ステータ2を表裏逆向きに配置しようとしても位置決め部508が引っ掛かって地板505の上にステータ2(ステータ2を備えるステッピングモータ100)を配置することができない。このように位置決め部508によってステータ2の配置方向(すなわち表裏いずれの向きで配置するか)を規制することで、組み付け時におけるミスを回避することができる。
図6に示す例では、時計ケース510内に収容されている3つのステッピングモータ100(100a,100b,100c)のうち、ステッピングモータ100a,100bは、位置決め部508により、
図1(a)に示したのと同じ向きでステータ2が配置されるよう位置決めされており、ロータ1が時計回りに回転するように設定されている。これに対して、ステッピングモータ100cは、位置決め部508により、
図3(a)に示したのと同じ向きでステータ2が配置されるよう位置決めされており、ロータ1が反時計回りに回転するように設定されている。
【0034】
また、地板505には、軸受け孔509が形成されており、ステッピングモータ100のロータ回転軸11や輪列機構を構成する歯車502の軸部を軸受け孔509によって受けるようになっている。
【0035】
次に、本実施形態におけるステッピングモータ100及びこれを備える時計500の作用について説明する。
【0036】
本実施形態のステッピングモータ100を組み立てる際、ロータ1を時計回りに回転させて使いたい場合には、
図6のステッピングモータ100a,100bのように、ステータ2を、外側凹部24が左上と右下に配置され、内側凹部25が左上と右下に配置される向きで地板505の所定位置に配置する。このとき、位置決め部508が外側凹部24内に嵌ることで、ステータ2が正しい向きで位置決めされる。
また、ロータ1を反時計回りに回転させて使いたい場合には、
図6のステッピングモータ100cのように、ステータ2を、外側凹部24が右上と左下に配置され、内側凹部25が右上と左下に配置される向きで地板505の所定位置に配置する。このとき、位置決め部508が外側凹部24内に嵌ることで、ステータ2が正しい向きで位置決めされる。
【0037】
ステータ2が位置決めされると、その上からコイルブロック3を配置し、さらにコイルブロック3の一方のコイル側接合部312(本実施形態では、
図6等において左側のコイル側接合部312)に、スペーサ5aを介して基板5を重畳する。
そして、基板5、コイルブロック3、ステータ2をビス507によって地板505に固定する。これにより、ステッピングモータ100の組み立てが完了するとともに、ステッピングモータ100の時計ケース510内への組み付けが完了する。
ステッピングモータ100を時計(例えば
図6の時計500)の指針501を回転させるために用いる場合には、ステッピングモータ100のロータ回転軸11と指針501との間に輪列機構を構成する歯車502を配置してロータ1の回転力が指針501に伝達されるように構成する。
ステータ2が、外側凹部24が左上と右下に配置され、内側凹部25が左上と右下に配置される向きで配置したステッピングモータ100(例えば
図6のステッピングモータ100a,100b)のコイル32に駆動パルスが印加されると、ロータ1はロータ収容孔23内において所定のステップ角で時計回りに回転する。また、ステータ2が、外側凹部24が右上と左下に配置され、内側凹部25が右上と左下に配置される向きで配置したステッピングモータ100(例えば
図6のステッピングモータ100c)のコイル32に駆動パルスが印加されると、ロータ1はロータ収容孔23内において所定のステップ角で反時計回りに回転する。
ロータ1が回転すると、ロータ回転軸11に設けられているロータかな12と噛み合っている歯車502等が回転し、その回転力が指針501に伝達されて、指針501が所定の角度ずつ回転駆動する。
【0038】
以上のように、本実施形態では、外側凹部24は、ステータ2の外側面であってロータ収容孔23を挟んだ対向位置に設けられ、外側凹部24とロータ収容孔23とが最も近接している箇所同士を繋ぎロータ収容孔23の円中心を通る線が、ステータ2の延在方向と直交しロータ収容孔23の円中心を通る線から所定角度(例えば17度)ずれるように配置されている。
外側凹部(外ノッチ)24が、ステータ2の延在方向と直交しロータ収容孔23の円中心を通る線上に設けられる場合には、内側凹部(内ノッチ)25の設けられる位置によっては、磁束飽和位置(可飽和部26)の手前でステータ2が細くなるくびれ部分が発生し、コイルコア31で発生した磁束がステータ2の磁束飽和位置(可飽和部26)に辿り着く前にこのくびれ部分で磁束が飽和しやすくなり、エネルギーロスとなってしまう。ステッピングモータ100の小型化の要請にしたがってステータ2の幅(ステータ2の延在方向と直交する方向の幅)が狭くなると、一層磁束飽和位置手前での磁束飽和が生じやすくなり、エネルギーロスも大きくなる。この点、本実施形態のように、外側凹部(外ノッチ)24の位置をステータ2の延在方向と直交しロータ収容孔23の円中心を通る線上からずらした場合には、ロータ収容孔23とステータ2の外縁部とが最も近づく部分を避けて外側凹部(外ノッチ)24を設けることができ、ステッピングモータ100が小型化され、ステータ2の幅が狭くなっていったとしても、コイルコア31で発生した磁束がステータ2の磁束飽和位置に辿り着くまでステータ2の断面積がなだらかに減少していくように構成することができる。このため、磁束飽和位置手前において磁束飽和を生じにくく、磁束飽和によるエネルギーロスを生じにくいため、ロータ1を360度回転させるにおいてコイル32で発生した磁力を効率よく加えることが可能となる。
また、本実施形態では、ロータ収容孔23がステータ2の延在方向の中央部に配置されており、ステータ2は、その延在方向における両側において同じ厚みに形成されている。このように、ステータ2をその延在方向における両側(
図1(a)等における左右)において形状、厚み等をほぼ対称とすることで、
図1(a)、
図3(a)及び
図6に示すように、ステータ2の表裏を逆にしてもコイルブロック3等を組み付けることができる。そして、ステータ2の表裏どちらを上にしてコイルブロック3を組み付けるかにより、ロータ1を時計回り又は反時計回りに回転させることができる。このため、同一形状のステータ2を表裏逆にして組み付けるだけでロータ1の回転方向を変えることができ、製造する部品の種類を減らすことができ、生産性を向上させ生産コストや部品管理コストの削減を図ることができる。
また、ステッピングモータ100において、ステータ2の延在方向における厚みや形状が左右非対称であると、ステッピングモータ100において最も分厚い透磁性材料部分であるステータ2とコイルコア31の連結部分(接合部)とロータ1(磁石)との間で発生する磁力が左右で非対称となる。このため、ロータ1のロータ回転軸11が片側に引き付けられて摩擦力が大きくなる。さらには保持トルク(インデックストルク)が大きくなり、ロータ1を回転させる際もロータ回転軸11を押し付ける力が左右非対称となることによりロータ回転軸11で発生する摩擦力が強くなり、エネルギーロスが大きくなる。エネルギーロスを減らしてできるだけ効率よくロータ1を回転させるためには、ステッピングモータ100において最も分厚い透磁性材料部分であるステータ2とコイルコア31の連結部分(接合部)とロータ1(磁石)との間の距離を左右均等にすることで発生する磁力を左右で均等に保つことが望ましい。特にステッピングモータ100を小型化していった場合には、ステータ2とコイルコア31の連結部分(接合部)とロータ1(磁石)との間の距離が著しく近づくため、この接合部とロータ1間における磁気的な相互関係及びこれによって生じるエネルギーロスは無視できない。この点、本実施形態では、ステータ2の延在方向における厚みや形状をほぼ左右対称としている。これにより、ロータ回転軸11で発生する摩擦力が小さくなり、さらには保持トルク(インデックストルク)が小さくなり、ロータ1を回転させる際もロータ回転軸11を押し付ける力が左右対称となることでロータ回転軸11で発生する摩擦力を左右で打ち消し合うことができる。このため、エネルギーロスを抑えて効率よくロータ1を回転させることができる。なお、ステータ2とコイルコア31の連結部分(接合部)は、ステータ2のロータ収容孔23と同等の磁気的効力を発揮するため、ロータ1(磁石)の厚みはステータ2とコイルコア31の連結部分(接合部)と同等の厚みとなるようにしてもよい。
また、本実施形態のような構成のステッピングモータ100は、上記のように、小型化してもエネルギーロスが少なく効率的に動作させることができる。このため、例えば腕時計等の小型の時計500内にステッピングモータ100を組み込んだ場合でも時計500全体の小型化、軽量化を実現することができる。
さらに、本実施形態では、時計500の地板505に、ステッピングモータ100のステータ2の外側凹部24又は内側凹部25に対応する位置決め部508を備えている。このため、表裏いずれの向きでも組み付けが可能で、組み付ける向きによってロータ1の回転方向が変わるステータ2を備えるステッピングモータ100を、簡易・確実に所望の向きで設置することができ、組み付け作業の正確性を確保しつつ、効率化を図ることができる。
【0039】
[第2の実施形態]
次に、
図9から
図11を参照しつつ、本発明に係るステッピングモータ及びこれを備える時計の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ステータ及びコイルブロックの接合部の構成のみが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0040】
図9(a)は、本実施形態におけるステータの平面図であり、
図9(b)は、
図9(a)における矢視b方向から見たステータの側面図である。
図10(a)は、本実施形態におけるコイルコアの正面図であり、
図10(b)は、
図10(a)における矢視b方向から見たコイルコアの側面図である。また、
図11は、
図9のステータのIX-IX線に沿う断面部分と
図10のコイルコアのX-X線に沿う断面部分とを重ね合わせる様子を示す説明図である。
【0041】
図9(a)及び
図9(b)に示すように、本実施形態のステータ4は、第1の実施形態と同様、ネジ孔42が形成されたステータ側接合部41、ロータ収容孔43、外側凹部(外ノッチ)44、内側凹部(内ノッチ)45、及び可飽和部46を備えている。
また、
図10(a)及び
図10(b)に示すように、本実施形態のコイルコア61は、第1の実施形態と同様、直状部611、及びネジ孔63が形成されたコイル側接合部612を備えている。
【0042】
ステータ4及びコイルコア61は、ステータ側接合部41及びコイル側接合部612において互いに重なり合っている。
本実施形態では、
図9(b)及び
図11の右下の図に示すように、ステータ側接合部41の自由端側の表面及び裏面の一部が切り欠かれており、他の部分よりも厚みの薄い薄肉部411となっている。なお、本実施形態においても、ステータ4は、その延在方向における両側の形状、厚み等がほぼ同じであり、ほぼ左右(
図9(a)において左右)対称となっている。また、ステータ側接合部41の自由端側の表面及び裏面の切り欠きの深さはほぼ同じであり、ステータ4の表裏の形状がほぼ同じとなっている。
また、
図10(b)及び
図11の右上の図に示すように、コイル側接合部612の自由端側の表面の一部が切り欠かれており、他の部分よりも厚みの薄い薄肉部613となっている。
【0043】
図11に示すように、ステータ側接合部41とコイル側接合部612とは、ステータ側接合部41の薄肉部411とコイル側接合部612の切り欠かれていない部分とが互いに重ね合わせられ、コイル側接合部612の薄肉部613とステータ側接合部41の切り欠かれていない部分とが互いに重ね合わせられている。
これにより、切り欠きを設けずに重ね合わせた場合に比べて、接合部全体の厚みを薄くすることができる。
【0044】
例えば、ステータ側接合部41とコイル側接合部612とが同じ厚みである場合、本来薄肉部を設けなければ、接合部全体は、ステータ側接合部41の厚みとコイル側接合部612の厚みとを足した2枚分(3分の6)の厚みになる。
これに対して、
図11に示すように、ステータ側接合部41の表面及び裏面を3分の1ずつ切り欠いて、薄肉部411を他の部分の3分の1の厚みとし、コイル側接合部612の表面を3分の1だけ切り欠いて薄肉部613を他の部分の3分の2の厚みとした場合には、
図11の左側の図に示すように、ステータ側接合部41の薄肉部411とコイル側接合部612の切り欠かれていない部分とが重ね合わされた部分では、
3分の4の厚みとなり、コイル側接合部612の薄肉部613とステータ側接合部41の切り欠かれていない部分とが互いに重ね合わされた部分では、
3分の5の厚みとなり、いずれもステータ側接合部41とコイル側接合部612とをそのまま重ねた場合の接合部全体の厚み(3分の6)よりも厚みが薄くなる。
なお、ステータ側接合部41の薄肉部411及びコイル側接合部612の薄肉部613の厚みは、ここに例示したものに限定されない。いずれか一方又は双方の厚みをさらに薄くしてもよい。
【0045】
なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0046】
次に、本実施形態におけるステッピングモータ及びこれを備える時計の作用について説明する。
【0047】
本実施形態のステッピングモータを組み立てる際、ロータを時計回りに回転させて使いたい場合には、ステータ4を、外側凹部44が左上と右下に配置され、内側凹部45が左上と右下に配置される向きで地板の所定位置に配置する。このとき、位置決め部が外側凹部44内に嵌ることで、ステータ4が正しい向きで位置決めされる。
また、ロータを反時計回りに回転させて使いたい場合には、ステータ4を、外側凹部44が右上と左下に配置され、内側凹部45が右上と左下に配置される向きで地板の所定位置に配置する。このとき、位置決め部が外側凹部44内に嵌ることで、ステータ4が正しい向きで位置決めされる。
【0048】
ステータ4が位置決めされると、その上からコイルブロックを配置する。このとき、ステータ側接合部41の薄肉部411とコイル側接合部612の切り欠かれていない部分とを互いに重ね合わせ、コイル側接合部612の薄肉部613とステータ側接合部41の切り欠かれていない部分とを互いに重ね合わせるようにして、ステータ側接合部41とコイル側接合部612とを重ね合わせる。
さらにコイルブロックの一方のコイル側接合部612に基板を重畳し、基板、コイルブロック、ステータ4をビスによって地板に固定する。これにより、ステッピングモータの組み立てが完了するとともに、ステッピングモータの時計ケース内への組み付けが完了する。
【0049】
なお、その他の点については、第1の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、ステータ4及びコイルコア61は、ステータ側接合部41とコイル側接合部612とにおいて互いに重なり合っており、ステータ4のステータ側接合部41の少なくとも一部は、他の部分よりも厚みの薄い薄肉部411となっており、コイル側接合部612の少なくとも一部は、他の部分よりも厚みの薄い薄肉部613となっている。
これにより、ステータ4とコイルコア61との接合部での厚みを抑えることができ、ステッピングモータの小型化に資する。
また、ステータ4とコイルコア61との接合部を薄くすることにより、ステッピングモータにおいて最も分厚い透磁性材料部分であるステータ4とコイルコア61の連結部分(接合部)がロータ(磁石)に及ぼす影響を小さくし、ロータをより効率よく回転させることができる。
さらに、本実施形態のようにステータ側接合部41及びコイル側接合部612の両方に薄肉部411,613を設けることで、より一層接合部での薄型化を図ることができる。
そしてこの場合でも、本実施形態のように、ステータ側接合部41については、表裏において同じ厚みずつ切り欠くことにより、ステータ4の表裏を逆にした場合でも同じ形状とすることができ、第1の実施形態と同様に、ステータ4を裏返すだけでロータの回転方向を変えることが可能なステッピングモータを構成することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、ステータ側接合部41及びコイル側接合部612の両方に薄肉部411,613を設ける例を示したが、薄肉部をステータ側接合部41及びコイル側接合部612の両方に設けることは必須ではなく、例えば、コイル側接合部612にのみ薄肉部を設けてもよい。
ステータ側接合部41に薄肉部を設けない場合には、ステータ4の表裏を同じ形状とすることが容易であり、表裏逆転可能なステータ4を簡易に製造することができる。
なお、接合部の一部に薄肉部を設ける加工(潰し加工)を行うことによってステッピングモータのモータ特性の悪化が懸念されるが、コイルコア61における薄肉部613を設ける位置(潰し位置)を、巻き線を施す直状部611部分よりも広い開口部分で行うことで特性の悪化は最小限に抑えられている。さらに、飽和磁束密度の低い
パーマロイBを使用するステータ4側には薄肉部を設けない(潰し加工をしない)とした場合には、さらにモータ特性の悪化を抑えることが期待できる。
【0052】
[第3の実施形態]
次に、
図12(a)から
図12(b)を参照しつつ、本発明に係るステッピングモータ及びこれを備える時計の第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、主にコイルコアの構成が第1の実施形態等と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0053】
図12(a)は、本実施形態におけるロータ及びステータの平面図であり、
図12(b)は、本実施形態におけるコイルブロックの平面図である。また、
図12(c)は、本実施形態におけるステッピングモータのロータを時計回りに回転させる場合の正面図であり、
図12(d)は、
図12(c)のステッピングモータのロータを反時計回りに回転させる場合の正面図である。
【0054】
図12(a)に示すように、本実施形態のステータ7は、第1の実施形態等と同様、ネジ孔72が形成されたステータ側接合部71、ロータ収容孔73、外側凹部(外ノッチ)74、内側凹部(内ノッチ)75、及び可飽和部76を備えている。
また、
図12(b)に示すように、本実施形態のコイルブロック8は、第1の実施形態と同様、直状部811とネジ孔83が形成されたコイル側接合部812とを備えるコイルコア81と、コイルコア81の直状部811に導線を巻回して形成されたコイル82とを備えている。
【0055】
本実施形態において、コイルコア81におけるステータ7の内側凹部75に対応する位置には、それぞれ対応凹部85が形成されている。
具体的には、本実施形態では、コイル側接合部812の内側に向いた側面であって、コイル側接合部812をステータ7に重ね合わせたときに、内側凹部(内ノッチ)75と重なり合う位置に、4つの対応凹部85(85a,85b,85c,85d)が形成されている。なお、対応凹部85の形状は図示例に限定されない。対応凹部85は内側凹部75と完全に重なり合う形状でなくてもよく、例えば、対応凹部85が内側凹部75よりも一回り大きく形成されていてもよい。
本実施形態では、第1の実施形態等と同様に、ステータ7が、表裏を逆にしても用いることができるようになっている。コイルコア81の対応凹部85は、ステータ7が表向き、裏向きいずれの向きで設置された場合でも対応可能となっている。
【0056】
すなわち、ロータ1を時計回りに回転させて使いたい場合には、
図12(c)に示すように、外側凹部74が左上と右下に配置され、内側凹部75が左上と右下に配置される向きでステータ7が設置される。この場合、コイルコア81の4つの対応凹部85のうち、対応凹部85aと対応凹部85dとが内側凹部75に対応し、ステータ7にコイルブロック8を組み付けた際には、対応凹部85a及び対応凹部85dがステータ7の内側凹部75と重なり合う。
また、ロータ1を反時計回りに回転させて使いたい場合には、
図12(d)に示すように、外側凹部74が右上と左下に配置され、内側凹部75が右上と左下に配置される向きでステータ7が設置される。この場合、コイルコア81の4つの対応凹部85のうち、対応凹部85bと対応凹部85cとが内側凹部75に対応し、ステータ7にコイルブロック8を組み付けた際には、対応凹部85b及び対応凹部85cがステータ7の内側凹部75と重なり合う。
【0057】
なお、その他の構成は、第1の実施形態等と同様であることから、その説明を省略する。
【0058】
次に、本実施形態におけるステッピングモータ200及びこれを備える時計の作用について説明する。
【0059】
本実施形態のステッピングモータ200を組み立てる際、ロータ1を時計回りに回転させて使いたい場合には、ステータ7を、外側凹部74が左上と右下に配置され、内側凹部75が左上と右下に配置される向きで地板の所定位置に配置する。このとき、位置決め部が外側凹部74内に嵌ることで、ステータ7が正しい向きで位置決めされる。
ステータ7が位置決めされると、その上からコイルブロック8を配置する。このとき、コイルコア81の4つの対応凹部85のうち、対応凹部85a及び対応凹部85dがステータ7の内側凹部75と重なり合うようにコイルブロック8を配置する。
【0060】
また、ロータ1を反時計回りに回転させて使いたい場合には、ステータ7を、外側凹部74が右上と左下に配置され、内側凹部75が右上と左下に配置される向きで地板の所定位置に配置する。このとき、位置決め部が外側凹部74内に嵌ることで、ステータ7が正しい向きで位置決めされる。
この場合にも、ステータ7が位置決めされると、その上からコイルブロック8を配置する。このとき、コイルコア81の4つの対応凹部85のうち、対応凹部85b及び対応凹部85cがステータ7の内側凹部75と重なり合うようにコイルブロック8を配置する。
さらにコイルブロック8の一方のコイル側接合部812に基板を重畳し、基板、コイルブロック8、ステータ7をビスによって地板に固定する。これにより、ステッピングモータ200の組み立てが完了するとともに、ステッピングモータ200の時計ケース内への組み付けが完了する。
【0061】
なお、その他の点については、第1の実施形態等と同様であることから、その説明を省略する。
【0062】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、コイルコア81におけるステータ7の内側凹部75に対応する位置に、それぞれ対応凹部85(85a,85b,85c,85d)が形成されている。
ステッピングモータ200が小型化され、ステッピングモータ200の幅方向(
図12(c)等において横方向)の長さが短くなると、コイルコア81のコイル側接合部812がステータ7の内側凹部75に被さるほどにコイル側接合部812がステータ7のロータ収容孔73に近接する。
この場合、ステータ7とコイルコア81との連結部分(接合部)とロータ1(磁石)との距離が著しく近くなる。ステータ7とコイルコア81との連結部分(接合部)は、最も分厚い透磁性材料部分であるため、この部分とロータ1との距離が近づくとロータ1に大きな影響を及ぼす。
この点、本実施形態のように、コイルコア81にも内側凹部75に対応する対応凹部85を設けることにより、ロータ1がその静止位置を乱されることなく、安定して静止することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、コイルコア81のコイル側接合部812がステータ7の内側凹部75に被さるほどにコイル側接合部812がステータ7のロータ収容孔73に近接している場合を例示しているが、ステータ7とコイルコア81との位置関係は、ここに例示したものに限定されない。
コイル側接合部812がステータ7の内側凹部75に被さるほど近接していない場合でも、ステッピングモータ200において最も分厚い透磁性材料部分であるステータ7とコイルコア81との連結部分(接合部)はロータ1に影響を及ぼすおそれがある。このため、ロータ1を安定的に動作させるためには、内側凹部75に対応する位置に対応凹部を設けて、ステータ7とコイルコア81との連結部分(接合部)がロータ1に及ぼす影響を小さくすることが有効である。
【0064】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0065】
例えば、本実施形態では、実施形態では、時計が、指針を回転させて時刻を表示するアナログ方式の時計500である場合を例示したが、時計は、アナログ方式のものに限定されない。
例えば、デジタル方式及びアナログ方式の両方を備える時計であってもよい。
また、ステッピングモータ100によって動作させる針は指針に限定されず、例えば、日付等を表示させる各種の機能針等であってもよい。ステッピングモータ100が機能針を動作させる場合には、時計は、時刻やカレンダ情報等の各種情報を表示させる表示部(例えば液晶表示部)を備えるデジタル方式の時計でもよい。
また、腕時計でなく、懐中時計や、キーホルダ等で鞄等に着脱可能に構成された時計等でもよい。
【0066】
また、本実施形態ではステッピングモータ100が時計500(例えば腕時計)に適用された場合を例示したが、ステッピングモータ100は時計に適用される場合に限定されない。
例えば、歩数計や心拍数計、高度計、気圧計等が指針や各種の機能針を備える場合に、当該指針や機能針を動作させるための動力源として本実施形態のステッピングモータ100を適用してもよい。
【0067】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
ロータと、
前記ロータを収容するロータ収容孔と、磁束飽和位置を決める一対の外側凹部と、前記ロータ収容孔の内側面に設けられ前記ロータの安定静止位置を決める内側凹部と、を有するステータと、
前記ステータと磁気的に接続されたコイルコアにコイルを巻回して構成されたコイルブロックと、
を備え、
前記外側凹部は、前記ステータの外側面であって前記ロータ収容孔を挟んだ対向位置に設けられ、前記外側凹部と前記ロータ収容孔とが最も近接している箇所同士を繋ぎ前記ロータ収容孔の円中心を通る線が、前記ステータの延在方向と直交し前記ロータ収容孔の円中心を通る線から所定角度ずれるように配置されていることを特徴とするステッピングモータ。
<請求項2>
前記ロータ収容孔は、前記ステータの延在方向の中央部に配置されており、
前記ステータは、その延在方向における両側において同じ厚みに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータ。
<請求項3>
前記コイルコアにおける前記ステータの前記内側凹部に対応する位置には、それぞれ対応凹部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のステッピングモータ。
<請求項4>
前記ステータ及び前記コイルコアは、接合部において互いに重なり合っており、
前記ステータの前記接合部を構成する部分の少なくとも一部の厚み及び前記コイルコアの前記接合部を構成する部分の少なくとも一部の厚みは他の部分よりも薄くなっていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のステッピングモータ。
<請求項5>
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のステッピングモータを備えることを特徴とする時計。
<請求項6>
前記ステッピングモータを組み付ける地板を備え、
前記地板に、前記ステッピングモータの前記ステータの前記外側凹部及び/又は前記内側凹部に対応する位置決め部を備えていることを特徴とする請求項5に記載の時計。