(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の設備であって、さらに穀粒循環タンク内に加温部が設けられ、加温部にも加温管が配設されており、加温管に前記バイオマス燃焼炉の排気管から排風熱風が導入されてその熱で穀粒が加温されることを特徴とする請求項1に記載の穀粒乾燥設備。
前記加温部の加温管内部を流れる排風熱風の温度と穀粒乾燥部の加温管内部を流れる排風熱風の温度とを個別に制御できる構成としてあることを特徴とした請求項2に記載の穀粒乾燥設備。
請求項1に記載の設備であって、さらに下部ホッパ部に加温管が配設されており、これら加温管に前記バイオマス燃焼炉の排気管から排風熱風が導入されることを特徴とする穀粒乾燥設備。
請求項1に記載の設備であって、さらに穀粒循環タンク内に加温部が設けられ、加温部に加温管が配設されるとともに、下部ホッパ部にも加温管が配設されており、これら加温管に前記バイオマス燃焼炉の排気管から排風熱風が導入されることを特徴とする請求項1に記載の穀粒乾燥設備。
前記熱風供給配管と排風熱風供給配管には、それぞれの供給風量を調節する風量調節部が設けられていることを特徴とした請求項1〜5のいずれか一つに記載の穀粒乾燥設備。
前記穀粒乾燥部に、この乾燥部に供給された熱風の温度を測定する乾燥部温度センサーを備え、これにより測定された温度に基づいて前記風量調節部及び外気取入量調節部を駆動して前記熱風の供給風量及び外気取入量を調節する制御部を備えていることを特徴とした請求項7に記載の穀粒乾燥設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記穀粒乾燥設備においては、バイオマスを燃焼させるための燃焼炉(以下、バイオマス燃焼炉)で生成させた熱風(バイオマス燃焼熱風)はその熱量の一部が熱交換器で消費されるものの、熱エネルギーを残したまま排風されてしまうので、排風に残った熱エネルギーを有効活用することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点にかんがみ、バイオマス燃焼炉で生成したバイオマス燃焼熱風の熱エネルギーを有効活用できる穀粒乾燥設備を提供することを技術的課題とするものである。
【0006】
この技術的課題は次のように解決された。
本発明の穀粒乾燥設備は、請求項1に記載しているように、
バイオマス燃料の燃焼熱と外部から取り込んだ外気とを基にして熱風を生成する熱交換器24を備えたバイオマス燃焼炉3と、
該バイオマス燃焼炉3で生成した熱風が熱風供給配管15を介して供給される穀粒乾燥部7を備えた循環式穀粒乾燥機2と
を有する穀粒乾燥設備1において、
前記循環式穀粒乾燥機2は、前記穀粒乾燥部7に表面から熱を放射する複数の加温管6aを有する。各加温管6aは一端の供給側開口部6bを前記バイオマス燃焼炉3からの排風熱風供給配管11に連通させ、他端の排風側開口部6cを
循環式穀粒乾燥機2の外部である、排風ファン14による吸引部に連通させる、という技術的手段を用いた。
【0007】
また、請求項2に記載するように、穀粒循環タンク5内に穀粒乾燥部7とは別に穀粒を加温する加温部6を設けてこの部分に複数の加温管6gを配置するという技術的手段を用いた。
循環式穀粒乾燥機2内の穀粒は穀粒乾燥部7へ至る前に加温部6の加温管6gが放射する熱によって予熱されるので、穀粒乾燥の能率が向上する。
【0008】
さらに、請求項3に記載するように、加温部6の加温管6g内部を流れる排風熱風の温度と穀粒乾燥部7の加温管6a内部を流れる排風熱風の温度とを個別に制御できるという技術的手段を用いた。加温部6での加温管6gを通じた排風熱風による穀粒加温の作用と穀粒乾燥部7における熱風胴内における加温管6aを通じた加温作用とは異なるので、それぞれに、その差異に応じた合理的な温度制御を行える。
【0009】
さらに、請求項4に記載するように、穀粒乾燥部7とホッパ部8bにそれぞれ複数の加温管6a,6hを配設するという技術的手段を用いた。
穀粒乾燥部7から排出されて循環過程へ移動途中の穀粒がホッパ部8bの箇所で冷却されてしまうのを予防し、また、排風ファン14によってホッパ部8bから吸引される空気流によって穀粒乾燥部7下部の通風熱風(通風胴7aと排風胴7bとの間を通過する熱風)の温度が低下してしまうのを抑制することができる。
【0010】
さらに、請求項5に記載するように、加温部6と穀粒乾燥部7とホッパ部8bにそれぞれ複数の加温管6g,6hを配設するという技術的手段を用いた。加温部6で予熱された穀粒を穀粒乾燥部7で能率よく乾燥させ、また、穀粒循環時のホッパ部8bにおいて穀粒がホッパ部8bに露出してもあるいは排風ファン18による穀粒乾燥部7底部からの空気吸引があってもこれによって穀粒の温度が低下することを抑制することができる。
【0011】
さらに、請求項6に記載するように、
前記熱風供給配管15及び排風熱風供給配管11には、供給風量を調節する風量調節部11a,15aを備える、という技術的手段を用いた。
【0012】
さらに、請求項7に記載するように、
前記熱風供給配管15及び排風熱風供給配管11には、外気を取り入れる外気取入部12,16を備えるとともに、該外気取入部12,16には外気取入量調節部12a,16aを備える、という技術的手段を用いた。
【0013】
また、請求項8に記載するように、
前記穀粒乾燥部7には、供給された熱風の温度を測定する乾燥部温度センサー7hを備える一方、該乾燥部温度センサー7hで測定した温度に基づいて前記風量調節部15a及び外気取入量調節部材16aを駆動して前記熱風の供給風量及び外気取入量を調節する制御部4を備える、という技術的手段を用いた。
【0014】
さらに、請求項9に記載するように、
前記排風熱風供給配管11の排風熱風導入口6e付近には、供給された排風熱風の温度を測定する排風熱風温度センサー6fを備える一方、該排風熱風温度センサー6fで測定した温度に基づいて前記風量調節部11a及び外気取入部12aを駆動して排風熱風の供給風量と外気の取入量とを調節する制御部4を備える、という技術的手段を用いた。
【0015】
さらに、請求項10に記載するように、一端が排風熱風供給配管11に連通される加温管6a,6g,6hの他端側に排風ファンを配置するという技術的手段を用いた。
これにより、加温管6a,6g,6hにおける排風熱風の流通を促進し、加温管6a,6g,6hからの熱放射量を調整可能とする
【0016】
また、請求項11に記載するように、
前記排風熱風供給配管11には、前記排風熱風を加温管6a,6g,6hに供給することなく、流路切換弁11cを介して前記排風ファン14に供給するバイパス管路11bを配設する、という技術的手段を用いた。
【発明の効果】
【0017】
本発明の穀粒乾燥設備は、バイオマス燃焼炉で生成させたバイオマス燃焼熱(バイオマス燃焼熱風)を使って熱交換器で熱風を生成し、該熱風を、循環式穀粒乾燥機における穀粒乾燥用の熱風として供給するとともに、前記熱交換器で使用した後の熱エネルギーを残したバイオマス燃焼熱風(排風)についても、複数の加温管6a,6g,6hを用いてその熱エネルギーを表面から放射させて利用し、穀粒乾燥部7の熱風温度を間接的に調整したり、或いは、穀粒乾燥部7とは別に設ける加温部6に配置した複数の加温管6gから放射させる熱によって、穀粒を直接に加温したりすることができる。
【0018】
この結果、前記バイオマス燃焼熱の熱エネルギーを無駄にすることなく穀粒を乾燥するために有効活用することができる。しかも、前記循環式穀粒乾燥機は穀粒乾燥部7の熱風胴7aに配置した加温管6aの放射熱による加温をベースにして熱風温度をテンパリング穀粒乾燥に適した温度に調整しやすく、テンパリング乾燥をスムーズに行える。また、穀粒乾燥部7とは別に、穀粒循環タンク5の内部に穀粒加温部6を備え、加温管6gの放射熱による加温作用によって穀粒内部の水分をあらかじめ穀粒の表面側へ移動させるので、穀粒乾燥部7で通風乾燥する際の乾燥効率がよく、乾燥時間も短縮化できる。さらに、下部のホッパ部8bに加温管6hが配設される構造では、ホッパ部8bの内部が加温されるので、循環式穀粒乾燥機1を循環する穀粒の温度や穀粒乾燥部7における通風熱風の温度がホッパ部8bから吸引される気流によって低下してしまうのを予防することができる。
さらに、乾燥用の熱風を生成するために灯油バーナー等を用いないので、省エネによる穀粒乾燥が行える。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1と
図2は、実施例1を示したものである。
図1は、本発明の穀粒乾燥設備1であり、循環式穀粒乾燥機2、バイオマス燃焼炉3及び制御部4(
図7)を備えてなる。
【0021】
循環式穀粒乾燥機2:
前記循環式穀粒乾燥機2は、穀粒貯留循環タンク5、穀粒乾燥部7(
図2)及び穀粒取出部8を順次重設した本体部9を備えるとともに、前記穀粒取出部8から排出した穀粒を穀粒貯留循環タンク5に還流する昇降機10を備える。符号6aは加温管であり、この実施例1においては、穀粒乾燥部7の熱風胴7aを貫通して配設されている。なお、加温管6aは、その配置を明瞭にするため概念的に図示している。前記穀粒貯留循環タンク5の上部には穀粒供給飛散装置10bを設け、また、前記昇降機10の排出側10aは、排出された穀粒が還流するように、管路10cを介して前記穀粒供給飛散装置10bと連通している。一方、前記昇降機10の供給側10d(
図2)は、前記穀粒取出部8の排出側8aと連通している。
【0022】
前記加温管6aは、複数本(実施例1において8本、
図2)であって、それぞれが熱風胴7aを、本体部9の穀粒乾燥部7の一方側から他方側に向って水平状態で、かつ、上下に並設して構成される。
【0023】
前記各加温管6aにおける供給側開口部6bと排出側開口部6cは、共に、本体部9の外側に開放させて構成する(
図1)。前記本体部9には、前記供給側開口部6bの全てを取り囲むように排風熱風供給カバー部材6dが配設してある。前記排風熱風供給カバー部材6dには排風熱風導入口6eを設け、該排風熱風導入口6eには、後述するバイオマス燃焼炉3から排風された排風熱風を供給する管路11(排風熱風供給配管)が接続してある。前記排風熱風供給カバー部材6dの内部であって、排風熱風供給配管11の排風熱風導入口6e付近には、供給された排風熱風の温度を測定する排風熱風温度センサー6f(
図1)が配設されている。該排風熱風温度センサー6fは、後述する制御部4にその温度測定値が送信されるようにしてある。
【0024】
前記管路11の内部には、前記排風熱風の風量を調節する風量調節ダンパ11a(風量調節部)が設けてある。また、前記管路11は、前記風量調節ダンパ11aを設けた位置と排風熱風導入口6eの間の位置には外気導入管12(外気取入部)を接続する一方、前記外気導入管12の内部に、流路を開閉調節する外気取入ダンパ12a(外気取入量調節部)を設けてある。前記風量調節ダンパ11a及び外気取入ダンパ12aは、後述する制御部4からの信号を受けて自動的に開閉調整されて風量調節できる自動流路開閉ダンパ等にする。
【0025】
一方、前記各加温管6aの全ての排出側開口部6cは、前記本体部9に配設した排風カバー13によって取り囲まれるようにしてある。また、該排風カバー13には排風ファン14を設ける。
【0026】
前記管路11にはバイパス管路11bが設けてある。このバイパス管路11bは、前記管路11における任意位置と前記排風カバー13とを連通するように構成される。このバイパス管路11bは、バイオマス燃焼炉3において燃焼開始初期の排風熱風が前記加温管6aに通風しないように、加温管6aの箇所をバイパスさせて通風させるためのものである。バイパス管路11bを通過した燃焼初期の排風熱風は、排風カバー13内から排風ファン14によって外部に排気される。前記管路11の内部において、バイパス管路11bを接続した位置の下流側の位置には流路切換ダンパ(流路切換弁)11cを設けてある。流路切換ダンパ11cは、後述する制御部4からの信号によって自動的に流路を切換えるものとする。
【0027】
前記穀粒乾燥部7は、熱風胴7a、排風胴7b及び穀粒流下層7cをそれぞれ複数備える。前記熱風胴7aは、有孔鉄板等からなる一対の通風板を所定間隔をおいて直立状に対設して空洞状に構成し、また、排風胴7bについても、有孔鉄板等からなる一対の通風板を所定間隔をおいて直立状に対設して空洞状に構成する。前記熱風胴7aと排風胴7bとは、所定の間隔をおいて交互に配設し、前記熱風胴7aと排風胴7bとの間に穀粒流下層7cを構成する。該各穀粒流下層7cの下端部には、穀粒の繰出バルブ7dを設ける。
【0028】
また、前記熱風胴7aは、一方側の供給側開口部7e(
図1)を全て、本体部9の外側に開放させて構成する。前記各供給側開口部7eは、該各供給側開口部7eの全てを取り囲むように熱風供給カバー部材7f(
図1)が前記本体部9に配設してある。該熱風供給カバー部材7fは熱風導入口7gを有し、これに後述するバイオマス燃焼炉3において生成した熱風を供給する管路15(熱風供給配管)が接続してある。前記熱風供給カバー部材7fの内部であって熱風導入口7g付近には、供給された熱風の温度を測定する乾燥部温度センサー7hが配設されている。該温度センサー7hは、後述する制御部4に温度測定値が送信されるようにされている。
【0029】
前記管路15の内部には、前記熱風の風量を調節する風量調節ダンパ15a(風量調節部)が設けてある。また、前記管路15には、前記風量調節ダンパ15aを設けた位置と熱風導入口7gの間の位置に外気導入管16(外気取入部)が接続されている。そして、前記外気導入管16の内部には、流路を開閉調節する外気取入ダンパ16a(外気取入量調節部)が設けられている。前記風量調節ダンパ15a及び外気取入ダンパ16aは、後述する制御部4からの信号を受けて自動的に風量調節できる自動流路開閉ダンパ等にする。
【0030】
一方、前記各排風胴7b(
図2)の排風側(
図1における左側)となる排出側開口部(図示せず)は、本体部9の外側に開放させて構成する。また、前記排出側開口部は、該排出側開口部の全てを取り囲むように排風カバー17が前記本体部9に配設してある。該排風カバー17による内部空間と連通させて排風ファン18が配置されている。
【0031】
バイオマス燃焼炉3:
前記バイオマス燃焼炉3は、籾殻などのバイオマス燃料を燃焼する燃焼炉19を備える。該燃焼炉19の上部には原料供給タンク部20を備え、原料供給タンク部20の排出側は原料供給ロータリーバルブ21が設けてある。前記原料供給ロータリーバルブ21の排出側は、該原料供給ロータリーバルブ21から繰出されたバイオマス燃料を燃焼炉19内の底部に搬送する搬送管22が接続してある。
【0032】
前記燃焼炉19の下部には、燃焼炉19内の底部に供給されたバイオマス(籾殻、木屑、発酵粕、乾燥糞など)に着火するための着火バーナー23を設ける。また、前記燃焼炉19の上部には、熱風を生成する熱交換器24を設ける。前記熱交換器24は、燃焼炉19の上部において一側面から他側面に向って貫通し、かつ、互いに並設された複数の熱交換パイプ24aから構成する。該各熱交換パイプ24aは、一方側を外気吸引口24bとし他方側を熱風排出口24cとする。該熱風排出口24cは、該各熱風排出口24cの全てを取り囲むように、熱風排出カバー部材24dが前記燃焼炉19に配設してある。熱風排出カバー部材24dは前記管路15と連通する。
【0033】
前記燃焼炉19の上部には、バイオマス燃料を燃焼してなるバイオマス燃焼熱風のうち、熱交換器24で使用した後の排風熱風(バイオマス燃焼熱風)を排出する排気管25を設け、また、該排気管25には前記管路11を連通する。
【0034】
なお、上記バイオマス燃焼炉3の構成は一例であって、本発明を限定するものではない。
【0035】
制御部4:
前記制御部4は、前記排風熱風温度センサー6f、乾燥部温度センサー7h、風路調節ダンパ11a,15a、外気取入ダンパ12a,16a、原料供給ロータリーバルブ21及び着火バーナー23とそれぞれ接続されており、前記加温部温度センサー6f、乾燥部温度センサー7hからの測定温度に基づいて風路調節ダンパ11a,15a、外気取入ダンパ12a,16a及び原料供給ロータリーバルブ21の制御が行なわれる。
【0036】
作用:
上記穀粒乾燥設備1の作用を説明する。
【0037】
はじめに、前記バイオマス燃焼炉3の燃焼が開始される。前記バイオマス燃焼炉3の燃焼開始にあたっては、前記制御部4からの信号に基づいて前記原料供給ロータリーバルブ21の駆動を開始し、前記原料供給タンク部20からバイオマス燃料(籾殻など)を燃焼炉19内に供給する一方、前記着火バーナー23を駆動して前記バイオマス燃料に着火して燃焼を開始し、これにより、バイオマス燃焼熱風が生成される。なお、前記着火バーナー23は着火後に停止する。
【0038】
一方、前記循環式穀粒乾燥機2についても、前記制御部4からの駆動開始信号によって、駆動を開始する(なお、ここでは、穀粒を穀粒貯留循環タンク5内に投入し乾燥を行える状態とする張り込み作業は既に完了しているものとする)。これにより、前記循環式穀粒乾燥機2は、前記排風ファン14,18、昇降機10、繰出バルブ7d、穀粒供給飛散装置10b及び穀粒取出部8がそれぞれ駆動開始する。
【0039】
前記バイオマス燃焼炉3において、バイオマス燃料が籾殻である場合には燃焼開始の初期に前記排気管25から排出される排風熱風(バイオマス燃焼熱風)にタールなどの油分が多く含まれるので、これを避けるため、前記流路切換ダンパ11cにより所定時間だけ流路を切換え、当該排風熱風をバイパス管路11bを介して排風ファン14により外部へ排風させる。これにより、前記初期の排風熱風を前記穀粒加温部6に供給することにより、万一にも、穀粒品質に悪影響を及ぼすことがないように、安全面において配慮している。
【0040】
前記熱交換器24は、前記排風ファン18の吸引作用によって、熱交換パイプ24a内に外気を吸い込むとともに、籾殻によるバイオマス燃焼熱風の燃焼熱を受けて熱風が生成される。前記熱交換器24で生成された当該熱風は、熱風排出カバー24d、管路15、熱風供給カバー部材7fを介して、穀粒乾燥部7に供給される。該穀粒乾燥部7に供給された熱風は、前記各熱風胴7b(
図2)に入った後、穀粒流下層7cの穀粒間を通風して排風胴7bに入り、この後、前記排風カバー17の内部を通って排風ファン18から排気される。前記穀粒貯留循環タンク5内の穀粒は、前記繰出バルブ7dの駆動によって、順次、穀粒流下層7cを流下する際に熱風通風作用を受けた後、昇降機10等を介して還流される。
【0041】
一方、前記バイオマス燃焼炉3において、燃焼開始後、所定時間(例えば30分)が経過すると、前記排風熱風をバイパス管路11bを介して機外廃風するのを中止して前記穀粒加温部6に供給するため、前記流路切換ダンパ11cを駆動させて流路を切換える。すると、前記排風熱風は、前記管路11及び排風熱風供給カバー部材6dを介して各加温管6a内を通風して各加温管6aを加温した後、排風カバー13の内部を通って排風ファン14から排風される。
【0042】
穀粒の乾燥は穀粒乾燥部7において前記の熱風胴7aと排風胴7b間を熱風が通過することで行われる。つまり、穀粒は、前記穀粒乾燥部7における穀粒流下層7cを流下する際に、熱風通風を受け、水分が除去される。
熱風胴7aを通過する熱風の温度は、熱風胴内部を貫通した加温管6aからの放射熱による加温をベースに熱風そのものの温度を調節して調整される。すなわち、加温管6a内を流れる排風熱風の温度をほぼ一定に維持して熱風胴内温度に関して間接的に作用させる一方、熱風胴内温度に関して熱風を直接に作用させて熱風胴内温度を調節する。熱風胴7aと排風胴7b間を通過して穀粒を乾燥する熱風は、この調節された温度となっている。
また、加温管6aからの熱放射は、穀粒流下層7cを流下する穀粒を加温する効果もある。
【0043】
前記制御部4は、前記加温管6aに供給される排風熱風の温度及び、穀粒乾燥部7に供給される熱風の温度について、温度調節管理を行う。加温管6aに供給される排風熱風温度の調節管理は、前記排風熱風温度センサー6fの検出温度に基づき、該検出温度が予め定めた所定温度範囲(例えば60℃〜80℃)となるように前記制御部4から風路調節ダンパ11aと外気取入ダンパ12aとに駆動信号を出して開閉量を変更することによってなされる。また、穀粒乾燥部7に供給される熱風温度の調節管理も、上記と同様に、前記乾燥部温度センサー7hの検出温度に基づき、該検出温度が予め定めた所定温度範囲(例えば43℃〜50℃)となるように前記制御部4から風路調節ダンパ15aと外気取入ダンパ16aとに駆動信号を出して開閉量を変更することによってなされる。
【0044】
乾燥部7の熱風胴7a内の温度は43℃〜50℃の範囲内となるように制御される。熱風胴7a内の温度は直接には熱風の温度であるが、熱風は流通過程で温度降下することがあるので、その降下を抑止してほぼ一定に維持するために、前記のように加温管6aの排風熱風による加温を利用する。加温管6aを流れる排風熱風の温度は60℃〜80℃の範囲に調整され、間接的に乾燥部7の熱風胴7aにおける温度を前記の範囲内(43℃〜50℃)に維持する。
なお、熱風の温度調節だけでは十分に制御しきれない場合には、前記加温管6a内を流れる排風熱風の温度を調節することもある。
【0045】
さらに、上記のようにして、風路調節ダンパ11a,15aと外気取入ダンパ12a,16aの開閉量を変更しても、前記排風熱風温度及び熱風温度が前記所定温度範囲にならないときには、前記制御部4は、前記バイオマス燃焼炉3の原料供給ロータリーバルブ21の駆動を停止したり又は回転数を変更したりなどして籾殻の燃焼量自体を変更する。
【0046】
以上のように、本発明の穀粒乾燥設備1は、籾殻などのバイオマス燃料の燃焼熱を活用し、熱交換器24によって生成した熱風を使用するとともに、前記熱交換器24で活用した後の熱エネルギーを排風熱風として前記循環式穀粒乾燥機で使用するため、前記熱エネルギーの有効活用ができ、しかも穀粒の乾燥効率もよい。また、乾燥用の熱風を生成するための灯油バーナー等を用いないので、省エネによる穀粒乾燥が行える。
【0047】
図3,4は実施例2を示している。なお、穀粒乾燥部7における加温管6aは、その配置を示すために概念的に図示している。実施例1と異なる点は、穀粒貯留循環タンク5の内部に(実施例2では穀粒乾燥部7に近い下部に)加温部6を設けている点である。実施例1と同じ構造、作動については説明を省略する。
加温部6には、複数の加温管6g(
図4)が本体部9の一方側から他方側に向って水平状態で、かつ、上下に千鳥状(上の列の加温管6gと下の列の加温管6gの位置が上下方向で重ならない状態)に並設して構成される。加温管6gの縦断面の形状は、穀粒の流下作用を向上させるため、上部の左右面を下方傾斜状にしてある。
【0048】
前記各加温管6gにおける供給側開口部6bと排出側開口部6cは、共に、本体部9の外側に開放させて構成する(
図3)。前記本体部9には、前記供給側開口部6bの全てを取り囲むように排風熱風供給カバー部材6dが配設してある。前記排風熱風供給カバー部材6dには排風熱風導入口6eを設け、該排風熱風導入口6eには、後述するバイオマス燃焼炉3から排風された排風熱風を供給する管路11(排風熱風供給配管)が接続してある。前記排風熱風供給カバー部材6dの内部には、供給された排風熱風の温度を測定する排風熱風温度センサー6f(
図1)が配設されている。該加温部温度センサー6fは、前記同様の制御部4(
図7)にその温度測定値が送信されるようにしてある。
【0049】
穀粒乾燥部7にも複数の加温管6aが配置される。この実施例2において、これらの加温管6aには、管路11から分岐された第2の管路11dから排風熱風が供給される。第2の管路11dと加温管6aの供給側開口部6bとの間には、穀粒乾燥部7への管路11の場合と同様に、風量調節ダンパ11a及び外気導入管12と外気取入ダンパ12aを備えている。また、図示していないが、前記第2の管路11dに関する加温管6aの供給側開口部6bの付近に前記と同様なホッパ部温度度センサー8cが配置され、制御部4に接続されている。これにより、加温部6の加温管6gの内部を流れる排風熱風の温度と穀粒乾燥部7の加温管6aの内部を流れる排風熱風の温度とを個別に制御することができる。
【0050】
穀粒乾燥部7における加温管6aの排出側開口部6cは、加温部6における排出側開口部6cと共通な空間(排風カバー13で囲まれた空間)に開口している。穀粒乾燥部7に対する加温と同様に加温部6においても温度制御が行われる。穀粒乾燥部7の加温管6aに流す排風熱風の温度は、通常60℃〜80℃であり、加温部6の加温管6gに流す排風熱風の温度は、通常80℃〜120℃に設定される。
なお、この実施例2において、加温部6における加温管6gの供給側開口部6bは、排風熱風供給カバー部材6dで囲まれた空間へ開口しており、排出側開口部6cは排風カバー13で囲まれた空間に開口している。
【0051】
穀粒乾燥部7の熱風胴7aに対する熱風の供給・排出の機構や穀粒乾燥部7と加温部6の加温管6a,6gに対する排風熱風の供給・排出の機構は、実施例1の場合と同じである。
加温部6の加温管6gと穀粒乾燥部7の加温管6aに対する排風熱風の供給・排出は、それぞれに共通の流路によることもある。
実施例2では、穀粒乾燥部7に加えて穀粒乾燥部7の上流側に多数の加温管6gを備えた加温部6を設けるので、穀粒乾燥部7へ至る前に穀粒が予熱され、また、予熱の付与が確実で均等になされ、乾燥能率がより向上する。
穀粒乾燥部7における熱風胴内の熱風温度は、加温管6aを流れる排風熱風による加温をベースにした上で、熱風によって調整するので、熱風胴内の温度を一定に維持しやすい。
【0052】
図5,6は実施例3を示し、
図5では、循環式穀粒乾燥機2の上部を省略して図示している。また、加温管6a,6hについては、その配置を示すために概念的に図示したものである。
【0053】
実施例3が実施例1と異なる点は、穀粒乾燥部7に加えてホッパ部8bにも加温管6hを設けている点である。加温管6hはホッパ部8bを貫通するように配置されても良いし、ホッパ部8bから外部に露出しないように内部だけに配置しても良い。いずれにしても、ホッパ部8bにおける複数の加温管6hの供給側開口部6bは、排風熱風供給カバー部材6dで囲まれた空間へ穀粒乾燥部7における加温管6aと共通に開口しており、排出側開口部6cは排風カバー13で囲まれた空間へ穀粒乾燥部7における加温管6aと共通に開口している。実施例3では、ホッパ部8bの加温管6hと穀粒乾燥部7の加温管6aとを供給側、排出側でそれぞれ結合し、供給側開口部6bと排出側開口部6cを共通にしている。
【0054】
ホッパ部8bの加温管6hと穀粒乾燥部7の加温管6aに対する排風熱風の供給・排出は、それぞれに別の流路によっても良い。
その他の構造及び排風熱風の供給・排出の機構は実施例1と同じであり、説明を省略する。
【0055】
実施例3では、穀粒乾燥部7に加えてその下方のホッパ部8bにも加温管6hを配置したので、ホッパ部8bの内部が加温される。ホッパ部8bの加温管6hに流れる排風熱風の温度は、通常、60℃〜80℃に設定され、穀粒乾燥部7の加温管6aに流れる排風熱風の温度と同じである。ホッパ部8bは、穀粒貯留循環タンク5から穀粒乾燥部7など、ほぼ密閉された環境に置かれていた穀粒がホッパ部8bの内部空間に解放される箇所であり、穀粒取出部8から昇降機10へと移動する間に穀粒の温度が低下しやすい箇所であるが、加温管6hを配置することで穀粒温度の低下を抑制することができる。
また、排風ファン18の吸引によって、ホッパ部8bから穀粒乾燥部7へ繰出バルブ7dを経て穀粒層へ気流が発生し、穀粒層下部の通風熱風の温度が低下してしまう恐れがあるが、ホッパ部8b内部を加温することにより、前記気流による通風熱風の温度低下を抑制することができる。
【0056】
図7,8は実施例4を示している。また、加温管6a,6g,6hについては、その配置を示すために概念的に図示したものである。実施例4は循環式穀粒乾燥機2において、加温部6,穀粒乾燥部7、ホッパ部8bに加温管6a,6g,6hを配置したものであり、前記の実施例3の構成に加温部6を加えた構造に相当する。加温管6a,6g,6hの構造と機能は、それぞれ前記実施例1〜3で説明したのと同じであるが、加温部6,穀粒乾燥部7、ホッパ部8bに加温管6a,6g,6hが配置されることで、循環式穀粒乾燥機2全体として、穀粒温度の低下を防止しながら、良好なテンパリング作動を行うことができる。
【0057】
以上、4つの実施例を説明したが、この発明は実施例の具体的構造には限定されない。
各部に配置した加温管6a,6g,6hの本数や断面形状及び加温管6a,6g,6hに対する排風熱風の供給流路や排風流路の構造は種々に設計することができる。