(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の1例を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係わる全体構成図ある。伝言情報中継装置1は、本発明の伝言情報中継装置であって、通信網5および外線7を介して受信する相手端末6からの伝言情報を、無線LAN(Local Area Network)を構成する無線アクセスポイント2を介して配下の無線端末(情報非蓄積型)31、または無線端末(情報蓄積型)32に中継する。あるいは内線8を介して、受信した伝言情報を内線端末(電話機)41,内線端末(PC)42,内線端末(大画面表示装置)43に中継する。ここで、外線7から受信する伝言情報は、電子メールまたはボイスメールもしくは伝言情報等の蓄積転送系の情報である。
【0010】
伝言情報中継装置1は、例えばボタン電話システム等の内線電話システムを構成する電話主装置であり、外線7は災害に遭っても故障しなかった通信回線や衛星回線等の臨時に敷設した通信回線である。無線アクセスポイント2は無線LAN用のアクセスポイントであるが、構内コードレスホン用の無線基地局やフェムトセルのような携帯電話用の基地局であってもよい。
【0011】
無線端末31,32は、無線アクセスポイント2に帰属し、伝言情報中継装置1が相手端末6から受信して転送してくる伝言情報を受取る電子メール等の通信機能を有するスマートホン等の無線LAN電話機であって、被災者に貸与される。伝言情報中継装置1および無線端末31,32の詳細については後述する。
【0012】
内線端末41,42,43は、内線8と接続される通信端末であって、例えば、内線端末41は臨時の公衆電話的な共同利用向けの電話機または事務局用電話機、内線端末42は共同利用向けの通信機能を有するパーソナルコンピュータ(PC)または事務局用PC、内線端末43は集会場等に設置された不特定多数に告知情報を表示する大画面表示装置である。なお。内線8は有線回線および無線回線のいずれであってもよい。
【0013】
伝言情報中継装置1、無線アクセスポイント2、内線8、内線端末41,42,43は、災害で逃げ出した多数の被災者が避難して共同生活する公民館等に設置される。無線端末31,32は被災者の数よりは少なく、例えば、共同生活する被災者の各グループのリーダや世話人に貸与する。
【0014】
図2は、本発明の実施形態に係わる伝言情報中継装置1のブロック構成図であって、外線対応部101は外線7と接続される。中継制御部102は伝言情報中継装置1の中継処理全体を制御する。
【0015】
内線対応部103は内線8と接続される。
【0016】
端末ID/個人ID/送信元アドレス登録部104は無線端末31,32や内線端末41,42,43の各通信端末を利用する者を識別する個人IDと対応付けて自伝言情報中継装置1へ伝言情報を送信してくる可能性のある送信元に係る送信元情報を登録する送信元情報登録手段と、前記通信端末を識別する端末IDを1以上の個人IDと対応付けて登録する端末ID登録手段を兼ねた手段であって、端末ID,個人ID,送信元アドレスを対応付けて登録する。
【0017】
個人ID受信部105は無線端末31,32や内線端末41,42,43は送信してくる個人IDを受信する。伝言情報受信部106は外線7,内線8あるいは無線アクセスポイント2を介して電子メール等を受信する。伝言情報記憶部107は受信した電子メール等の伝言情報を記憶しておく。
【0018】
図3は、端末ID/個人ID/送信元アドレス登録部104の登録例であって、端末IDであるT301と個人IDであるT302と送信元アドレスであるT303が対応付けられて登録される。
【0019】
図3において、例えば、無線端末31,32のいずれかの端末Aには、A1氏とA2氏の個人IDが登録されており、A1氏に対応する送信元アドレスとしてAdd(A11)とAdd(A12)が、A2氏に対応する送信元アドレスとしてAdd(A21)とAdd(A22)が登録される。このように、一つの端末IDに対して複数の個人IDを、さらに一つの個人IDに対して複数の送信元アドレスを登録でき、これらの数は任意である。
【0020】
送信元アドレスT303に登録するアドレスは任意であり、例えば、被災者の家族,親類,知人等の電子メールアドレスや、被災者本人が平時に使用していた電子メールアドレスである。ここで、被災者本人が平時に使用していた電子メールアドレスを送信元アドレスT303に登録しておくと共に、その電子メールアドレスに届いた電子メールをこの伝言情報中継装置1に転送するように設定しておくと、より利便性が増加する。なお、この伝言情報中継装置1は電子メールクライアント機能を有し、伝言情報中継装置1宛の電子メールを受信する電子メールアドレスを有し、この電子メールアドレスは被災者や支援者向けの代表メールアドレスとして機能する。
【0021】
これらの端末ID,個人ID,送信元アドレスは伝言情報中継装置1を管理する者が手動で登録してもよいし、自動的に登録するようにしてもよい。自動的に登録する方法としては、例えば、無線端末31,32や内線端末41,42から所定の宛先へ被災者側から電子メールを送信する毎に、その送信先をその後に受信する可能性が高い電子メール等の送信元アドレスとして、送信した端末の端末IDおよび送信した者の個人IDと対応付けて自動的に登録すればよい。
【0022】
図4は、本発明の実施形態に係る無線端末31のブロック構成図であり、無線通信部3
01は無線アクセスポイント2との通信を実行する。
【0023】
通信制御部302は無線端末31の通信処理全般を制御する。無線タグリーダー303は本端末を操作する被災者や支援者の名札等に装着された無線タグから個人IDを読み取る。表示部304は伝言情報や操作ガイダンス等を表示する。端末ID記憶部305は自無線端末の端末IDが記憶されている。キー操作部306はキーの操作を行う。通話部307はボイスメール等の音声再生機能を含む通話を行う。個人ID/PSW登録部308は個人IDとパスワード(PSW)を対応付けて登録する。個人ID/案内情報/伝言情報受信部309は無線アクセスポイント2を介して伝言情報中継装置1から案内情報または伝言情報とそれらの情報に対応する個人IDを受信する。
【0024】
なお、本端末を操作する者から個人IDを取得する手段として、無線タグリーダ303を適用しているが、本発明はこれに限定されない。即ち、個人ID取得手段として、無線タグリーダ303の代わりに、例えば、無線端末31がカメラ機能を備えていれば、そのカメラ機能で一次元または二次元の個人IDに対応するバーコードを読み込むようにしてもよい。また、無線タグリーダやカメラ機能を備えていなければテンキー等で個人IDを手入力するようにしてもよい。
【0025】
また、個人ID取得手段として、各被災者や支援者がUSB(Universal Seria Bus)メモリ等のリムーバブル記憶媒体を個々に保持し、そのUSBメモリ内に、当該USBメモリを保持する者の個人IDを記憶させておいて、無線端末31のUSBメモリ装着部(図示せず)に装着した際にその個人IDを取得するようにしてもよい。なお、当該USBメモリに伝言情報中継装置1から転送されて来る伝言情報を保存するようにしてもよい。
【0026】
図5は、伝言情報としての電子メールを相手端末6から受信し、無線端末31へ転送する場合の、伝言情報中継装置1と無線端末31に係わる動作シーケンスの例である。以下、
図1〜4を併用して、伝言情報中継装置1と無線端末31の動作内容を説明する。
【0027】
伝言情報中継装置1は相手端末6から電子メールを受信すると(S501)、当該電子メールのアドレス情報から送信元アドレスを抽出し、端末ID/個人ID/送信元アドレス登録部104を参照して、その送信元アドレスに対応する個人IDを特定する(S502)。さらに、特定した個人IDに対応する端末IDを特定し(S503)、受信した電子メールと特定した個人IDを伝言情報記憶部107に記憶する(S504)。例えば、
図3において、送信元アドレスがAdd(A22)であった場合、対応する個人IDはID(A2氏)であり、その個人IDが登録されている端末の端末IDは端末Aとなる。
【0028】
そして、伝言情報中継装置1は相手端末6へ電子メールを受信した旨のACK(ACKnowledgement)を返し(S510)、特定した端末IDの無線端末31へ特定した個人IDと「受信した電子メールが有る」旨の情報を含む案内情報を通知する(S512)。
【0029】
すると、無線端末31は、受信した案内情報から個人IDを抽出し、抽出した個人IDに対応する個人名やニックネームと「貴方宛の電子メールが有ります」旨の案内情報を表示する(S520)。案内情報を表示した後に、この無線端末31を操作する者が、受信した電子メールの本文の転送を要求する転送要求を入力すると(S521)、無線端末31はパスワード(PSW)の入力を要求し(図示せず)、パスワードの入力を待つ。パスワードが入力されると(S522)、無線端末31は個人ID/PSW登録部308を参照して、入力されたパスワードをチェックし、該当する個人IDと本文の転送を要求するコマンドを伝言情報中継装置1へ送信する(S523)。なお、S522において、個人IDも入力させるようにしてもよい。
【0030】
そして、個人IDと本文の転送を要求するコマンドを受信した伝言情報中継装置1は受信した個人IDを検索キーとして伝言情報受信記憶手段106に記憶してある伝言情報を検索し、当該個人IDに対応する伝言情報としての電子メールの本文または電子メールそのものを無線端末31へ転送する(S531)と共に、相手端末6へ送達通知を送信する(S123)。
【0031】
電子メールの本文または電子メールそのものを受信した無線端末31は「メール本文を受信しました」旨のガイダンス情報を表示し(S531)、再度、パスワードの入力を待つ。そして、正しいパスワードが入力されると、受信したメール本文を表示する(S533)。この再度のパスワード入力(S532)は、S522でのパスワード入力から一定時間以内または連続操作中であれば、この再度のパスワード入力(S532)を省略するようにしてもよい。
【0032】
受信したメール本文を表示した後、無線端末31は開封通知を伝言情報中継装置1へ送信し(S540)、伝言情報中継装置1は受信した開封通知を相手端末6へ転送する(S541)。
【0033】
なお、表示したメール本文は、所定の操作をして、無線端末31が備える情報記憶手段(図示せず)の個人IDに対応するフォルダに保存できるようにしてもよい。
【0034】
ここで、S521,S522において、案内情報を表示した(S520)無線端末31から本文要求と個人IDを送信しているが、無線端末31が複数存在している場合、この案内情報を表示した無線端末31と本文要求と個人IDを送信する無線端末31は別の端末であってもよい。例えば、案内情報を集会場等に設置された内線端末(大画面表示装置)43に表示し、空いている任意の無線端末31や内線端末(PC)42を操作して転送要求とパスワードを入力して、本文要求と個人IDを伝言情報中継装置1へ送信すれば、伝言情報の伝達効率および共用する端末の使用効率を向上できる。
【0035】
図6は、本発明の実施形態に係る無線端末32のブロック構成図であって、
図4に示した無線端末31の個人ID/案内情報/伝言情報受信部309を個人ID/伝言情報受信部310に置き換えると共に、伝言情報中継装置1から受信した伝言情報を記憶しておく伝言情報記憶部311を追加したものである。即ち、伝言情報中継装置1からは案内情報なしに最初から伝言情報を受信し、受信した伝言情報と個人IDを対応付けて伝言情報記憶部311に記憶する。なお、
図4と同じ番号の機能ブロックの動作は同じであり、説明は省略する。
【0036】
図7は、伝言情報中継装置1と無線端末32に係る動作シーケンスである。以下、
図1〜3,
図6を併用して、伝言情報として電子メールを相手端末6から受信した場合を例に、伝言情報中継装置1と無線端末32の動作内容を説明する。
【0037】
伝言情報中継装置1は相手端末6から電子メールを受信すると(S701)、その電子メールのアドレス情報から送信元アドレスを抽出し、端末ID/個人ID/送信元アドレス登録部104を参照して、その送信元アドレスに対応する個人IDを特定する(S702)。さらに、特定した個人IDに対応する端末IDを特定し(S703)、特定した端末IDの無線端末32へ、受信した電子メールを転送すると共に、特定した個人IDを通知する(S710)。また、特定した端末IDの無線端末32へ電子メールを転送した旨を相手端末6へ通知する(S711)。
【0038】
そして、無線端末32は、受信した電子メールと個人IDを伝言情報記憶部311に記憶すると共に(S712)、受信した個人IDに対応する個人名やニックネームと「貴方宛の電子メールを受信しました」旨の案内情報を表示する(S720)。
【0039】
案内情報を表示した後に、この無線端末32を操作する者が、受信した電子メールの本文の表示を要求する表示要求を入力すると(S721)、無線端末32はパスワード(PSW)の入力を要求し(図示せず)、パスワードの入力を待つ。パスワードが入力されると(S722)、無線端末32は個人ID/PSW登録部308を参照して、入力されたパスワードをチェックし、該当する個人IDに対応する本文を表示する(S723)。そして、本文を表示したことを開封通知として伝言情報中継装置1へ通知し(S730)、伝言情報中継装置1はその開封通知を相手端末6へ転送する(S731)。なお、S722において、個人IDも入力させるようにしてもよい。
【0040】
以上、本発明の実施形態の1例を説明した。本実施形態において、伝言情報として電子メールを例に説明したが、これはボイスメールであってもよいし、電話着信を受けた伝言情報中継装置1が発信元からの通話音声を録音した録音音声であってもよい。
【0041】
また、無線端末31と無線端末32は別々の通信端末として説明したが、これらを同一のハードウェアとし、ソフトウェアまたは設定により、実施形態で説明した無線端末31と無線端末32の機能を切り替えるようにしてもよい。さらに、この、無線端末31と無線端末32の機能の切り替えを伝言情報中継装置1側で個人IDまたは送信元アドレス毎に制御するようにしてもよい(図示せず)。この場合、この無線端末を共用する複数の被災者の個々の都合で無線端末31と無線端末32の機能の切り替えが可能となり利用形態が柔軟になる。
【0042】
以上説明した通り、本発明によれば、スマートホン等の無線端末やパーソナルコンピュータ等の内線端末を、多数の被災者,避難者,支援者で共用し、プライバシーを保護しつつ伝言情報の円滑な伝達が可能な個人宛伝言情報中継装置と通信端末を提供できる。また、伝言情報中継装置1と無線端末31,32や内線端末41,42,43は、役所等における一般的な事務連絡用として、災害時以外の通常業務用のシステムとしても利用可能であることは言うまでも無い。