特許第5939441号(P5939441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

特許5939441車両用荷室ドア制御装置、および荷室ドア駆動装置を制御する制御装置
<>
  • 特許5939441-車両用荷室ドア制御装置、および荷室ドア駆動装置を制御する制御装置 図000002
  • 特許5939441-車両用荷室ドア制御装置、および荷室ドア駆動装置を制御する制御装置 図000003
  • 特許5939441-車両用荷室ドア制御装置、および荷室ドア駆動装置を制御する制御装置 図000004
  • 特許5939441-車両用荷室ドア制御装置、および荷室ドア駆動装置を制御する制御装置 図000005
  • 特許5939441-車両用荷室ドア制御装置、および荷室ドア駆動装置を制御する制御装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939441
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】車両用荷室ドア制御装置、および荷室ドア駆動装置を制御する制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/611 20150101AFI20160609BHJP
   B62D 25/12 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   E05F15/611
   B62D25/12 N
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-207675(P2012-207675)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-62389(P2014-62389A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100128657
【弁理士】
【氏名又は名称】三山 勝巳
(74)【代理人】
【識別番号】100160967
【弁理士】
【氏名又は名称】▲濱▼口 岳久
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(72)【発明者】
【氏名】山田 大介
【審査官】 仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−248427(JP,A)
【文献】 特開2001−65217(JP,A)
【文献】 特開2002−242506(JP,A)
【文献】 特表2000−503738(JP,A)
【文献】 特開2004−346708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00−15/79
E05B 1/00−85/28
B62D 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷室ドアを自動で開閉する荷室ドア駆動部と、
前記荷室ドア駆動部の駆動を制御する制御部と、
前記車両の荷室内に存在する人体を検知する人体検知部と、
前記荷室ドア駆動部により前記荷室ドアを自動で閉じることを指示する第1の信号を前記制御部に出力する第1の出力部と、
前記荷室ドアが手動で閉じられたことを示す第2の信号を前記制御部に出力する第2の出力部とを備え、
前記制御部は、
前記第1の信号を取得した場合において、前記人体検知部により前記荷室内にて人体が検知された場合は、前記荷室ドアが開かれた状態を維持するように前記荷室ドア駆動部を制御し、前記人体検知部により前記荷室内にて人体が検知されない場合は、前記荷室ドアが閉じられるように前記荷室ドア駆動部を制御し、
前記第2の信号を取得した場合において、前記人体検知部により前記荷室内にて人体が検知された場合は、一旦閉じられた荷室ドアを開くように前記荷室ドア駆動部を制御することを特徴とする車両用荷室ドア制御装置。
【請求項2】
前記人体検知部により前記荷室内にて人物が検知された場合に、警報を報知する警報装置をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用荷室ドア制御装置。
【請求項3】
前記警報装置は、前記車両の周囲に前記警報を報知することを特徴とする請求項2に記載の車両用荷室ドア制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の信号を取得した場合において、前記人体検知部により前記荷室内にて人体が検知された場合は、前記荷室ドア駆動部を駆動させないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用荷室ドア制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の信号を取得した場合において、前記人体検知部により前記荷室内にて人体が検知された場合は、前記荷室ドアが全開位置まで移動するように前記荷室ドア駆動部を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用荷室ドア制御装置。
【請求項6】
前記第2の信号は、前記荷室ドアが施錠されたことを示す信号であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用荷室ドア制御装置。
【請求項7】
前記第2の信号は、前記荷室ドアが全閉位置に位置したことを示す信号であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用荷室ドア制御装置。
【請求項8】
車両の荷室内に存在する人体を検知する人体検知部を備える該車両の荷室ドアを自動で開閉する荷室ドア駆動装置を制御する制御装置であって、
前記人体検知部にて検知された前記荷室内に人体が存在することを示す人体検知信号を取得する手段と、
前記荷室ドア駆動装置により前記荷室ドアを自動で閉じることを指示する第1の信号を取得する手段と、
前記荷室ドアが手動で閉じられたことを示す第2の信号を取得する手段とを備え、
前記第1の信号を取得した場合において、前記人体検知信号により前記荷室内にて人体が検知されたと判断する場合は、前記荷室ドアが開かれた状態を維持するように前記荷室ドア駆動装置を制御し、前記人体検知信号により前記荷室内にて人体が検知されないと判断する場合は、前記荷室ドアが閉じられるように前記荷室ドア駆動装置を制御し、
前記第2の信号を取得した場合において、前記人体検知信号により前記荷室内にて人体が検知されたと判断する場合は、一旦閉じられた荷室ドアを開くように前記荷室ドア駆動装置を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項9】
コンピュータを請求項8に記載の制御装置として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
コンピュータにより読み出し可能なプログラムを格納した記憶媒体であって、請求項9に記載のコンピュータプログラムを格納したことを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用荷室ドア制御装置、および荷室ドア駆動装置を制御する制御装置に関し、より詳細には、荷室ドア(例えば、トランクリッドなど)を有する車両の荷室(例えば、トランク)に人が閉じ込められる状況を打破する車両用荷室ドア制御装置、および荷室ドア駆動装置を制御する制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のトランクに人が閉じ込められた場合に対処する方法が提案されている。特許文献1には、車両のトランクリッドが閉じられたトランク内において人体を検出すると、トランクのラッチ状態を解除し、かつ車両が備える警報装置を作動してトランク内に人が閉じ込められていることを外部に知らせることが提案されている。特許文献1では、警報装置の警報形態として、クラクションといった音による通知、ヘッドランプを点灯(点滅)させるといった光による通知、携帯電話などへの通知、あるいは、基地局との通信によって異常事態を報知し応援を呼ぶメーデーシステムへの通知等が挙げられている。
【0003】
また、特許文献2には、車両のトランクに閉じ込められた人の安全な脱出を可能にするために、トランクリッドが閉じられた状態でトランク内で人体を検出すると、車両が停止しているか、または車両が設定速度よりも低い場合にはトランクリッドをアンラッチし、車両が設定速度よりも高い場合には警笛を鳴らしたり、車外警告灯をハザード点滅させたりして車外に警告を通知することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−65217号公報
【特許文献2】特開2002−242506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1、2に開示された方法によれば、トランク内に人が閉じ込められている場合、トランク内の人体検知に応じてトランクのラッチ状態を解除するので、トランク内に閉じ込められた人を救出することができ、またトランク内に閉じ込められた人が脱出することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に開示された技術においては、例えばトランク内に閉じ込められている人が手を縛られた状態など身動きが取れない状況にある場合、たとえトランクのラッチ状態が解除された状態であっても、自力でトランクリッドを開けるためのレバーを操作することが難しく、トランクリッドを開けて脱出することができない場合がある。そもそも、トランク内に人が閉じ込められていることを、特殊な事情(例えば、トランク内に閉じ込められた人が発声により助けを求めること)が無い限り、該トランクを備える車両の周囲にいる人は認識できないと言える。従って、折角トランクのラッチ状態が解除されてトランク内に閉じ込められた人が脱出または救出される状況ができあがっても、閉じ込められた人が自力で脱出したり、車両の近くにいる人から救出されない状況が場合によっては生じてしまう。
【0007】
これに対して、特許文献1、2においては、トランク内に人が閉じ込められていることを検知した場合、様々な方法で車外警告を行い、その車両の外部にトランク内に人が閉じ込められていることを注意喚起している。しかしながら、車両の近くにいる人にとっては、上記車外警告が、トランク内に人が閉じ込められていることを通知するものなのか否かを判別することが難しいと言える。例えば、車外警告が警笛やハザード点滅である場合は、これらが、警笛やハザード点滅の通常使用によるものであると車両の周囲にいる人が認識することが多いであろう。すなわち、問題となる車両のすぐ近くにいる人が、上記車外警告がトランク内に人が閉じ込められていることを示すものなのか否かを判別することができないこともある。
【0008】
また、仮に、問題となる車両の近くにいる人が上記車外警告をトランク内に人が閉じ込められていることを通知するものと感じても、果たして本当にトランク内に人が閉じ込められているのか否かを判別することは難しい。従って、車両の近くにいる人は、上記車外警告が何かしらの誤作動によるものなのかを判別できないので、他人の車両のトランクを開けて行う救出作業を躊躇うかもしれない。
【0009】
さらには、例えば、上記車外警告が、携帯電話やメーデーシステムへの通知である場合であっても、上記車外警告が発せられた発信場所から車両が移動している場合は、上記通知を受けた者が上記発信場所に駆けつけた時には問題となる車両はそこにおらず、トランク内に閉じ込められた人を救出することができない。また、上記通知を受けた者は、車外警告が発生された時には上記発信場所とは別の場所にいることが想定される。よって、上記通知を受けた者が問題となる車両を追跡できたとしても、該問題となる車両に辿り着くまでに相当の時間を要してしまう。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、荷室ドアを有する車両の荷室に人が閉じ込められた場合、該荷室内に人が閉じ込められていることを該車両の近くにいる人に容易に認識させることができる車両用荷室ドア制御装置、および荷室ドア駆動装置を制御する制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、車両用荷室ドア制御装置であって、車両の荷室ドアを自動で開閉する荷室ドア駆動部と、前記荷室ドア駆動部の駆動を制御する制御部と、前記車両の荷室内に存在する人体を検知する人体検知部と、前記荷室ドア駆動部により前記荷室ドアを自動で閉じることを指示する第1の信号を前記制御部に出力する第1の出力部と、前記荷室ドアが手動で閉じられたことを示す第2の信号を前記制御部に出力する第2の出力部とを備え、前記制御部は、前記第1の信号を取得した場合において、前記人体検知部により前記荷室内にて人体が検知された場合は、前記荷室ドアが開かれた状態を維持するように前記荷室ドア駆動部を制御し、前記人体検知部により前記荷室内にて人体が検知されない場合は、前記荷室ドアが閉じられるように前記荷室ドア駆動部を制御し、前記第2の信号を取得した場合において、前記人体検知部により前記荷室内にて人体が検知された場合は、一旦閉じられた荷室ドアを開くように前記荷室ドア駆動部を制御することを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様は、車両の荷室内に存在する人体を検知する人体検知部を備える該車両の荷室ドアを自動で開閉する荷室ドア駆動装置を制御する制御装置であって、前記人体検知部にて検知された前記荷室内に人体が存在することを示す人体検知信号を取得する手段と、前記荷室ドア駆動装置により前記荷室ドアを自動で閉じることを指示する第1の信号を取得する手段と、前記荷室ドアが手動で閉じられたことを示す第2の信号を取得する手段とを備え、前記第1の信号を取得した場合において、前記人体検知信号により前記荷室内にて人体が検知されたと判断する場合は、前記荷室ドアが開かれた状態を維持するように前記荷室ドア駆動装置を制御し、前記人体検知信号により前記荷室内にて人体が検知されないと判断する場合は、前記荷室ドアが閉じられるように前記荷室ドア駆動装置を制御し、前記第2の信号を取得した場合において、前記人体検知信号により前記荷室内にて人体が検知されたと判断する場合は、一旦閉じられた荷室ドアを開くように前記荷室ドア駆動装置を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、荷室ドアを有する車両の荷室に人が閉じ込められた場合、該荷室内に人が閉じ込められていることを該車両の近くにいる人に容易に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る車両のトランクリッドが閉じられた状態を示す図であり、(b)は、(a)に示す車両のトランクリッドが開けられた状態を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る車両用荷室ドア制御装置の概略構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係る車両の側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る車両用荷室ドアの自動の閉要求があったときの処理手順を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係る車両用荷室ドアが手動で閉められたときの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。なお、以下で説明する図面で、同機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略することもある。
【0016】
(第1の実施形態)
本実施形態では、荷室として閉鎖型のトランクを備える車両における車両用荷室ドア制御装置について説明する。
図1(a)は、本実施形態に係るトランク101と、荷室ドアとしてのトランクリッド102とを備える車両100における、トランクリッド102がトランク101を閉じている閉鎖状態を示す図であり、図1(b)は、車両100における、トランクリッド102が全開位置にある全開状態を示す図である。本実施形態では、トランク101は閉鎖型であるので、トランクリッド102によりトランク101が閉鎖状態となると該トランク内101は密室となる。よって、トランク101内に人が閉じ込められ、トランクリッド102が閉じられると、車両100の周囲にいる人からはトランク101内を直接見ることができず、トランク101内に人が閉じ込められているか否かを見た目では判別することができない。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態に係る車両用荷室ドア制御装置200の概略構成図である。
図2において、車両用荷室ドア制御装置200は、制御装置201と、開閉指令出力部202と、入力操作部203と、人体検知センサ204と、クローザ信号出力部205と、トランクリッドクローザ装置206と、パワートランクリッド(PTL)207と、警報装置208とを備えている。
【0018】
開閉指令出力部202は、ユーザ(例えば、運転者)が入力操作部203を操作してトランクリッド102を自動で開閉する指示を入力すると、トランクリッド102の開閉指令を制御装置201に送信する。よって、ユーザが入力操作部203を介してトランクリッド102を自動で閉じる(閉鎖状態にする)指示を入力すると、開閉指令出力部202は、トランクリッド102を自動で閉じることを指示する信号(「自動閉信号」とも呼ぶ)を制御装置201に送信する。入力操作部203は、ユーザ(例えば運転者)からの、トランク開閉に関する指示を入力するための部材である。本実施形態では、入力操作部203は、運転席近傍に設けられたスイッチである。
なお、無線通信等の通信機能を有する、携帯キー、スマートフォン、タブレット等、車両100とは別個の装置から、トランクリッド102の開閉を自動で行う指示を行う場合は、該別個の装置からの開閉指令に関する無線信号を受信する受信装置を車両100に設け、該受信装置にて開閉指令に関する無線信号を受信すると、開閉指令出力部202が開閉指令を制御装置201に送信するようにすれば良い。よって、例えば、携帯キーによりユーザがトランクリッド102を自動で閉じる指示を入力すると、上記受信装置にて受信した無線信号に応じて、開閉指令出力部202は、自動閉信号を制御装置210に送信する。
【0019】
人体検知センサ204は、図3に示されるように、トランク101内に設けられており、該トランク101内に人体が存在しているか否かを検出する。トランク101内において人体を検知すると、人体検知センサ204は、トランク101内にて人体を検知したことを示す信号(「人体検知信号」とも呼ぶ)を制御装置201に送信する。人体検知センサ204としては、例えば、赤外線センサ、焦電センサ、メンブレンスイッチ等の接触センサ、人の呼吸による酸素濃度により人体を検知するように構成された酸素センサ等、トランクリッド102が閉じて閉鎖状態となったトランク101内において、人体の存在を検知できるものであればいずれを用いても良い。
【0020】
クローザ信号出力部205は、ユーザがトランクリッドクローザ装置206を手動で操作してトランクリッド102を施錠した場合、トランク101がラッチ状態となったことを示す信号(「クローザ信号」とも呼ぶ)を制御装置201に送信する。
【0021】
トランクリッドクローザ装置206は、トランクリッド102に設けられ、該トランクリッド102を施錠または解錠する機構であり、ユーザによる手動で施錠・解錠するためのキーの挿入口を有する。トランクリッドクローザ装置206は、ユーザが手動により上記挿入口にキーを差し込んで所定の方向に廻すことでトランクリッド102の施錠・解錠を行うことができ、また開閉指令出力部202からの開閉指令(自動閉信号を含む)が出力されている場合は自動でトランクリッド102の施錠・解錠を行うことができる。
【0022】
パワートランクリッド207は、制御装置201から送信された、トランクリッド102の開閉を指示するコマンド(「開閉指示コマンド」とも呼ぶ)により、トランクリッド102の自動開閉動作を行う駆動部を駆動して、トランクリッド102の開閉を自動で行う。トランクリッド102が開いている状態(例えば、トランクリッド102が全開位置にある場合)で、開閉指令出力部202が自動閉信号を出力した場合は、制御装置201は、パワートランクリッド207に対してトランクリッド102を閉鎖させる閉指示コマンドを送信する。パワートランクリッド207は、閉指示コマンドに従って開いている状態のトランクリッド102をトランク101が閉鎖状態(密閉状態)となる位置(全閉位置)まで移動させてトランクリッド102によりトランク101を全閉する(図1(a)の状態)。このとき、制御装置201は、トランクリッドクローザ装置206に対して、パワートランクリッド207によりトランクリッド102が全閉位置に移動したら施錠することを示す施錠コマンドをトランクリッドクローザ装置206に対して送信する。よって、トランクリッドクローザ装置206は、トランク101が閉鎖状態となったら自動でトランクリッド102を施錠する。
【0023】
また、トランクリッド102が閉じている状態(トランクリッド102が全閉位置にある場合)で、開閉指令出力部202がトランクリッド102を自動で開くことを示す信号を出力した場合は、制御装置201は、パワートランクリッド207に対してトランクリッド102を開く開指示コマンドを送信する。また、制御装置201は、トランクリッドクローザ装置206に対してトランクリッド102を解錠することを示す解錠コマンドを送信する。よって、該解錠コマンドに従ってトランクリッドクローザ装置206はトランクリッド102を解錠し、パワートランクリッド207は、開指示コマンドに従って閉じている状態のトランクリッド102をトランク101が全開状態となる全開位置まで移動させてトランク101を全開状態にする(図1(b)の状態)。
【0024】
さらに、本実施形態では、後述するように、制御装置201がクローザ信号と人体検知信号を取得した場合(手動でトランクリッド102が閉められ、かつトランク101内に人が閉じ込められている場合)は、制御装置201は、パワートランクリッドに開指示コマンドを送信し、トランクリッドクローザ装置206に解錠コマンドを送信する。よって、この場合は、トランクリッドクローザ装置206は、制御装置201から取得した解錠コマンドに従ってトランクリッド102を解錠し、その後にパワートランクリッド207は、制御装置201から取得した開指示コマンドに従って、所定の位置までトランクリッド102が開くようにトランクリッド102を移動させて、トランク101を開状態とする。なお、この所定の位置は全開位置であることが好ましい。本実施形態では、上記所定の位置を全開位置とする(図1(b)の状態)。
【0025】
警報装置208は、車両100の外部に対して所定の警報を行う。該所定の警報としては、クラクション、所定の音声といった音による通知、ヘッドランプを点灯(点滅)させるといった光による通知、携帯電話などへの通知、あるいは、基地局との通信によって異常事態を報知し応援を呼ぶメーデーシステムへの通知など、トランク101内に人が閉じ込められていることを車両外部に通知できるものであればいずれを用いても良い。なお、後述するように、本実施形態では、トランク101内に人が閉じ込められている場合は、結果的にトランクリッド102が開けられた状態となるので、警報装置208は、少なくとも車両100の周囲に対して所定の警報(音による通知や光による通知など)を報知することが好ましい。
【0026】
制御装置201は、車両用荷室ドア制御装置200全体を制御する制御手段としての制御部である。また、制御装置201は、車両100の他の構成も制御することができる。この制御装置201は、種々の演算、制御、判別などの処理動作を実行するCPU209、およびこのCPU209によって実行される様々な制御プログラム(例えば、図4、5に示すプログラム)などを格納するROM210を有する。また、制御装置201は、CPU209の処理動作中のデータや入力データなどを一時的に格納するRAM211、およびフラッシュメモリやSRAM等の不揮発性メモリ212などを有する。制御装置201には、開閉指令出力部202と、人体検知センサ204と、クローザ信号出力部205と、パワートランクリッド207と、警報装置208とが電気的に接続されている。また、図2には示されていないが、制御装置201は、トランクリッドクローザ装置206とも電気的に接続されている。
【0027】
図4は、本実施形態に係るトランクリッド102の自動の閉要求があったときの処理手順を示すフローチャートである。
ユーザが入力操作部203を介してトランクリッド102を自動で閉じる指示を入力すると、開閉指令出力部202は、自動閉信号を制御装置201に送信する。制御装置201は、自動閉信号を受信すると、図4に示すプログラムに従って自動の閉要求があったときの処理を実行する。
【0028】
ステップS41では、制御装置201は、トランク101内に人が存在しているか否かを判断する。制御装置201は、人体検知センサ204に人体検知動作のコマンドを送信し、人体検知センサ204に人体検知させる。人体検知センサ204から人体検知信号を受信した場合、制御装置201は、トランク101内に人が存在すると判断し、ステップS42に進む。一方、人体検知センサ204から人体検知信号を受信しない場合、制御装置201は、トランク101内に人が存在しないと判断し、ステップS44に進む。
【0029】
ステップS42では、制御装置201は、開閉指令出力部202から自動閉信号を受信しているにも関わらず、トランクリッド102を全閉位置まで位置させる動作をキャンセルする。すなわち、制御装置201は、パワートランクリッド207に、閉指示コマンドを送信せず、該パワートランクリッド207を作動させない。よって、入力操作部203を操作した人物はパワートランクリッド動作によりトランク101の閉鎖を望んでいるが、制御装置201は、トランクリッド102を閉めない制御を行うので、トランクリッド102は現在の位置(例えば、全開位置)を維持する。
【0030】
ステップS43では、制御装置201は、警報装置208を動作させ、車両100の外部にトランク101内に人が閉じ込められている旨の通知を行う。
【0031】
ステップS44では、制御装置201は、パワートランクリッド207に対して閉指示コマンドを送信し、かつトランクリッドクローザ装置206に施錠コマンドを送信して、パワートランクリッド207によりトランクリッド102を全閉位置まで移動させ、トランクリッドクローザ装置206によりトランク101をラッチ状態にさせる。
【0032】
このように、本実施形態では、パワートランクリッド207を用いて自動でトランクリッド102を閉める要求があっても、トランク101内に人が閉じ込められている場合は、パワートランクリッド207を作動をさせず、トランク101を閉じさせない。従って、トランク101はトランクリッド102によって閉じられず、車両100の周囲にいる人(車両100を目視できる人)がトランク101の中を見ることができる。すなわち、車両100のすぐ近くにいる人に対して、トランク101内に人が閉じ込められていることを見た目で判断させることができる。よって、トランク101内に人が閉じ込められていることを車両100の周囲にいる人(特に、近くにいる人)に容易に認識させることができ、トランク101内に閉じ込められている人が身動きできない状況(例えば、手足が縛られている状況)であっても、他の人に救出される確率を高めることができる。
【0033】
また、本実施形態では、トランク101内に人体を検知した場合、トランク101を開状態として警報通知を行っているので、車両100の周囲にいて警報を聞いた人に対して、該警報がトランク内に人が閉じ込められている旨であることを正確に伝えることができる。従来では、上述のように、ある車両から警報が発せられても、周囲にいる人にとってはその警報がトランク101内に人が閉じ込められていることを示すものか否かを判別することができないこともあり、折角警報を発しても、それを検知した周囲の人に、その真意、つまりトランク101内に人が閉じ込められているので助けが必要ということが正確に伝わらないこともある。しかしながら、本実施形態では、警報により周囲の人の注目を集め、かつ警報が発せられている車両を注目している人がトランク101の中を容易に確認することができるので、車両100を目視できる位置にいる周囲の人にトランク101内に人が閉じ込められていることをより正確に知らせることができる。すなわち、警報だけではその真意を周囲の人に伝えられなくても、その警報により車両100を見た周囲の人は、トランク101内を見ることができるので、トランク101内に人が閉じ込められていることを認識することができる。よって、トランク101内に人が閉じ込められている旨を示す警報の効力をより発揮させることができる。
【0034】
なお、周囲の人への注意喚起という観点からすると、トランク101内がより露呈していることが好ましい。よって、ステップS42にて、制御装置201は、PTL作動装置への閉指示コマンドの送信を取りやめる代わりに、トランクリッド102を全開位置に移動させるコマンドを送信するようにしても良い。これにより、パワートランクリッド207は、トランクリッド102を全開にさせる動作を行う(図1(b)の状態)。よって、ユーザから自動の閉要求を受けた時に、トランクリッド102が全開位置に位置していなくても、トランク101内に人が閉じ込められている場合は、トランクリッド102を全開にすることができ、周囲の人に対して、トランク101内をよりはっきりと確認させることができる。
【0035】
図5は、本実施形態に係るトランクリッド102が手動で閉じられたときの処理手順を示すフローチャートである。
ユーザがトランクリッドクローザ装置206を介してトランクリッド102を手動で施錠すると、クローザ信号出力部205は、クローザ信号を制御装置201に送信する。制御装置201は、クローザ信号を受信すると、図5に示すプログラムに従って手動で閉じられたときの処理手順を実行する。
【0036】
ステップS51では、制御装置201は、トランク101内に人が存在しているか否かを判断する。制御装置201は、人体検知センサ204に人体検知動作のコマンドを送信し、人体検知センサ204に人体検知させる。人体検知センサ204から人体検知信号を受信した場合、制御装置201は、トランク101内に人が存在すると判断し、ステップS52に進む。一方、人体検知センサ204から人体検知信号を受信しない場合、制御装置201は、トランク101内に人が存在しないと判断し、処理を終了する。
【0037】
ステップS52では、制御装置201は、パワートランクリッド207に対して開指示コマンドを送信し、かつトランクリッドクローザ装置206に対して解錠コマンドを送信して、トランクリッドクローザ装置206によりトランクリッド102を解錠させ、パワートランクリッド207によりトランクリッド102を全開位置まで移動させて、トランク101を全開状態にさせる。
【0038】
ステップS53では、制御装置201は、警報装置208を動作させ、車両100の外部にトランク101内に人が閉じ込められている旨の通知を行う。
【0039】
このように、トランクリッド102を手動で閉められた場合において、一旦トランクリッド102が閉められラッチ状態となっても、トランク101内に人が閉じ込められている場合は、トランクリッド102を手動で閉めた人物の意図に反してパワートランクリッドを作動させて、トランクリッド102を全開位置に移動させ、トランクを全開状態としている。車両100の周囲にいる人がトランク101の中を見ることができるので、上述した自動で閉要求があった場合と同じ効果を得ることができる。
【0040】
なお、本実施形態で重要なことは、トランクリッド102を手動で閉められた場合においてトランクリッド102を全開させることではなく、この状況において、車両100の周囲にいる人に、トランク101内を見せるようにすることである。従って、ステップS52においては、トランクリッド102を全開位置と全閉位置との間の所定の位置まで移動させ、トランクを開状態とするようにしても良い。すなわち、トランクリッド102が少しでも開いた状態(すなわち、トランク101の開状態)を確立できれば、車両100の周囲の人がトランク101内を確認することができるのである。
【0041】
上述に示すように、本実施形態によれば、トランク101内に人が存在していると、自動でトランクリッド102を閉じられない、または手動で閉じてもトランクが開放されてしまうので、車両100の周囲の人が、トランク101内に閉じ込められた人を見た目で確認することができ、該閉じ込められた人を救出することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、車両の荷室が閉鎖型のトランクである場合について説明したが、開放型のトランクであっても良い。この場合は、荷室ドアがパワーバックドア等となる。このような開放型のトランクであれば、荷室と座席室とが一体化されているので、荷室が密室状態とは言えないが、例えば荷室に閉じ込められている人の手足が縛られている場合は、該人にとっては身動きが取れないので実質的には密室状態と言えるかもしれない。しかしながら、本発明を適用すれば、荷室に閉じ込められている場合はバックドアが開いたり、閉じれなかったりするので、車両の周囲にいる人に対してその存在を見た目で知らせることができる。また、パワーバックドアに窓が設けられている場合においては、その窓から周囲にいる人が荷室内を見ることができるが、該窓にスモークがかけられている場合は、周囲にいる人は窓から荷室内を確認することが困難である場合もある。しかしながら、本実施形態によれば、そのような場合でも、荷室内に人体を検知するとパワーバックドアが結果として開けられた状態となるので、車両の周囲にいる人に対してその存在を見た目で知らせることができる。
【0043】
(第3の実施形態)
上述の実施形態では、トランクリッド102が手動で閉じられたときに、ユーザがトランクリッドクローザ装置206を手動で操作して施錠した場合(手動でラッチ状態にした場合)、ステップS51〜S53を行っている。これに対して、本実施形態では、ユーザの手動によりトランクリッド102が閉められた時点(トランクリッド102が閉位置に位置した時点)で、制御装置201がステップS51〜S53を実行する。
【0044】
本実施形態では、図5に示す処理を実行するトリガとしては、制御装置201が、トランクリッド102が全閉位置に位置したことを示す信号(「トランクリッド閉位置信号」とも呼ぶ)を受信することとなる。よって、本実施形態では、クローザ信号出力部205の代わりに、トランクリッド102が全閉位置に位置したことを検知すると(トランクリッド102が閉じられたことを検知すると)トランクリッド閉位置信号を出力するトランクリッド閉位置信号出力部を用いれば良い。この場合は、ユーザがトランクリッド102を手動で閉めると、トランクリッド閉位置信号出力部は、トランクリッド閉位置信号を制御装置201に送信する。制御装置201は、トランクリッド閉位置信号を受信すると、上述したステップS51〜S53の処理を実行する。
【0045】
トランク101内に人を閉じ込めた人物は、トランクリッド102を施錠しない場合も考えられる。これに対して、本実施形態によれば、施錠をするか否かによらずトランクリッド102が閉じられたことをトリガとして、ステップS51〜S53を行っている。従って、トランク101内に人が閉じ込められ、手動によりトランクリッド102が閉められたが、トランクリッド102は施錠されない場合であっても、一旦閉じられたトランクリッド102を開位置(好ましくは、全開位置)まで移動させて、トランク101内を露呈させることができる。
【0046】
さて、本発明では、トランク101内に人が閉じ込められている状況において、パワートランクリッドを用いて自動でトランクリッド102を閉める要求があった場合はトランクリッド102を開いた状態を維持し(トランクリッド102を全閉状態とするパワートランクリッドの動作を行わせない)、かつ手動によりトランクリッド102が閉じられた場合は一旦閉じられたトランクリッド102を自動で開くようにパワートランクリッドを作動させることが重要である。後者を考慮すると、本発明では、トランクリッド102が閉じられた時に生成される、該トランクリッド102が手動で閉じられたことを示す信号を制御装置201が取得できれば、ステップS51〜S53を開始することができる。このトランクリッド102が手動で閉じられたことを示す信号は、上記クローザ信号、およびトランクリッド閉位置信号を含む。特に、クローザ信号については、以下の理由によりトランクリッド102が閉じられたことを示す信号に含まれる。クローザ信号は、トランク101がラッチ状態となったこと、すなわちトランクリッド102が施錠されたことを示す信号であるので、該クローザ信号が生成される状況としては、トランクリッド102は必ず手動で閉じられている。従って、クローザ信号は、トランクリッド102がラッチ状態であることを示すと共に、トランクリッド102が手動で閉じられていることも示すと言えるのである。
【0047】
(その他の実施形態)
前述した実施形態の機能を実現するように前述した実施形態の構成を動作させるプログラム(例えば、図4、5に示す処理を行うプログラム)を記憶媒体に記憶させ、該記憶媒体に記憶されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も上述の実施形態の範疇に含まれる。即ちコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も実施例の範囲に含まれる。また、前述のコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体はもちろんそのコンピュータプログラム自体も上述の実施形態に含まれる。
かかる記憶媒体としてはたとえばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD―ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。
また前述の記憶媒体に記憶されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウエア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作し前述の実施形態の動作を実行するものも前述した実施形態の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
100 車両
101 トランク
102 トランクリッド(荷室ドア)
201 制御装置
202 開閉指令出力部(第1の出力部)
204 人体検知センサ
205 クローザ信号出力部(第2の出力部)
207 パワートランクリッド(荷室ドア駆動部)
図1
図2
図3
図4
図5