特許第5939467号(P5939467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939467
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】車両の蓄圧システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/12 20060101AFI20160609BHJP
   B60T 17/00 20060101ALI20160609BHJP
   B60T 17/02 20060101ALI20160609BHJP
   F02D 29/06 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   B60K6/12
   B60T17/00 C
   B60T17/02
   F02D29/06 E
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-196422(P2012-196422)
(22)【出願日】2012年9月6日
(65)【公開番号】特開2014-51171(P2014-51171A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】303002158
【氏名又は名称】三菱ふそうトラック・バス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】前川 正宏
(72)【発明者】
【氏名】矢口 健司
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−207719(JP,A)
【文献】 特開2008−067504(JP,A)
【文献】 特開平05−139151(JP,A)
【文献】 特開平07−143609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00− 6/12
B60K 7/00− 8/00
B60T 15/00−17/22
F02D 29/00−29/06
H02J 7/14− 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンによって駆動されるオルタネータと、当該オルタネータによって発電された電力を蓄えるバッテリと、前記オルタネータ又は前記バッテリから供給される電力で作動するポンプと、当該ポンプにより加圧又は減圧された流体を貯留可能な蓄圧機と、前記オルタネータ及び前記ポンプの作動状態を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記車両の減速時に前記オルタネータを作動させて前記オルタネータによって発電された電力で前記ポンプを作動させ、
前記車両の加速時に、前記バッテリから供給される電力で前記ポンプを作動させて、前記ポンプによって加圧又は減圧された前記流体を前記蓄圧機に貯留するように制御し、
前記蓄圧機の圧力が圧力下限値以上、且つ、圧力上限値未満の範囲にある場合、前記ポンプによる減圧速度が、前記車両の加速時よりも前記車両の減速時において速くなるように前記ポンプを制御することを特徴とする車両の蓄圧システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記車両の加速時において、
前記バッテリの充電率が充電率上限値以上の場合、前記オルタネータの作動を停止し、
前記充電率が前記充電率上限値未満の場合、前記オルタネータを作動させるとともに、前記オルタネータによって発電された電力を前記バッテリに供給して前記バッテリを充電するように制御すること特徴とする請求項1に記載の車両の蓄圧システム。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記充電率が前記充電率下限値未満の場合に、前記充電率上限値未満で且つ充電率下限値以上の場合よりも、前記オルタネータによる発電量を増加させるように前記オルタネータの作動状態を制御することを特徴とする請求項2に記載の車両の蓄圧システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記バッテリから供給される電力量を制御する電力制御部を有しており、
前記電力制御部は、
前記充電率が前記充電率下限値未満の場合に、前記充電率上限値未満で且つ充電率下限値以上の場合よりも、前記バッテリから前記ポンプへ供給する電力量を減少させるように前記バッテリを制御することを特徴とする請求項に記載の車両の蓄圧システム。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記エンジンの減速トルク又は前記車両の減速度に対する前記オルタネータの発電トルクの割合を所定割合以下となるように前記オルタネータの作動状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両の蓄圧システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記蓄圧機の圧力を所定の範囲内に制御する圧力制御部を有することを特徴とする請求項1〜5のうち何れか一項に記載の車両の蓄圧システム。
【請求項7】
前記圧力制御部は、
前記ポンプにより減圧された流体が前記蓄圧機に貯留される場合に、
前記蓄圧機の圧力が、圧力下限値未満のときに前記ポンプを停止し、前記圧力下限値以上のときに前記ポンプを作動させるように制御することを特徴とする請求項6に記載の車両の蓄圧システム。
【請求項8】
前記圧力制御部は、
前記ポンプにより加圧された流体が前記蓄圧機に貯留される場合に、
前記蓄圧機の圧力が、圧力上限値以上のときに前記ポンプを停止し、前記圧力上限値未満のときに前記ポンプを作動させるように制御することを特徴とする請求項6に記載の車両の蓄圧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプにより加圧又は減圧された流体を貯留可能な蓄圧機を備えた車両の蓄圧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の減速時にオルタネータの発電トルクを上げて発電量を増加させるとともに、オルタネータによって発電された電力をバッテリに充電し、当該バッテリから空調装置、電灯、センサ等の補機に電力を供給する方法が用いられている。
例えば、特許文献1では、車両の減速時にオルタネータによる発電量を増加させて、発電された電力をバッテリに充電するとともに、発電した電力の一部を空調用のコンプレッサに供給し、当該コンプレッサの回転数を増加させて空調機の冷房又は暖房能力を向上させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−240547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したオルタネータにより発電された電力をバッテリに充電し、バッテリから電力を補機に供給する方法では、バッテリの劣化等によって、充電された電力量に対する放電可能な電力量の割合である充放電効率が低く(例えば、60%)なる場合がある。したがって、バッテリを介することにより、補機等へ供給可能な電力量が大幅に低下してしまうという問題点があった。
また、特許文献1に記載のオルタネータにより発電された電力の一部をコンプレッサに供給する方法では、オルタネータの発電量を増加させるとコンプレッサへ供給される電力量が増加し、当該増加した発電量に応じてコンプレッサの回転数が増加するため、冷房又は暖房能力が急激に高くなり、減速前と減速後との温度差が大きくなってしまう。したがって、温度制御性に悪影響を及ぼして、車室内の乗員に不快感を与えてしまう。
【0005】
そこで、本発明は上述した問題点に鑑みなされたものであり、車両の減速時にオルタネータによって発電された電力を直接、ポンプに供給して当該ポンプを作動させることで供給電力のロスを低減し、且つ、ポンプにより加圧又は減圧された流体を必要時に補機等へ供給可能な車両の蓄圧システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両の蓄圧システムは、上記課題を解決するために、車両のエンジンによって駆動されるオルタネータと、当該オルタネータによって発電された電力を蓄えるバッテリと、前記オルタネータ又は前記バッテリから供給される電力で作動するポンプと、当該ポンプにより加圧又は減圧された流体を貯留可能な蓄圧機と、前記オルタネータ及び前記ポンプの作動状態を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記車両の減速時に前記オルタネータを作動させて前記オルタネータによって発電された電力で前記ポンプを作動させ、
前記車両の加速時に、前記バッテリから供給される電力で前記ポンプを作動させて、前記ポンプによって加圧又は減圧された前記流体を前記蓄圧機に貯留するように制御し、
前記蓄圧機の圧力が圧力下限値以上、且つ、圧力上限値未満の範囲にある場合、前記ポンプによる減圧速度が、前記車両の加速時よりも前記車両の減速時において速くなるように前記ポンプを制御することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、車両の減速時に、オルタネータによって発電された電力をポンプに直接、供給するため、発電した電力のほとんどをポンプの作動に用いることができる。従来のオルタネータによって発電された電力をバッテリに蓄えて、このバッテリに蓄えられた電力によってポンプを作動させる方法では、バッテリの充放電性能の影響によってオルタネータによって発電された電力の、例えば6割程度しかポンプに供給できなかったが、本発明によれば、発電された電力のほとんどをポンプに供給することができる。これにより、回生エネルギーの回生率を向上させることができる。
また、加圧又は減圧された流体を蓄圧機に貯留することで、車両の走行状態にかかわらず、ブレーキブースタや可変容量ターボチャージャ等に加圧又は減圧された流体を必要に応じて適宜供給することができる。
そして、車両の加速時に、バッテリからポンプへ電力を供給するため、加速時にオルタネータを作動させる必要が無い。これにより、加速時にオルタネータを作動させて電力を発生させる場合と比べて、エンジンの負荷を低減することができる。したがって、燃費を向上させることができる。
【0008】
前記制御手段は、前記車両の加速時において、
前記バッテリの充電率が充電率上限値以上の場合、前記オルタネータの作動を停止し、
前記充電率が前記充電率上限値未満の場合、前記オルタネータを作動させるとともに、前記オルタネータによって発電された電力を前記バッテリに供給して前記バッテリを充電するように制御してもよい。
【0009】
このように、車両の加速時においては、バッテリの充電率に応じてオルタネータの作動を制御するため、オルタネータを常時作動している場合と比べて、エンジンの負担を減少させることができる。これにより、燃費を更に向上させることができる。
【0010】
前記制御手段は、
前記充電率が前記充電率下限値未満の場合に、前記充電率上限値未満で且つ充電率下限値以上の場合よりも、前記オルタネータによる発電量を増加させるように前記オルタネータの作動状態を制御してもよい。
【0011】
このように、バッテリの充電率が充電率下限値未満の場合に、充電率上限値未満で且つ充電率下限値以上の場合よりも、オルタネータによる発電量を増加させることで、バッテリを短時間で充電することができる。
【0012】
前記制御手段は、前記バッテリから供給される電力量を制御する電力制御部を有しており、
前記電力制御部は、
前記充電率が前記充電率下限値未満の場合に、前記充電率上限値未満で且つ充電率下限値以上の場合よりも、前記バッテリから前記ポンプへ供給する電力量を減少させるように前記バッテリを制御してもよい。
【0013】
このように、充電率が充電率下限値未満の場合に、充電率上限値未満で且つ充電率下限値以上の場合よりも、バッテリからポンプへの電力量を減少させることで、バッテリが充電切れとなることを防止できる。
【0014】
前記制御手段は、
前記エンジンの減速トルク又は前記車両の減速度に対する前記オルタネータの発電トルクの割合を所定割合以下となるように前記オルタネータの作動状態を制御してもよい。
【0015】
緩やかな下り坂ではエンジンの減速トルクが小さいため、オルタネータの発電トルクが大きいと、エンジンの負荷が増大するため、走行時にショックを感じるおそれがある。しかし、本発明では、エンジンの減速トルク又は車両の減速度に対するオルタネータの発電トルクの割合を所定割合以下に制御するため、走行時にショックが発生することを防止できる。
【0016】
前記制御手段は、前記蓄圧機の圧力を所定の範囲内に制御する圧力制御部を有してもよい。
【0017】
このように、蓄圧機の圧力を所定の範囲内に制御するため、蓄圧機に接続されたブレーキブースタや可変容量ターボチャージャ等の補機に加圧又は減圧された流体を必要なときに適宜供給することができる。
【0018】
前記圧力制御部は、
前記ポンプにより減圧された流体が前記蓄圧機に貯留される場合に、
前記蓄圧機の圧力が、圧力下限値未満のときに前記ポンプを停止し、前記圧力下限値以上のときに前記ポンプを作動させるように制御してもよい。
【0019】
このように、蓄圧機内が負圧状態の場合、圧力が圧力下限値未満のときにポンプを停止することで、電力の消費を低減することができる。
【0020】
前記圧力制御部は、
前記ポンプにより加圧された流体が前記蓄圧機に貯留される場合に、
前記蓄圧機の圧力が、圧力上限値以上のときに前記ポンプを停止し、前記圧力上限値未満のときに前記ポンプを作動させるように制御してもよい。
【0021】
このように、蓄圧機が正圧状態の場合、圧力が圧力上限値以上のときにポンプを停止することで、電力の消費を低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車両の減速時にオルタネータによって発電された電力を直接、ポンプに供給して当該ポンプを作動させることで供給電力のロスを低減し、且つ、ポンプにより加圧又は減圧された流体を必要時に補機等へ適宜供給可能な車両の蓄圧システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第一実施形態に係る車両の蓄圧システムの構成図である。
図2】車速の経時変化図と、バキュームタンク内の圧力の経時変化図とを対応させてバキュームタンク内の圧力と車両の走行状態との関係を示す模式図である。
図3】加速時及び減速時におけるバキュームタンク内の圧力の経時変化を示す模式図である。
図4】本実施形態に係るオルタネータの作動制御フローを示す図である。
図5】本実施形態に係るバキュームポンプの作動制御フローを示す図である。
図6】本発明の第二実施形態に係る車両の蓄圧システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0025】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る車両の蓄圧システムの構成図である。
図1に示すように、車両は、蓄圧システム1と、エンジン2と、ブレーキブースタ6と、エンジン2等を制御するエンジンECU9とを備えている。
【0026】
エンジン2には、減速時の減速トルクを検出するためのトルクメータ10が設けられている。トルクメータ10により計測されたトルクは、エンジンECU9に出力される。
【0027】
蓄圧システム1は、オルタネータ3と、バキュームポンプ4と、バキュームタンク5(蓄圧機に相当)と、バッテリ7と、オルタネータ3及びバキュームポンプ4等の作動状態を制御する制御手段8とを備えている。
【0028】
オルタネータ3は、エンジン2の出力軸にベルト(ファンベルト)11を介して連結されている。このオルタネータ3はエンジン2の出力の一部を用いて駆動されることにより発電を行う。オルタネータ3で発電された電力はバキュームポンプ4又はバッテリ7の何れか一方に供給される。具体的に、車両の減速時にはバキュームポンプ4に供給され、加速時にはバッテリ7に供給される。電力の供給先の切り替えは制御手段8により制御される。
【0029】
バキュームポンプ4は、オルタネータ3によって発電された電力又はバッテリ7から供給される電力によって作動する。バキュームポンプ4の作動によりバキュームタンク5内は減圧されて負圧状態となる。
【0030】
バキュームタンク5は、圧力を検出するための圧力センサ12を有している。圧力センサ12により検出された圧力は、制御手段8に出力される。
【0031】
運転手によってフットブレーキペダルが操作されると、バキュームタンク5からブレーキブースタ6に負圧が供給される。ブレーキブースタ6は、この負圧と大気圧との差を利用してブレーキペダルの踏力をアシストする。
【0032】
バッテリ7は、充電率(以下、SOCという)を検出するためのSOCセンサ13を有している。SOCセンサ13により検出されたSOCは、制御手段8に出力される。
【0033】
制御手段8は、バッテリ7からバキュームポンプ4へ供給される電力量を制御する電力制御部17を備えている。
電力制御部17は、SOCが充電率下限値未満の場合に、充電率上限値未満で且つ充電率下限値以上の場合よりも、バッテリ7からバキュームポンプ4へ供給する電力量を減少させる。
【0034】
そして、車両には、ドライバーの加速意思を検出するためのアクセル開度センサ(不図示)が、ドライバーにより踏み込まれるアクセルペダルに設けられている。アクセル開度センサにより計測されたアクセル開度は、エンジンECU9に出力される。
【0035】
また、ドライバーの減速意思を検出するためのブレーキスイッチが、フットブレーキペダルに設けられている。フットブレーキが作動しているか否かを示すフットブレーキ信号は、エンジンECU9に出力される。
【0036】
また、車両の勾配情報を検出するための勾配センサ(不図示)が車体に設けられている。車両の勾配角度に基づいて車両が上り坂又は下り坂を走行しているかを判定する。勾配センサにより計測された勾配情報は、エンジンECU9に出力される。
【0037】
さらに、車速を検出するための車速センサ(不図示)が設けられている。車速センサにより計測された車速情報はエンジンECU9に出力される。
【0038】
エンジンECU9は、アクセル開度、フットブレーキ信号、勾配情報、車速情報を取得して、車両が減速状態か加速状態かを判定する。続いて、車両が減速状態の場合には減速信号を生成し、加速状態の場合には加速信号を生成する。各信号は、エンジンECU9から制御手段8に出力される。
【0039】
<オルタネータ3の制御について>
制御手段8は、減速信号及び加速信号に基づいてオルタネータ3の作動状態を制御する。オルタネータ3の制御方法について以下で説明する。最初に、減速信号が入力した場合について説明し、次に、加速信号が入力した場合について説明する。
【0040】
まず、減速信号が制御手段8に入力された場合、制御手段8はオルタネータ3を駆動させるとともに、オルタネータ3による発電量を制御する制御信号をオルタネータ3へ出力する。
オルタネータ3には第1レギュレータ14が設けられており、制御手段8からの制御信号によって発電量を制御する。オルタネータ3は、制御信号に基づいて、当該オルタネータ3による発電電圧をデューティ制御することにより発電量を調整する。
【0041】
また、電力制御部17は、バッテリ7からバキュームポンプ4への電力の供給を停止する。これにより、バキュームポンプ4は、オルタネータ3によって発電された電力によって作動される。即ち、車両の減速時において、バキュームポンプ4の作動に必要な電力は全てオルタネータ3から供給される。
【0042】
オルタネータ3による発電が、バキュームポンプ4の作動に必要な電力量を超えている場合、オルタネータ3による発電量の一部はバッテリ7に充電される。
【0043】
次に、加速信号が制御手段8に入力された場合について説明する。
加速信号が制御手段8に入力された場合、制御手段8は、バッテリ7のSOCに基づいてオルタネータ3を制御する。
具体的に、バッテリ7のSOCが充電率上限値(例えば、80%)以上、即ちバッテリ7が十分に充電されている場合、制御手段8は、オルタネータ3を停止するとともに、バッテリ7からバキュームポンプ4へ電力を供給するように制御する。オルタネータ3の作動を停止することで、エンジン2への負荷を低下させる。
本明細書中において、オルタネータ3を停止するとは、作動しているオルタネータ3を停止する場合と、停止しているオルタネータ3の停止状態をそのまま維持する場合とを含むものとする。また、オルタネータ3を作動するとは、停止しているオルタネータ3を駆動する場合と、作動しているオルタネータ3の作動状態をそのまま維持する場合とを含むものとする。
【0044】
また、バッテリ7のSOCが充電率下限値(例えば、30%)未満、即ちバッテリ7が全く充電されていない場合、制御手段8は、オルタネータ3を作動し、バッテリ7へ電力を供給してバッテリ7を充電するように制御する。係る場合に、バッテリ7のSOCを速やかに充電率下限値以上とするために、オルタネータ3の発電トルクを平常時よりも上げて発電量を増加させて、オルタネータ3によって発電された電力を全てバッテリ7へ供給する。このとき、バッテリ7からバキュームポンプ4へ供給される電力量は、バキュームポンプ4を作動するために必要な最小限の電力量とする。
【0045】
そして、バッテリ7のSOCが充電率下限値以上、且つ充電率上限値未満である場合、制御手段8は、オルタネータ3を作動し、バッテリ7へ電力を供給してバッテリ7を充電するように制御する。係る場合に、オルタネータ3の発電トルクを(SOCが充電率下限値未満の場合におけるオルタネータ3の発電トルクよりも)下げた状態で発電量を低下させて、オルタネータ3によって発電された電力を全てバッテリ7に充電する。このとき、エンジン2への負荷が最小限となるようにオルタネータ3の発電トルクを制御する。
また、バッテリ7からバキュームポンプ4へ電力を供給する。このとき、バキュームポンプ4の吐出圧力に応じて電力を供給する(詳細は後述する)。
【0046】
また、制御手段8は、トルクメータ10により検出されたエンジン2の減速トルクに対するオルタネータ3の発電トルクの割合を所定割合以下となるように制御する。例えば、発電トルクが減速トルクの5分の1以下となるように制御する。係る場合に、第1レギュレータ14によってオルタネータ3の出力電圧を調整することで発電トルクを制御する。具体的には、第1レギュレータ14によってオルタネータ3の出力電圧を高くすると、バッテリ電圧との間に電位差が生じてオルタネータ3からの電流が増加する。これによって発電トルクを増加させることができる。一方、オルタネータ3の出力電圧を小さくするとオルタネータ3からの電流が減少する。これによって発電トルクを減少させることができる。
なお、本実施形態では、減速トルクに応じてオルタネータ3の発電トルクを制御する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車両の減速度に応じてオルタネータ3の発電トルクを制御してもよい。
【0047】
<バキュームポンプ4の制御について>
制御手段8によるバキュームポンプ4の制御方法について以下で説明する。
制御手段8は、バキュームポンプ4の圧力を所定の範囲内に制御する圧力制御部16を有している。
圧力制御部16は、バキュームタンク5に設けられた圧力センサ12により検出された圧力に基づいてバキュームポンプ4を駆動させるとともに、バキュームポンプ4の吐出出力を制御する制御信号をバキュームポンプ4へ出力する。
バキュームポンプ4には第2レギュレータ15が設けられており、圧力制御部16からの制御信号によってバキュームポンプ4の吐出圧力を調整する。
【0048】
図2は、車速の経時変化図と、バキュームタンク5内の圧力の経時変化図とを対応させてバキュームタンク5内の圧力と車両の走行状態との関係を示す模式図である。
図2に示すように、圧力制御部16は、圧力センサ12により検出された圧力に基づいて、バキュームタンク5内の圧力が圧力下限値(例えば、−10kPa)から圧力上限値(例えば、−7kPa)までの範囲内となるようにバキュームポンプ4を制御する。
例えば、車両が停止状態又は加速状態の場合には、バキュームポンプ4の作動を抑制したり、停止したりする。したがって、車両の停止時のブレーキや加速時の一時的なブレーキによって、バキュームタンク5内の圧力は徐々に高くなる。係る場合に、バキュームタンク5内の圧力が圧力上限値以上とならないように、バキュームポンプ4を制御する。
【0049】
一方、車両が減速状態の場合には、バキュームポンプ4の吐出出力を増加させて、バキュームタンク5内の圧力を低下させる。係る場合に、バキュームタンク5内の圧力が圧力下限値未満とならないように、バキュームポンプ4を制御する。
なお、バキュームタンク5内の圧力が圧力下限値未満、即ちバキュームタンク5内の負圧が十分である場合、車両の走行状態にかかわらず、圧力制御部16は、バキュームポンプ4への電力供給を停止し、バキュームポンプ4を停止する。
【0050】
また、バキュームタンク5内の圧力が圧力上限値以上、即ちバキュームタンク5内の負圧が不十分である場合、車両の走行状態にかかわらず、圧力制御部16は、バキュームポンプ4の吐出出力を増加させてバキュームタンク5内の圧力を圧力上限値未満に低下させる。
バキュームタンク5内の圧力が圧力上限値以上になると、ブレーキブースタ6に供給される負圧と大気圧との差が小さくなり、ペダルの踏力をアシストする効果が低減する。このため、バキュームポンプ4の吐出出力を増加させて、バキュームタンク5内の圧力を低下させる。
【0051】
そして、バキュームタンク5内の圧力が圧力下限値以上、且つ圧力上限値未満の場合、圧力制御部16は、車両の走行状態に応じてバキュームポンプ4を制御する。
具体的に、車両が減速状態の場合、圧力制御部16は、バキュームポンプ4を作動させてバキュームタンク5内の圧力を低下させる。このとき、バキュームポンプ4の吐出出力を増加させて、図3に示すように、バキュームタンク5内の圧力を短時間(例えば、4秒)で圧力下限値近傍まで低下させる。
また、車両が加速状態の場合、圧力制御部16は、バキュームポンプ4吐出出力を(車両が減速状態のときのバキュームポンプ4の吐出出力よりも)低下させた状態で、図3に示すように、バキュームタンク5内の圧力をゆっくりと(例えば、20秒)圧力下限値近傍まで低下させる。
【0052】
<オルタネータ3の制御フロー>
次に、制御手段8によるオルタネータ3の作動制御フローについて説明する。
図4は、本実施形態に係るオルタネータ3の作動制御フローを示す図である。
図4に示すように、まず、制御手段8は、エンジンECU9より出力された前記信号に基づいて車両が減速状態か否かを判定する(ステップS1)。即ち、入力された信号が減速信号か加速信号かを判定する。
入力された信号が減速信号であり、車両が減速状態であると判定した場合(ステップS1:YES)、オルタネータ3を駆動させて、発電した電力を直接、バキュームポンプ4へ供給して当該バキュームポンプ4を作動させるとともに、バッテリ7からバキュームポンプ4への電力供給を停止する(ステップS2)。
このとき、オルタネータ3の発電トルクは、バキュームポンプ4の吐出出力に応じて制御される。具体的に、バキュームポンプ4の吐出出力を増加させる場合には、オルタネータ3の発電トルクを上げて発電量を増加させる。一方、バキュームポンプ4の吐出出力を低下させる場合には、オルタネータ3の発電トルクを下げて発電量を低下させる。なお、バキュームポンプ4の吐出出力は、バキュームタンク5内の圧力に応じて制御される。
なお、本実施形態では、オルタネータ3の発電トルクをバキュームポンプ4の吐出出力に応じて制御する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、バキュームポンプ4を一定の吐出出力で作動させて、バキュームポンプ4とバキュームタンク5とを接続する配管に設けられたリリーフ弁等で調整してもよい。
【0053】
一方、制御手段8に入力された信号が加速信号であり、車両が加速状態であると判定した場合(ステップS1:NO)、続いて、バッテリ7のSOCが充電率上限値未満か否かを判定する(ステップS3)。
【0054】
ここで、バッテリ7のSOCが充電率上限値以上であると判定した場合(ステップS3:NO)、オルタネータ3を停止するとともに、バッテリ7から電力をバキュームポンプ4へ供給する(ステップS4)。
一方、バッテリ7のSOCが充電率上限値未満であると判定した場合(ステップS3:YES)、続いて、バッテリ7のSOCが充電率下限値以上か否かを判定する。
【0055】
ここで、バッテリ7のSOCが充電率下限値未満であると判定した場合(ステップS5:NO)、オルタネータ3を作動させるとともに、バッテリ7から電力をバキュームポンプ4へ供給する(ステップS6)。
係る場合には、オルタネータ3の発電トルクを上げて発電量を増加させるとともに、発電した電力を全てバッテリ7に供給して、バッテリ7への充電を優先させる。また、バッテリ7から電力をバキュームポンプ4へ供給する。このとき、バキュームポンプ4の吐出出力を必要最小限にして、バッテリ7からバキュームポンプ4へ供給する電力量を抑制する。
【0056】
そして、バッテリ7のSOCが充電率下限値以上であると判定した場合(ステップS5:YES)、オルタネータ3を作動させるとともに、バッテリ7から電力をバキュームポンプ4へ供給する(ステップS7)。
係る場合には、エンジン2への負荷を低減するために、オルタネータ3の発電トルクをできるだけ小さくして発電量を抑制する。発電した電力は全てバッテリ7に充電する。また、バッテリ7から電力をバキュームポンプ4へ供給する。このとき、バキュームポンプ4の吐出出力に応じて、バッテリ7からバキュームポンプ4へ供給す電力量を抑制する。即ち、バッテリ7のSOCが充電率下限値未満の場合よりも、バッテリ7からの電力量を増加させてもよい。
【0057】
<バキュームポンプ4の制御フロー>
次に、バキュームポンプ4の作動制御フローについて説明する。
図5は、本実施形態に係るバキュームポンプ4の作動制御フローを示す図である。
図5に示すように、まず、圧力制御部16は、バキュームタンク5内の圧力が圧力下限値(例えば、−10kPa)以上か否かを判定する(ステップS11)。
圧力制御部16は、圧力センサ12から出力される圧力に基づいて、バキュームタンク5内の圧力が圧力下限値未満であると判定した場合(ステップS11:NO)、バキュームポンプ4を停止する(ステップS12)。バキュームタンク5内の圧力を圧力下限値よりも低下させないためである。
一方、バキュームタンク5内の圧力が圧力下限値以上であると判定した場合(ステップS11:YES)、続いて、バキュームタンク5内の圧力が圧力上限値(例えば、−7kPa)未満か否かを判定する(ステップS13)。
【0058】
そして、バキュームタンク5内の圧力が圧力上限値以上であると判定した場合(ステップS13:NO)、バキュームポンプ4の吐出出力を増加させる(ステップS14)。バキュームポンプ4の吐出出力を増加させて、バキュームタンク5内の圧力を低下させる。
一方、バキュームタンク5内の圧力が圧力上限値未満であると判定した場合(ステップS13:YES)、続いて、車両が減速状態か否かを判定する(ステップS15)。
【0059】
そして、車両が加速状態であると判定した場合(ステップS15:NO)、バキュームポンプ4の吐出出力を低下させる(ステップS16)。
バキュームポンプ4の吐出出力を低下させてバッテリ7から供給される電力量を低減する。
一方、車両が減速状態であると判定した場合(ステップS15:YES)、ステップS14を実施する。
【0060】
<効果>
上記蓄圧システム1によれば、車両の減速時に、オルタネータ3によって発電された電力をバキュームポンプ4に直接、供給するため、発電した電力のほとんどをバキュームポンプ4の作動に用いることができる。従来のオルタネータ3によって発電された電力をバッテリ7に蓄えて、このバッテリ7に蓄えられた電力によってバキュームポンプ4をさせる方法では、バッテリ7の充放電性能の影響によってオルタネータ3によって発電された電力の、例えば6割程度しかバキュームポンプ4に供給できなかったが、本発明によれば、発電された電力のほとんどをバキュームポンプ4に供給することができる。これにより、回生エネルギーの回生率を向上させることができる。
【0061】
また、負圧をバキュームタンク5に貯留することで、車両の走行状態にかかわらず、ブレーキブースタ6に負圧を適宜供給することができる。
【0062】
そして、車両の加速時にバッテリ7から電力をバキュームポンプ4に供給するため、加速時にオルタネータ3の発電トルクを低下させたり、オルタネータ3を停止したりすることができるので、エンジン2の負荷を低減することができる。これにより、燃費を向上させることができる。
【0063】
また、車両の加速時においては、バッテリ7のSOCに応じてオルタネータ3の作動を制御するため、オルタネータ3を常時作動している場合と比べて、エンジン2の負担を減少させることができる。これにより、燃費を更に向上させることができる。
【0064】
そして、バッテリ7のSOCが充電率下限値未満の場合に、充電率上限値未満で且つ充電率下限値以上の場合よりも、オルタネータ3による発電量を増加させることで、バッテリ7を短時間で充電することができる。
【0065】
また、SOCが充電率下限値未満の場合に、充電率上限値未満で且つ充電率下限値以上の場合よりも、バッテリ7からバキュームポンプ4への電力量を減少させることで、バッテリ7が充電切れとなることを防止できる。
【0066】
また、緩やかな下り坂ではエンジン2の減速トルクが小さいため、オルタネータ3の発電トルクが大きいと、エンジン2の負荷が増大するため、走行時にショックを感じるおそれがある。しかし、本発明では、エンジン2の減速トルクに対するオルタネータ3の発電トルクの割合を所定割合以下に制御するため、車両走行時にショックが発生することを防止できる。
【0067】
また、バキュームタンク5の圧力を圧力下限値から圧力上限値までの範囲内に制御するため、ブレーキブースタ6に負圧を適宜供給可能であるとともに、ブレーキブースタ6を効率良く作動させることができる。
【0068】
そして、バキュームタンク5内の圧力が圧力下限値未満のときにバキュームポンプ4を停止することで、電力の消費を低減することができる。
【0069】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について説明する。以下の説明において、上述した第一実施形態に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
本発明の第二実施形態では、第一実施形態で示したバキュームポンプ4、バキュームタンク5及びブレーキブースタ6の代わりにコンプレッサポンプ、コンプレッサタンク及び空調装置を備えている。
【0070】
図8は、本発明の第二実施形態に係る車両の蓄圧システムの構成図である。
図8に示すように、車両は、蓄圧システム21と、車室内の温度を調整可能な空調装置24とを備えている。
【0071】
蓄圧システム21は、オルタネータ3と、コンプレッサポンプ22と、コンプレッサタンク23(蓄圧機に相当)と、バッテリ7と、制御手段8と、エンジンECU9と、を備えている。
【0072】
コンプレッサポンプ22は、オルタネータ3によって発電された電力又はバッテリ7から供給された電力によって作動する。コンプレッサポンプ22の作動によりコンプレッサタンク23内は加圧されて正圧状態となる。
【0073】
運転手によって空調装置24のスイッチがON操作されると、コンプレッサタンク23から加圧された冷媒が空調装置24に供給される。空調装置24は加圧された冷媒を利用して車室内を冷却する。
【0074】
制御手段8は、第一実施形態と同様に、減速信号、加速信号、充電率及びコンプレッサタンク23内の圧力等に基づいてオルタネータ3及びコンプレッサポンプ22の作動を制御する。
具体的には、制御手段8の圧力制御部16は、コンプレッサタンク23の圧力が、圧力上限値以上の場合にコンプレッサポンプ22を停止し、圧力上限値未満の場合にコンプレッサポンプ22を作動させる。コンプレッサタンク23内の圧力が圧力上限値以上のときにコンプレッサポンプ22を停止することで、電力の消費を低減することができる
【0075】
上記蓄圧システム21によれば、車両の減速時に、オルタネータ3によって発電された電力をコンプレッサポンプ22に直接、供給するため、発電した電力のほとんどをコンプレッサポンプ22の作動に用いることができる。
また、加圧した冷媒をコンプレッサタンク23に貯留することで、車両の走行状態にかかわらず、空調装置24に加圧した冷媒を適宜供給することができる。
さらに、第一実施形態で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、ポンプにより加圧又は減圧された流体を貯留可能な蓄圧機を備えた車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 蓄圧システム
2 エンジン
3 オルタネータ
4 バキュームポンプ
5 バキュームタンク
6 ブレーキブースタ
7 バッテリ
8 制御手段
9 エンジンECU
10 トルクメータ
11 ベルト
12 圧力センサ
13 SOCセンサ
14 第1レギュレータ
15 第2レギュレータ
16 圧力制御部
21 蓄圧システム
22 コンプレッサポンプ
23 コンプレッサタンク
24 空調装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6