(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939481
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】排水口構造
(51)【国際特許分類】
E03C 1/22 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
E03C1/22 A
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-84029(P2011-84029)
(22)【出願日】2011年3月18日
(65)【公開番号】特開2012-197659(P2012-197659A)
(43)【公開日】2012年10月18日
【審査請求日】2014年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100090619
【弁理士】
【氏名又は名称】長南 満輝男
(72)【発明者】
【氏名】加籐 智哉
【審査官】
油原 博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−185278(JP,A)
【文献】
特開2002−129620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12−1/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽底に形成された陥没部に排水口を設け、排水口縁部が排水口金具のフランジ部と排水管継手などの締結部材とで、その排水口縁部に装着したパッキンを介して挟持締着されてなる排水口構造において、排水口金具のフランジ部とパッキンとの間に挟み込む薄板のスリップワッシャを設け、該スリップワッシャの外周が延展されて、排水口金具のフランジ部と槽底の陥没部との間に生じる隙間が塞ぎ覆われるフランジ片を形成してなることを特徴とする排水口構造。
【請求項2】
薄板のスリップワッシャの外周が延展されてパッキンを覆うフランジ片を形成し、このフランジ片の端縁によって、排水口金具のフランジ部と槽底の陥没部との間に生じる隙間が塞ぎ覆われるようにする為、陥没部の壁面まで至らしめたそのフランジ片の端縁に、排水口金具の増し締めで若干変形して槽底の陥没部壁面へ多少重なるところの馴染み幅を形成したことを特徴とする請求項1記載の排水口構造。
【請求項3】
排水口金具のフランジ部裏面に凸部を形成し、排水口金具のフランジ部とパッキンとの間に挟み込まれた薄板のスリップワッシャが設けられ、該スリップワッシャが傾かない座りよい位置に設定されるようにする為、そのスリップワッシャの端部を前記凸部に当接させるように構成したことを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載の排水口構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽または洗面器などの槽底に陥没部を形成し、該陥没部に設けられた排水口に排水口金具を挿通し、その排水口縁部が排水口金具と排水管継手とで挟持されてなる排水口構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽または洗面器などの排水口は、槽底に陥没部を形成し、該陥没部に排水口が設けられ、該排水口に排水口金具を挿通させて排水管継手が螺合されることにより接続し、該排水口金具のフランジ部が前記陥没部に埋没させられている構造になっていた。
しかし、排水口金具のフランジ部と槽底の陥没部との間に隙間を生じ、水垢やゴミなどが堆積し易く、またカビなどの発生原因にもなって、見栄え悪く、不衛生にもなり、不都合であった。
【0003】
そこで、浴槽または洗面器などの槽底に設けられた排水口の周囲には、該排水口方向への下り傾斜面とする陥没部を形成して、この下り傾斜面と相対する斜面が下面に形成されたフランジ部を備えた排水口金具が排水口へ挿通され、排水管継手などの締結によって、槽底の陥没部の下り傾斜面と排水口金具のフランジ部下面の斜面とを接合して隙間のないようにし、よって、隙間がない故に、水垢やゴミなどの堆積、カビなどの発生を一応阻止出来るようにするというものがあった(特許文献1)。
【0004】
ところで、浴槽などの大型の水槽、陶磁製洗面器などの水槽であると、槽底の排水口の位置精度を得難く、水密性に不充分さがある上、排水口金具の排水管継手への締結による接続で、その締結のための負荷が負わされ、特に、水槽が陶磁製の場合には、排水口縁部が欠けたり、割れたりすることが応々にあり、充分に耐え得る強度の排水口金具のフランジ部を得るには、補足、補強をしなければならなかった。
そこで、一応の厚さがあり、耐久性強度があるフランジ部を備えた排水口金具が使用され、該排水口金具が上パッキンを介して排水口へ挿通され、また、挿通した該排水口金具に下パッキンを介して排水管継手などの締結部材が締結されたものがある。このような排水口金具と排水管継手などの締結部材とによって排水口縁部が挟持固定されるようなものは、既に知られていることである(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 実開昭62−125173
【特許文献2】 実公平6−14682
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
槽底に設けられた排水口の周囲に該排水口方向への下り傾斜面とする陥没部が形成され、該排水口に挿通した排水口金具のフランジ部下面を前記陥没部の下り傾斜面と相対する斜面にして、陥没部の下り傾斜面と排水口金具のフランジ部下面の斜面とによるこれらの接合は、隙間のないようにされたとしても、その排水口金具のフランジ部は、排水口縁部を挟持するに耐え得る強度が必要とされるにも係らず、該フランジ部の下面を斜面にしたため、フランジ部が舌片状になり、強度を弱め、また、排水口縁部を挟持締結することでフランジ部の舌片状先端が押圧変形され、捲き起こされる可能性をも生じて、都合悪い。
【0007】
また、陥没部の下り傾斜面と、これに相対するフランジ部下面の斜面とによる接合にはバラツキを生じ、そのバラツキによる接合の水密性を得るために、パッキンが介在されることを必要とし、結果的には、パッキンを介在したための隙間が生じ、隙間解消対策にならなかった。
【0008】
そこで、結局は、挟持に耐え得る強度を有する厚さのフランジ部が備えられた排水口金具を使用することが余儀無くされ、排水口に挿通させたこのような排水口金具のフランジ部は、排水口縁部との水密性及び緩衝性とが得られるように、排水口縁部が上パッキンと下パッキンとを介して排水口金具のフランジ部と排水管継手などの締結部材とで挟持固定されることになる。しかし、排水口金具のフランジ部と槽底の陥没部との間には隙間を生じさせてしまい具合悪い。
【0009】
本発明は、排水口金具のフランジ部が排水口縁部を挟持するに耐え得る強度と水密性とを得られ、排水口金具のフランジ部と槽底の陥没部との間に生じる隙間が塞ぎ覆われ、水垢やゴミ等の堆積、及びカビ等の発生を解消できる排水口構造が得られることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の排水口構造は、槽底に形成された陥没部に排水口を設け、排水口縁部が排水口金具のフランジ部と排水管継手などの締結部材とでその排水口縁部に装着したパッキンを介して挟持締着されてなる排水口構造において、
排水口金具のフランジ部とパッキンとの間に挟み込む薄板のスリップワッシャを設け、該スリップワッシャの外周が延展されて、排水口金具のフランジ部と槽底の陥没部との間に生じる隙間が塞ぎ覆われるフランジ片を形成してなるものである。
【0011】
本発明の排水口構造は、
薄板のスリップワッシャの外周が延展されてパッキンを覆うフランジ片を形成し、このフランジ片の端縁によって、排水口金具のフランジ部と槽底の陥没部との間に生じる隙間が塞ぎ覆われるようにする為、陥没部の壁面まで至らしめたそのフランジ片の端縁に、排水口金具の増し締めで若干変形して槽底の陥没部壁面へ多少重なるところの馴染み幅を形成したことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の排水口構造は、排水口金具のフランジ部裏面に凸部を形成し、
排水口金具のフランジ部とパッキンとの間に挟み込まれた薄板のスリップワッシャが設けられ、該スリップワッシャが傾かない座りよい位置に設定されるようにする為、そのスリップワッシャの端部を前記凸部に当接させるように構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の排水口構造は、外周が延展されてフランジ片を形成した薄板のスリップワッシャが排水口金具のフランジ部とパッキンとの間に挟み込まれるのみで、該フランジ片で排水口金具のフランジ部と陥没部との間に生じる隙間を塞ぎ覆うことができる。そして、排水口金具を増し締めしたときには、薄板のフランジ片が若干変形されてバラツキによる槽底の陥没部との間の隙間を目立たなくすることができ、隙間に生じる水垢やゴミ等の堆積、カビなどの発生を防止し、また、隙間を塞ぎ覆っているので見栄えが良い。
【0014】
本発明の排水口構造は、排水口金具のフランジ部裏面に凸部を形成し、排水口金具のフランジ部とパッキンとの間に挟み込まれた薄板のスリップワッシャがその端部をフランジ部裏面の凸部に当接させて座りよく位置設定され、そのスリップワッシャは、排水口金具のフランジ部裏面への設定に傾くことなく、正確に位置設定され、それも容易にできるので、排水口金具のフランジ部と槽底の陥没部との間に生じる隙間をも容易に塞ぎ覆うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】 槽底に形成された陥没部に排水口金具を装着した状態の断面図である。
【
図2】 排水口構造を分解した排水口金具、スリップワッシャ等の断面図である。
【
図3】 槽底に形成された陥没部に排水口金具が装着されたそのフランジ部の状態を示す拡大断面図である。
【
図4】 排水口金具を増し締めし、フランジ片が若干変形された状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の排水口構造を図面に基づいて説明する。
図1、及び
図2に示す如く、浴槽または洗面器などの槽底に陥没部11を形成し、該陥没部に排水口12が設けられる。
排水口12には、排水口縁部13にパッキン3が装着され、該パッキンを装着した排水口縁部13がスリップワッシャ5を介して、排水口金具1のフランジ部2と排水管継手4とで挟持締着される。
図3に示す如く、排水口金具1のフランジ部2とパッキン3との間にステンレス製薄板のスリップワッシャ5を挟み込み、該スリップワッシャの外周が延展されてフランジ片51を形成し、該フランジ片によって、排水口金具のフランジ部2と槽底の陥没部11との間に生じる隙間14が塞ぎ覆われるものである。排水口金具1がそのフランジ部2を陥没部11に埋没するように排水口12へ挿通されて、槽底の裏面へ突出した排水口金具1に排水管継手4などの締結部材が螺合締結され、該締結部材と排水口金具1のフランジ部2とで排水口縁部13を挟持固定する。
【0017】
排水口金具1のフランジ部2裏面に凸部21を形成し、排水口金具1のフランジ部2とパッキン3との間に挟み込まれたステンレス製薄板のスリップワッシャ5がその端部511をフランジ部2裏面の凸部21に当接させて座りよく位置設定される。そのスリップワッシャ5は、排水口金具1の裏面への設定に傾くことなく、しかも容易にでき、よって、正確に位置設定されるので、排水口金具1のフランジ部2と槽底の陥没部11との間に生じる隙間14をも容易に塞ぎ覆うことを可能とする。
なお、ステンレス製薄板のスリップワッシャが硬質の合成樹脂製薄板のスリップワッシャであってもよいことは云うまでもない。
【0018】
槽底に形成された陥没部11に排水口12を設け、その排水口縁部13がそれに装着したパッキン3とスリップワッシャ5とを介して排水口金具1のフランジ部2と排水管継手4などの締結部材とで挟持締着される。
排水口縁部13が、排水口金具1のフランジ部2と排水管継手4などの締結部材とで挟持締着されるに当って、
図4に示す如く、排水口金具1のフランジ部2とパッキン3との間に挟み込まれたスリップワッシャ5が、排水口金具1やパッキン3などと同じように個別のものであるので、排水口金具1のフランジ部2裏面の凸部21との当接で傾きのない座りのよい位置設定され、且つ、排水口金具の増し締めで、薄板であるスリップワッシャ5のフランジ片51の端縁512が若干変形されて、バラツキの生じる槽底の陥没部11に馴染み、よって、該陥没部との間の隙間14を目立たなくすることができ、隙間14に生じる水垢やゴミ等の堆積、カビなどの発生を防止し、また、隙間14を塞ぎ覆って見栄え良くできる。
【符号の説明】
【0019】
1 排水口金具
11 陥没部
12 排水口
13 排水口縁部
14 隙間
2 フランジ部
21 凸部
3 パッキン
4 排水管継手
5 スリップワッシャ
51 フランジ片
511 端部
512 端縁