特許第5939491号(P5939491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939491
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】LED投影モジュール
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20160609BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20160609BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20160609BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160609BHJP
【FI】
   F21S8/12 263
   F21S8/10 171
   F21S8/12 140
   F21W101:10
   F21Y101:02
【請求項の数】30
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-537424(P2014-537424)
(86)(22)【出願日】2012年11月5日
(65)【公表番号】特表2015-501513(P2015-501513A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】AT2012050173
(87)【国際公開番号】WO2013075157
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2014年4月9日
(31)【優先権主張番号】A1724/2011
(32)【優先日】2011年11月22日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】513057681
【氏名又は名称】ツィツァラ リヒトシステメ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,フリードリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】モーザー,アンドリース
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−288010(JP,A)
【文献】 特表2010−519696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上のLED光源(2,3,4)を含むLED投影モジュール(1)であって、
各LED光源(2,3,4)はそれぞれ、1つまたは複数の発光ダイオードから成り、
各LED光源(2,3,4)は、それらにそれぞれ割り当てられた光入力結合箇所(21,31,41)を介して光を光導体(20,30,40)に入力結合し、
光は、前記光導体(20,30,40)から前記光導体(20,30,40)の光出射面(22,32,42)を介して出射し、
前記出射した光は、投影レンズ(90)によって、少なくとも1つの光分布を形成するために外部空間に投影される、LED投影モジュールにおいて、
個々のLED光源(2,3,4)に対する前記光導体(20,30,40)は、水平方向に横に並んで配置されており、直接互いに相接し、または1つの共通の全体光−光導体(100)を形成し、これにより隣接する光導体(20,30,40)の間で光が漏れ込むことができ、
個々の前記光出射面(22,32,42)は並置されており、かつ1つの全体光−光出射面(110)を形成し、
前記全体光−光出射面(110)内では個々の前記光出射面(22,32,42)の間に1つまたは複数の凹部(201,202)が設けられており、当該凹部はそれぞれ、前記全体光−光出射面(110)の高さ広がりの少なくとも一部分に亘って延在している、ことを特徴とするLED投影モジュール。
【請求項2】
中央光導体群には少なくとも1つの中央光導体(40)が設けられており、かつ前記中央光導体群の左右には、それぞれ1つの左光導体群と右光導体群が設けられており、
前記左および/または右光導体群はそれぞれ、所属のLED光源(2,3)を備える少なくとも1つの光導体(20,30)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記中央光導体群はちょうど1つの前記中央光導体(40)を含む、ことを特徴とする請求項2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記左および/または右光導体群はそれぞれちょうど1つの光導体(20,30)を含む、ことを特徴とする請求項2または3に記載のモジュール。
【請求項5】
前記中央光導体群の中央光導体(40)の少なくとも1つのLED光源(4)の光は、前記中央光導体(40)から、とりわけ前記中央光導体(40)の光入射面(41)から前記モジュールの光軸に対して実質的に平行に向けられる、ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項6】
側方光導体群の少なくとも1つのLED光源(2,3)は、光を0゜とは異なる角度の下で前記モジュールの光軸に向け、所属の光導体(20,30)に供給する、ことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項7】
2つの光出射面(32,42;22,42)の間にある少なくとも1つの凹部(201,202)が、並置された前記光導体(20,30,40)の下方境界面から、ないし前記全体光−光導体(100)の下方境界面(130)から上方に向かって離れるように延在する、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項8】
2つの光出射面(32,42;22,42)の間にある前記凹部(201,202)は、前記並置された光導体(20,30,40)の上方境界面まで、ないし前記全体光−光導体(100)の上方境界面(120)まで完全には延在しておらず、これにより前記並置された光導体ないし前記全体光−光導体(100)の上方領域には連続したエッジ(121)が得られ、または
2つの光出射面(32,42;22,42)の間にある前記凹部(201,202)は、前記並置された光導体(20,30,40)の上方境界面ないし前記全体光−光導体(100)の上方境界面(120)まで完全に延在している、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項9】
前方領域、すなわち前記光出射面(22,32,42)の領域にある少なくとも1つの凹部(201,202)は規定の幅を有し、前記少なくとも1つの凹部(201,202)は、後方に向かって前記光出射面(22,32,42)から離れる方向に先細である、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項10】
前記規定の幅は、前記少なくとも1つの凹部(201,202)の全高に亘って一定であることを特徴とする請求項9に記載のモジュール。
【請求項11】
前記少なくとも1つの凹部(201,202)を画定する壁(201’,201”;202’,202”)が重なって延在する、ことを特徴とする請求項9または10に記載のモジュール。
【請求項12】
前記壁(201’,201”;202’,202”)が1つの尖ったエッジ(201’”、202’”)に合流する、ことを特徴とする請求項11に記載のモジュール。
【請求項13】
前記凹部(201,202)の内側の壁(201”,202”)、すなわち少なくとも1つの中央光導体(40)を備える中央光導体群に向いた側の前記凹部(201,202)の壁は平坦に構成されている、ことを特徴とする請求項11または12に記載のモジュール。
【請求項14】
前記内側の壁(201”,202”)、すなわち前記中央光導体群に向いた側の前記凹部(201,202)の壁は垂直面として構成されている、ことを特徴とする請求項13に記載のモジュール。
【請求項15】
前記凹部(201,202)の外側の壁(201’,202’)は湾曲して構成されている、ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項16】
前記凹部(201,202)の外側の壁(201’,202’)は前記凹部(201,202)の内側の壁(201”,202”)から離れるように湾曲している、ことを特徴とする請求項15に記載のモジュール。
【請求項17】
少なくとも1つの前記凹部(201,202)は、すなわちその形状および/または後方へのその広がりの長さは、右/左光導体群ないし、少なくとも1つの右/左光導体(20,30)からの光が、左/右光導体群ないし、少なくとも1つの左/右光導体(30,20)に入り込むことができないように数ないし複数の前記光出射面(22,32,42)から離れるように構成されている、ことを特徴とする請求項2から16のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項18】
少なくとも1つの前記凹部(201,202)は、すなわちその形状および/または後方へのその広がりの長さは、少なくとも1つの中央光導体(40)を備える中央光導体群ないし前記少なくとも1つの中央光導体(40)からの光が、前記中央光導体群の左に設けられる左光導体群ないし前記中央光導体群の右に設けられる右光導体群または少なくとも1つの左光導体ないし少なくとも1つの右光導体(20,30)に入り込むことができないように数ないし複数の前記光出射面(22,32,42)から離れるように構成されている、ことを特徴とする請求項2から17のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項19】
前記全体−光導体(100)は、前記光出射面(22,32,42)とは反対側のその裏面において、外側光源(2,3)からの光線が、別の外側LED光源(3,2)に割り当てられた光出射面(32,22)を通って出射することができないように構成されている、ことを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項20】
前記全体−光導体(100)は、前記光出射面(22,32,42)の反対側に裏側凹部(70)を設け、前記裏側凹部(70)は前記別の外側LED光源(3,2)に割り当てられた光導体(30,20)に達することとなる前記外側LED光源(2,3)からの光をブロックする、ことを特徴とする請求項19に記載のモジュール。
【請求項21】
前記光導体ないし前記全体光−光導体によってハイビーム分布ないし部分ハイビーム分布が形成可能である、ことを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項22】
前記光導体(20,30,40)ないし前記全体光−光導体(100)の上方には少なくとも1つのLED光源(5,6)が配置されており、該LED光源は光を少なくとも1つの光学系、たとえば反射器(7,8)に向けて放射し、
前記少なくとも1つの光学系、たとえば少なくとも1つの反射器(7,8)から放射された光が前記投影レンズ(90)の下方領域に照射され、
前記全体光−光出射面(110)を画定する上方エッジ(121)が、明暗境界として光像中に結像される、ことを特徴とする請求項1から21のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項23】
それぞれ1つの反射器(7,8)が割り当てられた2つのLED光源(5,6)が設けられている、ことを特徴とする請求項22に記載のモジュール。
【請求項24】
前記光導体ないし前記全体光−光導体(100)の上側(120)および/または下側(130)は、少なくとも領域的に光反射性に構成されている、ことを特徴とする請求項22または23に記載のモジュール。
【請求項25】
前記エッジ(121)は、ロービーム分布のための明暗境界を形成するように構成されている、ことを特徴とする請求項22から24のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか1項に記載のモジュールを1つまたは複数備える前照灯。
【請求項27】
少なくとも1つの前記モジュールが、実質的に垂直軸周りに旋回可能である、ことを特徴とする請求項26に記載の前照灯。
【請求項28】
全てのモジュールが、実質的に垂直軸周りに旋回可能である、ことを特徴とする請求項27に記載の前照灯。
【請求項29】
1つまたは複数のモジュールの投影レンズが、それぞれ垂直軸周りに旋回可能である、ことを特徴とする請求項27または28に記載の前照灯。
【請求項30】
前記垂直軸は、前記投影レンズの焦点を通って延在する、ことを特徴とする請求項29に記載の前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つまたはそれ以上のLED光源を含むLED投影モジュールに関するものであり、各LED光源はそれぞれ1つまたは複数の発光ダイオードから成り、各LED光源は、それぞれこれに割り当てられた光入力結合箇所を介して光を光導体に入力結合し、光は、前記光導体から当該光導体の光出力結合箇所を介して出射し、前記出射した光は、投影レンズによって少なくとも1つの光分布を形成するために外部空間に投影される。
【0002】
さらに本発明は、1つまたは複数のそのようなモジュールを備える前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0003】
光分布、たとえばハイビーム分布またはロービーム分布を形成するための、そのようなLED光源モジュールは公知である。
【0004】
車両前照灯構造においては、いわゆる部分光分布がますます興味の対象となりつつあり、あるいはなっている。このような部分光分布では、(全体)光分布の1つの特定部分だけが道路に投影されるか、または(全体)光分布の一部分が「フェードアウト」され、これにより光分布の残りの部分だけが道路上で可視となる。
【0005】
このような部分光分布は、たとえば特定の領域を所期のように照明し、しかし好ましくは光像内の領域をフェードアウトするのに適する。たとえば対向交通がある場合でも、さらにハイビームにより走行することができ、対向車がちょうど存在するそれぞれの領域だけがハイビーム分布から「フェードアウト」される。
【0006】
したがって別個に制御可能な複数のLED光源を使用することにより、いわゆる部分光分布、たとえば部分ハイビーム分布も形成することができる。
【0007】
しかし、個々のLED光源がそれらの光をそれぞれ固有の光導体を介して(および引き続き共通の投影レンズを介して)道路に投影することにより、部分光分布の場合には明るい領域と暗い領域との間に先鋭な(垂直方向の)移行を形成することが困難である、ないし殆ど不可能であるという問題が生じる。
【0008】
全光分布(全体光分布)、とりわけ完全ハイビームの場合、個々の部分光像の良好な重なり合いを実現することが困難である。しかしそのような良好な重なり合いは、光分布における高い最大値および良好な均一性に対して必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
課題は、上記の問題がもはや発生しないか、または少なくとも格段に改善された、改良型のLED投影モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、冒頭に述べたLED投影モジュールにおいて、本発明により、個々のLED光源に対する光導体が水平方向に横に並んで配置されており、直接互いに相接し、または好ましくは1つの共通の全体光−光導体を形成し、これにより隣接する光導体間で光が漏れ込むことができ、個々の光出射面は並置されており、かつ1つの全体光−光出射面を形成し、前記全体光−光出射面内では個々の光出射面の間に1つまたは複数の凹部が設けられており、当該凹部はそれぞれ前記全体光−光出射面の高さ広がりの少なくとも一部分に亘って延在している、ことにより解決される。
【0011】
全体−光出射面における凹部の構成により、この全体−光出射面が複数の部分領域に分割される。全ての部分領域が「作動されて」いれば、光出射面全体が照明し、光像中にスリットが可視となることはない。このスリットによりとりわけ個々の部分領域が光像中で先鋭に互いに画定され、これにより部分領域が非作動になる際に、他の照明する部分領域からの散乱光が、光像の照明されない領域において障害的作用を及ぼすことはない。
【0012】
単数または複数の凹部は、全体光出射面内のスリットであり、これらのスリットは好ましくはそれらスリットにおいて、そこで出射する光に対する全反射が発生し、これによりスリットを通って光が隣接する光導体に入り込むことができないように構成されている。
【0013】
ここで「共通の」全体光−光導体とは、基本的にただ1つの光導体が設けられており、この光導体が複数の別個の光導体「セグメント」(個々の光導体)を有し、この光導体「セグメント」が共通の領域で合流することであると理解すべきである。実際には、好ましくは1つのピースから形成され、互いに結合された光学系である。
【0014】
ここで通常、全体光−光出射面は、モジュールの光軸、すなわち投影レンズの光軸に対して垂直の面内にある。ここで全体光−光出射面(およびもちろん個々の光出射面も)は通常、投影レンズの焦点を含み、レンズの光軸に対して垂直の(垂直)面内にあるか、または焦点の近傍に延在する面内にある。
【0015】
しかし光分布、たとえばハイビーム分布を光像中で上方に向かって良好に延在させるために、(平坦な)全体光−光出射面が光軸に対して斜めに延在するようにすることも、または全体光−光出射面がまったくフリーフォーム面の形状(たとえば(投影)レンズの焦点曲線に適合された面)に構成されていることも可能である。
【0016】
理想的には平坦な全体光−光出射面は、フリーフォーム面の場合に有利であるように投影レンズの焦点を通って延在する。
【0017】
しかし光出射面を所期のようにデフォーカスさせ、このようにして明暗移行部の鋭さを調整し、色収差の作用をこのようにして調節することもできる。
【0018】
具体的な実施形態では、少なくとも1つの光導体を備える中央光導体群が設けられており、この中央光導体群の左と右には、さらにそれぞれ1つの左光導体群と右光導体群が設けられており、この左および/または右光導体群がそれぞれ、LED光源の割り当てられた少なくとも1つの光導体を含む。
【0019】
それぞれ(部分光)光出射面を形成するこの光導体群の各々が固有の部分光像を形成し、これにより全部で3つの部分光像を形成することができる。
【0020】
好ましくは、中央光導体群はちょうど1つの光導体を含む。
【0021】
同様に左および/または右光導体群がそれぞれちょうど1つの光導体を含むことが有利である。
【0022】
さらに中央光導体群の中央光導体の少なくとも1つのLED光源の光が、前記中央光導体から、とりわけ前記中央光導体の光入射面からモジュールの光軸に対して実質的に平行に向けられるようにすることできる。
【0023】
さらに側方光導体群の少なくとも1つのLED光源が、光を0°とは異なる角度の下でモジュールの光軸に向け、所属の光導体に供給することができる。
【0024】
このことは、所望の寸法のコンパクトな全体光−光出射面が達成され、しかし同時にLED光源を取り付けるための十分な構造空間が確保されるという利点を有する。
【0025】
凹部の所望の効果を光出射面の垂直方向広がり全体に亘り可及的に得るために、2つの光出射面の間にある凹部は、並置された光導体の下方境界面から、ないし全体光−光出射面の下方境界面から上方に向かって離れるように延在する。
【0026】
上記の意味で、2つの光出射面の間にある凹部が、並置された光導体の上方境界面まで、ないし全体光−光出射面の上方境界面まで完全に延在することも合目的的である。
【0027】
しかし、2つの光出射面の間にある凹部が、並置された光導体の上方境界面まで、ないし全体光−光出射面の上方境界面まで完全には延在せず、これにより並置された光導体ないし全体光−光導体の上方領域に連続したエッジが得られるようにすることもできる。この構成は、さらに下で説明するように、モジュールによってフェードアウトされた光分布、たとえばロービーム分布を付加的に形成すべき場合に有利であり、この場合、全体光導体の上方の連続したエッジが、光像中に(連続した)明暗境界を形成するために使用される。
【0028】
さらに凹部が前方領域に、すなわち光出射面の領域に規定の幅を有し、この規定の幅は好ましくは凹部の全高に亘って一定であり、凹部が後方に向かって光出射面から離れる方向に先細になっていると合目的的である。
【0029】
とりわけ凹部を画定する壁が重なって延在し、好ましくは1つの尖ったエッジに合流すると好適である。
【0030】
さらに内側の壁、すなわち中央光導体群に向いた凹部の壁が平坦に構成されており、好ましくは垂直面として構成されていることができる。
【0031】
さらに、凹部の外側の壁が湾曲して構成されており、好ましくは内側の壁から離れるように湾曲することができる。
【0032】
ここで一般的に好ましくは、凹部を、すなわちその形状および/または後方へのその広がりの長さを、右/左光導体群ないし少なくとも1つの右/左光導体からの光が、左/右光導体群ないし少なくとも1つの左/右光導体に入り込むことができないように(単数ないし複数)光出射面から離れるよう構成することができる。
【0033】
右光導体からの光は左光導体と中央光導体との間の凹部/スリットで(すなわち直線状の壁で)全反射され、したがって中央光導体(ないし中央光導体群)を介して出射する。対応することが左光導体からの光に対しても当てはまり、この光は、右光導体と中央光導体との間の凹部/スリットで全反射され、中央光導体を介してモジュールから出射する。
【0034】
このようにして光像中に先鋭な垂直方向の明暗境界を形成することができる。
【0035】
刻み目ないし凹部の深さは、側方LED光源からの光が外側の対向する光導体に達することができないように選択される。
【0036】
さらに中央光導体に対する光入力結合箇所が、光出射面の方向に、側方LED光源からの光が凹部を通過して達することができないように前に引き出され、構成されていることが合目的的である。
【0037】
具体的には、全体−光導体が光出力結合面とは反対側のその裏側において、光線が外側光源から別の外側LED光源に割り当てられた光出力結合面を通って出射することができないように構成することができ、好ましくは裏側凹部が設けられており、この裏側凹部は、別の外側LED光源に割り当てられた光導体に達することとなる外側LED光源の光をブロックする。
【0038】
たとえばそのために全体光導体が中央で光出射面の方向に、前側凹部を通過して外側光導体に達することができる光をブロックするように前に引き出されており、この光導体に割り当てられていない外側光源から発する光はブロックされ、場合により反射される。
【0039】
変形実施形態では、この前に引き出された領域が全体光導体の中央で、中央LED光源に対する光入力結合箇所として構成されている。
【0040】
スリットにより、全ての光成分の重なり合いの中に、スリット領域には不所望の不均一性を備えるハイビームが生じる。湾曲した壁を使用することにより、これを光学的条件に相応に適合することができ、これにより不均一性を阻止することができ、または少なくとも減衰することができる。
【0041】
さらなる変形実施形態では、凹部を、すなわちその形状および/または後方へのその広がりの長さを、(単数ないし複数)光出射面から離れる方向に、中央光導体群ないし少なくとも1つの中央光導体からの光が、左光導体群ないし右光導体群または少なくとも1つの左ないし右光導体に入り込むことができないよう構成することができる。
【0042】
とりわけこの場合、(単数または複数)凹部との共同作用で、光線が側方光導体に入り込むことができないように、中央LED光源に対する光入力結合箇所が相応に構成されており、たとえば相応に湾曲されていることに注意すべきである。
【0043】
この場合、中央光導体群も部分光分布に対して使用することができ、対向車がすでに通過した場合にはこの対向車を幻惑することなく、中央光導体群ないし中央光導体をスイッチオンすることができる。
【0044】
具体的な実施形態では、光導体ないし全体光−光導体によってハイビーム分布ないし部分ハイビーム分布を形成することができる。
【0045】
さらに、個々のLED光源は互いに独立して制御可能であり、対応してスイッチオン/オフ可能であり、場合により減光も可能である。LED光源の各発光ダイオードが同様に個別にも制御可能であることも有利であり得る。
【0046】
冒頭ですでに述べたように、本発明のモジュールによってフェードアウトした光分布、たとえばロービーム分布もさらに付加的に形成できるようにするため、さらに、光導体ないし全体光−光導体の上部に少なくとも1つのLED光源を配置することができる。そして、このLED光源が光を少なくとも1つの光学系、たとえば少なくとも1つの反射器に放射し、少なくとも1つの光学系、たとえば少なくとも1つの反射器から放射された光が投影レンズの下方領域に照射され、全体光−光出射面を画定する上方エッジが明暗境界として光像中に結像されるようにする。
【0047】
たとえば反射器、レンズの形態の光学系、または好ましくは光導体として構成された(たとえば反射器の形態を備える、またはオーストリア特許第504505号に示されたような)一次光学系等により、割り当てられたレンズの焦点面にロービーム分布が結像され、このロービーム分布がレンズによって車両前方に結像される。
【0048】
ここではたとえば、それぞれ1つの反射器が割り当てられた2つのLED光源が設けられている。
【0049】
光導体ないし全体光−光導体の上側および/または下側が、少なくとも領域的に光反射性に構成されていると有利である。
【0050】
たとえば上側および/または下側には、たとえば鏡面層が被覆され、たとえば蒸着されている。
【0051】
ここで下側/上側は、先鋭な明暗ラインを得るために、たとえば後方領域を反射性に、エッジを吸収性に構成することができる。
【0052】
このようにして光損失が回避され、ないし回避することができ、2つの異なる光分布が形成される場合に、これらの光分布が漏出する光によって互いにネガティブに影響し合うことが回避される。
【0053】
光分布の経過に関しては、好ましくはロービーム分布のための明暗境界を形成するエッジが形成されており、法に則したロービーム分布を形成するために対応する部分を有する。
【0054】
冒頭にすでに述べたように本発明は、上記モジュールを1つまたは好ましくは複数備える前照灯にも関するものである。
【0055】
好ましくはこのような前照灯において、少なくとも1つのモジュール、好ましくは全てのモジュールが、実質的に垂直軸周りに旋回可能である。
【0056】
全てのモジュールが旋回可能である場合、旋回軸は理想的にはモジュールの重心を通って延在する。したがって必要な力は最小であり、振動等が僅かにしか作用しない。
【0057】
1つまたは複数の可動のモジュールによって、光像中の部分領域を静的に「切り出す」ことができるだけでなく、この切り出された部分領域を、モジュールの旋回によっても垂直軸周りに旋回することができる(それぞれ旋回されたモジュールが形成する全体光像により)。これにより、切り出された光部分を、対向車または先行車両の動きに応じて追従案内することができる。
【0058】
しかし安価な実施形態では旋回を行わない、または設けないこともできる。それにもかかわらずこれにより、自動化したハイビームを、部分領域の静的なフェードアウトができない場合よりも格段に早期に再作動することができる。
【0059】
モジュール全体を旋回する代わりに、1つまたは複数のモジュールの投影レンズをそれぞれ1つの垂直軸周りに旋回可能にすることもできる。
【0060】
ここでは軸が、投影レンズの焦点ラインの近傍に延在すると、好ましくは投影レンズの焦点を通って延在すると光学的に理想的である。
【0061】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】破線で示されたレンズを備えたLED光モジュールの正面概略図である。
図2図1のモジュールを上から見た図である。
図3図1のモジュールの側面図である。
図4図2のラインA−Aに沿った断面図である。
図5図1のラインB−Bに沿った断面図である。
図5a】凹部の領域の光導体の詳細図である。
図6】2つの外側光導体により形成された光分布を示す図である。
図7】光出射方向で見て左の部分光導体により形成された光分布を示す図である。
図8】光出射方向で見て右の部分光導体により形成された光分布を示す図である。
図9】光出射方向で見て中央の部分光導体により形成された光分布を示す図である。
図10】前照灯により形成された光分布(ロービーム+部分ハイビーム)を示す図である。
図11】ハイビーム(全体ハイビーム)の光分布を示す図である。
図12】本発明による2つの前照灯により形成された適合型ハイビームを例として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1から5は、本発明のLED投影モジュール1を示す。モジュール1は全体光−光導体100から形成され、この全体光−光導体を以下、光導体本体100と称する。この光導体本体100には、それぞれ1つまたは複数の発光ダイオードから成る3つのLED光源2,3,4(図2)から対応する光結合箇所21,31,41(図5)を介して、光が入力結合される。光入力結合箇所は、たとえば光を視準化する入力結合箇所である。すなわち、それぞれのLED光源が配置されており、光を視準化するために球体シェルによって取り囲まれた、いわば開口部である。光は光導体本体100から光出力結合箇所22,32,42を介して再び出射し、出射した光は投影レンズ90によって外部空間へ、光分布を形成するために、具体例ではハイビーム分布または部分ハイビーム分布を形成するために投影される。
【0064】
このLED光源2,3,4によってハイビーム分布ないし部分ハイビーム分布が形成される。さらに個々のLED光源は、互いに独立して制御可能であり、対応してスイッチオン/オフ可能であり、場合により減光も可能である。LED光源の各発光ダイオードが同様に個別にも制御可能であることも有利であり得る。
【0065】
光出力結合箇所22,32,42は、それぞれ1つの光導体20,30,40に形成されており、これら3つの光導体が共に1つの光導体本体100を形成する。ここで図示の好ましい本発明の実施形態では、3つの光導体20,30,40が1つのピースから形成されている。
【0066】
個々のLED光源2,3,4に対する光導体20,30,40は、水平方向に横に並んで配置されており、直接互いに相接し、上にすでに述べたように好ましくはワンピースの全体光−光導体100を形成する。したがって隣接する光導体20,30,40間で光が漏れ込むことができる。
【0067】
個々の光出射面22,32,42は並置されており、かつ1つの全体光−光出射面110を形成する。この全体光−光出射面110内では、個々の光出射面22,32,42の間に凹部201,202が設けられており、当該凹部はそれぞれ全体光−光出射面110の高さ広がり(すなわち垂直方向)の少なくとも一部分に亘って延在している。
【0068】
LED光源4から放射された光は、中央光導体40の光入射面41から、図示の例ではモジュール1の光軸に対して実質的に平行に向けられる。
【0069】
それぞれ側方の光導体20,30の少なくとも1つのLED光源2,3は、図示の例では、0゜とは異なる角度の下でモジュールの光軸xに向けられ、そして光を所属の光導体20,30に供給する(図2)。
【0070】
このことの利点は、所望の寸法のコンパクトな全体光−光出射面100が達成され、しかし同時にLED光源を取り付けるための十分な設置空間が確保されることである。
【0071】
ここでLED光源は冷却体200(図2)の上に配置されている。さらに下で詳細に説明するロービーム分布を形成するために使用されるLED光源5,6も同様に、この冷却体200の上に取り付けられている。
【0072】
本発明の一側面では、3つ全てのLED光源2,3,4がスイッチオンされている全体光−光分布(たとえばハイビーム−光分布)の他に、部分光−光分布、この例では部分ハイビーム−光分布も形成され、この部分ハイビーム光分布では、たとえば1つのLED光源だけが、または全てではないLED光源が作動される。ここで、作動中の他のLED光源からの妨害光無しで、垂直に先鋭に画定された部分ハイビームを得るために、凹部201,202が設けられている。
【0073】
凹部の所望の効果を光出射面の垂直方向広がり全体に亘り可及的に得るために、2つの光出射面32,42;22,42の間にある凹部は、全体光−光出射面100の下方境界面130から直接上方に向かって離れるように延在する。
【0074】
図示の変形実施形態では、2つの光出射面32,42;22,42の間にある凹部201,202が、全体光−光導体100の上方境界面120まで完全には伸張しておらず、これにより全体光−光導体100の上方前方領域には連続するエッジ121が生じる。この構成は、さらに下で説明するように、モジュールによってフェードアウトされた光分布、たとえばロービーム分布を付加的に形成すべき場合に有利であり、この場合、全体光導体の上方の連続するエッジ121が、ロービームの光像中に(連続した)明暗境界を形成するために使用される。
【0075】
さらに凹部201,202が前方領域に、すなわち光出射面22,32,42;110の領域に規定の幅を有し、この規定の幅が好ましくは凹部201,202の全高に亘って一定であると、合目的的である。凹部201,202は、後方に向かって光出射面22,32,42;110から離れる方向に先細になっている。
【0076】
とりわけ図5aによく示されているように、凹部201,202を画定する壁201’,201”;202’,202”が重なって延在し、好ましくはそれぞれ1つの尖ったエッジ201’”,202’”に合流すると好適である。
【0077】
内側の壁201”,202”、すなわち中央光導体群に向いた側の凹部201,202の壁は平坦に構成されており、好ましくは垂直面として構成されている。しかし基本的に、これらの壁が湾曲して構成されていることも考えられる。これら側面に対する条件は、側面が対向するLED(2または3)の光線に対して全反射性に構成されていることである。
【0078】
凹部201,202の外側の壁201’,202’は湾曲して構成されており、好ましくは内側の壁201”,202”から離れるように湾曲している。
【0079】
一般的に凹部201,202は、すなわちその形状および/または後方へのその広がりの長さは、右/左光導体20,30からの光が、左/右光導体30,20に入り込むことができないよう全体光出射面から離れるように構成されている。
【0080】
図5は、LED光源3の右光導体30からの優良な光線Sを示し、この光線Sは凹部202が無ければ、S’として左光導体20に入り込み、光出射面22を介して出射することとなる。部分ハイビームの場合(すなわち、LED光源2が遮断され、場合によりLED光源4が遮断される)、光が光出射面22を介して出射し、部分ハイビームを阻害ないし破壊することとなる。
【0081】
しかし右光導体からの光は、左光導体と中央光導体との間の凹部/スリット202で(すなわち直線状の壁202”で)全反射され、したがって中央光導体を介して出射する(光線S”)。対応することが左光導体からの光に対しても当てはまり、この光は、右光導体と中央光導体との間の凹部/スリットで全反射され、中央光導体を介してモジュールから出射する。
【0082】
このようにして、左/右LED光源および場合により中央LED光源が遮断される場合に、光像中に先鋭な垂直方向の明暗境界を形成することができる。
【0083】
刻み目ないし凹部の深さは、側方LED光源からの光が外側の対向する光導体に達することができないように選択される。
【0084】
加えてさらに、中央光導体40に対する光入力結合箇所41が、光出射面の方向に、側方LED光源からの光が凹部を通過して達することができないように前に引き出され、構成されていると合目的的である。ここで好ましくは、光入力結合箇所41は湾曲しており、たとえばLED光源4から離れるように湾曲して構成されている。したがって凹部70は全体光導体100の裏側に形成される。図示の例で光入射面41は、LED光源の光を平行に向けるレンズとしてさえも作用する。
【0085】
スリットによって、全ての光成分の重なり合いの中に、スリット領域内には不所望の不均一なハイビームが生じる。湾曲した壁201’,202’を使用することにより、これを光学的条件に相応に適合することができ、これにより不均一性を回避することができ、少なくとも減衰することができる。
【0086】
中央LED光源4は、光像中に最大値を形成するためにそこに設けられている。これは図示の場合である。このためにLED光源4の光入力結合箇所は、光線が実質的に平行に向けられて、光最大値が光分布の中央に形成されるよう構成されている(図9参照)。
【0087】
しかしこれは強制的ではない。もちろん、放射される光の一部分だけ、好ましくは光の中央の光強度の強い部分だけが最大値を形成し、放射される光の側方領域は幅に寄与するように入力結合箇所を構成することも考えられる。この場合は図面に示されていない。
【0088】
図5は、第1に引用した場合に対して適合されており、したがってLED光源4の光線路がここでは少し補正される。
【0089】
別の図示しない変形実施形態では、凹部を、すなわちその形状および/または後方への広がりの長さを、(単数ないし複数)光出射面から離れる方向に、中央光導体群ないし少なくとも1つの中央光導体40からの光が、左光導体群ないし右光導体群または少なくとも1つの左ないし右光導体20,30に入り込むことができないよう構成することができる。
【0090】
とりわけこの場合、(単数または複数)凹部との共同作用で、光線が側方光導体へ入り込むことができないように中央LED光源に対する光入力結合箇所が相応に構成されており、たとえば相応に湾曲されていることに注意すべきである。
【0091】
この場合、中央光導体群も部分光分布に対して使用することができ、中央光導体群ないし中央光導体は、対向車が既に通過した場合にはこの対向車を幻惑することなく、スイッチオンすることができる。
【0092】
冒頭に既に述べたように、本発明のモジュールによってフェードアウトした光分布、たとえばロービーム分布もさらに付加的に形成することができるようにするため、さらに、全体光−光導体100の上方に少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のLED光源5,6を配置することができ、これらのLED光源は光を少なくとも1つ、好ましくは2つの反射器7,8ないし光学系に放射する。反射器7,8から放射された光は、投影レンズ90の下方領域に照射され(図4)、全体光−光出射面110を画定する上方エッジ121が明暗境界としてロービームの光像中に結像される。
【0093】
図面に示された実施形態では反射器7,8が使用される。しかし基本的に反射器の代わりに他の適切な任意の(一次)光学系を使用することができる。
【0094】
全体光−光導体100の上側120および/または下側130が、光反射性に構成されていると有利である。
【0095】
たとえば上側および/または下側は、たとえば鏡面層が被覆され、たとえば蒸着されている。
【0096】
このようにして光損失が回避され、ないし回避することができ、2つの異なる光分布が形成される場合に、これらの光分布が、漏出する光によって互いにネガティブに影響し合うことが回避される。
【0097】
光分布の経過に関しては、ロービーム分布のための明暗境界を形成するために、好ましくはエッジ121が形成されており、法に則したロービーム分布(これらは図10〜12に破線により示されている)を形成するために対応する部分を有する。
【0098】
車両前照灯は、1つまたは好ましくは複数の上記モジュールから構成される。
【0099】
好ましくはこのような前照灯において、少なくとも1つのモジュール、好ましくは全てのモジュールが、実質的に垂直軸周りに旋回可能である。
【0100】
1つまたは複数の可動のモジュールによって、光像中の部分領域を静的に「切り出す」ことができるだけでなく、この切り出された部分領域を、モジュールの旋回によっても垂直軸周りに旋回することができる(それぞれ旋回されたモジュールが形成する全体光像により)。これにより、切り出された光部分を、対向車または先行車両の動きに応じて追従案内することができる。
【0101】
しかし安価な実施形態では旋回を行わない、または設けないこともできる。それにもかかわらずこれにより、自動化したハイビームを、部分領域の静的なフェードアウトができない場合のように格段に早期に再作動することができる。
【0102】
モジュール全体を旋回する代わりに、1つまたは複数のモジュールの投影レンズをそれぞれ1つの垂直軸周りに旋回可能にすることもできる。
【0103】
ここで、旋回軸が投影レンズの焦点を通って延在すると光学的に理想的である。
【0104】
図6は、LED光源モジュールの左右の光導体20,30から組み合わされた光像を示す。この光像は、法に則したハイビームを形成するのにすでに十分であり得、中央にある所要の最大値はこの領域における光像の重なり合いによって達成される。したがって最小の構成では、モジュールは1つの左LED光源と1つの右LED光源だけを有する。
【0105】
任意で、図面に示すように最大値を、全体−光導体の中央にある第3のLED光源4によって高めることができる。
【0106】
図7は、本発明のLED光源モジュールの左光導体により形成された部分光像を、図8は、右光導体により形成された部分光像を、図9は、中央光導体により形成された光像を示す。
【0107】
図10は、前照灯全体により形成された光分布を示す。ここで図10は具体的には、前照灯の個々のモジュールの2つのLED光源5,6により形成されたロービーム分布(概略的に破線により示されている)、並びに対応するLED光源モジュールの右光導体により形成され重ね合わされた部分ハイビームを示す。
【0108】
図11は、2つの前照灯により形成された全体ハイビーム分布をロービーム分布と共に示す。すなわち、全てのLED光源2,3,5,6と任意でLED光源4も作動している際の光分布である。
【0109】
最後に図12は、本発明による2つの前照灯により形成される適合型ハイビームを示す。ここで2つの前照灯は、モジュール1に関して図1〜5に示されるように同じ構造を有する。
【0110】
図12に示された光分布は、左前照灯においてLED光源3(そして任意でLED光源4)が作動しており、モジュールまたはそれらのレンズが左に旋回されていることによって生じる。
【0111】
基本的に各前照灯は、少なくとも1つ、通常は複数のモジュールから成る。ここで全てのモジュールは固定とすることができる。または1つのモジュールのみが、もしくは多くのモジュール(ないしはそれらのレンズ)が旋回可能であり、他のモジュールは固定的に配置することができる。好ましくは全てのモジュール(レンズ)は旋回可能である。
【0112】
ロービームユニットがハイビームユニットとは(図面の図示とは異なり)別個の場合、ロービームは旋回しないままにし、ハイビーム(部分ハイビーム)だけが対向車に追従、ないしこれに適合することができる。このような解決策は、とりわけ図に示したものよりも高価である。
【0113】
右前照灯では、モジュールのLED光源2(すなわち左LED光源)が作動しており(並びに任意でLED光源4、すなわち中央のLED光源)、ここでモジュールまたはレンズは、場合により軽く左に連行/旋回することができ、または固定のまま留まる。
【0114】
対向交通で複数の車両が到来する場合、対向交通の際にその左に発生する全ての光分布をフェードアウトする必要が生じることがある。この場合、左前照灯において左LED光源2(そして任意で中央LED光源4)は作動させ、その光像を場合により旋回によって連行し、右前照灯においても同様に左LED光源2(そして任意で中央LED光源4)は作動させることになる。
【0115】
基本的に、2つの前照灯により形成される種々の部分光分布を任意に作動することにより、および場合により個々のモジュールの光像を旋回することにより、それぞれの交通状況(対向交通および/または自車の道路側の交通、車両数、対向車の位置...)に理想的に応答することができる。
【0116】
上に既に述べた複数のモジュールを使用する場合、たとえば1つ(またはレンズ)を旋回可能に構成することができ、別の1つまたは複数のモジュールは静止する。したがって右のモジュールは固定したままであり(または固定されており)、右の道路縁部を照明し(右側交通の場合)、左のモジュールは対向車と共に旋回する。
図1
図2
図3
図4
図5
図5a
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12