【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、冒頭に述べたLED投影モジュールにおいて、本発明により、個々のLED光源に対する光導体が水平方向に横に並んで配置されており、直接互いに相接し、または好ましくは1つの共通の全体光−光導体を形成し、これにより隣接する光導体間で光が漏れ込むことができ、個々の光出射面は並置されており、かつ1つの全体光−光出射面を形成し、前記全体光−光出射面内では個々の光出射面の間に1つまたは複数の凹部が設けられており、当該凹部はそれぞれ前記全体光−光出射面の高さ広がりの少なくとも一部分に亘って延在している、ことにより解決される。
【0011】
全体−光出射面における凹部の構成により、この全体−光出射面が複数の部分領域に分割される。全ての部分領域が「作動されて」いれば、光出射面全体が照明し、光像中にスリットが可視となることはない。このスリットによりとりわけ個々の部分領域が光像中で先鋭に互いに画定され、これにより部分領域が非作動になる際に、他の照明する部分領域からの散乱光が、光像の照明されない領域において障害的作用を及ぼすことはない。
【0012】
単数または複数の凹部は、全体光出射面内のスリットであり、これらのスリットは好ましくはそれらスリットにおいて、そこで出射する光に対する全反射が発生し、これによりスリットを通って光が隣接する光導体に入り込むことができないように構成されている。
【0013】
ここで「共通の」全体光−光導体とは、基本的にただ1つの光導体が設けられており、この光導体が複数の別個の光導体「セグメント」(個々の光導体)を有し、この光導体「セグメント」が共通の領域で合流することであると理解すべきである。実際には、好ましくは1つのピースから形成され、互いに結合された光学系である。
【0014】
ここで通常、全体光−光出射面は、モジュールの光軸、すなわち投影レンズの光軸に対して垂直の面内にある。ここで全体光−光出射面(およびもちろん個々の光出射面も)は通常、投影レンズの焦点を含み、レンズの光軸に対して垂直の(垂直)面内にあるか、または焦点の近傍に延在する面内にある。
【0015】
しかし光分布、たとえばハイビーム分布を光像中で上方に向かって良好に延在させるために、(平坦な)全体光−光出射面が光軸に対して斜めに延在するようにすることも、または全体光−光出射面がまったくフリーフォーム面の形状(たとえば(投影)レンズの焦点曲線に適合された面)に構成されていることも可能である。
【0016】
理想的には平坦な全体光−光出射面は、フリーフォーム面の場合に有利であるように投影レンズの焦点を通って延在する。
【0017】
しかし光出射面を所期のようにデフォーカスさせ、このようにして明暗移行部の鋭さを調整し、色収差の作用をこのようにして調節することもできる。
【0018】
具体的な実施形態では、少なくとも1つの光導体を備える中央光導体群が設けられており、この中央光導体群の左と右には、さらにそれぞれ1つの左光導体群と右光導体群が設けられており、この左および/または右光導体群がそれぞれ、LED光源の割り当てられた少なくとも1つの光導体を含む。
【0019】
それぞれ(部分光)光出射面を形成するこの光導体群の各々が固有の部分光像を形成し、これにより全部で3つの部分光像を形成することができる。
【0020】
好ましくは、中央光導体群はちょうど1つの光導体を含む。
【0021】
同様に左および/または右光導体群がそれぞれちょうど1つの光導体を含むことが有利である。
【0022】
さらに中央光導体群の中央光導体の少なくとも1つのLED光源の光が、前記中央光導体から、とりわけ前記中央光導体の光入射面からモジュールの光軸に対して実質的に平行に向けられるようにすることできる。
【0023】
さらに側方光導体群の少なくとも1つのLED光源が、光を0°とは異なる角度の下でモジュールの光軸に向け、所属の光導体に供給することができる。
【0024】
このことは、所望の寸法のコンパクトな全体光−光出射面が達成され、しかし同時にLED光源を取り付けるための十分な構造空間が確保されるという利点を有する。
【0025】
凹部の所望の効果を光出射面の垂直方向広がり全体に亘り可及的に得るために、2つの光出射面の間にある凹部は、並置された光導体の下方境界面から、ないし全体光−光出射面の下方境界面から上方に向かって離れるように延在する。
【0026】
上記の意味で、2つの光出射面の間にある凹部が、並置された光導体の上方境界面まで、ないし全体光−光出射面の上方境界面まで完全に延在することも合目的的である。
【0027】
しかし、2つの光出射面の間にある凹部が、並置された光導体の上方境界面まで、ないし全体光−光出射面の上方境界面まで完全には延在せず、これにより並置された光導体ないし全体光−光導体の上方領域に連続したエッジが得られるようにすることもできる。この構成は、さらに下で説明するように、モジュールによってフェードアウトされた光分布、たとえばロービーム分布を付加的に形成すべき場合に有利であり、この場合、全体光導体の上方の連続したエッジが、光像中に(連続した)明暗境界を形成するために使用される。
【0028】
さらに凹部が前方領域に、すなわち光出射面の領域に規定の幅を有し、この規定の幅は好ましくは凹部の全高に亘って一定であり、凹部が後方に向かって光出射面から離れる方向に先細になっていると合目的的である。
【0029】
とりわけ凹部を画定する壁が重なって延在し、好ましくは1つの尖ったエッジに合流すると好適である。
【0030】
さらに内側の壁、すなわち中央光導体群に向いた凹部の壁が平坦に構成されており、好ましくは垂直面として構成されていることができる。
【0031】
さらに、凹部の外側の壁が湾曲して構成されており、好ましくは内側の壁から離れるように湾曲することができる。
【0032】
ここで一般的に好ましくは、凹部を、すなわちその形状および/または後方へのその広がりの長さを、右/左光導体群ないし少なくとも1つの右/左光導体からの光が、左/右光導体群ないし少なくとも1つの左/右光導体に入り込むことができないように(単数ないし複数)光出射面から離れるよう構成することができる。
【0033】
右光導体からの光は左光導体と中央光導体との間の凹部/スリットで(すなわち直線状の壁で)全反射され、したがって中央光導体(ないし中央光導体群)を介して出射する。対応することが左光導体からの光に対しても当てはまり、この光は、右光導体と中央光導体との間の凹部/スリットで全反射され、中央光導体を介してモジュールから出射する。
【0034】
このようにして光像中に先鋭な垂直方向の明暗境界を形成することができる。
【0035】
刻み目ないし凹部の深さは、側方LED光源からの光が外側の対向する光導体に達することができないように選択される。
【0036】
さらに中央光導体に対する光入力結合箇所が、光出射面の方向に、側方LED光源からの光が凹部を通過して達することができないように前に引き出され、構成されていることが合目的的である。
【0037】
具体的には、全体−光導体が光出力結合面とは反対側のその裏側において、光線が外側光源から別の外側LED光源に割り当てられた光出力結合面を通って出射することができないように構成することができ、好ましくは裏側凹部が設けられており、この裏側凹部は、別の外側LED光源に割り当てられた光導体に達することとなる外側LED光源の光をブロックする。
【0038】
たとえばそのために全体光導体が中央で光出射面の方向に、前側凹部を通過して外側光導体に達することができる光をブロックするように前に引き出されており、この光導体に割り当てられていない外側光源から発する光はブロックされ、場合により反射される。
【0039】
変形実施形態では、この前に引き出された領域が全体光導体の中央で、中央LED光源に対する光入力結合箇所として構成されている。
【0040】
スリットにより、全ての光成分の重なり合いの中に、スリット領域には不所望の不均一性を備えるハイビームが生じる。湾曲した壁を使用することにより、これを光学的条件に相応に適合することができ、これにより不均一性を阻止することができ、または少なくとも減衰することができる。
【0041】
さらなる変形実施形態では、凹部を、すなわちその形状および/または後方へのその広がりの長さを、(単数ないし複数)光出射面から離れる方向に、中央光導体群ないし少なくとも1つの中央光導体からの光が、左光導体群ないし右光導体群または少なくとも1つの左ないし右光導体に入り込むことができないよう構成することができる。
【0042】
とりわけこの場合、(単数または複数)凹部との共同作用で、光線が側方光導体に入り込むことができないように、中央LED光源に対する光入力結合箇所が相応に構成されており、たとえば相応に湾曲されていることに注意すべきである。
【0043】
この場合、中央光導体群も部分光分布に対して使用することができ、対向車がすでに通過した場合にはこの対向車を幻惑することなく、中央光導体群ないし中央光導体をスイッチオンすることができる。
【0044】
具体的な実施形態では、光導体ないし全体光−光導体によってハイビーム分布ないし部分ハイビーム分布を形成することができる。
【0045】
さらに、個々のLED光源は互いに独立して制御可能であり、対応してスイッチオン/オフ可能であり、場合により減光も可能である。LED光源の各発光ダイオードが同様に個別にも制御可能であることも有利であり得る。
【0046】
冒頭ですでに述べたように、本発明のモジュールによってフェードアウトした光分布、たとえばロービーム分布もさらに付加的に形成できるようにするため、さらに、光導体ないし全体光−光導体の上部に少なくとも1つのLED光源を配置することができる。そして、このLED光源が光を少なくとも1つの光学系、たとえば少なくとも1つの反射器に放射し、少なくとも1つの光学系、たとえば少なくとも1つの反射器から放射された光が投影レンズの下方領域に照射され、全体光−光出射面を画定する上方エッジが明暗境界として光像中に結像されるようにする。
【0047】
たとえば反射器、レンズの形態の光学系、または好ましくは光導体として構成された(たとえば反射器の形態を備える、またはオーストリア特許第504505号に示されたような)一次光学系等により、割り当てられたレンズの焦点面にロービーム分布が結像され、このロービーム分布がレンズによって車両前方に結像される。
【0048】
ここではたとえば、それぞれ1つの反射器が割り当てられた2つのLED光源が設けられている。
【0049】
光導体ないし全体光−光導体の上側および/または下側が、少なくとも領域的に光反射性に構成されていると有利である。
【0050】
たとえば上側および/または下側には、たとえば鏡面層が被覆され、たとえば蒸着されている。
【0051】
ここで下側/上側は、先鋭な明暗ラインを得るために、たとえば後方領域を反射性に、エッジを吸収性に構成することができる。
【0052】
このようにして光損失が回避され、ないし回避することができ、2つの異なる光分布が形成される場合に、これらの光分布が漏出する光によって互いにネガティブに影響し合うことが回避される。
【0053】
光分布の経過に関しては、好ましくはロービーム分布のための明暗境界を形成するエッジが形成されており、法に則したロービーム分布を形成するために対応する部分を有する。
【0054】
冒頭にすでに述べたように本発明は、上記モジュールを1つまたは好ましくは複数備える前照灯にも関するものである。
【0055】
好ましくはこのような前照灯において、少なくとも1つのモジュール、好ましくは全てのモジュールが、実質的に垂直軸周りに旋回可能である。
【0056】
全てのモジュールが旋回可能である場合、旋回軸は理想的にはモジュールの重心を通って延在する。したがって必要な力は最小であり、振動等が僅かにしか作用しない。
【0057】
1つまたは複数の可動のモジュールによって、光像中の部分領域を静的に「切り出す」ことができるだけでなく、この切り出された部分領域を、モジュールの旋回によっても垂直軸周りに旋回することができる(それぞれ旋回されたモジュールが形成する全体光像により)。これにより、切り出された光部分を、対向車または先行車両の動きに応じて追従案内することができる。
【0058】
しかし安価な実施形態では旋回を行わない、または設けないこともできる。それにもかかわらずこれにより、自動化したハイビームを、部分領域の静的なフェードアウトができない場合よりも格段に早期に再作動することができる。
【0059】
モジュール全体を旋回する代わりに、1つまたは複数のモジュールの投影レンズをそれぞれ1つの垂直軸周りに旋回可能にすることもできる。
【0060】
ここでは軸が、投影レンズの焦点ラインの近傍に延在すると、好ましくは投影レンズの焦点を通って延在すると光学的に理想的である。
【0061】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。