特許第5939503号(P5939503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939503
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】通信装置、通信制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G04G 99/00 20100101AFI20160609BHJP
   G04G 13/02 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   G04G1/00 317
   G04G13/02 A
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-52142(P2012-52142)
(22)【出願日】2012年3月8日
(65)【公開番号】特開2013-186003(P2013-186003A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2014年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−199484(JP,A)
【文献】 特開2009−171227(JP,A)
【文献】 特開2009−064327(JP,A)
【文献】 特開2002−164809(JP,A)
【文献】 特開2006−065813(JP,A)
【文献】 特開2006−040171(JP,A)
【文献】 特開2007−133485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 13/02−15/00
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって任意の時刻が設定される設定手段と、
前記設定された時刻と同じ時刻が設定された他の通信装置の情報を取得する取得手段と、
前記設定された時刻に通信ネットワークを介して前記他の通信装置との間で通信を行う通信手段と
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記通信手段は、前記他の通信装置との間で音声情報による通信を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信手段は、前記他の通信装置との間でテキスト情報による通信を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記音声情報は、肉声又は加工した音声情報であることを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
さらに、前記テキスト情報を合成音で読み上げる読み上げ手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項6】
さらに、前記設定された時刻にユーザに対して所定の行動を促すための信号を発生する信号発生手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信手段は、前記設定された時刻に到達した時点から所定の時間が経過するまでの間、通信ネットワークを介して前記他の通信装置との間で通信を行うことを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の通信装置。
【請求項8】
さらに、前記信号に応答して行われる前記ユーザの行動を検出する行動検出手段と、この行動検出手段の検出結果に基づき、前記設定された時刻と同じ時刻が設定された他の通信装置のユーザを含めた全てのユーザの行動の順位付けを行う順位付け手段とを備えたことを特徴とする請求項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記所定の時間は固定の時間であることを特徴とする請求項7に記載の通信装置。
【請求項10】
前記所定の時間は変更可能な時間であることを特徴とする請求項7に記載の通信装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10いずれかに記載の通信装置は時計装置であることを特徴とする通信装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項10いずれかに記載の通信装置は視聴装置であることを特徴とする通信装置。
【請求項13】
ユーザによって任意の時刻が設定される設定工程と、
前記設定された時刻と同じ時刻が設定された他の通信装置の情報を取得する取得工程と、
前記設定された時刻に通信ネットワークを介して前記他の通信装置との間で通信を行う通信工程と
を含むことを特徴とする通信制御方法。
【請求項14】
通信装置のコンピュータに、
ユーザによって任意の時刻が設定される設定手段、
前記設定された時刻と同じ時刻が設定された他の通信装置の情報を取得する取得手段、
前記設定された時刻に通信ネットワークを介して前記他の通信装置との間で通信を行う通信手段
としての機能を与えることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信制御方法及びプログラムに関し、詳しくは、予め設定された時刻に達すると、所定の動作(通信など)を行う機械器具や電子機器などに適用できる通信装置、通信制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
前記の機械器具や電子機器などの代表例は、目覚まし時計などのアラーム装置である。同装置は、予め設定された時刻に達すると、ユーザに対して起床行動を促すための信号(音や振動または光の明滅などの信号)を発生する。また、アラーム装置の他の例としては、放送番組の予約視聴機能付きのテレビ受信機やラジオ受信機などもある。これらの受信機も、予め設定された時刻に達すると、予約された番組を受信するための信号(チャンネル選択信号やユーザに対してその番組の視聴を促すための信号)を発生する。
【0003】
前記の機械器具や電子機器などの例はこれらに限らない。他にもいろいろ考えられるが、簡単化のために、以下では、前記のアラーム装置を例にして説明することとし、さらに、必要に応じ、前記のテレビ受信機などを例にして説明することとする。
【0004】
下記の特許文献1には、設定されたアラーム時刻に到達するとアラームを鳴らしてユーザに報知する技術が記載されている。以下、この技術を従来技術ということにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−278365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術は、慣れからくるユーザ応答(目覚ましの場合は起床行動、テレビ受信機の場合は視聴行動)の低下問題がある。たとえば、起床用にセットされる平日のアラーム時刻は、多くの場合に毎日同じであるため、毎日定刻にアラームが鳴る。このような繰り返し性アラームの場合、当初はアラームと同時に目覚めることができるものの、慣れが進むにつれて目覚めが遅くなっていき(つまり、ユーザ応答が低下していき)、最悪、寝過ごししてしまうことがある。
【0007】
この説明は、目覚まし用途のアラーム装置に特有のものであるが、「予め設定された時刻に達すると、ユーザに対して何らかの行動を促すための信号を発生する機械器具や電子機器など」の全てにおいても同様の問題点がある。「予め設定された時刻」が毎日定刻などという繰り返し性のものである場合、当該時刻に「ユーザに対して何らかの行動を促すための信号を発生」したとしても、ユーザはその信号にだんだんと慣れてしまい、その結果、行動(ユーザ応答)の遅れを引き起こすからである。
以下、本明細書においては、説明の便宜上、ユーザに対して何らかの行動を促すための信号のことを、「行動契機付信号」ということにする。
【0008】
かかる問題点を解決するためには、たとえば、行動契機付信号(目覚ましの場合はアラーム)の種類を日々変更していくことが考えられる。こうすると、慣れを少なくすることができる。
【0009】
しかしながら、かかる対策も万全とはいえない。ユーザの意志によって行動契機付信号を無視することが可能だからである。
【0010】
そこで、本発明は、通信ネットワークを利用し、同日同時刻の設定を行っているユーザ同士を結びつけることにより、互いの競争心をあおり、または、互いの助け合いを支援して、慣れからくる行動契機付信号に対するユーザ応答の低下問題を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る通信装置は、ユーザによって任意の時刻が設定される設定手段と、前記設定された時刻と同じ時刻が設定された他の通信装置の情報を取得する取得手段と、前記設定された時刻に通信ネットワークを介して前記他の通信装置との間で通信を行う通信手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、慣れからくる行動契機付信号に対するユーザ応答の低下問題を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態のシステム構成図である。
図2】第1の実施形態のユーザ応答の支援に必要な情報の一例を示す図である。
図3】目覚まし時計装置1の外観例を示す図である。
図4】第1の実施形態の動作フローを示す図(1/2)である。
図5】第1の実施形態の動作フローを示す図(2/2)である。
図6】第1の実施形態における支援の模式図である。
図7】第2の実施形態のシステム構成図である。
図8】第2の実施形態のユーザ応答の支援に必要な情報の一例を示す図である。
図9】第2の実施形態の動作フローを示す図(1/2)である。
図10】第2の実施形態の動作フローを示す図(2/2)である。
図11】第2の実施形態における支援の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(1)「第1の実施形態・・・・目覚まし時計への適用」
まず、構成を説明する。
図1は、第1の実施形態のシステム構成図である。この図において、任意のユーザ(以下、自分とする)が所有する目覚まし時計装置1は、通信ネットワーク2を介してサーバ3に接続可能であり、このサーバ3には、通信ネットワーク2を介して他のユーザ群4の目覚まし時計装置5〜7も接続可能になっている。なお、ここでは、他のユーザ群4の目覚まし時計装置5〜7の数を3台としているが、これは一例である。1台であってもよくあるいは3台を超える複数台であってもよい。
【0015】
通信ネットワーク2は、少なくとも、自分の目覚まし時計装置1と、サーバ3と、他のユーザ群4の目覚まし時計装置5〜7との間でやりとりされるデータの伝送路であって、一般的にはインターネットなどの広域ネットワークを含む汎用伝送路であるが、これに限定されない。専用線などの閉じたネットワークであってもよい。また、同伝送路は有線または無線もしくはそれらの混在媒体で構成されていてもよく、さらに、伝送路の一部に公衆電話回線や携帯電話回線などの商用回線網を含んでいてもよい。
【0016】
自分の目覚まし時計装置1と他のユーザ群4の目覚まし時計装置5〜7はいずれも同じ構成を有している。以下、自分の目覚まし時計装置1を代表にしてその構成を説明する。したがって、他のユーザ群4の目覚まし時計装置5〜7の構成を考える場合は、適宜に自分の目覚まし時計装置1の構成を参照するものとする。
【0017】
目覚まし時計装置1は、後述(図3)するように、その外観が目覚まし機能付きの置き時計としてデザインされているが、この目覚まし時計装置1は、前記のとおり、通信ネットワーク2を介してサーバ3に接続することができる機能、すなわち、通信機能を有していることから、「通信装置」ということもできる。
【0018】
目覚まし時計装置1は、通信部8、起床動作検知部9、第1音声入力部10、第2音声入力部11、時計部12、操作部13、音声再生部14、表示部15及び制御部16の各部を備える。なお、これ以外にも、バッテリや商用電源などから上記各部への電源を供給する電源部を備えているが、図では省略している。
【0019】
通信部8は、必要に応じ、通信ネットワーク2を介してサーバ3に接続し、このサーバ3に所要のデータをアップロード(送信)したり、あるいは、サーバ3から所要のデータをダウンロード(受信)したりする。この通信部8は、携帯電話用通信部や一般公衆電話用通信部であってもよく、または、WiFiなどの近距離無線通信部やイーサネット(登録商標)用通信部などであってもよい。
【0020】
さらに、通信部8は、必要に応じ、通信ネットワーク2を介して他のユーザ群4の目覚まし時計装置5〜7のいずれかと直接接続し、または、サーバ3を介して間接的に接続し、それら接続先の目覚まし時計装置5〜7との間でデータ(特に音声のデータ)のやりとりを行う。以下、音声データをやりとりする際のデータ伝送経路のことを便宜的に「音声回線」ということにする。音声回線の“回線”には特段の意味はない。要は、音声データをやりとりする装置の間に一時的(音声データのやりとりが行われる間だけ)に形成される経路を意味しているに過ぎない。
【0021】
たとえば、目覚まし時計装置1と目覚まし時計装置5との間で、ある時点からある時点までの時間だけ音声データをやりとりする場合に、その時間の間、両装置(この場合は目覚まし時計装置1と目覚まし時計装置5)を一時的に接続する経路のことをいう。また、目覚まし時計装置1と複数の目覚まし時計装置(たとえば、目覚まし時計装置5〜7)との間で、ある時点からある時点までの時間だけ音声データをやりとりする場合には、その時間の間、両装置(この場合は目覚まし時計装置1と目覚まし時計装置5、目覚まし時計装置1と目覚まし時計装置6、目覚まし時計装置1と目覚まし時計装置7)を一時的に接続する経路のことをいう。
【0022】
起床動作検知部9は、ユーザの起床動作を物理的に検知するためのものであり、この起床動作検知部9には、たとえば、圧力センサを用いることができる。枕の下に起床動作検知部9(圧力センサ)を敷いておけば、頭の重さの変化から起床動作を検知することができる。
【0023】
第1音声入力部10と第2音声入力部11は、いわゆるステレオマイクである。すなわち、離隔配置された一対のマイク(第1音声入力部10と第2音声入力部11)で構成されている。この第1音声入力部10と第2音声入力部11は、両マイクの音量差から音源の位置を検知する音源位置検知手段として機能すると共に、単なる音声入力手段としても機能する。
【0024】
音源位置検知手段(第1音声入力部10と第2音声入力部11)によって、音源の位置移動を検出することにより、ユーザの起床動作を検知することが可能である。したがって、この第1音声入力部10と第2音声入力部11は、上記の起床動作検知部9と同様の起床動作検出手段としての機能も有している。
【0025】
このように、実施形態では二つの起床動作検出手段(起床動作検知部9と第1音声入力部10及び第2音声入力部11)を備えている。二つの起床動作検出手段を備える理由は、以下のとおりである。まず、原理上、ユーザの起床動作を検知する目的からは、一つの起床動作検出手段、つまり、起床動作検知部9と、第1音声入力部10と第2音声入力部11とのうちのいずれか一方だけを備えておけばよい。しかしながら、一つの起床動作検出手段だけでは信頼性に難がある。音源の位置移動検出に基づく起床動作検知は、起床前後で必ずしも音が出るとは限らないから、誤検出があり得るし、また、起床動作検知部9による起床動作検知においても就寝中に枕から頭が外れてしまうことがあり、やはり誤検出があり得るからである。したがって、検知精度の観点からは、二つの起床動作検出手段(起床動作検知部9と第1音声入力部10及び第2音声入力部11)を備えることが望ましい。
【0026】
以上の点を踏まえると、二つの起床動作検出手段(起床動作検知部9と第1音声入力部10及び第2音声入力部11)を備え、且つ、そのうちの第1音声入力部10及び第2音声入力部11を音声入力手段としても利用する実施形態の態様は実用上、理にかなっている。
【0027】
次に、時計部12は、時刻に関するデータ(時、分、秒などのデータ;以下、時刻データという)を発生すると時刻発生機能と、ユーザによって設定された時刻に音や振動又は光の明滅等の信号(以下、アラーム信号という)を発生するアラーム機能と、前記時刻データに基づく時間表示を行う時間表示機能とを有する。時間表示は長針や短針などによるアナログ方式であってもよく、あるいは、時刻データを数値で表示するデジタル方式、若しくは、アナログとデジタルの併用方式であってもよい。また、この時刻発生機能は、クオーツ振動子などの正確な振動波形に基づいて時を刻むものであってもよく、あるいは、GPS衛星からの電波を利用して正確な時を刻むGPS時計や、長波標準電波を受信して同様に正確な時を刻むいわゆる電波時計であってもよい。正確さの点でGPS時計または電波時計の使用が望ましい。
また、上記のアラーム信号は、ユーザに対して何らかの行動(本実施形態では起床行動)を促すための信号であるから、冒頭で定義した「行動契機付信号」に相当する。
【0028】
操作部13は、押しボタンなどの入力用インターフェースであり、たとえば、アラーム時刻の設定や解除及びアラームの停止などの入力操作に用いられる。
【0029】
音声再生部14は、音声データをアナログの音声信号に変換して増幅する音声変換増幅部と、その音声信号を拡声して出力するスピーカとを備える。この音声再生部14は、少なくとも、必要に応じ、音声回線を介して他の目覚まし時計装置(たとえば、他のユーザ群4の目覚まし時計装置5〜7)から取り込まれる音声データを拡声出力する。なお、時計部12て発生したアラーム信号(行動契機付信号)を、この音声再生部14で拡声出力するようにしてもよい。
【0030】
表示部15は、たとえば、液晶ディスプレイパネル等の平面表示デバイスであり、少なくとも、この目覚まし時計装置1の目覚まし機能に基づくユーザ応答(アラームに呼応した起床動作)の支援に必要な様々な情報を可視化して表示する。
【0031】
図2は、ユーザ応答の支援に必要な情報の一例を示す図である。この図において、(a)は必要に応じて表示部15に表示される第1の画面17であり、(b)は同じく必要に応じて表示部15に表示される第2の画面18であり、(c)は必要に応じて表示部15に表示される第3の画面19である。
【0032】
第1の画面17と第2の画面18は、同じ起床時刻が登録されている全てのユーザリストを表示するためのものであり、各々のリストには、ユーザ名(ここでは便宜的に“自分”、“ユーザA”、“ユーザB”、“ユーザC”、“ユーザD”とする)と、各ユーザごとの現在の状態とが含まれている。ちなみに、各ユーザの現在の状態は、第1の画面17にあっては全ユーザが“就寝中”となっているが、第2の画面18にあってはユーザAとユーザCが“起床”となっている。
【0033】
第1の画面17と第2の画面18の時間的な前後関係は、第1の画面17が“前”、第2の画面18が“後”である。つまり、この例では、当初(第1の画面17の表示時点で)自分を含む全てのユーザがまだ就寝中であったが、その後のある時点で自分以外の任意のユーザ(図ではユーザAとユーザC)が起床したことを表している。
【0034】
第3の画面19も同じ起床時刻が登録されている全てのユーザリストを表示する点で、前記の第1の画面17及び第2の画面18と類似するが、この第3の画面19は、自分が起床した際に表示される点、及び、各ユーザごとの現在の状態の代わりに、起床の順位を表示する点で前記の第1の画面17及び第2の画面18と相違する。
【0035】
起床の順位表示は、以下のとおりになる。たとえば、図示の例では、自分よりも先に二人のユーザ(ユーザAとユーザC)が起床しているので、自分の起床順位が「第3位」になる。また、自分よりも先に一人のユーザが起床していれば、自分の起床順位が「第2位」になり、自分よりも先に三人のユーザが起床していれば、自分の起床順位が「第4位」になり、さらに、自分以外の全てのユーザ(図示の例では四人のユーザ)が起床していれば、自分の起床順位が「第5位」になる。あるいは、全てのユーザの中で自分が最初に起床すれば、第2の画面18を表示せずに、自分の起床順位を「第1位」とした第3の画面18を表示する。
【0036】
このように、自分の起床順位を表示することができる。
【0037】
再び、図1に戻り、制御部16は、典型的にはプログラム制御方式のマイクロコンピュータ(単にコンピュータともいう)であり、不図示のメモリに予め書き込まれている制御プログラムを実行して目覚まし時計装置1に必要な各種動作を統括制御する。主要な動作は、サーバ3への接続、サーバ3へのデータアップロード、サーバ3からのデータダウンロード、及び、他のユーザ群4の目覚まし時計装置5〜7との間で必要に応じて行われる音声データのやりとり(音声のマイク入力と音声の拡声出力を含む)である。
【0038】
図3は、目覚まし時計装置1の外観例を示す図である。この図において、目覚まし時計装置1は、箱形形状の筐体20の前面に時計部12と表示部15と第1音声入力部10とを配置し、また、同筐体20の上面に音声再生部14と通信部8のアンテナ21とを配置するとともに、同筐体20の側面と背面にそれぞれ第2音声入力部11と操作部13とを配置し、さらに、同筐体20の底面に起床動作検知部9を配置している。なお、起床動作検知部9を除く各部(時計部12、表示部15、第1音声入力部10、音声再生部14、アンテナ21、第2音声入力部11、操作部13)の配置は、この例に限定されない。デザインや使い勝手を考慮して適切に配置されていればよい。また、ステレオマイクとしても機能する第1音声入力部10と第2音声入力部11は、この例では、筐体20の前面と背面に配置されているが、たとえば、筐体20の左右の側面に配置してもよい。
【0039】
起床動作検知部9は、細長い平板形状を有しており、就寝時には枕22の下に敷いて用いられるようになっている。
【0040】
なお、図示の例では、起床動作検知部9を筐体20の底面に取り付けて一体化しているが、これに限らず、起床動作検知部9を別体とし、筐体20から独立させてもよい。この場合、起床動作検知部9と筐体20との間をケーブルで接続してもよく、あるいは、ブルーツース等の近距離無線で接続してもよい。
【0041】
次に、作用を説明する。
図4及び図5は、第1の実施形態の動作フローを示す図である。な、この動作フローは、制御部16で実行される制御プログラムの処理動作を簡略化して時系列的に表したものである。したがって、この動作フローの実行主体は制御部16である。
【0042】
この動作フローでは、まず、ユーザに対して何らかの行動(ここでは起床動作)を促すための行動契機付信号を発生する時刻(つまり、起床時刻)をセットする(ステップS10)。次いで、通信ネットワーク2を介してサーバ3に接続し(ステップS11)、サーバ3に起床時刻(ステップS10でセットされたもの)をアップロードして登録する(ステップS12)とともに、同じ起床時刻を登録したユーザ情報をサーバ3からダウンロードする(ステップS13)。「同じ起床時刻を登録したユーザ情報」とは、図1の通信ネットワーク2に接続された他のユーザ群4に属するユーザのうち、自分と同じ起床時刻を登録したユーザの情報(ユーザ名やそれらユーザの目覚まし時計装置5〜7を識別するための情報など)のことをいう。
【0043】
このように、起床時刻のセット、サーバ3への登録、及び、同じ起床時刻を登録したユーザ情報のダウンロードを行うと、次いで、セットした起床時刻になるまで待機する(ステップS14)。
【0044】
そして、セットした起床時刻になると(ステップS14の判定結果がYESになると)、音声回線をオープンし(ステップS15)、通常のアラーム信号(行動契機付信号)を出力し(ステップS16)、タイマーのカウントを開始する(ステップS17)。
【0045】
ここで、ステップS15でオープンする音声回線は、自分と同じ起床時刻がセットされている目覚まし時計装置との間で音声データのやりとりを行うための回線(通信ネットワーク2を経由した回線)のことをいい、たとえば、自分と同じ起床時刻がセットされている目覚まし時計装置を他のユーザ群4の目覚まし時計装置5とすれば、この目覚まし時計装置5と自分の目覚まし時計装置1との間で音声データのやりとりを行うための回線のことをいう。または、自分と同じ起床時刻がセットされている目覚まし時計装置を他のユーザ群4の目覚まし時計装置5及び目覚まし時計装置6とすれば、これらの目覚まし時計装置5及び目覚まし時計装置6と自分の目覚まし時計装置1との間で音声データのやりとりを行うための回線のことをいう。あるいは、自分と同じ起床時刻がセットされている目覚まし時計装置を他のユーザ群4の目覚まし時計装置5〜目覚まし時計装置7とすれば、これらの目覚まし時計装置5〜7と自分の目覚まし時計装置1との間で音声データのやりとりを行うための回線のことをいう。
【0046】
また、ステップS16で出力する通常のアラーム信号とは、気持ちよく起床できる適切な音色、且つ、適切な音量のアラーム信号のことをいい、この「通常」という表現は、後述の強制起床用アラーム信号と区別するためのものである。
【0047】
ステップS17でタイマのカウントを開始すると、前記の第1の画面17(図2(a)参照)を表示し(ステップS18)、次いで、第1音声入力部10と第2音声入力部11からの音声信号を取り込むとともに、起床動作検知部9からの起床動作検知信号を取り込み(ステップS19)、これらの信号に基づいて、目覚まし時計装置1のユーザが起床したか否かを判定する(ステップS20)。このステップS20では、第1音声入力部10と第2音声入力部11の音量差からユーザの移動を検知したとき、または、起床動作検知信号が荷重状態から無荷重状態または軽荷重状態へと遷移したときをもって起床と判定する。すなわち、音源移動と荷重変化のいずれか一方のオアで起床と判定する。ただし、判定の仕方はこれ(オア判定)に限定されない。音源移動と荷重変化の双方のアンドで起床と判定してもよく、むしろ信頼性の点で後者のアンド判定が望ましい。
【0048】
<直ちに起床した場合>
ステップS20の判定結果がYESの場合、つまり、ステップS16の通常のアラーム信号に応答してユーザ(自分)が直ちに起床した場合は、他ユーザ(自分と同一の起床時刻をセットしている他のユーザ)の全員が起床済みであるか否かを判定する(ステップS21)。
ここでは、説明の都合上、他ユーザは全員まだ起床していないものとする。この場合、ステップS21の判定結果がNOとなるので、自分が起床したことを他ユーザに通知(ステップS22)するとともに、起床順位を表示(図2(c)の第3の画面19を表示)(ステップS23)し、さらに、音声回線をクローズ(ステップS24)して処理を終了する。この場合の自分の起床順位は「第1位」になる。
【0049】
<直ちに起床しなかった場合>
ステップS20の判定結果がNOの場合、つまり、まだユーザ(自分)が起床していない(就寝中である)場合は、次の二つのケースに分かれる。
〔第1のケース〕
タイマーのカウント値が所定の「限界値」を越えてもなお起床しなかった場合(ステップS25の判定結果がYESになる場合)である。「限界値」とは、通常のアラーム信号の出力継続時間のことをいい、一般的にこれ以上の寝過ごし(起床遅れ)を許さない限界の時間のことをいう。この限界値は60分などという固定値であってもよいが、実用上は、ユーザの生活スタイルに合わせてユーザが適宜に変更できる可変値としておくことが望ましい。
この第1のケースの場合(「限界値」を越えてもなお起床しなかった場合)、通常のアラームの代わりに強力なアラーム信号を出力してユーザを強制的に起床させる(ステップS26)。強力なアラーム信号は、たとえば、音量が大きいアラーム信号や耳障りな音質のアラーム信号であってもよいし、または、振動や電気ショックなどであってもよい。要は、ユーザを強制的に起床させることができるものであればよい。このように、ユーザを強制的に起床させた場合は、音声回線をクローズ(ステップS24)して、そのまま処理を終了する。
【0050】
〔第2のケース〕
タイマーのカウント値が所定の「限界値」を越えるまでの間(ステップS25の判定結果がNOの間)に起床した場合(ステップS20の判定結果がYESになった場合)である。この場合、ステップS20の判定結果がNOの間は、他ユーザ(自分と同一の起床時刻をセットしているユーザ)が起床したか否かを判定し(ステップS27)、他ユーザが起床していなかった場合は、ステップS19以降を繰り返す一方、他ユーザが起床していた場合は、起床済みユーザの表示を変更(図2(b)の第2の画面18を表示)(ステップS28)した後、ステップS19以降を繰り返す。
【0051】
一方、この第2のケースにおいて、ステップS20の判定結果がYESになると、前記の<直ちに起床した場合>と同様に、他ユーザ(自分と同一の起床時刻をセットしている他のユーザ)の全員が起床済みであるか否かを判定する(ステップS21)。そして、他ユーザの全員が起床済みであれば、起床順位を表示(図2(c)の第3の画面19を表示)(ステップS23)し、さらに、音声回線をクローズ(ステップS24)して処理を終了するが、他ユーザの全員が起床済みでなければ、自分が起床したことを他ユーザに通知(ステップS22)するとともに、起床順位を表示(図2(c)の第3の画面19を表示)(ステップS23)し、さらに、音声回線をクローズ(ステップS24)して処理を終了する。
【0052】
この〔第2のケース〕では、前記の<直ちに起床した場合>と同様に、起床順位を表示(図2(c)の第3の画面19を表示)(ステップS23)する。前記の<直ちに起床した場合>における自分の起床順位は「第1位」となり、一方、この第2のケースにおける自分の起床順位は、起床済みの他ユーザの人数をnとすると、「第n+1位」になる。
【0053】
このように、本実施形態によれば、通信ネットワーク2を経由して接続されたユーザ同士で起床の順位を競うことができる。したがって、互いの競争心を煽って単なる起床動作に面白味を持たせることができる。
【0054】
加えて、本実施形態では、起床時刻に到達してから実際に起床するまでの間、同じ起床時刻をセットしているユーザ相互の音声のやりとりをするための音声回線をオープンにしているので、たとえば、なかなか起床しないユーザに声をかけるなどのユーザ相互の支援を行うこともできる。
【0055】
図6は、第1の実施形態における支援の模式図である。この図に示すように、先に起床したユーザ23が、目覚まし時計装置(たとえば、図1の目覚まし時計装置5)の音声入力部(第1音声入力部10または第2音声入力部11の一方または双方)に向けて任意の呼びかけ(たとえば、“起きろー!”)を行うと、この呼びかけが、まだ起床していないユーザ24の枕元の目覚まし時計装置(たとえば、図1の目覚まし時計装置1)の音声再生部14から拡声出力される。就寝中のユーザ24は、この呼びかけに反応して起きることができ、寝過ごしを防止することができる。これは、ユーザ23からの呼びかけが自由で予測できないものであるため、アラーム信号(行動契機付信号)のような慣れを生じないからである。
【0056】
なお、ユーザ支援の方法は、図6に示す“肉声”に限らない。たとえば、加工された音声や電子的に生成された合成音または任意の音楽などであってもよい。就寝中のユーザを起床させることができ、且つ、慣れを生じさせない音であればよい。
【0057】
このように、この第1の実施形態によれば、通信ネットワーク2を利用し、同日同時刻の設定を行っているユーザ同士を結びつけることにより、互いの競争心をあおり、または、互いの助け合いを支援して、慣れからくるアラーム信号(行動契機付信号)に対するユーザ応答(この実施形態では起床動作)の低下問題を回避することができる。
【0058】
(2)「第2の実施形態・・・・テレビ放送等の視聴装置への適用」
まず、構成を説明する。
図7は、第2の実施形態のシステム構成図である。この図において、任意のユーザ(以下、自分とする)が所有するテレビ放送等の視聴装置(以下、単に視聴装置という)30は、通信ネットワーク31を介してサーバ32に接続可能であり、このサーバ32には、通信ネットワーク31を介して他のユーザ群33の視聴装置34〜36も接続可能になっている。なお、ここでは、他のユーザ群33の視聴装置34〜36の数を3台としているが、これは一例である。1台であってもよくあるいは3台を超える複数台であってもよい。
【0059】
通信ネットワーク31は、少なくとも、自分の視聴装置30と、サーバ32と、他のユーザ群33の視聴装置34〜36との間でやりとりされるデータの伝送路であって、一般的にはインターネットなどの広域ネットワークを含む汎用伝送路であるが、これに限定されない。専用線などの閉じたネットワークであってもよい。また、同伝送路は有線または無線もしくはそれらの混在媒体で構成されていてもよく、さらに、伝送路の一部に公衆電話回線や携帯電話回線などの商用回線網を含んでいてもよい。
【0060】
自分の視聴装置30と他のユーザ群33の視聴装置34〜36はいずれも同じ構成を有している。以下、自分の視聴装置30を代表にしてその構成を説明する。したがって、他のユーザ群33の視聴装置34〜36の構成を考える場合は、適宜に自分の視聴装置30の構成を参照するものとする。
【0061】
視聴装置30は、後述するように、通信ネットワーク31を介してサーバ32に接続することができる機能、すなわち、通信機能を有していることから、「通信装置」ということもできる。
【0062】
視聴装置30は、通信部37、時計部38、チューナ部39、視聴部40、音声入力部41、操作部42、音声再生部43、表示部44及び制御部45の各部を備える。なお、これ以外にも、バッテリや商用電源などから上記各部への電源を供給する電源部を備えているが、図では省略している。
【0063】
通信部37は、必要に応じ、通信ネットワーク31を介してサーバ32に接続し、このサーバ32に所要のデータをアップロード(送信)したり、あるいは、サーバ32から所要のデータをダウンロード(受信)したりする。この通信部37は、携帯電話用通信部や一般公衆電話用通信部であってもよく、または、WiFiなどの近距離無線通信部やイーサネット(登録商標)用通信部などであってもよい。
【0064】
さらに、通信部37は、必要に応じ、通信ネットワーク31を介して他のユーザ群33の視聴装置34〜36のいずれかと直接接続し、または、サーバ32を介して間接的に接続し、それら接続先の視聴装置34〜36との間でデータ(特に音声のデータ)のやりとりを行う。以下、音声データをやりとりする際のデータ伝送経路のことを便宜的に「音声回線」ということにする。音声回線の“回線”には特段の意味はない。要は、音声データをやりとりする装置の間に一時的(音声データのやりとりが行われる間だけ)に形成される経路を意味しているに過ぎない。
【0065】
たとえば、視聴装置30と視聴装置34との間で、ある時点からある時点までの時間だけ音声データをやりとりする場合に、その時間の間、両装置(この場合は視聴装置30と視聴装置34)を一時的に接続する経路のことをいう。また、視聴装置30と複数の視聴装置(たとえば、視聴装置34〜36)との間で、ある時点からある時点までの時間だけ音声データをやりとりする場合には、その時間の間、両装置(この場合は視聴装置30と視聴装置34、視聴装置30と視聴装置35、視聴装置30と視聴装置36)を一時的に接続する経路のことをいう。
【0066】
時計部38は、時刻に関するデータ(時、分、秒などのデータ;以下、時刻データという)を発生すると時刻発生機能と、ユーザによって設定された時刻に音や振動又は光の明滅等の信号(以下、アラーム信号という)を発生するアラーム機能とを備える。なお、これらの機能に加えて、前記時刻データに基づく時間表示を行う時間表示機能を備えていてもよい。時間表示は長針や短針などによるアナログ方式であってもよく、あるいは、時刻データを数値で表示するデジタル方式、若しくは、アナログとデジタルの併用方式であってもよい。また、時刻発生機能は、クオーツ振動子などの正確な振動波形に基づいて時を刻むものであってもよく、あるいは、GPS衛星からの電波を利用して正確な時を刻むGPS時計や、長波標準電波を受信して同様に正確な時を刻むいわゆる電波時計であってもよい。正確さの点でGPS時計または電波時計の使用が望ましい。
また、上記のアラーム信号は、ユーザに対して何らかの行動(本実施形態では視聴開始行動)を促すための信号であるから、冒頭で定義した「行動契機付信号」に相当する。
【0067】
チューナ部39は、放送番組のチャンネルを選択的に受信する受信部であり、また、視聴部40は、このチューナ部39で受信した放送番組を視聴するテレビモニタ部やラジオモニタ部である。
【0068】
音声入力部41は、マイクと、そのマイクで拾った音を電気信号に変換して出力する信号処理回路とを含む音声入力手段であり、この音声入力手段は、装置間で音声データをやりとりする際に用いられる。
【0069】
操作部42は、押しボタンなどの入力用インターフェースであり、たとえば、視聴予定チャンネルの設定、視聴予定時刻の設定、それらの設定解除及びアラーム停止などの入力操作に用いられる。
【0070】
音声再生部43は、音声データをアナログの音声信号に変換して増幅する音声変換増幅部と、その音声信号を拡声して出力するスピーカとを備える。この音声再生部43は、少なくとも、必要に応じ、音声回線を介して他の視聴装置(たとえば、他のユーザ群33の視聴装置34〜36)から取り込まれる音声データを拡声出力する。なお、時計部38て発生したアラーム信号(行動契機付信号)を、この音声再生部43で拡声出力するようにしてもよい。
【0071】
表示部44は、たとえば、液晶ディスプレイパネル等の平面表示デバイスであり、少なくとも、この視聴装置30のアラーム機能に基づくユーザ応答(アラームに呼応した視聴動作)の支援に必要な様々な情報を可視化して表示する。
【0072】
図8は、第2の実施形態のユーザ応答の支援に必要な情報の一例を示す図である。この図において、(a)は必要に応じて表示部44に表示される第1の画面46であり、(b)は同じく必要に応じて表示部44に表示される第2の画面47であり、(c)は必要に応じて表示部44に表示される第3の画面48である。
【0073】
第1の画面46と第2の画面47は、同じ視聴時刻が登録されている全てのユーザリストを表示するためのものであり、各々のリストには、ユーザ名(ここでは便宜的に“自分”、“ユーザA”、“ユーザB”、“ユーザC”、“ユーザD”とする)と、各ユーザごとの現在の状態とが含まれている。ちなみに、各ユーザの現在の状態は、第1の画面46にあっては全ユーザが“待機中”となっているが、第2の画面47にあってはユーザAとユーザCが“視聴中”となっている。
【0074】
第1の画面46と第2の画面47の時間的な前後関係は、第1の画面46が“前”、第2の画面47が“後”である。つまり、この例では、当初(第1の画面46の表示時点で)自分を含む全てのユーザがまだ待機中であったが、その後のある時点で自分以外の任意のユーザ(図ではユーザAとユーザC)が視聴を開始したことを表している。
【0075】
第3の画面48も同じ視聴時刻が登録されている全てのユーザリストを表示する点で、前記の第1の画面46及び第2の画面47と類似するが、この第3の画面48は、自分が視聴を開始した際に表示される点、及び、各ユーザごとの現在の状態の代わりに、視聴を開始した順位を表示する点で前記の第1の画面46及び第2の画面47と相違する。
【0076】
視聴を開始した順位表示は、以下のとおりになる。たとえば、図示の例では、自分よりも先に二人のユーザ(ユーザAとユーザC)が視聴を開始しているので、自分の視聴順位が「第3位」になる。また、自分よりも先に一人のユーザが視聴を開始していれば、自分の視聴順位が「第2位」になり、自分よりも先に三人のユーザが視聴を開始していれば、自分の視聴順位が「第4位」になり、さらに、自分以外の全てのユーザ(図示の例では四人のユーザ)が視聴を開始していれば、自分の視聴順位が「第5位」になる。あるいは、全てのユーザの中で自分が最初に視聴を開始していれば、第2の画面47を表示せずに、自分の視聴順位を「第1位」とした第3の画面18を表示する。
【0077】
このように、自分の視聴順位を表示することができる。
【0078】
再び、図7に戻り、制御部45は、典型的にはプログラム制御方式のマイクロコンピュータ(単にコンピュータともいう)であり、不図示のメモリに予め書き込まれている制御プログラムを実行して視聴装置30に必要な各種動作を統括制御する。主要な動作は、サーバ32への接続、サーバ32へのデータアップロード、サーバ32からのデータダウンロード、及び、他のユーザ群33の視聴装置34〜36との間で必要に応じて行われる音声データのやりとり(音声のマイク入力と音声の拡声出力を含む)である。
【0079】
次に、作用を説明する。
図9及び図10は、第2の実施形態の動作フローを示す図である。な、この動作フローは、制御部45で実行される制御プログラムの処理動作を簡略化して時系列的に表したものである。したがって、この動作フローの実行主体は制御部45である。
【0080】
この動作フローでは、まず、ユーザに対して何らかの行動(ここでは視聴動作)を促すための行動契機付信号を発生する時刻(つまり、視聴時刻)をセットする(ステップS30)。次いで、通信ネットワーク31を介してサーバ32に接続し(ステップS31)、サーバ32に視聴時刻(ステップS30でセットされたもの)をアップロードして登録する(ステップS32)とともに、同じ視聴時刻を登録したユーザ情報をサーバ32からダウンロードする(ステップS33)。「同じ視聴時刻を登録したユーザ情報」とは、図7の通信ネットワーク31に接続された他のユーザ群33に属するユーザのうち、自分と同じ視聴時刻を登録したユーザの情報(ユーザ名やそれらユーザの視聴装置34〜36を識別するための情報など)のことをいう。
【0081】
このように、視聴時刻のセット、サーバ32への登録、及び、同じ視聴時刻を登録したユーザ情報のダウンロードを行うと、次いで、セットした視聴時刻になるまで待機する(ステップS34)。
【0082】
そして、セットした視聴時刻になると(ステップS34の判定結果がYESになると)、音声回線をオープンし(ステップS35)、通常のアラーム信号(行動契機付信号)を出力し(ステップS36)、タイマーのカウントを開始する(ステップS37)。
【0083】
ここで、ステップS35でオープンする音声回線は、自分と同じ視聴時刻がセットされている視聴装置との間で音声データのやりとりを行うための回線(通信ネットワーク31を経由した回線)のことをいい、たとえば、自分と同じ視聴時刻がセットされている視聴装置を他のユーザ群33の視聴装置34とすれば、この視聴装置34と自分の視聴装置30との間で音声データのやりとりを行うための回線のことをいう。または、自分と同じ視聴時刻がセットされている視聴装置を他のユーザ群33の視聴装置34及び視聴装置35とすれば、これらの視聴装置34及び視聴装置35と自分の視聴装置30との間で音声データのやりとりを行うための回線のことをいう。あるいは、自分と同じ視聴時刻がセットされている視聴装置を他のユーザ群33の視聴装置34〜36とすれば、これらの視聴装置34〜36と自分の視聴装置30との間で音声データのやりとりを行うための回線のことをいう。
【0084】
また、ステップS36で出力する通常のアラーム信号とは、気持ちよく視聴動作を開始できる適切な音色、且つ、適切な音量のアラーム信号のことをいい、この「通常」という表現は、後述の視聴強制用アラーム信号と区別するためのものである。
【0085】
ステップS37でタイマのカウントを開始すると、前記の第1の画面46(図8(a)参照)を表示し(ステップS38)、次いで、視聴部40から状態信号を取り込み(ステップS39)、この状態信号に基づいて、視聴装置30のユーザが視聴を開始したか否かを判定する(ステップS40)。このステップS40における判定態様はいろいろ考えられる。たとえば、視聴部40に対して何らかのユーザ操作(たとえば、番組音量の調節操作など)が行われたことをもって、視聴装置30のユーザが視聴を開始したと判定してもよく、または、視聴部40から赤外線などの不可視光線を照射し、その光線でユーザの存在を検出したときに、視聴装置30のユーザが視聴を開始したと判定してもよい。
【0086】
<直ちに視聴を開始した場合>
ステップS40の判定結果がYESの場合、つまり、ステップS36の通常のアラーム信号に応答してユーザが直ちに視聴を開始した場合は、他ユーザ(自分と同一の視聴時刻をセットしている他のユーザ)の全員が視聴開始済みであるか否かを判定する(ステップS41)。
ここでは、説明の都合上、他ユーザは全員まだ視聴を開始していないものとする。この場合、ステップS41の判定結果がNOとなるので、自分が視聴を開始したことを他ユーザに通知(ステップS42)するとともに、視聴順位を表示(図8(c)の第3の画面48を表示)(ステップS43)し、さらに、音声回線をクローズ(ステップS44)して処理を終了する。この場合の自分の視聴順位は「第1位」になる。
【0087】
<直ちに視聴を開始しなかった場合>
ステップS40の判定結果がNOの場合、つまり、まだユーザが視聴を開始していない(待機中である)場合は、次の二つのケースに分かれる。
〔第1のケース〕
タイマーのカウント値が所定の「限界値」を越えてもなお視聴を開始しなかった場合(ステップS45の判定結果がYESになる場合)である。「限界値」とは、通常のアラーム信号の出力継続時間のことをいい、一般的にこれ以上の視聴開始遅れを許さない限界の時間のことをいう。この限界値は、たとえば、60分などという固定値としてもよいが、実用上は、放送番組の長さに合わせてユーザが適宜に変更できる可変値としておくことが望ましい。
この第1のケースの場合(「限界値」を越えてもなお視聴を開始しなかった場合)、通常のアラームの代わりに強力なアラーム信号を出力してユーザに強制的に視聴を開始させる(ステップS46)。強力なアラーム信号は、たとえば、音量が大きいアラーム信号や耳障りな音質のアラーム信号であってもよいし、または、振動や電気ショックなどであってもよい。要は、ユーザに強制的に視聴を開始させることができるものであればよい。このように、ユーザに強制的に視聴を開始させた場合は、音声回線をクローズ(ステップS44)して、そのまま処理を終了する。
【0088】
〔第2のケース〕
タイマーのカウント値が所定の「限界値」を越えるまでの間(ステップS45の判定結果がNOの間)に視聴を開始した場合(ステップS40の判定結果がYESになった場合)である。この場合、ステップS40の判定結果がNOの間は、他ユーザ(自分と同一の視聴時刻をセットしているユーザ)が視聴を開始したか否かを判定し(ステップS47)、他ユーザが視聴を開始していなかった場合は、ステップS39以降を繰り返す一方、他ユーザが視聴を開始していた場合は、視聴開始済みユーザの表示を変更(図8(b)の第2の画面47を表示)(ステップS48)した後、ステップS39以降を繰り返す。
【0089】
一方、この第2のケースにおいて、ステップS40の判定結果がYESになると、前記の<直ちに視聴を開始した場合>と同様に、他ユーザ(自分と同一の視聴時刻をセットしている他のユーザ)の全員が視聴開始済みであるか否かを判定する(ステップS41)。そして、他ユーザの全員が視聴開始済みであれば、視聴順位を表示(図8(c)の第3の画面48を表示)(ステップS43)し、さらに、音声回線をクローズ(ステップS44)して処理を終了するが、他ユーザの全員が視聴開始済みでなければ、自分が視聴を開始したことを他ユーザに通知(ステップS42)するとともに、視聴順位を表示(図8(c)の第3の画面48を表示)(ステップS43)し、さらに、音声回線をクローズ(ステップS44)して処理を終了する。
【0090】
この〔第2のケース〕では、前記の<直ちに視聴を開始した場合>と同様に、視聴順位を表示(図8(c)の第3の画面48を表示)(ステップS43)する。前記の<直ちに視聴を開始した場合>における自分の視聴順位は「第1位」となり、一方、この第2のケースにおける自分の視聴順位は、視聴開始済みの他ユーザの人数をnとすると、「第n+1位」になる。
【0091】
このように、本実施形態によれば、通信ネットワーク31を経由して接続されたユーザ同士で視聴開始順位を競うことができる。したがって、互いの競争心を煽って単なる視聴動作に面白味を持たせることができる。
【0092】
加えて、本実施形態では、視聴時刻に到達してから実際に視聴を開始するまでの間、同じ視聴時刻をセットしているユーザ相互の音声のやりとりをするための音声回線をオープンにしているので、たとえば、なかなか視聴を開始しないユーザに声をかけるなどのユーザ相互の支援を行うこともできる。
【0093】
図11は、第2の実施形態における支援の模式図である。この図に示すように、先に視聴を開始したユーザ49が、視聴装置(たとえば、図7の視聴装置34)の音声入力部41に向けて任意の呼びかけ(たとえば、“番組が始まったよー!”)を行うと、この呼びかけが、まだ視聴を開始していないユーザ50の視聴装置(たとえば、図7の視聴装置30)の音声再生部43から拡声出力される。待機中のユーザ50は、この呼びかけに反応して忘れていた視聴を開始することができ、視聴開始遅れを防止することができる。これは、ユーザ49からの呼びかけが自由で予測できないものであるため、アラーム信号(行動契機付信号)のような慣れを生じないからである。
【0094】
なお、ユーザ支援の方法は、図11に示す“肉声”に限らない。たとえば、加工された音声や電子的に生成された合成音または任意の音楽などであってもよい。ユーザに視聴を開始させることができ、且つ、慣れを生じさせない音であればよい。
【0095】
このように、この第2の実施形態によれば、通信ネットワーク31を利用し、同日同時刻の設定を行っているユーザ同士を結びつけることにより、互いの競争心をあおり、または、互いの助け合いを支援して、慣れからくるアラーム信号(行動契機付信号)に対するユーザ応答(この実施形態では視聴動作)の低下問題を回避することができる。
【0096】
なお、第2の実施形態においては、ユーザの視聴開始後、音声回線をクローズ(図10のステップS44)するようにしているが、これに限定されない。たとえば、ユーザが番組を視聴している間、音声回線をオープンにしたままとしてもよい。この場合、同じ番組を視聴しているユーザ同士で会話を交わすことが可能となり、あたかも、同じ場所で一緒に番組を見ているがごとき環境を再現することができる。また、この場合、回線を介してやりとりされるデータは音声などの音情報でなくてもよく、たとえば、キーボードなどから入力された文字情報(コメント等のテキスト情報)であってもよい。視聴中の画面に文字情報を重畳表示することにより、たとえば、「ニコニコ動画」(登録商標)のような面白味のある表示態様を実現することができる。あるいは、そのようにしてやりとりされる文字情報をテキスト音声として読み上げるようにしてもよい。
【0097】
(3)「サーバの役割」
第1の実施形態におけるサーバ3及び第2の実施形態におけるサーバ32の役割について説明する。
第1の実施形態におけるサーバ3は、第一に、ネットワーク2に接続された目覚まし時計装置1、5〜7からアップロードされた起床時刻を、そのアップロード元の情報(目覚まし時計装置1、5〜7のユーザ名など)に紐付けして登録管理する役割を持つ(図4のステップS12を参照)。また、第二に、同じ起床時刻を登録した目覚まし時計装置1、5〜7の情報をとりまとめ、必要に応じて、要求元の目覚まし時計装置に通知する役割を持つ(図4のステップS13を参照)。
【0098】
同様に、第2の実施形態におけるサーバ32は、第一に、ネットワーク31に接続された視聴装置30、34〜36からアップロードされた視聴時刻を、そのアップロード元の情報(視聴装置30、34〜36のユーザ名など)に紐付けして登録管理する役割を持つ(図9のステップS32を参照)。また、第二に、同じ視聴時刻を登録した視聴装置30、34〜36の情報をとりまとめ、必要に応じて、要求元の視聴装置に通知する役割を持つ(図9のステップS33を参照)。
【0099】
このような役割付与は、いわゆるサーバ−クライアント方式のネットワーク構成における常套的手法の一つであり、これは、多数のクライアント(第1の実施形態では目覚まし時計装置1、5〜7、第2の実施形態では視聴装置30、34〜36)の負担を少なくするために、ネットワーク上の処理装置(第1の実施形態ではサーバ3、第2の実施形態ではサーバ32)に前記の役割を付与したものである。
【0100】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本件出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0101】
(付記1)
請求項1に記載の発明は、ユーザによって任意の時刻が設定される設定手段と、
前記設定された時刻と同じ時刻が設定された他の通信装置の情報を取得する取得手段と、
通信ネットワークを介して前記他の通信装置との間で通信を行う通信手段と を備えたことを特徴とする通信装置である。
(付記2)
請求項2に記載の発明は、前記通信手段は、前記他の通信装置との間で音声情報による通信を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置である。
(付記3)
請求項3に記載の発明は、前記通信手段は、前記他の通信装置との間でテキスト情報による通信を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置である。
(付記4)
請求項4に記載の発明は、前記音声情報は、肉声又は加工した音声情報であることを特徴とする請求項2に記載の通信装置である。
(付記5)
請求項5に記載の発明は、さらに、前記テキスト情報を合成音で読み上げる読み上げ手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の通信装置である。
(付記6)
請求項6に記載の発明は、さらに、前記設定された時刻にユーザに対して所定の行動を促すための信号を発生する信号発生手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の通信装置である。
(付記7)
請求項7に記載の発明は、前記通信手段は、前記設定された時刻に到達した時点から所定の時間が経過するまでの間、通信ネットワークを介して前記他の通信装置との間で通信を行うことを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の通信装置である。
(付記8)
請求項8に記載の発明は、さらに、前記信号に応答して行われる前記ユーザの行動を検出する行動検出手段と、この行動検出手段の検出結果に基づき、前記設定された時刻と同じ時刻が設定された他の通信装置のユーザを含めた全てのユーザの行動の順位付けを行う順位付け手段とを備えたことを請求項1乃至6いずれかに記載の通信装置である。
(付記9)
請求項9に記載の発明は、前記所定の時間は固定の時間であることを特徴とする請求項7に記載の通信装置である。
(付記10)
請求項10に記載の発明は、前記所定の時間は変更可能な時間であることを特徴とする請求項7に記載の通信装置である。
(付記11)
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至請求項10いずれかに記載の通信装置は時計装置であることを特徴とする通信装置である。
(付記12)
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至請求項10いずれかに記載の通信装置は視聴装置であることを特徴とする通信装置である。
(付記13)
請求項13に記載の発明は、ユーザによって任意の時刻が設定される設定工程と、
前記設定された時刻と同じ時刻が設定された他の通信装置の情報を取得する取得工程と、
通信ネットワークを介して前記他の通信装置との間で通信を行う通信工程と を含むことを特徴とする通信制御方法である。
(付記14)
請求項14に記載の発明は、通信装置のコンピュータに、
ユーザによって任意の時刻が設定される設定手段、
前記設定された時刻と同じ時刻が設定された他の通信装置の情報を取得する取得手段、
通信ネットワークを介して前記他の通信装置との間で通信を行う通信手段
としての機能を与えることを特徴とするプログラムである。
【符号の説明】
【0102】
1 目覚まし時計装置(通信装置)
2 通信ネットワーク
5〜7 他の通信装置
8 通信部(取得手段、通信手段)
9 起床動作検知部(行動検出手段)
10 第1音声入力部(行動検出手段)
11 第2音声入力部(行動検出手段)
12 時計部(設定手段、信号発生手段)
13 操作部(設定手段)
14 音声再生部(信号発生手段)
16 制御部(取得手段、順位付け手段、コンピュータ)
45 制御部(読み上げ手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11