【実施例】
【0024】
図1に、この発明による歯科
用インプラントを開示する。図面の開示によれば
、繊維によってなるインプラント100は、フィクスチャー110と、アバットメント120とを含んでなる。フィクスチャー110は、インプラント100を埋め込んだ後、顎骨、もしくは頭骨に結合させるために用いる。アバットメント120はフィクスチャー110に連結して、例えばクラウン(図示しない)などの補綴物の支台(図示しない)を支持する。
【0025】
フィクスチャー110とアバットメント120は、いずれも強化繊維樹脂によってなる。強化繊維樹脂は、繊維を樹脂の中に入れて強度を向上させた一種の複合材料繊維である。
【0026】
図1に開示するA図はインプラント100の平面図であって、図面に開示するように繊維Fが樹脂Rの中で固定されてインプラント100の構成に供される。
【0027】
また、
図1に開示するB図に開示するように、繊維Fを編むことによって、繊維の編織構造が形成される。該繊維の編織構造は、インプラント100に高い引張強度と歯質の弾性とを同時に具えさせるものである。
【0028】
さらに、
図1のB図に開示するように、繊維編織構造は中央繊維軸10と、複数の縒り縄状繊維軸20とによってなる。中央繊維軸10は縦方向に繊維の編織構造を貫通し、複数の縒り縄状繊維軸20が互いに交錯し、かつ中央繊維軸を取り巻く。
図1のB図に開示するように、*形状を形成することによって、縒り縄状繊維軸20に対して余剰の固定強度と、垂直方向の高い引張強度が与えられ、従来のX字状に比して、さらに強い構造が発生する。
【0029】
樹脂Rは、生体不活性、もしくは生分解性の材料によってなり、骨との整合の過程を促す作用を有し、実施する場合は実際の必要に応じて材料を選択する。また、樹脂Rは熱凝固性、もしくは熱可塑性の樹脂であってもよい。繊維Fは、単層か、又は複層の繊維であって、生体不活性、もしくは生体活性の特性を有する材料によってなる。
【0030】
図2Aに第1の実施の形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示し、
図2Bに第2の実施の形態による繊維の一部を開示する。
図面に開示するように、インプラント100の繊維は単層繊維である。但し、該繊維は円柱形状であってもよく、六角柱形状であってもよい。六角柱形状の繊維は、インプラント100の繊維の編織構造に高い引張強度を与える。
【0031】
上述する実施例において、該繊維は、例え
ば、コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、もしくはリン酸カルシウムなどの生体活性材料によってなる。よって、インプラント100を埋め込むと、繊維が骨に対して骨結合を開始する。実施例において使用する繊維は生体活性の特性を具え、樹脂は生体不活性材によってなり、インプラント100の構造を維持する。但し、この発明においては、これらに限定しない。例えば、繊維がX線不透過の特性を有する生体不活性ガラス繊維か、もしくは生体不活性材によってなるものであってもよい。
【0032】
図3Aに第3の実施形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示し、
図3Bに第4の実施の形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示する。これら実施の形態における繊維は、繊維強化樹脂の中の繊維であって、複層繊維である。各層の熱膨張係数は、内層から外層に向かって漸減する。
【0033】
図3A、
図3Bに開示するように、インプラント100を構成する繊維は2層の繊維であって、これら実施例における複層繊維は、コア層2と、コア層2の表面を囲繞するハウジング層1とを含んでなり、かつハウジング層1はコア層2に比して熱膨張係数が低い。
【0034】
2層構造を具える繊維を用いることによって、高い引張強度が得られる。よって、インプラント100は高い引張強度を具える。
【0035】
複層繊維のそれぞれの層は、円柱形状の長繊維か、六角柱形状の長繊維か、もしくはバータイプの長繊維によってなる。これら実施の形態においてコア層2は円柱形状の長繊維か、もしくは六角柱形状の長繊維によってなり、ハウジング層1は円柱形状の長繊維によってなる。
【0036】
複層の内の少なくとも一層は生体不活性材料によってなり、かつ複層の内の少なくとも一層は生体活性材によってなる。実施例においてコア層2は、例え
ば、コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、もしくはリン酸カルシウムなどの生体活性材料によってなり、コア層2と骨とが接触すると、生体活性材はコア層2から放出され、骨芽細胞に接触し、骨結合を進行させる。また、コア層2は、例えば生体不活性ガラス繊維などの生体不活性材によってなり、インプラント100の構造を維持するものであってもよい。
【0037】
図4Aに第5の実施形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示し、
図4Bに第6の実施の形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示する。
図4A、
図4Bに開示するように、コア層2とハウジング層1とは第3の実施の形態と第4の実施の形態とに類似する。第5の実施の形態と第6の実施の形態とにおいて、コア層2はバータイプの長繊維によってなる。バータイプの長繊維を用いることによって、繊維間においてさらに強い固定力が得られる。
【0038】
図5Aに第7の実施形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示し、
図5Bに第8の実施の形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示する。
図5A、
図5Bに開示するように、コア層2とハウジング層1とは第3の実施の形態と第4の実施の形態とに類似する。但し、第7の実施の形態と、第8の実施の形態とにおけるハウジング層1は、外部表面には、さらに凸点状の塗布層11を形成する。塗布層11を形成することによって、繊維間の固定力がさらに高まる。
【0039】
図6Aに第9の実施形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示し、
図6Bに第10の実施の形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示する。これら実施の形態における繊維は、繊維強化樹脂の中の繊維であって、複層繊維である。各層の熱膨張係数は、内層から外層に向かって漸減する。
【0040】
図6A、
図6Bに開示するように、インプラント100を構成する繊維は3層の繊維であって、これら実施例における複層繊維は、コア層2と、コア層2の表面を囲繞する中間層3と、及び中間層3の表面を囲繞するハウジング層1とを含んでなり、かつハウジング層1は中間層3に比して熱膨張係数が低く、中間層3はコア層2に比して熱膨張係数が低い。
【0041】
複層の内の少なくとも一層は生体不活性材料によってなり、かつ複層の内の少なくとも一層は生体活性材によってなる。実施例においてコア層2及び/もしくは中間層3はX線不透過の特性を有する生体不活性ガラス繊維か、もしくは生体不活性材によってなり、ハウジング層1は例え
ば、コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、もしくはリン酸カルシウムなどの生体活性材料によってなる。
【0042】
上述する3層によってなる構造は、ハウジング層1が骨と結合する場合、コア層2と中間層3とによって構成される2層構造が依然として維持される。また当然のことながら、3層構造は、2層構造に比して更に大きな引張強度が得られる。
【0043】
上述する実施の形態において、コア層2は、円柱形状の長繊維か、六角柱形状の長繊維によってなり、中間層3とハウジング層1とは円柱形状の長繊維によってなる。但し、当然のことながら、これらに限定するものではない。
【0044】
また、コア層2及び/もしくは中間層3は、例え
ば、コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、もしくはリン酸カルシウムなどの生体活性材料によってなり、ハウジング層1は、X線不透過の特性を有する生体不活性ガラス繊維か、もしくは生体不活性材によってなるものであってもよい。よって、生体活性材がコア層2か、もしくは中間層3から放出され、骨芽細胞に接触し、骨結合を進行させる。
【0045】
図7Aに第11の実施形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示し、
図7Bに第12の実施の形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示し、かつ
図8に第13の実施の形態によるインプラントの繊維の一部を開示する。
【0046】
図7A、
図7Bに開示するように、コア層2と、中間層3と、ハウジング層1とを設ける構造は第9の実施の形態と第10の実施の形態とに類似する。第11の実施の形態と、第12の実施の形態とにおけるハウジング層1はバータイプの長繊維によってなる。また
図8に開示するように、コア層2と、中間層3と、ハウジング層1とを設ける構造は第11実施の形態と第12の実施の形態とに類似する。第13の実施の形態における中間層3は六角形状の長繊維によってなる。ハウジング層1をバータイプの長繊維にすることによって、繊維間の固定力がさらに高まる。
【0047】
上述する実施の形態において、ハウジング層1と中間層3とは生体不活性材によってなり、コア層2は例え
ば、コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、もしくはリン酸カルシウムなどの生体活性材料によってなる。
【0048】
図9に開示するように、この発明を実施する場合、インプラント100は二重螺旋状を構成するように設けてもよい。
図9のC図に開示するように、繊維Fは樹脂Rの中に固定されて二重螺旋状のインプラント100の構成に提供される。
【0049】
また、
図9のD図に開示するように、繊維Fは編まれることによって編織構造を形成する。さらに、
図9のE図には、繊維の編織構造の断面を開示する。
【0050】
また、少なくとも1以上のコア層2とハウジング層1とをX線不透過の特性を有する材料によって形成する。よって、インプラント100をX線による走査で検知することができる。但し、これら実施の形態は、形態の説明に過ぎず、本発明の実施の範囲を限定する
ものではない。
【0051】
その他の実施の形態として、インプラント100を3層以上の構造とし、それぞれの層を上述するそれぞれの形状、及び材料によって形成してもよい。この場合、複数層の内の任意の一層を生体不活性材によって形成してインプラント100の構造を維持し、かつ任意の一層を生体活性材によって形成して骨結合を促進させるようにすればよい。例えば、インプラント100を10層の繊維で構成し、それぞれの層を円柱形状の長繊維、六角柱形状の長繊維、もしくはバータイプの長繊維で形成し、かつそれぞれの層を生体活性材
(コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、もしくはリン酸カルシウム)と、X線不透過の特性を有する生体不活性材、もしくは生体不活性材によって形成するとともに、その内の少なくとも一層を生体活性材によって形成する。