特許第5939600号(P5939600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5939600
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】歯科用インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
   A61C8/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-41131(P2015-41131)
(22)【出願日】2015年3月3日
【審査請求日】2015年3月25日
(31)【優先権主張番号】103144522
(32)【優先日】2014年12月19日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515043093
【氏名又は名称】イルミ サイエンス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ILUMI Sciences Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】511176056
【氏名又は名称】呂路可
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(72)【発明者】
【氏名】呂路可
(72)【発明者】
【氏名】常沢俊弘
(72)【発明者】
【氏名】呂官諭
(72)【発明者】
【氏名】呂宜▲静▼
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−510651(JP,A)
【文献】 特許第3008586(JP,B2)
【文献】 特許第2920930(JP,B2)
【文献】 特開平11−070128(JP,A)
【文献】 特許第2920931(JP,B2)
【文献】 国際公開第2005/115270(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顎骨、もしくは頭骨との骨結合に供するフィクスチャーと、
該フィクスチャーに連結して補綴物を支持するアバットメントと、を含んでなり、かつ該フィクスチャーと該アバットメントとが繊維強化樹脂によってなるとともに、
該繊維強化樹脂の中の繊維が編織構造を形成し、
前記繊維の編織構造が、縦方向に該繊維の編織構造を貫通する中央繊維軸と、交錯して該中央繊維軸を取り巻く複数の縒り縄状繊維軸とによってなる
ことを特徴とする歯科用インプラント。
【請求項2】
請求項1に記載の歯科用インプラントにおいて、
前記繊維強化樹脂の中の繊維が複層の繊維である
ことを特徴とする歯科用インプラント。
【請求項3】
請求項2に記載の歯科用インプラントにおいて、
前記複層の繊維が、コア層と該コア層の表面を囲繞するハウジング層とを含んでなるか、もしくはコア層と、該コア層の表面を囲繞する中間層と、該中間層の表面を囲繞するハウジング層とを含んでなる
ことを特徴とする歯科用インプラント。
【請求項4】
請求項3に記載の歯科用インプラントにおいて、
前記ハウジング層の外部表面に凸点状の塗布層を有する
ことを特徴とする歯科用インプラント。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれかに記載の歯科用インプラントにおいて、
前記複層の繊維の内の少なくとも一層が生体不活性材によってなり、かつ該複層の繊維の内の少なくとも一層が生体活性材によってなる
ことを特徴とする歯科用インプラント。
【請求項6】
請求項5に記載の歯科用インプラントにおいて、
前記生体活性材が、コラーゲンか、ヒドロキシアパタイトか、もしくはリン酸カルシウムである
ことを特徴とする歯科用インプラント。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれかに記載の歯科用インプラントにおいて、
前記複層の繊維のそれぞれの層が円柱形状の長繊維か、六角柱形状の長繊維か、もしくはバータイプの長繊維によって形成される
ことを特徴とする歯科用インプラント。
【請求項8】
請求項2から請求項7のいずれかに記載の歯科用インプラントにおいて、
前記複層の繊維の各層の熱膨張係数が内層から外層に向かって漸減する
ことを特徴とする歯科用インプラント。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の歯科用インプラントにおいて、
前記繊維強化樹脂が生体不活性の特性を具える
ことを特徴とする歯科用インプラント。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の歯科用インプラントにおいて、
前記繊維強化樹脂が生分解性を具える
ことを特徴とする歯科用インプラント。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の歯科用インプラントにおいて、
前記繊維強化樹脂が熱凝固性を具える
ことを特徴とする歯科用インプラント。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の歯科用インプラントにおいて、
前記繊維強化樹脂が熱可塑性を具える
ことを特徴とする歯科用インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、歯科用のインプラントに関する、
【背景技術】
【0002】
歯科用インプラント(顎骨に埋め込む人口歯根、又は固定物とも称する)は、顎骨、もしくは頭骨に結合して、例えばクラウン、ブリッジ、義歯、顔面補綴の外科用器具などの補綴物を支持する一種の器具であって、もしくは歯列矯正用のブラケットとして用いることもある。
【0003】
昨今の歯科用インプラントは、骨結合の生物的過程を基礎とし、例えばチタンなどを材料として骨と密接に結合させる。歯科用インプラントは、先ず埋め込んで放置し、骨と結合させる。次いで補綴物で被覆する。歯科用の補綴物(歯、ブリッジ、義歯)をインプラントに接触させる前に、もしくは支持用の補綴物をアバットメントに設ける前に、不定期の治癒の時間を必要とする。
【0004】
インプラントは、主に補綴物を支持するためのものである。昨今のインプラントは骨が、例えばチタン又はセラミックスなどの特定材料に結合するか、もしくは緊密に融合する過程を応用している。インプラントと骨の結合は、10年内は物理的負荷を支持することができ、損壊することがない。
【0005】
個別の歯の置き換えは、フィクスチャーにアバットメントを螺設してインプラントを固定する。次いで、歯科用セメントとスクリューでクラウンをアバットメントに接続する。
または、クラウンを製造する際にアバットメントと接合させておく。同様に、インプラントはブリッジを固定することができ、又は着脱式の入れ歯の方式で複数の歯科用補綴物の支持に応用することもできる。
【0006】
部分的に言えば、インプラントの長期的な成功は、支持力によって定義される。インプラントに歯周靭帯がないと、噛むときに圧力を感じない。このため大きな力が発生する。
この力を分散させるために、インプラントの位置は、支持する補綴物において力が平均的に分布するようにしなければならない。応力の集中は入れ歯のフレームとインプラントを構成する部材の断裂を招く恐れがある。又はインプラントに隣り合う骨の損失を招くこともある。インプラントの根本の位置は生物学的要素(骨のタイプ、生命構造、健康)と力学的要素に基づく。
【0007】
したがって、インプラントの設計は、高い引張強度と、自然な歯質に類似した弾性を提供し、かつ人類の口腔の現実の生活における使用に対応するものでなければならない。チタン、もしくはジルコニア(セラミックス)は高い引張強度を具え、インプラントとして広く利用されている。但し、チタン、もしくはジルコニア(セラミックス)などの材料は歯質の弾性に欠け、かつ衝撃を受けると容易に破砕する。現実の生活で使用するに当たり、使用寿命が長いという特性を有するものが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、高い引張強度を具え、構造上の強度が高く、かつ緊密な骨結合を促進する歯科用インプラントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者は従来のペット洗浄装置に見られる欠点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、フィクスチャーとアバットメントとを含んでなり、かつ該フィクスチャーと該アバットメントとが繊維強化樹脂によってなるとともに、該繊維強化樹脂の中の繊維が編織構造を形成する歯科用インプラントによって課題を解決でできる点に着眼し、係る知見に基づいて本発明を完成させた。以下この発明について説明する。
【0010】
本発明の歯科用インプラントは、
顎骨、もしくは頭骨との骨結合に供するフィクスチャーと、該フィクスチャーに連結して補綴物を支持するアバットメントと、を含んでなり、かつ該フィクスチャーと該アバットメントとが繊維強化樹脂によってなるとともに、
該繊維強化樹脂の中の繊維が編織構造を形成し、
繊維の編織構造が、縦方向に該繊維の編織構造を貫通する中央繊維軸と、交錯して該中央繊維軸を取り巻く複数の縒り縄状繊維軸とによってなる
ことが好ましい。
【0011】
本発明では、
繊維強化樹脂の中の繊維が複層の繊維である
とが好ましい。
【0012】
本発明では、
複層の繊維が、コア層と該コア層の表面を囲繞するハウジング層とを含んでなるか、もしくはコア層と、該コア層の表面を囲繞する中間層と、該中間層の表面を囲繞するハウジング層とを含んでなる
とが好ましい。
【0013】
本発明では、
ハウジング層の外部表面に凸点状の塗布層を有する
ことが好ましい。
【0014】
本発明では、
複層の繊維の内の少なくとも一層が生体不活性材によってなり、かつ該複層の繊維の内の少なくとも一層が生体活性材によってなる
とが好ましい。
【0015】
本発明では、
生体活性材が、コラーゲンか、ヒドロキシアパタイトか、もしくはリン酸カルシウムである
ことが好ましい。
【0016】
本発明では、
複層の繊維のそれぞれの層が円柱形状の長繊維か、六角柱形状の長繊維か、もしくはバータイプの長繊維によって形成される
ことが好ましい。
【0017】
本発明では、
複層の繊維の各層の熱膨張係数が内層から外層に向かって漸減する
ことが好ましい。
【0018】
本発明では、
繊維強化樹脂が生体不活性の特性を具える
ことが好ましい。
【0019】
本発明では、
繊維強化樹脂が生分解性を具える
ことが好ましい。
【0020】
本発明では、
繊維強化樹脂が熱凝固性を具える
ことが好ましい。
【0021】
本発明では、
繊維強化樹脂が熱可塑性を具える
ことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明による歯科用インプラントの構造を示した説明図である。
図2A】第1の実施の形態における繊維の一部を示した説明図である。
図2B】第2の実施の形態における繊維の一部を示した説明図である。
図3A】第3の実施の形態における繊維の一部を示した説明図である。
図3B】第4の実施の形態における繊維の一部を示した説明図である。
図4A】第5の実施の形態における繊維の一部を示した説明図である。
図4B】第6の実施の形態における繊維の一部を示した説明図である。
図5A】第7の実施の形態における繊維の一部を示した説明図である。
図5B】第8の実施の形態における繊維の一部を示した説明図である。
図6A】第9の実施の形態における繊維の一部を示した説明図である。
図6B】第10の実施の形態における繊維の一部を示した説明図である。
図7A】第11の実施の形態における繊維の一部を示した説明図である。
図7B】第12の実施の形態における繊維の一部を示した説明図である。
図8】第13の実施の形態における繊維の一部を示した説明図である。
図9】他の実施の形態による歯科用インプラントの構造を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明は、高い引張強度を具え、構造上の強度が高く、かつ緊密な骨結合を促進する歯科用インプラントを提供するものであって、フィクスチャーとアバットメントとを含んでなり、かつ該フィクスチャーと該アバットメントとが繊維強化樹脂によってなるとともに、該繊維強化樹脂の中の繊維が編織構造を形成する。係る歯科用インプラントの構造と特徴を説明するために、具体的な実施例を挙げ、図面を参照にして以下に詳述する。
【実施例】
【0024】
図1に、この発明による歯科用インプラントを開示する。図面の開示によれば、繊維によってなるインプラント100は、フィクスチャー110と、アバットメント120とを含んでなる。フィクスチャー110は、インプラント100を埋め込んだ後、顎骨、もしくは頭骨に結合させるために用いる。アバットメント120はフィクスチャー110に連結して、例えばクラウン(図示しない)などの補綴物の支台(図示しない)を支持する。
【0025】
フィクスチャー110とアバットメント120は、いずれも強化繊維樹脂によってなる。強化繊維樹脂は、繊維を樹脂の中に入れて強度を向上させた一種の複合材料繊維である。
【0026】
図1に開示するA図はインプラント100の平面図であって、図面に開示するように繊維Fが樹脂Rの中で固定されてインプラント100の構成に供される。
【0027】
また、図1に開示するB図に開示するように、繊維Fを編むことによって、繊維の編織構造が形成される。該繊維の編織構造は、インプラント100に高い引張強度と歯質の弾性とを同時に具えさせるものである。
【0028】
さらに、図1のB図に開示するように、繊維編織構造は中央繊維軸10と、複数の縒り縄状繊維軸20とによってなる。中央繊維軸10は縦方向に繊維の編織構造を貫通し、複数の縒り縄状繊維軸20が互いに交錯し、かつ中央繊維軸を取り巻く。図1のB図に開示するように、*形状を形成することによって、縒り縄状繊維軸20に対して余剰の固定強度と、垂直方向の高い引張強度が与えられ、従来のX字状に比して、さらに強い構造が発生する。
【0029】
樹脂Rは、生体不活性、もしくは生分解性の材料によってなり、骨との整合の過程を促す作用を有し、実施する場合は実際の必要に応じて材料を選択する。また、樹脂Rは熱凝固性、もしくは熱可塑性の樹脂であってもよい。繊維Fは、単層か、又は複層の繊維であって、生体不活性、もしくは生体活性の特性を有する材料によってなる。
【0030】
図2Aに第1の実施の形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示し、図2Bに第2の実施の形態による繊維の一部を開示する。
図面に開示するように、インプラント100の繊維は単層繊維である。但し、該繊維は円柱形状であってもよく、六角柱形状であってもよい。六角柱形状の繊維は、インプラント100の繊維の編織構造に高い引張強度を与える。
【0031】
上述する実施例において、該繊維は、例えば、コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、もしくはリン酸カルシウムなどの生体活性材料によってなる。よって、インプラント100を埋め込むと、繊維が骨に対して骨結合を開始する。実施例において使用する繊維は生体活性の特性を具え、樹脂は生体不活性材によってなり、インプラント100の構造を維持する。但し、この発明においては、これらに限定しない。例えば、繊維がX線不透過の特性を有する生体不活性ガラス繊維か、もしくは生体不活性材によってなるものであってもよい。
【0032】
図3Aに第3の実施形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示し、図3Bに第4の実施の形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示する。これら実施の形態における繊維は、繊維強化樹脂の中の繊維であって、複層繊維である。各層の熱膨張係数は、内層から外層に向かって漸減する。
【0033】
図3A図3Bに開示するように、インプラント100を構成する繊維は2層の繊維であって、これら実施例における複層繊維は、コア層2と、コア層2の表面を囲繞するハウジング層1とを含んでなり、かつハウジング層1はコア層2に比して熱膨張係数が低い。
【0034】
2層構造を具える繊維を用いることによって、高い引張強度が得られる。よって、インプラント100は高い引張強度を具える。
【0035】
複層繊維のそれぞれの層は、円柱形状の長繊維か、六角柱形状の長繊維か、もしくはバータイプの長繊維によってなる。これら実施の形態においてコア層2は円柱形状の長繊維か、もしくは六角柱形状の長繊維によってなり、ハウジング層1は円柱形状の長繊維によってなる。
【0036】
複層の内の少なくとも一層は生体不活性材料によってなり、かつ複層の内の少なくとも一層は生体活性材によってなる。実施例においてコア層2は、例えば、コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、もしくはリン酸カルシウムなどの生体活性材料によってなり、コア層2と骨とが接触すると、生体活性材はコア層2から放出され、骨芽細胞に接触し、骨結合を進行させる。また、コア層2は、例えば生体不活性ガラス繊維などの生体不活性材によってなり、インプラント100の構造を維持するものであってもよい。
【0037】
図4Aに第5の実施形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示し、図4Bに第6の実施の形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示する。図4A図4Bに開示するように、コア層2とハウジング層1とは第3の実施の形態と第4の実施の形態とに類似する。第5の実施の形態と第6の実施の形態とにおいて、コア層2はバータイプの長繊維によってなる。バータイプの長繊維を用いることによって、繊維間においてさらに強い固定力が得られる。
【0038】
図5Aに第7の実施形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示し、図5Bに第8の実施の形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示する。図5A図5Bに開示するように、コア層2とハウジング層1とは第3の実施の形態と第4の実施の形態とに類似する。但し、第7の実施の形態と、第8の実施の形態とにおけるハウジング層1は、外部表面には、さらに凸点状の塗布層11を形成する。塗布層11を形成することによって、繊維間の固定力がさらに高まる。
【0039】
図6Aに第9の実施形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示し、図6Bに第10の実施の形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示する。これら実施の形態における繊維は、繊維強化樹脂の中の繊維であって、複層繊維である。各層の熱膨張係数は、内層から外層に向かって漸減する。
【0040】
図6A図6Bに開示するように、インプラント100を構成する繊維は3層の繊維であって、これら実施例における複層繊維は、コア層2と、コア層2の表面を囲繞する中間層3と、及び中間層3の表面を囲繞するハウジング層1とを含んでなり、かつハウジング層1は中間層3に比して熱膨張係数が低く、中間層3はコア層2に比して熱膨張係数が低い。
【0041】
複層の内の少なくとも一層は生体不活性材料によってなり、かつ複層の内の少なくとも一層は生体活性材によってなる。実施例においてコア層2及び/もしくは中間層3はX線不透過の特性を有する生体不活性ガラス繊維か、もしくは生体不活性材によってなり、ハウジング層1は例えば、コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、もしくはリン酸カルシウムなどの生体活性材料によってなる。
【0042】
上述する3層によってなる構造は、ハウジング層1が骨と結合する場合、コア層2と中間層3とによって構成される2層構造が依然として維持される。また当然のことながら、3層構造は、2層構造に比して更に大きな引張強度が得られる。
【0043】
上述する実施の形態において、コア層2は、円柱形状の長繊維か、六角柱形状の長繊維によってなり、中間層3とハウジング層1とは円柱形状の長繊維によってなる。但し、当然のことながら、これらに限定するものではない。
【0044】
また、コア層2及び/もしくは中間層3は、例えば、コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、もしくはリン酸カルシウムなどの生体活性材料によってなり、ハウジング層1は、X線不透過の特性を有する生体不活性ガラス繊維か、もしくは生体不活性材によってなるものであってもよい。よって、生体活性材がコア層2か、もしくは中間層3から放出され、骨芽細胞に接触し、骨結合を進行させる。
【0045】
図7Aに第11の実施形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示し、図7Bに第12の実施の形態によるインプラント100に用いる繊維の一部を開示し、かつ図8に第13の実施の形態によるインプラントの繊維の一部を開示する。
【0046】
図7A図7Bに開示するように、コア層2と、中間層3と、ハウジング層1とを設ける構造は第9の実施の形態と第10の実施の形態とに類似する。第11の実施の形態と、第12の実施の形態とにおけるハウジング層1はバータイプの長繊維によってなる。また図8に開示するように、コア層2と、中間層3と、ハウジング層1とを設ける構造は第11実施の形態と第12の実施の形態とに類似する。第13の実施の形態における中間層3は六角形状の長繊維によってなる。ハウジング層1をバータイプの長繊維にすることによって、繊維間の固定力がさらに高まる。
【0047】
上述する実施の形態において、ハウジング層1と中間層3とは生体不活性材によってなり、コア層2は例えば、コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、もしくはリン酸カルシウムなどの生体活性材料によってなる。
【0048】
図9に開示するように、この発明を実施する場合、インプラント100は二重螺旋状を構成するように設けてもよい。図9のC図に開示するように、繊維Fは樹脂Rの中に固定されて二重螺旋状のインプラント100の構成に提供される。
【0049】
また、図9のD図に開示するように、繊維Fは編まれることによって編織構造を形成する。さらに、図9のE図には、繊維の編織構造の断面を開示する。
【0050】
また、少なくとも1以上のコア層2とハウジング層1とをX線不透過の特性を有する材料によって形成する。よって、インプラント100をX線による走査で検知することができる。但し、これら実施の形態は、形態の説明に過ぎず、本発明の実施の範囲を限定する
ものではない。
【0051】
その他の実施の形態として、インプラント100を3層以上の構造とし、それぞれの層を上述するそれぞれの形状、及び材料によって形成してもよい。この場合、複数層の内の任意の一層を生体不活性材によって形成してインプラント100の構造を維持し、かつ任意の一層を生体活性材によって形成して骨結合を促進させるようにすればよい。例えば、インプラント100を10層の繊維で構成し、それぞれの層を円柱形状の長繊維、六角柱形状の長繊維、もしくはバータイプの長繊維で形成し、かつそれぞれの層を生体活性材(コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、もしくはリン酸カルシウム)と、X線不透過の特性を有する生体不活性材、もしくは生体不活性材によって形成するとともに、その内の少なくとも一層を生体活性材によって形成する。
【符号の説明】
【0052】
1 ハウジング層
11 塗布層
10 中央繊維軸
100 インプラント
110 フィクスチャー
120 アバットメント
2 コア層
20 縒り縄状繊維軸
3 中間層
F 繊維
R 樹脂
【要約】      (修正有)
【課題】高い引張強度を具え、構造上の強度が高く、かつ緊密な骨結合を促進する歯科用生体ガラス繊維インプラントを提供する。
【解決手段】フィクスチャー110とアバットメント120とを含んでなり、かつ該フィクスチャー110と該アバットメント120とが繊維強化樹脂によってなるとともに、該繊維強化樹脂の中の繊維Fが編織構造を形成する。繊維Fの編織構造が、縦方向に該繊維の編織構造を貫通する中央繊維軸10と、交錯して該中央繊維軸を取り巻く複数の縒り縄状繊維軸20とによってなる。
【選択図】図1
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9