特許第5939608号(P5939608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5939608ロックウール吹付工法、及びロックウール品質評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939608
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】ロックウール吹付工法、及びロックウール品質評価方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20160609BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20160609BHJP
   E04B 1/82 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   E04B1/94 E
   E04B1/76 400G
   E04B1/82 M
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-285683(P2011-285683)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-133664(P2013-133664A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】501173461
【氏名又は名称】太平洋マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 大吾
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 亮太
(72)【発明者】
【氏名】谷辺 徹
【審査官】 河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−238793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62 − 1/99
E04F 21/08
C04B 14/46
C04B 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向または上下方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して82g/cmの荷重を上下方向または横方向に5分間に亘って掛けた後、5g/cm以下に荷重を解放し、この解放後のロックウール集合体の嵩密度を求める工程と、
前記工程によって求められた嵩密度が130kg/m以下である場合のみに、該嵩密度のロックウール集合体とセメントと水とが少なくとも用いられた半乾式工法によってロックウール被覆層が構成される工程
とを具備することを特徴とするロックウール吹付工法。
【請求項2】
横方向または上下方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して10g/cm以上の荷重を上下方向または横方向に10秒以上の時間に亘って掛けた後、5g/cm以下に荷重を解放し、この解放後のロックウール集合体の嵩密度を求める工程と、

前記工程によって求められた嵩密度が所定の閾値以下である場合のみに、該嵩密度のロックウール集合体とセメントと水とが少なくとも用いられた半乾式工法によってロックウール被覆層が構成される工程
とを具備することを特徴とするロックウール吹付工法。
【請求項3】
ロックウール吹付工法に用いられるロックウールの品質評価方法であって、
横方向または上下方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して82g/cmの荷重を上下方向または横方向に5分間に亘って掛けた後、5g/cm以下に荷重を解放し、この解放後のロックウール集合体の嵩密度を求める工程を具備してなり、
前記求められた嵩密度が130kg/m以下であるか否かによってロックウール集合体の品質を評価することを特徴とするロックウール品質評価方法。
【請求項4】
少なくともロックウール集合体とセメントと水とが用いられた半乾式工法によってロックウール被覆層が構成されるロックウール吹付工法において、
前記ロックウール集合体は、横方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して82g/cmの荷重が上下方向において5分間に亘って掛けたられた後で5g/cm以下に荷重が解放された後のロックウール集合体の嵩密度が130kg/m以下である
ことを特徴とするロックウール吹付工法。
【請求項5】
少なくともロックウール集合体とセメントと水とが用いられた半乾式工法によってロックウール被覆層が構成されるロックウール吹付工法において、
前記ロックウール集合体は、横方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して20〜400g/cmの荷重が上下方向において10秒以上の時間に亘って掛けたられた後で5g/cm以下に荷重が解放された後のロックウール集合体の嵩密度が所定の閾値以下のものである
ことを特徴とするロックウール吹付工法。
【請求項6】
ロックウール吹付工法に用いられるロックウールの品質評価方法であって、
横方向または上下方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して20〜400g/cmの荷重を上下方向または横方向に10秒以上の時間に亘って掛けた後、5g/cm以下に荷重を解放し、この解放後のロックウール集合体の嵩密度を求める工程を具備してなり、
前記求められた嵩密度によってロックウール集合体の品質を評価することを特徴とするロックウール品質評価方法。
【請求項7】
ロックウール吹付工法に用いられるロックウールの品質評価方法であって、
横方向または上下方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して10g/cm以上の荷重を上下方向または横方向に10秒以上の時間に亘って掛けた後、5g/cm以下に荷重を解放し、この解放後のロックウール集合体の嵩密度を求める工程を具備してなり、
前記求められた嵩密度によってロックウール集合体の品質を評価することを特徴とするロックウール品質評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロックウール吹付工法の技術に関する。例えば、構造物の部材に、耐火性、防火性、吸音性又は断熱性等を付与する目的で採用されるロックウール、セメント及び水を用いたロックウール吹付工法において、落ち綿率が少ない技術に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の部材に、耐火性、防火性、吸音性、及び/又は断熱性等を付与する目的で、ロックウール、セメント及び水を用いたロックウール吹付け工法が用いられている。このロックウール吹付け工法には、乾式工法、湿式工法、半乾式工法がある。乾式工法は、予め、ロックウールとセメントとを混合した乾燥混合物をノズルから吐出し、これと同時にノズルの周縁に配置した複数個の噴水口より圧力水を噴射し、両者を混合吹付ける工法である。この乾式工法は、嵩比重が0.2〜0.3と軽量の被覆層を形成できるが、施工時にセメントやロックウールによる発塵が著しく、環境上の問題が指摘されている。湿式工法は、乾式工法の欠陥を改善する為になされたものである。この湿式工法は、主材のロックウールとセメントに界面活性剤と増粘剤を配合してなる吹付け施工用被覆材を用い、これに水を加えたペーストを圧縮空気によりノズルから吹付ける方法である。この湿式工法は、浮遊粉塵の問題点は改善されたものの、形成される被覆層の嵩比重が0.4〜0.6と重く、乾式工法に比べてコストが高いという問題が指摘されている。半乾式工法は、予め、ロックウールRとセメントCとを混合しない工法である。半乾式工法は、例えばロックウールRは、解繊機(解綿機)で解繊(解綿)・破砕され、ロータリーバルブにより定量的に送り出され、エアブローワーによりホース内を圧送され、吹付けノズルに供給される。セメントCはスラリー槽で水Wと混合されてセメントスラリーSとなり、スラリーポンプにより搬送パイプを通って吹付けノズルに供給される。セメントスラリーSは、ノズルの周縁から噴射されるか、或いはノズルの中心から噴射され、ロックウールRと合流・混合し、耐火被覆層が形成される。半乾式工法によれば、浮遊粉塵が減少し、乾式工法に近い嵩比重の被覆層が形成できる。このようなことから、半乾式工法がロックウール吹付工法の主流となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−348978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の通り、半乾式工法は、解繊機(解綿機)で細かく粒状にし、空気圧送されたロックウールに、セメントと水との混合になるセメントスラリーをノズル先端部で噴霧化しながら混合し、部材に吹き付ける工法である。
【0005】
ところで、半乾式工法によって吹付けられたにも拘わらず、部材に付かない(落ちてしまう)ロックウールが多い場合が認められた。
【0006】
このような部材に付かないロックウール割合(「落ち綿率」とも言う)が多いと、ロックウール被覆層は所望の性能が確保されないことが予想される。従って、場合によっては、作業を一から遣り直さなければならないことも予想される。遣り直す必要が無いと思われる場合でも、落ち綿率が大きいと言うことは、無駄になるロックウールが多いと言うことである。
【0007】
従って、本発明が解決しようとする課題は、前記問題点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
さて、これまで、落ち綿率の大小(多寡)は、何に起因しているかは全く判ってなかった。
【0009】
この問題点についての検討が、本発明者によって、鋭意、推し進められて行った。その結果、落ち綿率の大小(多寡)の問題は、どうも、用いられたロックウールに原因が有るのではないかとの啓示を得るに至った。すなわち、用いられたセメントスラリーが同じでも、用いられたロックウールの品番(品質)によって、落ち綿率が変動していたからである。
【0010】
そして、更なる検討が推し進められて行った結果、ロックウールが十分に綿状のものである場合には、落ち綿率が小さく、半乾式工法を遣り直すようなことはなかった。
【0011】
更に検討が続けられて行った結果、所定の荷重を掛け、そして荷重を取り除いた場合のロックウールの嵩密度を測定し、この時の嵩密度が所定の閾値以下のロックウールが用いられた場合の半乾式工法の場合には、落ち綿率が小さく、吹付工事を遣り直さなければならないことはなかった。
【0012】
斯かる知見に基づいて本発明が達成されたものである。
【0013】
すなわち、前記課題は、
横方向または上下方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して82g/cmの荷重を上下方向または横方向に5分間に亘って掛けた後、5g/cm以下に荷重を解放し、この解放後のロックウール集合体の嵩密度を求める工程と、
前記工程によって求められた嵩密度が130kg/m以下である場合、該嵩密度のロックウール集合体とセメントと水とが少なくとも用いられた半乾式工法によってロックウール被覆層が構成される工程
とを具備することを特徴とするロックウール吹付工法によって解決される。
【0014】
又、横方向または上下方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して所定の荷重を上下方向または横方向に10秒以上の時間に亘って掛けた後、5g/cm以下に荷重を解放し、この解放後のロックウール集合体の嵩密度を求める工程と、
前記工程によって求められた嵩密度が所定の閾値以下である場合、該嵩密度のロックウール集合体とセメントと水とが少なくとも用いられた半乾式工法によってロックウール被覆層が構成される工程
とを具備することを特徴とするロックウール吹付工法によって解決される。
【0015】
又、少なくともロックウール集合体とセメントと水とが用いられた半乾式工法によってロックウール被覆層が構成されるロックウール吹付工法において、
前記ロックウール集合体は、横方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して82g/cmの荷重が上下方向において5分間に亘って掛けたられた後で5g/cm以下に荷重が解放された後のロックウール集合体の嵩密度が130kg/m以下である
ことを特徴とするロックウール吹付工法によって解決される。
【0016】
又、少なくともロックウール集合体とセメントと水とが用いられた半乾式工法によってロックウール被覆層が構成されるロックウール吹付工法において、
前記ロックウール集合体は、横方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して20〜400g/cmの荷重が上下方向において10秒以上の時間に亘って掛けたられた後で5g/cm以下に荷重が解放された後のロックウール集合体の嵩密度が所定の閾値以下のものである
ことを特徴とするロックウール吹付工法によって解決される。
【0017】
又、ロックウール吹付工法に用いられるロックウールの品質評価方法であって、
横方向または上下方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して82g/cmの荷重を上下方向または横方向に5分間に亘って掛けた後、5g/cm以下に荷重を解放し、この解放後のロックウール集合体の嵩密度を求める工程を具備してなり、
前記求められた嵩密度が130kg/m以下であるか否かによってロックウール集合体の品質を評価することを特徴とするロックウール品質評価方法によって解決される。
【0018】
又、ロックウール吹付工法に用いられるロックウールの品質評価方法であって、
横方向または上下方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して20〜400g/cmの荷重を上下方向または横方向に10秒以上の時間に亘って掛けた後、5g/cm以下に荷重を解放し、この解放後のロックウール集合体の嵩密度を求める工程を具備してなり、
前記求められた嵩密度によってロックウール集合体の品質を評価することを特徴とするロックウール品質評価方法によって解決される。
【0019】
又、ロックウール吹付工法に用いられるロックウールの品質評価方法であって、
横方向または上下方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して所定の荷重を上下方向または横方向に10秒以上の時間に亘って掛けた後、5g/cm以下に荷重を解放し、この解放後のロックウール集合体の嵩密度を求める工程を具備してなり、
前記求められた嵩密度によってロックウール集合体の品質を評価することを特徴とするロックウール品質評価方法によって解決される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、事前に落ち綿率が少ないロックウールを判別できる。従って、ロックウール集合体とセメントと水とを用いた半乾式工法によってロックウール被覆層を構成する場合、ロックウールの落ち綿率が少なく、無駄が起き難く、かつ、施工後の後始末は簡単であり、更には工事を遣り直すと言った問題が起きず、そして高品質のロックウール被覆層が簡単に得られる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
第1の発明はロックウールの品質評価方法である。特に、ロックウール吹付工法に用いられるロックウールの品質評価方法である。中でも、半乾式工法によってロックウール被覆層が構成されるロックウール吹付工法に用いられるロックウールの品質評価方法である。本方法は、横方向(又は上下方向)への移動が規制されたロックウール集合体に対して所定の荷重を上下方向(又は横方向)に10秒以上の時間に亘って掛けた後、5g/cm以下(1g/cm程度であっても良い。)に荷重を解放し、この解放後のロックウール集合体の嵩密度を求める工程を具備する。例えば、容器(例えば、底を有する円筒などの筒)内にロックウール集合体(例えば、1本1本のロックウールが互いに絡まった一群のロックウール)を入れ、この後で前記ロックウール集合体に対して所定の方向(前記容器の開口部側)から所定の荷重(例えば、10g/cm以上の荷重。より好ましくは、20g/cm以上の荷重。そして、400g/cm以下の荷重。)を印加する。この印加状態を10秒間以上(好ましくは、1分以上。より好ましくは、3分以上。好ましくは、30分以下。より好ましくは、10分以下。)保持する。この後、印加している荷重を5g/cm以下に解放する。例えば、印加した全荷重を解放する(取り除く:除荷する)。そして、解放後、ロックウール集合体の嵩密度を求める。この求められた嵩密度によってロックウール集合体の品質が評価される。例えば、上記において、ロックウール集合体に対し82g/cmの荷重を5分間に亘って印加した後、5g/cm以下(例えば、1g/cm程度)に荷重を解放し、この解放後のロックウール集合体の嵩密度を求める工程を具備する。荷重が82g/cmで印加時間が5分間の場合に求められた嵩密度が、例えば130kg/m以下の場合、該ロックウール集合体はロックウール吹付工法に用いられる場合には合格品であると判定(評価)される。130kg/mを越えていた場合には、問題有り(ロックウール吹付工法での使用は好ましくない。)と判定(評価)される。
【0022】
第2の発明はロックウール吹付工法である。特に、少なくともロックウールとセメントと水とが用いられた半乾式工法によってロックウール被覆層が構成されるロックウール吹付工法である。本工法に用いられるロックウールは、前記ロックウールの品質評価方法による評価で合格品(問題なし)と判定されたロックウールである。例えば、横方向への移動が規制されたロックウール集合体に対して20〜400g/cmの荷重が上下方向において10秒以上の時間(好ましくは、1分以上。より好ましくは、3分以上。好ましくは、30分以下。より好ましくは、10分以下。)に亘って掛けたられた後で5g/cm以下に荷重が解放された後のロックウール集合体の嵩密度が所定の閾値以下のものである。より具体的に説明するならば、82g/cmの荷重が5分間に亘って掛けたられた後で5g/cm以下に荷重が解放された後のロックウール集合体の嵩密度が130kg/m以下であるロックウールである。
【0023】
ロックウール品質評価には、一般的には、例えばロックウールが入れられる容器が用いられる。この容器は、変形し難い等の観点から、剛性を有する材質のものが好ましい。好適な材質としては、例えばガラス、硬質樹脂、金属、セラミックス等が挙げられる。より好ましい材質は、例えばアルミニウム、真鍮、鋼などである。容器の形状は特に限定されるものでは無い。しかしながら、均一に荷重を掛け易いことから、好ましくは、底部を備えた筒体、特に円筒体である。容器(筒体)の肉厚は、荷重が掛かった場合でも、変形が起きない程度のものであれば良い。従って、肉厚は材質によっても左右される。真鍮製や鋼製の筒の場合、肉厚は約3mmもあれば良い。底部を有する筒状の場合、底部の厚みも同程度以上あれば良い。
【0024】
ロックウール(ロックウール集合体)に荷重を掛ける方法は、一定荷重を10秒間以上掛けた後に除荷できる方法であれば特に限定されない。好適な例としては、底部を有する剛性の筒にロックウール(ロックウール集合体)を入れた後に、アルミニウムや硬質樹脂製等の5g/cm以下で筒の内側平面形状と略同形の平板をロックウール集合体の上に載せ、その上に所定荷重となる重さの錘を静かに載せ、所定時間後に載せた錘を取り除く方法が挙げられる。或いは、底部を有する剛性の筒にロックウール集合体を入れた後、前記と同じ平板をロックウール集合体の上に載せ、耐圧試験機で当該平板上から所定の荷重を掛け、所定時間後に除荷する方法が挙げられる。平板の代わりに筒の内側平面形状と略同形の断面形状を有する治具を耐圧試験機に取り付け、前記と同様に、所定の荷重を掛け、所定時間後に除荷する方法等が挙げられる。底部を有する剛性の筒を用いる代わりに、底部の無い剛性の筒(鋼管や真鍮製管などの剛性の管)と、筒を塞ぐことが可能な大きさの鋼板又は鋼製ブロックを組み合わせて用いることも出来る。
【0025】
ロックウール集合体に掛ける荷重は、好ましくは、20〜400g/cmである。より好ましくは、40〜320g/cmである。その理由は次の通りであった。20g/cm未満の小さな場合、載荷時の密度と除荷時の密度との差が小さく、落ち綿率が少ないロックウール集合体を判別し難くかった。逆に、400g/cmを超えると、錘を利用して荷重を掛ける時、大きな質量の錘が必要で、作業が大変で有る。更には、安定した載荷が行い難くかった。
【0026】
ロックウール集合体の嵩密度ρは式(1)で求められる。
ρ=w/Vr (1)
wは、容器(内容積Vc)内に入れられたロックウール集合体の質量である。
Vrは、容器(内容積Vc)内に入れられたロックウール集合体の嵩である。このロックウール集合体の占める嵩Vrは、容器内に占められたロックウール集合体の高さHrを求め、その高さHrと容器の内側平面の面積Sとの積(Hr×S)で求められる。容器内に占められたロックウール集合体の高さHrを求める方法は、特に限定されない。好適な例としては、内容積Vcの筒状容器内にロックウール集合体を入れ、アルミニウムや硬質樹脂製等の5g/cm以下で筒の内側平面形状と略同形の厚みtの平板をロックウール集合体の上に載せ、容器の上端から該平板までの距離dを測定し、式(2)により求めることが挙げられる。
Hr=Vc/S−(d+t) (2)
【0027】
実施例で用いた試料No.3のロックウール集合体に掛ける荷重、載荷した時のロックウール集合体の嵩密度ρ、除荷した時のロックウール集合体の嵩密度ρとの関係は表1の通りであった。
表1
荷重 載荷時の嵩密度ρ 除荷時の嵩密度ρ 復元率
(g/cm) (kg/m) (kg/m) (%)
1.2 76.1 76.1 0
5 76.1 76.1 0
10 84.9 83.4 1.7
20 106.9 102.7 3.8
40 121.7 109.8 9.8
100 161.9 132.7 18.1
150 189.2 144.8 23.5
320 308.2 219.6 28.7
*復元率(%)=(載荷時嵩密度−除荷時嵩密度)÷載荷時嵩密度×100
【0028】
この表1から、5g/cm以下の荷重では、載荷時の嵩密度と除荷時のロックウール集合体の嵩密度ρが殆ど変わっていないことが理解される。すなわち、掛けた荷重が小さな場合、荷重はロックウールで支えられてしまい、変形が起きないものであった。変形が起きないと言うことは、ロックウール集合体が力によって如何に変質するかの知見を得ることが出来難いことを意味する。従って、印加する荷重は、10g/cm以上であることが要請される。好ましくは20g/cm以上、更には40g/cm以上であることが理解される。
【0029】
ロックウール集合体に所定の荷重(一定荷重)を掛ける時間は、10秒間以上掛ける必要がある。10秒間未満の場合に得られた除荷時の嵩密度ρは誤差が大きなものであった。そして、再現性に乏しいものであった。このようなことから、荷重を印加する時間は10秒以上必要であった。好ましくは1分間以上、更に好ましくは3分以上であった。上限値に格別な制約は無い。とは言うものの、印加時間を長くしても、大きなメリットは認められなかった。例えば、印加時間が1時間の場合と、印加時間が10分の場合とでは、大きな変化は認められなかった。この為、印加時間は約30分も有れば十分である。10分でも十分であった。
【0030】
因みに、ロックウール(ロックウール集合体)を容器に入れ、合計82g/cmの荷重を5分間に亘って掛けた後、荷重を5g/cm以下に除荷した時の嵩密度を求めた。この場合、載荷時の嵩密度と除荷時の嵩密度との差が大きく、大きな誤差が起き難く、そして除荷時の嵩密度の大小によって、ロックウール集合体は、落ち綿率が多いものであるか少ないものであるかを判別できるものであった。例えば、ロックウール集合体とセメントと水とが少なくとも用いられた半乾式工法によってロックウール被覆層を構成する場合、前記ロックウール集合体の前記除荷時の嵩密度が130kg/m以下である場合、落ち綿率が小さなことが確認できた。因みに、除荷時の嵩密度が100〜130kg/mの場合、落ち綿率が小さなことも確認できた。この場合における載荷時の嵩密度は170〜190kg/mであった。尚、基準となる嵩密度(閾値:例えば、130kg/m)は、印加する荷重の大小によって変わる。従って、品質評価に際しては、印加する荷重を一定のものとしておかないと、品質評価が容易でない。従って、上記では、荷重が82g/cmの場合を一例として挙げたが、これは、例えば100g/cmとしても良い。そして、この場合には、嵩密度の基準値(閾値)は、当然のことながら、130kg/mとは異なる値である。具体的に如何なる値のものかは、荷重が100g/cmの場合において、嵩密度と落ち綿率との関係を調べ、落ち綿率が小さな場合の嵩密度を求めれば良い。
【0031】
これに対して、前記除荷時の嵩密度が130kg/mを越えた大きな値の場合には、落ち綿率は大きいことが確認できた。
【0032】
嵩密度を測定する場合、どの程度のロックウールを用いれば良いかを述べる。少な過ぎた場合には、測定される嵩密度には誤差範囲が大きかった。大量のロックウールを用いれば、斯かる問題点は改善された。しかしながら、大量のロックウールを用意するのも面倒である。斯かる観点からの検討が行われた結果、次のような割合であれば良いことが判って来た。すなわち、Wr(容器に入れるロックウールの質量)/Vc(容器の内容積)が2〜40kg/m(10〜30kg/m)の場合であった。
【0033】
本発明のロックウール吹付工法は、上記ロックウール品質評価方法により求めた除荷時の嵩密度が所定の密度以下であるロックウールと、セメントと、水とを用いる点に特徴を有する。このようにすることで、発生する粉塵量が少なく、落ち綿率が少なく、かつ、吹付けロックウール層の嵩密度を小さく出来る。
【0034】
上記ロックウール品質評価方法により求めた除荷時の嵩密度が所定の密度以下であるロックウール集合体を半乾式吹付工法用いると、吹付けノズルから吐出した後でもロックウール集合体は充分に綿状となっており、セメントペースト(スラリー)がロックウール集合体内に充分に入り込むことが出来、スラリーによりロックウール同士が着き合い、落ち綿となるロックウールが減ったものと考えられた。
【0035】
これに対して、上記ロックウール品質評価方法により求めた除荷時の嵩密度が大きなロックウール集合体は、初めから充分に綿状となっていなかったり、梱包・運搬・解繊・圧送等の工程で掛かる応力により、ロックウール繊維が折れる等して、吹付けノズルから吐出した後では綿状となっていないものと考えられた。そして、綿状となっていないロックウール集合体は、ロックウール集合体内にスラリーが入り込み難く、ロックウール同士が着き合い難く、落ち綿率が高くなったものと考えられた。
【0036】
以下、具体的な実施例が挙げられて説明される。
【0037】
複数種類のロックウールが用意された。
嵩密度を測定する為、底部を有するステンレス製の円筒(内径:100mm、深さ:119mm、厚み:5mm)が用意された。又、アルミニウム製円板(直径:100mm、厚み:1.5mm、荷重:1.2g/cm)が用意された。
【0038】
そして、各品番のロックウール集合体が50gずつ各々別個の前記円筒内に入れられた。この後、前記円板が各々のロックウールの上に載せられた。この後、前記円板の上に、該円板による荷重と合わせて合計82g/cmの荷重となる重さの錘(直径:100mmの円柱体)が静かに載せられた。
【0039】
載荷開始から5分後に容器の上端から該円板までの距離dを求めた。そして、上記式(1)や式(2)等により、載荷時のロックウール集合体の嵩密度が求められた。尚、この時、容器の上端から該円板までの距離dは、用いた円柱状の錘の側面に目盛り付けておき、円筒容器の端部により読める目盛りから求められた。
【0040】
この後、即ち、載荷開始から5分後に、アルミニウム製円板に載せられた錘が取り除かれた。この時の容器の上端から該円板までの距離dが求められ、載荷時と同様に除荷時のロックウール集合体の嵩密度が求められた。
【0041】
そして、上記試料のロックウール集合体が用いられ、かつ、セメントと水とが用いられ、所謂、半乾式工法が用いられ、ロックウールの吹付けが行われ、ロックウール被覆層が構成された。
【0042】
上記のようにして得られたロックウール集合体の除荷時の嵩密度と、ロックウール吹付工法時の落ち綿率とが表2に示される。
【0043】
表2
ロックウール試料No. 除荷時の嵩密度ρ(kg/m) 落ち綿率
試料No.1 145 1
試料No.2 135 0.7
試料No.3 126 0.4
試料No.4 100 0.3
*落ち綿率は試料No.1に対する相対値で表示した。