(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の例示的な実施形態の詳細な説明において、本明細書の一部をなす添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるようにするのに十分な程度、詳細に説明し、および、他の実施形態を使用し得ること、および本発明の趣旨または範囲から逸脱せずに、論理的な構造上の、機械的な、電気的なおよび化学的な変更がなされ得ることが理解される。当業者が、本明細書で説明する実施形態を実施できるようにするのに必要ではない詳細を避けるために、説明では、当業者に公知の特定の情報を省略し得る。以下の詳細な説明は、限定ととられるべきではなく、例示的な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0018】
図面、まず
図1〜4を参照して、患者の組織部位102に減圧治療を行うための減圧治療システム100の例示的かつ非限定的な実施形態を説明する。減圧治療システム100は、組織部位102に近接して配置されたマニホールド104を含む。組織部位102は、骨組織、脂肪組織、筋組織、皮膚組織、脈管組織、結合組織、軟骨、腱、靭帯、または任意の他の組織を含む、いずれかのヒト、動物、または他の生物の体の組織とし得る。この実施形態では、組織部位102は、体腔、特に腹腔の組織を含み、腹腔内容物または腹腔内容物に近接した組織を含む。組織部位102の治療は、流体、例えば腹水の除去、腹腔の保護、または減圧の供給を含み得る。
【0019】
マニホールド104には減圧治療装置106が流体的に結合されている。減圧治療装置106はキャニスター部108およびポンプ制御部110を有する。ポンプ制御部110は、キャニスター部108とは流体的に分離または隔離されている。ポンプ制御部110とキャニスター部108とを流体的に分離することによって、ポンプ制御部110が流体によって汚染されないようにする。また、ポンプ制御部110とキャニスター部108とを分離することは、ポンプ制御部110の高価な構成要素の再使用を容易にする。さらに、一部の実施形態では、分離は、キャニスター部108を使い捨てにすることを容易にし得る。ポンプ制御部110およびキャニスター部108について、以下さらに説明する。
【0020】
減圧治療システム100を使用して、創傷112になっているとし得る組織部位102を治療する。例示的かつ非限定的な一実施形態では、創傷112は、表皮114、真皮116、および皮下組織118を通って存在するかまたはそれらを含む。減圧治療システム100はまた、他の組織部位にも使用し得る。組織部位102は、骨組織、脂肪組織、筋組織、皮膚組織、脈管組織、結合組織、軟骨、腱、靭帯、または任意の他の組織を含む、いずれかのヒト、動物、または他の生物の体の組織とし得る。他に指定のない限り、本明細書では、「または」は相互排他性を意味するものではない。
【0021】
マニホールド104は、組織部位102に近接して配置される。マニホールドは、組織部位102に減圧を加える、組織部位102に流体を供給する、または組織部位102から流体を除去するのを支援するために設けられる物体または構造を指す。マニホールド104は、一般に複数の流路または流れ経路を含み、それら複数の流路または流れ経路は、マニホールド104周囲の組織部位102へ流体をもたらしかつその組織部位から流体を除去するように分配する。例示的な一実施形態では、流路または流れ経路は相互に接続されて、組織部位102に対してへの流体の提供またはその組織部位からの流体の除去の分配を改善することができる。マニホールド104は、組織部位102と接触して配置されかつ組織部位102に減圧を分配することができる生体適合性材料とし得る。マニホールド104の例は、例えば、限定するものではないが、流路を形成するように配置された構造要素を有する装置、例えば、セル状発泡体、開放セル発泡体、多孔性組織集合体、液体、ゲル、および流路を含むまたは硬化して流路を含む発泡体などを含み得る。マニホールド104は多孔性としてもよく、および発泡体、ガーゼ、フェルトのマット、または特定の生物学的応用に好適な任意の他の材料から作製し得る。一実施形態では、マニホールド104は多孔質発泡体であり、流路の機能を果たす複数の連続セルまたは細孔を含む。多孔質発泡体は、ポリウレタンの開放セルの網状発泡体、例えばKinetic Concepts,Incorporated(San Antonio、Texas)製のGranuFoam(登録商標)材などとし得る。場合によっては、マニホールド104はまた、薬剤、抗菌薬、成長因子、および様々な溶液などの流体を組織部位102に分配するためにも使用し得る。マニホールド104にまたはマニホールド104上に、吸収材料、ウィッキング材料、疎水性材料、および親水性材料などの他の層が含まれ得る。
【0022】
一実施形態では、マニホールド104は、減圧ドレッシングを使用後に患者の体から取り出す必要のない生体再吸収性材料から構成し得る。好適な生体再吸収性材料は、限定するものではないが、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)のポリマーブレンドを含み得る。ポリマーブレンドはまた、限定するものではないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、およびカプララクトン(capralactones)を含み得る。マニホールド104は、新しい細胞増殖のための足場としての機能をさらに果たしてもよいし、または細胞増殖を促進するためにマニホールド104と足場材料が一緒に使用されてもよい。足場は、細胞増殖または組織形成を増進させるまたは促進するのに使用される物体または構造であり、例えば、細胞増殖のテンプレートを提供する三次元の多孔質構造である。足場材料の例示的な例は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラルヒドロキシアパタイト(coral hydroxy apatite)、カーボネート、または加工された同種移植片材料を含む。
【0023】
患者の表皮114の一部分およびマニホールド104を覆ってシール部材120が配置される。シール部材120は、エラストマー材料、または流体シールをもたらす任意の材料もしくは物質とし得る。エラストマーの例は、限定はされないが、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン、EVAフィルム、コ−ポリエステル、およびシリコーンを含み得る。さらに、シール部材120は、シリコーンドレープ、3M Tegaderm(登録商標)ドレープ、Avery Dennisonから入手可能なものなどのアクリルドレープを含み得る。
【0024】
シール部材120は、シール部材120と患者の表皮114との間での流体シールの形成を助ける取付装置122を有し得る。取付装置122は、シール部材120を患者の表皮114または別の層、例えばガスケットまたは追加的なシール部材に押し当てるために使用し得る。取付装置122は多くの形態を取り得る。例えば、取付装置122は、医学的に容認できる感圧接着剤または親水コロイドとしてもよく、シール部材120の周囲に延在する。流体シールは、特定の減圧源または関連のサブシステムによって与えられた減圧を所望の部位に維持するのに適切である。
【0025】
シール部材120に減圧インターフェース124が結合されて、マニホールド104への流体路を提供し得る。減圧供給導管126が減圧治療装置106と減圧インターフェース124を流体的に結合している。例示的な一実施形態では、減圧インターフェース124は、KCI(San Antonio、Texas)から入手可能なT.R.A.C.(登録商標)PadまたはSensa T.R.A.C.(登録商標)Padである。減圧インターフェース124があることで、組織部位102に減圧を供給できるようになる。組織部位に加えられる減圧の量および性質は一般に適用例に従って変動するものの、減圧は、一般に−5mm Hg(−667Pa)〜−500mm Hg(−66.7kPa)、より典型的には−75mm Hg(−9.9kPa)〜−300mm Hg(−39.9kPa)である。例えば、限定ではないが、圧力は、−12、−12.5、−13、−14、−14.5、−15、−15.5、−16、−16.5、−17、−17.5、−18、−18.5、−19、−19.5、−20、−20.5、−21、−21.5、−22、−22.5、−23、−23.5、−24、−24.5、−25、−25.5、−26、−26.5kPaまたは別の圧力とし得る。
【0026】
減圧は、治療を施されている組織部位における周囲圧力に満たない圧力である。ほとんどの場合、この減圧は、患者がいる場所の気圧に満たない。あるいは、減圧は、組織部位における静水圧未満とし得る。減圧は、初めに、マニホールド104に、減圧供給導管126に、および組織部位102の近傍に流体の流れを生成し得る。組織部位102の周りの静水圧が所望の減圧に達すると、流れは弱まり、かつ減圧が維持され得る。他に指定のない限り、本明細書で挙げられた圧力の値は、ゲージ圧である。供給される減圧は、一定であってもまたは変動しても(パターン化またはランダム)よく、連続的にまたは断続的に供給され得る。用語「真空」および「負圧」を使用して、組織部位に加えられる圧力を説明してもよいが、組織部位102に加えられる実際の圧力は、通常完全な真空に関連する圧力を上回り得る。本明細書での使用に一致して、減圧または真空圧の上昇は、絶対圧の相対的減少を指す。
【0027】
減圧治療装置106は減圧を供給し、かつ組織部位102から滲出液などの流体を受け取る。減圧治療装置106は、クリップ部材128などの取付装置を含み、ポンプ制御部110に近接してキャニスター部108を保持する。図示の実施形態における取付装置またはクリップ部材128は、キャニスター部108をポンプ制御部110に実質的にぴったりとくっつけて保持し得る。キャニスター部108とポンプ制御部110との間に空隙チャネル130が形成され得る。キャニスター部108の前側部分132は、キャニスター部108内の流体がキャニスター部108の外側から見えるように、透明とし得る。キャニスター部108内の液体量を視覚的に判断するために、前側部分132には目盛尺134が含まれ得る。減圧供給導管126は、キャニスター部108に流体的に結合して、組織部位102に減圧を供給し、かつ組織部位102からの流体をキャニスター部108に供給する。
【0028】
ここで主に
図2を参照して、減圧治療装置106の分解図を説明する。ポンプ制御部110は、ベース部分140とカバー142とを含み得るポンプ制御部ハウジング138を含み得る。ベース部分140の内部144は、バッテリー146、すなわちパワーユニット、または他の電源を含み得る。一実施形態では、バッテリー146は、充電台(図示せず)上に減圧治療装置106を置くことによって、再充電され得る。内部144はまた、第1の電磁石148および第2の電磁石150を含み得る。電磁石148、150は、例えば電磁コイルまたはソレノイドとし得る。内部144には制御装置152が含まれ、制御装置は、電磁石148、150用の制御要素を提供する。制御装置152はまた、以下説明するようにユーザインターフェース装置136からの入力を実行し得る。カバー142は、ベース部分140と合うようなサイズで構成され、かつベース部分との実質的な液密シールを提供する。カバー142は、溶接、締結具、または他の結合技術によってベース部分140に取り外し可能にまたは永久的に接合され得る。
【0029】
ポンプ制御部110は、キャニスター部108にごく接近して固定するように構成される。例示的な実施形態では、キャニスター部108は、クリップ部材128の内側に配置されるように作製され、かつキャニスター部108をポンプ制御部110に押し当てるように締まり嵌めを形成する。キャニスター部108にポンプ制御部110をごく接近させて保持するために、多数の他の技術および装置を使用し得ることを理解されたい。
【0030】
キャニスター部108はポンプヘッド154を含む。ポンプヘッド154は、1つ以上のダイアフラム、例えば第1のダイアフラム156および第2のダイアフラム158を含み得る。ダイアフラムは、半撓み性または撓み性材料のシートを含み、シートの周辺部が壁に固定されている。ポンプヘッド154は、ポンプ室160をさらに含み得る。ポンプヘッド154は、導管またはアパーチャ162を通って液溜め164まで供給される減圧を生成するように動作可能であり、その液溜めは、1つ以上のバッフル166を含み得る。キャニスター部108はベース部分168および膜170を有する。膜170は透湿性とし得る。膜170は、液溜め164の少なくとも一部分を覆い、かつある程度バッフル166によって支持され得る。キャニスター部108のベース部分168は凹部分172を含み、その凹部分が、組立時にキャニスター部108とポンプ制御部110との間に空隙チャネル130を形成する。膜170は、液溜め164から水蒸気が大気に通過できるようにする超高透湿度(MVTR)膜とし得る。空隙チャネル130は水蒸気の移動を容易にする。
【0031】
減圧供給導管126は、減圧入口174とインターフェースし、かつポンプ室160と流体連通している収容室176に流体を供給する。第2の電磁石150は、第2のダイアフラム158の位置を測定することによって、減圧供給導管126、従って、組織部位102の減圧レベルを監視し得る第2の圧力検出器とし得る。第2のダイアフラム158の位置は、第2のダイアフラム158が変位する際に第2の電磁石150が受けるインダクタンスの変化によって測定される。同様に、第1の電磁石148は、第1のダイアフラム156が動く際に第1の電磁石148が受けるインダクタンスの変化により第1のダイアフラム156の位置を測定することによって、キャニスター部108の圧力を測定し得る第1の圧力検出器(図示せず)を含み得る。
【0032】
ここで主に
図4を参照すると、減圧治療装置106は、キャニスター部108およびポンプ制御部110を含む。ポンプ制御部110は、ポンプヘッド154とは流体的に分離または隔離されている。ポンプ制御部110はまた、キャニスター部108とは流体的に分離されている。ポンプ制御部110は、ポンプエネルギーをポンプヘッド154に伝達または提供する。ポンプエネルギーは、同様に、ポンプヘッド154の構成要素、例えば、第1のダイアフラム156を動かし、この動きを使用して減圧を生成する。一部の実施形態では、第2のダイアフラム158をポンプヘッド154に含ませて、減圧の生成または減圧の測定を行うようにし得る。
【0033】
第1のダイアフラム156およびポンプ室160(
図2)にはバルブ組立体184が関連付けられ得る。バルブ組立体184は、例えば、1つ以上の一方向弁(例えば、
図5Aの一方向弁194を参照)としてもよく、流体をポンプ室160から出して、減圧を生成するようにし、その減圧を導管180に伝達させる。減圧を生成するために可動構成要素を使用する他の技術を使用してもよい。
【0034】
ポンプ制御部110は、ユーザインターフェース装置136、制御装置152、および電源サブシステム178、例えばバッテリー146(
図2)を含み得る。ポンプ制御部110は、一動作設定用に構成されてもよく、そのような例示的な実施形態では、電源サブシステム178からの電力が制御装置152に直接供給され得る。次いで、減圧治療装置106は予め設定されたレベルで減圧を生成する。
【0035】
別の例示的な実施形態では、ユーザが減圧治療装置106にパラメータ、例えば所望の圧力範囲、動作持続時間、または他の性能パラメータなどを入力し得る。この後者の例示的な実施形態では、ユーザインターフェース装置136を使用し得る。ユーザインターフェース装置136は、入力用のセレクタボタンならびにユーザに情報およびオプションを示すディスプレイを備えるパネルとし得る。ユーザインターフェース装置136は、電源サブシステム178および制御装置152に電気的に結合され得る。
【0036】
ユーザインターフェース装置136は、ユーザのインタラクションを受け取って、かつそれを、減圧治療装置106で使用するための電気またはソフトウェアコード命令に翻訳する。ユーザインターフェース装置136は、LCD、OLED、またはLEDスクリーン上の(またはそれらを備える)静電容量式または抵抗膜式タッチパネル;ボタンおよびLEDを備える膜パネル;LEDを備える、エンクロージャに装着されたボタン;エンクロージャに装着された静電容量センサー;ジェスチャー認識カメラ;または上述の技術の組み合わせとし得る。例示的かつ非限定的な一実施形態では、ユーザインターフェース装置136は、制御装置152に伝えられ得る命令を決定するために復号化を必要としない基本スイッチである。別の例示的な実施形態では、ユーザインターフェース装置136は、タッチスクリーンとLCDとの組み合わせであり、ユーザ命令を決定するためにソフトウェアコードを必要とする。一般的に、ユーザインターフェース装置136は、ユーザからの命令を決定して制御装置152へ通信し、かつ、制御装置152またはモジュールからの処理のステータスについてユーザにフィードバックを送信し得る。
【0037】
制御装置152は、減圧治療システム100によって投与された治療を制御し、かつ、この例示的な実施形態では、ユーザインターフェース装置136を介したユーザからの命令に基づいて、リンキングインターフェース186、188のアクションを制御する。制御装置152は、下記でさらに説明するように、電源サブシステム178によってもたらされた電力を、第1のリンキングインターフェース186および第2のリンキングインターフェース188用のポンプエネルギーに変換し、かつ、リンキングインターフェース186、188を順序付けし得る。一部の例示的な実施形態では、制御装置152は、治療コードを実行するマイクロプロセッサなどの制御エレクトロニクスと、リンキングインターフェース186、188を制御できるドライブエレクトロニクスとを含む。制御装置152用の電力は電源サブシステム178から得られ、その電源サブシステムは、減圧治療システム100に適切なレベルの電力を提供して、制御装置152およびリンキングインターフェース186、188を駆動する。
【0038】
電源サブシステム178は、制御装置152およびユーザインターフェース装置136にデータを通信しかつ電力を伝達し得る。電源サブシステム178は、制御装置152およびユーザインターフェース装置136に適切な電力を提供し、かつ、制御装置152によって監視できるステータス情報を提供し得る。ステータス情報は、電源サブシステム178が主電源に接続されているかどうか、およびバッテリーの充電状態を含み得る。ステータス情報は、ユーザインターフェース装置136を介してユーザに提示され得る。電源サブシステム178はまた、バッテリーを充電し、かつ、主電源接続が切断される場合にバッテリーへ切り替え得る。
【0039】
キャニスター部108は、液溜め164およびポンプヘッド154を含む。この例示的な実施形態では、減圧供給導管126が、減圧入口174を経て液溜め164に流体を供給する。ポンプヘッド154は、ポンプエネルギーを受け取ると、減圧を生じる。減圧は、導管180を通って液溜め164へ供給される。導管180は、1つ以上のフィルター182、例えば疎水性フィルターなどを含み、液体がポンプヘッド154を汚染しないようにし得る。キャニスター部108は、創傷112(
図1)からの気体を減圧治療装置106の外部に放出させる通気口導管196をさらに含み得る。
【0040】
動作中、ポンプエネルギーは、第1のリンキングインターフェース186などの少なくとも1つのリンキングインターフェースによってポンプヘッド154に供給される。この例示的な実施形態では、第1のリンキングインターフェース186は、第1の電磁石148と、第1のダイアフラム156に関連付けられた第1の磁石部材190とを含む。第1の磁石部材190は、座金、または第1のダイアフラム156に結合された他の部材とし得る。
【0041】
一部の実施形態では、ユーザは、ユーザインターフェース装置136を使用して減圧治療装置106を起動する。制御装置152は第1の電磁石148を起動して交番磁界を発生させ、その交番磁界は、第1のダイアフラム156上の第1の磁石部材190に磁気的に結合される。第1の電磁石148は、第1のダイアフラム156の位置と実質的に整列した方向に電磁界を生成し得る。バルブ組立体184と連動して第1のダイアフラム156が動くことによって減圧を生成でき、その減圧は、導管180に届けられて液溜め164へ供給される。次いで、減圧が減圧供給導管126を通って組織部位102に伝達される。ポンプ制御部110とキャニスター部108との間に流体連通が全くなくても、第1のリンキングインターフェース186によって、ポンプエネルギーをポンプヘッド154に供給できることを理解されたい。従って、キャニスター部108内の汚染物質−気体または液体にかかわらず−は、ポンプ制御部110に到達することができない。ポンプ制御部110には、より価値の高い構成要素が存在してもよく、汚染から保護される。一実施形態では、キャニスター部108は使い捨てとしてもよく、継続的な適用に対して、新しいキャニスター部を同じポンプ制御部110と使用してもよい。
【0042】
一部の実施形態では、第2のダイアフラム158を第2のリンキングインターフェース188と共に使用して減圧を生成し得る。第2のダイアフラム158は第2の磁石部材192を有し、かつ第1のダイアフラム156および第1のリンキングインターフェース186と同じ様に第2のリンキングインターフェース188と連携する。別の実施形態では、第2のダイアフラム158は、ポンプヘッド154内の圧力を測定するために設け得る。
【0043】
この後者の実施形態では、第2のダイアフラム158、特に第2の磁石部材192の変位は、第2の電磁石150が受ける誘導の変化によって感知される。第2のダイアフラム158の変位を検知するために他の技術を使用してもよい。例えば、ポンプ制御部110は、第2のダイアフラム158に、特に、限定するものではないが、磁石部材192がある面またはあるはずの面に赤外線信号を送信する赤外線センサーを含み得る。赤外線信号は赤外線センサーに戻り、距離が検出されて、変位が確認され得る。別の例では、ポンプ制御部110は静電容量センサーを含んでもよく、および第2のダイアフラム158はプレートを含んでもよく、そのプレートは、動かされると静電容量を変化させ、それがポンプ制御部110上の静電容量センサーによって検出される。別の実施形態では、第2のダイアフラム158にフェライト材が結合されてもよい。ポンプ制御部110内のホール効果センサーを使用して、フェライトの動きによる磁束の変化を感知してもよく、これにより変位を感知できる。
【0044】
別の実施形態では、第2のダイアフラム158の変位の測定に加えてまたはそれに代えて、ポンプ制御部110は、類似の技術を使用して、第1のダイアフラム156の変位を判断するセンサーを有してもよい。この後者の実施形態では、減圧治療装置106は、第1のダイアフラム156ポンプエネルギーを提供することを停止し、ポンプヘッド154内の減圧が第1のダイアフラム156に作用するようにし得る。次いで、センサーは、第1のダイアフラム156の変位を測定し得る。ポンプヘッド154内の圧力は、変位測定値を使用して判断され得る。両ダイアフラム156、158を使用して減圧を測定する場合、一方のダイアフラムを使用してポンプヘッド154内の圧力を測定し、および他方のダイアフラムを使用して、サンプリング導管(図示せず)内などの別の場所の圧力を測定し得る。サンプリング導管は減圧供給導管126に関連付けられ得る。
【0045】
ここで主に
図5A〜5Cを参照して、磁気コイル149とし得る第1の電磁石148が、減圧を生じるために、第1のダイアフラム156上の第1の磁石部材190およびポンプ室160と相互作用する方法を説明する。第1の電磁石148は、ベース部分140(
図2)の内部144(
図2)にあり、かつ、第1の電磁石148と第1のダイアフラム156との間にはカバー142が配置され得る。
図5Aは、非作動位置、または中立位置にある第1の電磁石148を示す。
図5Bでは、第1の電磁石148は作動されており、かつ第1の磁石部材190に作用する電磁力を提供する。そのため、電磁力は、第1の磁石部材190を第1の電磁石148の方へ第1の位置まで動かす。
図5Cは、第1の電磁石148が第1の磁石部材190を第1の電磁石148から離れるように第2の位置まで動かすように逆向きにされた電磁力を示す。第1の位置のポンプ室160の体積(V
1)は、第2の位置の体積(V
2)よりも大きいことを理解されたい。それゆえ、ポンプ室160の流体が除去され、その後、第1の磁石部材190が第1の電磁石148の方へ戻るように動かされると、ポンプ室160内に減圧が発生する。一方向弁194であるゆえに流体がポンプ室160に戻らないために、ポンプ室160内は減圧のままとなる。
【0046】
再び主に
図1を参照すると、減圧治療システム100の動作において、マニホールド104は、組織部位102に近接して配置される。患者の表皮114の一部分およびマニホールド104はシール部材120で覆われている。シール部材120を使用して、マニホールド104および組織部位102を覆う流体シールを形成するのを助ける。まだ設置されていない場合、減圧インターフェース124を設置してマニホールド104への流体路を提供する。減圧供給導管126を使用して減圧インターフェース124を減圧治療装置106に流体的に結合する。
【0047】
次いで減圧治療装置106を起動する。一部の実施形態では、減圧治療装置106は、ユーザインターフェース装置136を使用して起動され得る。上述の通り、減圧治療装置106を起動することによって第1のリンキングインターフェース186を作動し、かつポンプエネルギーをポンプ制御部110からポンプヘッド154へ提供する。第2のリンキングインターフェース188はまた、ポンプエネルギーをポンプ制御部110からポンプヘッド154へ、特に第2のダイアフラム158へ提供し得る。ポンプエネルギーは少なくとも1つのダイアフラム、例えば、第1のダイアフラム156を動かし、上述の通り減圧を発生させる。動作全体にわたってまたは間隔をおいて、ポンプヘッド154内のまたは組織部位102における圧力を、上述の通りダイアフラム156、158の変位を感知することによって判断し得る。
【0048】
ここで主に
図6を参照して、減圧治療装置206の別の例示的かつ非限定的な実施形態を説明する。減圧治療装置206は、ポンプヘッド254が、減圧供給導管226から直接戻ってくる流体で動作し、それら流体が導管280によって液溜め264に供給されることを除いて、
図4の減圧治療装置106と類似している。
図4の実施形態にあるように、減圧治療装置206はポンプ制御部210およびキャニスター部208を含む。ポンプ制御部210は、
図4のユーザインターフェース装置136、電源サブシステム178、制御装置152、第1の電磁石148、および第2の電磁石150にそれぞれ類似した、制御装置またはユーザインターフェース装置236、電源サブシステム278、制御装置252、第1の電磁石248、および第2の電磁石250を含み得る。
【0049】
キャニスター部208はポンプヘッド254を含む。ポンプヘッド254は、第1の磁石部材290および第2の磁石部材292をそれぞれ有し得る第1のダイアフラム256および第2のダイアフラム258を含む。ポンプヘッド254は、減圧を生じるために第1のダイアフラム256と連動して動作するバルブ組立体284を含み得る。第1のダイアフラム256は、減圧供給導管226から供給された流体に直接作用する。キャニスター部208は、創傷、例えば
図1の創傷112からの気体を、減圧治療装置206の外部に放出する通気口導管296をさらに含み得る。通気口導管296にフィルター298を追加して、液体および臭気がキャニスター部208から出ないようにし得る。
【0050】
動作中、ポンプエネルギーは、第1のリンキングインターフェース286によって第1の電磁石248から第1のダイアフラム256へ供給される。ポンプエネルギーが第1のダイアフラム256を動かして減圧を発生させる。第1のリンキングインターフェース286は、第1の電磁石248と、第1のダイアフラム256上の第1の磁石部材290とを含む。第1のリンキングインターフェース286は、上述の通り変位を感知することによって、キャニスター部208内の圧力をさらに監視し得る。同様に、第2のリンキングインターフェース288が第2の電磁石250と、第2のダイアフラム258上の第2の磁石部材292とを含み、組織部位102、例えば、
図1の創傷112における圧力を監視する。
【0051】
例示的かつ代替的な実施形態に関してではあるが、依然として主に
図6を参照すると、リンキングインターフェース286、288は機械的なリンクとし得る。この例示的な実施形態では、第1のリンキングインターフェース286は、第1の電磁石248、第1の機械的アクチュエータ(明示せず)、および第1のダイアフラム256を含み得る。第1の電磁石248は第1の機械的アクチュエータの第1の端部(近位端部)を受け(明示せず)、第1のダイアフラム256は、第1の機械的アクチュエータの第2の対向端部(遠位端部)を受ける。作動時、第1の電磁石248は第1の機械的アクチュエータを動かし、同様に第1の機械的アクチュエータは第1のダイアフラム256を動かす。第1の電磁石248は、第1のダイアフラム256の位置を測定することによって、キャニスター部208内の圧力を監視し得る。同様に、第2のリンキングインターフェース288は、第2の電磁石250、第2の機械的アクチュエータ(明示せず)、および第2のダイアフラム258を含み得る。第2のリンキングインターフェース288は第2のダイアフラム258を動かして減圧を生じる。それに加えてまたはその代わりに、第2の電磁石250は、第2の機械的アクチュエータを介して第2のダイアフラム258の位置を測定することによって減圧供給導管226内の圧力レベルを監視し得る。第1および第2の機械的アクチュエータは、任意選択で液圧流体を含み得る。それゆえ、第1および第2のリンキングインターフェース286、288は、第1および第2のダイアフラム256、258をそれぞれ動かす一方、キャニスター部208内の流体路のいずれとも流体的に隔離されたままであるように動作する。
【0052】
ここで主に
図7を参照して、減圧治療装置306の別の例示的かつ非限定的な実施形態を説明する。減圧治療装置306は、ほとんどの点で
図4の減圧治療装置106と類似している。例えば、減圧治療装置306は、キャニスター部308およびポンプ制御部310を含む。ポンプ制御部310は、
図2のユーザインターフェース装置136と類似している制御装置またはユーザインターフェース装置336を含み得る。ポンプ制御部310は電源サブシステム378を含む。電源サブシステム378およびユーザインターフェース装置336は、制御装置352に電子的に結合され得る。この例示的な実施形態では、ポンプ制御部310は第1のポンプ353をさらに含み、かつバルブ組立体355をさらに含み得る。第1のポンプ353は、単独で、またはバルブ組立体355と連動して、第1の導管357を通って第1のダイアフラム356まで正圧または減圧をもたらし、第1のダイアフラム356が動くようにする。同様に、第2の導管359が第2のダイアフラム358に正圧または減圧をもたらし得る。
【0053】
キャニスター部308は、第1および第2のダイアフラム356、358を含むポンプヘッド354、または第2のポンプを含む。ポンプヘッド354には第2のバルブ組立体384が含まれ得る。第1のダイアフラム356は、単独で、または第2のバルブ組立体384と共に、ポンプエネルギーの影響下で動作して減圧をもたらし、その減圧は導管380へ、そしてその後液溜め364へ供給される。導管380は、疎水性フィルターなどの1つ以上のフィルター382を含み得る。液溜め364内の減圧が減圧供給導管326に供給され得る。キャニスター部308は、組織部位、例えば
図1の創傷112からの気体を、減圧治療装置306の外部に放出する通気口導管396をさらに含み得る。
【0054】
減圧治療装置306では、第1の導管357は、第1のリンキングインターフェース386の一部分を形成する。第1のリンキングインターフェース386は、第1のポンプ353(および任意選択でバルブ組立体355)と、第1のダイアフラム356とをさらに含む。第1のリンキングインターフェース386は、第1の圧力検出器(図示せず)を含み得る。それゆえ、第1のポンプ353によって生成された正圧または減圧が、第1のダイアフラム356に伝達され、ポンプエネルギーを構成し、そのポンプエネルギーを使用してポンプヘッド354内に減圧を発生させ得る。キャニスター部308内の圧力は、第1の圧力検出器(図示せず)を使用して第1のダイアフラム356の位置を測定することによって、監視し得る。同様に、第2の導管359は、第2のリンキングインターフェース388の一部分を構成する。第2のリンキングインターフェース388はまた、第1のポンプ353(および任意選択でバルブ組立体355)と、第2のダイアフラム358と、第2の圧力検出器(図示せず)とを含む。創傷、例えば、
図1の創傷112における圧力を、第2の圧力検出器(図示せず)を使用して第2のダイアフラム358の位置を測定することによって、監視し得る。
【0055】
第1および第2のリンキングインターフェース386および388は、ポンプ制御部310とキャニスター部308との間の空気圧結合を提供する。第1のポンプ353は、一定の負荷点で稼働され、かつ第1のポンプ353とバルブ組立体355との間に溜め部をさらに含み得る。第1のポンプ353は、周囲圧力とより高い圧力との間で交互に切り替わり得る。例示的かつ代替的な実施形態では、第1のポンプ353を圧縮ガス容器で置き換えてもよく、圧縮ガスは第1のダイアフラム356にもたらされて、ポンプエネルギーを提供し、ポンプヘッド354に減圧を発生させる(第1の導管357はポンプヘッド354にポンプエネルギーをもたらすが、キャニスター部308の汚染された流体路とは流体的に隔離されたままであることに留意されたい)。
【0056】
ここで主に
図8を参照して、ほとんどの点で
図1〜6の減圧治療装置106に類似している減圧治療装置406の別の例示的かつ非限定的な実施形態を説明する。減圧治療装置406は、キャニスター部408およびポンプ制御部410を含む。ポンプ制御部410は、制御装置またはユーザインターフェース装置436、電源サブシステム478、および制御装置452を含み得る。前述同様に、ユーザは、ユーザインターフェース装置436にデータまたは所望の設定を入力する。電源サブシステム478は制御装置452に電力を提供する。この例示的な実施形態では、制御装置452は、圧電コントローラ・ドライバユニット461をさらに含む。
【0057】
圧電コントローラ・ドライバユニット461は、第1の電気的結合部457によって第1の圧電部材463に電気的に結合されており、第1の圧電部材は、第1のダイアフラム456の一部であるまたはそれに結合されている。同様に、第2の電気的導管459が圧電コントローラ・ドライバユニット461を第2の圧電部材465に結合し、第2の圧電部材は、第2のダイアフラム458の一部であるまたはそれに結合されている。それゆえ、第1のリンキングインターフェース486は、圧電コントローラ・ドライバユニット461、第1の電気的結合部457、第1の圧力検出器(図示せず)、および第1の圧電部材463を含む。ポンプエネルギーは、第1のリンキングインターフェース486を経て第1のダイアフラム456に供給され得る。キャニスター部408内の圧力が、第1の圧力検出器(図示せず)を使用して第1のダイアフラム456の位置を測定することによって、さらに監視され得る。第2のリンキングインターフェース488が、圧電コントローラ・ドライバユニット461、第2の電気的結合部459、第2の圧力検出器(図示せず)、および第2の圧電部材465を含む。減圧供給導管426内の圧力が、第2の圧力検出器(図示せず)を介して第2のダイアフラム458の位置を測定することにより、圧電コントローラ・ドライバユニット461によって監視され得る。第1のダイアフラム456はポンプヘッド454内で動作して減圧をもたらし、その減圧は、導管480によって液溜め464に供給される。導管480は、疎水性フィルターなどの1つ以上のフィルター482を含み得る。液溜め464に供給される減圧は、減圧を減圧供給導管426に伝達する。
【0058】
動作中、制御装置452および圧電コントローラ・ドライバユニット461は、第1の電気的結合部457によって供給された第1の圧電制御信号を第1の圧電部材463に提供する。第1の圧電部材463は、作動時、第1のダイアフラム456を動かす。第1のダイアフラム456およびポンプヘッド454が動くことによって減圧を発生させ、その減圧が導管480に供給される。ポンプヘッド454内にはバルブ組立体484が含まれ、減圧の生成を助ける。キャニスター部408は、創傷、例えば
図1の創傷112からの気体を、減圧治療装置406の外部に放出させる通気口導管496をさらに含み得る。
【0059】
ほとんどの点で
図1〜4の減圧治療装置106と類似している別の例示的かつ非限定的な実施形態では(図示せず)、ポンプ制御部およびキャニスター部を含む減圧治療装置を説明する。ポンプ制御部は、ユーザインターフェース装置、電源サブシステム、および制御装置を含み得る。ユーザインターフェース装置および電源サブシステムは、制御装置に電子的に結合され得る。ポンプ制御部は、1つ以上のレーザ光をさらに含み得る。キャニスター部は、1つ以上のレーザ光に対応する1つ以上のダイアフラムを有し得るポンプヘッドを含む。動作中、ポンプエネルギーは、1つ以上のリンキングインターフェースによって1つ以上のダイアフラムに供給される。
【0060】
この実施形態では、リンキングインターフェースはレーザ光およびダイアフラムを含む。リンキングインターフェースは、減圧を生じるためにポンプヘッド内でポンプ作用を発生させるために、レーザ光によってダイアフラムを変形させるように動作可能である。この例示的な実施形態では、1つ以上のダイアフラムは、光を吸収するスペクトル吸収性ポリマー製とし得る熱反応性のダイアフラムとしてもよく、ダイアフラムは、レーザ光によって生成された熱を分散させるのを助け得る導体材料で処理される。熱反応性のダイアフラムは、レーザ光の適用下で変形するように動作可能である。別の例示的な実施形態では、1つ以上のダイアフラムは、結晶形態を変化させるために光の定められた波長を吸収できる撓み性材料で形成してもよく、結晶形態の変化により材料の密度を変化させ、それにより、ダイアフラムの形状を変化させる;すなわち、撓み性材料は、レーザ光の適用下で変形するように動作可能である。
【0061】
上述の
図1〜8の非限定的な実施形態を考慮して、リンキングインターフェースは、ポンプ制御部からポンプヘッドへエネルギーを提供する一方で、ポンプ制御部を、ポンプヘッドの汚染される可能性のある部分とは流体的に分離または隔離された状態を保つための任意の構成であることが明らかである。多くの場合、リンキングインターフェースは、磁場を使用することを含む。リンキングインターフェースの他の実施形態は、ダイアフラムを動かす空気圧リンクを使用すること、ポンプ制御部とポンプヘッド(ダイアフラムの隔離された側)との間に置かれて作動する機械的アクチュエータを使用すること、前の段落で説明したようにレーザ光を使用すること、およびダイアフラムを動かすために圧電部材を使用することを含む。
【0062】
ここで主に
図9〜12を、初めに
図9を参照して、減圧治療を受けている患者に使用するための流体収集システムまたはサブシステム500を説明する。流体収集システム500は、液溜め504を備えて形成されたキャニスター本体502を含む。減圧供給導管506、または導管が、患者から流体508をキャニスター本体502に供給する。減圧供給導管506は、キャニスター本体502の液溜め504と流体連通している。キャニスター本体502内にはアパーチャ510が形成され、流体508を液溜め504に連通させ得る。キャニスター本体502には、1つ以上のモジュール、例えば、ポンプ512、ポンプ制御エレクトロニクス514、およびパワーユニット516が関連付けられている。
【0063】
ポンプ512、ポンプ制御エレクトロニクス514、およびパワーユニット516は、キャニスター本体502の別個の構成要素内に配置されてもよいし、または一部の例示的な実施形態では、キャニスター本体502に接続された別個のユニットにあってもよい。ポンプ512、ポンプ制御エレクトロニクス514、およびパワーユニット516は、個別のモジュール515としても、または様々な順列で結合されて、大きなモジュール515またはユニットを形成してもよい。例えば、
図10に示すように、ポンプ制御エレクトロニクス514およびパワーユニット516がモジュール515として結合され、パワー・制御ユニット518としてもよい。別の例として、
図12は、ポンプ512およびパワー・制御ユニット518を備えて形成されたモジュール515を示す。
【0064】
流体の流入に対してポンプ512を保護するのを疎水性フィルター520が助け得る。ポンプ512は、減圧を発生させる任意の装置とし得る。ポンプ制御エレクトロニクス514は、ポンプ512を制御する任意の1つまたは複数の装置とし得る。ポンプ制御エレクトロニクス514は、限定するものではないが、プリント配線アセンブリ(PWA)または特定用途向け集積回路(ASIC)または他の制御ユニットとし得る。
【0065】
流体収集システム500の動作では、制御エレクトロニクス514は、ユーザインターフェース(図示せず)によって起動され、パワーユニット516からの電力を使用してポンプ512を起動するようにし得る。起動されたポンプ512は減圧を生じ、その減圧は、フィルター520を通って液溜め504に供給される。
図9に示すように排気口522を通って排気がポンプ512から出てもよい。液溜め504内の減圧を、患者の流体レセプタ(図示せず)に結合される減圧供給導管506に伝達する。減圧によって、流体508は流体レセプタに受け入れられ、減圧供給導管506を通って液溜め504まで流れるようになる。流体レセプタは、患者から流体を取り除くための任意の装置またはサブシステムとし得る。例えば、限定するものではないが、流体レセプタは、
図1に示すような開放された体腔またはマニホールド、シール部材、および減圧インターフェースにおいて使用される吸気装置とし得る。
【0066】
所望の場合、1つ以上のモジュール515、例えば、ポンプ512、ポンプ制御エレクトロニクス514、またはパワーユニット516またはそれらの組み合わせを取り外してもよい。例えば、
図10は、キャニスター本体502からパワー・制御ユニット518が取り外されている状態を示す。取り外し後、パワー・制御ユニット518を再使用するために再調整し得る。モジュール515を簡単に取り外せることによって再生利用が容易になり、およびモジュール515の1つ以上の再生利用は、それらが流体収集システム500の比較的高価な品目であることが多いために、特に好都合とし得る。
【0067】
パワー・制御ユニット518または他のモジュール515の取り外し後、液溜め504およびキャニスター本体502の他の残りの態様は廃棄され得る。
図11では、パワーユニット516のみが取り外される。
図12では、ポンプ512とパワー・制御ユニット518とを含むモジュール515が取り外される。どの構成要素またはモジュール515が取り外されても、モジュール515または構成要素は好ましくは再調整されて、新しいキャニスター本体(図示せず)および任意の他の必要な構成要素と一緒に再使用される。モジュール515は、ユーザが比較的簡単に取り外すのを助けるように、キャニスター本体502に解放可能に固定し得る。例えば、モジュール515は、スナップ嵌めを使用してもよいし、またはモジュール515をキャニスター本体502に保持するための締結具を1つまたは2つのみ有してもよい。追加的な非限定的な例として、モジュール515は、1つ以上のモジュール515をキャニスター本体502に固定する弱粘着剤または粘着テープによって保持されてもよい。
【0068】
取り外したら、モジュール515を再使用するために再調整し得る。例えば、モジュール515は、モジュール515が再調整されるリサイクルセンターに配送され得る。モジュール515上にまたはモジュール515内に実質的に何らかの生物学的廃棄物がない状態でモジュール515を配送することが一般に好ましい。キャニスター本体502の液溜め504は使用後に生物学的廃棄物を含むため、キャニスター本体502は、リサイクルセンターへ、通常の配送状態で配送されるべきではない。キャニスター本体502は、バイオハザードとして取り扱われるか、または最初に現場で処理されるべきである。さらに、キャニスター本体502の不注意による配送に対する予防措置が少なくとも1つはあることが望ましい。
【0069】
ここで主に
図13〜15を参照すると、ユーザが液溜め504を不注意に配送しないようにするための予防措置として、備え付けの配送用容器524を使用する。その配送用容器は、所望の構成要素またはモジュール515のみを備え付けの容器524に入れることができるサイズで構成されている。換言すると、備え付けの配送用容器524は、キャニスター本体502の関連部分および液溜め504が備え付けの配送用容器524に入らないようにする。
【0070】
例えば、ここで主に
図13を参照すると、備え付けの配送用容器524は、防水性のクッション付き配送用封筒526であって、その開口部528は、適切な構成要素またはモジュール515、例えばパワー・制御ユニット518を受け入れる程度に大きいが、キャニスター本体502が入らない程度に小さい封筒とし得る。クッション付き配送用封筒526はクッション部材529を含む。クッション付き配送用封筒526は、第1のシーム534および第2のシーム536で封止される第1のパネル530および第2のパネル532を有する。1つまたは複数のモジュール515を開口部528に挿入した後、開口部528を封止して、内部の1つまたは複数のモジュールをリサイクルセンターに配送し得る。
【0071】
ここで主に
図14Aおよび14Bを参照して、備え付けの配送用容器524の別の例示的かつ非限定的な実施形態を説明する。備え付けの配送用容器524を、2つの部材:
図14Aに示す第1の部材538、および
図14Bに示す第2の部材540を備える未組立状態で示す。2つの部材538、540を、提案の通り接合して、備え付けの配送用容器524を形成する。備え付けの配送用容器524は、流体収集システムの所望の構成要素またはモジュール515のみを配送できるようなサイズで構成されている。力をかなり使わなければ、キャニスター本体502または液溜め504は備え付けの配送用容器524に収まらない。部材538および540は、例えば、発泡スチロール材またはポリマーまたは任意の他の好適な半剛性材料から作製し得る。
【0072】
例示的かつ非限定的な一実施形態では、第1の部材538は、第1の空洞543を有する第1の備え付けの突出部分542を有する。第1の空洞543は、所望の構成要素またはモジュール515、例えば、ポンプ制御エレクトロニクス514およびパワーユニット516の少なくとも一部分を収容するようなサイズで構成されている。第1の備え付けの突出部分542は、第1の空洞543に1つまたは複数のモジュール515を収容するために変形し得る。1つまたは複数のモジュール515の少なくとも一部分は、締まり嵌めによって第1の空洞543に固定され得る。
【0073】
同様に、第2の部材540は、第2の空洞545を備える第2の備え付けの突出部分544を有し、その第2の空洞も、1つまたは複数のモジュール515の少なくとも一部分を収容するようなサイズで構成されている。第2の備え付けの突出部分542は、第2の空洞545に1つまたは複数のモジュール515を収容するために変形し得る。1つまたは複数のモジュール515の少なくとも一部分は、締まり嵌めによって第2の空洞545に固定され得る。
【0074】
第1の部材538の周囲546は、第2の部材540の周囲548と結合して一体にされ、それにより組立型の備え付けの配送用容器524を形成するようなサイズで構成されている。備え付けの配送用容器524は、配送されるべき指定の構成要素またはモジュール515を収容するようなサイズで構成されている。備え付けの配送用容器524も、第1の部材538と第2の部材540との間にキャニスター本体502が配置された状態ではきちんと閉まらないようなサイズで構成されている。部材538、540は、周囲546、548で組み合わされて封止され、組立型の備え付けの配送用容器524を形成し得る。例えば、周囲546、548は、テープで貼られても、接着されても、結合されても、または他の方法で取り付けられてもよい。組立型の備え付けの配送用容器524は、構成要素またはモジュール515が入れられたら、再調整のためにリサイクルセンターに配送され得る。
【0075】
ここで主に
図15を参照して、モジュール515またはユニット550と共に使用するための、備え付けの配送用容器524の別の例示的かつ非限定的な実施形態を説明する。備え付けの配送用容器524は、第1の空洞(明示せず)を有する第1の部材538と、第2の空洞537を備える第2の部材540とを含む。この例示的な実施形態では、ユニット550は、ポンプ512、またはポンプの態様、例えば第1の電磁石552、制御装置またはポンプ制御エレクトロニクス514、およびパワーユニット516などを含む。ユニット550はまた、ユーザインターフェース554を含む。ユニット550はユニットハウジング556を有する。第1の部材538および第2の部材540は、ユニットハウジング566を収容し、かつ、配送のためにユニット550を固定するために締まり嵌めを形成するようなサイズで構成されている。キャニスターまたは液溜めがユニット550に取り付けられた場合、ユニット550は、備え付けの配送用容器524に収まらないであろうことに留意されたい。
【0076】
ユニット550をキャニスター部、例えば、
図2および3のキャニスター部108と共に使用した後、ユニット550を取り外し、ユニット550を第1の部材538と第2の部材540との間に置く。部材538、540は結合して一体にされ、備え付けの配送用容器524を形成する。備え付けの配送用容器524内にユニット550が固定された状態で、2つの部材538および540が封止または結合され得る。2つの部材538、540は、テープで貼られても、接着されても、結合されても、または他の方法で取り付けられてもよい。次いで、備え付けの配送用容器524を、モジュール515の再調整のためにリサイクルセンターに送り得る。再調整後、ユニット550は、別のキャニスター部と共に使用され得る。
【0077】
ここで主に
図16を参照して、減圧治療を受けている患者に使用するための流体収集システム600を説明する。流体収集システム600は、液溜め604を含むキャニスター部602を含む。減圧供給導管606が、患者(図示せず)から流体を液溜め604へ供給する。除去され、次いで減圧供給導管606を通って供給された流体は、創傷、または腹部などの体腔、または他の個所からのものとし得る。
【0078】
キャニスター部602は、2つの熱可塑性部分を組み合わせることによって形成し得る。2つの熱可塑性部分を接合および溶接して、キャニスター部602を形成し得る。キャニスター部602はまた、吹込み成形によって形成し得る。射出成形用発泡体を成形型に吹込みを行って、キャニスター部602を成形し得る。成形型に最初に接触する発泡体の部分は、クローズドセルを備える外面スキン層を形成し得る。内部部分を埋める発泡体は、液溜めまたは流体を収容できる体積部を形成する開放セルを有し得る。キャニスター部602には組込みフィルター620が含まれてもよい。組込みフィルター620は焼結ポリマー製とし得る。組込みフィルター620は、任意の向きで流体を連通させ得る。
【0079】
流体収集システム600はまた、一般にポンプ610と、ポンプ制御装置612(またはポンプ制御エレクトロニクス612)と、パワーユニット614とを含むポンプ制御部608を含む。ポンプ610は、導管616に供給される減圧を発生させるのに適切な任意のポンプとし得る。例えば、ポンプ610は、圧電ポンプなどのマイクロポンプ、他の非電動式ポンプ、または電動機駆動ポンプとし得る。マイクロポンプを使用する場合、キャニスター部602に急速排出口が追加されて、液溜め604および創傷ドレッシングの態様を素早く空にするために病院の組込み吸引源を一時的に使用できるようにする。圧電ポンプが使用される場合、圧電ポンプは、流体収集システム600用のブザーまたは振動式警告システムとして、異なる周波数で使用し得る。導管616に疎水性フィルター618を設けて、導管616に入りこむ可能性のあるいずれの液体からもポンプ610を保護し得る。同様に、疎水性フィルター620が導管622に含まれてもよい。導管616および622は流体的に結合されており、かつまた、接続部材624によって物理的に結合され得る。
【0080】
接続部材624は、ポンプ制御部608とキャニスター部602とを流体的におよび物理的に結合し得る。接続部材624は、ポンプ制御部608およびキャニスター部602を相対的な位置に選択的に固定するように動作可能である。接続部材624はまた、所望の場合には、ポンプ制御部608とキャニスター部602とを分離できるように動作可能である。例えば、例示的かつ非限定的な一実施形態では、接続部材624は、例えば、押込んでねじ切りする(push−on−and−twist−off)タイプのペグ部材とし得る。そのような接続部材624によれば、接続部材624を導管616および622と一緒に動かして、ポンプ制御部608をキャニスター部602に取り付けるかまたは結合して、結合部が形成され得る。例えば、結合部は、溝に当たる外側に片寄った刻み目によって形成され、しっかりとロックし得る。接続部材624上のシールは、導管616、622と接続部材624との間に流体シールを提供する。接続部材624はテーパ状に形成され、導管とかみ合ってシールを形成し得る。接続部材624はまた、接続部材624と導管との間にシール部品、例えば、Oリングまたは他の可撓性要素を使用することによって、結合されてもよい。シール部品は、結合前には、ポンプ制御部608にあっても、または接続部材624にあってもよい。
【0081】
所望の場合、ポンプ制御部608は、接続部材624の一部分を押すまたは接続部材624をねじって壊すことによって、キャニスター部602とは分離され得るまたはそれから外され得る。例示的かつ非限定的な一実施形態では、接続部材624を分離することによって、導管616および622の両端部が自動的にシールされる。分離されたポンプ制御部608を、備え付けの配送用容器、例えば、
図13の備え付けの配送用容器524に入れて、再調整のためにリサイクルセンターに配送する。再調整後、ポンプ制御部608を、新しいキャニスター部602と共に使用し得る。
【0082】
ここで主に
図17を参照して、流体収集システム600の別の例示的かつ非限定的な実施形態を説明する。流体収集システム600は、キャニスター部602およびポンプ制御部608を含む。
図17の流体収集システム600は、
図16の流体制御システム600とほとんどの点で類似している。それゆえ、減圧供給導管606は、患者から流体をキャニスター部602および液溜め(図示しないが、
図16の液溜め604に類似している)に供給する。この実施形態では、ポンプ制御部608は、スイベル接続部626によって、キャニスター部602に少なくとも部分的に固定され得る。この例示的かつ非限定的な実施形態では、接続部材624は2つのスナップタブ628とし得る。ポンプ制御部608とキャニスター部602との間の導管(導管616および622に類似している)が、スナップタブ628内に配置されていてもよいし、またはスナップタブ628とは分離されていてもよい。
【0083】
動作中、例示的かつ非限定的な一実施形態によれば、流体収集システム600は、組立済の使える状態にあるポンプ制御部608およびキャニスター部602を備える。使用後、ポンプ制御部608は、スイベル接続部626の周りでねじって回され、スナップタブ628が壊れるかまたは解放するようにする。単純な道具またはコインなどの他の品目を使用して、スナップタブ628を折るてこの作用を与える。スナップタブ628が壊れると、スナップタブ628の動作不可能な部分がキャニスター部602に残り得る。スナップタブ628の残りの部分は、キャニスター部602が不注意に再使用されないようにし得る。スナップタブ628を壊した後、ポンプ制御部608をスイベル接続部626から垂直に持ち上げ得る。ポンプ制御部608は、キャニスター部602に対して約45度旋回されてから、持ち上げ得る。ポンプ制御部608は、取り外したら備え付けの配送用容器に入れ、再調整のためにリサイクルセンターに送られ、その後、新しいキャニスター部602と共に再使用され得る。
【0084】
本明細書では、液溜め、例えば、液溜め164、504、604は、キャニスターが破損した場合にこぼれる可能性を減らすための様々な安定化のためのオプションを多く有してもよい。例えば、限定するものではないが、以下のものを使用し得る:液体の相は変更しないが、流動性を最小限にするウィッキング材料;アイソライザー袋(isolyzer sachet)およびアイソライザー散乱被覆材料(isolyzer scatter coated material);および不活性のウィッキングまたはアイソライジング(isolyzing)する基質またはキャニスターの内側面に被覆された親油性化合物および凝固剤。これらの安定化のためのオプションは、プラズマ処理または他の技術を用いるマルチパート成形システムを使用して成し遂げられ得る。
【0085】
本明細書には、再生利用のための減圧キャニスターおよび方法が説明されている。一例では、1名以上の患者に複数の減圧治療を行う方法は、第1のキャニスター本体、液溜め、および1つ以上のモジュール、例えばポンプ制御モジュールを含む減圧治療システムを提供するステップを含む。この方法は、減圧システムを使用し、その後1つ以上のモジュールを取り外すステップと、1つ以上のモジュールを、液溜めの配送を不可能にする備え付けの配送用容器に入れるステップとを含む。1つ以上のモジュールを再調整して、第2のキャニスター本体に結合し得る。他のシステムおよび方法が開示されている。
【0086】
本発明およびその利点を、いくつかの例示的かつ非限定的な実施形態に関連して説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲から逸脱せずに、様々な変更、代用、交換、および修正をなすことができることを理解されたい。任意の一実施形態に関連して説明された任意の特徴はまた、任意の他の実施形態にも適用可能であることを理解されたい。例えば、
図16および17のキャニスター部602は、液溜め604に窓付きのセグメントを備えて形成してもよく、その液溜めは、水蒸気の通過を可能にする
図2の膜170、すなわち、超高透湿度(MVTR)膜で被覆されていてもよい。
【0087】
上述の利益および利点は、一実施形態に関連し得ること、またはいくつかの実施形態に関連し得ることを理解されたい。「1つの」品目への言及は、1つ以上のそれら品目を指すことをさらに理解されたい。
【0088】
本明細書で説明した方法のステップは、任意の好適な順序で、または適切な場合には同時に実施し得る。
【0089】
適切な場合には、上述の実施形態のいずれかの態様を、説明の任意の他の実施形態の態様と組み合わせて、類似のまたは異なる特性を有しかつ同じまたは異なる問題に対処する別の例を形成する。
【0090】
好ましい実施形態の上述の説明は例示にすぎず、当業者は様々な修正をなし得ることを理解されたい。上述の明細書、例およびデータは、本発明の例示的な実施形態の構造および使用の完全な説明を提供する。本発明の様々な実施形態を、ある程度詳細に、または1つ以上の個々の実施形態を参照して上記で説明したが、当業者は、特許請求の範囲から逸脱せずに、開示の実施形態に多数の修正をなすことができる。