(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくともシート本体の表裏の一面に粘着層を備え、該粘着層を介して被貼着体に対して貼着されるシートであって、前記粘着層の周囲には、該粘着層を取り囲むゲル状部材からなる保護粘着層が配設されてなることを特徴とする耐液体性シート。
前記耐液体性シートは、前記粘着層を備える内シートと前記保護粘着層を備えた外シートとが連結されて成り、前記外シートは前記内シートを外側から被覆し、前記保護粘着層で前記内シートの外周部を取り囲むようになっている請求項1または2記載の耐液体性シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、多少の耐液体性はあるものの、薬品用容器から薬品を移し替える時の液漏れなどにより容器に貼られたラベルが液体に接触する回数が多くなった場合、薬品とラベル外周の粘着面が接触して次第に粘着層の機能が喪失し、被貼着物からラベルが剥がれ落ちてしまうという問題があった。また、ラベルの貼られた検査器具や実験器具自体を液体に浸漬する必要がある場合、液体とラベル外周の粘着面が接触して粘着層の機能が喪失し、被貼着物から直ぐにラベルが剥がれ落ちてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、薬品等にさらされた場合においても、被貼着物から剥がれ難い耐液体性シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の耐液体性シートは、
少なくともシート本体の表裏の一面に粘着層を備え、該粘着層を介して被貼着体に対して貼着されるシートであって、前記粘着層の周囲には、該粘着層を取り囲むゲル状部材からなる保護粘着層が配設されてなることを特徴としている。
この特徴によれば、シート本体を被貼着体に対して固定している粘着層の機能を阻害する液体が前記シート外周に到達しても、保護粘着層がその液体の前記粘着層への到達を防止して保護するようになっている。特に保護粘着層はゲル状部材で構成されており、シート本体および被貼着体の表面の凹凸面に馴染むように変形するため、前記液体は保護粘着層を根本的に破壊しない限り粘着層には到達し難くなっており、長時間にわたり粘着層の機能を維持できることになる。
【0007】
前記保護粘着層と、前記粘着層との間には、空気層が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、例え、シート本体および被貼着体の表面から前記液体が侵入したとしても、前記保護粘着層と前記粘着層との間の空気層によるラビリンス効果で、多量の液体が粘着層へ到達せず、長時間にわたり粘着層の機能を維持できることになる。
【0008】
前記粘着層を備える内シートと前記保護粘着層を備えた外シートとが連結されて成り、前記外シートは前記内シートを外側から被覆し、前記保護粘着層で前記内シートの外周部を取り囲むようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、粘着層と保護粘着層との間に内シートが形成されているためシートの強度を増すことができるとともに、シートの平滑度を高め、印刷適性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳述する。先ず、本発明の第1実施形態の耐液体性シートについて説明する。
【0011】
本発明の第1実施形態の耐液体性シート1は、例えば
図1に示すように、ガラス容器であるビーカー3の表面に貼り付けられ、ビーカー3の中に入れられた液体2を識別するための管理情報が表示される。その他この耐液体性シート1は、製品名や製品のブランド名、貼り付けられる物体を識別するための印字やバーコード等の管理情報を明示するために用いられる。なお、
図2以降の説明において、ビーカー3表面ではなく平面状の被貼着体4に対して耐液体性シート1を適用した実施例が説明されている。
【0012】
本実施形態の耐液体性シート1は、
図2の(a)および(b)に示すように、シート本体6における被貼着体側には、中央に両面に接着力を有する粘着層5が貼着され、その粘着層5の周囲を囲むようにゲル状の保護粘着層7が形成されている。このゲル状の保護粘着層7にあっては、初めからゲル状である必要はないが、ここでは初めからゲル状でかつこのゲルの接着力を利用してシート本体6に貼着されている。
【0013】
このような積層構造を有する耐液体性シート1にあっては、
図3の拡大図に示すように、耐液体性シート1は、ガラスなどの被貼着体4に対して粘着層5とゲル状の保護粘着層7によって貼着されて利用されることになる。薬品などを利用した作業の場合、薬品用容器から薬品を移し替える時の液漏れなどにより容器などの被貼着体に貼られたラベルが液体に接触する回数が多くなり、また、ラベルの貼られた検査器具や実験器具自体を液体に浸漬する必要がある場合など、液体とラベルの接触が頻発することになる。
【0014】
本発明の実施例にあっては、
図3の拡大図に示すように、保護粘着層7がゲル状部材で構成されており、ゲル状部材の性質により、耐液体性シート1をガラスなどの被貼着体4に対して押し付けたとき、シート本体6の表面6aおよび被貼着体4の表面4aの肉眼では確認できないような微小な凹凸に馴染むように変形する。特に実験によれば、
図4に示されるように保護粘着層を構成するゲル状部材はその一部が薬品などの液体2で損壊されても、その損壊部分を埋め戻すように形状変化することが確認されている。このようなゲル状部材の性質により、薬品などの液体2は保護粘着層7を根本的に破壊しない限り内部に配置されている粘着層5には到達し難くなっており、耐液体性シート1を液体2に浸漬した場合においても、長時間にわたり粘着層5の機能を維持できることになる。本実施例にあっては、保護粘着層7が一枚の無垢のゲル状部材を利用しているが、所定の厚みのあるゲル状シートの積層体でもよいし、薬液などが触れた際にゲル状化するゲル状部材を採用しても良い。
【0015】
また、耐液体性シート1が液体2にさらされてゲル状の保護粘着層が次第に損壊された場合、シート本体6の厚さ、比重、そして晒される液体2の比重、粘性などにもよるが、少なくともシート本体6の比重が晒される液体2の比重よりも大きいとき、
図5に示されるように、ゲル状部材が薬品などの液体2で損壊されるに従い、シート本体6が次第に重力で下方へ垂れ下がることになる。このため、シート本体6の周辺端で液体2の内部への滲入を防止する機能を付加できることになり、液体2が内部に配置されている粘着層5には更に到達し難くなる。
【0016】
耐液体性シート1の各構成要素についての素材などに関しては、上記シート本体6は、シートとしての強度を確保するための基材となる層であり、具体的には、ポリエチレンテレフタレート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエチレンナフタレート系、アクリル系、フッ素系等の合成樹脂フィルムが用いられる。
【0017】
なお、本実施形態においてシート本体6の厚みは特に限定されないが、印刷や他の層との積層工程において安定し、破断や変形のないように設計される。
【0018】
また、製品名等の情報を印刷する場合は、シート本体6の上面を被印刷層として印刷する場合の他、シート本体6の上面側にさらに感熱反応による印字を可能とするサーマル層を設け、そのサーマル層を被印刷層とすることによって製品名等の情報を印刷することとしてもよい。
【0019】
上記粘着層5に用いられる粘着剤の種類は、特に限定されないが、例えば、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系、シリコーン系、ポリアミド系、フッ素系等から選択される一種または二種以上の粘着剤から構成され、比較的耐薬液性の高い素材が選定される。
【0020】
上記ゲル状の保護粘着層7の種類としては、特に限定されないが、例えば、基材レス粘着剤が挙げられる。また、本件発明の耐液体性シート1を実施するにあたっては、最初からゲル状の態様をもつ保護粘着層だけでなく、液体と反応して膨潤しゲル状となる粘着剤であってもよい。そのような粘着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の粘着剤が挙げられる。
【0021】
上記液体2としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン等の芳香族炭化水素、アルコール、第1級アミン、アセトン、エーテルなどに対して、前記した耐液体性シート1が有効であった。
【0022】
上記被貼着体4の種類としては、実験器具のビーカー、フラスコ、スライドガラス等のガラス質の物質に限定されず、陶器、陶器とガラスからなる瓶、すりガラスのようにシボ加工されたもの等が挙げられる。
【0023】
なお、当該耐液体性シート1は、粘着層5の裏面に剥離可能な紙やフィルムを台紙として積層しておくとよい。かかる台紙を積層することで、流通する際に粘着層に接触することがなく取扱い易くなり、耐液体性シートとして使用する場合には台紙から容易に剥がしてシートを使用することができる。
【0024】
次に、本発明の第2の実施形態の耐液体性シート21について説明する。第2の実施形態の耐液体性シート21は、
図6の(a)および(b)に示すように、シート本体6における被貼着体側には、中央に両面に接着力を有する粘着層5が貼着され、その粘着層5の周囲を囲むようにゲル状の保護粘着層7が形成されている点で第1の実施形態の耐液体性シート1と同様である。当該粘着層5、シート本体6、およびゲル状の保護粘着層7の構成の内容も、上記第1の実施形態の耐液体性シート1の場合と同様であるので、同一番号を付して説明を省略する。
【0025】
当該第2実施形態の耐液体性シート21は、耐液体性シート21をガラスなどの被貼着体4に対して押し付けたとき、前記保護粘着層7と前記粘着層5とが所定間隔離間して配置されるようになっており、前記保護粘着層7と前記粘着層5との間に空気層8が構成されている点で、第1の実施形態の耐液体性シート1と異なる。
図7の拡大図に示すように、ゲル状部材の性質により、薬品などの液体は保護粘着層7を根本的に破壊しない限り内部に配置されている粘着層5には到達し難くなっており、耐液体性シート21を液体2に浸漬した場合においても、長時間にわたり粘着層5の機能を維持できることになるが、時間の経過により例えば、シート本体の表面6aおよび被貼着体の表面4aから液体が一部侵入することがあっても、かかる密封状の空気層8が前記保護粘着層7と前記粘着層5間に存在することにより、空気層8によるラビリンス効果で、多量の液体2が粘着層外縁部5aまで到達し辛くなり、長時間にわたり粘着層5の粘着機能を維持できることになる。
【0026】
また、前述の通り、保護粘着層7が最初からゲル状の態様をもつ保護粘着層でなく、液体と反応して膨潤しゲル状となる粘着剤である場合には、膨張したゲルが被貼着体4の表面4aおよびシート本体6の表面6aの肉眼では確認できないような微小な凹凸に密に順次入り込んで隙間を塞ぐことになる。
【0027】
また、そのように液体2と反応して膨潤しゲル状となる粘着剤である場合には、膨張したゲルの表面張力によってさらに保護粘着層外縁部7aが膨らみ、保護粘着層7が液体2を保持できる量が増加し、シートが液体2にさらされた場合においても保護粘着層7が壁となる時間が長くなり、液体2が粘着層5へ到達せず、長時間にわたり粘着層5の粘着機能を維持できることになる。
【0028】
なお、空気層8の位置やその幅については、前記保護粘着層7および前記粘着層5の粘着機能が発揮される限りどの位置にあってもよく、その幅についても特に限定されないが、空気層の幅は、シート本体6の厚さ、素材、比重、そして晒される液体の比重、粘性などによって適宜決定されることになる。
【0029】
次に、本発明の第3の実施形態の耐液体性シート31について説明する。第3の実施形態の耐液体性シート31は、
図8の(a)および(b)に示すように、剥離シート11側から、粘着層5、内シート9、ゲル状の保護粘着層7、外シート10が順次積層されており、粘着層5を有する内シート9をゲル状の保護粘着層7を有する外シート10が外側から覆うように連結されている。内シート9および外シート10の構成は前記第1の実施形態のシート本体6の構成で示した素材の中から選択され、内シート9および外シート10を構成する素材が異なるものであっても、同一の物であってもよい。粘着層5およびゲル状の保護粘着層7についての構成の内容も前記第1の実施形態の構成の内容と同一であるので、同一番号を付して説明を省略する。
【0030】
当該実施形態の耐液体性シート31は、粘着層5と保護粘着層7との間に内シート9が形成されているためシートの強度を増すことができるとともに、シートの平滑度を高め、印刷適性を向上させることができる。具体的には、シートに強度を持たせることにより、液体が耐液体性シート31に付着した場合にシート全体の強度が下がり、その結果表面摩擦等の刺激によって耐液体性シート31が破断するのを防ぐことができるとともに、ゲル状の保護粘着層7及び粘着層5の塗りむらから生じるシート全体の凹凸を減少させ、滑らかにすることができる結果印刷適性が向上する。
【0031】
次に、本発明の第3の実施形態の耐液体性シート31を被貼着体4に貼り付けた状態を
図9に示す。耐液体性シート31を被貼着体4に貼り付けることによって保護粘着層7と粘着層5との間に自然に空気層8が構成される。そのため外シート10および被貼着体の表面4aから液体2が侵入したとしても、前記保護粘着層7と前記粘着層5との間の空気層8によるラビリンス効果で、多量の液体が粘着層5へ到達せず、長時間にわたり粘着層5の粘着機能を維持できることになる。
【0032】
また、前述の第1の実施例で
図3の拡大図に示したように、保護粘着層7がゲル状部材で構成されており、ゲル状部材の性質により、耐液体性シート31をガラスなどの被貼着体4に対して押し付けたとき、外シート10の表面および被貼着体4の表面4aの肉眼では確認できないような微小な凹凸に馴染むように変形する。特に実験によれば、
図4で示したように保護粘着層を構成するゲル状部材はその一部が薬品などの液体で損壊されても、その損壊部分を埋め戻すように形状変化することが確認されている。このようなゲル状部材の性質により、薬品などの液体は保護粘着層7を根本的に破壊しない限り内部に配置されている粘着層5には到達し難くなっており、耐液体性シート31を液体2に浸漬した場合においても、長時間にわたり粘着層5の機能を維持できることになる。本実施例にあっては、保護粘着層7が一枚の無垢のゲル状部材を利用しているが、所定の厚みのあるゲル状シートの積層体でもよいし、薬液などが触れた際にゲル状化するゲル状部材を採用しても良い。
【0033】
また、耐液体性シート31が液体2にさらされてゲル状の保護粘着層が次第に損壊された場合、外シート10の厚さ、比重、そして晒される液体2の比重、粘性などにもよるが、少なくとも外シート10の比重が晒される液体2の比重よりも大きいとき、
図5に示した状態と同じように、ゲル状部材が薬品などの液体で損壊されるに従い、外シート10が次第に重力で下方へ垂れ下がることになる。このため、外シート10の周辺端で液体2の内部への滲入を防止する機能を付加できることになり、液体2が内部に配置されている粘着層5には更に到達し難くなる。なお、外シート10および保護粘着層7の外周部分は内シート9および粘着層5の厚さの分だけ当初から斜めに垂れているためゲル状部材が薬品などの液体で損壊されるに従い、外シート10の重力とともにさらに下方へ垂れ下がりやすくなっている。このため、外シート10の周辺端で液体2の内部への滲入を防止する機能をさらに付加できることになり、液体2が内部に配置されている粘着層5にはまた更に到達し難くなる。
【0034】
また、第2の実施例で説明した通り、
図7の拡大図で示した場合と同様に、ゲル状部材の性質により、薬品などの液体は保護粘着層7を根本的に破壊しない限り内部に配置されている粘着層5には到達し難くなっており、耐液体性シート31を液体2に浸漬した場合においても、長時間にわたり粘着層5の機能を維持できることになるが、時間の経過により例えば、外シート10の表面および被貼着体4の表面4aから液体2が一部侵入することがあっても、かかる密封状の空気層8が前記保護粘着層7と前記粘着層5間に存在することにより、空気層8によるラビリンス効果で、多量の液体2が粘着層外縁部5aまで到達し辛くなり、長時間にわたり粘着層5の粘着機能を維持できることになる。
【0035】
また、前述の通り、保護粘着層7が最初からゲル状の態様をもつ保護粘着層でなく、液体と反応して膨潤しゲル状となる粘着剤である場合には、膨張したゲルが被貼着体4の表面4aおよびシート本体6の表面6aの肉眼では確認できないような微小な凹凸に密に順次入り込んで隙間を塞ぐことになる。
【0036】
また、そのように液体2と反応して膨潤しゲル状となる粘着剤である場合には、膨張したゲルの表面張力によってさらに保護粘着層外縁部7aが膨らみ、保護粘着層7が液体2を保持できる量が増加し、シートが液体2にさらされた場合においても保護粘着層7が壁となる時間が長くなり、液体2が粘着層5へ到達せず、長時間にわたり粘着層5の粘着機能を維持できることになる。
【0037】
なお、空気層8の位置やその幅については、前記保護粘着層7および前記粘着層5の粘着機能が発揮される限りどの位置にあってもよく、その幅についても特に限定されないが、空気層の幅が大きくなるほど、即ち前記保護粘着層7と前記粘着層5との間隔が生じるほどラビリンス効果により保護粘着層7から滲入してきた液体が粘着層外縁部5aへ到達せず、長時間にわたり粘着層5の粘着機能を維持できることになる。
【0038】
なお、
図7においては、内シート9と保護粘着層7との間には空気層8が形成されているが、ここに空気層8が形成されていても空気層8が形成されていなくてもいずれでもよい。
【0039】
次に、シートに保護粘着層7のある場合とない場合のシートの耐液体性を比較した実験結果を示す。シートに保護粘着層7のある場合の実施例として前述の第1の実施形態の耐液体性シート1を用い、保護粘着層7のない場合の比較例としては、
図10に示すように粘着層5とシート本体6のみからなる比較例のシートを用いた。
【0040】
被貼着物4はガラス、液体2はトルエンとし、粘着層5の粘着剤やシート本体6の基材は何れも同じものを用いた。耐液体性シート1の粘着層5の大きさは21mm×13mm、全体の大きさ(保護粘着層7の外枠とシート本体6の大きさ)は24mm×16mmとし、比較例のシートの大きさ(粘着層5とシート本体6の大きさ)は耐液体性シート1全体の大きさと同じ24mm×16mmとした。ガラス容器内側にそれぞれの耐液体性シート1、比較例のシートを貼着し、ガラス容器中のそれぞれのシートにトルエンを数滴滴下し滴下直後に綿棒でトルエンを全体に広げ、ガラス容器の下面からの目視によりシートが剥がれるのを確認し、シートの表面を1kgfの荷重で擦り完全にシートがガラスから剥がれたもの各6例について、それらの、トルエン滴下後からシートが剥がれるまでの時間を比較した。
【0041】
実験の結果、保護粘着層7のない比較例のシートは、平均して125分(2時間5分)後に剥がれたが、保護粘着層7のある第1の実施形態の耐液体性シート1は、平均して316分(5時間16分)後にガラス容器から剥がれた。以下に、トルエン耐性の実験結果を表とグラフにして示す。
【0044】
このように、保護粘着層が設けられることにより、シートを被貼着体に対して固定している粘着層の機能を阻害する液体がシート外周に到達しても、保護粘着層がその液体の粘着層への到達を防止して粘着層の粘着機能を長時間維持でき耐液体性を有することが確認された。なお、同様に第3の実施形態の耐液体性シート31についても、内シート9及び外シート10の基材はシート本体6と同じもの、粘着層5の粘着剤も同じものを用いて同様の実験を行ったところ、340分後にガラス容器から剥がれ、第1の実施形態の耐液体性シート1よりも耐液体性を有することが確認できた。
【0045】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0046】
例えば、第2の実施形態においてゲル状の保護粘着層7は粘着層5の外周に一つの枠を設けるように形成されているが、複数の大きさの異なる枠を設けるように、複数の空気層8と複数の保護粘着層7とが交互に設けられることによって、ラビリンス効果を増大させることができる。
【0047】
また、第3の実施形態においても、ゲル状の保護粘着層7は粘着層5および内シート9を覆うように一面形状で形成されているが、保護粘着層7における内シート位置9aの外側の部分において、複数の大きさの異なる保護粘着層7の枠を設けるように、複数の空気層8と複数の保護粘着層7とが交互に設けられることによって、ラビリンス効果を増大させることができる。
【0048】
また、第3の実施形態において内シート9と粘着層5の大きさは略同一であるが、何れかが内側に入り込むような形状となるような大きさの異なるものであってもよい。また、外シート10と保護粘着層7の大きさも略同一であるが何れかが内側に入り込むような形状となるような大きさの異なるものであってもよい。
【0049】
また、第3の実施形態において、基材となるシートは内シート9一つと外シート10一つであるが、複数の内シートや複数の外シートを粘着層等を介して積層したようなものであってもよい。