(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939706
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】バスバ
(51)【国際特許分類】
H01R 11/01 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
H01R11/01 Q
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-55281(P2012-55281)
(22)【出願日】2012年3月13日
(65)【公開番号】特開2013-191337(P2013-191337A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2015年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】池田 智洋
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 泰孝
【審査官】
片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−289428(JP,A)
【文献】
実開昭48−089383(JP,U)
【文献】
特開平11−067184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 11/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合うバッテリセルの電極同士を接続する、1枚の金属板からなるバスバであって、
互いに間隔をあけた一対の電極接続部と、
前記一対の電極接続部同士を連結した連結部と、が設けられ、
前記連結部が、前記一対の電極接続部各々の互いに離れた側の縁部に連なっているとともに、該縁部との連結部分がU字状に屈曲しており、
前記電極接続部には、電極挿通孔が設けられ、
前記連結部が、前記電極挿通孔に対して、前記電極接続部の板厚方向に重ならない位置に配置されている
ことを特徴とするバスバ。
【請求項2】
前記連結部の前記連結部分以外の部分が、波状に屈曲している
ことを特徴とする請求項1に記載のバスバ。
【請求項3】
前記連結部が、前記一対の電極接続部の並び方向に延びたスリットを有している
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバスバ。
【請求項4】
前記電極接続部が、平らな板の中央に前記電極挿通孔が形成されてなり、
前記連結部が一対設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1項に記載のバスバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣り合うバッテリセルの電極同士を接続するバスバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のバスバ及びバッテリセルの電極接続構造を説明する説明図である(特許文献1を参照。)。図中の符号221,222は、バッテリ装置を構成するバッテリセルであり、符号231は、バッテリセル221,222のネジ状の電極223,224を電気的に接続するバスバである。
【0003】
上記バスバ231は、銅等の金属の素線を帯状に編んだ可撓性接続部232と、この可撓性接続部232の両端をかしめた一対の端子部234と、で構成されている。端子部234には、電極223,224が通される電極挿通孔235が形成されている。
【0004】
上記バッテリセル221,222は、各電極223,224がバスバ231の各端子部234の電極挿通孔235に通され、これら各電極223,224にワッシャ226及びナット225が螺合されることにより、バスバ231を介して電気的に接続される。また、バスバ231は、バッテリセル221,222間の位置ずれを可撓性接続部232により吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−67184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したバスバ231は、バッテリセル221,222間の位置ずれを可撓性接続部232により吸収することができるものの、製造工程が煩雑で部品コストが高いという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、1枚の金属板から容易に形成することができ、バッテリセル間の位置ずれを吸収することができるバスバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、隣り合うバッテリセルの電極同士を接続する、1枚の金属板からなるバスバであって、互いに間隔をあけた一対の電極接続部と、前記一対の電極接続部同士を連結した連結部と、が設けられ、前記連結部が、前記一対の電極接続部各々の互いに離れた側の縁部に連なっているとともに、該縁部との連結部分がU字状に
屈曲しており、前記電極接続部には、電極挿通孔が設けられ、前記連結部が、前記電極挿通孔に対して、前記電極接続部の板厚方向に重ならない位置に配置されていることを特徴とするバスバである。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記連結部の前記連結部分以外の部分が、波状に
屈曲していることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1または請求項2に記載された発明において、前記連結部
が、前記一対の電極接続部の並び方向に延びたスリット
を有していることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載された発明は、請求項1ないし請求項3のうちいずれか1項に記載された発明において、前記電極接続部が、平らな板の中央に
前記電極挿通孔が形成されてなり、前記連結部が一対設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、互いに間隔をあけた一対の電極接続部と、前記一対の電極接続部同士を連結した連結部と、が設けられ、前記連結部が、前記一対の電極接続部各々の互いに離れた側の縁部に連なっているとともに、該縁部との連結部分がU字状に曲げられているので、1枚の金属板から容易に形成することができ、バッテリセル間の位置ずれを吸収することができるバスバを提供することができる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、前記連結部の前記連結部分以外の部分が、波状に曲げられているので、バッテリセル間の位置ずれをさらに吸収することができるバスバを提供することができる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、前記連結部に、前記一対の電極接続部の並び方向に延びたスリットが形成されているので、バッテリセル間の位置ずれをさらに吸収することができるバスバを提供することができる。
【0015】
請求項4に記載された発明によれば、前記電極接続部が、平らな板の中央に電極挿通孔が形成されてなり、前記連結部が一対設けられているので、電極への取り付け作業を容易に行うことができ、省スペースなバスバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施の形態にかかるバスバを示す斜視図である。
【
図3】
図1に示されたバスバがバッテリセルの電極同士を接続した状態を示す斜視図である。
【
図4】従来のバスバ及びバッテリセルの電極接続構造を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施の形態にかかるバスバを、
図1ないし
図3を参照して説明する。
【0018】
図1〜3に示す本発明のバスバ1は、隣り合うバッテリセル6の電極7同士を電気的に接続する部品であり、1枚の金属板にプレス加工等が施されることにより得られるものである。また、
図3に示すバッテリセル6は、電気自動車などに搭載されるバッテリ装置を構成するものである。
【0019】
上記バスバ1には、互いに間隔をあけた一対の電極接続部2と、一対の電極接続部2同士を連結した連結部4と、が設けられている。また、本実施形態のバスバ1には、連結部4が一対設けられている。これら一対の連結部4は、一対の電極接続部2の並び方向と交差する方向に間隔をあけて配置されている。
【0020】
上記電極接続部2は、平らな板の中央に電極挿通孔3が形成された構成となっている。また、一対の電極接続部2は、同一平面上に配置されている。
【0021】
上記連結部4は、帯状に形成され、一対の電極接続部2各々の互いに離れた側の縁部に連なっているとともに、該縁部との連結部分40がU字状に曲げられている。また、連結部4の連結部分40以外の部分41は、波状に曲げられている。さらに、連結部4には、一対の電極接続部2の並び方向に延びたスリット5が形成されている。
【0022】
また、一対の連結部4は、上記電極挿通孔3と、電極接続部2の板厚方向に重ならない位置に配置されている。すなわち、一対の連結部4は、電極挿通孔3に通された電極7を互いの間に位置付ける位置に配置されている。
【0023】
上記構成のバスバ1は、各電極接続部2の電極挿通孔3内に隣り合うバッテリセル6の電極7をそれぞれ位置付け、該電極7にナット8が螺合されることにより、隣り合うバッテリセル6同士を電気的に接続する。また、これらバッテリセル6間に位置ずれが生じている場合は、連結部4が変形することにより、前記位置ずれを吸収する。
【0024】
また、上記バスバ1は、連結部4の長さが長い程位置ずれ吸収効果が大きくなる。すなわち、連結部4における連結部分40の曲率が小さくなる程位置ずれ吸収効果が大きくなり、波状に曲げられた部分41のウェーブの落差が大きくなる程位置ずれ吸収効果が大きくなる。また、バスバ1は、板厚が薄くなる程位置ずれ吸収効果が大きくなり、連結部4の幅が小さくなる程位置ずれ吸収効果が大きくなる。このことから、本発明では、連結部4を互いに間隔をあけて一対設けることにより、各連結部4の幅を小さくしている。さらに、各連結部4にスリット5を形成することにより、連結部4を変形し易くしている。
【0025】
また、上記バスバ1は、上述したように、一対の連結部4と電極挿通孔3とが電極接続部2の板厚方向に重ならない位置に配置されているので、電極7への取り付け作業を容易に行うことができる。さらに、バスバ1は、一対の連結部4が電極7の両側に位置することになるので、電極7の高さ方向にかさばることがなく、バッテリ装置を大型化させることがない。
【0026】
このように、本発明によれば、1枚の金属板から容易に形成することができ、バッテリセル6間の位置ずれを十分に吸収することができるバスバ1を提供することができる。
【0027】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 バスバ
2 電極接続部
3 電極挿通孔
4 連結部
5 スリット
6 バッテリセル
7 電極
40 連結部分