特許第5939716号(P5939716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939716
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】操作スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/04 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
   H01H13/04 A
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-47674(P2014-47674)
(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公開番号】特開2015-173014(P2015-173014A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2015年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 悠
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3001530(JP,U)
【文献】 実開平06−019232(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00−13/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反転バネ機能を有する金属製可動接点が押圧操作される複数のスイッチ部材と、
該複数のスイッチ部材が第1面に実装された基板部材と、を備え、
該基板部材が第1ケース体と第2ケース体との間に保持されて成る操作スイッチ装置において、
前記第1ケース体には、前記スイッチ部材の近傍領域の前記第1面に当接する複数の第1音色調節部材が一体に成形され、
前記第2ケース体には、前記スイッチ部材の略真裏の領域に相当する前記基板部材の第2面に当接する複数の第2音色調節部材が一体に成形され、
前記基板部材が、前記第1音色調節部材と前記第2音色調節部材の両方から常に応力を受けた状態で保持されており、
前記第1音色調節部材と前記第2音色調節部材の少なくともいずれか一方には、前記基板部材と当接する当接部を有し、
該当接部の先端部が前記基板部材よりも柔らかい合成樹脂からなり、かつ、該先端部の形状が尖っており、
前記先端部と前記基板部材との間に過剰な応力がかかった際には、前記先端部が微少量つぶれることを特徴とする操作スイッチ装置。
【請求項2】
前記当接部は、前記第1ケース体側或いは前記第2ケース体側から前記基板部材側に向かって順次細くなっていることを特徴とする請求項1に記載の操作スイッチ装置。
【請求項3】
前記第1音色調節部材は、該第1音色調節部材と複数の前記スイッチ部材との距離が略同じとなる領域に当接しており、前記第1音色調節部材の数が前記スイッチ部材の数よりも少ないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の操作スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスイッチ部材を有した操作スイッチ装置に関し、特に、スイッチ部材が反転バネ機能を有する金属製可動接点を備えた操作スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数のスイッチ部材を有した操作スイッチ装置は、あらゆる分野の各種電子機器に幅広く用いられている。また、反転バネ機能を有する金属製可動接点を備えたスイッチ部材を用いた操作スイッチ装置に限っても、携帯電話、パーソナルコンピュータ、テレビやエアコンのリモコン、各種機器の操作パネル等、多くの電子機器に適用されている。このスイッチ部材は、操作者による押圧操作を受けて、金属製可動接点が反転し、反転先の固定接点と金属製可動接点とが当接することにより、スイッチ機能を発現させている。その際に、金属製可動接点の反転により、操作者に対して節度感(クリック感)と操作音を与えることができるので、操作者により好まれている。
【0003】
このような操作スイッチ装置は、特許文献1に代表される構成を基本的に備えている。図18は、従来例の温水洗浄装置操作盤(操作スイッチ装置)901を説明する図であって、図18(a)は、温水洗浄装置操作盤901の平面図であり、図18(b)は、温水洗浄装置操作盤901の縦断面図である。
【0004】
図18に示す操作スイッチ装置(温水洗浄装置操作盤)901は、プリント基板902と、プリント基板902に配置された複数の操作スイッチ903と、プリント基板902を収納するケース907と、プリント基板902を覆うようにして配設された操作面(第1操作面905、第2操作面904)と、を備えて構成されている。また、第1操作面905は扉のように一端を中心として開閉自在に組付け、更に第1操作面905が開いた状態の時にオフ状態となる切替スイッチ906をプリント基板902の上に配置している。なお、プリント基板902は、ケース907の底部907aに設けられたリブ907r及びリブ907tを用いて、ケース907に固定されている。
【0005】
そして、操作者が第1操作面905(図18(a)を参照)或いは第2操作面904の機能させたい表示部(例えば図18(a)に示すKS)を押すと、その部分の操作スイッチ903(例えば図18(b)に示す903s)が押圧され、その機能が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−32470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来例のような構成の場合、プリント基板902を両端部で支えているので、操作者の押圧操作の圧力により、プリント基板902の中央部では、両端部に比べてプリント基板902の撓みが大きくなっている。このため、プリント基板902の中央部付近に配設された操作スイッチ903を押した場合、操作スイッチ903の押圧方向の動き(以後、振動という)が大きくなり、押圧操作に追従した金属製可動接点の反転が速やかに行われなくなる。これにより、押圧操作時の操作音が低くこもったような音となり、プリント基板902の撓みが小さい両端部にある操作スイッチ903を押した際の、キレのある音を出すことができないという課題があった。このことにより、操作者によっては、操作スイッチ903を押した際に、操作音のバラつきに対して不快感を持ったり、操作スイッチ903を確実に押せたかどうかの判断に疑義を生じるという場合があった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するもので、複数のスイッチ部材の操作音が均一でキレのある操作スイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、本発明の操作スイッチ装置は、反転バネ機能を有する金属製可動接点が押圧操作される複数のスイッチ部材と、該複数のスイッチ部材が第1面に実装された基板部材と、を備え、該基板部材が第1ケース体と第2ケース体との間に保持されて成る操作スイッチ装置において、前記第1ケース体には、前記スイッチ部材の近傍領域の前記第1面に当接する複数の第1音色調節部材が一体に成形され、前記第2ケース体には、前記スイッチ部材の略真裏の領域に相当する前記基板部材の第2面に当接する複数の第2音色調節部材が一体に成形され、前記基板部材が、前記第1音色調節部材と前記第2音色調節部材の両方から常に応力を受けた状態で保持されており、前記第1音色調節部材と前記第2音色調節部材の少なくともいずれか一方には、前記基板部材と当接する当接部を有し、該当接部の先端部が前記基板部材よりも柔らかい合成樹脂からなり、かつ、該先端部の形状が尖っており、前記先端部と前記基板部材との間に過剰な応力がかかった際には、前記先端部が微少量つぶれることを特徴としている。
【0010】
これによれば、本発明の操作スイッチ装置は、スイッチ部材を動作させた際に、スイッチ部材が配置された部分の基板部材が撓んだり振動したりすることを大幅に低減することができる。しかも、複数のスイッチ部材の近傍領域の第1面と略真裏の領域の第2面とを押圧しているので、複数のスイッチ部材の近傍の基板部材を確実かつ均一に押さえることができる。このことにより、基板部材のいずれの位置にあるスイッチ部材に対して、スイッチ部材の振動を抑えることができ、複数のスイッチ部材の操作音を全て均一でキレのある音とすることができる。
【0011】
また、本発明の操作スイッチ装置は、前記当接部が前記第1ケース体側或いは前記第2ケース体側から前記基板部材側に向かって順次細くなっていることを特徴としている。
【0012】
これによれば、基板部材と当接させる当接面の面積を小さくすることができる。このため、基板部材の第1面或いは第2面に設けられた配線パターンと当接部の当接面との接触を避けるレイアウトを行い易くできる。
【0014】
これによれば、先端部と基板部材との間に過剰な応力がかかった際には、先端部が微少量つぶれることで、基板部材にかかる応力を緩和することができる。このことにより、基板部材にかかるダメージを軽減することができる。
【0015】
また、本発明の操作スイッチ装置は、前記第1音色調節部材が、該第1音色調節部材と複数の前記スイッチ部材との距離が略同じとなる領域に当接しており、前記第1音色調節部材の数が前記スイッチ部材の数よりも少ないことを特徴としている。
【0016】
これによれば、スイッチ部材を動作させた際に生じる、スイッチ部材が配置された部分の基板部材の撓みや振動を1つの第1音色調節部材でバランス良く防止することができる。このため、基板部材を押さえる第1音色調節部材のトータルの数を減らすことができるので、基板部材上における当接箇所を減らすことができる。このことにより、当接箇所を回避した配線パターンのレイアウトをより行い易くできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の操作スイッチ装置は、スイッチ部材を動作させた際に、スイッチ部材が配置された部分の基板部材が撓んだり振動したりすることを大幅に低減することができる。しかも、複数のスイッチ部材の近傍領域の第1面と略真裏の領域の第2面とを押圧しているので、複数のスイッチ部材の近傍の基板部材を確実かつ均一に押さえることができる。このことにより、基板部材のいずれの位置にあるスイッチ部材に対して、スイッチ部材の振動を抑えることができ、複数のスイッチ部材の操作音を全て均一でキレのある音とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する分解斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する図であって、図3(a)は、図2をX1側から見た側面図であり、図3(b)は、図2をZ1側から見た上面図である。
図4】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する図であって、図2において、操作部材と支持カバーを省略した斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する図であって、図4において、第1ケース体及び第2ケース体を更に省略した斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する図であって、図6(a)は、図5をY2側から見た正面図であり、図6(b)は、図5をX2側から見た側面図である。
図7】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する図であって、スイッチ部材の分解斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する図であって、図8(a)は、図4において、アクチュエータを更に省略した斜視図であり、図8(b)は、図8(a)をZ1側から見た上面図である。
図9】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する図であって、図9(a)は、図8(a)をY1側から見た側面図であり、図9(b)は、図8(b)に示すIX−IX線における図4の断面図である。
図10】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する図であって、第1ケース体を図1に示すZ2側から見た下方斜視図である。
図11】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する図であって、図10に示すN部分の拡大図である。
図12】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する図であって、図12(a)は、第1ケース体の上面図であり、図12(b)は、第1ケース体の底面図である。
図13】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する図であって、図8(a)において、第1ケース体を更に省略した斜視図である。
図14】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する図であって、第2ケース体を図1に示すZ1側から見た上方斜視図である。
図15】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する図であって、図15(a)は、第2ケース体の上面図であり、図15(b)は、第2ケース体をX2側から見た側面図である。
図16】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置を説明する図であって、図16(a)は、図14に示すP部分の拡大図であり、図16(b)は、図15(b)に示すQ部分の拡大図である。
図17】本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置の効果を説明する図であって、図17(a)は、本発明の構成を用いた場合のスイッチ部材の音を示したグラフであり、図17(b)は、比較例のスイッチ部材の音を示したグラフである。
図18】従来例の温水洗浄装置操作盤(操作スイッチ装置)を説明する図であって、図18(a)は、温水洗浄装置操作盤の平面図であり、図18(b)は、温水洗浄装置操作盤の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置101を説明する分解斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置101を説明する斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置101を説明する図であって、図3(a)は、図2をX1側から見た側面図であり、図3(b)は、図2をZ1側から見た上面図である。図4は、図2において、操作部材11と支持カバー52を省略した斜視図である。
【0021】
本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置101は、図2及び図3に示すような箱状の外観を呈し、図1に示すように、操作者により押圧操作される操作部材11と、操作部材11の押圧操作により駆動されるスイッチ部材3と、複数のスイッチ部材3が第1面9pに実装された基板部材9と、基板部材9の第1面9p側に配設される第1ケース体4と、第1面9pとは反対の第2面9r側に配設される第2ケース体6と、を備えて構成されている。他に、本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置101は、操作部材11を上下方向(図3(a)に示すZ方向)に移動可能に支持している支持カバー52と、操作部材11の押圧操作によりスイッチ部材3に駆動力を伝達するアクチュエータ55と、を有している。
【0022】
先ず、操作スイッチ装置101の操作部材11は、合成樹脂材を成形して作製されており、図1に示すように、箱状形状をした12個の押しボタンから構成されている。そして、操作者による押圧操作がこの操作部材11に対して行われると、下方に配設されたスイッチ部材3がアクチュエータ55を介して駆動される。なお、本発明の第1実施形態では、押圧操作を行うように構成したが、これに限らず、傾倒操作、スライド操作等が行えるように構成されていても良い。
【0023】
次に、操作スイッチ装置101の支持カバー52は、合成樹脂材を成形して作製されており、図1に示すように、箱状形状をしており、詳細な図示はしないが、操作部材11の上下方向の移動を可能にして操作部材11をガイドしている。
【0024】
また、支持カバー52は、第1ケース体4の上面を覆って配設されており、操作スイッチ装置101の外観を形成している。また、支持カバー52内には、図4に示すように、アクチュエータ55が収容されている。
【0025】
次に、操作スイッチ装置101のアクチュエータ55、スイッチ部材3及び基板部材9について説明する。図5は、図4において、第1ケース体4及び第2ケース体6を更に省略した斜視図である。図6(a)は、図5をY2側から見た正面図であり、図6(b)は、図5をX2側から見た側面図である。図7は、スイッチ部材3の分解斜視図である。
【0026】
先ず、操作スイッチ装置101のアクチュエータ55は、図5に示すように、4個の円筒形状のアクチュエータ55Aと、4個の棒状形状のアクチュエータ55Bと、4個の箱状のアクチュエータ55Cと、から構成されている。そして、この12個のアクチュエータ55は、図6に示すように、12個のスイッチ部材3とそれぞれ対向して配設されているとともに、図示はしていないが、前述した操作部材11のそれぞれと対向して配設されている。これにより、操作者による操作部材11の押圧操作を受けて、このアクチュエータ55が下方に移動し、スイッチ部材3を押圧するようになる。
【0027】
また、アクチュエータ55Aには、図5及び図6に示すように、アクチュエータ55Aの円柱部55Aeに挿通されて鍔部55Atと当接されたコイルばね95が用いられている。そして、操作者による操作部材11の押圧操作が解除された際には、アクチュエータ55Aの下方(図5に示すZ2方向)移動により縮んでいたこのコイルばね95により、操作部材11が元の位置に自動復帰するようになる。また、このコイルばね95のバネ定数を選定することで、操作者が操作をする際の操作荷重の大小を調整することができる。
【0028】
次に、操作スイッチ装置101のスイッチ部材3は、一般に用いられているプッシュスイッチを12個用いており、図7に示すように、収納部53sを有する筐体53と、収納部53s内に配設された中央固定接点部(図示していない)及び周辺固定接点部63と、押圧操作による反転バネ機能を有する金属製可動接点73と、金属製可動接点73を押圧する押圧部材83と、筐体53の収容部53sを覆い筐体53に取り付けられるカバー93と、中央固定接点部及び周辺固定接点部63と電気的に接続されたリード端子3tと、を備えて構成される。
【0029】
また、操作スイッチ装置101が組立てられた際には、このスイッチ部材3は、カバー93の開口部93kから突出した押圧部材83の押圧部83tとアクチュエータ55Aの下端とがそれぞれと対向して配設されるようになる。そして、上述したように、アクチュエータ55Aを介して、操作部材11の押圧操作によりスイッチ作動するようになる。
【0030】
次に、操作スイッチ装置101の基板部材9は、ガラス入りのエポキシ樹脂からなる絶縁基板の両面に、銅(Cu)等の金属箔を所望の形状にパターニングした、所謂両面プリント配線板(PWB、printed wiring board)を用いている。そして、この基板部材9には、図5及び図6に示すように、12個のスイッチ部材3が基板部材9の第1面9pに実装されているとともに、図示していない各種電子部品、外部機器と接続するためのコネクタCN等が搭載されている。
【0031】
次に、操作スイッチ装置101の第1ケース体4及び第2ケース体6について説明する。図8(a)は、図4において、アクチュエータ55を更に省略した斜視図であり、図8(b)は、図8(a)をZ1側から見た上面図である。図9(a)は、図8(a)をY1側から見た側面図であり、図9(b)は、図8(b)に示すIX−IX線における図4の断面図である。図10は、第1ケース体4を図1に示すZ2側から見た下方斜視図である。図11は、図10に示すN部分の拡大図である。図12(a)は、第1ケース体4の上面図であり、図12(b)は、第1ケース体4の底面図である。図12には、スイッチ部材3と対応する箇所を2点鎖線とハッチングで示している。図13は、図8(a)において、第1ケース体4を更に省略した斜視図である。図14は、第2ケース体6を図1に示すZ1側から見た上方斜視図である。図15(a)は、第2ケース体6の上面図であり、図15(b)は、第2ケース体6をX2側から見た側面図である。図15(a)には、図12と同じように、スイッチ部材3と対応する箇所を2点鎖線で示している。図16(a)は、図14に示すP部分の拡大図であり、図16(b)は、図15(b)に示すQ部分の拡大図である。
【0032】
先ず、操作スイッチ装置101の第1ケース体4は、合成樹脂材を成形して作製されており、図10及び図12に示すように、片側(下方)が開放された箱状形状をしており、図8及び図9に示すように、第2ケース体6の上面を覆うともに、基板部材9の第1面9p側に配設されている。
【0033】
また、第1ケース体4には、図10及び図12(b)に示すように、6個の第1音色調節部材14が一体に成形されている。この第1音色調節部材14は、図11に示すように、円柱形状で、第1ケース体4の天井部4t側から下方(図10に示すZ2方向)に向けて延設されており、操作スイッチ装置101が組立てられた際には、スイッチ部材3の近傍領域で基板部材9の第1面9pに当接するように設けられている。また、第1音色調節部材14が基板部材9と当接する当接部14sの形状は、図11に示すように、平面形状になっている。なお、第1音色調節部材14は、基板部材9に対して垂直になるように設けられている。
【0034】
また、本発明の第1実施形態のでは、第1音色調節部材14は、図12(b)に示すように、第1音色調節部材14と複数のスイッチ部材3との距離が略同じとなる領域に当接させており、第1音色調節部材14の数がスイッチ部材3の数よりも少なくしている。具体的には、12個のスイッチ部材3に対して、6個に第1音色調節部材14(14A、14B、14C、14D、14E、14F)を設けている。そして、例えば第1音色調節部材14Aは、3つのスイッチ部材3(3A、3B、3C)との距離が略同じとなる領域に配置しており、例えば第1音色調節部材14Bは、4つのスイッチ部材3(3B、3C、3D、3E)との距離が略同じとなる領域に配置しており、例えば第1音色調節部材14Cは、4つのスイッチ部材3(3A、3C、3F、3G)との距離が略同じとなる領域に配置している。
【0035】
これにより、ある1つの第1音色調節部材14と複数のスイッチ部材3との距離が同じになるようにすることで、スイッチ部材3を動作させた際に生じるスイッチ部材3が配置された部分の基板部材9の撓みや振動を1つの第1音色調節部材14でバランス良く防止することができる。このため、基板部材9を押さえる第1音色調節部材14のトータルの数を減らすことができるので、基板部材9上における当接箇所を減らすことができる。このことにより、当接箇所を回避した配線パターンのレイアウトをより行い易くできる。
【0036】
最後に、操作スイッチ装置101の第2ケース体6は、合成樹脂材を成形して作製されており、図14及び図15に示すように、片側(上方)が開放された箱状形状をしており、図9(b)及び図13に示すように、基板部材9の第1面9pの裏面である第2面9r側に配設されている。そして、操作スイッチ装置101が組立てられた際には、基板部材9は、第2ケース体6に載置され、第1ケース体4と第2ケース体6との間に保持されるようになる。
【0037】
また、第2ケース体6には、図14及び図15(a)に示すように、底部6bに設けられたリブ6rから延設した11個の第2音色調節部材26が一体に成形されている。この第2音色調節部材26は、図16に示すように、円柱形状で、第2ケース体6の底部6b側から上方(図14に示すZ1方向)に向けて延設されており、操作スイッチ装置101が組立てられた際には、図15(a)に示すように、スイッチ部材3の略真裏の領域に相当する基板部材9の第2面9rに当接するように設けられている。なお、第2音色調節部材26は、基板部材9に対して垂直になるように設けられている。
【0038】
これにより、基板部材9は、前述した第1ケース体4の複数の第1音色調節部材14と第2ケース体6の複数の第2音色調節部材26の両方から常に応力を受けた状態で保持されるようになっている。このため、スイッチ部材3を動作させた際に、スイッチ部材3が配置された部分の基板部材9が撓んだり振動したりすることを大幅に低減することができる。しかも、複数のスイッチ部材3の近傍領域の第1面9pと略真裏の領域の第2面9rとを押圧しているので、複数のスイッチ部材3の近傍の基板部材9を確実かつ均一に押さえることができる。このことにより、基板部材9のいずれの位置にあるスイッチ部材3に対して、スイッチ部材3の振動を抑えることができ、複数のスイッチ部材3の操作音を全て均一でキレのある音とすることができる。
【0039】
また、本発明の第1実施形態では、第2ケース体6の第2音色調節部材26は、図16に示すように、基板部材9と当接する当接部26sにおいて、第2ケース体6側から基板部材9側に向かって順次細くなっている。これにより、基板部材9と当接させる当接面の面積を小さくすることができる。このため、基板部材9の第2面9rに設けられた配線パターンと当接部26sの当接面との接触を避けるレイアウトを行い易くできる。
【0040】
更に、当接部26sの先端部26p(図16(b)に示す)が基板部材9よりも柔らかい合成樹脂からなり、先端部26pの形状が尖っている。これにより、先端部26pと基板部材9との間に過剰な応力がかかった際には、先端部26pが微少量つぶれることで、基板部材9にかかる応力を緩和することができる。このことにより、基板部材9にかかるダメージを軽減することができる。
【0041】
以上のように構成された本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置101における、効果について、検証結果を交えながら、以下に纏めて説明する。
【0042】
図17は、本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置101の効果を説明する図であって、図17(a)は、本発明の構成を用いた場合のスイッチ部材3の音の測定結果RSを示したグラフであり、図17(b)は、本発明の構成を用いない場合の比較例におけるスイッチ部材の音の測定結果CTを示したグラフである。具体的には、比較例は、複数の第1音色調節部材14及び複数の第2音色調節部材26が設けられていない。また、図17の横軸は、周波数(Hz)を示し、縦軸は音量(dB)を示している。また、図17のデータS1及びデータT1は、図13に示すスイッチ部材3Bの近傍のスイッチ音を測定した結果であり、図17のデータS2及びデータT2は、図13に示すスイッチ部材3Fの近傍のスイッチ音を測定した結果である。
【0043】
本発明の第1実施形態の操作スイッチ装置101は、基板部材9が、複数の第1音色調節部材14と複数の第2音色調節部材26の両方から常に応力を受けた状態で保持されているので、スイッチ部材3を動作させた際に、スイッチ部材3が配置された部分の基板部材9が撓んだり振動したりすることを大幅に低減することができる。しかも、複数のスイッチ部材3の近傍領域の第1面9pと略真裏の領域の第2面9rとを押圧しているので、複数のスイッチ部材3の近傍の基板部材9を確実かつ均一に押さえることができる。このことにより、基板部材9のいずれの位置にあるスイッチ部材3に対して、スイッチ部材3の振動を抑えることができ、複数のスイッチ部材3の操作音を全て均一でキレのある音とすることができる。
【0044】
このことは、図17に示す測定結果(RS、CT)からも明らかである。つまり、比較例のデータT1とデータT2とでは、各周波数における音量の差が大きくなっているが、本発明の第1実施形態のデータS1とデータS2とでは、各周波数における音量の差が大幅に小さくなっている。これにより、複数のスイッチ部材3の操作音を均一でキレのある音とすることができるといえる。
【0045】
また、当接部26sが第2ケース体6側から基板部材9側に向かって順次細くなっているので、これにより、基板部材9と当接させる当接面の面積を小さくすることができる。このため、基板部材9の第1面9p或いは第2面9rに設けられた配線パターンと当接部14s或いは当接部26sの当接面との接触を避けるレイアウトを行い易くできる。
【0046】
また、当接部26sの先端部26pが基板部材9よりも柔らかい合成樹脂で、先端部26pの形状がかつ尖っているので、先端部26pと基板部材9との間に過剰な応力がかかった際には、先端部26pが微少量つぶれることで、基板部材9にかかる応力を緩和することができる。このことにより、基板部材9にかかるダメージを軽減することができる。
【0047】
また、ある1つの第1音色調節部材14と複数のスイッチ部材3との距離が同じになるようにすることで、スイッチ部材3を動作させた際に生じる、スイッチ部材3が配置された部分の基板部材9の撓みや振動を1つの第1音色調節部材14でバランス良く防止することができる。このため、基板部材9を押さえる第1音色調節部材14のトータルの数を減らすことができるので、基板部材9上における当接箇所を減らすことができる。このことにより、当接箇所を回避した配線パターンのレイアウトをより行い易くできる。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0049】
<変形例1>
上記第1実施形態では、第1音色調節部材14及び第2音色調節部材26の形状を円柱形状としたが、これに限るものではなく、例えば、その断面形状を四角形状や三角形状、或いは円筒形状と様々な形状にすることができる。また、この形状を調整することで、スイッチ部材3のスイッチ音の音色を調整することができる。
【0050】
<変形例2>
上記第1実施形態では、第2ケース体6側の第2音色調節部材26の当接部26sにおいて、第2ケース体6側から基板部材9側に向かって順次細くなる形状にし、当接部26sの先端部26pが尖っている形状にしたが、第1音色調節部材14と第2音色調節部材26の少なくともいずれか一方に設ける構成でも良い。
【0051】
<変形例3>
上記第1実施形態の第2ケース体6の底部6bに貫通孔を設けた構成がより好適である。これにより、複数のスイッチ部材3におけるスイッチ音の音色を均一化させ、調律された操作音とすることができる。また、本発明の操作スイッチ装置が適用された環境下で水分が侵入した際に、この貫通孔を排水用の排水孔としても利用できる。
【0052】
<変形例4>
上記第1実施形態では、12個のスイッチ部材3に対して、6個の第1音色調節部材14を用いたが、これに限るものではない。複数のスイッチ部材3の配置によって適切に選定されるのが望ましい。また、基板部材9の配線パターン等と干渉しなければ、一対一にするのも好適である。
【0053】
<変形例5>
上記第1実施形態では、12個のスイッチ部材3に対して、11個の第2音色調節部材26をできるだけ多く用いたが、この数に限るものではない。また、基板部材9の配線パターン等と干渉しなければ、一対一にするのも好適である。
【0054】
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
3、3A、3B、3C、3D、3E、3F、3G スイッチ部材
73 金属製可動接点
4 第1ケース体
14、14A、14B、14C、14D、14E、14F 第1音色調節部材
14s 当接部
6 第2ケース体
26 第2音色調節部材
26p 先端部
26s 当接部
9 基板部材
9p 第1面
9r 第2面
101 操作スイッチ装置
図1
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