特許第5939719号(P5939719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ホンダアクセスの特許一覧

<>
  • 特許5939719-クッション 図000002
  • 特許5939719-クッション 図000003
  • 特許5939719-クッション 図000004
  • 特許5939719-クッション 図000005
  • 特許5939719-クッション 図000006
  • 特許5939719-クッション 図000007
  • 特許5939719-クッション 図000008
  • 特許5939719-クッション 図000009
  • 特許5939719-クッション 図000010
  • 特許5939719-クッション 図000011
  • 特許5939719-クッション 図000012
  • 特許5939719-クッション 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5939719
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】クッション
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20160609BHJP
   A47C 27/14 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   A47C27/00 C
   A47C27/14 Z
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-257532(P2014-257532)
(22)【出願日】2014年12月19日
【審査請求日】2015年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】窪田 豊
(72)【発明者】
【氏名】濱口 一満
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀之
(72)【発明者】
【氏名】安部 亮
【審査官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−151615(JP,U)
【文献】 特開2008−029390(JP,A)
【文献】 実公昭42−000593(JP,Y1)
【文献】 実開平06−052622(JP,U)
【文献】 実開平06−026615(JP,U)
【文献】 実公昭47−029788(JP,Y1)
【文献】 特表2007−503281(JP,A)
【文献】 実開昭59−189568(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00−27/22
A47G 9/00−9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1クッション部と、第2クッション部と、これらの第1クッション部及び第2クッション部を展開可能に連結している連結部と、からなり、前記連結部を中心に前記第1クッション部及び第2クッション部を略直方体に畳むことが可能なクッションであって、
前記第1クッション部は、前記略直方体の一面を構成する第1クッション部第1面と、この第1クッション部第1面の一端から斜めに延びる第1クッション部傾斜面と、前記第1クッション部第1面の他端から略直角に延びる第1クッション部第2面と、を有し、
前記第2クッション部は、前記略直方体の一面とは異なる他面を構成する第2クッション部第1面と、この第2クッション部第1面の一端から斜めに延びる第2クッション部傾斜面と、前記第2クッション部第1面の他端から略直角に延びる第2クッション部第2面と、を有し、
前記連結部は、前記略直方体に畳まれた状態を基準として、前記略直方体の1つの角に沿って設けられていると共に、前記第1クッション部第1面の一端と、前記第2クッション部第1面の一端と、を連結し、
前記第1クッション部傾斜面と、前記第2クッション部傾斜面とは、共に平面状に形成され、
前記畳まれた状態を基準として、前記第1クッション部傾斜面の前記連結部とは逆側の端部から連続して、前記第2クッション部傾斜面から離間する第1クッション湾曲面部を有し、
前記第1クッション部傾斜面及び前記第2クッション部傾斜面を互いに接触させて略直方体に折り畳むことにより、前記第1クッション湾曲面部及び前記第2クッション部傾斜面の間に空隙が形成される折り畳みモードと、
前記第1クッション部第1面及び前記第2クッション部第1面を共に接地させ、前記第1クッション部傾斜面及び前記第2クッション部傾斜面を対向させた、第1展開モードと、
前記第1クッション部傾斜面及び前記第2クッション部傾斜面を共に接地させ、前記第1クッション部第1面及び前記第2クッション部第1面を対向させた、第2展開モードと、3つの態様を有し、
前記第1展開モードにおいて、前記第2クッション部第2面の高さが、前記第1クッション部第2面の高さよりも高いことにより、互いに高さの異なる斜面が対向して形成され、
前記第2展開モードにおいて、前記第1クッション部第1面、及び、前記第2クッション部第2面を、共に乗員に対向させることができることを特徴とするクッション。
【請求項2】
前記折り畳みモードにおいて、前記第1クッション部と、前記第2クッション部とは、面ファスナによって、互いに係止されていることを特徴とする請求項1記載のクッション。
【請求項3】
前記第1クッション部及び前記第2クッション部は、共に、クッション体が表皮材によって覆われる構成とされ、
前記表皮材には、ポケットが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項記載のクッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1クッション部と、第2クッション部と、これらの第1クッション部及び第2クッション部を展開可能に連結している連結部と、からなるクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のクッション部を展開可能に設け、これらのクッション部を展開した状態において使用するクッションが知られている。このようなクッションに関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるような、クッションは、3つのクッション部が展開可能に連結されていると共に、これらとは異なる1つのクッション部が着脱可能に設けられている。使用者は、使用目的に応じて、様々な形状にクッション部を展開・着脱することができる。
【0004】
展開されたクッション部を、異なる展開モードに容易に変更することができれば望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3150454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、展開されたクッション部を、異なる展開モードに容易に変更することができるクッションの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1による発明によれば、第1クッション部と、第2クッション部と、これらの第1クッション部及び第2クッション部を展開可能に連結している連結部と、からなり、前記連結部を中心に前記第1クッション部及び第2クッション部を略直方体に折り畳むことが可能なクッションであって、
前記第1クッション部は、前記略直方体の一面を構成する第1クッション部第1面と、この第1クッション部第1面の一端から斜めに延びる第1クッション部傾斜面と、前記第1クッション部第1面の他端から略直角に延びる第1クッション部第2面と、を有し、
前記第2クッション部は、前記略直方体の一面とは異なる他面を構成する第2クッション部第1面と、この第2クッション部第1面の一端から斜めに延びる第2クッション部傾斜面と、前記第2クッション部第1面の他端から略直角に延びる第2クッション部第2面と、を有し、
前記連結部は、前記略直方体に畳まれた状態を基準として、前記略直方体の1つの角に沿って設けられていると共に、前記第1クッション部第1面の一端と、前記第2クッション部第1面の一端と、を連結し、
前記第1クッション部傾斜面と、前記第2クッション部傾斜面とは、共に平面状に形成され、
前記畳まれた状態を基準として、前記第1クッション部傾斜面の前記連結部とは逆側の端部から連続して、前記第2クッション部傾斜面から離間する第1クッション湾曲面部を有し、
前記第1クッション部傾斜面及び前記第2クッション部傾斜面を互いに接触させて略直方体に折り畳むことにより、前記第1クッション湾曲面部及び前記第2クッション部傾斜面の間に空隙が形成される折り畳みモードと、
前記第1クッション部第1面及び前記第2クッション部第1面を共に接地させ、前記第1クッション部傾斜面及び前記第2クッション部傾斜面を対向させた、第1展開モードと、
前記第1クッション部傾斜面及び前記第2クッション部傾斜面を共に接地させ、前記第1クッション部第1面及び前記第2クッション部第1面を対向させた、第2展開モードと、3つの態様を有し、
前記第1展開モードにおいて、前記第2クッション部第2面の高さが、前記第1クッション部第2面の高さよりも高いことにより、互いに高さの異なる斜面が対向して形成され、
前記第2展開モードにおいて、前記第1クッション部第1面、及び、前記第2クッション部第2面を、共に乗員に対向させることができることを特徴とするクッションが提供される。
【0009】
請求項に記載のごとく、好ましくは、前記折り畳みモードにおいて、前記第1クッション部と、前記第2クッション部とは、面ファスナによって、互いに係止されている。
【0010】
請求項に記載のごとく、好ましくは、前記第1クッション部及び前記第2クッション部は、共に、クッション体が表皮材によって覆われる構成とされ、
前記表皮材には、ポケットが設けられている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、連結部が直方体の角に沿って設けられていると共に、第1及び第2クッション部傾斜面は、接触可能に平面状に形成されている。そして、クッションは、第1及び第2クッション部傾斜面を互いに接触させて略直方体に折り畳んだ折り畳みモードと、第1及び第2クッション部第1面を共に接地させ、第1及び第2クッション部傾斜面を対向させた、第1展開モードと、第1及び第2クッション部傾斜面を共に接地させ、第1及び第2クッション部第1面を対向させた、第2展開モードと、3つの態様を有する。第1展開モードから第2展開モードへの変更は、接地している第1及び第2クッション部第1面を上面にし、上方に臨んでいる第1及び第2クッション部傾斜面を接地させる。即ち、クッションの天地を返すことにより、展開モードの変更を行うことができる。第2展開モードから第1展開モードへの変更も同様である。このため、展開されたクッション部を、異なる展開モードに容易に変更することができる。
【0012】
加えて、第1又は第2展開モードから折り畳みモードへの変更は、第1及び第2クッション部傾斜面を互いに接触させることによって行う。連結部を中心に第1及び第2クッション部を互いにスイングさせることのみによって、折り畳むことができる。展開状態から折り畳み状態への変更も容易に行うことができる。
【0013】
加えて、請求項に係る発明では、第1展開モードにおいて、第1クッション部第2面の高さは、第2クッション部第2面の高さとは異なる。例えば、クッションに足を載せる場合に、クッションの前後を変えることにより、使用者が足を載せることができる面が変更される。そして、これらの面の高さは、それぞれ異なる。使用者は、それぞれ特性の異なる面のうち、より自分の好みに合った面を使用することができ、好ましい。さらに、好みの面を使用するために、クッションを水平方向に回転させるのみでよいため、操作性も高い。
【0014】
請求項に係る発明では、折り畳みモードにおいて、第1クッション部と、第2クッション部とは、面ファスナによって、互いに係止されている。折り畳みモードの保持を確実にすると共に、クッションの持ち運び時におけるクッション部の意図せぬ展開を抑制する。
【0015】
請求項に係る発明では、クッション体を覆っている表皮材には、ポケットが設けられている。クッションの利便性が増す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1によるクッションの斜視図である。
図2図1に示されたクッションの側面図である。
図3図2に示されたクッションの断面図である。
図4図1に示されたクッションの第1展開モードについて説明する図である。
図5図4に示されたクッションの底面図である。
図6図1に示されたクッションの第2展開モードについて説明する図である。
図7図1に示されたクッションの折り畳みモードの使用例を説明する図である。
図8図4に示されたクッションの第1展開モードの使用例を説明する図である。
図9図6に示されたクッションの第2展開モードの使用例を説明する図である。
図10】本発明の実施例2によるクッションの斜視図である。
図11】本発明の実施例3によるクッションの斜視図である。
図12】本発明の実施例4によるクッションの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【0018】
<実施例1>
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1を参照する。図に示される状態において、クッション10は、持ち運びが容易なように折り畳まれた状態にある。折り畳まれた状態のクッション10は、略直方体形状を呈している。以後、クッション10が略直方体状に折り畳まれた状態を、適宜、「折り畳みモード」という。
【0019】
図2を参照する。クッション10は、床面Flに接地している第1クッション部20と、この第1クッション部20に重ねられている第2クッション部30と、これらの第1クッション部20及び第2クッション部30を展開可能に連結している連結部40と、第1クッション部20及び第2クッション部30を係止している係止部50と、からなる。
【0020】
図3を参照する。第1クッション部20は、第1クッション体20aが表皮材Skに覆われてなる。第2クッション部30も同様の構成とされている。即ち、第2クッション部30は、第2クッション体30aが表皮材Skに覆われてなる。それぞれ別体の第1クッション体20a及び第2クッション体30aが共通の表皮材Skによって覆われている。
【0021】
第1及び第2クッション体20a,30aの素材には、ウレタンを採用することができる。表皮材Skの素材には、人工皮革を採用することができる。
【0022】
図1及び図2に戻る。第1クッション部20は、折り畳みモードにおいて直方体の一面(下面)を構成している第1クッション部第1面21と、この第1クッション部第1面21の連結部40側の端部(一端)から傾斜して延びる第1クッション部傾斜面22と、第1クッション部第1面21の連結部40側とは逆側の端部(他端)から略垂直に立ち上げられている第1クッション部第2面23と、第1クッション部傾斜面22の連結部40側とは逆側の端部から第1クッション部第2面23の上端まで延びる第1クッション部湾曲面24と、これらの第1クッション部第1面21、傾斜面22、第2面23及び湾曲面24の縁によって囲われている第1クッション部側面26(一方の第1クッション部側面26のみが図に示されている。)と、からなる。
【0023】
第2クッション部30は、連結部40の近傍から立ち上げられ直方体の一面(下面)を構成している第2クッション部第1面31と、この第2クッション部第1面31の連結部40側の端部(一端)から傾斜して延びる第2クッション部傾斜面32と、第2クッション部第1面31の連結部40側とは逆側の端部(他端)から略垂直に延びている第2クッション部第2面33と、第2クッション部傾斜面32の連結部40側とは逆側の端部から第2クッション部第2面33の上端まで延びる第2クッション部第3面35と、これらの第2クッション部第1面31、傾斜面32、第2面33及び第3面35の縁によって囲われている第2クッション部側面36(一方の第2クッション部側面36のみが図に示されている。)と、からなる。
【0024】
図2及び図3を参照する。連結部40は、表皮材Skによって構成されている。連結部40は、第1クッション部第1面21の一端と、第2クッション部第1面31の一端と、を連結している。
【0025】
係止部50は、第1クッション部第2面23に縫合された第1の面ファスナ51(面ファスナ51)と、第2クッション部第3面35に縫合されたベルト状の紐部材52と、この紐部材52に縫合された第2の面ファスナ53(面ファスナ53)と、からなる。
【0026】
折り畳みモードにおいて、第2の面ファスナ53は、第1の面ファスナ51に係止されている。展開時には、第1及び第2の面ファスナ51,53の係止を解除した上で、第1及び第2クッション部20,30を展開する。
【0027】
表皮材Skは、第1及び第2クッション体20a,30aを一体的に覆っていると共に、これらの第1及び第2クッション体20a,30aを連結している。表皮材Skのなかの、連結部40が形成されている部位には、ウレタンが充填されていない。第1クッション部20及び第2クッション部30は、連結部40を中心に、折り畳み及び展開が可能に連結されている。
【0028】
表皮材Skには第1及び第2クッション体20a,30aを充填するための充填孔Hoが形成されている。この充填孔Hoは、表皮材面ファスナ61,62によって閉じられている。表皮材面ファスナ61,62は、充填孔Hoに沿って表皮材Skに縫合されている。充填孔Hoの縁は、表皮材Skの解れを防止するために折り返された上で縫合されている。
【0029】
第1クッション部第1面21は、略長方形状の平面によって構成される。第1クッション部第1面21は、第2クッション部第1面31に対して、略直角に延びると共に、第2クッション部第2面33に対して、略平行に延びる。
【0030】
第1クッション部傾斜面22は、略長方形状の平面によって構成される。第1クッション部傾斜面22は、全面が第2クッション部傾斜面32に接触している。
【0031】
第1クッション部第2面23は、略長方形状の平面によって構成される。第1クッション部第2面23の上端略中央には、第1の面ファスナ51が縫合されている。
【0032】
第1クッション部湾曲面24は、第2クッション部傾斜面32から離間する湾曲面によって構成されている。第1クッション部第1面21が接地している状態を基準として、第1クッション部湾曲面24は、第1クッション部傾斜面22側の端部よりも第1クッション部第2面23側の端部の方が高い部位に位置している。
【0033】
第2クッション部第1面31、第2面33、第3面35は、略長方形状の平面によって構成される。第2クッション部第1面31は、第1クッション部第1面21及び第2クッション部第2面33に対して、略直角に延びる。
【0034】
第2クッション部傾斜面32は、略長方形状の平面によって構成される。第2クッション部傾斜面32は、第1クッション部傾斜面22に接触していると共に、第1クッション部湾曲面24に対して所定の隙間を有して対向している。
【0035】
第2クッション部第2面33の長さL2は、第1クッション部第2面23の長さL2よりも長い。
【0036】
折り畳みモードを基準として、第2クッション部第3面35は、第1クッション部第2面23よりも僅かに幅方向中央側に位置している。第2クッション部第3面35の中央には、高さ方向の全体に渡って紐部材52が縫合されている。
【0037】
第1クッション部第1面21と、第1クッション部傾斜面22とによって形成される角θ1の角度は、45°である。第2クッション部第1面31と、第2クッション部傾斜面32とによって形成される角θ2の角度は、45°である。即ち、第1クッション部第1面21と、第1クッション部傾斜面22とによって形成される角θ1の角度は、第2クッション部第1面31と、第2クッション部傾斜面32とによって形成される角θ2の角度に等しい。
【0038】
図2及び図4を参照する。クッション10は、第1及び第2クッション部20,30を展開した状態においても使用することができる。より具体的には、図2に示される折り畳みモードから、図4に示される第1展開モードへ、第1及び第2クッション部20,30を展開することができる。
【0039】
第1展開モードへ展開する際には、まず、図1の矢印(1)によって示されるように、係止部50の係止を解除する。そして、矢印(2)によって示されるように、第2クッション部30をスイングさせる。第1クッション部第1面21及び第2クッション部第1面31を共に接地させ、第1クッション部傾斜面22及び第2クッション部傾斜面32を対向させた、第1展開モードとなる。
【0040】
図5を参照する。図5には、図4に示された第1展開モードのクッション10が底面から覗いた状態によって示されている。充填孔Hoは、第1クッション部第1面21の一部に形成されている。言い替えると、充填孔Hoは、連結部40を避けた部位に形成されている。なお、充填孔Hoは、第2クッション部30に形成されていてもよい。理由は後述する。
【0041】
クッション10は、第1展開モードとは異なる、第2展開モードにおいても使用することができる。第1展開モードから第2展開モードへの展開方法について説明する。図4の矢印(3)によって示されるように、第1クッション部傾斜面22及び第2クッション部傾斜面32を接地させるように、クッション10を返す。
【0042】
図6を参照する。クッション10を返すことにより、第1クッション部傾斜面22及び第2クッション部傾斜面32が接地する。即ち、第1クッション部傾斜面22及び第2クッション部傾斜面32を共に接地させ、第1クッション部第1面21及び第2クッション部第1面31を対向させた、第2展開モードとなる。
【0043】
以上に説明したとおり、クッション10は、折り畳みモード(図2)、第1展開モード(図4)及び第2展開モード(図6)の3つのモードによって使用することができる。これらのそれぞれのモードにおいて、どのように使用することができるか、その一例を以下に説明する。
【0044】
図7を参照する。折り畳みモードにおいて、クッション10の使用者は、図7(a)に示されるように腕Arを置いたり、図7(b)に示されるように頭Heを載せたりすることができる。即ち、折り畳みモードにおいては、クッション10をアームレストや枕として使用することができる。
【0045】
図3を併せて参照する。第1クッション部20には、第2クッション部傾斜面32に対して離間すると共に対向している第1クッション部湾曲面24が形成されている。これにより、第2クッション部傾斜面32は、第1クッション部傾斜面22において第1クッション部20と接触し、第1クッション部湾曲面24が形成されている部位において、第1クッション部20から離間している。この離間している部位については、第2クッション部30が腕Arや頭Heの重さによって容易に撓む。一方、第1クッション部傾斜面22及び第2クッション部傾斜面32が接触している部位においては、接触していない部位に比べて、重さにより撓む量が少なくなる。使用者は、より使い心地がよい部位に腕Arや頭Heを載せることができる。
【0046】
図8を参照する。図8(a)及び図8(b)に示されるように、第1展開モードにおいて、使用者は、クッション10に足Foを載せることができる。図8(a)では、使用者は、第2クッション部30を自身の身体側に配置してクッション10を使用している。使用者は、足Foを第1クッション部傾斜面22に載せている。一方、図8(b)では、使用者は、第1クッション部20を自身の身体側に配置してクッション10を使用している。使用者は、足Foを第2クッション部傾斜面32に載せている。
【0047】
第1展開モードにおいて、第2クッション部第2面33の高さL2は、第1クッション部第2面23の高さL1よりも高い。このため、第1展開モードにおいて、使用者は、それぞれ異なる2つの使用方法によりクッション10を使用することができる。
【0048】
図8(a)に示されるように、高さの高い第2クッション部30を自己の身体側に配置した場合には、ふくらはぎCaの一部をクッション10に凭れさせることができる。一方、図8(b)に示されるように、高さの高い第2クッション部30を自己の身体から遠ざけて配置した場合には、足Foの全体をクッション10に載せることができる。
【0049】
図9を参照する。図9(a)及び図9(b)に示されるように、第2展開モードにおいても、使用者は、クッション10に足Foを載せることができる。第2展開モードにおいて、クッション10は、第1クッション部第1面21及び第2クッション部第2面33が、共に使用者に対向している。
【0050】
例えば、車両の2列目の座席の乗員がクッション10を使用することがある。このとき、クッション10は、1列目の座席71の直後に載置される。1列目の座席71と2列目の座席との間のスペースは狭いため、乗員の体格に合わせて、任意の位置にクッション10を載置することは困難である。しかし、クッション10の第2展開モードによれば、第1クッション部第1面21及び第2クッション部第2面33が、共に乗員に対向している。このため、乗員は自己の体型に合わせて、使用しやすい面に足Foを載せることができる。第2展開モードは、特に、載置スペースが狭い場所におけるクッション10の使用に適したモードであるといえる。
【0051】
以上に説明した本発明によるクッション10によれば、以下の効果を得ることができる。
【0052】
図1を参照する。連結部40が直方体の角に沿って設けられていると共に、第1及び第2クッション部傾斜面22,32は、接触可能に平面状に形成されている。そして、クッション10は、第1及び第2クッション部傾斜面22,32を互いに接触させて略直方体に折り畳んだ折り畳みモードと、第1及び第2クッション部第1面21,31を共に接地させ、第1及び第2クッション部傾斜面22,32を対向させた、第1展開モード(図4参照)と、第1及び第2クッション部傾斜面22,32を共に接地させ、第1及び第2クッション部第1面21,31を対向させた、第2展開モード(図6参照)と、3つの態様を有する。
【0053】
図4及び図6を参照する。第1展開モードから第2展開モードへの変更は、接地している第1及び第2クッション部第1面21,31を上面にし、上方に臨んでいる第1及び第2クッション部傾斜面22,32を接地させる。即ち、クッションの天地を返すことにより、展開モードの変更を行うことができる。第2展開モードから第1展開モードへの変更も同様である。このため、展開されたクッションを、異なる展開モードに容易に変更することができる。
【0054】
加えて、第1又は第2展開モードから折り畳みモードへの変更は、第1及び第2クッション部傾斜面22,32を互いに接触させることによって行う。連結部40を中心に第1及び第2クッション部20,30を互いにスイングさせることのみによって、折り畳むことができる。展開状態から折り畳み状態への変更も容易に行うことができる。
【0055】
図8を参照する。第1展開モードにおいて、第1クッション部第2面23の高さL1は、第2クッション部第2面33の高さL2とは異なる(実施例においては、低い。)。例えば、クッション10に足を載せる場合に、クッション10の前後を変えることにより、使用者が足Foを載せることができる面(第1クッション部傾斜面22又は第2クッション部傾斜面32)が変更される。そして、これらの面の大きさは、それぞれ異なる。使用者は、それぞれ特性の異なる面のうち、より自分の好みに合った面を使用することができ、好ましい。さらに、好みの面を使用するために、クッションを水平方向に回転させるのみでよいため、操作性も高い。
【0056】
図2を併せて参照する。第1クッション部第1面21と、第1クッション部傾斜面22とによって形成される角θ1の角度は、第2クッション部第1面31と、第2クッション部傾斜面32とによって形成される角θ2の角度に等しい。第1展開モードでは、第1クッション部第1面21及び第2クッション部第1面31と、が接地していると共に、第1クッション部傾斜面22及び第2クッション部傾斜面32が対向した状態にある。クッション10の使用者は、第1クッション部傾斜面22又は第2クッション部傾斜面32のどちらか一方に足を載せることができる。このとき、床面Flに対する第1及び第2クッション部傾斜面22,32がなす角度が同じであるため、どちらの傾斜面22,32に足を載せた場合であっても、足を最も心地のよい角度に保つことができる。
【0057】
図3を参照する。折り畳みモードにおいて、第1クッション部20と、第2クッション部30とは、面ファスナ51,53によって、互いに係止されている。折り畳みモードの保持を確実にすると共に、クッション10の持ち運び時における第1及び第2クッション部20,30の意図せぬ展開を抑制する。
【0058】
第1クッション部20及び第2クッション部30は、互いに異なるクッション体20a,30aを共通の表皮材Skによって覆うことにより構成されている。連結部40は、表皮材Skの一部によってクッション体20a,30aの間に形成されている。表皮材Skの連結部40を避けた部位には、クッション体20a,30aを充填するための充填孔Hoが形成されている。
【0059】
一般に、充填孔Hoの近傍は、折り返された上で縫合され、閉じ状態を確保するために表皮材面ファスナ61,62が縫合され、及び/又は、内部が見えることを抑制するために、表皮材Skが重ねられている。このため、充填孔Hoの近傍は、硬く撓み難いのが一般的である。一方、連結部40は、第1クッション部20及び第2クッション部30を展開可能に連結する部位である。展開時及び折り畳み時には、第1クッション部20及び/又は第2クッション部30をスイングさせるため、連結部40は、高い可撓性を有することが望ましい。硬く撓み難い充填孔Hoが連結部40を避けた部位に形成されているため、連結部40の高い可撓性を確保することができる。クッション10の高い操作性を確保することができる。
【0060】
第2クッション部30は、第2クッション部第2面33の端部から略垂直に延び第2クッション部傾斜面32の端部まで延びる第2クッション部第3面35を有している。この第2クッション部第3面35は、折り畳みモードを基準として、第1クッション部第2面23よりも幅方向中央側に位置している。面ファスナ51,53の一方51は、第1クッション部第2面23に縫合され、面ファスナ51,53の他方53は、第2クッション部第3面35に設けられた紐部材52に縫合されている。
【0061】
紐部材52を引っ張りながら第1の面ファスナ51に第2の面ファスナ53を係止させると、係止状態において紐部材52には、第2クッション部第3面35側に引っ張られる力F1が作用する。第2クッション部第3面35が、第1クッション部第2面23よりも幅方向中央側に位置しているため、引っ張られる力の分力F2は、第2の面ファスナ53を第1の面ファスナ51に向かって押しつけるように作用する。このため、折り畳み状態において面ファスナ51,53同士をより確実に係止させることができる。
【0062】
<実施例2>
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。図10は実施例2のクッション10Aが示されている。実施例1によるクッション10(図1参照)と異なる部分についてのみ説明し、実施例1によるクッション10と共通する部分については説明を省略する。実施例1と共通する構成要素については、符号を流用する。
【0063】
第1クッション部20及び第2クッション部30は、共に、クッション体20a,30aが表皮材Skによって覆われる構成とされ、表皮材Skには、ポケットPo1,Po2が設けられている。一方のポケットPo1は、第1クッション部側面26に形成されている。他方のポケットPo2は、第2クッション部側面36に形成されている。
【0064】
この場合においても、本発明所定の効果を得ることができる。
【0065】
さらに、実施例2によるクッション10によれば、ポケットPo1,Po2に小物等を入れることができ、クッションの利便性が増す。
【0066】
<実施例3>
次に、本発明の実施例3を図面に基づいて説明する。図11は実施例3のクッション10Bが示されている。実施例1によるクッション10(図1参照)と異なる部分についてのみ説明し、実施例1によるクッション10と共通する部分については説明を省略する。実施例1と共通する構成要素については、符号を流用する。
【0067】
第1クッション部20及び第2クッション部30は、共に、クッション体20a,30aが表皮材Skによって覆われる構成とされ、表皮材Skには、ポケットPo3,Po4が設けられている。一方のポケットPo3は、第1クッション部傾斜面22に形成されている。他方のポケットPo4は、第2クッション部傾斜面32に形成されている。
【0068】
この場合においても、本発明所定の効果を得ることができる。
【0069】
さらに、実施例3によるクッション10Bによれば、ポケットPo3,Po4に小物等を入れることができ、クッション10Bの利便性が増す。クッション10Bを足置きクッションとして用いた場合には、さらに以下の効果を得ることができる。第1展開モードにおいて、足が載置される第1クッション部傾斜面22及び/又は第2クッション部傾斜面32にポケットPo3,Po4が設けられている。ポケットPo3,Po4に使い捨て懐炉を入れておくことにより、足を温めることができ、使い心地を高めることができる。
【0070】
<実施例4>
次に、本発明の実施例4を図面に基づいて説明する。図12は実施例4のクッション10Cが示されている。実施例1によるクッション10(図1参照)と異なる部分についてのみ説明し、実施例1によるクッション10と共通する部分については説明を省略する。実施例1と共通する構成要素については、符号を流用する。
【0071】
第2クッション部30には、第2クッション部傾斜面32及び第2クッション部第2面33を貫通している貫通孔30bが形成されている。貫通孔30bには、使用者の靴やスリッパを挿入することができる。
【0072】
この場合においても、本発明所定の効果を得ることができる。
【0073】
尚、本発明のクッションは、実施の形態では車室内において使用する場合を例に説明したが、その他の場所においても使用可能である。即ち、クッションは、車室内において使用されるクッションに限られない。
【0074】
本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のクッションは、車室内等の狭い場所において使用するクッションとして好適である。
【符号の説明】
【0076】
10,10A,10B,10C…クッション
20…第1クッション部
20a…第1クッション体
21…第1クッション部第1面
22…第1クッション部傾斜面
23…第1クッション部第2面
30…第2クッション部
30a…第2クッション体
31…第2クッション部第1面
32…第2クッション部傾斜面
33…第2クッション部第2面
40…連結部
51…第1の面ファスナ(面ファスナ)
53…第2の面ファスナ(面ファスナ)
Po1,Po2,Po3,Po4…ポケット
Sk…表皮材
【要約】
【課題】展開されたクッション部を、異なる展開モードに容易に変更することができるクッションを提供すること。
【解決手段】クッション(10)は、第1クッション部(20)と、第2クッション部(30)と、これらの第1クッション部(20)及び第2クッション部(30)を展開可能に連結している連結部(40)と、からなり、連結部(40)を中心に第1クッション部(20)及び第2クッション部(30)を略直方体に畳むことが可能である。連結部(40)は、略直方体に畳まれた状態を基準として、略直方体の1つの角に沿って設けられていると共に、第1クッション部第1面(21)の一端と、第2クッション部第1面(31)の一端と、を連結している。第1クッション部傾斜面(22)と、第2クッション部傾斜面(32)とは、共に平面状に形成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12