特許第5939736号(P5939736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939736
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】組合せ秤
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20160609BHJP
   G01G 11/00 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   G01G19/387 D
   G01G11/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-16835(P2011-16835)
(22)【出願日】2011年1月28日
(65)【公開番号】特開2012-154905(P2012-154905A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年12月27日
【審判番号】不服2015-3515(P2015-3515/J1)
【審判請求日】2015年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 隆明
【合議体】
【審判長】 森 竜介
【審判官】 清水 稔
【審判官】 関根 洋之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−168026(JP,U)
【文献】 国際公開第93/23724(WO,A1)
【文献】 特開2005−315579(JP,A)
【文献】 特開昭61−151430(JP,A)
【文献】 実開平6−28658(JP,U)
【文献】 特開昭61−294317(JP,A)
【文献】 実開昭57−8530(JP,U)
【文献】 特開平9−113343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/387, G01G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送停止状態のときに手動で被計量物が供給され、供給された被計量物を搬送する複数の計量コンベアと、
各々、前記計量コンベアに対応して設けられ、前記計量コンベア上に供給されている被計量物の重量を計量する複数の重量センサと、
前記重量センサの計量値に基づいて、供給されている被計量物の重量の合計が目標重量範囲内となる前記計量コンベアの組合せからなる排出組合せを1つ求める組合せ手段と、
前記排出組合せに選択されている計量コンベアを駆動させて前記計量コンベア上の被計量物を第1の方向へ搬送して前記計量コンベアの一端から排出させる計量コンベア制御手段と、
各々の前記計量コンベアの前記一端から排出される被計量物が供給され、供給される被計量物を一方向へ搬送して排出する集合コンベアと、
前記重量センサの計量値に基づいて、各々の前記計量コンベアに供給されている被計量物の重量が適量範囲内であるか否かを判定する適量判定手段とを備え、
前記計量コンベア制御手段は、
前記適量判定手段による判定結果に基づいて前記適量範囲内ではない重量の被計量物が供給されている前記計量コンベアを前記第1の方向とは逆方向に被計量物を搬送させるように駆動して前記計量コンベアの他端から被計量物を排出させるように構成された、組合せ秤。
【請求項2】
記複数の計量コンベアによって、前記集合コンベアを間に挟んで配置される第1及び第2の計量コンベア群が構成され、
前記第1及び第2の計量コンベア群の各々は、各々を構成する前記計量コンベアが並行に配置され、
前記第1及び第2の計量コンベア群の各々の前記計量コンベアは、前記一端側に前記集合コンベアが位置し、前記集合コンベアと搬送方向が直交するように配置された、請求項1に記載の組合せ秤。
【請求項3】
前記集合コンベアは、輪状のベルトが回転するベルトコンベアであって、前記ベルトの両縁部より中央部が凹んだ状態で被計量物を搬送するトラフ型のベルトコンベアからなる、請求項2に記載の組合せ秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計量物の合計重量が所定の目標重量範囲内となる組合せを求める組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ秤は、計量部への被計量物の供給方法及び排出方法の違いにより、自動式、半自動式、手動式に大別することができる。手動式組合せ秤では、被計量物の供給と排出が人手によって行われる。また、半自動式組合せ秤では、被計量物の供給は人手によって行われ、被計量物の排出は自動で行われる(例えば、特許文献1参照)。また、自動式組合せ秤では、被計量物の供給と排出が自動(機械の制御)で行われる(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
組合せ秤への被計量物の供給を自動で行うことができない被計量物あるいは自動で行うことに適さない被計量物に対して、手動式あるいは半自動式の組合せ秤が用いられる。
【0004】
従来の半自動式組合せ秤では、例えば、複数のホッパが直線状に配設されて、その下方に1つのベルトコンベアが配設されている。そして作業者がホッパに被計量物を供給すると被計量物の重量が計量され、組合せ重量が所定重量範囲内となる組合せに選択されたホッパの排出ゲートを開閉して被計量物を排出し、ホッパから排出された被計量物をベルトコンベアで一方向へ搬送して、包装機等の後段装置へ排出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−214784号公報
【特許文献2】実公平7−33139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の半自動式組合せ秤では、組合せに選ばれたホッパから被計量物をベルトコンベア上へ排出させて搬送するが、ベルトコンベアではホッパが並んだ方向に被計量物を搬送するため、搬送される被計量物がホッパに接触しないようにベルトコンベアよりもかなり高い位置にホッパが配置されているので、ホッパから被計量物がベルトコンベアへ落下したときに衝撃が大きい。そのため、壊れやすいあるいは傷つきやすい被計量物の計量には適さない。例えば、かさ部分を有するきのこ類のような被計量物をホッパからベルトコンベアへ落下させると、かさ部分が損傷しやすく、商品価値が低下したり、商品として販売できなくなる。
【0007】
また、作業者は、被計量物をホッパの排出ゲートに噛み込ませないように注意を払わなければならず、熟練していない作業者等は、被計量物のホッパへの供給のタイミングを間違えて、ホッパの排出ゲートに被計量物を噛み込ませる等の問題を起こすことがある。従来の半自動式組合せ秤を取り扱うためには、作業者の訓練と慣れ等を要する。
【0008】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、落下時の衝撃等によって壊れやすいあるいは傷つきやすい被計量物であっても損傷させることのない組合せ秤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の組合せ秤は、搬送停止状態のときに手動で被計量物が供給され、供給された被計量物を搬送する複数の計量コンベアと、各々、前記計量コンベアに対応して設けられ、前記計量コンベア上に供給されている被計量物の重量を計量する複数の重量センサと、前記重量センサの計量値に基づいて、供給されている被計量物の重量の合計が目標重量範囲内となる前記計量コンベアの組合せからなる排出組合せを1つ求める組合せ手段と、前記排出組合せに選択されている計量コンベアを駆動させて前記計量コンベア上の被計量物を第1の方向へ搬送して前記計量コンベアの一端から排出させる計量コンベア制御手段と、各々の前記計量コンベアの前記一端から排出される被計量物が供給され、供給される被計量物を一方向へ搬送して排出する集合コンベアとを備えている。
【0010】
この構成によれば、作業者が被計量物を供給する複数の計量部に被計量物を搬送する計量コンベアを用い、計量コンベアの一端から排出される被計量物を集合コンベアで集めて排出するようにしているので、計量コンベアと集合コンベアとの段差を小さくでき、排出組合せに選択されている計量コンベアから排出される被計量物が集合コンベア上へ乗り移るときの衝撃が少なくなる。そのため、落下時の衝撃等によって壊れやすいあるいは傷つきやすい被計量物であっても損傷することなく計量することができる。また、被計量物の供給作業は計量コンベア上に被計量物を載せるだけなので、従来の組合せ秤のようにホッパへ供給する場合と比べ、熟練していない作業者であっても容易に行うことができる。
【0011】
また、前記複数の計量コンベアによって、前記集合コンベアを間に挟んで配置される第1及び第2の計量コンベア群が構成され、前記第1及び第2の計量コンベア群の各々は、各々を構成する前記計量コンベアが並行に配置され、前記第1及び第2の計量コンベア群の各々の前記計量コンベアは、前記一端側に前記集合コンベアが位置し、前記集合コンベアと搬送方向が直交するように配置されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、集合コンベアの両側に計量コンベア群を配置することにより、集合コンベアの長さを短くでき、被計量物の排出時間の短縮化及び組合せ秤のコンパクト化が図れるとともに、作業者が被計量物の供給作業を行いやすい。
【0013】
また、前記集合コンベアは、輪状のベルトが回転するベルトコンベアであって、前記ベルトの両縁部より中央部が凹んだ状態で被計量物を搬送するトラフ型のベルトコンベアからなるものでもよい。
【0014】
この構成によれば、集合コンベアにトラフ型のベルトコンベアを用いているため、集合コンベアの両側の計量コンベアから排出される被計量物を中央に集めて後段装置へ排出することができ、後段装置への被計量物の供給を正確に行うことができる。
【0015】
また、前記重量センサの計量値に基づいて、各々の前記計量コンベアに供給されている被計量物の重量が適量範囲内であるか否かを判定する適量判定手段をさらに備え、前記計量コンベア制御手段は、前記適量判定手段による判定結果に基づいて前記適量範囲内ではない重量の被計量物が供給されている前記計量コンベアを前記第1の方向とは逆方向に被計量物を搬送させるように駆動して前記計量コンベアの他端から被計量物を排出させるように構成されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、計量コンベアを逆搬送(第1の方向とは逆方向に搬送)させて適量範囲内ではない被計量物を他端から排出させることにより、各計量コンベアに1個ずつ被計量物を供給する場合には、重量の揃った被計量物のみからなる組合せを排出することができる。また、各計量コンベアに複数個の被計量物を供給する場合には、高い組合せ計量精度が得られる組合せ選択個数(排出組合せに選択される計量コンベアの予定個数)に応じた重量範囲となるように適量範囲を設定することにより、目標重量範囲内となる重量の組合せができやすくなり、排出組合せの無い状態である組合せ不良が起こる頻度を少なくできる。
【0017】
また、前記重量センサの計量値に基づいて、各々の前記計量コンベアに供給されている被計量物の重量が適量範囲内であるか否かを判定する適量判定手段と、前記適量判定手段による判定結果に基づいて前記適量範囲内ではない重量の被計量物が供給されている前記計量コンベアを報知する報知手段とをさらに備えていてもよい。
【0018】
この構成によれば、適量範囲内ではない被計量物が供給されている計量コンベアを作業者に報知することにより、作業者は報知された計量コンベアの被計量物を入れ替えて適量範囲内となるようにする。これにより、各計量コンベアに1個ずつ被計量物を供給する場合には、重量の揃った被計量物のみからなる組合せを排出することができる。また、各計量コンベアに複数個の被計量物を供給する場合には、高い組合せ計量精度が得られる組合せ選択個数(排出組合せに選択される計量コンベアの予定個数)に応じた重量範囲となるように適量範囲を設定することにより、目標重量範囲内となる重量の組合せができやすくなり、排出組合せの無い状態である組合せ不良が起こる頻度を少なくできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上に説明した構成を有し、落下時の衝撃等によって壊れやすいあるいは傷つきやすい被計量物であっても損傷させることのない組合せ秤を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)は本発明の実施形態の組合せ秤を上から見た平面図、(b)は同組合せ秤の正面図、(c)は同組合せ秤の計量部及び集合コンベアの詳細を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態の組合せ秤の概略構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態の組合せ秤の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0022】
(実施形態)
図1は本発明の実施形態の組合せ秤の外観の概略を示す図であり、図1(a)は同組合せ秤を上から見た平面図、図1(b)は同組合せ秤の正面図、図1(c)は同組合せ秤の計量部及び集合コンベアの詳細を示す模式図である。図2は本発明の実施形態の組合せ秤の概略構成を示すブロック図である。
【0023】
本実施形態の組合せ秤は、複数の計量部Cw1〜Cw12と、集合コンベア3と、操作設定表示器4と、制御装置5などを備えている。
【0024】
複数の計量部Cw1〜Cw12の各々は、ベルトコンベアで構成される計量コンベア1と、計量コンベア1を支持するロードセル等からなり、計量コンベア1上の被計量物の重量を計量する重量センサ2とを備えている。各計量コンベア1には、被計量物が計量コンベア1の両サイドから落ちないように一対のガイド板11が配設されている。具体的には、例えば、図1(c)に示すように、ガイド板11はコンベアフレーム1Fに取り付けられている。また、各計量コンベア1のコンベアフレーム1Fの下面には計量コンベア1の駆動モータ1Mが取り付けられている。また、重量センサ2は装置本体部22内で図示されない固定部材に固定され、その上部に取付部材を介してコンベアフレーム1Fが取り付けられている。すなわち、重量センサ2は、一対のガイド板11及び駆動モータ1Mを含む計量コンベア1を支持している。
【0025】
6個の計量部Cw1〜Cw6と、他の6個の計量部Cw7〜Cw12との間に集合コンベア3が配設されている。計量部Cw1〜Cw6の6個の計量コンベア1は、集合コンベア3の一方の側方において並行に配置され、これら各々の搬送方向(矢印aの方向)が集合コンベア3の搬送方向(矢印cの方向)と直交するように配置されている。また、計量部Cw7〜Cw12の6個の計量コンベア1は、集合コンベア3の他方の側方において並行に配置され、これら各々の搬送方向(矢印bの方向)が集合コンベア3の搬送方向と直交するように配置されている。
【0026】
集合コンベア3は、図1(c)に示すように、回転する輪状のベルトの上面部分(搬送面)の両縁部(ベルトの幅方向両端部)3a、3bが支持金具(図示せず)によって持ち上げられた状態となり、上面部分の両縁部3a、3bよりも中央部3cが凹んだ状態で被計量物を搬送するトラフ型のベルトコンベアで構成されている。なお、搬送面が平坦であるベルトコンベアで構成することも可能である。その場合、必要に応じてベルトの両縁部に、計量コンベア1のガイド板11のようなガイド板を配設してもよい。
【0027】
また、計量部Cw1〜Cw6の計量コンベア1の集合コンベア3とは反対側に、回収容器12が設けられるとともに、計量部Cw7〜Cw12の計量コンベア1の集合コンベア3とは反対側にも、回収容器12が設けられている。
【0028】
本実施形態では、集合コンベア3は、例えば矢印cの方向へ被計量物を搬送する。この場合、例えば矢印cの方向側(図1(b)における右側)に後段装置(図示せず)が設置され、集合コンベア3によって搬送された被計量物は、上記の後段装置へ供給される。
【0029】
装置本体部22は架台21上に取り付けられ、装置本体部22上に集合コンベア3が取り付けられている。また、装置本体部22の側方には支持部材23が取り付けられ、支持部材23に支柱24を介して操作設定表示器4が取り付けられている。また、支持部材23には集合コンベア3の駆動モータ3Mも取り付けられている。
【0030】
また、装置本体部22には、図2に示されたコンベア駆動回路部8a、8b、A/D変換部9、制御部5及びI/O回路部10等が収納されている。
【0031】
また、各計量コンベア1はロードセル等の重量センサ2によって支持されており、この重量センサ2によって計量コンベア1上の被計量物の重量が計量され、その計量値(アナログ重量信号)は、A/D変換部9でデジタル信号に変換され、制御部5に送られる。
【0032】
制御部5は、例えばマイクロコントローラ等によって構成され、CPU等からなる演算制御部6と、RAM及びROM等のメモリからなる記憶部7とを有している。記憶部7には、運転用プログラム、動作パラメータのデータ、計量データ等が記憶される。組合せ手段、計量コンベア制御手段、集合コンベア制御手段及び適量判定手段は制御部5によって構成される。なお、制御部5は、集中制御する単独の制御装置によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置によって構成されていてもよい。
【0033】
制御部5は、演算制御部6が記憶部7に記憶されている運転用プログラムを実行することにより、組合せ秤の全体の制御を行うとともに後述の組合せ処理等を行う。例えば、各計量コンベア1が取り付けられている重量センサ2によって計測される計量値をA/D変換部9を介してデジタル値として随時取得し、必要であれば記憶部7に記憶する。また、コンベア駆動回路部8aを介して各計量コンベア1の駆動動作を制御し、コンベア駆動回路部8bを介して集合コンベア3の駆動動作を制御する。また、I/O回路部10を介して、後段装置(図示せず)から排出命令信号を入力し、後段装置へ排出完了信号を出力する。また、操作設定表示器4から信号が入力されるとともに、操作設定表示器4へ表示するデータ等の信号を出力する。
【0034】
作業者によって搬送停止状態の計量コンベア1へ被計量物が載せられると、制御部5は、各重量センサ2の計量値として得られる各々の計量コンベア1上の被計量物の重量が予め定められた適量範囲内であるか否かを判定し、適量範囲内でない場合には、その計量コンベア1を通常の搬送方向(矢印a、bの方向)とは逆方向に被計量物を搬送(逆搬送)するように駆動させて被計量物を回収容器12へ排出させる。
【0035】
制御部5による組合せ処理について説明する。この組合せ処理では、各重量センサ2の計量値から得られる各計量コンベア1上の被計量物の重量に基づいて組合せ演算を行い、供給されている被計量物の合計重量(組合せ重量)が目標重量範囲(組合せ目標重量に対する許容範囲)内になる計量コンベア1の組合せを全て求め、1つの組合せを排出組合せに決める。ここで、目標重量範囲になる組合せが複数存在する場合には、その複数の組合せのうちの、組合せ重量と組合せ目標重量との差の絶対値が最小である組合せを排出組合せに決める。なお、前述の適量範囲内でない重量の被計量物が供給されている計量コンベア1については組合せ処理の対象とはせず、排出組合せに選択されることがなく、前述のようにその被計量物は回収容器12へ排出される。そして、排出組合せに選択された計量コンベア1上の被計量物は、同排出組合せに選択されている計量コンベア1によって搬送されて集合コンベア3上へ排出される。
【0036】
操作設定表示器4は、例えばタッチスクリーン式のディスプレイ(表示装置)を備え、このディスプレイの画面上で、組合せ秤の運転の開始及び停止等の操作、運転パラメータの設定等を行うことができるとともに、制御部5による組合せ処理の結果(組合せ重量等)をディスプレイ画面上に表示することができる。
【0037】
以上のように構成された本実施形態の組合せ秤の動作について説明する。図3は、本実施形態の組合せ秤の動作の一例を示すフローチャートである。この組合せ秤の動作は制御部5の処理によって実現される。なお、組合せ秤の動作を制御するために必要となる情報等は全て記憶部7に記憶される。被計量物は、例えば、農産物等である。一例を挙げれば、エリンギなどのきのこ類である。
【0038】
作業者は、搬送停止状態で被計量物が載っていない計量コンベア1に被計量物を例えば1個ずつ随時供給する(載せる)作業を行う。図示していないが、制御部5は、A/D変換部9から一定時間間隔で各重量センサ2の計量値を取得し、重量センサ2の計量値に基づいて被計量物が供給されている計量コンベア1を認識するとともにその被計量物の重量値を認識する。ここで、被計量物が供給されている計量コンベア1を認識する際、計量値を予め設定されている載荷検出基準値(例えば6g)と比較し、計量値が載荷検出基準値以上であれば被計量物が供給されていると判定し、載荷検出基準値未満であれば被計量物は供給されていないと判定する。そして、排出組合せに選択されておらず、かつ被計量物が供給されている計量コンベア1上の被計量物の重量が予め定められた適量範囲内であるか否かを判定し、適量範囲内でない場合には、即座にその計量コンベア1を所定時間だけ逆搬送させて被計量物を回収容器12へ排出させる。なお、制御部5には、予め、上記の載荷検出基準値と、適量範囲の上限値及び下限値とが設定され、記憶部7に記憶されている。
【0039】
そして、制御部5は、ステップS1で、後段装置から排出命令信号を入力すると、ステップS2の処理へ進み、前述の組合せ処理を行い、排出組合せを求める。次に、ステップS3では、排出組合せに選択されている計量コンベア1を第1の所定時間駆動して、同計量コンベア1上の被計量物を集合コンベア3へ搬送させるとともに、集合コンベア3を第2の所定時間駆動して計量コンベア1から搬送されてきた被計量物を後段装置へ搬送させる。そして、所定のタイミングで後段装置へ排出完了信号を出力する(ステップS4)。以上の動作が繰り返し行われる。
【0040】
後段装置では、所定のタイミングで排出命令信号を組合せ秤へ出力し、組合せ秤からの排出完了信号を入力すると所定の動作を開始するように構成されている。後段装置としては、例えば被計量物を袋詰めするための給袋式の包装機が配置される場合がある。また、後段装置として、例えば複数のトレー(浅い箱)を環状に連結して間欠的に水平移動させるコンベア装置が配置される場合がある。この場合、集合コンベア3から排出される被計量物が各トレーに供給され、コンベア装置を担当の作業者が各トレーに載っている被計量物を1つのパックに詰める。この場合、コンベア装置は、例えば、トレーを移動させて空のトレーを集合コンベア3の排出口に移動させたときに排出命令信号を組合せ秤へ出力し、排出完了信号を組合せ秤から入力してから所定時間経過後にトレーを移動させて、次の空のトレーを集合コンベア3の排出口に移動させる。
【0041】
本実施形態では、被計量物の重量を計量するための複数の計量部Cw1〜Cw12の各々に計量コンベア1を用い、計量コンベア1の一端から排出される被計量物を集合コンベア3で集めて後段装置へ排出するようにしているので、計量コンベア1と集合コンベア3との段差を小さくでき、排出組合せに選択されている計量コンベア1から排出される被計量物が集合コンベア3上へ乗り移るときの衝撃が少なくなる。そのため、落下時の衝撃等によって壊れやすいあるいは傷つきやすい被計量物であっても損傷することなく計量することができる。
【0042】
また、本実施形態では、集合コンベア3の両側に計量コンベア1を配置することにより、集合コンベア3の長さを短くして被計量物の排出時間を短縮できる。また、組合せ秤のコンパクト化が図れるとともに、作業者が被計量物の供給作業を行いやすい。また、被計量物の供給作業は計量コンベア1上に被計量物を載せるだけなので、従来の組合せ秤のようにホッパへ供給する場合と比べ、熟練していない作業者であっても容易に行うことができる。なお、集合コンベア3の一方の側にのみ計量コンベア1を配置した構成としてもよいが、その場合には所定個数の計量コンベア1を配置するために集合コンベア3の長さが長くなり、被計量物の排出時間も長くなるので、前述のように両側に配置した方が好ましい。
【0043】
また、集合コンベア3に搬送面の中央部が凹んだトラフ型のベルトコンベアを用いているため、両側の計量コンベア1から排出される被計量物を中央に集めて後段装置へ排出することができ、後段装置への被計量物の供給を正確に行うことができる。例えば、後段装置が包装機の場合には袋からはみ出さないように被計量物を入れることができ、後段装置が上記コンベア装置の場合にはトレーからはみ出さないように被計量物を入れることができる。
【0044】
また、本実施形態では、計量コンベア1を逆搬送させて重量が適量範囲内ではない被計量物を回収容器12へ排出することにより、前述のように各計量コンベア1に1個ずつ被計量物を載せる場合には、重量の揃った被計量物のみからなる組合せを排出することができる。また、各計量コンベア1に複数個の被計量物を載せる場合には、高い組合せ計量精度が得られる組合せ選択個数(排出組合せに選択される計量コンベア1の予定個数)に応じた重量範囲となるように適量範囲を設定することにより、目標重量範囲内となる重量の組合せができやすくなり、組合せ演算において目標重量範囲内の組合せが無い状態である組合せ不良が起こる頻度を少なくできる。上記の組合せ選択個数を、計量コンベア1の総数(N)の1/2とすれば、組合せ演算において組合せの数が最も多くなって、目標重量範囲内となる重量の組合せができやすくなり、高い組合せ計量精度が得られる。例えば、組合せ選択個数を(N/2−k)以上で、かつ(N/2+k)以下の範囲(kは1または2等の所定値)とし、適量範囲を、組合せ目標重量÷(N/2+k)の値を下限値とし、組合せ目標重量÷(N/2−k)の値を上限値として設定してもよい。
【0045】
なお、本実施形態では、計量コンベア1を逆搬送させることにより、重量が適量範囲内ではない被計量物を回収容器12へ排出するようにしたが、適量範囲内ではない被計量物を作業者が取り除くように構成してもよい。この場合、適量範囲内ではない被計量物が載せられている計量コンベア1は駆動停止状態を維持させ、同計量コンベア1を作業者に報知する報知手段を設ければよい。この報知手段としては、例えば、各々の計量コンベア1に対応する表示灯を1つずつ設け、制御部5の制御によって、適量範囲内ではない被計量物が載せられている計量コンベア1に対応する表示灯を点灯あるいは点滅させるように構成してもよい。また、適量範囲内ではない被計量物を作業者に報知できれば他の構成であってもよい。
【0046】
なお、本実施形態では、後段装置から排出命令信号が入力されると組合せ処理を行うようにしたが、これに限られない。例えば予め設定された所定時間間隔で組合せ処理を行い、排出命令信号が入力されると、排出組合せに選択されている計量コンベア1及び集合コンベア3を駆動して被計量物を後段装置へ排出するようにしてもよい。組合せ処理に要する時間は10ms程度であり、本実施形態のように排出命令信号が入力されてから組合せ処理を行うようにしても、実際の計量サイクルには殆ど影響しない。また、本実施形態のように排出命令信号が入力されてから組合せ処理を行うようにした方が、組合せ演算に用いられる計量値の個数を多くすることができ、組合せ計量精度を向上させることができる。
【0047】
また、集合コンベア3は、常時駆動させるようにしてもよい。コンベア駆動用のモータは駆動していないと電力を消費しないが、モータの起動時に余分な電力を消費するので、全体として消費電力の少ないように駆動させるのが好ましい。
【0048】
また、本実施形態では、計量コンベア1のコンベアフレーム1Fの下面に駆動モータ1Mを取付け、各重量センサ2が駆動モータ1Mを含む計量コンベア1を支持するように構成したが、各重量センサ2は駆動モータ1Mを除く計量コンベア1を支持するように構成してもよい。この場合、駆動モータ1Mは重量センサ2に支持されない別途部材に取り付けられる。そして、例えば駆動モータ1Mと計量コンベア1の駆動ローラとの連結機構を、駆動させるとき(被計量物の搬送時)にのみ駆動モータ1Mの回転力を計量コンベア1の駆動ローラへ伝達し、駆動停止状態(搬送停止状態)のときには、駆動モータ1Mを計量コンベア1の駆動ローラから物理的に切り離して重量センサ2に駆動モータ1Mによる荷重が負荷されないように構成する。そして、重量センサ2は計量コンベア1が駆動停止状態のときに計量コンベア1上の被計量物の重量を計量するように構成する。以上のように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、落下時の衝撃等によって壊れやすいあるいは傷つきやすい被計量物であっても損傷させることのない組合せ秤等として有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 計量コンベア
2 重量センサ
3 集合コンベア
4 操作設定表示器
5 制御部
図1
図2
図3