(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の外套管には、前記第2の拡縮手段よりも先端側の空間を吸引するためのルーメンであって、前記第2の拡縮手段よりも先端側に開口を有するルーメンが形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の光断層測定用プローブ。
前記第2の外套管には、前記第2の拡縮手段よりも先端側の空間に造影剤を注入するためのルーメンであって、前記第2の拡縮手段よりも先端側に開口を有するルーメンが形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の光断層測定用プローブ。
前記送液用のルーメンは前記第1の外套管の側面であって、前記第1の外套管から前記第1の拡縮手段の周辺領域までの距離が最も大きい方向に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の光断層測定用プローブ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、胆道や膵管のように細径の管腔内にOCTプローブを挿置し、管腔の内壁部の長手軸方向に沿った領域の良好な断層情報を取得するためには、管腔の内壁面に対してOCTプローブを長手軸方向に平行に、かつ、安定的に固定することが望まれている。そのためには、特許文献6のようにOCTプローブを2箇所に設置したバルーンによって固定することが考えられる。
【0010】
しかしながら、特許文献6においては2箇所に設置されるバルーンの大きさについては考慮されておらず、単に2箇所に設置したバルーンによってOCTプローブを管腔内に固定したとしても、管腔の内壁面に対してOCTプローブが平行に固定されるとは限らない。
【0011】
また、OCTプローブ単体では剛性が低く、特に、OCTプローブにバルーンを設置する場合には外径が太くなる。そのため、胆道や膵管等のように細径の管腔内にOCTプローブを挿入する場合に、管腔内にOCTプローブを押し込むための剛性が不足し、OCTプローブを管腔内に挿入することが難しくなるという問題がある。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、管腔の内壁面に対して確実に平行に、かつ、安定的に固定できるようにし、また、胆道や膵管等の細径の管腔内にも容易に挿入できるようにした光断層測定用プローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明は、測定対象の光断層情報を取得するための測定光を導光する導光手段と、前記導光手段の先端に設けられ、前記導光手段により導光された測定光を前記測定対象に向けて出射する光出射手段と、前記導光手段の外側を覆い、少なくとも先端側が光透過性部材で構成された第1の外套管と、前記第1の外套管に設けられた拡縮可能な第1の拡縮手段と、前記第1の外套管を覆うように進退自在に設けられた第2の外套管と、前記第2の外套管に設けられた拡縮可能な第2の拡縮手段と、を備え、前記第2の拡縮手段の拡大時の半径が前記第1の拡縮手段の拡大時の半径と略同一であり、かつ、前記第2の拡縮手段の拡大時における前記第2の拡縮手段に対する前記第2の外套管の中心軸の径方向に関する位置と、前記第1の拡縮手段の拡大時における前記第1の拡縮手段に対する前記第1の外套管の中心軸の径方向に関する位置とが同一であ
り、前記第1の外套管と前記第2の外套管とはそれぞれ前記第1の拡縮手段及び前記第2の拡縮手段の中心軸から偏芯した位置に設けられており、前記第1の外套管の側面であって、前記第1の外套管から前記第1の拡縮手段の周辺領域までの距離が最も大きい方向に前記第1の拡縮手段を駆動するため駆動用ルーメンが設けられていることを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、光断層測定用プローブを挿入した管腔の内壁面に第1の拡縮手段と第2の拡縮手段を押し当てることによってプローブを管腔内に安定的に固定することができる。また、第1の拡縮手段と第2の拡縮手段との拡大時の半径が同一であるため、管腔の内壁面にそれらの拡縮手段を押し当てた際に、管腔を円柱状に矯正することができる。そして、第1の拡縮手段と第2の拡縮手段の各々に対する第1の外套管と第2の外套管の
中心軸の径方向に関する位置を同一としたことで、プローブを挿入した管腔の内壁面(円柱状にした管腔の長手軸)に対してプローブを確実に平行に配置することができ、斜めに走査が行われることを防止する
ことができる。また、第1の外套管を第2の外套管で覆うようにしたのでプローブの剛性が強化され、細径の管腔に対してプローブを挿入することが容易となる。
【0015】
本発明は、前記第1の外套管と前記第2の外套管とはそれぞれ前記第1の拡縮手段及び前記第2の拡縮手段の中心軸から偏芯した位置に設けられており、前記第1の外套管の側面であって、前記第1の外套管から前記第1の拡縮手段の周辺領域までの距離が最も大きい方向に前記第1の拡縮手段を駆動するため駆動用ルーメンが設けられている態様が可能である。
【0016】
本発明によれば、第1の外套管から第1の拡縮手段の周辺領域までの距離が大きい方向ほど、測定対象としての重要度が低いと考えられるため、その方向に第1の拡縮手段を駆動するためのルーメンを設けることによってルーメンによる測定への影響が軽減されている。
【0017】
本発明は、前記第2の外套管には、前記第1の拡縮手段を内部に収容する収容部が設けられたことが好ましい。本発明によれば、プローブを目的の管腔内に挿入する際に、第1の拡縮手段を第2の外套管の内部に収容した状態にしておくことによって、第2の拡縮手段のみを外部に露出した状態にすることができ、管腔内へのプローブの挿入が第1の拡縮手段により阻害されることが軽減される。
【0018】
本発明は、前記第2の外套管には、前記第2の拡縮手段よりも先端側の空間を吸引するためのルーメンであって、前記第2の拡縮手段よりも先端側に開口を有するルーメンが形成されたことが好ましい。本発明によれば、プローブを目的の管腔内に挿入し、第1の外套管の第1の拡縮手段を第2の外套管の第2の拡縮手段よりも前方に配置して第1及び第2の拡縮手段を拡大させ、第1及び第2の拡縮手段を管腔の内壁面に押圧させて測定を行う際に、第1の拡縮手段と第2の拡縮手段との間の空間を吸引することができ、それによって、管腔の内壁を第1の外套管に吸着固定した状態で測定を行うことができる。
【0019】
本発明は、前記第2の外套管には、前記第2の拡縮手段よりも先端側の空間に造影剤を注入するためのルーメンであって、前記第2の拡縮手段よりも先端側に開口を有するルーメンが形成されたことが好ましい。本発明によれば、プローブを目的の管腔内に挿入し、第1の外套管の第1の拡縮手段を第2の外套管の第2の拡縮手段よりも前方に配置して第1及び第2の拡縮手段を拡大させ、第1及び第2の拡縮手段を管腔の内壁に押圧させて測定を行う際に、第1の拡縮手段と第2の拡縮手段との間の空間に造影剤を注入することができ、それによって、第1の拡縮手段と第2の拡縮手段との間の測定領域における管腔を強調した画像を撮影することができる。
【0020】
本発明は、前記第1の外套管は前記第1の拡縮手段よりも基端側に開口する送液用のルーメンを有することが好ましい。本発明によれば、第1の外套管のルーメンを通じて第1の拡縮手段と第2の拡縮手段との間に所望の液体を供給することができる。
【0021】
本発明は、前記送液用のルーメンは前記第1の外套管の側面であって、前記第1の外套管から前記第1の拡縮手段の周辺領域までの距離が最も大きい方向に設けられていることが好ましい。本発明によれば、第1の外套管から第1の拡縮手段の周辺領域までの距離が大きい方向ほど、測定対象としての重要度が低いと考えられるため、その方向に送液用のルーメンを設けるようにしたものである。
【0022】
本発明は、前記第2の外套管は前記第1の外套管よりも剛性が高いことが好ましい。第2の外套管によってプローブの剛性をより高くすることができるため、プローブに拡縮手段を設置した場合であっても細径の管腔内にプローブを挿入し易くすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、光断層測定用プローブを管腔の内壁面に対して確実に平行に、かつ、安定的に固定することができ、また、胆道や膵管等の細径の管腔内にも容易に挿入することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る光断層測定用プローブを実施するための最良の形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明に係る光プローブが使用される光断層画像化装置の一実施の形態の全体構成を示すブロック図である。
【0027】
同図に示す光断層画像化装置は、光干渉断層(OCT:Optical Coherence Tomography)計測法により測定対象Sの光断層画像を取得する装置であり、被検体の体腔内に挿入されて、測定部位(測定対象S)に測定光L1を照射し、測定対象Sからの戻り光L3(後方散乱光)を取り込むOCTプローブ装置10と、測定光L3を生成してOCTプローブ装置10に射出し、また、OCTプローブ装置10から戻り光L3を受入して測定対象Sの断層情報を取得して断層画像を生成するOCTプロセッサ12と、OCTプロセッサ12の断層画像の表示等を行うモニタ装置14等から構成されている。
【0028】
OCTプロセッサ12は、主として、光源ユニット20、光ファイバカプラ22、28、サーキュレータ24、26、干渉光検出部50、処理部54、制御操作部56等を備えている。
【0029】
光源ユニット20は、OCTの測定のための光(例えば、波長1.3μmのレーザ光あるいは低コヒーレンス光)を発生させるものであり、レーザ光あるいは低コヒーレンス光Laを生成する光源20aと、光源20aから射出された光Laを集光するレンズ20bとを備えている。この光源ユニット20から射出された光Laは、光ファイバFB4によって光ファイバカプラ22に導波される。
【0030】
光ファイバカプラ22は、光ファイバFB3、FB4、FB5に光学的に接続されており、光源ユニット20から光ファイバカプラ22に導波された光Laは、この光ファイバカプラ22により測定光L1と参照光L2に分割され、測定光L1は光ファイバFB3に入射してサーキュレータ24に導波され、参照光L2は光ファイバFB5に入射してサーキュレータ26に導波される。
【0031】
サーキュレータ24は、光ファイバFB3、固定側光ファイバFB2、光ファイバFB3、FB10に光学的に接続されており、光ファイバカプラ22からサーキュレータ24に導波された測定光L1は、固定側光ファイバFB2に入射してOCTプローブ装置10の光ロータリージョイント60に導波される。
【0032】
光ロータリージョイント60は、固定側光ファイバFB2とOCTプローブ装置10の回転側光ファイバFB1に光学的に接続されており、この光ロータリージョイント60により固定側光ファイバFB2に対して回転側光ファイバFB1が回動可能に光学的に接続されている。
【0033】
サーキュレータ24から光ロータリージョイント60に導波された測定光L1は、回転側光ファイバFB1に入射し、光ファイバFB1の先端に具備されている光出射部62(後述の光学レンズ82)に導波される。光出射部62に導波された測定光L1は、光出射部62から出射されて測定対象Sに照射される。なお、光出射部62からの測定光L1の出射方向は、OCTプローブ装置10の長手軸(回転側光ファイバFB1の光軸)に対して所定角度傾斜した方向(本実施の形態では略直交する方向)となっている。
【0034】
また、光出射部62から測定対象Sに照射された測定光L1が後方散乱(反射)により測定対象Sから戻された戻り光L3が光出射部62から回転側光ファイバFB1に入射し、光ロータリージョイント60に導波される。光ロータリージョイント60に導波された戻り光L3は、固定側光ファイバFB2に入射し、サーキュレータ24に導波される。そして、光ロータリージョイント60からサーキュレータ24に導波された戻り光L3は、光ファイバFB10に入射し、光ファイバカプラ28に導波される。
【0035】
一方、光ファイバカプラ22により分割されてサーキュレータ26に導波された参照光L2は、光ファイバFB6に入射し、光路長調整部30に導波される。
【0036】
光路長調整部30は、サーキュレータ26から導波された参照光L2の光路長を調整するもので、第1光学レンズ32a、第2光学レンズ32b、反射ミラー32c、基台34、ミラー移動機構36を有している。
【0037】
第1光学レンズ32aは、その焦点位置に光ファイバFB6の端部が配置されており、光ファイバFB6の端部から出射された参照光L2は第1光学レンズ32aにより平行光にされた後、第2光学レンズ32bにより集光されて第2光学レンズ32bの焦点位置に配置された反射ミラー32cに入射する。反射ミラー32cに入射した参照光L2は、反射ミラー32cで反射して、第2光学レンズ32bで平行光にされた後、第1光学レンズ32aにより集光されて光ファイバFB6の端部から光ファイバFB6に入射し、サーキュレータ26に導波される。
【0038】
また、第2光学レンズ32b及び反射ミラー32cは、基台34に固定されており、基台34はミラー移動機構36により第1光学レンズ32a及び第2光学レンズ32bの光軸方向(矢印A方向)に移動するようになっている。これにより、第1光学レンズ32aと第2光学レンズ32bとの間隔を変更して参照光L2の光路長を変更することができるようになっている。
【0039】
光路長調整部30を通過してサーキュレータ26に戻された参照光L2は、光ファイバFB7に入射し、光ファイバカプラ28に導波される。
【0040】
光ファイバカプラ28は、光ファイバFB7、FB8、FB9、FB10に光学的に接続されており、サーキュレータ26から光ファイバカプラ28に導波された参照光L2と、サーキュレータ24から光ファイバカプラ28に導波された戻り光L3とが合波されて干渉光が生成される。そして、光ファイバカプラ28で生成された干渉光は、2つの干渉光L4、L5に分割され、干渉光L4は、光ファイバFB8に入射して検出器30aに導波され、干渉光L5は、光ファイバFB9に入射して検出器30bに導波される。
【0041】
検出器30a、30bに導波された干渉光L4、L5は、各々、検出器30a、30bによりそれらの光強度に応じた電気信号に変換され、干渉光検出部50に伝送される。
【0042】
干渉光検出部50は、検出器30a及び検出器30bから伝送された信号に基づいて、干渉光L4と干渉光L5の強度のバランスを調整し、例えばヘテロダイン検波により干渉光L4の光強度を干渉信号として検出する。そして、検出した干渉信号を処理部54に出力する。
【0043】
処理部54は、干渉光検出部50により検出された干渉信号から断層情報を取得する。詳細は省略するが、測定光L1の全光路長と戻り光L3の全光路長との合計が参照光L2の全光路長と等しいときに、参照光L2と戻り光L3との差周波数で強弱を繰り返すビート信号が干渉信号で発生する。一方、光路長調整部30におけるミラー移動機構36により基台34の位置を動かし、参照光L2の光路長を変更していくことにより、測定対象Sの深さ方向(OCTプローブ装置10の光出射部62からの測定光L1の出射方向)に対する測定位置が変わってゆき、各測定位置における複数のビート信号が検出される。従って、光路長調整部30の基台34の位置と、干渉光検出部50により検出された干渉信号(ビート信号)とに基づいて、測定対象Sの深さ方向に対する各測定位置からの戻り光L3の強度が断層情報として取得される。
【0044】
なお、光出射部62をOCTプローブ装置10(プローブ挿入部70)の長手軸周りに回転させて測定光L1をラジアル走査させながら断層情報を取得することにより、長手軸に対して略直交する断面における測定対象Sの全周方向の断層情報を取得することができ、光出射部62を長手軸方向に移動させて測定光L1をリニア走査させながら断層情報を取得することにより、長手軸に沿った断面における測定対象Sの断層情報を取得することができる。また、ラジアル走査とリニア走査を並行して(同時又は交互に)行う、例えば、スパイラル走査によって長手軸周りの3次元的な領域における測定対象Sの断層情報(3次元ボリュームデータ)を取得することができる。
【0045】
処理部54は、このようにして取得した断層情報を可視化して断層画像等を生成し、モニタ装置14に出力表示し、又は、データとして記憶保存する。
【0046】
制御操作部56は、キーボード、マウス等の入力手段と、入力された情報に基づいて各種情報を管理する制御手段とを有し、処理部54に接続されている。制御操作部56は、入力手段から入力されたオペレータの指示に基づいて、処理部54における各種処理条件等の入力、設定、変更等を行う。
【0047】
なお、制御操作部56において指示入力を行うための操作画面は、モニタ装置14に表示させるようにしてもよいし、モニタ装置14以外の表示部を設けてその表示部に表示させるようにしてもよい。
【0048】
また、上記のOCTプロセッサ12は、OCT計測法として、TD−OCT(Time domain OCT)計測を利用したものであるが、これに限らず、SS−OCT(Swept source OCT)計測法、又は、SD−OCT(Spectral Domain OCT)計測法を利用したものであってもよい。
【0049】
次に、OCTプローブ装置10の詳細について説明する。
図2は、OCTプローブ装置10の全体の外観を示した側面図であり、
図3は、OCTプローブ装置10を長手軸に沿って切断すると共に後述の外側シースを取り外した状態を示した側方断面図である。
【0050】
図2、
図3に示すように、OCTプローブ装置10は、体腔内に挿入されるプローブ挿入部70と、プローブ挿入部70の基端側に取り付けられ、OCTプロセッサ12に固定側光ファイバFB2により光学的に接続されるプローブ駆動部72とを有している。
【0051】
プローブ挿入部70は、
図2に示すように第1プローブ外筒(内側シース)74と内側シース74の外周に被嵌された第2プローブ外筒(外側シース)150とを備えている。
【0052】
内側シース74は、可撓性を有する長筒状部材であり、測定光L1及び戻り光L3が透過する材料で形成されている。内側シース74には、
図3に示すように長手軸方向に貫通する管腔(主ルーメン84)が形成され、内側シース74の先端には主ルーメン84の先端開口を閉塞するキャップ76が取り付けられている。なお、キャップ76の外径は、内側シース74の外径よりも細くなっている。
【0053】
主ルーメン84内には、固定側光ファイバFB2に光ロータリージョイント60を介して接続された回転側光ファイバFB1が内側シース74の基端側から挿入されて配置されている。
【0054】
回転側光ファイバFB1は、外周部がバネ(フレキシブルシャフト)78により被覆されており、先端部に上記光出射部62を構成する光学レンズ82が固定部材80により固定されている。
【0055】
この回転側光ファイバFB1により、固定側光ファイバFB2から光ロータリージョイント60を介して回転側光ファイバFB1に入射した測定光L1が、光学レンズ82まで導波される。一方、光学レンズ82から取り込まれた測定対象Sからの戻り光L3が回転側光ファイバFB1により光ロータリージョイント60まで導波され、光ロータリージョイント60を介して固定側光ファイバFB2に入射する。
【0056】
光学レンズ82は、先端部が略半球状の形状で形成されており、回転側光ファイバFB1の先端から出射された測定光L1を偏向すると共に集光させる。この光学レンズ82により、回転側光ファイバFB1の先端部から出射された測定光L1が、プローブ挿入部70の長手軸(回転側光ファイバFB1の光軸)に対して略直交する方向に出射されると共に集光され、内側シース74を透過して測定対象Sに照射される。また、その測定光L1が照射された測定対象Sからの後方散乱光が戻り光L3として内側シース74を透過して光学レンズ82から取り込まれて集光され、回転側光ファイバFB1にその先端部から入射する。なお、後述のように測定時には外側シース150は、基端側の位置に退避し、測定光L1や戻り光L3を遮断しない位置に設定される。
【0057】
また、キャップ76の外周面には拡縮可能(膨縮可能)な円環状の第1バルーン86が取り付けられており、内側シース74の側壁部には、第1バルーン86の内部空間に連通する給排用ルーメン88が長手軸方向に形成されている。給排用ルーメン88の基端側は、バルーン制御装置200に接続されている。これにより、バルーン制御装置200から送出された流体(気体又は液体)が給排用ルーメン88を介して第1バルーン86内に注入されて第1バルーン86が拡大(膨張)し、また、第1バルーン86内の流体が給排用ルーメン88を介してバルーン制御装置200に排出されて第1バルーン86が収縮するようになっている。
【0058】
内側シース74に被嵌される
図2に示した外側シース150は、可撓性を有する長筒状部材であり、
図3に示すように長手軸方向に貫通する管腔(主ルーメン152)が形成されている。なお、外側シース150はその厚み又は材料によって内側シース74よりも剛性が高いことが望ましい。主ルーメン152には、内側シース74が挿通されて内側シース74の外周に外側シース150が被嵌され、内側シース74に対して外側シース150が長手軸方向に移動可能な状態で具備されている。
【0059】
また、外側シース150の先端側の外周面には、拡縮可能な円環状の第2バルーン154が取り付けられており、外側シース150の側壁部には、第2バルーン154の内部空間に連通する給排用ルーメン156が長手軸方向に形成されている。給排用ルーメン156の基端側はバルーン制御装置200に接続されている。これにより、バルーン制御装置200から送出された流体(気体又は液体)が給排用ルーメン156を介して第2バルーン154内に注入されて第2バルーン154が拡大し、また、第2バルーン154内の流体が給排用ルーメン156を介してバルーン制御装置200に排出されて第1バルーン86が収縮するようになっている。
【0060】
プローブ挿入部70の基端側に設けられる
図2に示したプローブ駆動部72は、ケース100により全体が覆われており、
図3に示すようにケース100内に固定された固定部材101(又はケース100自体)にプローブ挿入部70の内側シース74の基端部が固定されている。
【0061】
プローブ駆動部72のケース100の内部には、上記の光ロータリージョイント60が収容されており、光ロータリージョイント60は、固定筒104と回転筒106とから構成されている。
【0062】
固定筒104は、ケース100に対して回動不能に支持されたフレーム102に固定されており、固定筒104の基端側には固定側光ファイバFB2が取り付けられている。
【0063】
回転筒106は、固定筒104に回動可能に支持されており、その回転筒106の先端側には、回転側光ファイバFB1及びフレキシブルシャフト78が取り付けられている。
【0064】
詳細は省略するが、固定筒104と回転筒106とは、内部の中空部が連通しており、固定側光ファイバFB2と回転側光ファイバFB1とが、その中空部を通じて光学的に接続されている。これにより、固定筒104に対して回転筒106が回転することで、固定側光ファイバFB2に対して回転側光ファイバFB1が光学的に接続された状態で内側シース74内で回転するようになっている。
【0065】
回転筒106には、ギア(ギア列)108を介してフレーム102に固定されたモータ110の回転軸が連結されており、モータ110を駆動することにより回転筒106が回転するようになっている。これにより、モータ110により回転側光ファイバFB1及びフレキシブルシャフト78が回転し、これに連動して光学レンズ82が内側シース74内部で回転してラジアル走査が行われるようになっている。
【0066】
また、フレーム102には、支持部材112が突設されており、支持部材112には、図示しないネジ孔が形成されている。ネジ孔には進退移動用ボールネジ114が螺合されており、進退移動用ボールネジ114にはケース100に対して固定されたモータ116の回転軸が連結されている。
【0067】
従って、モータ116を駆動させることにより、ケース100に対してフレーム102が進退移動し、光ロータリージョイント60がその光軸方向に進退移動する。そして、ケース100に対して光ロータリージョイント60が進退移動することにより、内側シース74に対して回転側光ファイバFB1及びフレキシブルシャフト78が回転側光ファイバFB1の光軸方向(プローブ挿入部70の長手軸方向)に進退移動し、回転側光ファイバFB1の先端に取り付けられた光学レンズ82が内側シース74内部で進退移動してリニア走査が行われるようになっている。
【0068】
次に、上記のOCTプローブ装置10の作用について、胆管(総胆管)の内壁部の測定(断層情報の取得)を行う場合を例に説明する。
【0069】
プローブ挿入部70を胆管内に挿置して測定を行う場合、例えば、
図4に示すように側視型の内視鏡の挿入部260を患者の口から挿入し、十二指腸のファーター乳頭が挿入部260の先端の側方に配置された観察窓から観察される位置まで挿入する。続いて、内視鏡の挿入部260内を挿通する処置具挿通チャンネルにプローブ挿入部70を挿通させ、挿入部260の側方に向けて開口されている処置具導出口からプローブ挿入部70を導出させてファーター乳頭から胆管内に挿入する。そして、胆管内の所望の測定部位までプローブ挿入部70を挿入する。
【0070】
このようにプローブ挿入部70を胆管内の所望の測定部位まで挿入する際(プローブ挿入時)におけるプローブ挿入部70の主要構成部材の状態を
図6の側方断面図に示す。同図に示すように、プローブ挿入時においては、外側シース150の先端を内側シース74の先端よりも前方に突出させ、内側シース74(キャップ76)に保持された第1バルーン86を外側シース150で被覆した状態、すなわち、外側シース150の主ルーメン152内に第1バルーン86を収容した状態にする。なお、同図のようにキャップ76の先細りの先端部分は、外側シース150の先端よりも前方に突出させた状態とすることが望ましい。また、バルーン制御装置200により第1バルーン86を拡大させ、外側シース150の側壁部の内周面に第1バルーンの外周面を押圧させて内側シース74に対して外側シース150を固定した状態にする。
【0071】
これにより、第1バルーン86と第2バルーン154の2つのバルーンのうち、1つのバルーンのみが外部に露出された状態となるため、2つのバルーンが外部に露出している場合と比較して、プローブ挿入部70を細径の胆管内に挿入する操作が容易となる。また、外側シース150と内側シース74(及び内側シース74内の内容物)を一体物として測定部位まで挿入することができ、例えば、外側シース150を処置具挿通チャンネルに押し込むことによって、内側シース74も外側シース150との位置関係を維持しながら外側シース150と共に胆管内に挿入されるため、プローブ挿入部70の胆管内への挿入操作が容易となる。なお、測定終了後におけるプローブ挿入部70の測定部位からの抜き取りもプローブ挿入時と同様の状態で行うことができる。
【0072】
プローブ挿入部70を
図4に示したように胆管内の所望の測定部位まで挿入すると、次に、プローブ挿入部70を
図5に示す測定時の状態にして測定を行う。
図7は、測定時におけるプローブ挿入部70の主要構成部の状態を示した側方断面図である。
図5、
図7に示すように、測定時においては、内側シース74の先端を外側シース150の先端よりも前方に突出させ、内側シース74の先端から基端側への所定長さ分の範囲を測定可能な測定領域(スキャン領域)160として外側シース150の先端よりも前方に露出させた状態にする。また、バルーン制御装置00により第1バルーン86及び第2バルーン154を拡大させ、胆管の内壁面に第1バルーン86及び第2バルーン154の外周面を押圧させて係止させた状態にする。これにより、内側シース74の先端部分と外側シース150の先端部分を胆管内の中央付近(胆管の中心軸付近)に固定することができ、測定領域160の範囲を全体に渡って胆管内の中央付近に固定することができる。
【0073】
ここで、プローブ挿入部70を
図4、
図6のようにプローブ挿入時の状態から
図5、
図7のように測定時の状態に移行する際の操作方法について説明する。第1の方法として、
図4のようにプローブ挿入部70をプローブ挿入時の状態で胆管内の所望の測定部位まで挿入する際に、測定部位とする領域の奥側端部まで内側シース74の先端を挿入する。この後、バルーン制御装置200により第1バルーン86を一旦収縮させ、内側シース74に対して外側シース150を長手軸方向に進退移動可能な状態にする。次に、内側シース74に対して外側シース150を基端側に移動させ、内側シース74の先端から基端側への所定長さ分の範囲、即ち、測定領域(スキャン領域)160の範囲を外側シース150の先端側に露出させる。そして、バルーン制御装置200により第1バルーン86及び第2バルーン154を拡大させ、胆管の内壁面に第1バルーン86及び第2バルーン154の外周面を押圧させる。これによって、
図5、
図7のようにプローブ挿入部70を測定時の状態に移行させることができる。
【0074】
第2の方法として、
図4のようにプローブ挿入部70をプローブ挿入時の状態で胆管内の所望の測定部位まで挿入する際に、測定部位とする領域の手前側端部まで外側シース150の先端を挿入する。この後、バルーン制御装置200により第2バルーン154を拡大させ、胆管の内壁面に第2バルーン154の外周面を押圧させた状態にする。これにより、外側シース150の先端部分を胆管内に固定する。次に、バルーン制御装置200により第1バルーン86を一旦収縮させ、外側シース150に対して内側シース74を長手軸方向に進退移動可能な状態にする。続いて、外側シース150に対して内側シース74を先端側に移動させ、内側シース74の先端から基端側への所定長さ分の範囲、即ち、測定領域(スキャン領域)160の範囲を外側シース150の先端側に露出させる。そして、バルーン制御装置200により第1バルーン86を拡大させ、胆管の内壁面に第1バルーン86外周面を押圧させる。これによって、
図5、
図7のようにプローブ挿入部70を測定時の状態に移行させることができる。
【0075】
なお、第1の方法、第2の方法のいずれにおいても第1バルーン86及び第2バルーン154を拡大させて胆管の内壁面に押圧させた後、内側シース74を前方側に移動させることによって、又は、外側シース150を基端側に移動させることによって、胆管の内壁面の皺などを伸ばすことができる。
【0076】
以上のようにしてプローブ挿入部70を測定時の状態にした後、内側シース74内の光学レンズ82をプローブ駆動部72により駆動し、測定領域160の範囲でラジアル走査やリニア走査、又は、これらの両方の走査を並行して行うことによって測定を行い、管腔の内壁部の断層情報を取得する。このとき、光学レンズ82を測定領域160の範囲内で回転させてラジアル走査を行うことにより、胆管の中心軸周りの全周(360度範囲)に渡って、深さ方向(径方向)に略均等な長さ分の胆管の側壁部の断層情報を一度に取得することができる。また、測定領域160の範囲内において、光学レンズ82を進退移動させてラジアル走査とリニア走査とを並行して行うことによって胆管の中心軸を軸とした略円柱領域の断層情報を3次元ボリュームデータとして取得することもできる。
【0077】
なお、上記説明ではプローブ挿入部70を胆管に挿入して測定を行う場合について説明したが、胆道や膵管などの任意の部位の管腔に対しても上記説明と同様にしてプローブ挿入部70を挿入して測定を行うことができる。
【0078】
次に、上記プローブ挿入部70に適用可能な付加的な構成について説明する。
【0079】
図6、
図7に示すように、内側シース74の側壁部の外周面に、プローブ挿入時(
図6)における外側シース150の基端の位置を示すマーク170と、測定時(
図7)における外側シース150の基端の位置を示すマーク172を印しておくようにすると、プローブ挿入部70を体腔内に挿入している場合でも基端側のマーク170を参照して
図6のようなプローブ挿入時の状態に容易に設定することができる。また、マーク172を参照することにより、測定領域160を予め決められた長さに設定することができる。マーク172は複数の位置に設けておき、測定領域160の長さを予め決められた複数の異なる長さの中から所望の長さを選択できるようにしてもよい。
【0080】
また、図では省略するが、内側シース74の外周面等において、測定領域160の長手軸方向の両端となる位置にX線の透過率が低いX線マーカを設けておき、X線撮影を行うことにより、X線画像に造影されるX線マーカの位置から測定領域160を判断できるようにして良い。また、測定領域160の長手軸方向の長さを任意に設定できるようにする場合に、内側シース74の先端側(測定領域160の先端側)となる位置と、外側シース150の先端にX線マーカを設けるようにしてもよい。
【0081】
また、
図8(A)〜(C)のプローブ挿入部70の測定時の状態を示した斜視図に示すように外側シース150の側壁部に吸引用のルーメン180や造影剤注入用のルーメン182を長手軸方向に沿って形成すると共に、外側シース150の側壁部の先端面等(少なくとも第2バルーン154よりも先端側)にそれらのルーメン180、182の先端側の開口を設け、ルーメン180、182の基端側の開口に吸引具や造影剤注入具を接続できるようにしてもよい。ルーメン180、182は1つのルーメンを吸引用のルーメンと造影剤注入用のルーメンとして適宜使い分けるようにしたものであってもよい。これによれば、
図5、
図7と同様に
図8(A)のようにプローブ挿入部70を挿入時の状態にした後、吸引用のルーメン180を介して吸引具により第1バルーン86と第2バルーン154の間の空間部の気体(又は液体)を吸引することができ、それによって、
図8(B)のように測定領域160における生体(測定対象S)の壁面を内側シース74の外周面に吸着固定させて測定を行うことができる。
【0082】
また、
図8(A)のようにプローブ挿入部70を挿入時の状態にした後、造影剤注入用のルーメン182を介して造影剤注入具により第1バルーン86と第2バルーン154の間の空間部に
図3のように造影剤Pを注入し、X線撮影を行うことによって、測定領域160の範囲の胆膵管等の管腔を造影して可視化することができ、例えば管腔に狭窄部位190が生じていれば容易にそれを検知することができる。
【0083】
なお、上記用途のルーメン以外に例えば液体や気体を供給するための送液用や送気用、又は、その他の用途のルーメンを上記ルーメン180、182と同様に外側シース150の側壁部に設けても良い。また、上記の吸引用、造影剤注入用、送液用、送気用等のルーメンは、外側シース150ではなく内側シース74に形成することも可能であり、その場合に、ルーメンの先端側の開口を第1バルーン86よりも基端側に設けて、第1バルーン86と第2バルーン154との間の空間部に連通させるようにすることができる。
【0084】
次に、上記プローブ挿入部70の第1バルーン86及び第2バルーン154の詳細な形態について説明する。
【0085】
図9は、上記プローブ挿入部70を長手軸に直交する方向に切断した正面断面図であり、
図5、
図7のように内側シース74の先端を外側シース150の先端よりも前方に突出させて第1バルーン86及び第2バルーン154を拡大させた測定時の状態に対して、同図(A)は第1バルーン86の位置での正面断面図を示し、同図(B)は第2バルーン154の位置での正面断面図を示している。なお、第1シース74内の内容物は省略されている。
【0086】
上述のように、内側シース74(先端のキャップ76)と外側シース150の各々に取り付けられる第1バルーン86と第2バルーン154はいずれも円環状に拡大し、プローブ挿入部70を挿入した管腔の内壁面に当接する外周面(外周側の環状面)250、252が略円形となる断面形状を有している。そして、それらの中心軸254、256の位置は、各々、
図9(A)、(B)に示すように内側シース74の中心軸(長手軸)の位置と外側シース150の中心軸(長手軸)の位置と略一致している。なお、内側シース74の中心軸と外側シース150の中心軸とは略同軸上に配置されるため、いずれの中心軸もプローブ挿入部74の中心軸(長手軸)260として表すものとする。
【0087】
即ち、第1バルーン86を拡大させた際に、第1バルーン86の外周面250は、プローブ挿入部74(内側シース74)の中心軸260を中心にして全周方向に等方的に拡大し、
図9(A)の断面上において、中心軸260を中心とした所定半径rの円を形成する。第2バルーン154についても同様に、第2バルーン154を拡大させた際に、第2バルーン154の外周面252は、プローブ挿入部74(外側シース150)の中心軸260を中心にして全周方向に等方的に拡大し、
図9(B)の断面上において、中心軸260を中心とした所定半径rの円を形成する。
【0088】
また、第1バルーン86と第2バルーン154を最大に拡大させた場合に、それらの外周面250、252は略円柱面状の形状を形成し、それらの円柱面状の外周面250、252の半径rが第1バルーン86と第2バルーン154とで略一致している。即ち、第1バルーン86と第2バルーン154の外周面250、252の半径が一致する大きさとなるように第1バルーン86と第2バルーン154を拡大させることができるようになっている。
【0089】
この
図9の形態のプローブ挿入部70によれば、
図5、
図7に示した測定時の状態において、第1バルーン86の中心軸254と第2バルーン154の中心軸256とが同軸上(プローブ挿入部74の中心軸260上)に配置されることになり、管腔の内壁面において、第1バルーン86と第2バルーン154の各々により押圧される部位の間の範囲、即ち、プローブ挿入部70の測定領域(スキャン領域)160(
図5、
図7参照)に対向する範囲が略円柱面状(管腔自体は円柱状)に矯正される。
【0090】
また、第1バルーン86に対する内側シース74の中心軸254の径方向に関する位置と、第2バルーン154に対する外側シース150の中心軸256の径方向に関する位置とが略一致しているため、即ち、拡大した第1バルーン86と第2バルーン154により管腔内に固定された内側シース74と外側シース150の各々の中心軸がプローブ挿入部70の中心軸260として同軸上に配置されるため、また、そのプローブ挿入部70の中心軸260が第1バルーン86と第2プローブ挿入部70の中心軸254、256の位置に配置されるため、プローブ挿入部70の測定領域160の範囲が、円柱状に矯正された管腔の中央付近に固定されると共に、管腔の中心軸と略平行(内壁面と略平行)に固定される。従って、プローブ挿入部70の測定領域160に対向する範囲(中心軸260周りの全周方向の範囲)の測定データを良好に取得することができる。
【0091】
図9の形態に対して、
図10は、第1バルーン86及び第2バルーン154に対するプローブ挿入部70の中心軸260の径方向に関する位置を中心からずらして第1バルーン86及び第2バルーン154の中心軸254、256から偏芯させた位置でプローブ挿入部70を管腔内に固定する形態を示し、
図10(A)、(B)は、各々、
図9(A)、(B)に対応した正面断面図であり、
図9と同一又は類似の構成部には
図9と同一符号を付している。
【0092】
図10(A)、(B)に示すように第1バルーン86と第2バルーン154はいずれも
図9の形態と同様にプローブ挿入部70を挿入した管腔の内壁に当接する外周面250、252が略円形となる断面形状を有している。そして、それらの中心軸254、256の位置が、各々、プローブ挿入部70の中心軸260(内側シース74及び外側シース150の中心軸)の位置と異なっている。即ち、第1バルーン86を拡大させた際に、第1バルーン86の外周面250は、
図10(A)の断面上において、プローブ挿入部70(内側シース74)の中心軸260から偏倚した位置を中心とした所定半径rの円を形成する。第2バルーン154についても同様に、第2バルーン154を拡大させた際に、
図10(B)の断面上において、プローブ挿入部70(外側シース150)の中心軸260から偏倚した位置を中心とした所定半径rの円を形成する。
【0093】
また、第1バルーン86と第2バルーン154を最大に拡大させた場合に、それらの外周面250、252は略円柱面状の形状を形成し、それらの円柱面状の外周面250、252の半径rが第1バルーン86と第2バルーン154とで略一致し、且つ、第1バルーン86に対するプローブ挿入部70(内側シース74)の中心軸260の径方向に関する位置と、第2バルーン154に対するプローブ挿入部70(外側シース150)の中心軸260の径方向に関する位置とが略一致している。
【0094】
この
図10の形態のプローブ挿入部70によれば、
図5、
図7に示した測定時の状態において、
図9の形態と同様に第1バルーン86の中心軸254と第2バルーン154の中心軸256とが同軸上に配置されることになり、
図9の形態と同様に管腔の内壁面において、プローブ挿入部70の測定領域(スキャン領域)160に対向する範囲が略円柱面状(管腔自体は円柱状)に矯正される。
【0095】
また、第1バルーン86に対するプローブ挿入部70(内側シース74)の中心軸260の径方向に関する位置と、第2バルーン154に対するプローブ挿入部70(外側シース150)の中心軸260の径方向の位置とが略一致しているため、即ち、拡大した第1バルーン86と第2バルーン154により管腔内に固定された内側シース74と外側シース150の各々の中心軸が第1バルーン86と第2バルーン154の中心軸254、256とは異なる位置において同軸上に配置されるため、プローブ挿入部70の少なくとも測定領域160の範囲が、円柱状に矯正された管腔の中央から偏倚した位置において管腔の中心軸と略平行(内壁面と略平行)に固定される。従って、管腔の中心軸周りの全周方向を測定対象範囲とするのではなく、所定角度方向及びその近傍角度の限られた範囲を測定対象範囲とする場合には、第1バルーン86及び第2バルーン154の中心軸254、256に対してプローブ挿入部70の中心軸260をその測定対象範囲の角度方向に偏倚させた状態(プローブ挿入部70を測定対象範囲に近づけた状態)で固定すれば、測定対象範囲に関する良好な測定データが得られる。
【0096】
なお、
図10の形態の場合に、第1バルーン86及び第2バルーン154の中心軸254、256に対してプローブ挿入部70の中心軸260を偏倚させた方向とは反対方向、即ち、プローブ挿入部70の中心軸260から第1バルーン86及び第2バルーン154の外周面250、252までの距離が最も大きくなる方向に関する測定は重要度が低いと考えられるため、その方向又はその近傍となる方向の内側シース74の側壁部に第1バルーン86内の流体を供給又は排出する給排用ルーメン88(
図10(B)参照)やその他のルーメン(内側シース74に設けるようにした場合の
図8で示した吸引用、造影剤注入用、送液用、送気用等のルーメン)を設けるようにすると好適である。また、上記形態では、内側シース74に対する外側シース150の中心軸周りの回転を規制する手段は特に設けられておらず、自由に回転させることが可能となっているが、第1バルーン86に対する内側シース74の中心軸の径方向に関する位置と、第2バルーン154に対する外側シース150の中心軸の径方向の位置とを略一致させた状態とするために(第1バルーン86の中心軸254と第2バルーン154の中心軸256を同軸上の位置とするために、例えば、内側シース74と外側シース150の基端側に位置合わせ用のマークを設けても良いし、内側シース74に対して外側シース150の中心軸周りの回転位置を規制する規制手段を設けてもよい。