特許第5939774号(P5939774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939774
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】直管形LED照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20160609BHJP
   F21K 9/27 20160101ALI20160609BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20160609BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160609BHJP
【FI】
   F21S2/00 231
   F21K9/27
   F21Y103:10
   F21Y115:10
【請求項の数】10
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2011-260519(P2011-260519)
(22)【出願日】2011年11月29日
(65)【公開番号】特開2013-114923(P2013-114923A)
(43)【公開日】2013年6月10日
【審査請求日】2014年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】510181161
【氏名又は名称】株式会社ユースフルパースン
(74)【代理人】
【識別番号】100103023
【弁理士】
【氏名又は名称】萬田 正行
(72)【発明者】
【氏名】深井 隆司
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/018682(WO,A1)
【文献】 特開2008−135355(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3148721(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/021719(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101839413(CN,A)
【文献】 台湾実用新案公告第330422号明細書,2008年 4月11日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21K 99/00
F21V 3/00−3/04
F21V 5/00−5/06
H05B 37/00−37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定管長の直管形LED照明装置であって、
直径方向の一側を開放して所定長で軸方向に延びる略半筒状をなすと共に、前記直径方向の一側の開放した部分を所定の開口面積を有する開放部とした基体と、
前記基体の開放部の全体を覆うよう前記基体の直径方向の一側に装着される透光カバーと、
前記基体の開放部の内側に装着されて前記開放部の全長にわたって延びる回路基板と、
前記回路基板の表面に実装される一群のLEDからなるLED群と、
前記LED群のLEDを発光駆動する電源回路とを備え、
前記LED群は、所定の同一数の複数のLEDを直列接続して一つのLEDユニットを構成すると共に、当該LEDユニットを所定の複数ユニットだけ互いに並列接続して構成され、かつ、前記LEDを前記回路基板に高密度で実装し、更に、前記LEDユニットを前記回路基板の長さ方向に並設することで、前記長さ方向に並設したLEDユニット間での発光量のばらつきを小さくすると共に、前記LEDごとの電流値変動のばらつきを吸収するようにしたものであり、
前記電源回路は、前記LED群の各LEDを発光駆動すべく、所定の電圧範囲の駆動電圧で所定の電流範囲の駆動電流からなる直流電力を前記LED群の各LEDに供給すると共に、前記高密度で実装した前記LED群からの発熱による当該LED群のLEDへの熱的影響を補償するように、前記LEDの駆動電流の電流範囲を当該LEDに固有の実用的電流範囲の下限値の50%〜95%の範囲内の値に設定及び維持して、前記直流電力を前記LED群のLEDに供給し、
前記基体の開放部の開口面積の1平方センチメートル当たりの前記LEDの実装密度を、前記管長が大きくなるにつれて小さい実装密度となるようにしたことを特徴とする直管形LED照明装置。
【請求項2】
直径方向の一側を開放して所定長で軸方向に延びる略半筒状をなすと共に、前記直径方向の一側の開放した部分を所定の開口面積を有する開放部とした基体と、
前記基体の開放部の全体を覆うよう前記基体の直径方向の一側に装着される透光カバーと、
前記基体の開放部の内側に装着されて前記開放部の全長にわたって延びる回路基板と、
前記回路基板の表面に実装される一群のLEDからなるLED群と、
前記LED群のLEDを発光駆動する電源回路とを備え、
前記LED群は、所定の同一数の複数のLEDを直列接続して一つのLEDユニットを構成すると共に、当該LEDユニットを所定の複数ユニットだけ互いに並列接続して構成され、かつ、前記基体の開放部の開口面積の1平方センチメートル当たり0.8〜1.2個の範囲の実装密度となるよう前記LEDを前記回路基板に高密度で実装し、更に、前記LEDユニットを前記回路基板の長さ方向に並設することで、前記長さ方向に並設したLEDユニット間での発光量のばらつきを小さくすると共に、前記LEDごとの電流値変動のばらつきを吸収するようにしたものであり、
前記電源回路は、前記LED群の各LEDを発光駆動すべく、所定の電圧範囲の駆動電圧で所定の電流範囲の駆動電流からなる直流電力を前記LED群の各LEDに供給すると共に、前記高密度で実装した前記LED群からの発熱による当該LED群のLEDへの熱的影響を補償するように、前記LEDの駆動電流の電流範囲を当該LEDに固有の実用的電流範囲の下限値の75%〜95%の範囲内の値に設定及び維持して、前記直流電力を前記LED群のLEDに供給し、
前記基体の開放部の開口面積の1平方センチメートル当たりの前記LEDの実装密度を、前記1平方センチメートル当たり0.8〜1.2個の範囲内で前記管長が大きくなるにつれて小さい実装密度となるようにしたことを特徴とする直管形LED照明装置。
【請求項3】
管長1200mmタイプの直管形LED照明装置であって、
直径方向の一側を開放して所定長で軸方向に延びる略半筒状をなすと共に、前記直径方向の一側の開放した部分を所定の開口面積を有する開放部とした基体と、
前記基体の開放部の全体を覆うよう前記基体の直径方向の一側に装着される透光カバーと、
前記基体の開放部の内側に装着されて前記開放部の全長にわたって延びる回路基板と、
前記回路基板の表面に実装される一群のLEDからなるLED群と、
前記LED群のLEDを発光駆動する電源回路とを備え、
前記LED群は、12個のLEDを直列接続して一つのLEDユニットを構成すると共に、当該LEDユニットを22ユニットだけ互いに並列接続して構成され、前記LEDを前記回路基板の幅方向に二列となるように高密度で実装し、かつ、前記二列の各一列は、前記LEDユニットを11ユニットだけ並列接続して前記回路基板の長さ方向に並設することで、前記長さ方向に並設した11ユニットのLEDユニット間での発光量のばらつきを小さくすると共に、前記LEDごとの電流値変動のばらつきを吸収するようにしたものであり、
前記電源回路は、前記LED群の各LEDを発光駆動すべく、所定の電圧範囲の駆動電圧で所定の電流範囲の駆動電流からなる直流電力を前記LED群の各LEDに供給すると共に、前記高密度で実装した前記LED群からの発熱による当該LED群のLEDへの熱的影響を補償するように、前記LEDの駆動電流の電流範囲を当該LEDに固有の実用的電流範囲の下限値の75%〜95%の範囲内の値に設定及び維持して、前記直流電力を前記LED群のLEDに供給し、
前記基体の開放部の開口面積の1平方センチメートル当たりの前記LEDの実装密度を、0.99〜1.03個の範囲としたことを特徴とする直管形LED照明装置。
【請求項4】
管長600mmタイプの直管形LED照明装置であって、
直径方向の一側を開放して所定長で軸方向に延びる略半筒状をなすと共に、前記直径方向の一側の開放した部分を所定の開口面積を有する開放部とした基体と、
前記基体の開放部の全体を覆うよう前記基体の直径方向の一側に装着される透光カバーと、
前記基体の開放部の内側に装着されて前記開放部の全長にわたって延びる回路基板と、
前記回路基板の表面に実装される一群のLEDからなるLED群と、
前記LED群のLEDを発光駆動する電源回路とを備え、
前記LED群は、12個のLEDを直列接続して一つのLEDユニットを構成すると共に、当該LEDユニットを10ユニットだけ互いに並列接続して構成され、前記LEDを前記回路基板の長さ方向に沿って一列となるように高密度で実装し、かつ、前記一列は、前記LEDユニットを10ユニットだけ並列接続して前記回路基板の長さ方向に並設することで、前記長さ方向に並設した10ユニットのLEDユニット間での発光量のばらつきを小さくすると共に、前記LEDごとの電流値変動のばらつきを吸収するようにしたものであり、
前記電源回路は、前記LED群の各LEDを発光駆動すべく、所定の電圧範囲の駆動電圧で所定の電流範囲の駆動電流からなる直流電力を前記LED群の各LEDに供給すると共に、前記高密度で実装した前記LED群からの発熱による当該LED群のLEDへの熱的影響を補償するように、前記LEDの駆動電流の電流範囲を当該LEDに固有の実用的電流範囲の下限値の75%〜95%の範囲内の値に設定及び維持して、前記直流電力を前記LED群のLEDに供給し、
前記基体の開放部の開口面積の1平方センチメートル当たりの前記LEDの実装密度を、1.02〜1.11個の範囲としたことを特徴とする直管形LED照明装置。
【請求項5】
管長2400mmタイプの直管形LED照明装置であって、
直径方向の一側を開放して所定長で軸方向に延びる略半筒状をなすと共に、前記直径方向の一側の開放した部分を所定の開口面積を有する開放部とした基体と、
前記基体の開放部の全体を覆うよう前記基体の直径方向の一側に装着される透光カバーと、
前記基体の開放部の内側に装着されて前記開放部の全長にわたって延びる回路基板と、
前記回路基板の表面に実装される一群のLEDからなるLED群と、
前記LED群のLEDを発光駆動する電源回路とを備え、
前記LED群は、14個のLEDを直列接続して一つのLEDユニットを構成すると共に、当該LEDユニットを56ユニットだけ互いに並列接続して構成され、前記LEDを前記回路基板の幅方向に二列となるように高密度で実装し、かつ、前記二列の各一列は、前記LEDユニットを28ユニットだけ並列接続して前記回路基板の長さ方向に並設することで、前記長さ方向に並設した28ユニットのLEDユニット間での発光量のばらつきを小さくすると共に、前記LEDごとの電流値変動のばらつきを吸収するようにしたものであり、
前記電源回路は、前記LED群の各LEDを発光駆動すべく、所定の電圧範囲の駆動電圧で所定の電流範囲の駆動電流からなる直流電力を前記LED群の各LEDに供給すると共に、前記高密度で実装した前記LED群からの発熱による当該LED群のLEDへの熱的影響を補償するように、前記LEDの駆動電流の電流範囲を当該LEDに固有の実用的電流範囲の下限値の75%〜95%の範囲内の値に設定及び維持して、前記直流電力を前記LED群のLEDに供給し、
前記基体の開放部の開口面積の1平方センチメートル当たりの前記LEDの実装密度を、0.96〜0.97個又は0.89〜0.91個の範囲としたことを特徴とする直管形LED照明装置。
【請求項6】
前記LEDは、順方向電圧範囲が2.8V〜3.5V(I=20mA)の範囲で、前記実用的電流範囲が20mA〜30mAの範囲である表面実装型LEDからなり、
前記電源回路は、前記駆動電圧の電圧範囲が40V〜48Vの範囲となるよう、かつ、前記駆動電流の電流範囲が前記LEDの実用的電流範囲の下限値よりも低い値となるように、前記駆動電力を前記LED群の各LEDユニットに供給することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の直管形LED照明装置。
【請求項7】
前記透光カバーは、前記基体の開口部に対応する長尺の半円筒状をなす透光材料からなり、その外面を単純な断面半円状の平滑面とする一方で、その内面を凸部及び凹部からなる凹凸面とし、
前記透光カバーの内面の凸部の表面形状は、所定湾曲率で所定角度だけ延びる円弧状とされ、同一形状の所定の複数の凸部が、前記透光カバーの内面の周方向に沿って一定間隔で並列配置されて、隣接する前記凸部間に、それぞれ、対応する略V字形状の前記凹部が形成されたものである請求項1乃至6のいずれか1項記載の直管形LED照明装置。
【請求項8】
前記透光カバーは、前記基体の開口部に対応する長尺の半円筒状をなす透光材料からなり、その外面を単純な断面半円状の平滑面とする一方で、その内面を凸部及び凹部からなる凹凸面とし、
前記透光カバーの内面の凸部の表面形状は、所定湾曲率で所定角度だけ延びる円弧状とされ、同一形状の所定の複数の凸部が、前記透光カバーの内面の周方向に沿って一定間隔で並列配置されて、隣接する前記凸部間に、それぞれ、対応する略V字形状の前記凹部が形成され、
前記LED群の各LEDは、発光強度半値幅が約120度の指向特性を有するものであり、前記LED群のLEDは、前記回路基板の幅方向中央に一列で配置されており、
前記一列で配置されたLEDの各々の発光面から放射される光における前記指向特性の左右両側の60度の位置が、それぞれ、前記透光カバーの内面の周方向両端側の凸部に対応して位置すると共に、前記LEDの指向特性の0度の位置、並びに、左右両側の10度の位置、20度の位置、30度の位置、40度の位置、及び、50度の位置に、それぞれ、前記所定の複数の凸部の各々が配置され、かつ、前記LEDの指向特性における前記各10度置きの位置は、対応する各凸部22aの幅方向中央位置に対応するよう、前記LEDの発光面の前記回路基板からの高さ位置と、前記透光カバーにおける周方向両端側の凸部の前記回路基板からの高さ位置とが設定されていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項4のいずれか1項記載の直管形LED照明装置。
【請求項9】
前記透光カバーは、前記基体の開口部に対応する長尺の半円筒状をなす透光材料からなり、その外面を単純な断面半円状の平滑面とする一方で、その内面を凸部及び凹部からなる凹凸面とし、
前記透光カバーの内面の凸部の表面形状は、所定湾曲率で所定角度だけ延びる円弧状とされ、同一形状の所定の複数の凸部が、前記透光カバーの内面の周方向に沿って一定間隔で並列配置されて、隣接する前記凸部間に、それぞれ、対応する略V字形状の前記凹部が形成され、
前記LED群の各LEDは、発光強度半値幅が約120度の指向特性を有するものであり、前記LED群のLEDは、前記回路基板の幅方向に二列となるよう、かつ、各列が平行となるよう配置されており、
前記二列で配置されたLEDにおいて、幅方向一側の列のLEDの発光面から放射される光における前記指向特性の一方側の60度の位置が、前記透光カバーの内面の周方向一端側の凸部に対応して位置すると共に、前記幅方向一側の列のLEDの指向特性の0度の位置、並びに、幅方向一側の10度の位置、20度の位置、30度の位置、40度の位置、及び、50度の位置に、それぞれ、前記所定の複数の凸部のうち前記幅方向一側の側にある凸部の各々が配置され、かつ、前記LEDの指向特性における前記各10度置きの位置は、対応する各凸部22aの幅方向中央位置に対応するよう、当該幅方向一側の列のLEDの発光面の高さ位置と、前記透光カバーにおける周方向の一端側の凸部の高さ位置とが設定されると共に、幅方向他側の列のLEDの発光面から放射される光における前記指向特性の他方側の60度の位置が、前記透光カバーの内面の周方向他側の凸部に対応して位置すると共に、前記幅方向他側の列のLEDの指向特性の0度の位置、並びに、幅方向他側の10度の位置、20度の位置、30度の位置、40度の位置、及び、50度の位置に、それぞれ、前記所定の複数の凸部のうち前記幅方向他側の側にある凸部の各々が配置され、かつ、前記LEDの指向特性における前記各10度置きの位置は、対応する各凸部22aの幅方向中央位置に対応するよう、当該幅方向他側の列のLEDの発光面の高さ位置と、前記透光カバーにおける周方向の他端側の凸部の高さ位置とが設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3又は請求項5のいずれか1項記載の直管形LED照明装置。
【請求項10】
前記LED群の各LEDは、発光強度半値幅が約120度の指向特性を有するものであり、
前記LEDの発光表面の高さ位置は、前記回路基板の表面に実装される他の電子部品よりも高い位置であって、かつ、前記基体の開口部の開口端よりも低い位置に設定され、
前記LEDの発光表面高さ位置は、前記LEDの指向特性において、当該LEDが発光して光線を放射したときに、前記指向特性の左右両側の60度の位置が、それぞれ、前記基体の開口部の開口端の位置と同等の位置にくるように設定され、
前記透光カバーは、周方向に凸部及び凹部を連続的に形成した断面形状であり、かつ、当該凸部及び凹部が、それぞれ、前記透光カバーの長さ方向に連続する凸形状及び凹形状であり、前記凸部及び凹部の数は、それぞれ、前記LEDの指向特性の左右両側の60度の位置が、それぞれ、最も外側の凸部または凹部に重なるよう、前記凸部及び凹部の位置が設定されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の直管形LED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直管形のハウジング内に多数のチップLED(表面実装型発光ダイオード)を内装した直管形LED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーや環境負荷低減等の要請に応えるべく、照明器具として、従来の白熱電球や蛍光灯に代えて、発光ダイオード(LED)を光源として利用したLED照明装置が提案されている。このLED照明装置は、長寿命、高信頼性、低消費電力、低発熱性、高速応答性、直流低電圧駆動等、従来の照明装置にない特徴を備えており、今後、ますます照明装置として普及することが予想される。また、LED照明装置としては、白熱電球と同様の外観を有する電球型LED照明装置のほか、蛍光灯と同様の外観を有する直管形LED照明装置が提案されている。ここで、直管形LED照明装置は、筺体(ハウジング)内部のベース板(基板)に多数のチップLEDを実装している。このような直管形LED照明装置に関する発明として、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載の発明がある。
【0003】
特許文献1には、蛍光管に代替するLED照明管を実現するため、既存の蛍光灯器具に装着可能で、電源を変換するための変換回路をLED照明管に内蔵したLED照明管に関する発明が開示されている。この発明は、変換回路の小型化とともに発熱対策を課題とし、照明管の器具への装着方向によって極性が変わることにも対応し、LEDの損失分の発熱がLED及び他の電子部品の寿命に及ぼす影響にも対応することをも課題としている。この発明は、これらの課題を解決するために、器具の安定器よりの電流を、LED照明管内の電源部に設けた整流器によって整流し、LEDを直並列に配列したLEDブロックに導通し、整流器を2組並列に装着すると共に、照明管の装着の方向による極性変化に対応するリレーを装着し、LED照明管の管部の上部に通風用の穴と内部に通風用送風機を設ける構成を開示している。(以上、要約参照。)
【0004】
また、特許文献2には、LED式照明装置において、LEDが温度上昇と共に発光特性が低下するため、その使用条件や適用される光源装置はおのずから制限されることに着目し、透光性のある管体と、該管体を装着する蛍光灯器具のソケットに接続可能な端子が設けられた口金を有し、管体の内部にはLED点灯回路を備える回路基板を設け、該回路基板の一方の面側にLED実装用基板を介して複数のLEDを実装し、回路基板の他面側には回路基板に蓄積された熱を除去する放熱板を取付け、口金には管体の内外に連通する通気孔を形成したLED照明装置が開示されている。この発明は、かかる構成により、LEDの温度上昇、蓄熱を抑制して輝度の低下を防止し、使用条件や光源装置に制約のないLED式照明装置を提供するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−257928号公報
【特許文献2】特開2010−44920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1及び特許文献2に記載のように、LEDを光源とするLED照明装置の場合、LEDの周囲温度の変化に伴うLEDの特性の変動、例えば、LEDの周囲温度(雰囲気温度)の変化に起因するLED等の電子部品の品質劣化やLEDの発光特性の変動について対処できる構成を設けることが望ましい。かかるLEDの周囲温度の変化に伴うLEDの特性の変動に対処するため、特許文献1は、LED照明管の管部の上部に通風用の穴と内部に通風用送風機を設ける構成を採用し、特許文献2は、回路基板の他面側に回路基板に蓄積された熱を除去する放熱板を取付け、口金には管体の内外に連通する通気孔を形成する構成を採用している。しかし、これらの場合、LEDの周囲温度の変化に伴うLEDの特性の変動に対処するため、LED照明管の管部や内部、或いは、LED式照明装置の回路基板や口金等に、機械的構成または機構的構成としての特殊な放熱構造を設ける必要があり、管部や回路基板や口金として一般的な構造のものを使用することができずに、製造コストが上昇する可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、従来の直管形蛍光灯用の照明器具本体(口金ソケットを備えた受側の部材)に装着することができる直管形LED照明装置であって、特殊な機械的構成または機構的構成を必要とすることなく、LEDの周囲温度等の変化に伴うLEDの特性の変動に対処することができると共に、高い光度での照明を可能とし、かつ、当該光度での発光を安定して長期間維持することができ、更に、当該光度のばらつきを最低限に抑制することができる直管形LED照明装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る直管形LED照明装置は、直径方向の一側を開放して所定長で軸方向に延びる略半筒状をなすと共に、前記直径方向の一側の開放した部分を所定の開口面積を有する開放部とした基体と、前記基体の開放部の全体を覆うよう前記基体の直径方向の一側に装着される透光カバーと、前記基体の開放部の内側に装着されて前記開放部の全長にわたって延びる回路基板と、前記回路基板の表面(前記開放部側)に実装される一群のLEDからなるLED群と、前記LED群のLEDを発光駆動する電源回路とを備える。前記LED群は、所定の同一数の複数のLEDを直列接続して一つのLEDユニットを構成すると共に、当該LEDユニットを所定の複数ユニットだけ互いに並列接続して構成され、かつ、前記LEDを前記回路基板に高密度で実装し、更に、前記LEDユニットを前記回路基板の長さ方向に並設することで、前記長さ方向に並設したLEDユニット間での発光量のばらつきを小さくすると共に、前記LEDごとの電流値変動のばらつきを吸収するようにしたものである。前記電源回路は、前記LED群の各LEDを発光駆動すべく、所定の電圧範囲の駆動電圧で所定の電流範囲の駆動電流からなる直流電力を前記LED群の各LEDに供給すると共に、前記高密度で実装した前記LED群からの発熱による当該LED群のLEDへの熱的影響を補償するように、前記LEDの駆動電流の電流範囲を当該LEDに固有の実用的電流範囲の下限値の50%〜95%の範囲内の値に設定及び維持して、前記直流電力を前記LED群のLEDに供給し、前記基体の開放部の開口面積の1平方センチメートル当たりの前記LEDの実装密度を、前記管長が大きくなるにつれて小さい実装密度となるようにしている。
【0009】
なお、前記LEDの「高密度実装」の定義は、後述する実施の形態の詳細な説明から明らかであるが、具体的には、従来の直管形LED照明装置における平均的なLED実装密度の約1.5倍の実装密度であり、より具体的には、基体の開放部の開口面積の1平方センチメートル当たり0.8〜1.2個の範囲の実装密度、好ましくは、0.9〜1.1個の範囲の実装密度である。即ち、かかる実装密度は、LEDを実装する基板における基体の開口部の開口に対向する部分(露出部分)の面積(以下、「開口面積」という。)の1平方センチメートル当たり、開口面積1平方センチメートル当たり約1±0.2個の実装密度とすることが好ましく、開口面積1平方センチメートル当たり約1±0.1個の実装密度とすることがより好ましく、開口面積1平方センチメートル当たり約1個の実装密度とすることがより一層好ましい。
【0010】
請求項2に係る直管形LED照明装置は、直径方向の一側を開放して所定長で軸方向に延びる略半筒状をなすと共に、前記直径方向の一側の開放した部分を所定の開口面積を有する開放部とした基体と、前記基体の開放部の全体を覆うよう前記基体の直径方向の一側に装着される透光カバーと、前記基体の開放部の内側に装着されて前記開放部の全長にわたって延びる回路基板と、前記回路基板の表面に実装される一群のLEDからなるLED群と、前記LED群のLEDを発光駆動する電源回路とを備える。前記LED群は、所定の同一数の複数のLEDを直列接続して一つのLEDユニットを構成すると共に、当該LEDユニットを所定の複数ユニットだけ互いに並列接続して構成され、かつ、前記基体の開放部の開口面積の1平方センチメートル当たり0.8〜1.2個の範囲の実装密度となるよう前記LEDを前記回路基板に高密度で実装し、更に、前記LEDユニットを前記回路基板の長さ方向に並設することで、前記長さ方向に並設したLEDユニット間での発光量のばらつきを小さくすると共に、前記LEDごとの電流値変動のばらつきを吸収するようにしたものである。前記電源回路は、前記LED群の各LEDを発光駆動すべく、所定の電圧範囲の駆動電圧で所定の電流範囲の駆動電流からなる直流電力を前記LED群の各LEDに供給すると共に、前記高密度で実装した前記LED群からの発熱による当該LED群のLEDへの熱的影響を補償するように、前記LEDの駆動電流の電流範囲を当該LEDに固有の実用的電流範囲の下限値の75%〜95%の範囲内の値に設定及び維持して、前記直流電力を前記LED群のLEDに供給し、前記基体の開放部の開口面積の1平方センチメートル当たりの前記LEDの実装密度を、前記1平方センチメートル当たり0.8〜1.2個の範囲内で前記管長が大きくなるにつれて小さい実装密度となるようにしている。
【0011】
請求項3に係る直管形LED照明装置は、管長1200mmタイプの直管形LED照明装置であって、直径方向の一側を開放して所定長で軸方向に延びる略半筒状をなすと共に、前記直径方向の一側の開放した部分を所定の開口面積を有する開放部とした基体と、前記基体の開放部の全体を覆うよう前記基体の直径方向の一側に装着される透光カバーと、前記基体の開放部の内側に装着されて前記開放部の全長にわたって延びる回路基板と、前記回路基板の表面に実装される一群のLEDからなるLED群と、前記LED群のLEDを発光駆動する電源回路とを備える。前記LED群は、12個のLEDを直列接続して一つのLEDユニットを構成すると共に、当該LEDユニットを22ユニットだけ互いに並列接続して構成され、前記LEDを前記回路基板の幅方向に二列となるように高密度で実装し、かつ、前記二列の各一列は、前記LEDユニットを11ユニットだけ並列接続して前記回路基板の長さ方向に並設することで、前記長さ方向に並設した11ユニットのLEDユニット間での発光量のばらつきを小さくすると共に、前記LEDごとの電流値変動のばらつきを吸収するようにしたものである。前記電源回路は、前記LED群の各LEDを発光駆動すべく、所定の電圧範囲の駆動電圧で所定の電流範囲の駆動電流からなる直流電力を前記LED群の各LEDに供給すると共に、前記高密度で実装した前記LED群からの発熱による当該LED群のLEDへの熱的影響を補償するように、前記LEDの駆動電流の電流範囲を当該LEDに固有の実用的電流範囲の下限値の75%〜95%の範囲内の値に設定及び維持して、前記直流電力を前記LED群のLEDに供給し、前記基体の開放部の開口面積の1平方センチメートル当たりの前記LEDの実装密度を、0.99〜1.03個の範囲としている。
【0012】
請求項4に係る直管形LED照明装置は、管長600mmタイプの直管形LED照明装置であって、直径方向の一側を開放して所定長で軸方向に延びる略半筒状をなすと共に、前記直径方向の一側の開放した部分を所定の開口面積を有する開放部とした基体と、前記基体の開放部の全体を覆うよう前記基体の直径方向の一側に装着される透光カバーと、前記基体の開放部の内側に装着されて前記開放部の全長にわたって延びる回路基板と、前記回路基板の表面に実装される一群のLEDからなるLED群と、前記LED群のLEDを発光駆動する電源回路とを備える。前記LED群は、12個のLEDを直列接続して一つのLEDユニットを構成すると共に、当該LEDユニットを10ユニットだけ互いに並列接続して構成され、前記LEDを前記回路基板の長さ方向に沿って一列となるように高密度で実装し、かつ、前記一列は、前記LEDユニットを10ユニットだけ並列接続して前記回路基板の長さ方向に並設することで、前記長さ方向に並設した10ユニットのLEDユニット間での発光量のばらつきを小さくすると共に、前記LEDごとの電流値変動のばらつきを吸収するようにしたものである。前記電源回路は、前記LED群の各LEDを発光駆動すべく、所定の電圧範囲の駆動電圧で所定の電流範囲の駆動電流からなる直流電力を前記LED群の各LEDに供給すると共に、前記高密度で実装した前記LED群からの発熱による当該LED群のLEDへの熱的影響を補償するように、前記LEDの駆動電流の電流範囲を当該LEDに固有の実用的電流範囲の下限値の75%〜95%の範囲内の値に設定及び維持して、前記直流電力を前記LED群のLEDに供給し、前記基体の開放部の開口面積の1平方センチメートル当たりの前記LEDの実装密度を、1.02〜1.11個の範囲としている。
【0013】
請求項5に係る直管形LED照明装置は、管長2400mmタイプの直管形LED照明装置であって、直径方向の一側を開放して所定長で軸方向に延びる略半筒状をなすと共に、前記直径方向の一側の開放した部分を所定の開口面積を有する開放部とした基体と、前記基体の開放部の全体を覆うよう前記基体の直径方向の一側に装着される透光カバーと、前記基体の開放部の内側に装着されて前記開放部の全長にわたって延びる回路基板と、前記回路基板の表面に実装される一群のLEDからなるLED群と、前記LED群のLEDを発光駆動する電源回路とを備える。前記LED群は、14個のLEDを直列接続して一つのLEDユニットを構成すると共に、当該LEDユニットを56ユニットだけ互いに並列接続して構成され、前記LEDを前記回路基板の幅方向に二列となるように高密度で実装し、かつ、前記二列の各一列は、前記LEDユニットを28ユニットだけ並列接続して前記回路基板の長さ方向に並設することで、前記長さ方向に並設した28ユニットのLEDユニット間での発光量のばらつきを小さくすると共に、前記LEDごとの電流値変動のばらつきを吸収するようにしたものである。前記電源回路は、前記LED群の各LEDを発光駆動すべく、所定の電圧範囲の駆動電圧で所定の電流範囲の駆動電流からなる直流電力を前記LED群の各LEDに供給すると共に、前記高密度で実装した前記LED群からの発熱による当該LED群のLEDへの熱的影響を補償するように、前記LEDの駆動電流の電流範囲を当該LEDに固有の実用的電流範囲の75%〜95%の範囲内の値に設定及び維持して、前記直流電力を前記LED群のLEDに供給し、前記基体の開放部の開口面積の1平方センチメートル当たりの前記LEDの実装密度を、0.96〜0.97個又は0.89〜0.91個の範囲としている。
【0014】
請求項6に係る直管形LED照明装置は、請求項1乃至5のいずれかの構成において、前記LEDは、順方向電圧範囲が2.8V〜3.5V(I=20mA)の範囲で、前記実用的電流範囲が20mA〜30mAの範囲である表面実装型LEDからなる。また、前記電源回路は、前記駆動電圧の電圧範囲が40V〜48Vの範囲となるよう、かつ、前記駆動電流の電流範囲が前記LEDの実用的電流範囲の下限値よりも低い値となるように、前記駆動電力を前記LED群の各LEDユニットに供給する。
【0015】
請求項7に係る直管形LED照明装置は、請求項1乃至6いずれかの構成において、前記透光カバーは、前記基体の開口部に対応する長尺の半円筒状をなす透光材料からなり、その外面を単純な断面半円状の平滑面とする一方で、その内面を凸部及び凹部からなる凹凸面としている。また、前記透光カバーの内面の凸部の表面形状は、所定湾曲率で所定角度だけ延びる円弧状とされ、同一形状の所定の複数の凸部が、前記透光カバーの内面の周方向に沿って一定間隔で並列配置されて、隣接する前記凸部間に、それぞれ、対応する略V字形状の前記凹部が形成されたものである。
【0016】
請求項8に係る直管形LED照明装置は、請求項1、請求項2又は請求項4のいずれかの構成において、前記透光カバーは、前記基体の開口部に対応する長尺の半円筒状をなす透光材料からなり、その外面を単純な断面半円状の平滑面とする一方で、その内面を凸部及び凹部からなる凹凸面としている。また、前記透光カバーの内面の凸部の表面形状は、所定湾曲率で所定角度だけ延びる円弧状とされ、同一形状の所定の複数の凸部が、前記透光カバーの内面の周方向に沿って一定間隔で並列配置されて、隣接する前記凸部間に、それぞれ、対応する略V字形状の前記凹部が形成されたものである。前記LED群の各LEDは、発光強度半値幅が約120度の指向特性を有するものである。また、前記LED群のLEDは、前記回路基板の幅方向中央に一列で配置されている。更に、前記一列で配置されたLEDの各々の発光面から放射される光における前記指向特性の左右両側の60度の位置が、それぞれ、前記透光カバーの内面の周方向両端側の凸部に対応して位置すると共に、前記LEDの指向特性の0度の位置、並びに、左右両側の10度の位置、20度の位置、30度の位置、40度の位置、及び、50度の位置に、それぞれ、前記所定の複数の凸部の各々が配置され、かつ、前記LEDの指向特性における前記各10度置きの位置は、対応する各凸部22aの幅方向中央位置に対応するよう、前記LEDの発光面の前記回路基板からの高さ位置と、前記透光カバーにおける周方向両端側の凸部の前記回路基板からの高さ位置とが設定されている。なお、透光カバーにおける「周方向両端側の凸部」とは、前記透光カバーの内面の周方向両端の凸部、または、前記透光カバーの内面の周方向両端の凸部より一つだけ内側の凸部を意味する。
【0017】
請求項9に係る直管形LED照明装置は、請求項1乃至請求項3又は請求項5のいずれかの構成において、前記透光カバーは、前記基体の開口部に対応する長尺の半円筒状をなす透光材料からなり、その外面を単純な断面半円状の平滑面とする一方で、その内面を凸部及び凹部からなる凹凸面としている。また、前記透光カバーの内面の凸部の表面形状は、所定湾曲率で所定角度だけ延びる円弧状とされ、同一形状の所定の複数の凸部が、前記透光カバーの内面の周方向に沿って一定間隔で並列配置されて、隣接する前記凸部間に、それぞれ、対応する略V字形状の前記凹部が形成されたものである。前記LED群の各LEDは、発光強度半値幅が約120度の指向特性を有するものであり、前記LED群のLEDは、前記回路基板の幅方向に二列となるよう、かつ、各列が平行となるよう配置されている。また、前記二列で配置されたLEDにおいて、幅方向一側の列のLEDの発光面から放射される光における前記指向特性の一方側の60度の位置が、前記透光カバーの内面の周方向一端側の凸部に対応して位置すると共に、前記幅方向一側の列のLEDの指向特性の0度の位置、並びに、幅方向一側の10度の位置、20度の位置、30度の位置、40度の位置、及び、50度の位置に、それぞれ、前記所定の複数の凸部のうち前記幅方向一側の側にある凸部の各々が配置され、かつ、前記LEDの指向特性における前記各10度置きの位置は、対応する各凸部22aの幅方向中央位置に対応するよう、当該幅方向一側の列のLEDの発光面の高さ位置と、前記透光カバーにおける周方向の一端側の凸部の高さ位置とが設定されると共に、幅方向他側の列のLEDの発光面から放射される光における前記指向特性の他方側の60度の位置が、前記透光カバーの内面の周方向他側の凸部に対応して位置すると共に、前記幅方向他側の列のLEDの指向特性の0度の位置、並びに、幅方向他側の10度の位置、20度の位置、30度の位置、40度の位置、及び、50度の位置に、それぞれ、前記所定の複数の凸部のうち前記幅方向他側の側にある凸部の各々が配置され、かつ、前記LEDの指向特性における前記各10度置きの位置は、対応する各凸部22aの幅方向中央位置に対応するよう、当該幅方向他側の列のLEDの発光面の高さ位置と、前記透光カバーにおける周方向の他端側の凸部の高さ位置とが設定されている。
【0018】
請求項10に係る直管形LED照明装置は、請求項1乃至6いずれかの構成において、前記LED群の各LEDは、発光強度半値幅が約120度の指向特性を有するものである。また、前記LEDの発光表面の高さ位置は、前記回路基板の表面に実装される他の電子部品よりも高い位置であって、かつ、前記基体の開口部の開口端よりも低い位置に設定されている。更に、前記LEDの発光表面高さ位置は、前記LEDの指向特性において、当該LEDが発光して光線を放射したときに、前記指向特性の左右両側の60度の位置が、それぞれ、前記基体の開口部の開口端の位置と同等の位置にくるように設定されている。そして、前記透光カバーは、周方向に凸部及び凹部を連続的に形成した断面形状であり、かつ、当該凸部及び凹部が、それぞれ、前記透光カバーの長さ方向に連続する凸形状及び凹形状であり、前記凸部及び凹部の数は、それぞれ、前記LEDの指向特性の左右両側の60度の位置が、それぞれ、最も外側の凸部または凹部に重なるよう、前記凸部及び凹部の位置が設定されている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る直管形LED照明装置は、従来の直管形蛍光灯用の照明器具本体(口金ソケットを備えた受側の部材)に装着することができる直管形LED照明装置に具体化することができ、特殊な機械的構成または機構的構成を必要とすることなく、LEDの周囲温度等の変化に伴うLEDの特性の変動に対処することができると共に、高い光度での照明を可能とし、かつ、当該光度での発光を安定して長期間維持することができ、更に、当該光度のばらつきを最低限に抑制することができる。
【0020】
請求項2に係る直管形LED照明装置は、LEDの実装密度を、基体の開放部の開口面積の1平方センチメートル当たり0.8〜1.2個の範囲の高実装密度とする一方で、この高密度実装による熱的影響を補償すべく、電源回路の駆動電流をLEDの実用的電流範囲の下限値より低い範囲に制御することで、高い光度での照明を可能とし、かつ、当該光度での発光を安定して長期間維持することができ、更に、当該光度のばらつきを最低限に抑制することができる。
【0021】
請求項3に係る直管形LED照明装置は、1200mmタイプの直管形LED照明装置において、LED群のLEDを12直列22並列で接続した(合計264個の)高密度実装とする一方で、この高密度実装による熱的影響を補償すべく、電源回路の駆動電流をLEDの実用的電流範囲の下限値より低い範囲に制御することで、高い光度での照明を可能とし、かつ、当該光度での発光を安定して長期間維持することができ、更に、当該光度のばらつきを最低限に抑制することができる。
【0022】
請求項4に係る直管形LED照明装置は、600mmタイプの直管形LED照明装置において、LED群のLEDを12直列10並列で接続した(合計120個の)高密度実装とする一方で、この高密度実装による熱的影響を補償すべく、電源回路の駆動電流をLEDの実用的電流範囲の下限値より低い範囲に制御することで、高い光度での照明を可能とし、かつ、当該光度での発光を安定して長期間維持することができ、更に、当該光度のばらつきを最低限に抑制することができる。
【0023】
請求項5に係る直管形LED照明装置は、2400mmタイプの直管形LED照明装置において、LED群のLEDを14直列56並列で接続した(合計784個の)高密度実装とする一方で、この高密度実装による熱的影響を補償すべく、電源回路の駆動電流をLEDの実用的電流範囲の下限値より低い範囲に制御することで、高い光度での照明を可能とし、かつ、当該光度での発光を安定して長期間維持することができ、更に、当該光度のばらつきを最低限に抑制することができる。
【0024】
請求項6に係る直管形LED照明装置は、請求項1乃至5のいずれかの効果に加え、上記のように高密度実装されたLEDとしての表面実装型LEDに、所定の直列接続数で駆動電圧(40〜48V)を除算した値の電圧が印加され、かつ、当該LEDに固有の実用的電流範囲(20〜30mA)の下限値(20mA)より低い範囲に制御された電流が流れることで、高い光度での照明を可能とし、かつ、当該光度での発光を安定して長期間維持することができ、更に、当該光度のばらつきを最低限に抑制することができる。
【0025】
請求項7に係る直管形LED照明装置は、請求項1乃至6のいずれかの効果に加え、透光カバーの凸部及び凹部によって、LEDからの発光を均一に拡散して外部に均等に放射し、発光の空間的なばらつきを効率的になくすことができる。
【0026】
請求項8に係る直管形LED照明装置は、請求項1、請求項2又は請求項4のいずれかの効果に加え、透光カバーの凸部及び凹部によって、LEDからの発光を均一に拡散して外部に均等に放射し、発光の空間的なばらつきを効率的になくすことができると共に、一列で配置されたLEDからの発光の左右の境界位置(指向特性120度を二分した左右の60度の位置)が、透光カバーの両端側の凸部に放射されるため、透光カバーによる光拡散効率を飛躍的に向上することができ、全体の発光効率を飛躍的に高めることができる。
【0027】
請求項9に係る直管形LED照明装置は、請求項1乃至請求項3又は請求項5のいずれかの効果に加え、透光カバーの凸部及び凹部によって、LEDからの発光を均一に拡散して外部に均等に放射し、発光の空間的なばらつきを効率的になくすことができると共に、二列で配置された各列のLEDからの発光の左右の境界位置(指向特性120度を二分した左右の60度の位置)が、透光カバーの両端側の凸部に放射されるため、透光カバーによる光拡散効率を飛躍的に向上することができ、全体の発光効率を飛躍的に高めることができる。
【0028】
請求項10に係る直管形LED照明装置は、請求項1乃至6のいずれかの効果に加え、LEDからの発光の左右の境界位置(指向特性120度を二分した左右の60度の位置)が、透光カバーの最も外側の凸部または凹部に重なるように放射されるため、透光カバーによる光拡散効率を飛躍的に向上することができ、全体の発光効率を飛躍的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は本発明の実施の形態1に係る直管形LED照明装置の透光カバーを取り外した状態を示す平面図であり、ケース内部の基板に実装したLEDユニットを(一点鎖線内に)拡大して示す。
図2図2は本発明の実施の形態1に係る直管形LED照明装置の(透光カバーを取り付けた状態の)平面図である。
図3図3は本発明の実施の形態1に係る直管形LED照明装置の拡大断面図である。
図4図4は本発明の実施の形態1に係る直管形LED照明装置の透光カバーを内面側から見て示す(透光カバーについての)正面図である。
図5図5は本発明の実施の形態1に係る直管形LED照明装置の透光カバーを外面側から見て示す(透光カバーについての)背面図である。
図6図6は本発明の実施の形態1に係る直管形LED照明装置の透光カバーを外面の右側から見て示す(透光カバーについての)右側面図である。
図7図7は本発明の実施の形態1に係る直管形LED照明装置の透光カバーを外面の左側から見て示す(透光カバーについての)左側面図である。
図8図8は本発明の実施の形態1に係る直管形LED照明装置の透光カバーを示し、(a)透光カバーの拡大平面図、(b)は透光カバーの拡大底面図、(c)は透光カバーの(図4のA−A線で切断して示す)断面図である。
図9図9は本発明の実施の形態1に係る直管形LED照明装置の透光カバーの(中間部を省略して示す)拡大正面図である。
図10図10は本発明の実施の形態1に係る直管形LED照明装置の電気回路構成の第1の事例を概略的に示す回路図である。
図11図11は本発明の実施の形態1に係る直管形LED照明装置の電気回路構成の第2の事例を概略的に示す回路図である。
図12図12は本発明の実施の形態1に係る直管形LED照明装置の電気回路構成の第2の事例の安定化回路を詳細に示す回路図である。
図13図13は本発明の実施の形態2に係る直管形LED照明装置の透光カバーを取り外した状態を示す平面図であり、ケース内部の基板に実装したLEDユニットを(一点鎖線内に)拡大して示す。
図14図14は本発明の実施の形態2に係る直管形LED照明装置の拡大断面図である。
図15図15は本発明の各実施の形態に係る直管形LED照明装置で使用するLEDの放射パターン(指向特性)を示す特性図である。
図16図16は本発明の各実施の形態に係る直管形LED照明装置で使用するLEDの順方向電圧(V)と順方向電流(I)との関係を示す特性図(I−V図)である。
図17図17は本発明の各実施の形態に係る直管形LED照明装置で使用するLEDの順方向電流(I)と相対光度(I)との関係を示す特性図(I−I図)である。
図18図18は本発明の各実施の形態に係る直管形LED照明装置で使用するLEDの周囲温度(Ta)と許容順方向電流(I)との関係を示す特性図(I−Ta図)である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)を説明する。なお、各実施の形態を通じ、同一の部材、要素または部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0031】
{実施の形態1}
[全体構成]
図1図3に示すように、実施の形態1に係る直管形LED照明装置は、全体として、直管形の蛍光灯と同様の外形及び外観を有し、基体10、透光カバー20、回路基板としての基板30、LED40、口金部50を備え、所定長の直管形状を有している。なお、本実施の形態を含め、本発明の直管形LED照明装置の長さ自体は、従来の直管形の照明装置と同様であり、例えば、600mm、900mm、1200mm、1800mm、2400mm等の長さとすることができる。また、本実施の形態を含め、本発明の直管形LED照明装置の管径自体は、従来の直管形の照明装置と同様である。
【0032】
[基体]
基体10は、所定の材料(例えば、アルミニウム等の所定の金属材料)により所定長さの半円筒状となるよう一体形成されている。詳細には、基体10は、図3に示す断面形状を有し、基部11、嵌合部12及び接合部13からなる。基部11は、所定湾曲率で180度未満の所定角度だけ周方向に延びる断面円弧状の略半円筒状をなし、軸方向に所定長さで延びている。即ち、基部11の断面形状は、完全な半円筒状(所定直径の正円を2分割して得られる中心角180度のもの)ではなく、基部11の断面となる円弧形状は、所定直径(例えば、直径26mm)の正円について所定の中心角(例えば、160度)をとったときの円弧形状であり、当該円弧形状と同一の中心角及び湾曲率で周方向に延びる略半円筒状をなしている。嵌合部12は、基部11の周方向の両端にそれぞれ一体形成されて、左右で一対となる係止手段を構成している。各嵌合部12は、基部11から内方(具体的には、基部11の周方向の両端を結ぶ直線に沿った方向)に突出する断面コ字状の直線溝板状または直線レール状をなしている。また、嵌合部12は、断面コ字状の開口を外方に向かって配置し、当該開口が、基部11の周方向の両端を結ぶ直線に沿って外方に開放し、嵌合部12の直線溝部分が、基部11の長さ方向(軸方向)の全長に沿って直線的に延びている。接合部13は、左右一対の嵌合部12にそれぞれ一体形成され、左右で一対となる接合手段を構成している。各接合部13は、その基端(図3中の上端)が前記嵌合部12の内端(嵌合部12の基部11との接合位置と反対側の端)接合されて、当該嵌合部12の内端から基部11に向かう方向(図3中の下方)に直交して延びる小さい幅の平板状をなしている。接合部13は、基部11の長さ方向(軸方向)の全長に沿って直線的に延びている。
【0033】
[口金部]
口金部50は、LED照明装置の長さ方向両端部に設けられ、左右一対の口金部50が、それぞれ、被覆部51と接続部52とを含む。被覆部51は、基体10の長さ方向の端部を覆うように外嵌して装着される。接続部52は、被覆部51よりも小径(例えば、基体10と同一直径)であり、LED照明装置の受け側の部材としての照明器具本体の口金ソケットに対向配置される部分である。口金52の端面からは、2本の端子53が突出し、端子53が、照明器具本体の口金ソケットに挿着されて、口金ソケット側の電源(商用交流電源)からの所定電圧(例えば、100〜240V)の交流電力を、被覆部51の内部に配設した(図示しない)給電線を介して基板30に供給し、後述する電源回路100により所定電圧で所定電流の直流電力に変換した後、当該直流電力を、基板30の配線パターン等を介して、基板30上のLED40に給電してLED40を点灯するようになっている。なお、前記基体10の全長は、LED照明装置の全長から、その長さ方向両端にある口金部50の接続部52部分の長さを除いた長さとなる。
【0034】
[基板]
基板30は、電子回路基板であり、コンデンサー(図示略)、抵抗器35、LED40等の電子部品を実装している。基板30は、所定幅(前記一対の接合部13間と同一寸法)で基体10の全長にわたって延びる平板状をなし、基板30の幅方向両端が前記左右一対の接合部13の先端間に一体的に(接着等により)接合して固定されている。なお、基板30を(図3中の)上方に開口する断面コ字状とする、即ち、前記左右一対の接合部13を幅方向両端に一体化した構成とし、その(接合部13に対応する部分となる)両端縁を前記左右一対の基部11に接着等によって接合固定してもよい。抵抗器35及びLED40以外の電子部品は、基板30の長さ方向両端部(基体10の長さ方向両端部に装着した口金部50の被覆部51により覆われる部位)や、その他の部位の表面側に配置される。また、基板30の裏面(図3中の下面)には、放熱手段としての放熱板31が接合され、基板30や電子部品から発生する熱を放熱するようになっている。なお、本実施の形態では、後述する電気回路構成(特に、LED40の直列・並列接続に関する構成)の改良により、発熱源としてのLED40からの放熱を非常に効率よく抑制することができるため、放熱板31を省略することもできる。また、LED40以外の電子部品については、その全部または一部を、基板30の表面側ではなく裏面側に配置することもできる。更に、LED40以外の電子部品は、抵抗器35も含め、LED40から放射される光束と干渉しない位置及び配置態様で基板30に配置される。例えば、電子部品を基板30の表面側に配置する場合、各電子部品の表面位置(図3中の上端位置)が、LED40の表面位置(発光面位置)よりも内方となるよう(即ち、LED40の表面位置よりも基部11の表面側に配置されて収まるよう)、電子部品を実装することが好ましい。電子部品を基板30の表面側に配置する場合、前記口金部50により覆われる部位以外の部位に配置する電子部品は、少なくとも、基体10の嵌合部12の突出範囲の内側(図3中における嵌合部12の上端より下方の範囲)に全体が収まるように配置される。なお、電子部品を基板30の裏面側に配置する場合は、かかる考慮は不要となる。
【0035】
[LED]
LED40は、SMD(Surface Mount Device)タイプのLED素子、即ち、表面実装型LED素子からなる。詳細には、LED40は、InGaNベースのSMDタイプの白色LEDパッケージからなり、図15図18に示す特性を備えている。かかるLEDとしては、AOT社(Advanced Optoelectoni Technology Inc.)社のモデル名「SMD LED」、型番「ATO−3020(照明用)」を使用することが好ましい。この白色LEDパッケージは、図示はしないが、耐高温プラスチック(ポリフタルアミド樹脂(PPA)等)からなるケースボディ及びケース電極としてのリードフレームからなるケースに対して、ケースボディの凹部底面に光源であるLEDチップ(InGaNベース)を実装してボンディングワイヤ(金ワイヤ)でリードフレーム(ニッケル銀メッキした銅合金)に接続し、ケースボディの凹部を光取出し媒体としての封止樹脂(屈折率約1.5等の高屈折率シリコン樹脂)で封止すると共に、当該封止樹脂に補色光源としての黄色蛍光体(YAG等)を分散した最小の電子部品単位である。白色LEDパッケージは、ケースボディの凹部底面に、LEDチップと併設してチェナダイオードを配設して前記封止樹脂により封止して内蔵すると共に、LEDチップと逆方向に(逆バイアスとなるよう)並列接続し、静電破壊対策、定電圧維持等の機能も有している。なお、この白色LEDパッケージは、ヒートシンクは備えておらず、ケースボディに接合部材で直接的にLEDチップ(及びチェナダイオード)を固定している。この白色LEDパッケージは、前記白色LEDチップによる電力−光変換(電力から青色光への変換)と、前記蛍光体による光−光変換(青色光から白色光への変換、即ち、蛍光体が青色光の一部を吸収してブロード(比較的広帯域の)黄色光に変換し、この黄色光を残りの青色光と混合することにより白色光を得ること)とにより白色発光を実現する。
【0036】
<LEDの高密度実装>
一方、本実施の形態では、LEDユニット40Uを所定のユニット数(1個のLED照明装置に実装するLEDの合計数を前記1ユニットのLED数で除算した数)だけ並列接続してLED群を構成している。即ち、上記白色LEDパッケージからなるLED40は、図1に示すように、所定個数のものが、基板30の表面側の幅方向中央位置に、基板30の長さ方向に沿って(基板30の幅方向中央に)一列となるように一定間隔で配置されている。具体的には、実施の形態1の直管形LED照明装置は、全長600mmのタイプを想定しており、LED40は、LED照明装置全体での最大発光効率を得るために、LED40の個数を全体で120個とし、かつ、当該120個のLED40を基板30の長さ方向に一列の直線状となるよう配置している。したがって、これら120個のLED40が、基板30におけるLED40の実装長さ範囲、即ち、基板30の両端側の前記口金部50により覆われる範囲以外の範囲(例えば、基板30の両端からそれぞれ約40mmの位置よりも内側の範囲)に一定間隔で一列に配置されている。これにより、LED40の配置間隔は、(例えば、実装長さ範囲が約480mmの場合)約4mm間隔となる。また、LED40の寸法は、長さ(L)×幅(W)×高さ(H)が、3.0mm×2.0mm×1.3mmであり、LED40は、その長さ方向が基板30の長さ方向と一致する方向(以下、「並設方向」という。)に並設して実装されるため、隣接するLED40間の間隙(以下、「配置間隙」という。)は、約0.5mmとなる。なお、この配置間隙は、LEDの実装態様に応じて適宜変更することができ、例えば、0.5mm〜1.5mmの範囲とすることができ、好ましくは、1.0mmとすることができる。このように、本実施の形態では、全長600mmタイプの直管形LED照明装置において、(当該600mmよりも短い、例えば、520mm程度の全長となる)基板30の長さ方向におけるLED40の実装範囲に、通常のLED照明装置が使用するLED数の3倍程度となる合計120個のLED40を一列となるよう直線的に密接配置して高密度で実装することにより、非常に高い光度(非常に多い単位面積当たり光束数)を実現している。即ち、LED40の並設方向における寸法(LED40の長さ)よりも小さい配置間隙で(例えば、LED40の並設方向寸法の1/6〜1/2の間隙で)120個のLED40を一列に直線的に配置することで、高密度実装を実現している。このように、本実施の形態では、前記LED群は、12個のLED40を直列接続して一つのLEDユニット40Uを構成すると共に、当該LEDユニット40Uを10ユニットだけ互いに並列接続して構成され、前記LED40を基板30に高密度で実装したものである。
【0037】
<駆動電圧(12直列)>
ここで、LEDは、一般的な(非発光)ダイオードと同様に、ダイオード特性を有しており、順方向に電流を流すと順電圧が発生するが、この順電圧は発光素子の材質により異なる。そして、本実施の形態で使用するLED40の場合、図16に示す電流−電圧特性を有しており、また、順方向電圧(V)は、2.8V〜3.5Vの範囲(中央値3.15V)である。本実施の形態では、図1中の二点鎖線で示す円形内の拡大図及び図10または図12の電気回路図に示すように、12個のLED40を直列接続して一単位のLEDユニット40Uを構成している。これにより、各単位のLEDユニット40Uへの印加電圧は、理論的には、順方向電圧(V)である2.8V〜3.5Vの範囲(典型値3.15V)の12倍、即ち、33.6V〜42V(中央値の場合は37.8V)の範囲内とすることができ、本実施の形態においても、各LEDユニット40に対して、当該範囲内(以下、「基準範囲内」という。)の印加電圧(駆動電圧)を使用することもできる。一方、本実施の形態では、LED40やその他の電子部品の内部抵抗による(特に,LEDユニット40Uの末端側またはカソード側のLED40での)電圧降下を考慮して、電源回路100からの印加電圧を、前記基準範囲内の印加電圧よりも所定割合だけ高い値、例えば、(基準範囲よりも約15%高い値である)40V〜48Vの範囲(以下、「実際範囲」)に設定することもできる。こうすると、LEDユニット40Uの末端側またはカソード側のLED40で電圧降下を生じた場合でも、当該末端側またはカソード側のLED40に、安定して、その順方向電圧の下限値以上(及び順方向電圧の上限値以下)の範囲の電圧を印加することができる。或いは、上記電圧降下の影響の有無を考慮しなくてもよいように、LEDユニット40Uへの印加電圧を、上記基準範囲と実際範囲との重複範囲である40V〜42Vの範囲に設定することもできる。
【0038】
<順方向電流(10並列)>
また、上記のように、1ユニットのLEDユニット40Uは12個のLED40からなるため、本実施の形態では、合計で、10ユニットのLEDユニット40Uが互いに並列となるよう接続されている(LED120個/12直列=10並列)。即ち、本実施の形態は、12個のLED40を一単位として直列接続し、一単位のLEDユニット40Uを構成すると共に、かかるLEDユニット40Uを、合計で10単位(10ユニット)並列接続している(以下、この接続方法を、単に、「12直列10並列接続」ということがある)。ここで、LEDには、順方向電圧に応じた順方向電流が流れるが、本実施の形態で使用するLED40の場合、図16に示す電流−電圧特性を有しているが、一般に、順方向電流は、1個当たりのLEDについてできるだけ高い光度を得ることができるよう、順方向電圧の範囲内でできるだけ高い値に設定されている。例えば、本実施の形態のLED40と同様の特性のLEDの場合、順方向電圧の中央値(3.15V)付近での順方向電流が20mAとなり、順方向電圧の最高値(3.5V)での順方向電流が約38mAとなるが、LEDへの負荷や周囲温度による熱的負荷の影響を考慮して、通常は、順方向電流の最大値は30mAに設定され、また、実用的な順方向電流は、例えば、20mA〜30mAの範囲(以下、「実用的電流範囲」という。)に設定される。しかし、本実施の形態では、LED40を上記のように高密度実装するため、特に周囲温度によるLED40への熱的負荷の影響、並びに、かかる熱的負荷によるLED40の発光特性の変動を確実に防止すべく、各LEDユニット40Uに供給する駆動電流としての順方向電流Iを、上記高密度実装によるLED40への熱的影響を防止することができる順方向電流の範囲内であって、上記12直列10並列接続によるLED40の光度を最大とすることができる順方向電流の範囲(以下、「高密度実装用電流範囲」という。)に設定している。なお、高密度実装によるLED40への熱的影響を防止することができる順方向電流の範囲(以下、「熱的影響防止電流範囲」という。)は、特に、本実施の形態のLED照明装置の使用環境温度(本実施の形態においては、例えば、−20℃〜40℃の範囲)のうちの上限値、及び、かかる使用環境温度の上限値におけるLED40の周囲温度等を主な要因として考慮して設定される。そして、LEDユニット40Uの順方向電流の値は、このように設定した熱的影響防止電流範囲内に設定され、好ましくは、当該熱的影響防止電流範囲の上限値近辺の値(かつ、上限値を超えない値)に設定される。
【0039】
詳細には、前記高密度実装用電流範囲は、LED40に通常許容される順方向電流の範囲(以下、「許容順方向電流範囲」という。)よりも所定割合だけ低い範囲内の値となる。具体的には、かかるLED40の高密度実装用電流範囲は、好ましくは、その下限値を前記実用的電流範囲の下限値未満の値(例えば、実用的電流範囲の下限値の50%〜95%の範囲内の値、好ましくは、75%〜95%の範囲内の値)に設定し、その上限値も、好ましくは、実用的電流範囲の下限値近辺の値(例えば、実用的電流範囲の下限値の約95%以上100%以下の値)に設定する。例えば、高密度実装用電流範囲は、その下限値を前記実用的電流範囲の下限値の50%〜95%の範囲内の値、好ましくは、75%〜95%の範囲内の値に設定し、その上限値も、好ましくは、実用的電流範囲の下限値の約95%以上100%以下の値に設定する。より好ましくは、LED40の高密度実装用電流範囲は、その下限値及び上限値のいずれも、前記実用的電流範囲の下限値未満の値に設定する。即ち、LED40の高密度実装用電流範囲は、前記実用的電流範囲未満の所定範囲に設定することがより好ましい。例えば、LED40の高密度実装用電流範囲は、前記実用的電流範囲の下限値に対して50%〜95%の範囲、好ましくは、75%〜95%の範囲に設定することがより好ましい。
【0040】
<12直列(10並列)の特有の効果>
ここで、一般に、LEDの電圧−電流特性には(同一メーカーで同一型番の製品を使用した場合でも)LEDごとにばらつきがあり、LEDを並列接続した場合、その順方向電圧は最も低いLEDの値になるが、このとき、電圧−電流特性の低いLEDには多くの電流が流れ、電圧−電流特性の高いLEDには少しの電流しか流れなくなることで、LEDの発光量(明るさ)に差異が生じる場合があり、その差が大きい場合には、LEDの破損に至る場合もある。したがって、一般に、LEDを並列接続する場合、電圧−電流特性の揃ったものを使用する必要がある。本実施の形態では、一単位のLEDユニット40Uを10列で並列接続するが、並列接続された各々のLEDユニット40Uは、12個のLED40を直列接続したものであるため、LEDユニット40U全体としては、12個のLED40が、各LED40に固有のばらつきを吸収し、10列のLEDユニット40U間での発光量のばらつきを非常に小さくすることができる。
【0041】
また、一般に、LEDの順方向電圧は、周囲温度に応じて変動し、順方向電圧の変動に応じてLEDを流れる順方向電流が変動して、LEDの光量が変動するが、本実施の形態では、LED40の順方向電圧の温度特性の影響で、周囲温度によりLED40に流れる電流がLED40ごとに変動したとしても、一単位のLEDユニット40Uは、12個のLED40を直列接続したものであるため、LEDユニット40Uが全体として、LED40ごとの順方向電圧の温度による電流値変動のばらつきを吸収する。したがって、LEDユニット40U全体としては、その電流値が大きく変動することはなく、LEDユニット40Uの発光量は殆ど変動することがない。
【0042】
<温度−電圧特性>
更に、一般に、LEDの順方向電圧には、半導体特有の負の温度特性があり、温度が高くなるつれ、順方向電圧は低くなる。また、LEDの信頼性は、使用温度により大きく影響され、使用温度が高くなると故障率は高くなる。よって、LED照明装置を構成する場合、いわゆるディレーティングカーブを使用してLEDに供給する順方向電流を設定する。このディレーティングカーブは、周囲温度(照明装置の周囲の温度ではなくLEDが配置される環境の温度)と、当該周囲温度に対する使用可能な電流値との関係を示すLEDの特性のことであり、周囲温度が高温になるにつれて使用可能な電流値が低くなる。したがって、LED照明装置を構成する場合、LEDの使用電流値(設計電流値)が、このディレーティングカーブの内側にくるようにし、一般には、最大の発光効率を得るよう、ディレーティングカーブの線上にくるようにする。また、ディレーティングカーブは、LEDパッケージの放熱性により変動し、LEDが実装される基板等の放熱性に左右されるため、LEDを実装する基板等の放熱特性ごとにディレーティングカーブを設定することもある。ここで、本実施の形態では、前記LED40についてのディレーティングカーブは、図18に示すようなものであり、例えば上記した使用温度範囲(−20℃〜40℃)の上限値(40℃)における順方向電流(使用温度範囲で設定可能な最高電流値)IMAXは、約28mAである。しかし、本実施の形態では、上記のような12直列10並列のLED接続形態を採用し、かつ、その順方向電流(駆動電流)を上記実用的電流範囲と比べて相対的に低い所定範囲内に設定しているため、使用環境によってLED40の周囲温度が40℃を超えて上昇した場合でも、LED40がその熱的要因の影響を受ける可能性は非常に小さく、LED40の光量を常に変動することのない一定値に維持することができる。
【0043】
このように、本実施の形態のLED照明装置は、特定の仕様のLED40を、上記のように12直列10並列接続となるように接続することで、LED照明装置の使用環境における温度変化や、LED照明装置の電子部品やLED40自体からの発熱による温度変化等の外的な熱的要因が、LED40に及ぼす影響を最大限抑制して、LED40による発光効率を常に一定に維持することができ、LED照明装置全体としての光量変動を確実に防止することができる。そして、本発明者らは、かかる熱的要因とLEDの接続構成との関係を鋭意研究した結果、600mmタイプの直管形LED照明装置においては、一つのLEDユニット40Uを12個のLED40を直列接続して構成する(12直列とする)ことにより、上記所定の印加電圧の範囲(例えば、40V〜48Vの範囲)において、LED40を最も効率よく発光させることができ、かつ、上記熱的要因による影響を最小化できるという知見を得て、この知見に基づいて、600mmタイプのLED照明装置において、LEDの接続形態を12直列10並列接続にするという構成を採用している。また、本実施の形態では、LED40を上記のように高密度実装しているため、LEDの発光に伴う熱的要因の影響が大きくなるが、上記のとおり、600mmタイプのLED照明装置において、LEDの接続形態を12直列10並列接続にするという構成によって、(LED40の個々における光量は減少するとしても)LED全体としての発光量を(上記高密度実装によって)補った上に更に増大しており、LED照明装置全体として、非常に大きな光量での照明を行うことができる。
【0044】
[電気回路構成]
本実施の形態のLED照明装置は、図10に示すように、AC電源(典型的には、商用交流電源)ACに前記口金部50の端子53を介して接続される電源回路100を備えている。電源回路100は、AC/DC変換器110、安定化回路120、及び、必要に応じて設けられる調光回路130を備えている。調光回路130は、必要に応じて設けられるものであるため、図10中に仮想線(二点鎖線)で示している。AC/DC変換器100は、AC電力(典型的には、100Vまたは200Vの商用交流電力)を直流電力(DC電力)に変換して電力供給するものであり、内蔵した変圧器(降圧回路)、整流器(整流回路)、平滑化回路等によって、交流電力を直流電力に変換して次段の安定化回路120に供給する。なお、AC/DC変換器110は、典型的な日本の商用電源(100Vまたは200Vの交流電源)以外にも、海外の商用電源にも対応可能であり、100V〜240Vの電圧に対応可能である。安定化回路120は、AC/DC変換器110からの直流電力の電圧値または電流値(好ましくは、電流値)を所望の電圧値(上記電圧値)及び/または所望の電流値に維持して安定化するものである。安定化回路120は、定電圧回路または定電流回路により構成することができるが、好ましくは、定電流回路により構成する。安定化回路120については、後に詳述する。調光回路130は、(図示しない)調光制御部の操作及び制御を受けて、LED照明装置のLED40の調光制御を行うものであり、例えば、振幅制御回路またはパルス幅制御回路等により構成される。
【0045】
<安定化回路>
前記安定化回路120は、上記のように、定電圧回路または定電流回路から構成することができる。図10は、安定化回路120を定電圧回路とした場合を示し、図11は、安定化回路120Aを定電流回路とした場合を示す。ここで、安定化回路120として定電圧回路を使用する場合、一般的な定電圧回路と同様、LEDユニット40Uに対して、前記印加電圧の電流を流すが、このとき、図10に示すように、各LEDユニット40Uのアノード側に直列接続した1個の(前記印加電圧値及び所望の電流値に応じて設定した所定の抵抗値の)電流制限抵抗35を介して、安定化回路120から所望の電流をLEDユニット40Uに流す構成となる。なお、定電圧回路の場合、LEDの順電圧と電源電圧との差が小さいほど、電源電圧が変動したときに電流値が大きく変化し、LEDの明るさが大きく変動するが、本実施の形態では、一単位のLEDユニット40Uは、12個のLED40を直列接続したものであり、各LEDユニット40Uへの印加電源電圧は、上記のように、36V〜42Vの範囲(典型値の場合は約40V)となり、LEDの順方向電圧である3.0V〜3.5V(典型値3.3V)より格段に大きい値であるため、電源電圧が多少変動しても、電流値が大きく変動することはなく、LED40やLEDユニット40Uの発光量は殆ど変動することがない。
【0046】
<抵抗器>
また、各単位のLEDユニット40には、1個の抵抗器が直列接続されている。例えば、図1に示す例では、抵抗器35は、基板30の表面側において、上記一単位のLED群40Uに対応する位置の幅方向一側(図1では右側)に、それぞれ、1個ずつ配置されている。また、図10の例では、一単位のLEDユニット40Uの(最もアノード側のLED40の)アノード側に1個の抵抗器35を直列接続している。なお、抵抗器35は、一単位のLEDユニット40Uにそれぞれ1個を直列接続する限りにおいて、基板30の別の位置に配置することもでき、例えば、基板30の裏面側に配置することもできる。また、図10の例のように、安定化回路120を定電圧回路として構成した場合、一般的な定電圧回路と同様に、抵抗器35は、LED40を過大な電流から保護するための電流制限抵抗として機能する。
【0047】
一方、本実施の形態のLED照明装置は、図11の例のように、安定化回路120Aを定電流回路として構成し、各LEDユニット40Uの(最もカソード側のLED40の)カソード側に1個の抵抗器135を検出抵抗として直列接続すると共に、当該抵抗器135によってLEDユニット40Uを流れる電流を検出して、当該検出値を検出比較回路140により基準電流値と比較して、各LEDユニット40Uに常に一定の電流値を供給するように構成することが好ましい。詳細には、図12に示すように、この別例の場合、電源100Aは、AC/DC変換器110からの直流電力を安定化回路120Aに供給し、当該安定化回路120Aからの電流を各LEDユニット40Uに供給するが、このとき、抵抗器135が、対応するLEDユニット40Uの電流値を継続的に検出し、検出比較回路140にフィードバックして、当該検出比較回路140によるフィードバック制御により、安定化回路120Aのスイッチング制御回路121をスイッチング制御(オン/オフ制御、デューティ制御等)して、LEDユニット40Uに対して常に一定値の(例えば、上記した電流範囲の)電流を供給する。
【0048】
[透光カバー]
透光カバー20は、図4図7に示すように、ポリカーボネート樹脂等の所定の(弾性を有する)材料により長尺の半円筒状となるよう一体形成されている。なお、透光カバー20の材料は、透光可能な限りにおいて、透明材料、半透明材料、有色透明材料とすることができ、また、材料中に光拡散材を混合することもできる。また、本発明の透光カバー20は、その外面及び内面の両者ともに、単純な(断面半円状の)平滑面とすることもできるが、図3及び図8に示す断面形状とすることが好ましい。詳細には、本実施の形態の透光カバー20は、図3及び図8に示すように、半円筒状の断面形状を有すると共に、その外面21を単純な(断面半円状の)平滑面とする一方で、その内面22は、凸部22a及び凹部22bからなる凹凸面としている。より詳細には、透光カバー20の内面22の凸部22aの表面形状は、所定湾曲率で所定角度だけ延びる円弧状とされ、同一形状の多数の凸部22aが、透光カバー20の内面22の周方向に沿って一定間隔(及び一定角度間隔)で並列配置され、これにより、隣接する凸部22a間に、対応する略V字形状の凹部22bが形成されている。よって、同一形状の多数の凹部22bが、透光カバー20の内面22の周方向に沿って一定間隔(及び一定角度間隔)で並列配置されている。即ち、本実施の形態では、同一形状の多数の凸部22a及び(当該凸部22a間に形成される)多数の凹部22bが、透光カバー20の内面22の周方向に沿って一定間隔(及び一定角度間隔)で並列配置されている。更に、透光カバー20の周方向両端縁には、それぞれ、内側に向かって(当該透光カバー20の周方向端部と直交して延びる)係合部23が一体形成されている。なお、透光カバー20の内面22の凸部22aのうち、最も透光カバー20の両端に近い側の凸部22aと係合部23との間には、それぞれ、凸部22aをその円弧の途中で分割した小さな円弧形状の凸部が形成されている。
【0049】
透光カバー20の直径(特に、その外面21により規定される外径)は、前記基体10の直径(特に、その外面により規定される外径)と同一とされている。また、透光カバー20の全長は、基体10の全長のうち、その長さ方向両端部に装着した口金部50部分を除いた長さと同一長さに設定されている。そして、透光カバー20の幅方向に設けた一対の係合部23が、それぞれ、前記基体10の幅方向に設けた一対の嵌合部12に嵌合して係止され、透光カバー20が基体20に(意図して離脱操作を行わない限り)離脱不能に装着されるようになっている。このとき、透光カバー20の長さ方向両端縁は、基体10の長さ方向両端の口金部50の内端縁にそれぞれ隙間なく密接すると共に、透光カバー20の周方向両端縁は、基体10の基部11の周方向両端縁にそれぞれ隙間なく密接する。このようにして、基体10に透光カバー20を装着して一体化することによって、完全な円筒形状のLED照明装置を得ることができる。なお、透光カバー20を基体10に装着するには、透光カバー20の弾性変形を利用して、透光カバー20を(図3の状態から)拡径した状態でその両端の係合部23を基体10の嵌合部12にそれぞれ位置決めして配置し、透光カバー20を自身の弾性復帰力によって(図3の)元の状態に復帰させることで、両係合部23を両嵌合部12にそれぞれ嵌合する。
【0050】
ここで、透光カバー20の内面22の凸部22aの個数は、透光カバー20を例えば直径(外径)26mmとする場合、合計15個とすることができる。この場合、凸部22a間の凹部22bの数は、合計14個となる。また、両端の凸部22a(透光カバー20の両端に隣接する凸部22a)は、透光カバー20を基体10に装着したときに、基体10の嵌合部12と干渉しない位置(図3中で嵌合部12よりも上方の位置)であって、嵌合部12の直近位置(凸部22aの嵌合部12側の端が嵌合部12の凸部22a側の端と一致する位置)に配置されるよう、透光カバー20の内面22の所定の周方向角度位置にそれぞれ形成されている。
【0051】
一方、基体10及び透光カバー20により構成されるハウジング内の基板30の表面側(透光カバー20側)には、上記のとおり、12直列10並列接続のLED40が実装されているが、各LED40は、図15に示す指向特性を有しており、図3は、かかるLED40の指向特性を(便宜上)描画している。ここで、図15に示すように、LED40の指向特性RPは、発光強度半値幅(相対光度値がLEDの軸上光度値である最高光度値の50%となる角度)が約120度であり、その発光中心軸の両側に約60を置いた角度位置に、それぞれ、相対光度が50%となる境界線RB(以下、便宜上、「発光境界線」という。)が位置している。そして、本実施の形態では、基板30にLED40を実装したときに、LED40の発光面(図3の上面)から放射される光の両側の境界線RBの位置(指向特性RPの左右両側の60度の位置)が、透光カバー20の内面22の周方向両端の凸部22aより一つだけ内側の凸部22aに対応して位置するよう、LED40の発光面の高さ位置(基板30からの突出高さ)と、(基体10に取り付けたときの)透光カバー20における周方向両端の凸部22aより一つだけ周方向に内側の凸部22aの高さ位置(基板30からの高さ位置)とが設定されている。なお、このとき、(基体10に取り付けたときの)透光カバー20における周方向両端の凸部22aの高さ位置には、LED40の指向特性RPにおける両側の70度の位置が対応して配置される。また、このとき、その他の(11個の)凸部22aは、周方向中央の凸部22aにLED40の指向特性RPにおける0度の位置(軸上位置LFであって光度100%となる位置)が対応し、中央より周方向に左右の凸部22aには、それぞれ、LED40の指向特性RPにおける10度の位置、20度の位置、30度の位置、40度の位置、50度の位置が対応している。なお、LED40の指向特性RPにおける各10度置きの位置は、対応する凸部22aの幅方向中央位置に対応している。
【0052】
これにより、本実施の形態では、LED40からの光のうち、相対光度が50%以上となる光度の光が、透光カバー20の周方向の全体をほぼカバーする角度範囲(少なくとも、透光カバー20の周方向に120度の角度範囲)に照射され、かつ、その照射光に対応する位置にある凸部22a及び凹部22bによって透光カバー20の(主に)周方向に均一に拡散される。このとき、透光カバー20は、それ自体の材料の有する屈折率(ポリカーボネート樹脂の場合、約1.585)によって、LEDからの放射光を角度変位して効率よく分散するが、これに加え、凸部22aが、その凸レンズ形状によってLEDからの放射光を集束方向に角度変位して分散すると共に、凸部22a間の凹部22bが凹レンズとして機能して、LEDからの放射光を拡散方向に角度変位して分散する。したがって、本実施の形態の透光カバー20は、その内面22に設けた凸部22a及び凹部22bからなる断面としてZ字状の形状を周方向に連続形成した凹凸形状(以下、説明の便宜上、「Z構造」という。)によって、非常に効率よく、LED40からの光を分散し、透光カバー20側にほぼ180度の角度範囲で、均一な光を外部に照射することができる。
【0053】
なお、LED40の発光面の高さ位置と、透光カバー20における周方向両端の凸部22aの高さ位置を変更等して調整することにより、LED40の発光面から放射される光の(指向特性RPにおける)両側の境界線RBの位置が、透光カバー20の内面22の周方向両端の凸部22aに対応して位置するよう構成することもできる。この場合、LED40からの光のうち、相対光度が50%以上となる光度の光が、透光カバー20の周方向の全体をほぼカバーする角度範囲(少なくとも、透光カバー20の周方向に140度の角度範囲)に照射され、かつ、その照射光に対応する位置にある凸部22a及び凹部22bによって透光カバー20の(主に)周方向に均一に拡散されることで、更に効率よく、LED40からの光を分散して外部に照射することができる。即ち、本実施の形態では、LED40の各々の発光面から放射される光における前記指向特性の左右両側の60度の位置が、透光カバー20の内面の周方向両端側の凸部22a(即ち、透光カバー20の内面の周方向両端の凸部22a、または、透光カバー20の内面の周方向両端の凸部22aより一つだけ内側の凸部22a)に対応して位置するよう、LED40の発光面の基板30からの高さ位置と、透光カバー20における周方向両端側の凸部22aの基板30からの高さ位置とが設定されているよう構成することが好ましい。
【0054】
{実施の形態2}
図13に示すように、実施の形態2に係る直管形LED照明装置は、実施の形態1の直管形LED照明装置と同様、全体として、直管形の蛍光灯と同様の外形及び外観を有し、基体10、透光カバー20、基板30、LED40、口金部50を備え、所定長の直管形状を有している。一方、本実施の形態の直管形LED照明装置は、全長1200mmのタイプを想定しており、LED40の使用数及び配置態様を含む電気回路構成等において、実施の形態1の直管形LED照明装置と異なり、その他の構成は、実施の形態1の直管形LED照明装置と同様である。詳細には、実施の形態2に係る直管形LED照明装置は、全体での最大発光効率を得るために、264個のLED40を基板30の幅方向に二列となるよう(かつ、各列が互いに平行となるよう)並列配置すると共に、各一列のLED40(合計132個)を基板30の長さ方向に一列の直線状となるよう配置している。このように、本実施の形態では、前記LED群は、12個のLED40を直列接続して一つのLEDユニット40Uを構成すると共に、当該LEDユニット40Uを22ユニットだけ互いに並列接続して構成され、前記LED40を基板30に高密度で実装したものである。
【0055】
[LEDの配置態様]
具体的には、各一列(132個)のLED40が、基板30におけるLED40の実装長さ範囲、即ち、基板30の両端側の前記口金部50により覆われる範囲以外の範囲(例えば、基板30の両端からそれぞれ約40mmの位置よりも内側の範囲)に一定間隔で一列に配置されている。これにより、LED40の配置間隔は、(例えば、実装長さ範囲が約980mmの場合)約7.4mm間隔となる。また、LED40の寸法は、長さ(L)×幅(W)×高さ(H)が、3.0mm×2.0mm×1.3mmであり、LED40は、その長さ方向が基板30の長さ方向と一致する前記並設方向に並設して実装されるため、隣接するLED40間の配置間隙は、約2.2mmとなる。なお、この配置間隙は、LEDの実装態様に応じて適宜変更することができ、例えば、2.0mm〜4.5mmの範囲とすることができ、好ましくは、4.0〜4.5mmの範囲とすることができる。このように、本実施の形態では、全長1200mmタイプの直管形LED照明装置において、基板30の長さ方向におけるLED40の実装範囲に、通常のLED照明装置が使用するLED数の3倍程度となる合計264個のLED40を、合計二列となるよう直線的に密接配置して高密度で実装することにより、各一列のLED40については従来のLED数の1.5倍の実装密度とし、かつ、基板30の幅方向にかかる高実装密度のLED40を二列で配置することで、非常に高い光度(非常に多い単位面積当たり光束数)を実現している。なお、隣接する二列のLED40の間の間隙(基板30の幅方向における間隙)は、約2mmとすることができ、各列のLED40と基板30の両端との間の間隙は、約6mmとすることができる。
【0056】
[電気回路構成]
本実施の形態でも、(図10または図11に示す回路構成と同様に)12個のLED40を直列接続して1単位のLEDユニット40Uを構成している。したがって、各単位のLEDユニット40Uへの印加電圧は、実施の形態1と同様の値となる。また、1ユニットのLEDユニット40Uは12個のLED40からなるため、本実施の形態では、合計で、22ユニットのLEDユニット40Uが互いに並列となるよう接続されている(LED264個/12直列=22並列)。即ち、本実施の形態は、12個のLED40を一単位として直列接続し、一単位のLEDユニット40Uを構成すると共に、かかるLEDユニット40Uを、合計で22単位(22ユニット)並列接続している(以下、この接続方法を、単に、「12直列22並列接続」ということがある)。また、本実施の形態でも、LED40を上記のように高密度実装するため、特に周囲温度によるLED40への熱的負荷の影響、並びに、かかる熱的負荷によるLED40の発光特性の変動を確実に防止すべく、実施の形態1の場合と同様、各LEDユニット40Uに供給する駆動電流としての順方向電流Iを、上記高密度実装によるLED40への熱的影響を防止することができる順方向電流の範囲内であって、上記12直列10並列接続によるLED40の光度を最大とすることができる順方向電流の範囲(高密度実装用電流範囲)に設定している。
【0057】
<12直列22並列の特有の効果>
ここで、実施の形態1の場合と同様、本実施の形態でも、一単位のLEDユニット40Uを並列接続(実施の形態1とは異なり、22列で並列接続)するが、並列接続された各々のLEDユニット40Uは、12個のLED40を直列接続したものであるため、LEDユニット40U全体としては、12個のLED40が、各LED40に固有のばらつきを吸収し、22列のLEDユニット40U間での発光量のばらつきを非常に小さくすることができる。
【0058】
また、本実施の形態でも、LED40の順方向電圧の温度特性の影響で、周囲温度によりLED40に流れる電流がLED40ごとに変動したとしても、一単位のLEDユニット40Uは、12個のLED40を直列接続したものであるため、LEDユニット40Uが全体として、LED40ごとの順方向電圧の温度による電流値変動のばらつきを吸収する。したがって、LEDユニット40U全体としては、その電流値が大きく変動することはなく、LEDユニット40Uの発光量は殆ど変動することがない。
【0059】
更に、本実施の形態でも、上記のような12直列22並列のLED接続形態を採用し、かつ、その順方向電流(駆動電流)を上記実用的電流範囲と比べて相対的に低い所定範囲内に設定しているため、使用環境によってLED40の周囲温度が40℃を超えて上昇した場合でも、LED40がその熱的要因の影響を受ける可能性は非常に小さく、LED40の光量を常に変動することのない一定値に維持することができる。
【0060】
このように、本実施の形態のLED照明装置は、特定の仕様のLED40を、上記のように12直列22並列接続となるように接続することで、LED照明装置の使用環境における温度変化や、LED照明装置の電子部品やLED40自体からの発熱による温度変化等の外的な熱的要因が、LED40に及ぼす影響を最大限抑制して、LED40による発光効率を常に一定に維持することができ、LED照明装置全体としての光量変動を確実に防止することができる。即ち、本発明者らは、かかる熱的要因とLEDの接続構成との関係を鋭意研究した結果、1200mmタイプの直管形LED照明装置においては、一つのLEDユニット40UのLED40を12直列22並列接続の構成とすることにより、上記所定の印加電圧の範囲において、LED40を最も効率よく発光させることができ、かつ、上記熱的要因による影響を最小化できるという知見を得て、この知見に基づいて、1200mmタイプのLED照明装置において、LEDの接続形態を12直列22並列接続にするという構成を採用している。また、本実施の形態では、LED40を上記のように高密度実装しているため、LEDの発光に伴う熱的要因の影響が大きくなるが、上記のとおり、1200mmタイプのLED照明装置において、LEDの接続形態を12直列22並列接続にするという構成によって、(LED40の個々における光量は減少するとしても)LED全体としての発光量を(上記高密度実装によって)補った上に更に増大しており、LED照明装置全体として、非常に大きな光量での照明を行うことができる。なお、本実施の形態の電源回路の構成は、実施の形態1と同様とすることができる。
【0061】
[透光カバー]
本実施の形態の透光カバー20は、実施の形態1と同様の構成であるが、内面22の凸部22a及び凹部22bと基板30に実装した(二列の)LED40との関係が、実施の形態1の場合と異なる。詳細には、基体10及び透光カバー20により構成されるハウジング内の基板30の表面側には、上記のとおり、12直列22並列接続のLED40が実装されているが、各LED40は、図15に示す指向特性を有しており、図14は、かかるLED40の指向特性を(便宜上)描画している。また、前記LED群の各LED40は、発光強度半値幅が約120度の指向特性を有するものであり、LED群のLED40は、基板30の幅方向に二列となるよう、かつ、各列が平行となるよう配置されている。そして、本実施の形態では、基板30にLED40を実装したときに、幅方向一側の列(図14中の左側の列)のLED40の発光面から放射される光の一方側の境界線RBの位置(図14中の左側の境界線RBの位置)が、透光カバー20の内面22の周方向一端側(即ち、当該LED40に対応する側であって、図14中の左側)の凸部22aに対応して位置するよう、幅方向一側の列のLED40の発光面の高さ位置と、透光カバー20における周方向の一端側の凸部22aの高さ位置とが設定されている。同様に、(図示はしないが)幅方向他側の列(図14中の右側の列)のLED40の発光面から放射される光の他方側の境界線RBの位置(右側の境界線RBの位置)が、透光カバー20の内面22の周方向他側(即ち、当該LED40に対応する側であって、図14中の右側)の凸部22aに対応して位置するよう、幅方向他側の列のLED40の発光面の高さ位置と、透光カバー20における周方向の他端側の凸部22aの高さ位置とが設定されている。
【0062】
このとき、(基体10に取り付けたときの)透光カバー20における周方向両端の凸部22aの高さ位置には、LED40の指向特性RPにおける両側の60度の位置が対応して配置される。また、このとき、その他の(13個の)凸部22aについては、周方向中央の凸部22aより左側の列のLED40の指向特性RPにおける約10度の位置と右側の列のLED40の指向特性RPにおける約10度の位置とが対応し、中央より周方向に左側の凸部22aには、それぞれ、左側の列のLED40の指向特性RPにおける0度の位置(軸上位置LF)、10度の位置、20度の位置、30度の位置、40度の位置、50度の位置が対応し、(図示はしないが)中央より周方向に右側の凸部22aには、それぞれ、右側の列のLED40の指向特性RPにおける0度の位置、10度の位置、20度の位置、30度の位置、40度の位置、50度の位置が対応している。更に、(図示はしないが)中央より周方向に左側の凸部22aには、それぞれ、右側の列のLED40の指向特性RPにおける20度の位置、30度の位置、40度の位置、50度の位置、60度の位置が(左側の列のLED40による指向特性RPの角度位置に重複して)対応し、(図示はしないが)中央より周方向に右側の凸部22aには、それぞれ、左側の列のLED40の指向特性RPにおける20度の位置、30度の位置、40度の位置、50度の位置、60度の位置が(右側の列のLED40による指向特性RPの角度位置に重複して)対応している。なお、LED40の指向特性RPにおける各10度置きの位置は、対応する凸部22aの幅方向のほぼ中央位置に対応している。
【0063】
これにより、本実施の形態でも、LED40からの光のうち、相対光度が50%以上となる光度の光が、透光カバー20の周方向の全体をほぼカバーする角度範囲(少なくとも、透光カバー20の周方向に140度以上の角度範囲)に照射され、かつ、その照射光に対応する位置にある凸部22a及び凹部22bによって透光カバー20の(主に)周方向に均一に拡散される。このとき、透光カバー20は、それ自体の材料の有する屈折率によって、LEDからの放射光を角度変位して効率よく分散するが、これに加え、凸部22aが、その凸レンズ形状によってLEDからの放射光を集束方向に角度変位して分散すると共に、凸部22a間の凹部22bが凹レンズとして機能して、LEDからの放射光を拡散方向に角度変位して分散する。したがって、本実施の形態の透光カバー20も、その内面22に設けた凸部22a及び凹部22bからなる断面としてZ字状の形状を周方向に連続形成した凹凸形状(Z構造)によって、非常に効率よく、LED40からの光を分散し、透光カバー20側にほぼ180度の角度範囲で、均一な光を外部に照射することができる。
【0064】
{2400mmタイプの別例}
図示はしないが、別例に係る直管形LED照明装置は、実施の形態1の直管形LED照明装置と同様、全体として、直管形の蛍光灯と同様の外形及び外観を有し、基体10、透光カバー20、基板30、LED40、口金部50を備え、所定長の直管形状を有している。一方、本実施の形態の直管形LED照明装置は、全長2400mmのタイプを想定しており、LED40の使用数及び配置態様を含む電気回路構成等において、実施の形態1の直管形LED照明装置と異なり、その他の構成は、実施の形態1の直管形LED照明装置と同様である。詳細には、本別例に係る直管形LED照明装置は、全体での最大発光効率を得るために、784個のLED40を基板30の幅方向に二列となるよう(かつ、各列が互いに平行となるよう)並列配置すると共に、各一列のLED40(合392個)を基板30の長さ方向に一列の直線状となるよう配置している。このように、本実施の形態では、前記LED群は、14個のLED40を直列接続して一つのLEDユニット40Uを構成すると共に、当該LEDユニット40Uを56ユニットだけ互いに並列接続して構成され、前記LED40を基板30に高密度で実装したものである。
【0065】
[LEDの配置態様]
具体的には、各一列(392個)のLED40が、基板30におけるLED40の実装長さ範囲に一定間隔で一列に配置されている。これにより、LED40の配置間隔は、(例えば、実装長さ範囲が約2180mmの場合)約5.6mm間隔となる。また、LED40の寸法は、長さ(L)×幅(W)×高さ(H)が、3.0mm×2.0mm×1.3mmであり、LED40は、その長さ方向が基板30の長さ方向と一致する前記並設方向に並設して実装されるため、隣接するLED40間の配置間隙は、約1.3mmとなる。なお、この配置間隙は、LEDの実装態様に応じて適宜変更することができる。このように、本別例では、全長2400mmタイプの直管形LED照明装置において、基板30の長さ方向におけるLED40の実装範囲に、通常のLED照明装置が使用するLED数の3倍程度となる合計784個のLED40を、合計二列となるよう直線的に密接配置して高密度で実装することにより、各一列のLED40については従来のLED数の1.5倍の実装密度とし、かつ、基板30の幅方向にかかる高実装密度のLED40を二列で配置することで、非常に高い光度(非常に多い単位面積当たり光束数)を実現している。
【0066】
[電気回路構成]
本別例では、図10または図11に示す電気回路構成と同様の電気回路構成を採用する一方で、14個のLED40を直列接続して1単位のLEDユニット40Uを構成している。したがって、各単位のLEDユニット40Uへの印加電圧は、実施の形態1及び2よりも高い値(14/12倍=約1.17倍の値)となる。また、1ユニットのLEDユニット40Uは14個のLED40からなるため、本別例では、合計で、56ユニットのLEDユニット40Uが互いに並列となるよう接続されている(LED784個/14直列=56並列)。即ち、本実施の形態は、14個のLED40を一単位として直列接続し、一単位のLEDユニット40Uを構成すると共に、かかるLEDユニット40Uを、合計で56単位(56ユニット)並列接続している(以下、この接続方法を、単に、「14直列56並列接続」ということがある)。また、本別例でも、LED40を上記のように高密度実装するため、特に周囲温度によるLED40への熱的負荷の影響、並びに、かかる熱的負荷によるLED40の発光特性の変動を確実に防止すべく、実施の形態1の場合と同様、各LEDユニット40Uに供給する駆動電流としての順方向電流Iを、上記高密度実装によるLED40への熱的影響を防止することができる順方向電流の範囲内であって、上記12直列10並列接続によるLED40の光度を最大とすることができる順方向電流の範囲(高密度実装用電流範囲)に設定している。
【0067】
<14直列56並列の特有の効果>
ここで、実施の形態1の場合と同様、本実施の形態でも、一単位のLEDユニット40Uを並列接続(実施の形態1及び2とは異なり、56列で並列接続)するが、並列接続された各々のLEDユニット40Uは、14個のLED40を直列接続したものであるため、LEDユニット40U全体としては、14個のLED40が、各LED40に固有のばらつきを吸収し、56列のLEDユニット40U間での発光量のばらつきを非常に小さくすることができる。
【0068】
また、本実施の形態でも、LED40の順方向電圧の温度特性の影響で、周囲温度によりLED40に流れる電流がLED40ごとに変動したとしても、一単位のLEDユニット40Uは、14個のLED40を直列接続したものであるため、LEDユニット40Uが全体として、LED40ごとの順方向電圧の温度による電流値変動のばらつきを吸収する。したがって、LEDユニット40U全体としては、その電流値が大きく変動することはなく、LEDユニット40Uの発光量は殆ど変動することがない。
【0069】
更に、本実施の形態でも、上記のような14直列56並列のLED接続形態を採用し、かつ、その順方向電流(駆動電流)を上記実用的電流範囲と比べて相対的に低い所定範囲内に設定しているため、使用環境によってLED40の周囲温度が40℃を超えて上昇した場合でも、LED40がその熱的要因の影響を受ける可能性は非常に小さく、LED40の光量を常に変動することのない一定値に維持することができる。
【0070】
このように、本実施の形態のLED照明装置は、特定の仕様のLED40を、上記のように14直列56並列接続となるように接続することで、LED照明装置の使用環境における温度変化や、LED照明装置の電子部品やLED40自体からの発熱による温度変化等の外的な熱的要因が、LED40に及ぼす影響を最大限抑制して、LED40による発光効率を常に一定に維持することができ、LED照明装置全体としての光量変動を確実に防止することができる。即ち、本発明者らは、かかる熱的要因とLEDの接続構成との関係を鋭意研究した結果、2400mmタイプの直管形LED照明装置においては、一つのLEDユニット40UのLED40を14直列56並列接続の構成とすることにより、上記所定の印加電圧の範囲において、LED40を最も効率よく発光させることができ、かつ、上記熱的要因による影響を最小化できるという知見を得て、この知見に基づいて、2400mmタイプのLED照明装置において、LEDの接続形態を14直列56並列接続にするという構成を採用している。また、本別例では、LED40を上記のように高密度実装しているため、LEDの発光に伴う熱的要因の影響が大きくなるが、上記のとおり、2400mmタイプのLED照明装置において、LEDの接続形態を14直列56並列接続にするという構成によって、(LED40の個々における光量は減少するとしても)LED全体としての発光量を(上記高密度実装によって)補った上に更に増大しており、LED照明装置全体として、非常に大きな光量での照明を行うことができる。なお、本別例の電源回路の構成は、実施の形態1と同様とすることができる。
【0071】
[本発明の特徴]
本発明に係る直管形LED照明装置は、上記のように、前記LED群の各LEDは、発光強度半値幅が約120度の指向特性を有するものとすることが好ましい。また、前記LEDの発光表面の高さ位置は、前記回路基板の表面に実装される他の電子部品よりも高い位置であって、かつ、前記基体の開口部の開口端よりも低い位置に設定されている。更に、前記LEDの発光表面高さ位置は、前記LEDの指向特性において、当該LEDが発光して光線を放射したときに、前記発光強度半値幅の50%の位置が前記基体の開口部の開口端の位置と同等の位置にくるように設定されているものとすることが好ましい。そして、前記透光カバーは、周方向に凸部及び凹部を連続的に形成した断面形状であり、かつ、当該凸部及び凹部が、それぞれ、前記透光カバーの長さ方向に連続する凸形状及び凹形状であり、前記凸部及び凹部の数は、それぞれ、前記LEDの発光強度半値幅の50%の位置が最も外側の凸部または凹部に重なるよう、前記凸部及び凹部の位置が設定されているものとすることが好ましい。そして、かかる構成から把握される外延の範囲内において、本発明の直管形LED照明装置は、上記実施の形態の対応する構成(特に、透光カバーの構成)を適宜変更することができる。例えば、透光カバーの凸部及び凹部を透光カバーの外面に形成したり、凸部及び凹部の数や断面形状や配置態様や配置位置を上記実施の形態と異なるものとしたりすることができる。
【0072】
また、本発明に係る直管形LED照明装置は、上記のように、まず、LEDを高密度実装する一方で、LEDの上記高密度実装に起因するLEDの発光特性への熱的(または温度的)影響を防止または補償している。即ち、LEDは、光度を増大するためにできるだけ大きな電力を供給することが望ましいが、大きな電力を供給するとLEDのジャンクション温度が上昇し、光出力低下、波長シフト(色の変化)、劣化の促進(寿命の低下)等の不具合を発生するため、特に、LEDを高密度実装すると、温度的影響が大きくなる。そこで、本発明は、高密度実装によるLEDの密度の増加(増加率)に応じて、熱的(または温度的)影響を補償すべく、LEDの駆動電流を当該LEDに規定された(メーカー推奨値または定格における)実用的電流範囲の下限値よりも小さな値に設定することで駆動電力を小さくし、使用環境温度や外部温度(特に、LED周辺の温度やLEDのジャンクション温度)の変化によるLEDの発光特性の変化やばらつきを最小限に抑制するという特有の作用効果を発揮している。このため、例えば、本発明は、LEDの規格や定格等を下記のように設定することも好ましい。
【0073】
[LED]
LEDの寸法・種類:
L×W×H=3.0mm×2.0mm×1.3mm
シングル青色LED型高輝度SMD
【0074】
LEDの光学的・電気的特性(Ta=25℃):
表面実装型LED
順方向電圧V=2.8〜3.5V(I=20mA)(許容差=±0.05V)
光度I(NIST準拠の測定)=1800〜2600mcd(I=20mA)(許容差=±10%)
色温度CCT=5310〜7040K(I=20mA)(主波長の測定誤差=±1nm)
逆方向電流I=1μA以下(VR=5V)
ビーム角(1/2ビーム角)=120度
順方向電流(メーカー規定の駆動電流)I=20mA
【0075】
LEDの絶対最大定格(Ta=25℃)
順方向電流I=30mA
ピークパルス順方向電流IFP=100mA(1kHz、デューティーサイクル1/10)
LEDジャンクション温度(pn接合部の温度)T=125℃
動作温度TOPR=−30〜+85℃(蛍光灯は−20〜40℃)
ワット損P=105mW
【0076】
[基体](管長600mmタイプ)
全長=580mm
外形寸法(直径)φ=26mm
口金部=1個当たり45mm(合計90mm)、または、65mm(合計130mm)
開口長(口金45mm)=580−90=490mm
外形面積(口金45mm)=26mm×490mm=127.4cm
開口面積(口金45mm)=24mm(直径26mm−2mm)×490mm=117.6cm
開口長(口金65mm)=580−130=450mm
外形面積(口金65mm)=26mm×450mm=117.0cm
開口面積(口金65mm)=24mm(直径26mm−2mm)×450mm=108.0cm
12直列10並列、120個のLEDを一列で配置
発光角度=180度(以上)
【0077】
[LEDの実装密度(口金部45mmの場合)]
実装密度(開口単位長当たり)=120/490mm(0.49m)=245個/m
実装密度(開口単位面積当たり)=120/117.6(cm)=1.02個/cm
【0078】
[LEDの実装密度(口金部65mmの場合)]
実装密度(単位長当たり)=120/450mm(0.45m)=267個/m
実装密度(単位面積当たり)=120/108(cm)=1.11個/cm
LED実装密度範囲=1.02〜1.11個/cm
【0079】
[基体](管長1200mmタイプ)
全長=1198mm
外形寸法(直径)φ=26mm
口金部=1個当たり45mm(合計90mm)、または、65mm(合計130mm)
開口長(口金45mm)=1198−90=1108mm
外形面積(口金45mm)=26mm×1108mm=288.08cm
開口面積(口金45mm)=24mm(直径26mm−2mm)×1108mm=265.92cm
開口長(口金65mm)=1108−130=1068mm
外形面積(口金65mm)=26mm×1068mm=277.68cm
開口面積(口金65mm)=24mm(直径26mm−2mm)×1068mm=256.32cm
12直列22並列、264個のLEDを二列(一列132個)で配置
発光角度=180度(以上)
【0080】
[LEDの実装密度(口金部45mmの場合)]
実装密度(開口単位長当たり)=264/1108=238個/m
(一列で見た場合の実装密度(開口単位長当たり)=132/1108=119個/m)
実装密度(開口単位面積当たり)=264/265.92(cm)=0.99個/cm
【0081】
[LEDの実装密度(口金部65mmの場合)]
実装密度(開口単位長当たり)=264/1068=247個/m
(一列で見た場合の実装密度(開口単位長当たり)=132/1068=124個/m)
実装密度(開口単位面積当たり)=264/256.32(cm)=1.03個/cm
LED実装密度範囲=0.99〜1.03個/cm
【0082】
[基体](管長2400mmタイプ)
全長=2367mm
外形寸法(直径)φ=38mm(900mm及び1200mmタイプの1.462倍)
外形寸法(直径)φ=40.5mm(900mm及び1200mmタイプの1.538倍)(即ち、900mm及び1200mmタイプの約1.46倍〜1.54倍:約1.5倍)
口金部=1個当たり45mm(合計90mm)、または、65mm(合計130mm)
開口長(口金45mmの場合)=2367−90=2277mm
外形面積(直径38mm、口金45mmの場合)=38mm×2277mm=865.26cm
開口面積(直径38mm、口金45mmの場合)=36mm(直径38mm−2mm)×2277mm=819.72cm
外形面積(直径40.5mm、口金45mmの場合)=40.5mm×2277mm=922.185cm
開口面積(直径40.5mm、口金45mmの場合)=38.5mm(直径40.5mm−2mm)×2277mm=876.645cm
開口長(口金65mmの場合)=2367−130=2237mm
外形面積(直径38mm、口金65mmの場合)=38mm×2237mm=850.06cm
開口面積(直径38mm、口金65mmの場合)=36mm(直径38mm−2mm)×2237mm=805.32cm
外形面積(直径40.5mm、口金65mmの場合)=40.5mm×2237mm=905.985cm
開口面積(直径40.5mmm口金65mm)=38.5mm(直径40.5mm−2mm)×2237mm=861.245cm
14直列56並列、784個のLEDを二列(一列392個)で配置
発光角度=180度(以上)
【0083】
[LEDの実装密度(直径38mm、口金部45mmの場合)]
実装密度(開口単位長当たり)=784/2277=344個/m(一列で見た場合の実装密度(開口単位長当たり)=392/2277=172個/m)
実装密度(開口単位面積当たり)=784/819.72(cm)=0.96個/cm
【0084】
[LEDの実装密度(直径38mm、口金部65mmの場合)]
実装密度(開口単位長当たり)=784/2237=350個/m(一列で見た場合の実装密度(開口単位長当たり)=392/2237=175個/m)
実装密度(開口単位面積当たり)=784/805.32(cm)=0.97個/cm
LED実装密度範囲=0.96〜0.97個/cm
【0085】
[LEDの実装密度(直径40.5mm、口金部45mmの場合)]
実装密度(開口単位面積当たり)=784/876.645(cm)=0.89個/cm
【0086】
[LEDの開口単位面積当たり実装密度(直径40.5mm、口金部65mmの場合)]
実装密度(開口単位面積当たり)=784/861.245(cm)=0.91個/cm
LED実装密度範囲=0.89〜0.91個/cm
図1
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